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こどもの居場所部会(第4回)

概要

日時:令和5年7月14日(金)13時00分から16時00分
場所:こども家庭庁 21 階 成育局第二会議室
【オンライン配信URL】
URL:https://www.youtube.com/watch?v=ddU33mSeP1c

議事

  1. 開会
  2. 議題
    (1)居場所づくりに関係する団体からのヒアリング
    (2)居場所づくりに関係する団体への事務局によるヒアリング結果
    (3)こどもへのヒアリングについて
  3. 閉会

資料

議事録

前田部会長: それでは、ただいまから「こどもの居場所部会」第4回を開催いたします。

皆様、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。お時間がちょっと遅れてしまって大変申し訳ございません。

本日は、ウェブ会議で開催させていただきます。

なお、安部委員は遅れての御参加、友川委員は途中退席です。水野達朗委員、植木委員は御欠席の御連絡を承っております。よろしくお願いします。

それでは、まず事務局より資料の確認をよろしくお願いいたします。

山口成育環境課長: それでは、資料の確認をさせていただきます。

配付資料は、資料1-1から1-5まで。

資料2は、事務局ヒアリングが完了しましたので、その経過をまとめた資料です。

資料3から資料5は、こどもへのヒアリングに関する資料。

参考資料と合わせて、全部で計11点となっております。

資料の欠落等がありましたら、お申しつけください。

本日の部会は、公開で開催をしております。資料及び議事録も後日、公開をすることとしております。

また、今回の部会は傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。

それでは、部会長、よろしくお願いします。

前田部会長: それでは、次第(1)「居場所づくりに関係する団体からのヒアリング」に入ります。

本日は、4つの団体と自治体からの発表がございます。各発表は10分以内とさせていただき、14分間、質疑応答の時間といたします。10分間経過いたしますと、事務局よりその旨お伝えしますので、その場合は恐れ入りますが、速やかにまとめに入っていただくようお願いいたします。

また、お手数ですが、発表の際には資料を画面共有いただき、御発表ください。次第に記載のある資料順で御発表いただければと存じます。

発表の順番を申し上げますと、全国児童発達支援協議会様、特定非営利活動法人サンカクシャ様、公益財団法人あすのば様、アフターケア事業全国ネットワークえんじゅ様、最後に大阪府豊中市様となっております。よろしくお願い申し上げます。

それでは、まず最初に全国児童発達支援協議会様、お願い申し上げます。

酒井氏: 皆様、こんにちは。全国児童発達支援協議会の事務局長をしております酒井です。

今から資料を共有しますので、少々お待ちください。

それでは、発表していきたいと思います。私たち全国児童発達支援協議会は、通称CDS-Japanと呼んでいます。本こどもの居場所部会において発言する機会をいただきまして、感謝申し上げます。

CDS-Japanは児童福祉法に基づく障害児支援、具体的には児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの通所支援事業約520か所で構成されている団体になっております。調査や研修などを通じて加盟事業所の支援の質の向上を図るとともに、国の調査研究や人材育成等、検討会にも参画し、提言を行ってまいりました。

では、「放課後等デイサービス」について説明をさせていただきたいと思います。

放課後等デイサービスは児童福祉法に基づく給付事業で、資料のように規定されています。

利用対象児は、①「障害児」であること、②学校または専修学校等に就学していることです。放課後児童クラブのような、保護者の就労要件等はありません。

なお、児童福祉法に規定する障害児は、障害者手帳や医学的診断を必要とはせず、周辺児も含めて発達上の支援が必要な人、生徒であればよいという福祉的な定義となっております。

放課後等デイサービスの利用対象となる学齢の障害児は増え続けており、文科省のデータでは、特別支援教育を受けている児童生徒は10年前と比べて約2倍になっているというデータもあります。通常学級にいる教育的ニーズのある児童生徒、発達障害の可能性のある児童生徒とも言えますが、その数も増えていることが報告されています。文科省から出てきた8.8%という数字も、皆さん御承知のことかと思います。

放課後等デイサービスを利用するに当たっては、手続が必要になります。まず、保護者が市区町村に利用申請を行います。利用のコーディネートをする障害児相談支援専門員が作成する利用計画案を基に市町村が利用日数等を決定し、受給者証が発行されます。

その後、保護者と事業所と契約を結んだ後に、ようやくこどもが放課後等デイサービスを利用できる仕組みとなっております。複数の放課後等デイサービス事業所を利用していたり、放課後児童クラブと併用しているお子さんもいらっしゃいます。

放課後等デイサービスには運営に当たってのガイドラインが作成されており、基本姿勢は他者との信頼関係の形成、他者との触れ合いを楽しみ、生きる力を醸成できるように支援します。

基本活動として資料に4点例示されていますけれども、集団または個別で幾つかの活動を組み合わせて提供されることになっています。

放課後等デイサービスの事業所数及び利用者数は顕著に増加しており、障害のあるこどもたちの放課後の居場所として機能しているところです。

なお、放デイを利用しているこどもの35%が知的障害のお子さんたち、発達障害が41%となっており、医療的ケア児や重症心身障害のあるこどもたちにとっても安心して過ごせる貴重な居場所となっております。

CDSでは、取りまとめ団体として国の調査研究事業を行い、放課後等デイサービスの機能を整理しました。放課後等デイサービスは、障害のあるこどもが障害のないこどもと同様に第三の「居場所」として機能することが重要であり、全てのこどもたちが経験しているあらゆる活動を享受できるよう、障害や特性に応じた合理的配慮をすることが重要と言えます。

それらを図式化すると今、御覧いただいているスライドのようになります。

①全てのこどもに必要な生活や遊び、環境を提供する育成支援機能、②障害や特性に応じた発達支援機能、③不登校や要保護児童などを支える「セーフティ-ネット」機能になります。これらを1つずつ具体的に紹介していきます。

まずは、「育成支援」機能から紹介させていただきます。

思春期は、親との濃密な関係から少しずつ巣立っていく大切な時期となります。放課後等デイサービスでは、親以外の大人、スタッフや仲間との安心・安全な関わりの中で自己受容感や自己達成感、自己有用感などを涵養していきます。学童保育では斜めの関係が重視されていますが、放デイでも同様に専門性を持ちつつ、斜めの立場から活動を支えているということが言えるのではないでしょうか。同じような障害のあるこども同士の触れ合いは、自己の障害の受入れやアイデンティティーの確立にもとても重要なものとなっております。

安心感のある環境、育ちの土台として、多様な活動や生活を通して知識やスキル、人間性を育み、将来の自立に向けた生きる力を培っていきます。これは障害のあるなしに関係なく、全てのこどもに共通すると言えます。放課後等デイサービスにおいては、専門性に基づいた環境整備や関わりによってどのような状態のこどもに対しても安心感のある環境を提供しています。

具体的な活動の様子になります。こどもたちが輝けるような活動を用意したり、こどもたちが自ら提案した活動に取り組んでいます。時には室内遊びだけでなく、地域の公園に出かけたり、長期休暇中には自然豊かな郊外活動に出かけたりします。学校で頑張って疲れたこどもには休息も大事になってきます。

障害のあるこどもは障害があるがゆえに大人主導になりやすい実態がありましたが、近年、権利擁護の視点も加わり、放課後等デイサービスにおいてもこどもたちの「やってみたい」を大切にして実現できるよう、こどもの声を聞く機会を設けるようにしています。こどもが自分の意見をまとめ、表明できるように支援したり、そういう場面を積極的に設定するなど、工夫をしているところになります。

次に、「発達支援機能」について説明します。

現在、障害福祉の領域においては、発達支援という概念については本人への支援だけではなく、保護者をはじめきょうだい児も含む家族への支援、地域と連携した支援の3つの視点が不可欠で、総括的な支援を行います。今、御覧いただいたスライド、この図全体が含まれる考え方になっているのが現在の発達支援の考え方になっております。特に本人への支援は障害や特性自体を軽減されるアプローチだけではなく、障害や特性がありながらも自分に自信を持ち、自立につながる様々な経験を積んでいくことが目的となります。障害があるがゆえに不足する経験を提供し、または①で示した全てのこどもに必要な遊びや生活ができるよう、合理的配慮に基づいた支援提供が重要になります。

そのためには、障害や特性に配慮した遊びや、生活の環境を設定することが大切であり、そのためのアセスメントと支援の手だてを記載した個別支援計画の策定が重要な位置づけになってきます。

放課後等デイサービスの事業所においては、社会生活スキルの獲得や情緒や感性の発達のほか、自分で考えて自己判断ができるようになること等、自分の関心や興味に合わせて活動することが重視されていることが分かりました。これは、CDSで行った調査研究によってはっきり把握ができたことになります。

③番目の「セーフティーネット」機能について御説明します。

障害のあるこどもの被虐待率は高いことが分かっており、特に発達障害や知的障害で高いことが分かっています。また、障害児通所支援には不登校をはじめ要保護児童の受入れも多く、セーフティーネットとして機能していることが分かっています。

これは不登校のこどもたちの様子で、放課後ではない時間帯に通所にしてもらい、本人のペースに合わせて様々な活動を提供しています。こどもたちが通ってみたい、その場にいたい、やってみたいという気持ちになれるよう、とても丁寧な関わりをして運営がされています。

これは、家族支援についてのスライドになります。発達支援においては、家族との連携や地域との連携支援は欠かすことができません。家族への支援はこどもと保護者の関係構築の支援を行ったり、障害のあるこどもを抱える身体的、心理的負担の軽減を行ったりするとともに、親同士のつながりや居場所づくりも大切に考えています。

ここに挙げておりますのは、放課後等デイサービスの特徴であり、課題であると捉えているものです。インクルージョンの推進が叫ばれる中、障害児のみを対象としている放課後等デイサービスの存在意義があることも強調しておきたいところです。まだまだこども主体の利用実態になっていないことや、障害のないこどもとの交流の確保、大人主導からこどもの意見が十分に反映させる活動への変換などが課題と考えております。

私たちCDSは取りまとめ団体として、支援の質の向上は一丁目一番地であると考えており、国に対して人材育成カリキュラム案の提案のほか、研修会を積極的に開催しております。

「居場所づくりにおけるステークホルダーとの協働・連携方法について」です。

地域との連携・協働においては、何よりも学校との連携が欠かせません。こどもや保護者に同意を得て担任の先生との情報共有を図ったり、ケース会議への参加、行事の参加などを行っているところであります。

最後になります。行政やその他の関係機関とは障害児総合支援法に基づき設置されている地域自立支援協議会などの場で、障害のあるこどもたちの放課後や長期休暇中の居場所の現状について報告し合い、課題解決に向けた協議を行っています。

以上、こどもの居場所の一つとしての放課後等デイサービスに関する報告を終わります。貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございました。

前田部会長: 御発表ありがとうございました。

それでは、ここから質疑応答の時間とさせていただきます。御質問のある委員の方は「手を挙げる」機能を御利用ください。いかがでしょうか。御質問ございませんでしょうか。

それでは、青山委員お願いします。

青山委員: 青山です。御発表ありがとうございました。

障害のあるこどもたちにとっての意味のところで、通常の学童に行って放課後を過ごすことの意義と、それから放デイに行って過ごせることの意義と、両方があるような気がします。両方に必要な支援の在り方や、その意義や、また課題も違うのかなと思っておりまして、障害のある子にとって放デイで過ごすことと一般の学童で過ごすこととの違いの辺りを少し教えていただけるとありがたいと思ったのですが、いかがでしょうか。

酒井氏: ありがとうございます。

御指摘のとおりのところかと思っております。

ただ、放課後等デイサービスのほうが、より特性に応じた環境設定ができたり、こどもの状態に応じた活動の選択ができるようになりますので、そこのところで一般の学童クラブのほうに行きまして、こどもたちが雑多にいて、わっと遊んでいる中に入ることにそんなにストレスを感じないこどもにとっては多分すんなり入っていくことができるんですけれども、中には感覚過敏が強かったりですとか、友達との距離感を非常にストレスに感じてしまう。そこのところに丁寧な配慮をしないとストレスに感じてしまって、むしろ人の中に入ることがマイナスの体験になってしまうこどもたちがいますので、そういったこどもたちにとってみると整備された環境の中で経験したほうが次につながりやすいのかなとは考えております。

前田部会長: よろしいでしょうか。

それでは、今村委員、成田委員からお手が挙がっておりますので、まず今村委員からお願いします。

今村委員: ありがとうございます。

もしかしたら皆さんにとっては当たり前のことかもしれないのですけれども、放課後デイサービスについては興味深く見ている割に知識がないので基本的なことをお聞かせいただくことになると思いますが、質問させていただきます。

まず、この放課後デイサービスというのは多分ずっと昔、まだ制度化される前は小さなNPOも含めて民間の事業者も含めて、民間がそれぞれでそれぞれのこだわりを持ってそれぞれの形で担ってきたような役割が、制度化されてから業者的な人たちも参入して一気に増えた。ほかに例があるのかは私も分からないんですけれども、民間をちゃんと公的に活用する一つのこども支援の先行事例かなと見ていたのですが、とにかく今、事業者が増えているわけではないですか。

そこでお聞きしたいのは、この10年間、もしかしたらこの居場所の議論においても参考にできるだろうと思うのは、淘汰のシステムというのはあったのか。要は、みんなで手を挙げて増えた。そこからどう淘汰されて、どういいところが残っていっているのかということの仕組みについて教えていただきたいというのが1つ目です。

2つ目が、私たちも不登校のこどもたちとか、様々な課題を抱えているこどもたちの受入れをする居場所の受け皿をつくっているのですけれども、やってもやっても課題がいっぱいあって、やりたいことがいっぱい出て来るので、私たちの場合は行政からの委託か、民間からの寄付金でやっているのですけれども、どれだけやっても人を配置したくなるということが起きます。

放課後デイサービスというのは9割が国保が財源で、本人負担は1割という形でやっていらっしゃると思うんですけれども、その効果、インパクト、こどもたちにとっての成果に対して配置できるスタッフ数は国保で十分の予算でやれているところが多いのか、どんなふうに経営されているのかということを知りたいなと思いました。

その2点をお聞かせください。

酒井氏: ありがとうございます。

1点目のことについてです。この制度が制度化されたのは2012年でした。その前までは児童デイサービスのB型というものが一部ありまして、それを使っているところもありましたが、おっしゃるとおり意欲のある人たちが中心に活動してきたというのが実際のところだと思います。

それで、この10年間確実に増えているんです。これはなぜ増えたかというと、今までなかったからです。ゼロからスタートしているので、当然増えて当たり前という認識をしています。それで、今の特別支援教育を利用しているこどもは全員放デイを使うべきだという意味ではないんですけれども、特別支援教育のこどもたちの数から言ったら、もしかしたらまだ足りないのではないかという感触は持っています。

それから、全国に目を向けますと、放課後等デイサービスがない地域もまだたくさんありますので、地域でマッピングをしていくと十分ではないというところはあるかと思います。

ただ、都市においては今、一定程度、量的には充足してきたところかと思っています。

淘汰というのは、恐らくこれから始まっていくのではないかと考えておりまして、この10年間は量的に整備をすることが先行してきた印象を持っていますので、今後、質的に淘汰されていくところが出てくるのではないかと見ています。

2点目の質問です。予算と人の配置の関係ですね。これはすごく実は悩ましいところで、多くの事業所が言っているのは、まじめにやればやるほどお金が足りなくなる。おっしゃるとおりのところです。先ほどの質問にもなるのですけれども、いろいろな特徴を持ったこどもたちがいますので、そのこどもたちに応じてきちんとこどもたちの活動起こしをしようとすると、やはり多くの専門性だったり、多くの人手を必要としてくるところです。一般的に専門性が国家資格になってくると、少し給料を高く出さなければいけないとか、人件費がかさんできますので、単に人手があればいいということでもないところもありまして、実際にはまじめにやっているところほどとんとんで、ぎりぎりやれているかなという印象を受けているところです。この辺は肌感覚でしかなくて、データとしてはないんですけれども、現場としてはそんな肌感覚で受けています。

前田部会長: ありがとうございました。

今お手が挙がっているのは成田委員だけでよろしいでしょうか。

それでは、成田委員お願い申し上げます。

成田委員: 成田と申します。私は児童精神科医で、発達障害のお子さんとかを常に診療しておりますので、放課後等デイサービスの皆さんには本当にお世話になっております。

私の個人的な印象ですと、もともと発達障害ですと児童発達支援とか、発達障害のお子さんに対する療育的なアプローチの必要性ということがあって、その延長線上に放課後等デイサービスが最初に位置づけられていたようなイメージがあって、先ほどの淘汰の話と多少関係するかもしれないのですけれども、今、放課後等デイサービスとしての機能とか役割はどれくらい果たせているかというようなところは、「療育的な点で」どれくらい価値的なことをやっているかということでジャッジされるような整備が進んでいるような気がするんです。

ただ、私の場合は臨床の現場におりますと、まさに今回この機会に放課後等デイサービスさんがお話しいただいたように、居場所としての機能・役割というのは本当に重要で、現場をやっていますと放課後等デイサービスがない世の中で今まで一体どうやって障害のあるこどもたちはやってきたんだろうと思うくらい、本当に居場所としての価値というか、それはすごく重要だと思うんです。

一方で、先ほどの最初のところで、利用するに当たって行政に申請をする受給者証のということになったときに、障害の重さというか、程度で利用日数も決められるわけですけれども、やはりその文脈もどうしても療育、発達障害自体の支援の必要度というような観点でやらざるを得ないところはあるのでしょうが、一方で、御本人の障害の程度以外の部分で、いろいろ御家庭などで支援が必要な部分もあったりして、先ほどの不登校のこともそうですけれども、居場所として放課後等デイサービスが一定程度利用できる必要性があるというのは実情としてある。

一方で、そう言ってはあれですけれども、行政のほうではそこでばっさりと障害の程度で区切られてしまうというところが見えてなかなか厳しいなと感じているんです。

心配しているのは、放課後等デイサービスの居場所としての機能の重要性というところを行政とか国全体の流れとして今回こうやってお話しいただいているということは、そういう意義として大事だとなっているからこそだと本当に期待しているのですけれども、現場の感覚として、居場所として必要とされている、現場からはそうだと思うのですが、国のほうからその点に関しての必要性を求められているのか、そのためのバックアップみたいなこととか、そういったような動きというものが実際に今の時点でどの程度あるのかということをお聞きしたいと思ったのですが、長くなってすみません。

酒井氏: ありがとうございます。

恐らく先生がおっしゃっている療育的な観点というのは、機能に特化した内容を機能強化するような内容のことかと理解させていただいたのですけれども、特定の領域に対してアプローチをかけていくような機能強化をするようなところは確かにあります。

けれども、今、児童発達、就学前のこどものたちのほうもそうなのですけれども、基本的にはこどもたちを総合的に支援しなければいけないということを国が明確に打ち出しました。それで、こどもを育てるのであって、障害児の訓練をするのではないんだという観点ですね。

これは、昨年度行われました障害児の通所支援に関する検討会で明確に打ち出されたところです。そのためには、こどもたちに対しても保育園の保育指針などで示されている5領域といったものを全部網羅してしっかりとこどもたちが経験できるような、そういった場をつくっていかなければいけないんだと国は言っているところです。

そういった意味では、放課後等デイサービスにおいても預かりではないんです。居場所として、それはこどもたちの余暇活動をしっかりと支えること、こどもたちが大人になったときに障害が重度の子でも余暇活動の過ごし方が下手な子は支援に非常に苦労するんですね。ここにおられる方には釈迦に説法だとは思うんですけれども、余暇活動の単なる遊びというものがどれだけこどもの人生にとって大事なのかという観点から、積極的な意味での居場所という位置づけというのはすごく大事なことだと思っています。

それで、今、放課後等デイサービスのガイドラインがちょっと古くなってきていて、その辺は少し曖昧かなと私自身、感じるところもありますので、今後多分その方向で切り替わっていくのではないかと期待をしているところです。

それから、最後に一言だけ、支給日数ですけれども、これはかなり自治体によって考え方が違っていて、障害の程度で切っているところもありますが、障害の種別で工夫したりとか、逆に今、先生からおっしゃっていただいたようなこどもの生活実態に応じて支給日数を決めているところもあったりするので、逆に言うとばらつきが大きいというのがもしかしたら課題なのかなと感じます。ありがとうございました。

前田部会長: ありがとうございました。

予定の時間があと2分くらいしかございませんので、湯浅委員と安部委員、御質問を短めに2人連続でお願いします。

湯浅委員: すみません。短めにですね。

私は兄が障害者で、70年代ですけれども、小さい頃は放デイがなかったので一緒に遊んだり、友達と一緒に遊ぶときに兄を入れたりしていました。それで、あれはあれで大変だったなと思いつつ、そういう機会があったのは私たち健常児側にとってよかったなと思うこともあったりして、今は放デイのような場所ができてとてもよかったと思うんですけれども、放デイを健常児も含めていろいろな人たちが交わるインクルーシブな場所にしていくような取組が何かありましたら教えていただければということで手を挙げました。

酒井氏: ありがとうございます。

そこのところは、まさに課題だと思っております。積極的に取り組んでいる事業所もありますけれども、まだこれからぜひやっていこうという掛け声までが今かかっているところだと御理解いただけるといいかと思います。

前田部会長: 次に、安部委員お願いします。

安部委員: 安部です。

御発表ありがとうございました。ガイドラインに関する質問が1点ございます。

先ほど成田委員もおっしゃっていたことと関連するのですけれども、例えばこどもの居場所としてこどもの権利を保障していく、あるいはこどもの声を聴くことを大事にするという視点から考えた際に、現行のガイドラインは改定の必要があると思うかどうかということを教えてください。

酒井氏: 必要があると思っています。やはりかなり時間がたってしまいましたので、最近のこども家庭庁の方針も含めて随分カラーが違ってきているなと感じているところです。

安部委員: ありがとうございます。

前田部会長: どうもありがとうございました。せかしてしまいましてすみません。

次に、特定非営利活動法人サンカクシャ様、御発表をお願い申し上げます。

荒井氏: よろしくお願いします。サンカクシャの代表の荒井と申します。

最初にサンカクシャの特徴をお伝えすると、東京の豊島区を中心に居場所とかをつくっていて、15歳から25歳ぐらいをターゲットにしているので若者の支援をしている団体です。

対象者は、どちらかというと、今回いただいた資料の分類でいうとハイリスクな子たちになるので、そういった前提でお話を聞いていただけたらと思っております。

簡単に自己紹介をすると、私はホームレス支援をもともと学生の頃からやっていて、小中学生の勉強の支援、こどもの貧困などに関心を持って活動をしていて、その後に若者支援をやっているという状況です。

私は、コロナ禍からAPEXというオンラインゲームを4,200時間ぐらいやっていて、1日4時間ぐらいやっていたという経験から、今日はオンラインの居場所の在り方をお伝えできたらと思っております。

団体としては、居場所づくりだとか、仕事のサポートとか、住まいのサポートとかを行っているんですけれども、今回はオンラインの居場所に絞ってお話をしたいと思います。

団体全体では、250名ぐらいの子たちを支援しているような状況です。

居場所はこんな感じで、イケア・ジャパンさんの提供でおしゃれな家具をいただいたり、年間延べ1,600人ぐらい来るような居場所をつくったりします。こんな感じの場所だったりします。

これはおまけですけれども、最近「ヨルキチ」といって深夜から朝まで居場所を開放する取組を行っていて、実は今日の夜もあるのですが、深夜帯の居場所の支援などもやっています。

ゲーミングPCをこの居場所に置いていて、こういう場があることによって結構つながれる子がたくさんいるということが分かったりしています。

今回の本題なんですけれども、「オンラインの居場所作り」に私たちもコロナ禍から取組を始めました。きっかけは、家から全く出ない不登校の子と出会いがありまして。毎週1回オンラインゲームを一緒にやるという取組をずっとやっていて、1年ぐらいかけてようやくしゃべってくれるようになって、1年半ぐらい一緒に毎週ゲームをやっているんですけれども、ちょっとずつ、ちょっとずつ明るくなっていったりだとか、家から出られそうだったりとか、そんな変化があったりします。本当に家から全く出ないので、オンラインというのはこういう子たちに届くものだなというのをすごく感じているところです。

私がゲームにのめり込んだのは、シェアハウスで若者たちがずっとゲームをしていたので、一緒に交じってゲームをやっていたら私がはまっちゃったという感じなんですけれども。ゲームをやっている中で、一緒にゲームをしていると、実はちょっと仕事したいんだよねとか、ちょっと困っているということを、ぽろっとこぼす瞬間が結構たくさんあって、何か一緒に作業をしながら、同じ時間を共にするということはオンラインゲームの良さだなということが分かりました。

私もゲームがうまくなりたいので、いろいろなYouTuberとか、いろいろな配信者とかの動画を見まくっていたんですけれども、そうすると意外と若者たちがその配信者の人たちに悩み相談をしたりとか、死にたいと言ったりしていることが分かったので、ちょっと調子に乗って、右端に映っていますけれども、「あらいちゃん」というVTuberを私もつくって、ゲーム配信とかをして若者たちのアウトリーチをしようという取組をやりました。

結果、70名ぐらいの若者とつながって、40名ぐらいから相談を受けて、うち20名ぐらいに住まいの提供をしたりしてつながれる関係になったのがこの取組です。

こんな感じでTwitterとかを使って、こんな支援をやっているよという話をゲーム配信以外にもすると結構つながれたりしてきました。

それらの取組をやる中で感じたのが、「支援」とか「相談」という看板を掲げているとつながれない若者がたくさんいるということと、全然接点がないけれども、困っている若者はたくさんいるということです。ゲームのコミュニティーもそうですし、ほかのコミュニティーにもやはりいろいろな若者のオンラインの居場所というものはもう既に存在をしていて、そこに困った子たちが割と集結していることが分かったので、どうやったらこういう子たちにリーチできるのかという取組をずっと試行錯誤しているような状況です。

その中で、APEXというゲームでeスポーツの大会を開きました。これはオンラインで参加できるんですけれども、40名の若者たちを集めてやったりして、こういう大会とかを開くと、みんなこぞって参加してくれたりして、新しい子とつながれたりとか、この大会に参加した子たち同士でコミュニティーができたりするので、これこそがまさにオンラインの居場所だなと思います。

つながった子たちが、今からゲームしたいけれども誰か一緒にやらないかという誘いをしたりだとか、今度サンカクシャに遊びに来てねと言うと来てくれたりとか、そんなような形で共通の趣味を持った友達同士のコミュニティーというものが結構できるんだなということが分かりました。

調子に乗って、私たちはAPEXというゲームでプロチームとかをつくって世界大会を狙おうみたいな取組をしていたり、あとは対面のeスポーツ施設をお借りしてゲーム大会をしたり、こんなことをやるとすごく盛り上がるんですけれども、こういう対面、オフラインへの接続みたいなところも意識してやっていました。

こちらは「Discord」というツールで、若者たちがよく使っているコミュニケーションツールなんですけれども、こういう形で、Slackとか使ったことがある方はなじみがあるかもしれないんですけれども、いろいろな話ごとに部屋が分かれていて。サンカクシャのeスポーツ大会とかに参加してくれた子たちはみんなここに入って、今からゲームするよとか、日々の何気ないことを共有したりだとか、こういうコミュニケーションツールがオンラインの居場所にかなりなり得るな、ということをすごく感じたりしていました。

これらの取組を通じて見えてきたことは、先にいい部分をお伝えすると、なかなか家の外に出られないような不登校の子たちにもやはりリーチができて、その子たちと接点を持つことができるということがすごく大きい。また、死にたいだとか、なかなか家に居場所がないという子たちに関しては本当に寂しい時間がたくさんあったりするので、対面で居場所を開けているとやはりそれなりに行くハードルもありますし、行ける時間も限られていたりするんですけれども、オンラインだと常に誰かとつながっているような感覚があったりするので、結構そういう意味で寂しさを紛らわすようなことだったり、人とのつながりを感じられるような場だったりするのが有効だなというのをすごく感じています。

気づいたことに関しては、こども若者の居場所というのは既にオンライン上に無数に存在しているということが、やはりこれらの取組からすごく分かりました。若者たちは、大人の目があったりとか、説教されたりとか、怒られたりとか、厳しいことを言われたりするのが嫌だったりするので、大人の目がない場が結構、彼らにとっては安心感があったりするのかなと。

その一方で知らない人と接触したりして、いろいろな被害だとか加害側に回ってしまうというようなことは結構あったりするので、安心感があるとはいえ、リスクもかなりあると感じています。

オンラインの居場所に関して言うと、本当にどのゲームにもコミュニティーがあったりだとか、いろいろなジャンルにコミュニティーがあったりするので、そういったところで友達をつくったり、彼女をつくったり、仲間ができたりとかしているようなことはすごく感じられますし、特にYouTuberとかゲーム配信とかをしている配信者の人たちのところに集って、その配信者たちを信頼して相談するみたいなことが結構起きたりします。 ちょっとこれは余談ですけれども、ゲーム配信はゲームが好きな子しかリーチできなかったので、ライブ配信みたいなものを相談員がやるような取組をこれからやろうかなと思っています。

それで、福祉がつくる居場所は何となく彼らからすると「ダサい」という認識をされているんじゃないかというのをすごく感じていて。これはかなり自戒を込めてというところがあるんですけれども、何か福祉が居場所みたいなものをつくるとダサさを感じられてしまうみたいなところはかなり反省点としてあるなと思っていて、いかに支援っぽくないとか、説教くさくないとかというのは大事だなと思ったりしています。

オンラインの居場所でなかなか悩ましいなと思うのは、遠方の若者の対応はすごく難しいというところです。私たちはハイリスクな子たちにリーチしているので、遠方で、例えば家を出たいですとか、ちょっと虐待を受けていますというような相談に乗ったときに、各地の支援機関とかなり連携しなければいけなかったりして、かなり対応に追われたことがあったので、限界を感じたところです。割と近場じゃないとなかなか支援が難しいとか、いっそのこと家を出て東京に来るような子たちにはリーチしやすいなというのはすごく感じたりしました。

「ケンカの仲裁のハードルが高すぎる」。オンライン上でコミュニティーができることのよさはあるんですけれども、めちゃくちゃけんかするので、本当にこのけんかの仲裁というのはすごく大変で、対面だったら面と向かって職員を交えて話せばいいのですが、オンラインだとTwitterとかでディスり合ったりしたりみたいなことが結構あるので、本当に難しいなというのを感じています。

オンラインの居場所は無数にあるとはいえ、ゲーム1個取ってもそのゲームが好きな子は集まるんですけれども、そうじゃないとなかなか集まれないというようなことがあったりするので、対応できるスタッフの確保というのがすごく難しいなというのも感じています。

私たちはオンラインとオフラインを組み合わせて支援をしていたりするので、そんな取組をしたり、最後に心がけていることを質疑応答の時間で取り扱えたらなとは思いますが、こんなところを大事にしていて、居場所というのはかなり繊細で難しいというところだとか、大人のスタンスというのはすごく大事になるなということを感じたりします。

駆け足になりましたが、一旦、オンラインの支援は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

前田部会長: 御発表ありがとうございました。

それでは、ここから質疑応答の時間とさせていただきます。御質問のある委員は、「手を挙げる」機能でよろしくお願い申し上げます。

では、宇地原委員と小川委員、手が挙がっておられますね。

まず、宇地原委員お願い申し上げます。

宇地原委員: ありがとうございます。

荒井さん、発表ありがとうございました。大変興味深く聞かせていただきました。2点質問があります。

前回、プレイパークだったり、ユースセンターの事例検討の中でも少し出たのですけれども、こういった支援を例えば行政が何か事業としてやっていくとしたときに、どうしても中身としてこどもにとって魅力のないものになってしまうといいますか、そうしたことで結局こどもにリーチできないということが起こり得るのではないかといった話がありまして、恐らくサンカクシャさんの取組もそういった性質があるのかなと聞いていました。

とはいえ、やはりハイリスクのお子さんも多い中で、民間の努力だけで広げていくのは難しい部分かとも思っていまして、コスト面の課題もすごくあると思いますし、そういったところを踏まえて国としてこういうことに努力してほしいとか、こういうバックアップをしてほしいとか、そういった部分があればお聞きしたいというのが1つ目になります。

もう一つが、活動されている中で既存の福祉のサービスはダサいみたいなコメントもすごく共感するところだったのですけれども、今の福祉のサービスや支援、あるいは居場所の中でこういうところを変えていくともっとこどもにリーチができるのではないかとか、ニーズに応えられるのではないかというところがあればぜひお聞かせいただきたいと思いました。

荒井氏: 1つ目に関しては、私も4,000時間くらい突っ込んだから彼らの好きなものが分かるところがあったりするので、すごく難しいというのは感じています。私たちが居場所をやる中で、この形は相談窓口の変化形なのかなと感じることが結構あって、居場所がどうこうより相談窓口がもうちょっとハードルが下がって、彼らの趣味とか、彼らの価値観に近いものにしていかなければいけないんじゃないかというところを感じているので、どちらかというと相談窓口がもうちょっとハードルが低いものに変わってほしいと思っています。

その相談窓口があってオンラインの居場所だとか対面の居場所につながっていくというところで、オンラインの居場所というのは小さく無数にあるべきだというのはすごく感じていて、民間はこういう小さく無数な居場所をつくっていくというところを担っていきながら、相談窓口みたいな機能をもうちょっと充実してほしいということが、やる中ですごく見えてきた課題かと思います。

かなりオンラインでリーチできてしまうんです。それで、相談対応にすごく追われるんですけれども、これは相談窓口がやることだろうなというのをすごく感じるところがあったりします。

福祉が変わっていくべきところは、基本的には人が変わらないといけないのかなという感じを持っていて。いろんなものをつくったり、制度をつくったりする背景に、やはり正しくあらねばいけないとか、自立というものをある種、強要していくというようなところだとか、こうあるべきだというようなべき論みたいなものが強くなっているなというところがあって、人の弱さとか、人間の駄目さみたいなものをちゃんと包摂した状態でいろんな制度だとか、場とか、人をつくっていかなければいけないのかなというのはすごく感じていて、これが一番難しいんじゃないかと思うのですけれども、あえて言っておきます。ありがとうございます。

前田部会長: ありがとうございます。

今、お手が挙がっています順番が、小川委員、成田委員、菊池委員と、お三名の方になります。ほかに手を挙げている方もおられるかもしれないのですが、まずお三名の方から順に質問していただきたいので手短にお願いします。

小川委員、お願いします。

小川委員 ありがとうございます。

いろいろ共感するところもあって、そこもお話ししたいところなのですが、ちょっと質問だけ短めにお話しします。

さっきのいろいろスタッフを増やさなければいけないというところで、現在スタッフの年齢層とか、どういう方たちがいるのか。

あとは、相談にオンラインで乗っていたとしても、支援の段階でやはり彼らが生きているのはリアルな社会というところもある中で、リアルな福祉の窓口とか、そういった場所と具体的に連携して何かすることがあるのかという辺りですね。

それから、オンラインの居場所の前に多分リアルな居場所をずっとやられている中で、全然ノウハウとか相談の乗り方、顔が見えないとか、いろいろ課題もあったと思うんですけれども、全然変わってくる部分もあるのかなというところで、スタッフの中で研修と言うと硬いですが、こういうところに気をつけるようにしたとか、学んだというようなことがあれば教えていただきたいと思いました。

荒井氏: ありがとうございます。

1つ目に関して、スタッフの年齢ですが、現場のスタッフは30歳前後が多くて、やはりちょっと年齢が上の人たちが現場で関わることがいいんだろうなと思っていたりします。

それで、どういうスタッフがいるかというと、最近元お笑い芸人を採用したらすごくよかったというところで、こどもたちは仲よくならないと相談が始まらないという残酷な現実があって、仲よくなるとか、人を笑わせるみたいなところでお笑い芸人がすごく合っているというのを感じていて、私たちはお笑い芸人を積極的に採用していきたいという方針を今、持っていたりするのですが、余談です。
リアルな窓口との連携はかなり密にやっていて、実際はどの役所ともどこの課ともつながっていて、窓口に行ったけれどもなかなか相談できなかったという子のフォローもしますし、つながった子を窓口に連れて行くこともかなりやるので、大分、密に連携しているかなというところです。生活福祉課みたいなところとか、児相とか、子家センとか、そういったところとよく連携をしています。

リアルな場とオンラインのノウハウの違いみたいなところで言うと、対面で会ったときは多少相手の雰囲気が分かるので砕けても大丈夫だったりするのですけれども、オンラインで「はじめまして」のときに結構変なテンションで関わったりすると、一歩目を間違うというようなことがあります。一歩目の第一印象みたいなところはすごく難しいのでかなり気を遣って、この子には敬語を使ったほうがいいとか、砕けて大丈夫とか、ファーストコンタクトがすごく難しいので、その辺は試行錯誤しながらみんなで悩みながらやっていて。研修とかというよりは本当に現場をこなしながらノウハウをためていくという感じになっています。まだまとまったノウハウがあるのか、ないのか分からないですけれども、そのような状況で日々やっていますという感じです。ありがとうございます。

小川委員: ありがとうございます。

前田部会長: ありがとうございます。

次に、成田委員お願いします。

成田委員: 貴重なお話、ありがとうございました。

私も臨床の現場で、私は全然ゲームをしないので分からないんですけれども、昔は趣味とか余暇活動のツールだったものが、年々居場所としての機能が本当に増していて、そこで助かっているこどもたちがたくさんいるなということを実感しています。

ですから、今日そういう話が聞けてすごくよかったと思うんですけれども、一方で私たち医療の領域ですと、例えばゲーム依存というのが診断に入ってきてしまっていたりとか、あるいは学校教育の中でもまだまだSNSだったり、オンラインのことは「リスク」のことについてレクチャーする。やはりこどもたちは自分の実感としては「居場所」なんだけれども、一方、学校とかそういう一般の仕組みに出ると何となく「悪」というイメージがあって、すごく矛盾の中で肩身の狭い感じでやっているなという感じもあるんですね。

それは、こどもを教えている学校の先生だったり、親だったり、あるいはさっきのリアルなつながり先の福祉の相談機関もそうですけれども、私も含めてそういう大人たちがそのリスクからどうやってこどもたちを守ったらいいんだろうと、自分がそういうオンラインの居場所を経験したことがないがゆえに、漠然とした不安がすごく大きくなってしまって、それでやはり管理するような流れが強くなってしまっている感じがするんです。

そういう意味では、こどもたちへのアプローチもそうなんだけれども、学校の先生だったり、親だったり、そういう人たちに居場所としての価値ということ、またはそのリスクに対してみんなは何ができるのかということについて協議したり、いろいろ話し合ったりしていくのは大事かなと思うのですが、今のところそういうところとの動きというのはあるのでしょうか。

荒井氏: ありがとうございます。

ゲーム依存とかに関してコメントするのは難しいですが、やはりやっていく中で分かることがたくさんあるというのと、説得力を持って危険だと言えるというのはすごく大事だと思っています。

私たちはゲーミングPCを置いた施設を持っているので、一時期、自治体の方とかに来てもらってやってもらって、何が楽しくて、何が危険でというのをレクチャーした機会があって、こういったものをもうちょっとやっていかないといけないんだなと感じています。まず触れてもらって、どこの部分が安心でいい部分で、どこの部分が駄目なのかというところはやっていくとすごくよく分かるし、なぜ課金するのかというのはすごく感じることもあるので、そういった部分をレクチャーする機会をつくりたいというのはすごく感じたところですけれども、全然その余力はないという感じです。ありがとうございます。

前田部会長: ありがとうございます。

菊池委員、お願いします。

菊池委員: 菊池です。こんにちは。

最後のスライドで3番にあった「ずっといられる場所は「悪」にもなり得る」というのがすごく気になったのですけれども、ここを詳しく聞きたいなと思いました。

荒井氏: ありがとうございます。

居場所というのはとにかく受け止める、安心・安全を担保してもらうというようなところはすごく大事だなと。最初のステップはそうなんですけれども、彼らと一緒にずっとゲームしていたりすると、「俺らは30までここにいようぜ」とか、そういうことを言っていたりする若者がいて、それはいいのかなという葛藤は結構あります。

構造的に私たちが囲ってしまいやすいなというのはすごく思っていて、仲のいい子がいればそれだけ運営はやりやすいけれども、彼らのことを考えたときに居場所が1個しかない、私たちのところだけしかいられないという状態はなかなか危険なことでもあるなと感じているので、やはり居場所を複数持っていく。

これは仕事という面もそうですけれども、例えば自分たちの居場所以外の場所につなげていくというか、ちょっと外に出すという支援も併せてやらないと、本当になかなか人とつながれなくなってしまうというリスクはすごく感じて、これは住まいをやっているところもかなり感じる部分はありますし、居場所というところは閉じていてはいけないけれども、安心・安全を守るために最初は閉じなければいけないという難しさがあるんだなというのをすごく感じているところです。

前田部会長: ありがとうございます。

まだ少しお時間はございますので、御質問がある委員の方がおられましたら御遠慮なく手を挙げてください。

よろしいですか。皆さん御遠慮なさっていますか。まだ発言なさっていない委員の方は何人もおられますけれども、大丈夫でしょうか。

荒井さんのほうから何か付け加えておきたいようなことはございませんでしょうか。

荒井氏: 今回、オンラインという形で依頼いただいたのですけれども、通常ですと私たちは対面の居場所とかが割と中心になっているので、その辺りのお話もしたかったなと思いつつ、やはりオンラインの居場所の可能性はすごくあって、私たちは相談窓口としてこれからライブ配信とかをスタッフがやっていってアウトリーチしていこう。

ライブ配信というのは、スタッフがああだこうだいろいろしゃべりながら、その空間でコメントしたりとかして、その空間が居場所になるということはすごく感じているので、そういうアプローチをこれからしていこうかなと思ったりしているところです。

前田部会長: 今、今村委員からお手が挙がりましたので、手短にお願いします。

今村委員: すみません。せっかく時間があるということだったので荒井さんにお聞きしたいんですけれども、ここに集まっている方々で今、頑張ろうとしているのは指針を決めようと、みんながばらばらとやっていること自体がすばらしいこの居場所というものに国として何らか指針をつくろうということを議論していくんですけれども、そこに絶対に外してはいけない盛り込むべきことを御提案いただけたらと思うのですが。

荒井氏: 最後にすごい質問がきたなと思ったんですけれども、大事なのはやはり安心・安全というところと、外に出すということで居場所は複数あったほうがいいというところで、居場所を国が推進していこうとか、私たち支援者がやっていこうというときに、自立させるためのツールみたいな感じとかになってほしくないなというのはすごく思っています。

彼らたちは、例えばいろいろな医療にかかったりとか、死にたいと言ったりとか、いろいろな役所の機関が関わっていても、大半の日常生活が苦しかったり、寂しかったり、孤独だったりするのを居場所が埋めているという側面があるのかなと。自立をせっつかされるとか、安心・安全な場の先に結構自立しなきゃここにはいられないんじゃないかというような苦しい思いをするということはすごくあるので、この辺りが結構守られていくといいなと思います。

それから、やはり多様な居場所が認められるといいなということで、指針というのはすごく難しいなと思っているんですけれども、私としては人の弱さとか、駄目さとか、そういったところも包摂した状態の指針をつくってほしいなというところが思いとしてあります。

全然まとまっていないですけれども、考えておきます。ありがとうございます。

今村委員: ありがとうございます。

前田部会長: 御発表ありがとうございました。荒井さん、本日はありがとうございました。

それでは、続きまして公益財団法人あすのば様、お願いしたいと思います。

小河氏: よろしくお願いします。あすのばの小河です。

私どもは日常的に居場所を持っているわけではなくて、今日は「非日常の合宿・キャンプの重要性」と、私ども中間支援でいろいろな団体ともつながっているので、そういったところからお話をしたいと思っています。

あすのばですけれども、私はそもそもあしなが育英会という団体におりまして、そこで遺児の学生たちがこどもの貧困対策法をつくってほしいというふうに訴えたところから、こどもの貧困対策法の法律づくりに関わるようになって、あすのばのおかげさまでこの6月で8年になりました。

事業としては「政策提言」、「支援団体への中間支援」、それから「子どもたちへの直接支援」というような活動をさせていただいています。

あすのばは小さな団体ですので、いかに行政に支援制度の拡充をしていくか、あるいは各地のNPOの方々の支援活動がいかに充実していくかということが重要だということで活動させていただいています。今まで政策提言でも様々な活動をさせていただきまして、例えば低所得世帯の高等教育の無償化とか、未婚、非婚のひとり親の公平な税制などもいろいろな方々と御一緒にさせていただきました。また、コロナの中ではふたり親へ給付金の実現などもしてきました。

この6月には、法設立10年の院内集会を16団体と御一緒にさせていただいています。

全国の支援団体とのつながり、こういう中でも私たちもこども食堂をしていらっしゃる方だとか、いろいろな学習支援をしていらっしゃる方々のお声を聞いているところです。今年の2月に国会議員の方々と若者たちとの車座の集会を行わせていただきました。

あとは、直接支援ではこどもたちに入学・新生活のお手伝いをしていまして、給付金事業を行っています。こちらの資料にありますとおりですけれども、今まで2万2500人くらいのお子さんに8億8000万くらいの支援を続けてきております。

今日のメインの合宿ミーティング、キャンプというようなことをやっていまして、高校生、大学生世代には夏休みに3日間行っています。小中学生には春休みの3日間、コロナの間はできなかったのですが、去年から再開してやっているということです。

こういったところの意味なのですけれども、まず私たちは全国各地からこどもたちを招いているわけですが、参加者とかスタッフの経済的な負担はなくてもいいよと、お金がなくても旅ができるという部分だとか、今はまさに体験格差と言われていますけれども、自然体験などを諦めなくてもいいというところもあるかと思います。これは、全国の国立の青少年交流の家などを使って費用を抑えるような形でやっています。

そして、この運営なのですけれども、私たちも発足当時から「子どもがセンター(ど真ん中)」ということで、こどもたち、若者たちが企画をします。この週末も今年の夏、高校生、大学生世代でキャンプをするのでその準備に行くんですけれども、彼らがこれまでもオンラインで全国各地からこうしよう、ああしようと準備し、大人の役割としては参加者の安心・安全をどう確保するかということとか、お金の部分の管理などをするということです。

この非日常というような場所で小中学生も、あるいは高校生、大学生も寝食を共にするということはとても大きな意味があると思っています。前職のあしなが育英会でもこういったような機会があって、私自身も過去、父親を亡くしたというようなことがあったのでこういう体験をしたのですが、そういった中で初めての対面で非日常の中だから心を解放しやすくできたりとか、本音で語り合える場になったり、あるいは小中学生のお子さんにとってみると、高校生や学生世代のスタッフと特にバディを組んだりすると、3日間はとにかく一緒に生活するんですね。ここは、なかなか日常甘えたくても甘えられないこどもとずっと一緒だと、斜めの関係性でロールモデルにもなるというような部分もあります。

それから、高校生、学生世代はこういうキャンプの場を通じて、自分の課題、自分がどんなことでつらかったのかというようなことをお話しする機会も、もちろん話さなくてもいいんですけれども、そういった中で気づいていく。これは自分だけの問題ではなくてみんなのことなんだ、みんな大変なんだよね、みんなこんな理不尽なことで困っているんだよねということに彼ら自身が気づいて、彼ら自身が内発的に社会化していこうというようなことで、こういったことがこども、若者たちを中心としたあすのばの活動の一番の中心にもなっている。大人の顔色をうかがわないような意見表明につながっていくということにもなるかと思います。

こういった合宿やキャンプでのつながりが日常生活の支えになっていったり、内発的な自助につながっているというところも感じます。孤立感が少なくなっていったり、あるいはコロナ後のことですけれども、リアルに会うことが一つのきっかけになって、その後も例えばZoomだとかいろいろなオンラインで交流がつながっていく。今年の3月には小倉大臣にも御臨席いただいて、そういう中でつながった若者たちが、本当に自分たちはこんなにいろいろつらい思いをしてきたんだということをありのままにお話をするような集いの場にもつながっていく。こういうところの一つのきっかけが、先ほど申し上げたキャンプなどでの自分の体験の話というところにもあるのかなと思っています。

それで、これは先ほどちょっとお話をしましたけれども、私たちもいろいろな現場を見させていただいています。これは南風原だけではないかもしれませんけれども、沖縄の南風原で年中無休のこどもの居場所、これは超党派の子どもの貧困対策議連の皆さんと6年前に私は視察に行ったときに同行させていただきました。それで、つい先日も「南風原子ども元気room」の代表の方にもお話をしましたが、今でもずっと365日こどもの居場所をやっているというようなことです。その当時は小学生が中心になってやっていたということですけれども、今は中学生とか、そういった上のこどもたちへの支援だとか、あとは若年の妊産婦の方々への支援も拡大してやっているということです。平日は放課後から、最大22時まで、土日祝日も運営しているというようなことで、まさに今日私が御提案したいことですが、こどもの「デイケアセンター」があるような場所が各地に必要になってくるのではないかと思っております。

高齢者などの介護支援と比較して、こどもの支援も同じようなものをつくっていく必要があるのではないかと思います。高齢者の支援などは、まず共助の部分で言えば集会所のサロンなどがあります。こういった部分はこども食堂に当たるのではないかと思います。

一方で、非常に支援の必要性が高いところでいうと特養みたいなところがあるわけですけれども、こういったところのこども版に当たるのが児童養護施設なのかなと思いますが、その真ん中の部分ですね。こども版のデイケアセンターというようなところがやはり必要だろうと思います。先ほどCDSの酒井さんのお話を伺っていて、やはり障害者の方々にこういう放課後デイサービスがあるようなものと同様に、困難を抱えるこどもたちのデイケアセンターも同じような仕組みで全国各地に広がっていくということ、ここを公助でやっていくことがとても大切ではないかと思っています。

これについては、先日、朝日新聞で「子どもの貧困対策法10年」ということで特集記事が出ました。そういった中で資料をつけさせていただきましたけれども、私もこども食堂の全国ツアーをするときに最初に御一緒させていただいた、こども食堂という名づけ親の近藤博子さんが、応援すべきはこども食堂ではないということをおっしゃっているわけです。こどもたちを直接応援すべきで、やはりこういった部分は共助でやるのがいいのではないかと、先ほど申しましたけれども、私たちも支援者の集まりを2月にやったのですが、居場所がどうあるべきかという分科会の議論の中でも参加者の方から結構そういった声が大きく聞こえてきたところもあります。ですから、ぜひこういった新しい仕組みにも今後つながっていけばと思います。

添付した資料の中ではこの前、小中学生の合宿の特集の新聞を作りましたので、参考資料としてつけさせていただきました。

私からは以上です。

前田部会長: ありがとうございました。

それでは、ここから質疑応答の時間とさせていただきます。御質問のある委員は「手を挙げる」機能を御利用ください。いかがでしょうか。

友川委員、お願いします。

友川委員: ありがとうございます。

松山東雲女子大学の友川と申します。貴重な御発表ありがとうございました。

今回の事業の中で、非日常性というところに着目していただいた居場所の在り方のお話だったかと思うのですが、日頃の人間関係がない人同士が集まって居場所をつくるということ、背景が分からない者同士で集まって集うところのメリットをもう少し、キャンプを通してでも結構なので、今、地域の中で居場所をつくるという顔の見える関係性の居場所の議論もある中で、あえて非日常性、通常の人間関係がないところからの関係のメリットを教えていただければと思います。よろしくお願いします。

小河氏: ありがとうございます。

ベースはやはり日常のこどもたちの居場所というか、支援の場だと思っておりますが、私たちがしている部分というのは、むしろそういったところを超えて様々なバックグラウンドを持っているこどもたちがいるんですけれども、そういうこどもたちが逆に地域の中ではないからこそ、しがらみがないというか、初めて会うこどもなのですが、例えば何となく同じような境遇だというようなことが分かっていく中でこそ遠慮なく話ができる、分かち合うような場をつくっていけることもあるのかなとは思っています。

以前、私もあしなが育英会に長く勤めているときにも奨学金の支援というのはずっとしているんですけれども、そういうこどもたち同士がなかなか一堂に会する機会というのはなかったんです。そうした中で、最初は正直、私も参加者のときはそういうところに行くことについて非常にためらいもあったところはあるんですけれども、行ってみて初めて気づくというんでしょうか。それは自分自身の置かれている状況だとか、そういったようなことにも気づいたり、あるいは周りの人たちの状況にも気づいて、どちらかというと自分だけがこんなひどい目に遭っていると思っているこどもたちが、そうじゃないんだ、みんなそうなんだということを思ったり、あるいはそこには全く当事者性を持っていないこどもたちも参加する。高校生、大学生ではそういう支援者側も参加するんですけれども、そういったときにも、なかなかこういうものは学校とか、そういうところで聞ける話ではないので、見た目では全然普通と変わらないのにこんな大変な経験をしてきたんだなというようなことを聞くというのは、彼らにとっても大きなものになると思うところもあります。

前田部会長: ありがとうございます。

今、安部委員からお手が挙がっておりますが、ほかの先生方は大丈夫でしょうか。

まず、安部委員お願いします。

安部委員: 安部です。

小河さん、ありがとうございました。1点、質問がございます。

今、友川委員が質問していただいたことと関連するのですけれども、日常の居場所ではないところで直接支援をするというのは、大人のほうは非常に関わり方が難しいところがあるのでないかなと感じていました。

このことに関して、あすのばさんが合宿・キャンプ等でこどもの最善の利益を保障するために大人の側の行動規範等があるのかどうか、あるいは研修等があるのかどうかということを教えていただければと思います。

以上です。

小河氏: ありがとうございます。

まさに私たちもそういうこどもたちのとは言っても、一方では安全・安心をどう守っていくか。先ほど言ったように、それは大人たちの最大の役割だと思っていますので、今はまさにこどもたちをどういうふうにそういう場で守っていくかということについても再度構築していかなければいけないなとは思っています。

しかしながら、私たちは合宿のときにも基本的にはいろんな支援団体でソーシャルワーカーの方々とか、支援団体の代表の方々にも一緒に御参加をしていただく中で今までも安全を確保していたというところもあるので、この辺りはまだ今後の課題の部分でもあるというのも正直なところではあるのですけれども、そのような形で進めているというところです。

安部委員: ありがとうございます。

前田部会長: ありがとうございました。

それでは、ただいま山本委員、成田委員、青山委員からお手が挙がっております。

初めての御発言ですので、山本委員からどうぞ御発言なさってください。

山本委員: 御報告ありがとうございます。

1つ、もう御報告されていたら聞き逃したかもしれないですが、あすのばのキャンプに参加できる子というのは育英会の奨学金を受けている子とか、そういう経緯なのですか。どういう形なのか。私のところにもあすのば出身ですという子が結構来るのですけれども、シングルマザー家庭だったり、シングルではなく両親いるけれども参加している子だったり、すごく様々だなということを感じていて、どういう基準でそこに参加できるのかというのが気になりました。

あとは、私は社会的養護出身なんですけれども、そういうところでもキャンプをしようと思ったときに、やはり当事者間で死にたいというのがすごく出てきてしまって、爆発してしまったときというか、止められなくなったときの対処とかというのが結構懸念されて、リスク回避をどうするかという相談をされるのですけれども、あすのばさんのところでもそういうことはあり得るのかという点で、何か対策をされていたら知りたいと思いました。よろしくお願いします。

小河氏: ありがとうございます。

まず、私は前の職場があしなが育英会というところで、今はあしなが育英会は退職してあすのばという団体を運営させていただいています。あすのばはこどもの貧困対策センターということなので、死別の遺児家庭だけではなくてひとり親の方であったり、今、山本さんがおっしゃったように社会的養護を受けられた方、あるいは社会的養護を本来だったら受けられるべきなんだけれども受けられない。例えば、ふたり親世帯でもいろいろな事情でそういう方々もたくさんいますし、そういう意味では困難を抱えるこどもたち、若者たち、特にどういう事情ということを区別せずに皆さん参加をしていただく。あすのばの給付金に関しては住民税非課税世帯だとか、給付金の場合はそういう縛りはあるんですけれども、広くできる限り御参加いただいています。

あとは、高校生、大学生世代のキャンプに関しては、別に当事者性のある人だけではなくて、例えば学習支援に関わっているとか、いろんな形でそういうこどもの貧困に関わりを持っている、関心を持っている人たちも参加できるという仕組みにしています。

しかしながら、結構希望者は多いので、抽選をしたりとか、そういう形になってしまうこともあったというところです。

まさに今おっしゃったように、非常に困難を抱えてきて、なかなかそんなに分かち合うということ自体が非常に危険だというのは山本さんのおっしゃるとおりで、私たちもその部分については十分に配慮をして今までもやってきましたし、まさにこれからもやっていかなければいけないなと思っているところです。

一方で、例えばこういう場も決してそういう体験をみんなで話すことが前提ではなくて、話したい人がいて、そういう場があれば話したいということでいいし、もちろん全く話さなくてもいいよと、そもそも心のケアを目的としているものではないので、どちらかというとこういうプログラム自体も学生たちがしたい、若者たちがしたいというところに沿いながら、でもそこに一方でリスクがあるということもしっかりと認識しながら進めているというところです。

しかしながら、まだ課題はあると思うので、いろいろ今後も皆さんから教えていただきながら前に進みたいと思っています。

山本委員: ありがとうございます。

前田部会長: ありがとうございます。

今、成田委員と青山委員のお手が挙がっていますが、お二人だけでしょうか。

では、まず成田委員、先に手が挙がっておられましたのでお願いします。

成田委員: 成田と申します。貴重なお話、ありがとうございました。私は貧困対策のこととか不勉強な部分が多いのですが、今日お話を伺えてよかったです。

先ほどの質問と少しかぶってしまうかもしれないのですが、障害であったり、虐待であったり、トラウマとか、いろいろな背景を抱えておられるお子さんたちはいらっしゃると思うんです。

ただ、全部包括的にそこで対応するということはあまり現実的ではないし、その必要もないかとは思うのですけれども、ただ、やはりそういうことについて一定の知識を持っていたり、あるいは自分たちのところだけではサポートしきれないんだけれども、そういうことに特化したところとつながって、必要があればそういうところにつなげていくというようなこととか、職員の皆さんの研修で貧困以外の領域についての研修であったり、ほかに特化したところのつながりだったり、その辺は現状どのくらいあるのかとか、その辺の必要性というのを現場でどれくらい感じられているか、教えてください。

小河氏: ありがとうございます。

私ども、昨年もそういう心のケアに関する職員と役職員等を含めた研修会をさせていただいたりして、そういうところにも十分配慮をしながらやっていくということを大切にしております。

それと、先ほど先生がおっしゃられたように、中には例えばそういう御相談を受けても、私たちは日常的に相談業務だとか、そういうことをしている者ではないので、そういうときにはやはり信頼のある方におつなぎをさせていただいて、それぞれ地域にもいろいろなネットワークがあるので、そういう方々とつながりながら対応していくというようなことも心がけているというところかと思います。

一方で、集まってくるこどもたちは必ずしもそういう特性を持っているこどもたちばかりでもないというか、毎日の生活でそれぞれ学生生活を送っていたりとか、あるいは日常社会人生活を送っていたりとか、そういうような方々ということもあるので、そういった中で特別な何か心理的なプログラム的なものという位置づけではなくて、あくまでもお互いにみんなが集まるという前提の中で、私たちもそもそも先ほど言ったこどもの貧困という社会課題をなくそう。それをこども、若者たちが中心となって、社会課題をなくしていくために自分たちはどうしたらいいかというようなことを話し合う場としての合宿とか、特に高校生、大学生であればそういうふうな位置づけというところも大きいので、そういったことを大切にしながらやっていくということでもあります。

前田部会長: ありがとうございます。

それでは、青山委員お願いします。

私自身も長くこどものキャンプなどにずっと今も関わっていますので、非日常的な場面のキャンプだとか体験というものがある種の居場所的な機能を持つということはすごく共感するところが大きかったです。

もう一方で、居場所の議論などをしているときに、今日話題にしていただいたような日常的な場面での取組と、非日常的な場面の取組というものが、業界的にもなかなかつながりがつくれていないような状況があるのかなと思います。キャンプの側でも多様なニーズに応じた多様なキャンプが野外の人たちとかによってやられてきたし、先ほどもお話がありましたように、全国の青少年教育施設みたいなところがその場を提供したり、いろんな資源を提供しているわけですけれども、中間支援などをしていく上でこういった居場所の文脈で、日常的な文脈で活動されている方々と非日常的な文脈で活動されている方々をつないでいく上での何か取組やヒントみたいなものがあれば教えていただきたいと思います。

小河氏: ありがとうございます。

先ほどちょっとはしょってしまいましたが、私たちも今、例えば中間支援的なところで全国47都道府県キャラバンということで各都道府県にお伺いをして、つい5月に全47都道府県全て行わせていただいたのですが、必ず地域の行政、都道府県に共催とかしていただきながら、地域でまさに居場所的な事業をされていらっしゃるこども支援の方々と御一緒しながら、地域でのこども支援対策をどうやって進めていくかということも今までやらせていただいています。

そういった中で、例えばつながりを持って、そういった方々がまさに日常的に毎日こどもたちと向き合っていらっしゃるというところがあるので、そういったところと今後もつないでいくことが大切かなと思っているところです。

一方で、私どもが独自でやっているわけではないんですけれども、そういった方々のお声としては、そういうこども支援をやっていらっしゃるところというのが先ほどのまさに放課後デイサービスのちょっと前、2012年前までは制度化されていなかったというところと同じような状況で本当に手弁当でやっている。そういうところには、公的支援も全く入っていない。そういう意味では、そういうところをちゃんと充実させていく。日常的な居場所をどうやって充実させていくかということも大きな課題だと思っていますので、私どもの体験というか、経験の中からのお話ではなかったのですが、今日あえてそこもお話をさせていただいたということです。

『CAMPING』という雑誌に特集の記事を掲載いただきまして、それも今日参考資料としてつけておりますので、よろしければお読みいただければと思っております。

以上です。

前田部会長: ありがとうございます。

まだ御質問、御発言のない委員の方はおられますが、大丈夫でおられますか。よろしいですか。

では、小河さんどうもありがとうございました。

小河氏: ありがとうございました。

前田部会長: それでは、本日の会議は3時間にわたりますので、ここで途中休憩を取りたいと思います。10分間休憩を取りまして、次は38分から開始といたしますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

では、一旦休憩に入ります。

(休 憩)

前田部会長: それでは、再開いたします。

では、アフターケア事業全国ネットワークえんじゅ様、お願いいたします。

高橋氏: アフターケア事業全国ネットワークえんじゅで代表をしております高橋亜美です。よろしくお願いします。

アフターケア事業全国ネットワークは児童養護施設や里親家庭と社会的養護の下、措置解除になったこどもや若者たちが施設を出た後、困難な状況に陥ったときに安心して相談できる場所や、また気軽に集える場所などの事業を行っている団体が加盟しているネットワークです。設立して5年目を迎えていて、34団体が加盟しています。

今回の児童福祉法改正で、私たちが長らくやってきたアフターケア事業が社会的養護自立支援拠点事業という名前で児童福祉法の中で初めて法律の中で明文化されることになりました。これは、アフターケア事業が社会で必要な事業としてしっかりと位置づけられた大きな画期的な一歩だと思っています。

今回法定化されることで、今後さらにアフターケア事業の求められる支援のニーズだったり、予算なども大きく変わってくると思うので、アフターケア事業をやる団体もこれからどんどん増えていくだろうと思っています。

それで、今度、法改正で社会的養護自立支援拠点事業としてアフターケア事業はなるのですが、現在のアフターケア事業というのは社会的養護自立支援事業という事業と、退所児童とアフターケア事業という2本の事業の基盤の基で自治体ごとに若干異なった事業内容だったり、補助金額も現在一律でない中で運営されているので、アフターケア事業の取組は全国でいろいろなところでやっているのですが、その事業の取組、居場所事業の内容も必ずしも一本化されてはいないです。

私はゆずりはという名前でアフターケア事業の相談所を始めて今年で13年目になるんですが、今日は私たちゆずりはでやっている居場所事業の内容をお伝えしたいと思います。

あくまでも、一時事業所の取組として聞いてもらえたらと思います。

アフターケア事業がなぜ必要かというと、社会的養護にたどり着くこどもたちというのが今はほとんど虐待の被害や壮絶な貧困状態のこどもたちです。その大きな心の傷というか、そのトラウマを抱えたこどもたちが原則18歳ないし20歳で施設を出なければならないです。退所する年齢もこの法改正また大きく変わっているのですが、原則としては18歳、20歳で退所するこどもたちがほとんどです。

こういった深い心の傷を抱えて、親や家族が生きていても一切頼ることができない、自分が働き続けないとたちまち家賃が払えなくなって生活が困難な状況に陥ってしまう状況、そういった緊張状態の中で毎日の暮らしを営んでいかなければならない若者たちが社会的養護のこどもたちで、みんなそういう背景を抱えていると思ってもらっても私はいいと思っています。

そして、私はこのアフターケアのゆずりはを始める前は施設の職員としてこどもたちと一緒に暮らしながら、虐待で傷ついた心と体のケアというか、一緒に暮らすことで、「生きていってもいいんだ」という気持ちを少しずつ育んでいくということをやってきたのですが、一緒に暮らしてきたこどもたちがここに書いたような困難な状況に陥ってしまうというのを目の当たりにしました。出会った子で、自殺して亡くなった子もいれば、望まない形で妊娠、出産したり、ホームレス状態になったり、今、刑務所に服役しているという子たちも少なくないです。

そういう現状を目の当たりにしたことで、施設を出た後も安心して相談できる場所、施設や里親の下には一生いられるわけではないけれども、暮らす場所が変わるだけで困ったときにはいつでも相談できる、頼ることができるといった仕組みをつくりたいという思いからアフターケア事業所の立ち上げに至りました。

そういう思いで開所したゆずりはなのですが、開所した当初から相談にたどり着いてくれた若者たちというのは社会的養護を経験した人たちにとどまらず、本当だったら社会的養護の下、保護される必要があったのに保護に至らなかった、発見しづらい虐待状況の中で生きてきた。

例えば、親が学校の先生とか、裕福な家庭だったりとか、見た目には、まさかあの親がと思われる家庭で育ったりだとか、教育虐待的な環境だったりとか、あとは性虐待とか、発見しづらい虐待環境の中で何とか生きてきた人たちが、大人になってからやっと自分の親から逃げたい、離れたい、このまま一緒にいると殺してしまうかもしれないという人たちからも多く相談をもらうようになったというか、開所当時から社会的養護が必要だった人からも相談がたくさんたどり着いています。たくさんいただいています。

私たちはメインのスタッフが6人の本当に小さな相談所で、今日はあまり写真とか用意してこなかったんですけれども、ゆずりはではホームページとかユーチューブとかもやっているので見てほしいのですが、本当に小ぢんまりとした小さな相談所で少ないスタッフ数でやっているんですが、年間のうちの相談件数は6万件にも及んでいます。毎日100件以上のメールや相談が届いています。これは延べ件数なので、1人で50回ぐらい、「電話出ろ」みたいな連絡が来たりも含めての件数なんですが、でもこれだけのしんどいという声が届いています。

相談者の実数は、年間で700人ぐらいです。

性別は、開所した当時は圧倒的に女性が多かったんですけれども、今は男性がすごく増えていて、もしかしたら男性のほうが若干上回って、6対4ぐらいの割合で男性からの相談が増えています。

年代も10代後半から上は60代まで相談者がいて、メインというか、一番相談層が厚いのが20代、30代の方からです。そんな感じです。

それで、今日は居場所事業のことをメインで話をするんですけれども、私はゆずりはを立ち上げたときは個別の支援ですね。今日住むところがないとか、生活保護の申請に一人で行ったけれども断られてしまったとか、そういった今日生きるのをどうしようみたいな人たちをサポートしたいという思いがあったので、いわゆる居場所と言われる場所に来られる、ここに来ることができるという人たちはまだましだろうというか、それは私たちがやらなくていいかというような思いが当初はありました。緊急的な対応が必要な個別の伴走支援をやりたいという思いでいたんですけれども、実際は補助金をもらうために渋々居場所をやらなければいけないということで、居場所的なものも開所当時からやりました。

だけど、相談してくれる人たち、相談にたどり着いた人たちが、自分がいつ行ってもいい場所があるとか、ここだったら自分を受け入れてもらえる場所がある。そこに行けないとしてもそこにあるとか、いつか行きたいとか、心の中にそういう家があるとか、そういう意味でも居場所、ゆずりはがあってほしい、いつか行きたいみたいなことを伝えてくれる相談者の方がとても多くて、そんな居場所に来られる人は交通費があって金を持っているやつだろうという私の浅はかな。

山口成育環境課長: 10分経過しましたので、おまとめいただきたいと思います。お願いします。

高橋氏: では、こうやっていろいろやっています。サロンとか工房とかをやっていて、うちは相談者にすごく幅広い層がいて、社会的養護の経験の有無もどちらでもいいし、性別も問わない、年齢も問わないというのでやっているんですけれども、時々もう辞めたくなるというか、居場所はこんなに必要だと思いながらも、居場所をやっていくことがこんなに大変なんだというのがあります。

年齢制限とか何もないので、いつまで来続けるんだということがあったりとか、利用者同士のトラブルだったりとか、それが私たちの場所に来ていないところでもめたりとか、親や家族にいっぱい甘えたかったのに甘えられないまま大人になった人たちなので、私たちスタッフへの過剰な依存とか支配とかがすごくてトラブルが絶えない場所になっています。

それで、居場所をやっているけれども、来るな、来んといてということも言いながら、 でも集まってくるみたいなところがあって、そういった大変なぐちゃぐちゃの居場所状況の中でどうやってそれこそ安心・安全な場所をつくっていくかというところで、とにかく来てくれる人たちと一緒につくっていく、対話しながらつくっていくという原点中の原点みたいなところなんですけれども、一緒につくっていくというところで今、何とかやっています。

あとは、楽しんでやるしかないなというのがあって、いろいろな居場所を出禁になったりとか、病院も行けなくなった人たちがゆずりはに集まってくるので、ゆずりはじゃなくて掃きだめだとか珍獣カフェとかに名前を変えるとか、今度シェアハウスみたいなものも始めようと思っているんですけれども、その名前もゾンビハウスにするとか、そういう発想で、これはちょっと言ったらやばい内容かもしれないんだけれども、支援が必要な人をかわいそう、助けなきゃだけじゃなくて、ゾンビ度がすご過ぎてというところも含めて、一緒に楽しく生きていくということもやりたいなと思ってやっています。

取りあえずここまでにします。

前田部会長: ありがとうございました。

それでは、これから質疑応答の時間とさせていただきたいと存じます。御質問のある委員の方は、「手を挙げる」機能をお願いします。

山本委員と宇地原委員、成田委員も手を挙げておられますね。

まず、山本委員から御質問お願いします。

山本委員: 御報告ありがとうございました。

亜美さんにはとてもお世話になっているので、そのすばらしさがこの発表だけでは伝わり切らなかったかなという部分もすごく感じているんですけれども、でもそんな上で御質問させていただきたいのが、居場所を本当に先駆的に社会的養護にしていただいていて、たくさんの子が命を救われているのを見ているからこそ、居場所を長年されていて感じている一番の課題という点ですね。

あとは、指針を今、居場所に関してつくっているんですけれども、社会的養護というと、どうしてもマイノリティーの枠であるとは思うのですが、虐待のSOSを受け取れるだったりとか、やはり私たちの居場所というのは確実に命を救う上で重要だと思っていて、その上で必ず盛り込んでほしいと亜美さん自身が感じている点と、あとは先ほどのスタッフさんのメンタルケアの重要性というのはかなり私も活動していて感じていて、そこの部分で何か感じることがあったらぜひ御意見いただきたいと思いました。お願いします。

高橋氏: フォローまでしてもらってありがとうございます。

さっき荒井さんもおっしゃっていたかな、私はゆずりはしかないとなっちゃっているのが本当にこっちもきついわというか、ほかのところへ行けよというのはあるんだけれども、ほかのところも出禁になっちゃってこっちに全部来るみたいなので、それがあってゾンビとか掃きだめというワードにたどり着いたというのがあるんですけれども、ただ、うちもスタッフを増やして大きく対応することで来られる人数を増やすとかというのは難しいかなというのがあるから、こういうゆずりは規模のところで掃きだめ対応もしてくれる居場所がもっともっと増えてくれたらいいなと思います。

うちだけじゃない。うちに来づらくなったら今度は昌子ちゃんのところに行っていいとか、もっとその選択肢が増えていくような居場所づくりというか、全国的にあったらいいと思うし、それをするためには手弁当ではちょっと難しいというのがありますね。

ボランティアティックに対応できる。では、専門性があればいいのかというとまたちょっと難しいところだけれども、しっかり給料をもらってやっているんだということで何とか肝が据わってできるところもあるから、ボランティア的な運営のよさもあれば、ちゃんとお給料をもらって仕事にしていけるみたいな仕組みももっともっと必要だと思っています。

前田部会長: ありがとうございます。

では、次に宇地原委員お願いします。

宇地原委員: ありがとうございます。非常に発表を興味深く聞かせていただきました。

僕もプライベートでMy Treeの研修とかを受けたことがあって、活動もすごく存じていたので聞けてうれしかったです。

ちょっと感想みたいなところからになるんですけれども、こども基本法の中で、こどもの定義が「心身の発達の過程にある者」という言い方で、年齢で切らないというところが表現されたように、どうしても年齢ですぱっと支援が終わるというのはほとんどないなというのはすごく現場で感じているところで、アフターケアの重要性も非常に感じたんですけれども、そもそも施設自体を18歳で出なければいけないというところで、こどもたちもそうですし、支援者のほうも余裕のある関わりだったり、落ち着いて過ごしていくということが難しい状況もそもそもあるのではないか。

一方で、何か決めを持たないと、永遠にいられちゃうというところも非常にジレンマだと思っていまして、すごく難しいんですけれども、決めないほうがかえって早く出られるみたいなこともあったりするのかなとか、そういうことをちょっと感じながら聞いておりました。

質問として聞きたいのは、やはり18歳になって施設を出たというタイミングで、恐らく急に周辺環境ががらっと変わるんだろうなというのを聞きながら想像していまして、今は成人年齢が引き下げられたと思うんですけれども、恐らく以前は携帯の契約も自分でできないし、住居の契約もできないし、どうやって一人で生きていけというんですかという状況もあったかと思います。

かつ、急に1日変わっただけで年齢が上がって、周囲から大人だというふうに見られて自立を求められるとか、そういう見え方の面での変化もあるのかなと思っていまして、社会的養護の中で生きている人たちがどういう目線や周辺環境の変化にさらされているのかというところをぜひお聞かせいただきたいと思いました。

高橋氏: ちょっと難しくなってきちゃいましたが、でも、こどもとか大人とか分からなくて、うちに相談に来る人で30後半でもまるでこどものように思いをぶつけてくることがあったり、誰でもおいでとやっているともっとニーズが見えてくる。

例えば、もともとは社会的養護を出た人はすごく大変なんだというので始めたら、施設に入れなかったけれどもこんなに家で苦しかったという人たちのニーズが見えてきたというのがあるし、そうしたら今は施設を出た18、19、20歳辺りの人が出たばかりでしんどいかというと、いやいやそうでもないというので、20代後半、30代だったりとか、それぞれライフステージによって20代で出たばかりのときは何とかまだ頑張れたけれども、電池が切れちゃったみたいなこともあるから、私は年齢でここまでとやるのはあまり意味がないというか、年齢でやらないから来られて吐き出せて見えてくるニーズがある。
さっき男性が増えていると言いましたが、今は女性はDVとか性被害とかの窓口が一応あるけれども、20代、30代、40代の成人した男性には生活困窮の窓口しかない。でも、成人した男性が生活困窮や仕事のことだけで困っているかというと、本当はこどものときにずっと苦しかったとか、自分の今まで話せなかったいっぱい受けてきた被害を語りたいとか、そこも併せてサポートしてくれるところはなかなかない。それをうちがやっていたら、口コミなのか、どういうことで来るか分からないんですけれども、すごく30代、40代の人が増えている。そこでそういう窓口が全然ないんだなというのも分かるから、そういうこともまた必要なんだ、成人男性が生きていてしんどいということをもっとしっかりケアしてくれる窓口が必要だということにたどり着いたりしているので、すみません、答えになっていないんですけれども、年齢でくくることも必要だし、くくらないことでもっと潜在化していたニーズが見えてきているので、そこと格闘しながらやっている。うちに来るな、ほかに行くところはないのと思いながらやっています。

宇地原委員: ありがとうございます。

コメントだけいいですか。

前田部会長: 宇地原さん、ごめんなさい。まだ5人の人が待っておられるので、申し訳ないです。

それで、成田委員も今村委員もお手を挙げていらっしゃるんですけれども、まず今日まだ一回も御発言なさっていない方から優先させていただいて、荒木委員、関戸委員、光真坊委員から順番にお願いできますでしょうか。

荒木委員: では、私からお願いします。

今日ほかの方のお話も聞いていてなんですけれども、居場所の役割中で、今、大人とこどもの境界線をあまりつけないという話もありつつなのですが、やはりこどもと大人をつないでいく場でもあるのだなということを思って聞いていたのですが、今はつなぎ先がないといったことも多い。そうすると、行きなよと言っても行き先がないみたいなことがあって、その行き先というのは全て施設とか、そういうものばかりじゃなくて個人的な方とかを紹介するということもあるのかなと思うのです。

そういうとき、目の前の方を紹介するときにどんなことを相手に確認というか、こんな人だったらつないでいるとか、何かそういう視点があれば教えてほしいと思いました。

高橋氏: うちの相談者を誰かに紹介していくということですか。

荒木委員: はい。

高橋氏: 例えば農業体験とか、就労の手前みたいなところでうちにおいでよということで、一緒にちょっとこれをやってみると声をかけてくれる企業さんとかNPOさんとかがいて、そこにうちに相談に来た人をつなげるというのはあるんですが、初めはこんないい子なんだということがあるかもしれないけれども、やはりいっぱいしんどいのを抱えてきたのがあるから、えっと思うようなことが起きたりする。

「こんなやってあげているのに」と、やってあげている側がすごく裏切られるような、何でこんな態度をするんだとか、あとは無視とか、連絡もしてこないとか、そういうのもある。

そういうことがある前提で、あったら私たちは一緒にやっていきますということで安心してもらう。ただ、相談に来ている利用者をそのままぽんと投げるというよりは、いろいろある前提で大変だよみたいに言いながら、でも何かあったら私たちは一緒にやっていくので、私もゾンビだとかいろいろひどいことを言っているけれどもみんな大事に思っているやつらなので、何かあったら一緒に拭っていくので言ってきてくださいという感じでやっていくと、大きなトラブルには今のところなっていないという感じですね。

でも、少しずつそういうのをもっと広げてつなげていきたいというのはありますね。そんな感じです。

前田部会長 ありがとうございます。

それでは、次に関戸委員お願いします。

関戸委員: 発表、ありがとうございました。

荒木さんの質問ともちょっと似ているんですけれども、私もプレイパークというこどもの遊び場をやっているのですが、プレイパークも年齢制限がないんですね。それで、20代、30代、40代でも遊びに来る子たちというか、本当にそのこどもの内側の状態がどうなっているかによって、自分はこどもとしてここにいたいんだと、時にはこどもとしていていいような、そういう受け止めなどをしているなと思っていました。そして、よい居場所こそ問題が起きると私は思っていて、だから問題が起きない場所というのはまだ居場所になり切れていないこともあるんじゃないかなと感じています。

そんな中で、とはいってもやはりずっとここにいていいのかという、さっきの荒井さんのサンカクシャの話だったり今の高橋さんのお話の中にも生きる転機というか、何かにつながって出る転機みたいなものがきっとあると思うんですけれども、そこに行き着くまでには多分当事者を信頼するという支援者側の姿勢が必要だと思うのですが、そういった信じた先に当事者の人たちの転機となったケースというのは何らか傾向があるんじゃないかと思っていて、プレイパークでもそうなんですね。プレイパークにずっと来ていた大きい子たちが、やはり何かを見つけて来なくて済むような状態になっていくということがあったりするので、何かその傾向とか、転機となるケースみたいなものがもしあれば教えてもらえたらと思いました。

高橋氏: 傾向は分からないんだけれども、でも、確かに急に働けるようになってバイトとか少しずつ始めて、初めは本当にゆずりはに来ても一言も声を発することもできないで、ただ来るだけ、ただ来て一緒にジャムをつくっているだけみたいな子が、いつの間にかパン屋でバイトを始めたみたいなことあって、その傾向とかは私は分析とかがちゃんとできていないから分からないんだけれども、その子の中でやはり安心が積み重なっていって、安心積み重なっていくと人間は誰でももっとチャレンジしたくなりますよ。勇気も湧いてくるというか、それは20歳なのか、30歳なのか、なかなか勇気が満たないんだったらずっといればいいじゃんという感じでもいいかなと思っているんだけれども、確かにゆずりはも今13年やっていて、利用している子がみんなずっといるかというと、そうでもない。

生活保護を受けていた子が今は働けているという子もいれば、病院にずっと入院していた子が今は月1の通院ぐらいになっているとか、変化もあるので、ただ、それがどういうきっかけかというのは分からないけれども、それぞれの安心をゆずりはも利用しながら、積み重ねていって見つかっていくといいかなと思います。

私は今言ってもらった、本当に安心できるからみんないろいろやらかすなという言葉はお守りにします。ルールに塗り固められた場所にはいられない人たちだから、本当はルールでがんじがらめにしてやりたいと思うときもあるんですけれども、ルールじゃないたった一つの約束はやはり尊重するということなんですね。暴力は駄目と、来た人、一緒にいる人を尊重するという、それだけだと言ってやっているんですけれども、いろいろ起きます。

関戸委員: ありがとうございました。

前田部会長: ありがとうございました。

次に、光真坊委員お願いします。

光真坊委員: 全国児童発達支援協議会の光真坊と申します。2点、御質問をお願いいたします。

1つは、2020年の国の調査で、社会的養護施設などには児童養護施設で37%障害のあるお子さんがいらっしゃって、里親でも25%ということであります。先ほどの資料の中に、支援関係者から福祉関係とか特別支援学校からも御連絡があるというふうに書かれていましたが、放課後デイサービスにも、児童相談所など関わっている不適切な養育を受けた要支援のお子さんも来ていらっしゃいますけれども、障害のことは分かっても、実は社会的養護のことが分からずに支援をしている場合も多々あるのではないかと思います。障害関係との連携があるのかについてお聞かせいただきたい。

2点目は、先生がやっていらっしゃるのはアフターケアということなので退所後の支援だと思うのですが、アフターケアの立場から見て、入所施設とか里親さんにいる間につながっておいたほうがいい居場所であるとか、そういう観点で御意見があればお聞かせいただきたいと思います。

以上です。

高橋氏: ありがとうございます。

うちでも、相談につながっている人はほとんど精神障害の手帳を持っていたりする人たちで、通院もどこかしらしている、あるいは手帳を取りたい、精神科、心療内科に通いたい、カウンセリングを受けたいとあっても、今まで医療につながらなかったとか、お金がなかったという人たちもいます。結果的にそれを受けられなかった人たちは、手帳も取って医療を受けられるようになっています。みんな手帳だらけという言い方はあれですけれども。

それと、障害年金を取る手続なども今はすごく積極的にやっています。行政書士とかに頼むとすごくお金を取られるから、私たちは一緒に、障害年金で自分の生い立ちを書くのもトラウマを喚起されるんですよね。それをちょっとだけ聞いて、代わりにこっちで書いて確認してもらって、これでオーケーみたいな感じで、障害年金を取れるようになるということだけでも生活面で全部生活保護に頼らないというところは安心にもつながります。私たちが障害についてめちゃくちゃ勉強しているかはあれなんですけれども、安心できる精神科医、心療内科医につなげていく、そういう病院を知っておくとか、手帳の仕組みだったりとか、障害年金の仕組みはお金につながることだから私たちスタッフがきちんと知っておくというのは大事にしています。

あとは、入所中にというところですが、自分の里親さん、自分の施設に何歳になってもしんどくなったら相談においでと言って、その関係をつくってほしいと思います。

思うけれども、でも、自分が頼ってきた、一緒に生きてきた施設だから、里親さんだから、自分が30歳になって仕事もなくなっちゃったとか、ホームレスになっちゃったというのを逆に知っているから相談しづらくて、それでゆずりはにという人もいるんだけれども、私は一番しんどい相談を一緒に生きてきた人に、私が里親だったら相談してくれよと思っているから、その関係を育んでほしいなと思います。

だけど、頼れる機関、相手は一択じゃなくてもいいと思うから、そんな思いでおります。

光真坊委員: どうもありがとうございました。

前田部会長: すみませんが、成田さんと今村さんが残っておられるんですけれども、進行の関係上、本当に手短にお願いします。申し訳ないです。

成田委員からどうぞ。

成田委員: 何度もすみません。貴重なお話をありがとうございました。

私も患者さんを見ていて、施設退所後の子たちが社会の通常の枠組みの中でやっていくことのギャップがあまりにも大き過ぎるということを感じている中で、ようやくこういうアフターケアのところが少しずつ制度の中に出てきたというのは本当によかったなと思うのですが、まだまだギャップが大きいなと感じます。

先ほども、18歳で出て行った後に病院につながるとか、一般のそういう就労関係の相談機関につながるというところでも、やはり社会的養護を出た子というのはトラウマとか逆境体験の影響で人と安定して信頼関係をつくるのがすごく難しくて、そこが破綻してまたトラウマを経験するみたいな、どんどん傷つきを重ねちゃうというところはあると思うんですね。

そういう意味で、高橋さんのところでほかのいろいろな支援機関とつなげていきたいんだけれども、なかなかつながりづらい実感があるかということや、それを解消していくのに周りの社会的養護に特化していないところがどういうことを理解してもらえるとよいかというか、個人的にはトラウマインフォームドケアみたいなことが本当は大事かと思うんですけれども、現場でやっていらっしゃる感覚で教えていただければと思います。

前田部会長: すみませんが、続けて今村委員から質問していただいていいですか。それで、まとめてお答えいただきますのでお願いします。

今村委員: どうもありがとうございます。大変勉強になりました。ありがとうございました。

高橋さんのように現場で目を凝らして目の前の人たちを本当に大切に、一つ一つの事象を丁寧に現場をつくってこられた方から見て、国が何かを支援者となる方々に下ろすというか、支援者となる方々をもっと増やすとか支えるとかという仕組みをつくるとしたら何を求めたいか、思いつくことがあれば教えていただきたいと思いました。

前田部会長: では、お願いします。

高橋氏: 成田先生のお話は、私たちは精神科だったらどこでもいいとかじゃないから、そのトラウマにしっかりフォーカスしてくれる先生や、やはり人とつながるということで、私は成田先生にもう出会っちゃったから今度はそっちに行きます。うちのをぶち込みます。

そうやって私たちがこの人とつながるというのが医者の先生だったり、不動産屋だったり、弁護士の先生だったり、そこが結局困った人たちの安心につながっていく。私と成田先生が仲よし、安心な関係じゃなかったら、どんなにそこをつなげようとしても、あそこはいいと思うよとやっても全然安心なんて生まれないので、私は嫌だと言っていても、私が言う成田だから大丈夫だよと言うと渋々来て、それで成田先生のところに通えるみたいなことがあるから、まず私たちが関係機関としっかりつながっていく、信頼を育んでいくというのが大事かと思っています。

それから、伴走がないともう無理ですね。さっき生活保護の相談の窓口や助成相談の窓口、法テラスはあるけれども、そこに行っておいでと言っても無理で、自分で虐待を受けていて、これで苦しくて僕は生活保護が必要ですとしどろもどろで言ったら、そうか、そうかとやってくれる行政の窓口がどれだけあるかと言ったら、ほとんどないです。本当に行政の窓口で丁寧な対応をされずに傷つけられてという人たちが多いので、そこも成熟してもらわないと困りますねというのはあります。そんな感じです。

お金はとにかく必要なんですけれども、一生懸命やってくれるスタッフにちゃんとそれに見合うお給料を払いたいというのが私はあります。それで、自分の仕事に誇りが持てるように、めちゃくちゃアフターケアの仕事をやりたとか、社会的養護の仕事をやりたい、トラウマで傷ついた人たちのサポートをしたいというのがお涙ちょうだいの給料じゃなくて、めっちゃ給料がいいよということでやれたら、魅力的でお金もいいし、あそこの仕事をやりたいなとみんなが思えるような仕組みもつくりたいです。

あとは、国が考える居場所とはこれだとか、こういう支援のメニューをしてくださいというのではなくて、さっきの荒井さんのゲームとかもめちゃくちゃいいなと思ったんですけれども、そういったこちらのアイデアですね。居場所でゲームかよとかではなくて、もっとそこを柔軟に否定せずにこちらに委ねてくれるようなお金の使い方をさせてもらえるとアイデアが生まれる。私は花屋をやりながらとか、日本酒のバーをやりながら死にたいやつは来いみたいなものとか、そういうのもやりたいなと思っていて、柔軟に居場所とはこうでなければというのを全部捨てたところで委ねてくれるようなお金の使い方をさせてもらえるとすごくありがたいと思います。

今村委員: ありがとうございます。

前田部会長: 高橋さん、どうもありがとうございました。

それでは、次に続きまして大阪府豊中市様からお願いしたいと思います。

内田氏: 豊中市の内田です。よろしくお願いします。

「豊中市の子どもの居場所づくり施策について」ということで、私、豊中市の内田と、本日は職員をもう一人と、居場所の複数事業を受託してくださっているNPO法人豊中ESDネットワーク代表の上村さんにも御参加いただいております。本日はよろしくお願いします。

では、まず本題に入る前に市の概要を簡単にまとめています。豊中市は人口約40万人で、世帯数は18万世帯になります。住宅都市、中核市でして、北部のほうは転入者が多いエリアで、南部のほうは下町の雰囲気がある昔から住む人が多いエリアとなっております。市の特徴としてはいろいろあるのですが、市民による様々な活動が活発だということがあるかと思います。

市の様子なんですけれども、北東部にある大阪国際空港であったり、千里ニュータウンという商業エリアであったり、南部のほうにあります市場であったり、中部にあります服部緑地などをお示ししております。

本題に入りますが、「子どもの居場所の定義と整理」ということで、まずは定義ですけれども、地域のこども(主に学童期から高校生世代)を対象に支援者が居場所を提供しながら見守りや支援に関わり、必要に応じて食事の提供や支援機関につなぐ取組を定期的に実施する場所というふうに計画で位置づけております。

それで、「子どもの居場所の整理」のところですが、この図は縦軸に拠点の数、横軸に「すごし場」と「ささえる場」としております。「すごし場」「ささえる場」につきましては、昨年度の国の調査研究の報告書に記載の分類に近いところがありますので、詳細につきましては割愛させていただきます。市全体としましては、公共施設であったり学校施設内の居場所づくりがありますが、今回は赤で囲んでおります地域の多様なこども食堂、無料・低額の学習支援に焦点を当てた発表とさせていただきます。

こどもの居場所づくりの施策の推進の目的ですが、大きく2つあるかと思っています。左下のほうですが、社会教育的な目的である「子どもの育ちを支える」という部分と、右下の地域福祉的な目的である「すべての子どもを支援する仕組みづくり」というところになっております。

「施策の展開」についてです。まずは経過なのですけれども、平成30年度に地域資源調査・研究などを行いました。それで、その調査結果などを基に、令和元年度からこどもの居場所ネットワーク事業を試行して、その後、令和2年度から6年度までのロードマップを策定しました。それで、令和2年度にはそのネットワーク事業を本格実施するとともに、ポータルサイト「いこっと」というものを開設しました。

それで、令和4年度なのですけれども、ここから週3日以上のあえての市委託型の子どもの居場所・相談支援拠点モデル事業をモデル的に実施し、今年度からは児童育成支援拠点事業の位置づけで本格実施しております。これらは、この後それぞれ簡単に御説明させていただきます。それ以外の事業につきましては、資料の末尾に参考資料として載せておりますので御参照いただければと思います。

では、1つ目の「地域資源調査・研究」なのですけれども、こどもの居場所の実態だけではなくてその支援に関わる課題などを調査しました。それを基に、今後の施策展開の検討を行うことを目的に実施しました。調査の対象としましては、こどもであったり、地域であったり、運営団体などなどを対象としております。

右側なのですけれども、「調査結果の整理と考察」というところで、例を挙げますと先ほど申しました「すごし場」「ささえる場」の整理であったりとか、その下の「今後の方向性」というところでは居場所間での協力体制が必要だということであったり、地域に応じたネットワークづくりの検討、あとは全市的なネットワークの形成などをまとめました。

それで、ここから「ネットワーク事業」についてですけれども、事業の目的としまして1つ目は全小学校区へのこどもの居場所の展開、2つ目としましては学校関係機関と連携したこども(家庭)の支援、3つ目としましては居場所の安定的な運営に向けた様々な支援を確保していくという仕組みづくりを目的に実施しております。

いろいろな取組があるのですが、例えば左上にポータルサイトの運営であったりとか、立ち上げや運営支援であったりとか、居場所にサポーターを派遣したりとか、あとは市域や圏域ごとの会議・交流会を開催したりといったようなことを実施しております。

「ポータルサイト「いこっと」」につきましては、ネットワークに登録していただいている団体さんなどを掲載しております。掲載するだけではなくて、団体やそのサポーターの登録の窓口にもなっておりますので、こちらのサイトからも立ち上げ希望団体などをキャッチすることができております。

右側のところですが、前のページに取組をお示ししましたが、これらの取組を担う居場所コーディネーターがそれぞれ市域のコーディネーターと圏域のコーディネーターという形で配置しており、既存の居場所を巡回したり、取組状況を把握したりしていただいております。あとは、学生コーディネーターも今はいます。

次に「相談支援拠点事業」です。こちらは居場所のいろいろな取組があるのですけれども、その居場所の成果といったものであったり課題というものを改めてしっかり整理するためにつくりました。あとは、個人情報共有の壁であったり、民間居場所の負担増を改善していくために市主催で週3日開催、居場所をモデル実施しました。それで、今年度からは改正児童福祉法の児童育成支援拠点として本格実施しております。

「主な成果」「主な課題」というところで整理していますが、「食への意欲向上、食習慣の改善」ということで、当たり前のことかもしれないのですけれども、来ているこどもたちの中にはネグレクト傾向が非常に強い子がいたりします。そういったこどもたちの食事、食習慣が改善されていくことで、食だけではなくて様々な生活の意欲の向上にもつながっていくんだなということを実感しております。

その下のところでいきますと、市主催ということで個人情報の共有が可能になりますので、学校との関係構築であったり情報交換などの重要性を改めて認識しております。

その下にあります「個別ケース検討会議への参加」というところで要対協ケースのこどもたちも来ておりますので、そのケース会議の中でも最もこどもたちであったり、家庭の様子を把握しているということが分かったということも大きいかと思っております。

右側の「主な課題」としましては、「関係機関との役割分担」とあるのですけれども、この拠点に来ることでこどもであったり、その家庭の全ての問題が解決されるというような勘違いもちょっと起きていたりしますので、それぞれ役割分担というものが必要だということをこれからしっかり伝えていく必要があるかと思っております。

「ロードマップによる進捗管理」というところでは、取組の方針であったり、公民の体制について共有するために作成しました。年度ごとに実績を更新していき、ホームページに公開しております。

最後に2点、「施策の推進にあたって」ということで、まずは課題ですけれども、居場所団体は多様な価値観であったり目的を持っておられたりしますので、その居場所同士のネットワークづくりというところで事業開始当初などは苦労がありました。例えば、市域の会議などを実施するときのテーマを何にするかとか、そういったところでもいろいろ難しいところがありました。

あとは、下のほうにありますが、ケース対応における個人情報共有というところでは、民間の居場所団体もいらっしゃいますので、そういったところと行政の関係機関との情報共有というのが大切だなと思っております。

最後ですけれども、工夫していることであったり、大切にしている視点というところでは、このネットワーク事業につきましては中間支援団体との協働を大切にしております。それで、委託となりますと基本的に市から事業所さんに対して一方的に何かこれをしてくださいと伝えることが多いかもしれないのですが、この事業につきましてはなるべくフラットな関係性で対応していったりとか、市で決めていくことを受託団体さんもある程度権限を持って決めていくということを意識しています。

あとは、枠組みにつきましては市がつくるとしても、その枠をつくった中身を埋めていくというところは中間支援団体さんのほうが得意だったりしますので、そういったところをお願いしています。

2つ目が「既存事業や資源の活用」というところで、連絡会などのネットワークであったり、学校のほうから主に相談支援拠点事業で課題の大きいこどもなどを案内してもらったり、協力していただいたりしています。

あとは「多様な主体による居場所の展開」ということで、本日もいろいろな団体さんが御報告されておりますが、多様なこどもを受け止めるためには多様な居場所、そういった方々を支援するための中間支援というものが必要かと思っております。

すみません。時間が過ぎましたが、以上になります。ありがとうございました。

前田部会長: 発表、ありがとうございました。

続きまして、質疑応答の時間を取りたいと思います。それでは、お手をお挙げください。

関戸委員と菊地委員、宇地原委員の手が挙がっておられますね。

まず関戸委員からお願いします。

関戸委員: 御発表ありがとうございました。直営ということで大変興味深く聞かせていただいていました。

質問としてはスタッフ体制についてなのですけれども、どのような方がスタッフとして従事されているのかということですね。

あとは、資料の中に支援のボランティア講座みたいなものが書いてありましたけれども、直営ということで何となく私が想像してしまったのですけれども、スタッフさんでもボランティアさんでも悩みの中に場の制約というのでしょうか。そういったものに対して居場所というなるべく制約がない中で成り立っていく場所に対してどんなスタッフからの相談事に対して行政として解決に向けてアプローチをしていくのか。そういった実際の例でもいいですし、こんなふうに解決していくような流れをつくっていますとかでもいいですし、そんなことをもし教えてもらえたらうれしいです。

内田氏: 御質問ありがとうございます。

2つ御質問いただいたかと思うのですが、1つ目は私のほうからで、もう一つは上村さんにほうからでよろしいでしょうか。

1つ目は直営というふうにおっしゃったのですけれども、最後の相談支援拠点事業だけが市主催の居場所でして、こどもの居場所ネットワーク事業は、地域のいろいろな任意団体さんであったりNPO法人さんなどが実施する居場所団体の支援をNPO法人とよなかESDネットワークさんに委託しています。

それで、相談支援拠点事業の中のスタッフでいきますと、今、主に関わってくださっているのは、昔からいろいろな形態の居場所というのはあったと思うのですが、その中で国際交流の関係であったりとか生活困窮の関係で、居場所のスタッフとしてずっと関わってくださっている方々が今回うちの事業の中でスタッフとして関わってくださっているという形です。特に何か資格を持つということを昨年度のモデル事業の中で決めてはいないです。

では、ボランティア講座の件はお願いします。

上村氏: ボランティア講座についての話の前に体制について説明します。居場所を支える体制としまして中間支援をしている我々のNPOに所属するスタッフの中では、市域全体を見るスタッフが3名おり、市域コーディネーターという形で全体を見ています。その下に市内を大きく7圏域に分け、コーディネーターの住まいであるとか、地域がとてもよく分かっているというような特異性などを生かしまして、今7名ほどのコーディネーターが居場所を分担して情報共有をしているという状況です。

講座については、各居場所の運営者からボランティアのフォローアップの講座が必要という声が上がったり、新たなボランティアを養成してほしい、または学生も含めた地域のボランティアさんを集めてほしいといったニーズが上がってくる中で、ボランティアが、こどもの居場所に関わるときにどんなことを大切にしたらいいかといった視点を学ぶという講座を1回、それから既に居場所をやっている方々の意見を聞きながら先輩居場所運営者と新しい居場所の運営者さんが交わる機会というのが2回目、そして3回目は地域に実際にボランティアに行って活動したり、なかなかコロナで活動するのが難しいといった時期は居場所の見本市という形で居場所の方々に集まっていただいてボランティアの皆さん、これからボランティアの活動をしていきたい方々や、既に活動しているけれどもほかの活動も見てフォローアップしていきたいという方々がそれぞれの情報交換をする機会を作り、全3回ないし全4回という形で開催しております。

既にこの講座を受けてボランティアをされたり、居場所を立ち上げた方もたくさんおられます。講座に参加する方々はすごくモチベーションが高いので、参加せずに居場所を始められる方よりも子どもに対する基礎知識もあり、ネットワークに対するモチベーションも高く、また学校とつながりたい、こどもに対して何かをしたいという意識も高い方々ですので、我々と本当にタッグを組みながら居場所を運営していただいているという状況です。

ただ、中には講座開催まで待てないというか、今すぐにつくりたいという方もたくさんおられます。そういう方々に対しては我々が伴走しながらつくっていくのですけれども、持続可能性という部分では、非常に危ういところがあるので、できるだけ講座を受けていただく。それから、ゆっくり私たちと歩んでいただきながら、なるべく長く続く居場所をつくっていただくということをとても大切にしています。

私からは以上です。

関戸委員: ありがとうございました。

前田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして調布市の菊地委員お願いします。

菊地委員: 菊地でございます。御説明どうもありがとうございました。私自身も似たような仕事をしておりますので、大変親近感を覚えるような内容でございました。

資料の中で、「すべての子どもを支援する仕組みづくり」ということで、「グレーゾーンに隠れている「実態が見えにくく、捉えづらい」困難を抱える子どもを発見し、必要な支援につなぐことが重要」と書かれていて、特にこの困難を抱えるこどもたちを発見するというのはすごく難しいことなのかなと認識しております。本当は居場所とか相談の相手というものが必要なんだけれども、埋もれてしまったり、その手段というものが分からなくて困っているこどもはすごく多いのではないかと私自身も認識しているところなのですけれども、この部分について特別に何かやっていたりとか、心がけていることとか、特殊な取組とかあればぜひ教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

内田氏: ありがとうございます。

いろいろな思いで居場所に関わってくださる方がいらっしゃるのですけれども、こどもたちを何とか支援していきたいという強い思いを持っておられる方々と市域のそういう交流会であったり、エリア別の交流会で話し合うことで、見守っていく、継続して関わっていくということの重要性を認識していただいたりとか、先ほど上村さんがおっしゃったボランティア講座の中でもこどもと関わっていくことの注意すべき点であったりとか、その大切さというところなどを居場所の方々にもお伝えしながらということかと思っております。

ただ、やはり困っている子と行政側からは言ってしまうのですけれども、こども自身も何に困っているか分かっていなかったり、そもそもそういう目的で居場所に来ていないという子もいたりしますので、まずは何らか来ているこどもたちが居場所の支援者の方々とゆっくり長期的に関わっていく中で、そういう子が見えてくるかもしれないというところが大きいのかなと思います。

ただ、実際にそういう視点をすごく持っている支援者の方もいらっしゃいますので、そういった方は発見といいますか、関わりながらそのこどもの様子を学校に何らか共有したりとか、そういった形で関わってくださっているかなと思っております。

前田部会長: 内田さんだけでよろしいですか。上村さんはよろしいですか。

上村氏: ありがとうございます。大丈夫です。

前田部会長: それでは、次に水野委員お願いします。

水野(か)委員: 御発表ありがとうございました。育成財団の水野と申します。

1点、質問があります。最後のほうに「工夫していることや大切にしている視点」というところがございまして、「フラットな対話、分権化、枠組みと中身づくり」はフラットな関係性を持ちながら行っているということなのですけれども、ここが意外に難しいところかなとは思っておりますが、こうすることでよかった点、メリットですね。どのようなメリットが見えてきたかということを聞かせていただきたいと思います。

内田氏: ありがとうございます。

こどもの居場所はやはり任意団体さん、地域の団体さんがほとんどになりますので、そういった方々を市民活動として支援していく専門性みたいなところを行政職員として持っていれば、それはもちろんいいんですけれども、なかなかそういうスキルを持っている職員というのは多くないかなと思っております。

それで、職員ですので異動もあったりして、職員が替わっていくというところもあるのですが、そういった中間支援が得意な団体さんと委託する関係を結ぶことによって、そういった専門性を持った形で団体さんに関わってくださいますし、そういった市民活動支援の視点であったりとか、手法とか。やれることからちょっとずつ進めていくとか、課題に関しても解決を焦ることなくできるところからしていくとか、行政であればすぐ大きく体系的に進めていこうとするのですけれども、それが必ずしもなじまない部分があるということが私もこの事業に関わる中で学んできたことでもありますので、そういったよさなどをいろいろ勉強しながら進めていけるということが大きなメリットかと思っております。

上村氏: 私から一言だけ補足させていただくと、コーディネーターの選任に非常に時間をかけています。誰でもいいというわけではなくて、その地域のことにたけた人であったりとか、そういった居場所の運営者さんとの信頼関係を丁寧に構築できる方にお願いをしています。一緒に汗をかくということがとても大事なので、足しげく居場所に通っていただくことをコーディネーターさんにもお願いしていますし、単に見回りに来た、巡回に来たということではなくて、同じ居場所の支え手にもなっていただけるような、そんな関係性をつくること、積み重ねがフラットな関係を構築できているのではないかと思っています。

以上です。

水野(か)委員: ありがとうございました。

前田部会長: ありがとうございます。

大変申し訳ないのですが、宇地原委員、青山委員、お二人続けて御質問をお願いしたいと思います。会議は16時まででございまして、ほかに議事もございますのでよろしくお願いします。

宇地原委員、どうぞ。

宇地原委員: ありがとうございます。

豊中市さんの事例はすごくすばらしいなと思いました。ほかの自治体でも同様の取組が広がるといいなと思いながら聞いていたんですけれども、豊中市さんがこれまで取組を進めていく中で成功に至った条件ですとか、何か鍵となったポイントがあればお聞きしたいと思ったのと、同時にこれは自治体というよりも広域でやってほしいとか、国のほうで動いてくれればもっとスムーズだったのにという部分があればお聞きしたいと思います。

前田部会長: 続きまして、青山委員お願い申し上げます。

青山委員: ありがとうございました。

昨年度の調査研究でもお話を教えていただいたりして、改めていろんな居場所の形がある中で、地域で特に自治体と組んでやっていくときに、コーディネーターとか、コーディネートの機能の重要性ということを改めて教えていただいたかと思います。

その上で、この全体の像も見せていただく中で、こういう整備をしていく中での学校の位置づけとか学校との関わりですね。あるいは、そこで学校に求められることや学校の位置づけのところを少し教えていただけるとありがたいなと、ここに学校がどう関わっていくかを教えていただければと思いました。

以上です。

内田氏: ありがとうございます。

まず宇地原委員の成功の条件とか鍵というのはすごく難しいかなとは思うのですが、豊中市の今のやり方が成功と言えるのであれば、一つ大きいのは、やはり公民協働の視点を持ってこどもの居場所という市民活動を推進していくに当たってどういう手法がいいかというやり方をNPO法人とよなかESDネットワークさんと、それこそ資源調査の段階からずっと同じものを視察も含めて見に行きながら言語をそろえていくといいますか、価値観をそろえていきながらできたことです。ただ、やり方であったり、文化、そういったところは行政とNPO法人さんとでもちろん違いますので、それぞれの違いのよさみたいなところを引き出し合って、それをどんどん連携させていくというところなのかなと思います。

ですから、行政が主体的に進めていかないといけない部分ももちろんあるのですけれども、それと同時に視点であったりネットワークというところをNPO法人さんと一緒に組むというところが大きなポイントなのかなと思っております。

2つ目の広域であったり国としてというところなのですが、やはり居場所団体さんの立ち上げであったりとか、まず居場所をやりたいという方々をキャッチしたりとか、それが活動できる場所の情報を持っているとか、お手伝いできる方がいるとか、そういった方々を見つけていくのはなかなか広域とか、さらには国とか、そのレベルになるとほぼ不可能ではないかと思っております。もちろん市に対するこれまでの中間支援団体さんとしての関わりとか、市の知識、ネットワーク、いろんなことを持っているということが、より事業の成功には欠かせない部分かなと思いますので、市に愛着があるというか、昔から関わってくださっている団体さんを選んでいくというほうが私はいいのかなと思っております。

学校の位置づけなのですけれども、前に私は教育委員会の学校教育課というところにいたのですが、本当に学校は忙しくて大変だということはすごく認識しているつもりではあります。

ただ、学校の中でもこどもに関わるアプローチというか、視点をすごく丁寧に持っている学校もおられたりしますので、そういった学校とは居場所の取組を理解してくださるスピードであったり、理解してくださる先生方というのは非常に多かったりしますので、そういった先生方と連携しながら課題の大きい子を居場所につないでくださったり、あとは基本的なところで居場所の取組のチラシを配ってくださるとか、そういった形で一緒に取り組んでいけるということが大きいのかなと思うのですが、上村さんから補足をお願いします。

上村氏: 大丈夫です。ありません。

前田部会長: よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、御発表いただきました団体の皆様ありがとうございました。最後に豊中市の皆様、本当にありがとうございました。

では、続きまして議題2と3に移ります。まず事務局から御説明いただき、その後、短くなりますけれども、質疑応答の時間も取りたいと思います。よろしくお願いします。

山口成育環境課長: 事務局です。資料2を御覧ください。

資料2は、事務局においてヒアリングを行いました結果をまとめたものでございます。前回の御意見を踏まえまして学校の関係、それから公民館を追加して14のヒアリングを終えておりますので、結果をまとめさせていただいております。時間の関係で、説明は割愛させていただきます。

続きまして、資料3を御覧いただきたいと思います。資料3は「部会でのこどもヒアリング概要」です。

次回、この部会においてこどもヒアリングを行うことを予定しております。主な内容につきましては前回の部会で御説明をしておりますので、変わった部分を中心に御説明をいたします。

資料3の1ページをめくっていただきまして2ページの「ヒアリング方法」というカテゴリーの中の5つ目のポツにグラウンドルールの設定といったことを追記しております。

それから、その2つ下のポツになりますけれども、補助員の参加を認めるなど障害のあるこどもの特性に配慮すること、また、その下ですが、グループなど人前で意見をすることが苦手なこどもに対する対処といったことについて記述を追加しております。

それから、「こどもへのアンケート案について」、御説明をいたします。資料4を御覧いただきたいと思います。

こどもアンケートは、部会でのこどもヒアリングとは別にウェブで調査をするというこどもアンケートでございます。資料4についても前回御説明をしておりますので、変わった点を中心に御説明をいたします。

資料4の5ページになりますけれども、(7)で「そこは、どのような場所ですか。」という質問がありますが、これについて「児童クラブ」と「児童館」を別の回答項目に分けております。

その下ですけれども、アクセシビリティーの質問の観点から(8)の質問を追加しております。

それから、その次の6ページですけれども、「(9)その場所は、どのような場所ですか。」という質問の中で、「09.スポーツや外遊びなど体を思い切り動かすことができる」といった選択肢を追記しております。

また、次の7ページになりますけれども、「(12)家や学校以外に、「ここに居たい」と感じる場所がない理由を教えてください。」、これについて選択肢を少し増やしております。

それから、資料5につきましてはそれの「やさしい日本語版」ということで用意させていただいております。

私からの説明は以上です。

前田部会長: ありがとうございます。

それでは、何か御意見がございましたら挙手ボタンをお願いします。

安部委員、お願いします。

安部委員: ありがとうございます。安部です。全部で4点ございます。

まず、こどもヒアリングに関してです。こどもヒアリングは非公開だと伺っていますが、間違いではないでしょうか。

山口成育環境課長: はい、こどもヒアリングそのものの部分は非公開です。

安部委員: ありがとうございます。

第5回の会議そのものはいかがですか。

山口成育環境課長: こどもヒアリングの部分は非公開になりますけれども、その前後で委員の皆様で御討議いただく部分については公開を予定しております。

安部委員: それに関してなのですけれども、第5回全体を非公開に、つまりライブ配信はしない方向で調整できないかということを提案させていただけたらと思います。

というのは、後半にはファシリテーターのみなさんが合流して、議論が行われます。その議論の中で、こどもたちから出た意見というのがライブ配信で流れてしまう危険性があります。もちろん、話し合いの場で、こどもにこれを話していいか、これは駄目だよみたいな確認をすると思うんですけれども、非常に短い時間の中でファシリテーターがそれを確認して、間違わずに公開の場で発言をするというのは、心理的になかなか厳しいという気がします。

ですので、こどもとファシリテーターの両方の心理的安全、それからやはりこどもの権利を守るためには全体を非公開にして議事録で公開をするのはいかがでしょうか。また、議事録で公開をする前に、こどもたちに必ず確認をしてもらうのがいいのではないかというのが1点目です。

二点目ですけれども、こどもヒアリングの中で、居場所について伺っていただけると思います。これはこの部会全体を通してずっと思っていることなんですけれども、学校について聞かなくてよいのでしょうか。つまり、「学校にこう変わってほしい」というようなことを考えているこどももいると思うんですけれども、設問が多くて時間がないかもしれませんが、学校についてもヒアリングで聴くことを検討していただければと思っています。

3点目、4点目は、アンケートに関してです。

3点目は、今言ったように学校をどう変えたいかというような設問をアンケートの中に入れなくてよいのかということになります。

4点目ですけれども、居場所のアンケートは大人がいる居場所が前提でしょうか。全体の設問を見ていると、どうしても大人の存在がいることが前提のアンケートのように見えるのですが、こどもだけの居場所というのも当然あるだろうし、その辺りを設問の中に入れたらどうかなとちょっと考えました。

以上です。

前田部会長: それでは、安部委員から、第5回委員会についての公開、非公開の御意見ございましたが、ほかの委員の方々から御意見ございますでしょうか。

どうぞ、荒木委員お願いします。

荒木委員: ありがとうございます。

安部委員、ありがとうございました。私はファシリテーターのほうでお名前を挙げていただいているのですけれども、時間がやはり短いことは気になっておりました。そこで不用意にプライバシーを漏らしてしまったりとか、そこは十分気をつけなければとは思ったんですけれども、今、非公開ということで、公開するところにどんな意味があるのかということで、どうしても公開じゃなければというのであればそこの意味の部分で共有させていただければと思いますし、そうでなければ非公開だと私も心の安定と、あとはしっかりしたヒアリング結果を出せたらいいなと思っております。

前田部会長: 今、荒木委員のほうからも全体を非公開でという御意見ございましたが、それでよろしいでしょうか。ほかに反対意見がございましたらお聞きしますし、この場で皆さんと一緒に決められれば一番いいと思いますが、全体非公開で構いませんか。

山口成育環境課長: 事務局から補足させていただきます。

審議会は基本的に公開するという原則がございますけれども、座長が必要と認める場合には非公開とするということもできることになっております。

今、御提言があった非公開というのは、要はライブ配信でそのまま流すというのが危険であるから、終わった後に議事録という形で整理をして、それを改めて確認をした上で公開するということについてはむしろそのほうがよろしいかなとも思いますので、座長と御相談をしまして取扱いについては決めさせていただきたいと思います。そういった形でよろしいでしょうか。

それから、続けて学校についても御指摘がございました。学校そのものについてはこども家庭庁で所管をしておりませんので、この部会で直接扱うということは控えるべきかと思っておりますけれども、実際にこれまで私どももこどもヒアリングというのを別の場所で行っていく中で、こどもからは学校に関する意見もたくさん出てまいります。ですので、居場所という文脈の中で聞いても、恐らく学校に関する意見が出てくると思いますし、そのこと自体は別に否定するものでもございませんので、そういった形で学校についても併せて聞いていくという形でよいのではないかと考えております。

前田部会長: ほかにいかがでしょうか。

今村委員、お願いします。すみませんが、あと3分で議事を締めないといけないのでお願いします。

今村委員: 今の学校についての議論なのですけれども、感覚という意味ではそうかなと思いつつも、地方とかいろいろな田舎のほうに行くと、学校しか居場所として準備するのはこの議論がどう結実していても無理ということがとても多くの自治体で起きるのではないかと思ったときに、勧告権を持っているこども家庭庁だからこそ、やはり学校は居場所としての機能を兼ねるべきなのではないかということを提案していけるようなこともこの部会の役割なのではないかと思ったりします。

そういった意味でも、もちろんボトムアップでこどもたちから出てきたものを出すという形でもいいのですけれども、学校を捉え直すということは重要なテーマだと私も思います。

以上です。

前田部会長: ほかの委員の方から御意見ございませんでしょうか。

よろしいですか。

今回、大変短い時間で申し訳なかったのですけれども、いただいた意見を十分配慮した上で私と事務局のほうで相談してどのように進めるか決めさせていただきたいと思います。

誤解のないように申し上げますと、第5回委員会はユーチューブ配信はしませんけれども、事務局から申し上げましたとおり、その後に公開をするということで、ヒアリングの内容やアンケートの内容についてはいま一度御意見を受け止めさせていただきまして私どものほうで考えさせていただきたいと思います。

皆さんの意見を伺わずに実施するようなことはせず、事前に皆さんの御意見は改めてお伺いするチャンスを持つようにいたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。御意見どうもありがとうございました。

それでは、最後に事務局から今後の日程など、連絡事項をお願い申し上げます。

山口成育環境課長:ありがとうございました。

今後の日程につきましては、次回第5回を7月31日16時から18時で実施予定です。ファシリテーターをお願いしております委員の方々、青山委員、荒木委員、宇地原委員、小川委員、関戸委員につきましては別途、詳細をお伝えさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

それから、先日メールで御連絡をいたしておりますけれども、複数の委員の方々から対面でも議論できるといいのではないかという御意見をいただいております。8月9日の次々回の第6回は対面を含めたハイブリッド形式で実施できるよう準備をいたしておりますので、こちらも含めてまた連絡をさせていただければと思います。

以上です。

前田部会長: 本日は、長時間にわたりどうもありがとうございました。私の不手際で最後の質疑応答の時間が短くなってしまって申し訳ございませんでした。

それでは、本日の会議はこれにて終了いたします。皆様、どうもありがとうございました。