本文へ移動

乳幼児突然死症候群(SIDS)について

睡眠中の赤ちゃんの死亡を減らしましょう

睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因には、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気のほか、窒息などによる事故があります。

  • SIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります。
  • 令和5年には48名の乳幼児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第5位となっています。
  • SIDSの予防方法は確立していませんが、以下の3つのポイントを守ることにより、SIDSの発症率が低くなるというデータがあります。

(1) 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう

SIDSは睡眠中に起こります。うつぶせ寝、あおむけ寝のどちらの体勢でも起こっていますが、あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが研究でわかっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。

(2) できるだけ母乳で育てましょう

母乳で育てられている赤ちゃんのほうが、SIDSの発生率が低いことが研究でわかっています。様々な事情があり、すべての人が母乳育児ができるわけではありません。無理のない範囲で母乳育児にトライしてみましょう。

(3) たばこをやめましょう

たばこもSIDSの発生要因のひとつであるといわれています。乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うことは、SIDSの発生率を高くすることがわかっています。妊婦自身の喫煙、まわりの人が吸ったたばこの副流煙を妊婦が吸う「受動喫煙」も生まれた後にSIDSの発生要因になります。こどもに関わるすべての大人は喫煙をやめましょう。

眠っている赤ちゃんの窒息を防ぐには

一日の多くを寝て過ごす赤ちゃんにとって、睡眠時の環境はとても大切です。SIDSの直接の原因ではありませんが、睡眠環境を整えることで、SIDSとは異なる窒息も防ぐことができます。

(1) ベビーベッドに寝かせ、柵は常に上げておく。頭や身体がはさまれないようにも注意。

できるだけベビーベッドを使用し、国が定めた安全基準の検査に合格した製品であることを示す、PSCマークが貼付されたベビーベッドを選びましょう。また、赤ちゃんは日々成長し、できることが増えるため、「動かないだろう」と油断せず、転落しないように、柵は常に上げておきましょう。赤ちゃんの頭や身体がはさまれないよう、周囲の隙間やベッド柵と敷きぶとん・マットレスの隙間をなくしましょう。

(2) 赤ちゃんが寝る場所には枕やぬいぐるみをおかない。口や鼻はおおわない。

赤ちゃんは、寝返りをしたり、ずり上がったり、寝ている間も動き回ります。口や鼻をおおったり、首にまきついたりしてしまうリスクがあるものは危険です。枕やタオル、衣服、よだれ掛け、ぬいぐるみなどは近くにおかないようにしましょう。

(3) 下に敷くふとん・マットレスは固めのものを使う。上にかけるふとんは使わない。

ふかふかした柔らかい敷きぶとん・マットレス・枕は、うつぶせになった場合に顔が埋まってしまい、鼻や口がふさがれて窒息するリスクがあります。赤ちゃん用の固めの寝具を使いましょう。掛けぶとんは使用せず、服装で温度調整しましょう。(※)また、保護者が添い寝をする時は、赤ちゃんを身体や腕で圧迫しないように注意しましょう。

※米国小児科学会による睡眠環境下の死亡を減らすための推奨事項(2022年版:以下抜粋(仮訳))を参考にしております。

「SIDSや窒息、ベッドの隙間等に挟まることによる機械的窒息、首の絞扼のリスクを減らすために、枕や枕のようなおもちゃ、キルト、掛け布団、ベッドパッド、毛皮のような素材、ベッドに固定されていない寝具(例えば、ブランケットやゴムのついていないシーツ)などの柔らかい物は、(生後1歳までの)乳児の寝床から遠ざけてください。」

<出典>
Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment | Pediatrics | American Academy of Pediatrics

参考