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こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第1回)

概要

日時:令和5年7月10日(月)17時00分から19時00分
場所:こども家庭庁こどもまんなか広場(霞が関ビルディング21階)

議事

1.事務局より

  • こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する調査研究について
  • こども・若者意見反映推進事業(こども若者★いけんぷらす)について
  • 令和5年度調査研究について
  • こども・若者参画及び意見反映専門委員会の今後の進め方(案)について

2.自由討議

資料

議事録

○話し合いの内容について
1.まず、事務局(こども家庭庁の職員)から、これまでの取組について説明しました。

●資料2-1 こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する調査研究報告書やさしい版(ポイント編)
●資料2―2 こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する調査研究報告書やさしい版(調査結果編)
(主な説明内容)

  • 昨年度、こども家庭庁をつくる準備をしていた内閣官房こども家庭庁設立準備室で、こども・若者の意見をどうやって聴き、政策に反映していくかを調べました。そこで分かったことを、こども・若者のみなさんにもお知らせするために作った報告書です。

●資料3 こども若者★いけんぷらす事業概要資料
(主な説明内容)

  • 今年度から始めたこども若者★いけんぷらすについて説明した資料です。
  • 小学校1年生から20代までの人なら、いつでも、誰でも、意見を言ってみたいと思ったときに登録できる仕組みです。
  • 国がこども・若者の意見を聴きたいテーマを設定するほか、こども・若者のみなさんから意見を言いたいテーマについても意見を集めていきたいと考えています。
  • 意見を伝える方法も、実際に集まるだけでなく、オンラインやアンケート、チャットなど、いろいろな方法を用意して、こども・若者のみなさんが参加しやすい方法を選んで意見を言うことができるようにしています。
  • こども・若者のみなさんが生活したり活動している場に行って、直接お話を聴くこともしたいと考えています。
  • 意見を聴く場には必ずファシリテーターが入って、安心・安全に意見を言えるように、自分の思いをきちんと伝えられる場づくりもします。
  • もちろん、意見は聴いて終わりでは決してなくて、意見をもらったところがスタートです。そのテーマを担当している省庁にきちんと意見を返して、それがどこで、どのように検討されたのか、検討の結果どう反映されたのか、反映されなかった場合にはなぜ反映されなかったのかを、きちんと報告していく流れをつくっていきたいと思っています。
  • こうしたひとつながりの取組を社会に向けてもしっかり伝えて、こども・若者の意見を聴くことの大切さを広げていきたいです。

●資料4―1 多様なこども・若者の意見を聴く在り方及びこどもの意見反映に関する行政職員の理解・実践に向けたガイドライン作成のための調査研究
(主な説明内容)

  • 資料2の調査研究では詳しく調べることができなかった、声を上げることが難しいようなこども・若者、産まれてから小学生になるまでのこどもなど、こども家庭庁が声を聴くのが難しい人に対して、どのように意見を聴いたらよいのか、工夫や気をつけることを調べています。
  • また、【調べました】で終わりにするのではなく、調べてわかったことは、こども家庭庁や自治体(都道府県や市区町村)で働く人などの、こども・若者の意見を聴く側の人たちが実際に使っていくためのガイドラインに書いていきたいと思っています。

●資料4-2 ファシリテーター養成プログラム作成のための調査研究について
(主な説明内容)

  • こども・若者から意見を聴く時に、話しやすい雰囲気を作って意見を引き出す役割を持つ人がファシリテーターです。今年度の「こども若者★いけんぷらす」ではすでにファシリテーターとして活動している方に協力してもらいますが、これから自治体でも意見反映の取組を進めていく上で必要になるので、必要な技術や知識を持った人を国で育てたり、将来的には日本中でそういった人を育てられるような学習内容計画や教科書のようなものを作りたいと考えています。

●資料5 こども・若者参画及び意見反映専門委員会の今後の進め方(案)
(主な説明内容)

  • 事務局(こども家庭庁)で考えた、これからの専門委員会の進め方の案です。
  • 第2回は、9月頃と考えていますが、第1弾いけんひろばの説明や、令和6年度概算要求(令和6年度にこども家庭庁が使いたいおおまかな予算(お金の使い道))がどうなっているかを説明することを考えています。
  • 第3回は、年明け頃と考えていますが、第1弾いけんひろばでもらった意見に対するフィードバックの状況や、資料4のこども家庭庁で行っている調査研究がどう進んでいるか、来年度予算でのこども・若者参画や意見反映に関する内容についての案について、説明することを考えています。
  • 第4回は、年度末を予定していますが、来年度以降に進めていきたいことについて話し合う予定です。

2.出席した委員から、自己紹介と、これまでやってきたこと・問題と感じていることについて発表してもらいました。( )内は委員会の中で呼び合うニックネームです。

○安部委員(あべちゃん)

  • この委員会で大事にしたいのは、児童の権利に関する条約、こども基本法、こども・若者の意見表明・参画。
  • こどもに関することを考えるときにものさしとなるのが「児童の権利に関する条約」で、ここには、こどもにとって一番良いことは、こどもの意見を聴いてこどもとともに決めることが大事と書いてある。その考え方がこども基本法にも入って、自治体も取り組む必要がある。
  • いきなり意見を言ってと言われても、なかなか言えないこどもたちもいる。意見の表明だけではなく、まず安心できる場があることでだんだんと気持ちが言葉になる。場に参加・参画して仲間をつくることもとても重要だし、さらにその一歩手前のところを支えることも大切。例えば今は見ているだけのこどもがやがて中心になることもあるので、「一歩手前」を大事にしたい。
  • 日常だけでなく災害(大雨や地震など)などの緊急時のこどもの意見反映の考え方、また「こども」と「若者」は求めていることも違うので、そうしたことも考えていけたらいい。

○川中委員

  • こうした会議では、委員が事務局に対して意見に言って事務局が答えることが多いが、この委員会は、委員同士で意見を言いあえる場にしていきたい。
  • こどもや若者が参加する機会を増やすのはもちろん大事だけれども、例えば声を上げにくい人の声を聞いたら声を上げている人の意見が変わることもあるので、いろいろな声をどう結びつけていくかということも考えていきたい。
  • 声(意見)を出すことだけではなくて、その重みをどう持たせるか。重みづけの支援も考えていきたい。
  • 個人に注目することも大事だが、周りの働きかけの中で動いていくこともあるのでそういう観点も大事。いろいろな参加の方法があるので、広くとらえていくのがいい。

○菊地委員(まーくん)

  • 東京都町田市では、こどもの声を聴いていろいろな取組をしている。
  • こどもや若者の意見を聴くうえで三つ大事な点がある。
    ① 関係づくり
    信頼関係がないとこどもから意見も出てこないし、意見を言う場がつまらないと来てもくれない。いかにこどもや若者に協力いただけるかには、関係性というのがすごく大事。
    ② 行政職員の意識を変えていくこと
    こどもと一緒に考えて実行していく、そしてそれを行政全体に広げる流れを作らなければいけない。
    ③ こどもの意見を聴くことで誰にとっても過ごしやすい魅力的な街を目指すんだという心がけがあってこそ、なぜこどもや若者に特化するのかという目的が明確になると思う。

○菊池委員(まりっぺ)

  • こどもが持っている権利だからこどもの意見を反映する、ということを忘れてはいけない。
  • こどもの声がしっかりと取り扱われないと、生活や命が危なくなるかもしれない、ということにいつもに立ち戻って考えていきたい。
  • 困難を抱えるこどもや若者は、そもそも意見を言って良いと知らないので、知ることから始めなければいけないし、声を上げることで暴力を受けてきたこどもたちがいることも忘れてはいけない。声を上げるためには、生活に必要なものがあったり、お金や時間が十分ある、といったことも必要。
  • その上で、こどもの声を聴くためには、ファシリテーターなどを育てるのも大事だし、そのときにはこどもの声を聴くという土台の上に、各場面・分野に合った専門性も大事だと思う。また、困難を抱えるこどもや若者が声を上げることで再び傷つくこともあるので、専門家が支える環境を作っておくことも大事。

○貴戸委員

  • 自分が小学校の時に不登校だったが、当時自分自身の気持ちは言葉にならなかった。今は生きづらいと感じている方々の研究をしている。社会の中ですみっこに置かれているこどもや若者たちの声を聴く大事さ、難しさを考えてきた。
  • こどもや若者はいろいろな人がいて、不登校などのカテゴリにターゲットを絞ってもその中にはいろいろなこどもや若者がいるので、すべての声を聴くことはできないということを分かっていなければならない。
  • 一方で、そのカテゴリを代表してくれる人の声を聴くこともあるが、聴く側にとって都合の良い声を拾うだけになってしまわないかよく考える必要がある。意見を聴くということは、聴いたことを自分の中の枠組みに当てはめるのではなくて、自分が持っている考えを疑いながら相手の言葉に耳を傾けることだと思う。いろいろな声、枠組みから漏れてしまう声、聴く側にとって都合の悪い声・意見を聴いていくことを考えていきたい。
  • この委員会を情報発信の場としていくことも重要。こどもたちは、自分の声を政府が聴いてくれるということにイメージを持ちづらいと思う。政府が意見を聴き、それを社会に発信していくということは、とても大事。

○黒木委員(たまちゃん)

  • これまで意見を言う側として内閣府のユース政策モニターやこどもまんなかフォーラム事業に参加してきた立場から、この委員会では高校生、地方に住む若者として、率直に意見を伝えていきたい。
  • 地方ではそもそも若者が少ないし、都市部と比べて教育や情報の差もあると感じる。
  • これまで意見募集事業に参加してきて、意見が反映されたかどうかがわかりづらいと感じていたが、「こども若者★いけんぷらす」ではよくなったと思っている。自分の意見が反映されていてもいなくても、自分の意見が届いたと感じられることが大事で、参加しやすくなることにつながるのではないか。
  • 意見を言いやすい環境・参加しやすいという点も大事。これまでの取組ではどちらかというと「意見を言える」ではなく「意見を聴かれている」という感じがして、雰囲気もかたかった。いけんぷらすに参加してみて、職員が親しみやすい言葉遣いでオンライン説明をするなど、参加しやすい雰囲気になっている。

○櫻井委員(みもたん)

  • 第5次男女共同参画基本計画(※)が作られたときに、100ページ以上の解説資料を読まなくてもパブリックコメント(パブコメ)という制度を利用して意見が言えるよう、SNSやオンラインを活用した取組を行った結果、1050件ぐらいの若者の声を集めてパブコメで届けることができ、それが大人の会議での議論のベース(会議の資料)になった。このことは、実際にこの取組に参加した多くの若者が、うれしかった、自分の声が届いたことがわかった、一つの成功体験になったと受け止めている。
  • 今の行政のトップが若かった頃と、今の若者が過ごす時代は全然違う。そのことも考えて取り組まなければいけない。
  • 自治体の取組が重要で、取り組んでいる自治体も大事だが、取り組んでいない自治体をはっきりさせることも大事ではないか。

○中村委員(みーちゃん)

  • こどもの権利を守ることについての国の会議に関わったとき、児童養護施設で暮らすこどもたちの声を聴いたら、意見を言えない、だれにも話したくない、言っても変わらない、という意見が多かった。こどもの意見を聴いてその本人を助けることも大事だが、こどもたちが変えてほしいことの中には国が決めているルールもあり、国の制度や政策を変えることでこどもたちの生活が変わるんじゃないかと感じた。当事者の声を聴きながら仕組みを作る、当事者が参加することが大事。
  • 今年度のこども家庭庁で行う調査について、「声が上げられない」「小さな声」という表現がよくあるけれども、特に虐待を受けてきたようなこどもたちは「声が奪われている」という考えを持ってほしい。また、声にする・声を上げること自体が傷ついた体験を思い出してしまうので、フォローやケアが必要な人もいる。一方で、最もしんどい状態にある人の声は聴いてほしいし、今は聴けなくてもそういう立場の人がどう思うかを考えてほしい。
  • 委員長にお願いしたいのは、この委員会を楽しい場にしてほしいということ。

○原田委員(いおりさん)

  • 普段ユースカウンシルとして活動していて、伝えたいことは2つある。
    ①意見表明の手段として、ユースカウンシルがある。
  • 若者の意見を集めて、まちづくりに若者が参画していくというものがユースカウンシル。
    ②ふだんの生活の中で意見を反映されたと思える機会をつくってほしい。
  • 意見の表明・反映は、政策に反映されるということも大事だが、それ以上に反映される一回一回の機会が自分の人生にとっていい影響があるということを言われていた。
  • 反映のしかたも、いまある意見反映の機会は会議など特別な場所なので、もっとふだんの生活に近いところで意見反映の機会が必要だと思っている。いつもと違う特別な場所で意見を求められても言えないし、大人は何を言ってほしいのかなと考えてしまう。
  • 地域での若者の影響力が高まらないと、政策だけがよくなっていっても、こどもまんなか社会にはならないと思う。こういうユースカウンシルなどを通じて、地域の中での若者の影響力を高めるということも大事にしたい。

○古田委員(ふるてぃー)

  • ふだんから意見を言える場づくり、権利を持っているんだという意識をつくること、意見を伝えていいんだという気づきの場として学校が重要。学校というふだんの生活の場で意見表明を繋げていくということも一つの課題だし、国レベルで学校を担当している文部科学省との協力も大事だろうと思う。
  • どう意見を聴くか、どういうふうに集めていくかも大事だけれども、どういうふうに政策を決める側にそれをつないでいくのかが一番大事。
  • 政策担当者がこどもの意見を聴くだけでなくて、こどもと丁寧に話をしながら政策をつくり上げていくことも、今後考えていきたい。
  • こども基本法が施行されて自治体でもこどもの意見反映がやらなければならないものとなったが、どうしていいのかわからないところも結構多いというのではないかと思う。どのようにその自治体の取組を手助けしていくか、やってみようと思ってもらえる形にしていくか、が大事と考えている。

○紅谷委員(べにさん)

  • 医療的ケア児(生活の中で、人工呼吸器やたんの吸引など、特別な道具や助けが必要なこども)は、例えば話せないから意見がない、などとされてしまいがちだが、しっかり関われば意見があったり、気持ちを持っていることはわかる。意見を伝えるのが難しいから大人が決めてあげよう、ではなく、本人中心の対話や理解をする、分かろうとし続けることが大事。
  • そもそも言葉や、意見を言っていいということを教えてもらうような機会が、医療的ケア児はすごく少ない。その教え方や、理解する側の大人のあり方もとても大事。
  • 昨年度の調査でも言ったが、医療的ケア児が意見を言うことが難しいのは、医療的ケア児側のせいではない。半年や1年では難しくて5年10年かかるかもしれないが、その意見を聴く環境、システムなどをどのように整えていくのか、大きなプロジェクトになると思うけれども考えていかなければいけない。

○土肥委員長

  • 自分が高校生の頃から意見を行政に届ける取組をしてきて、実際に声を上げたことが政策になったという体験が、自分にとっては今の活動を始める大きなきっかけになった。この委員会も話し合うだけではなくて、形にしていくことを大事にしていきたい。
  • その点からも次の3つを、この委員会では大事にしていきたい。
    ①全員が同じ立場であるということ。こども・若者の意見を聴くというのは、意見を聴くことのみならず、こども・若者と大人が一緒になって決定をしていく、そういう場であるということだと考えている。
    ②この場自体をこどもや若者の参画のモデルにしていきたい。今日はよくある審議会みたいに机をロの字の形に並べたけれども、そもそもこういう座席でいいのかということも考えていきたいし、いつもの審議会のあり方を問い直す場としてやっていきたい。
    ③高校生・大学生の委員も入っているが、わからないことはわからないと素直に言える場にしていきたい。また多くの自治体からも注目されていると思うので、そういう意味でも、新しい審議会のあり方を作っていきたい。