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基本政策部会(第5回)

概要

日時:令和5年7月25日(火)14時00分から16時30分
場所:こども家庭庁長官官房第二会議室(霞が関ビルディング14階)
 
【オンライン配信URL】
URL:https://youtube.com/live/b7ibAxcPnWw

議事

  1. こども大綱の各論について②
    ((4)青年期、(5)各ライフステージに共通する事項等について )
  2. こども大綱における基本的な施策の構成について

資料

議事録

秋田部会長 :皆様、こんにちは。ただいまより第5回「こども家庭審議会基本政策部会」を開催いたします。

本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日の議事でございますが、お手元の議事次第に記載のとおり、本日もこども大綱の各論及びこども大綱における基本的な施策の構成について御議論をいただきます。

なお、前回の部会において基本的な施策の構成の組替えについて御意見をいただきました。それを踏まえ、私の下で事務局と構成について整理をいたしましたので、本日の最後に議論を行いたいと存じます。

その前に、まずは便宜的に前回の部会と同じ資料を用いて、それぞれの項目について御議論をいただきたいと思っております。その上で、これまでの御議論を踏まえて、基本的な施策の構成の組替えについて御議論をいただければと思います。

したがいまして、まずは構成ではなく、それぞれの項目の中身について御意見を頂戴したいと存じます。

16時30分までの会議を予定しております。

まず「1、こども大綱の各論について①」でございます。議事に入りたいと思います。

まずは、前回御欠席の委員がいらっしゃいましたので、前回議論をいたしました「幼児期まで」「学童期」「思春期」につきまして、前回御欠席の松田委員、定本委員、村宮委員より御発言をいただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、松田委員からお願いいたします。

松田委員:松田です。

すみません。前回、講義で欠席しました。

私から手短に3点意見を言いたいと思います。

1点目は、前回の議事録も拝見いたしますと、ライフステージに共通する施策とライフステージごとの施策の整理についてかなり議論がなされたと見られました。なかなか仕分けは難しいのですけれども、大切なことは、必要な施策が必ずどこかに書かれている。これが大事ではないかと思いました。

2点目です。こどもや若者、青年期までですね。各ライフステージ時期で充実したものにするにはどうしたらいいかということが議論のテーマですけれども、その際に、これは私の意見ですが、お子様や若者御本人の生活が充実することも大事なのですけれども、それと併せて、彼らを育てている保護者や家庭の側もゆとりを持ってこどもに接することができるということが大事ではないかと思います。それは、具体的には経済的な不安がないですとか、あるいは孤立していない、仕事で消耗し過ぎていないですとか、そのようなものがしっかりなされることが大事かと思いました。これは関連する発言も複数あったように見られます。

最後の一点ですけれども、思春期、18歳までということですが、成人年齢が引き下げられましたので、18歳でもう大人なのですよね。そう考えますと、思春期というものは大人になるための直線の準備期間としてもっと位置づけていいのかなというのが意見です。具体的には、思春期のこどもたちが将来のことを考えて、学べて、それに向かって自分のことを考えられる。これはライフデザイン教育などをされていますけれども、そのような視点はあっていいのかと思いました。

以上です。

秋田部会長:松田委員、どうもありがとうございます。

それでは、続きまして定本委員、お願いいたします。

定本委員:よろしくお願いします。定本です。

ライフステージについてお話しさせていただくというのは、私には専門なのでありがたいことなのですけれども、発達心理、こどもたちが心理的に発達していくプロセスをそういうふうに分けているわけで、このライフステージという意味は、発達障害とかそういうものがあろうがなかろうが、全ての人が乳幼児期、学童期、思春期、青年期、成人期とたどっていく経過なのです。この時期にはこの特有の発達課題がある。その課題を乗り越えて次のステージに行くことが大切で、その時期に1つだけ大切な課題があって、それ以外は特に大切ではないのです。その1つだけ、それが、乳幼児期は何と言っても基本的信頼感というものを形成する。ベーシックトラストというものを幼児が獲得することが大切で、そのために愛着なのです。とにかく愛着というものを形成することが乳幼児期にできれば、基本的信頼というのは専門用語ですけれども、簡単な言葉で言えば、私は愛されている、私はこの世の中に肯定されている、この世の中に歓迎されて生まれてきたのだという感覚を受け取ることなのですよね。だから、そういうことが乳幼児期に形成できれば、その後の人生がすごく生きやすいわけです。だから、私は仕事で思春期に行き詰まっている人、青年期、成人期に鬱になっている人をいっぱい見ますけれども、やはり乳幼児期にしっかり愛着形成されて基本的信頼を獲得している人は回復も早いのです。

次に、学童期は、そういうことでだんだん大きくなって、初めての集団生活、学校に行きます。学校でこどもはいろいろな課題に直面しますね。国語、算数、理科、社会やいろいろな委員会活動や縦割りのいろいろな行事やら、その課題に直面して、それで力一杯集中して、それに取り組んで達成して、達成感、成功体験を受けて、そして、周りから褒められて自信もつける。その成功体験をいっぱい重ねて、自分の好きなこと、得意なこと、自己肯定感が生まれていって、尊重感、自分はこういうことができる、こういうことが得意なのだという体験をいっぱいして、そして、学童期を充実させる。それが一番大切なのです。だから、そういう発達課題を乗り越えるということができやすい生活を送る。

だから、乳幼児期は当然保護者が安心して、しっかりこどもと愛着形成を築かれるような環境をつくってあげないといけない。それから、学童期は親はとにかく夜寝かせて朝起こして朝御飯を食べさせる。それだけでいいのですと私はいつも言っているのです。学校に行ってうんと成功体験を積むように、今、いろいろ注目されている発達障害は、得意なこと、不得意なことのばらつきがあったり、普通の子ができることがちょっと苦手な子がいる。その子にはその子で工夫をして、絶対に失敗する課題ではなく、ちょっと頑張ればできる課題を設定して、それは必ずやり遂げる。そして、褒められる。そういうことを繰り返す工夫が教育現場に必要。学校の先生はそういう教育活動に集中していただく。こどもたちが自信を持って思春期に突入する。そういうことが小学校で実現すれば、私は不登校も減っていくし、引き籠もる子も減っていくと信じています。

次に思春期なのですけれども、思春期というのは、先ほど先生がおっしゃったように大人に移り変わっていく時期です。こどもでもない、大人でもないという不安定な時期で、だんだんと自分は何なのか、自分はどういう存在なのか、自分は何のために生まれてきて、誰のためにいるのか。そして、どんな役割を担って社会で生きていったらいいのかということを考え始める。自分を探していく時期に入るのです。だから、そこでは自信を失ったり、葛藤したりと心が非常に不安定になるし、人の目がすごく気になったり、ちょっと褒められると有頂天になるし、ちょっとけなされると自信をなくすみたいな不安定な極端な時期になって、そして、いつも不安なのです。そのときにしっかりした二者関係をもう一回求め始めますので、親あるいは親が周りの人がまた受け止めながら、依存的にすごくなると同時に、すごく反発をしたり自己主張をすごく強める時代です。だから、依存を受け止めながら、また自己主張もしっかり受け止めて、その人が、自己同一性と言われますけれども、自分はこういう存在なんだ、自分は自分なんだ、自分はこういう不得意なこともあるけれども、こういう得意なこともある。私は私なんだ。私はこの私でいいんだ。そういうことを獲得するのが自己同一性の獲得。それができるように、このこどもたちの思春期、青年期の時代を国がどれだけ支えられるかということなのです。だから、その大切なことをいかに親や学校現場や社会が支えられるかということだけに集中して、こどもたち、若者たちの環境を支えていく。私はそういう施策が実現すればいいなと思っています。

すみません。長くなりました。ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして村宮委員、お願いいたします。

村宮委員: 静岡大学の村宮です。

私は地域に焦点を当てて意見させていただきたいと思います。

こどもたちは、やはり親の下だけで育つわけではないので、学校とか家庭、そして、お父さん、お母さんや家族を含めた地域の中で育っていく。そういう環境がある中で発達していくのかなと思っているので、もっともっと地域に直接的に書かれたことがあるといいなとぱっと見て思ったのですけれども、特に学童期や思春期で起こるこどもの問題というのは家庭から離れたところで起きるのではないかなと思っていて、例えば思春期でしたら、親には絶対に言いたくないことだったり、親に相談できないからこそ起きる問題というのがあると思うのです。そういうのを誰が見守って支援していくかというと、やはり過ごしている地域の大人であったり、地域で暮らす人々が一体となってこどもを支援していくべきなのではないかなと思います。

幼児期、乳児期においても、親が単体でこどもを支援していくというのはなかなか難しかったり、間違いや失敗も多分たくさんあると思うので、そういうときに地域のさらに上の親世代であったり、地域全体として一体となってこどもを育てるという意識があると、こどもの豊かな環境での発育、発達というのが促進されるのかなとすごく思いました。

また、学校において起きる問題とか、学校でのこどもの不安などでも、地域の大人とか学校の中に入って地域がサポートしていくことで、学校の中で見えない問題だったり、こどもが実際に発言できないことを地域の大人やもっと近い人が発見できるのではないかなと思いました。

また、思春期に特に起こりやすい問題として、多くの思春期の問題がこどもたちが親や友達にも相談できないということで起こることが多いと思うのですけれども、それを地域も隠さないといけない。内緒に相談してねみたいな、周りに知られてはいけないという雰囲気があるのかなと思っていて、それがよりこどもが相談とか不安を解消できない種になっているのではないかなと思って、相談する側はもちろん言いづらいこととか不安とかを抱えているのですけれども、受け取る側の地域や大人というのはもっとフラットに様々なことがあり得る問題だということをこどもに伝えて、おかしいこととか不安に思ったり、相談しづらいという環境をそもそも地域の中でつくらない、なくしていくべきなのではないかなと思いました。

そういう点で、地域との関わりというのをもっと具体的に直接的に示していくべきかなと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございました。地域との関わりという観点の書き加えを御指摘いただきました。

それでは、続きまして、前回の「幼児期まで」「学童期」「思春期」のテーマにつきまして、今回資料を提出していただいております方がいらっしゃいますので、まずここではその委員に限って御発言をいただきたいと思います。その方もほかのステージ等も書かれておられますけれども、まずはここでは「幼児期まで」「学童期」「思春期」についての部分につきまして御発言をいただけたらと思います。

6名の委員が出してくださっていますが、いかがでございますでしょうか。

松本委員、お願いします。

松本委員: 松本です。

資料6の一番最後です。資料の最後のところに項目だけ入れて「思春期」についてとあります。ざっと全体を見てみて、高校中退の問題とか、あるいはアルバイトを含む就労しているこどもの権利保障のところは全く触れられていないような気がいたしました。思春期のところがすごく施策として分量が少ない点、もう少し書き込んでもいいと思ったのですけれども、特にここにある5点、それぞれ逐一は説明いたしませんけれども、入れ込んではどうかという意見であります。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。前回まだ十分に盛り込まれていなかった加えるべき点について御指摘をいただきました。

ほかにはいかがでございますでしょうか。資料を頂いているのは青木委員、有村委員、岸田委員、清永委員、谷口委員になると思いますが、どなたか挙手、御発言はありますでしょうか。

岸田委員、お願いします。

岸田委員: 恐れ入ります。岸田です。ありがとうございます。

今までなかった点ということで、先日申し上げなかった点で言いますと、学童期、提出させていただきました資料の6ページに幾つか書かせていただいておりますが、ジェンダーやプライバシーの配慮を学校生活の中でもということもあったほうがいいのではないかなと思っております。例えば男女別室の着替えですとか健康診断の際の配慮など、性教育の必要性ということを従来申し上げておりますが、それを日常の中に実態として確保していくということも必要なのではないかなと考えております。

また、次に行きまして、思春期につきましてですけれども、進路やキャリア選択に非常に葛藤を抱える時期でもありますので、家庭環境の格差なく等しくそうした機会が得られるような無料の居場所ですとか情報提供の拡充ということが必要なのではないかということを加えさせていただいております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

新たな論点だけではなくても、資料を出されている方で御発言されたい方はどうぞしていただけたら。いかがでございますでしょうか。

青木委員、お願いします。

青木委員: ありがとうございます。

私のほうからは、資料6-1になりますが、この後のライフのところに通じるところではありますが、体験活動についてです。居場所づくりのところでも示されていますが、やはり学校だけではなく、体験というものの意味、自己肯定感が育まれるといったところだけではなく、放課後に体験を行う意義や必要性みたいなものをうまく示していければなと思っています。1ページ目の(こどもにとって放課後や休日に体験活動を行う意義)というところで、自己肯定感が伸びるというところだけではなくて、やはり学校でなかなか見つけられない自分のよさや強み、そういったものに気づく機会であったり、学校でなかなかやりたいことや頑張れることが見つからなかった場合に、そういったことを地域で見つけるとか、または学校の中でやれることがすごく限られている中で、放課後の時間はやりたいことがたくさんできる時間であること、学校で学べないことや、学校での学びや経験を実社会で生かすことなど、今、学校での学びをいかに生きた知恵とか知識とかに結びつけるのかということが学校でもすごく求められていますので、そういったことを学校ではない場面、特に地域とか社会とかでそういったことを行うことがとても大切になってくるのではないかと思っています。また、そういった社会の中で多様な人との出会いとか交流する機会とか、学校とか身近な人たちではない人たちと関わるというところでは、地域の体験活動というのはいい機会になるのではないかと思っています。

先ほど、定本委員からもご意見がありましたが、それぞれの時期に応じて行う体験や得られる成長というものがあると思うのですが、例えば、幼児期であればこうした活動を通して家族の絆を深めるといったこともあると思います。また、体験活動の場というのは心の居場所になるといったところで、思春期のお子さんにとっては特に自分を支えてもらえるような場でもあるのではないかなと思っています。そうした中で、体験活動の現状と課題ということも幾つか挙げさせてもらっていますが、今、経済的な理由でなかなか体験ができないことがよく言われていますが、それ以外にも保護者の意向というのもとても重要になってきていて、例えば体験が少ない保護者のお子さんというのは、体験が少なかったり、なかなか体験の機会を得ることができないということもあります。

そうした中で、今後、体験活動を推進するためには、こどもの成長に応じた多様な体験の推進だけではなくて、保護者のところへのアプローチも必要なのではないかということで、1ページの下のほうにその方策をいくつか書かせていただきました。その際に、困難を抱えるこどもたち、例えば不登校だけではなくて非行とか、あとは障害のあるお子さんたち、そういったお子さん達の体験活動の充実ということもうまく施策の中で盛り込んでいければと思っております。

あと、これは後ろの体験活動のところにある読書活動のことになりますが、読書の効果というものを示すだけではなくて、こどもたちは今、読書離れが進む中で、読書好きを育てるヒントみたいなことや、どういったことを地域で取り組んでいったらいいのかといったようなことも具体的に示していくということが大事になってくると思っています。それに関連する資料を幾つか後ろのほうにつけさせていただいておりますので御覧いただければと思います。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。体験活動については全体を通して、ライフステージ全体ですが、今、各時期でこそというところについて御指摘をいただきました。

ほかによろしゅうございますでしょうか。

それでは、あとはまたそれぞれのところで御発言をいただけたらと思います。

それでは、前回のテーマについてはここまでとさせていただきまして、次の議題にテーマを移して議論をさせていただきたいと考えております。

「こども大綱の各論について②」でございますが、続きまして、今回のテーマである「青年期」「各ライフステージに共通する事項等」について御議論をいただきます。まずは「青年期」について30分程度、それから、区切りまして、続いて「各ライフステージに共通する事項等」について30分程度御議論いただきたいと思います。

なお、前回も申し上げましたが、青年期や各ライフステージに共通する事項の議論においても、基本的な施策だけではなく、例えば若者が長い社会生活を営むに当たって、青年期はどのような意味を持ち。充実した青年期を過ごすことはどのような点で重要なのか、それを踏まえて青年期の若者への支援に取り組むに当たってはどのような点に留意すべきかといった青年期固有の意義や意味ということと、それから、それに関連した留意すべき点というところについて御意見をいただきたいと思います。

では、まず「青年期」の部分で御意見、御質問のある方は、挙手をいただきましたらこちらから指名させていただきます。オンラインの皆様は手を挙げる機能を使ってお知らせください。お願いいたします。

先ほどまで御発言された方でもどうぞ御自由に、ここは青年期でございますので、また手を挙げて御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

太田委員、お願いいたします。

太田委員: ありがとうございます。

青年期についてなのですけれども、まずは一つ重要な側面として、やはり就職ということがあろうかと思います。就職と言ってしまうと少し限定され過ぎるならば、経済的自立ということだろうと思います。その際に、少し拝見してみますと、まだやや記述が足りないかなというような気がいたしました。

まず青年期に関しては、今のこの案の中で少し書かれている部分においては、賃上げの部分がやや強い印象を受けました。確かに賃上げ、若い人たちの給与水準というのを上げていくというのは非常に重要なポイントではあるのですけれども、その前の段階でやはり実際に教育の場面から職業へスムーズに移行できるというのがまずは非常に重要かなと思います。したがいまして、教育から職業へのスムーズな移動ということをある程度理念として掲げていってもいいのかなと思います。

それと同時に、これまで知られていることは、これは様々な研究がありますけれども、やはり最初の仕事というのはなかなか重要な側面がある。つまり、初職と一般に言われるものです。ある研究では、初職があまりよいものでなければ、その後もその影響が続いてしまうということが指摘されたりもしています。ですので、やはりそういった部分に関しては十分に考えなければいけないと思いますけれども、現状としてはどうかと言いますと、少し人手不足の状況で、やや若年者も就職環境は全体的にいいということではあるものの、中には非常に困難を抱えていらっしゃる人がかなりいらっしゃるということが言われています。

これは、例えば若者の職業への支援を行っている諸機関といったところで私自身が聞いた話ではあるのですけれども、やはり心理的になかなか就職に踏み込めないという若者が少なからずいらっしゃるということで、例えばコミュニケーションに不安があってなかなか自分をアピールできないような状況に置かれている方もいらっしゃいますし、さらにはエントリーシートに何を書いていいか分からないとか、そもそも就職活動に踏み込むということに非常に困難を覚えてしまうというタイプの方もいらっしゃいます。そのほかにも、様々なメンタルの要因によってなかなか就職活動がスムーズに進まないという人がかなり多いというのが現状で、そのために、現在、就職環境は若者にとっては比較的よいにもかかわらず、ある種二極化している側面というのが否めないということであろうかと思います。

したがいまして、そういった人たちに対しては、そういった機関で臨床心理士の方々が対応されていることもしばしばあるのですけれども、それが必ずしも十分に時間とか、あるいは質の面もあるかもしれません。ここは十分に調べなくてはいけないところなのですけれども、必ずしも十全だとは言えないような状況にあるということがございます。したがいまして、そういったスタート時点の就職環境の重要性ということに鑑みれば、そういった人たちに対するサポートということに関して、十分に配慮すべきであり、また、それに関する事項を書き込んでいく必要があるのではなかろうかと思います。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして定本委員、お願いします。

定本委員: ありがとうございます。

青年期ということですけれども、先ほど言わせていただきました乳幼児期、学童期、思春期の課題をきちんと充実したライフサイクルを遂げておけば、青年期というのは見ておけばいい。青年期にいろいろうまくいかないこととかはあるかもしれませんけれども、相談に乗ってあげればいいと思います。だから、青年期の時点で相談相手になれる大人がそばにいるか。そして、仲間同士、ああでもない、こうでもないと相談に乗り合える仲間ができているか。そういうことだと私は思うのです。だから、返す返すも、乳幼児期、学童期、思春期の支援をきちんとしておけば、あとはよいとそこまで思います。

ただ、今の日本で青年期が一体何歳までなのかと。実は先ほど言いました思春期の課題、自分はどういう人間で、どういう取り柄があって、誰のために何の役割でこの社会に参加していったらいいかという思春期、青年期の課題を乗り越えられていない人が日本に今いっぱいいるのです。だから。この思春期、青年期の課題を乗り越えられたら成人期。成人期というのは、自分の問題は横に置いておいて、人のために、社会のために、こどものために自分を二の次にして活動するのが成人期。その成人期に至っていない人が日本の中に山のようにいるのです。

だから、法律的に18歳で大人になってしまっていますけれども、やはり心理発達的には、18を超えてもまだまだ青年期の課題に立ちどまっているというか、青年期を乗り越えずにおられる人たちも山のようにいます。私の臨床しているところでは、35、36とか、39とか、40を過ぎてもその課題を乗り越えられなくて、結局日本で引き籠もっている人が140万人という話を聞きましたけれども、その人たちをどう引き出して大丈夫だよ、今のあなたでいいから、今のあなたからもう一回スタートしてみようという支援ができるかということだと思うのです。だから、その人たちひきこもりの人たちをどう支援して社会に連れ出すかというところに力を入れたい。

ほかにもいろいろと、大学にもっと予算をつけてほしいということはもちろんありますけれども、まずはひきこもりの人たちを一つ一つ、でも、私は不登校やひきこもりの人たちをいっぱい見ていますけれども、才能がある人、実はとてもすばらしいものがある人もいっぱいいるので、どうやって掘り出していくかというか、導いていくかというか、支援していくかということに力を入れるべきかなと思っています。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

有村委員、お願いします。

有村委員: 会場から初めての参加なのでちょっと緊張しているのですが、よろしくお願いします。

青年期、特に大学生にいつも接していると、たまにこの学生がもし18歳以下だったら児童相談所につなげるのに、など、なかなか課題は大きいが、どこかに頼る場所があるのかというと、なかなかそういかない方々とも多く出会います。特に成人が18歳ということで、もうちょっと前の時期から支援につながることができなかったものかと思う方々に出会います。思春期に入るのかもしれませんけれども、例えば中学校を卒業して、既に学校から離れて高校に進学しない場合などの居場所であったり、そのときのお子さんを取り巻く状況とかを考えると、やはりグレーゾーンが結構生まれているのかと思います。ですので、これから成人期に進んでいくにあたり積み残しをしない、成人期の前に社会として対応するよう、青年期においても、新たにグレーゾーンに気づくべきという内容は入れておく必要があるかと思います。

先ほどの定本委員からのお話にもありましたけれども、やはり孤立していたり、誰にも相談できなかったり、あるいは18歳を超えているけれども親御さんがこどもとしてケアをなさっている若者がたくさんいるかなと思います。また、精神疾患とか様々問題があった場合でも、やはり親御さんが抱え込まざるを得ないような状況が生まれているような気がいたします。そういった場合については配慮が必要かと思います。もちろんこれは障害のあるこどもたちについても同じような状況が言えると思いますので、そういった家庭だけではなくて家庭に代わる居場所も含めて、あるいはつながりの保障も含めて、この青年期にも必要だなと考えます。ご発言なさった委員の先生方とも重なる部分がございますけれども、申し上げたいと思います。

以上でございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、松本委員、お願いします。

松本委員: 発言の機会をありがとうございます。

資料6-6を御覧ください。

6-6を御覧いただいたときに、基本的な方針について(1)から(6)のところで修正の意見を述べております。その次にライフステージごととなっておりますけれども、これはライフステージごとのある意味共通するところを詰めていくと、基本的な方針のほうもいじったほうがよかろうという関係にございますので、基本的な方針のところも併せて意見を述べるということでありますけれども、これはライフステージごとにどこに重点を置くかということと、基本的な方針の作り方ということが連動しているだろうという認識の下にあります。

青年期のところですが、1点確認ですけれども、この後、子育て家族の支援という項目が入りますけれども、これは現行では青年期のところに含まれているので、そちらも併せて議論してよろしいですか。それとも分けますか。

秋田部会長: はい。お願いします。

松本委員: 併せて。

秋田部会長: はい。

松本委員: 分かりました。

そうすると、資料の3枚目の「基本的な施策における『青年期』について」というところと、その次のページの「4 基本的な施策における『子育て家庭への支援』について」というところにまたがっております。4のほうはあまり理由は書いていませんけれども、これは週末、ここで力が尽きたということでございます。必要があればまた資料を出します。

青年期のところですけれども、抜けている項目として、一つは居住の確保という問題が、特に社会的養護あるいは家族基盤が脆弱な若者について、これは大変大事な課題でございして、生活をつくっていくときの基盤でございますので、居住の確保の問題はやはりきちんと入れるべきだろうということが一点。

2点目、3点目は連動いたしますけれども、やはりDV問題あるいは親密圏における暴力の問題をきちんと対応するということを項目として明記するべきだろうということが一点。特に今般、女性支援のところで困難な問題を抱える女性の支援に関する法律ができて、そちらのほうとの連動もかなり重要になってくるのだろうと思います。これはこれまでの施策で後手に回っていたところだという認識があります。その点をきちんと書き込むということ、それと関係して特に困難を経験している女性への支援を入れるということ。特に若年女性への支援ですね。これはやはり児童福祉と、これまでの用語で言うと女性保護のはざまに落ちて、大変深刻なまま、ある意味放置されていたような問題かと思います。札幌市においてこども虐待の検証を何度かやりましたけれども、やはり若い女性が10代の後半から20代前半において支えられていないということが強く連動しているように思いましたので、ここのところは自治体レベルでも取組が始まっているところでありますので、そこを後押しするという観点で必要かと思います。

4点目、5点目、6点目のところは結婚ということの扱いについてなのですが、ここは割と早い回でそれぞれかなりの委員から意見があったと思うのですけれども、そのこととも関わります。

これはまず、原案のところで言うと、「結婚」の項目の冒頭に、多様な家族の形を尊重して、いずれの家族の形を取っても不利がないようにするというようなことをまず明記して、結婚の説明に入るというほうが、まず全体を含んで多様性を尊重するという態度を明確にして、その後、一つのライフコースの形である結婚の話に入るということがまず順序だろうというようなことです。

現行案では結婚するかしないか個人が選ぶ権利があるということがありますけれども、結婚しない場合にどうなるのだということが明記されていないわけですので、これは結婚しないということを残余的なものとして取り扱うという形になると思いますので、まずかろうと思います。

もう一つは、結婚のところの3つ目の項目、丸ポツは、いわゆる官製婚活に関することだと思いますけれども、これは削除したらどうかと思います。ここはいろいろな意見があるところであると思いますので、ぜひ議論をしていただければと思います。ただ、これは岸田委員もお書きになっておりますけれども、個人的には効果が不明確ということと、やはり性的関係を伴う親密圏の形成に国家が関与するということ自体不適当だろうというのが意見であります。

もう一つ、6点目のほうは説明を省きます。

この4点目、5点目のところを仮にこういうふうに書くとすると、2ページ目に戻っていただいて、基本的方針の5点目、仕事や結婚、子育てに希望を持つことができ、その希望をかなえるにするというところ、ここはいわゆる少子化の問題と若者支援のところに重なっていると思いますけれども、ここを「若者の生活基盤の安定を図り、ライフコースの多様性を尊重する。あわせて子育て支援の抜本的強化を行う」と基本方針を書き換えて、その中で結婚の話を書く。結婚というのも法律婚にとらわれない、いろいろな家族形成の価値があるということを明記していくことが重要ではないかと。ジェンダー平等の問題について併せて書き込むことで、先ほどの青年期のところの特に2点目、3点目の辺りと絡んでくると思います。

まず青年期については以上であります。子育て支援のところは長くなりますので、一旦切りましょうか。

秋田部会長: でも、今のつながりで、どうぞ。

松本委員: 多分2分を超えていますけれども、よろしいですか。

秋田部会長: はい。

松本委員: では、子育て支援のところですけれども、まず子育て支援という項目がステージのところで立ったこと自体はまず歓迎いたします。青年期というのは子育てをしているばかりではないのです。そうすると、子育て支援のところで、これも修正提案の基本方針の(5)のところと関わって、(5)の修正提案のところで、子育て支援の抜本的強化ということをきちんと入れるということと、子育て支援というところのライフステージが独立するということが対応しております。その上で、冒頭に子育て担うことによって生ずる不利や困難を防ぐということを共通の目標として明記すべきだと。この点も、岸田委員が子育てをすることで損をする社会からの脱却という形でお書きになっていることと趣旨は同様であります。その上で所得保障。

あと、3点目が抜けがちなのですけれども、保護者の健康を守るための休息とか自己ケアとか、そういう観点も含んで議論をしてかないと、保護者がこどもを育てる道具のようになってしまいますので、この点は明記をしたいと思います。

あと、5点目のところで、夫婦で助け合いましょうという話がよく出てくるのですけれども、ひとり親の御家族も含めて、家族、親同士ですね。夫婦ではない、個別家族を超えた協働なり相談ということが抜けていますので、その点も重要なことだとして明記するというのが重要かと思います。

ほか、書いてあること自体、いろいろ意見はありますけれども、抜けていることとして今の5点を提案しました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。重要な提案を御指摘いただきました。

続きまして、岸田委員、お願いいたします。

岸田委員: ありがとうございます。

本日、資料を提出させていただきまして、お手元の資料6-3を御覧いただけますと幸いです。

項目立てが先走って恐縮なのですけれども、ライフステージを通じた縦断的なテーマというのを前に持ってきたらどうなるのだろうかとか、あるいは子育てと青年期を分けたらどうなるのだろうかというようなことを考えながら、整理も兼ねて記しておるところですので、このような項目になっておりますが、今、このうちの青年期ということで、私の項目は青年期、子育て支援と分けておりますが、資料で言いますと7ページ、8ページのところについて申し上げます。

まず青年期につきましてですけれども、就職や結婚あるいは妊娠・出産という辺りのボリュームがあるかと思いますが、この辺りは分けていかれるということを想定しまして、まず大前提として、青年期は自身の希望と適性を生かした形で自立した社会生活の基盤をつくる時期であるということと、自己決定の尊重や自身が望む人生を選択できる支援が必要であるということが、基本方針なのではないかなと思って記させていただいております。

加えまして、ここは少子化対策と重なるところですが、今後5年の施策ということを踏まえた上では、出世払い型奨学金につきましても、その拡大について大学教育内容の改革と併せて検討が必要ではないかということを記させていただいております。

また、下から2番目のところですが、これはこども基本法の理念ということで、幼い頃から積み重ねられた主体的な自己決定あるいは意見表明の経験というものが、この時期にシチズンシップ教育へとつながり、青年期から成人期に至る若者の意見表明や主体的な社会参画、そして、社会の構築につながっていくというところのつながりがあってもいいのではないかなと思っております。ですので、この流れで被選挙権年齢の引下げについても前向きに検討するということを明記してはどうかと思っております。

以上が青年期の点につきましてでして、併せて子育て支援についてですけれども、おめくりいただきまして8ページ目のところの詳細と、あと、これは2か所に分けて書いておりまして、まず2ページ目に大項目を設けてありますので、もしよろしければそちらを御覧いただけるでしょうか。

2ページ目の後半のほうになるのですけれども、この2ページ目は何かと言いますと、ライフステージごとに共通する施策の中に子育て支援の大項目というのがあってもいいのかなと思うところをこちらに設けております。

1点目としては、少子化をどういうふうに捉えていくかというところで、現在の妊娠や出産をためらう阻害要因をなくしていくという観点で、3つの理念というものを今回考えてみました。1つ目が経済的負担を削減するということと、公教育の無償化ということに将来的に近づけていくということ。もう一つは、子育て親だけに背負わせない、社会で支えるという方針。そして、子育てによってキャリアの不利益をつくらないということで、子育てをすると損する社会からの脱却を支える3つの理念ということを考えました。

加速化プランの中で様々既に出されていますけれども、児童手当の拡大などが検討される一方で、扶養控除の縮小の検討については、やはり0歳から18歳までの一貫した経済支援ということと、それから、子育てへの将来的な安心感という意味からも維持が必要ではないかということを申し述べさせていただいております。

続きまして、あちこち行って恐縮なのですが、8ページ目のほうに移らせていただきます。

これは子育て支援策といたしまして申し上げますと、給食費も含めた先ほどの公教育の無償化と併せて、こども誰でも通園制度というのが今回設けられたということで、非常に歓迎されるところかと思いますが、やはり保育現場の負担軽減ということも併せて、人員の確保についての整備ということも子育て支援の中に明記が必要なのではないかと考えました。

また、親のキャリアの継続という意味で、父母ともに育児休業の後に復帰する際に、同じ条件でキャリアを続けられるような機会を確保するということを国の主導で企業に対して働きかけること、同時に親が育児時間を確保しながらキャリアアップをすることができること、女性に偏ることなく父母協働の養育が実現されること、そして、多様な生き方働き方が尊重される経済社会活動への変革ということを国と自治体、企業がともに推進するという基本方向性があっていいのではないかなと考えております。

そして、先ほど松本委員から御指摘いただきました自治体などが行います結婚支援策ですけれども、効果の検証が必要なのではないかなと考えております。やはり結婚そのものというのは本人のライフステージの選択をする前に関わっていくということになるので、妊娠や出産、子育てというのは本人の選択の後どう支援していくかということと少しニュアンスが異なる部分なのではないかなと考えております。ですので、やはり公費をどういうふうに使っていくかというところも非常に重要な部分ですので、まずは効果検証が必要なのではということを申し述べさせていただきます。

同時に、少子化の克服という意味で結婚を考える際には、多様な家族の在り方ということを認めていく。具体的には、パートナーシップであるとかファミリーシップについても国のレベルで議論していくということも書き加えてもいいのではないかなと、これは本日の発言として申し上げます。

以上です。よろしくお願いします。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、オンラインの松浦委員、お願いいたします。

松浦委員: ありがとうございます。

2点、青年期についてコメントさせていただきます。

1点目は、青年期の就職活動の時期等に関するルールについてです。これはここ数年政府が経済団体等に要請する形になっていますが、こども大綱の議論の中で「こどもの意見を聴く」と言いつつも、就職活動のルールの策定や運用に若者の意見がどの程度反映されているのかという点について、常々疑問を持っております。
就職活動が実質的に早期化しつつあり、インターンシップの採用選考への反映も一部認められつつありますが、「103万円の壁があるからインターンシップに参加するのが難しい」、「ゼミ活動や授業時間中にインターンシップの面接が入るなど学業との両立が難しい」など、学生からいろいろな悩みの声が聞こえてきます。

就職活動のルールをどのようにすれば良いのかということをここで議論するつもりはないのですけれども、学生に直接大きな影響を及ぼすことから、学生の声をきっちり聴いていただきたいということを、ここで申し述べさせていただきます。

2点目は、子育て期についてです。子育て期において、私が常々懸念しているのは、子育てに対する期待値の高さ、一種の固定観念やあるべき論が、子育てを担う人たちや、さらに言うとそのこどもたちをも苦しめている面があるのではないかということです。子育てをもっとポジティブに捉えていくためには、いろいろな子育てのやり方がある、あるべき論に囚われてそこまで頑張らなくてもいいんだよというメッセージを、しっかりと前に押し出していかないといけないのではないかと思います。私自身も子育て期間中、あるべき論に苦しんできた面もございます。子育て世帯に対するこれ以上の期待よりも、むしろ社会の意識が多様な子育てを受容するように変わらなければいけないということを、しっかり書き込みたいと思いましたので、コメントさせていただきました。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして木田委員、お願いします。

木田委員: 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

青年期に関連して3点申し述べさせていただきます。

1点目は前回も指摘させていただいたところで、14ページに記載のある大学教育の充実に関連してですが、やはり大学の学費高騰と世帯収入の悪化で奨学金を利用している学生さんが多くいらっしゃる中で、ほとんどが貸与制の奨学金だということで卒業とともに多額の奨学金という名目の借金を抱えて社会に出る学生さんが多くいらっしゃる。そういったことは、こどもの教育を受ける権利の保障にも関わる問題だと思いますので、速やかに給付型の奨学金の導入を検討することの明記をお願いしたいと思います。

2点目は、17ページに記載のある妊娠前から妊娠・出産に至る支援の充実というところで、これは子育て支援の項目に入るのかもしれませんが、これに関連するところで、妊娠しても検診を受けずに飛び込み出産をするお母さんがすごく多いというのを、児童相談所で働いている中で最近強く感じます。大阪府が妊娠未受診・飛び込み出産の実態調査というのをしているようなのですが、その理由として一番多いのが知識の欠如、さらに妊娠事実の受容困難、経済的問題とあるのですが、私が気になったのはやはり社会的孤立というところでした。児童相談所で見ているケースですと、生活保護を受けていてケースワーカーさんも関わっている例も多いのですが、それなのにやはり妊娠が満期に至るまで誰も周りの人は気づかず、健診も勧奨しなかったということが多々ありますので、やはりそういった妊婦さん、若年妊婦さんが多いとは思いますけれども、社会的に孤立しないような支援が必要だと思います。さらに、それはこども自身の生きる権利、子どもの権利条約に書かれている生きる権利とも関わるのだという視点も入れ込んでいただきたいと思います。

3つ目は子育て支援に係るところで、先ほど岸田委員も御指摘のところの給食費の問題です。コロナ禍で学校が閉鎖されたときに、特に経済的に困難を抱えたシングルマザーの御家庭で困ったことというのは、やはりこどものお昼御飯をどうするかという問題でした。それほど衣食住すら足りていないこどもが日本に実際に存在するということを忘れてはいけなくて、その中で食の部分、給食費はせめて無償化ということは実現するべきだと考えていますので、その点についての明記を提案いたします。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして谷口委員、お願いいたします。

谷口委員: ありがとうございます。

私は青年期について2点ほどお話しできればなと思います。

1つ目は、18歳で公的な支援が途切れてしまっていることが多いのかなと思っています。18歳で本当に支援が途切れていいのかというところは疑問に思っています。貧困家庭に目を向けたときに、既に厳しい生活をしていて、アルバイトをして何とかぎりぎりの生活をしている家庭というのは多いと思うのですけれども、アルバイトでぎりぎりの生活をしている家庭の支援が途切れてしまったら、もっともっとアルバイトをして、もっともっと学業に割ける時間が少なくなったり、もっともっと苦しい生活になってしまっている現状があると思っています。なので、貧困家庭には制度を切らさない、ほかの生活の支援を行うなどしてほしいなと思っています。18歳で高校を卒業して学生になったときに、奨学金を借りられるかもしれないけれども、では借りられなかった学生はどうなるのかとか、借りられた学生も奨学金を生活費に回せるのかなど、課題はたくさんあると思っています。なので、せめて貧困家庭に支援や制度を切らさないでほしいと思っています。

あとは、青年期に関して、就職をする時期でもあると思います。就職の際にもお金はたくさんかかっていると思っていて、新しいスーツを買わなくてはいけなかったり、面接会場に行くための出費とか、日常生活ではかからない新たな出費が出てくるのも就職の時期なのかなと思っています。就職のためにインターンなどに行きたくても、そのために該当しないといけなくてうまく時間がつくれなかったりなど、就職をする際の貧困家庭の課題は多いのかなと思っています。なので、就活への支援とか就活を一緒に考える人をつくるとか、就活をするための環境を整備する制度みたいな支援をしていく必要があるのかなと思っています。

私からは2点、18歳で支援が途切れてしまうことと就職について少しお話をさせていただきました。ありがとうございました。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、土肥委員、お願いいたします。

土肥委員: ありがとうございます。

私から3点ありまして、まず1点目に、ほかの委員からも御指摘がありました、いわゆる官製婚活のことなのですけれども、私が関わっている自治体でも自治体が主催する婚活イベントみたいなものをやられているところが結構多いなと思いますが、もちろん効果検証もするべきだなと思いますが、いろいろ書かれている課題から考えて、これが構造的な解決につながるのかどうかというのは考えなければいけないのかなと思っております。ある意味民間も取り組んでいる分野であったりはすると思いますので、出会いの場をつくるということも重要だと思いますけれども、それとともに、そもそも何で結婚できていないのかという、環境をつくっていくというか、むしろ所得の問題であったりだとか、もっと公だからこそ取り組まなければいけないテーマというのがあるのではないかなと考えましたというのが1点目です。

2点目ですけれども、大学教育のところなのですが、ここに盛り込むべきかどうかというのは議論が必要かなと思いますけれども、個人的には若い研究者が増えるような支援というのも盛り込んでいただきたいなと思いまして、私自身、大学院でマスターまでは取ったのですけれども、やはりいわゆるポスドク問題というか、このまま博士に行っても大丈夫かなみたいなこともあって、自分自身、起業をしていたのもあったのですけれども、ドクターに行くのは学費も高いですし諦めたというのもあって、そう考えている若い研究者というのは非常に多いのではないかなと思っていますし、特に私自身、今取り組んでいるこども・若者の参画とか意見反映の分野に関しても、研究者が全然まだまだ出てきていないというか、いないというような問題もあって、ここも中長期的に取り組んでいただきたいなと思います。

3点目なのですが、全体的な印象というか、大学生のことなのですけれども、どういうふうに盛り込むかというよりは今課題に感じているということで考えると、大学生活が就活のための大学生活となってしまっていることが問題なのではないかなと感じていまして、大学生であっても青年期の若者たちが、就職だけではなくてむしろもっと遊んだり、人生の中で余白を見つけていったり、よりよい人生を送っていくという視点での青年期という視点が抜けているのではないかなと感じています。

これもデータがあるわけではないのですけれども、自分が学生をしていた頃に比べると、インターンシップに行く学生が非常に増えているなというような印象を持っていまして、特にコロナの問題もあってサークル活動とかそういったものがかなり止まってしまったということもあるのですけれども、どんどん個別化していって、サークルで何かをするとか、学生団体で何かをするという、ある意味それが意味のない活動というか、就職には役立たない活動をあまりしないという大学生活になっているのではないかなと思いますし、それは高校生でもあって、いわゆる自分たちでやるNPO的な活動もボランティア的な活動も進学に役立つかどうかとかそういう視点で選択をするというふうになっていて、どんどんこう生産性に絡めとられているような青年期になっているということは課題ではないかなと思っています。

そういう意味で、この青年期をどういうふうに支えるかという意味では、よりよい人生を送るためにどんな青年期の支援が必要かという視点で全てのポイントを整理していく必要があるのだろうなと考えました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、オンラインの駒村委員、お願いいたします。

駒村委員: ありがとうございます。遅れましてすみません。

私は、14ページの青年期の大学のところで2点ほどお話しできればと思います。

大学は当然高等教育の機関であると書かれていますけれども、やはり大学でいろいろ学生と関わっている中で感じたことがありまして、一つは、大学生になった学生側が家庭内の環境、もっと言うと虐待を受けているというケースですね。大学生でも虐待、18歳になった、あるいは20歳になっても虐待を受けているケース、家族の極めてよくない状況がある。これは、先ほど貧困の問題も指摘されていましたけれども、貧困とは限らない状態でもそれが起きている。いわゆるヘリコプターペアレントみたいな感じの親がいて、学生のほうは非常にメンタル的にもまいってしまったり、生活が安定しない。こういう学生もいるということは把握して、大学側あるいは関連行政と成人した後の学生時代における家庭内の虐待問題にどう対応するのかということも一つ大事かなと思います。

それから、もう一つですけれども、これは学力とは少し関係ない問題として、発達障害のような課題を抱えている学生も大変増えているということでございまして、これは大学によってはきちんとしたサポートをしている大学もあって、そこの統計では非常に該当する学生も多いという調査も出てきております。発達障害の状況を御自身があまり理解しない、周りが理解しないまま就職活動をして、うまくいかない。あるいは短期間で退職になってしまうというケースも増えてきているのではないかと思います。これも実態をきちんと把握して、大学もそうですし、関連する行政は大学側としっかり連携した支える仕組みを用意する必要があるのではないかと思います。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。私も大学人として、大学生の発達障害が増えているとか、それによって就職をするときに大変困難である。それで就業が続かない。その後どういうふうにそれを支援するのかというのは、今、大きな課題の一つになってきているのではないかと考えております。教育から就労へというところは重要なところと思っております。

それでは、松田委員、お願いします。

松田委員: 松田です。

そうしましたら、私のほうから青年期について少子化対策の点から発言をしたいと思います。

この年齢層は、少子化対策としても重要なステージにあると思います。それは、希望する方が結婚でき、また、出産、子育てをすることができるということです。そのときに、基本的に若者のほとんどの人は結婚を希望しているということと、そして、できれば2人以上のこどもを欲しいというデータがあるということはまず押さえる必要があると思います。

その上で、これは私の研究も含めてなのですけれども、日本で未婚化が進んできたのですけれども、一番大きな要因は経済的な問題だと思います。それは、先ほど太田委員もおっしゃっていたと思いますけれども、若い世代が特に初期キャリアが難しくなっている。それが後々の結婚への移行、子育てへの移行を難しくしている。これは私の研究ですけれども、欧州諸国よりも明らかに日本が顕著なのです。つまり、やり直しがどうも利きにくいところがあるということと、恐らく正社員と非正社員の差が大きいと思います。ですから、やはり仕事の面でまずは初期キャリアを大切にするということが大事だと思います。それがひいては少子化対策につながる。

2点目ですけれども、これは先ほどから議論になっている見合いや婚活の話です。これも既存研究、これは私以外の研究ですけれども、基本的に多くの方は結婚したいけれどもできないというのが、適当な相手に巡り合わないと。これは多くの調査で出てくるところです。これについては、やはり何らかの対応が必要だというのが私の立場です。もう少し申し上げると、強い若者の方は要らないと思うのです。出会いをどんどん求めて、アプローチできる方。ただ、実際に我々の今までの研究で明らかにされてきたことは、実は我々やもう少し上の世代も周りがお膳立てしてくださって結婚している方が相当いるのです。それは見合いと職縁結婚。それが両方ともなくなってしまった現在、やはり何らかの埋め合わせが必要かなというのが出会いの場で、この背景にあります。

それと、もう一つ押さえるべきことは、構造的問題ということもあったのですけれども、民間企業は確かにやっているのですけれども、そこにやはり問題もあるということが非常に指摘されるところです。それは料金や一部の人だけが使えるですとか、また、中には信頼性の問題もあるといわれる。そこでやはり公的機関、自治体様がやらざるを得なくなってきたというのが背景かと思います。ということで、官製婚活、そういう呼び方がちょっとよくないのですけれども、これをなくすだけで若者の出会いの問題がどんどん解決されるかというと、そうではない気がしますので、私の立場としては、少子化対策としてはやはりある程度それは必要だろうと。公的機関がある程度支えながら信頼できるものだと思います。

ただし、2点です。次の2点は、1点目は、現在の支援策の効果の検証が必要だというのはそのとおりだと私も思っています。2点目は、自治体様の多くはやっていると思うのですけれども、公的な婚活はマッチングだけではないはずなのです。つまり、やっていることは、その人の相談や仕事や将来の生活設計を応援しながら伴走している。人生設計をトータルに応援している事業をされているはずですから、やはりそうしたものが公的な活動としてやるのであれば大事かなと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、原田委員、お願いします。

原田委員: ありがとうございます。

僕のほうからは、14ページの青年期への移行のところで、社会とか経済的な視点の損失とこどもの困難さが結びつけられているような気を受けました。ここではニートやひきこもりのことについて書かれていますが、重要なことは家にいるか外にいるかではなくて、その子が社会的につながりがあるのか、孤立していないかが大事だと思います。僕も親族にひきこもりの状態を経験している人がいたりしていて、そこからすると、ここに書かれている趣味とか近所での買い物をしているのは十分だと思います。たとえ毎日学校や会社に通っていたとしても、しんどさがたまってあふれ出したときに、社会とのつながりがなければ、気づかずに手遅れになるというようなこともあると思います。

こういった問題についてはまだ支援が足りていないと思います。それは、僕はヤングケアラーの支援の団体で活動していますが、よく聞くのは、高校の先生から、高校を卒業するとこどもたちを見守ってくれる人がいないから、見守りのバトンをこのヤングケアラーの支援団体がもらうことがあります。こうしたように、その子が社会的に孤立しないように、それは外から見える、家にいるか外にいるかだけではないつながりを保障できることも大事なのかなと思います。

青年期のところでは、また別の問題なのですけれども、奨学金も大きいと思います。学生の多くはほとんど奨学金について課題を持っているのに、今回はその記載があまりなくて、この辺り、大学の教育に関わるお金のことについても方針があってもいいのかなと思います。奨学金とか大学進学は青年期、就職、子育てと本当に影響すると思いますので、奨学金、あと、学費が適正なのかとか、そういうところも含めて方針を立ててほしいように思います。

あわせて、お金があるかないかで学習できるかどうかが決まるような社会とか、あとは高校を出たら大学、就活をしないといけないみたいなところの圧力があるような社会ではなくて、自分自身が歩みたい人生とか希望をかなえられることについても何か表記があるといいのかなと思います。大学の充実はもちろん、大学への進学を希望するこども・若者のことを支援する視点も必要だと思います。

最後に、学生生活だけでもしんどいながらも頑張っていたりして、そこに就活とかバイトをしている学生は本当に多くいると思います。本人が行きたい企業があるからすごく就活を頑張るならまだいいと思うのですけれども、考える時間もなく、よく分からず社会的な流れとか同調圧力で何となく頑張らないといけないみたいなのは、こどもにとっても社会にとっても本当にいいのかなと思っています。そこで、先ほども出ていましたけれども、人生の余白だったり、余暇活動だったり、多様な選択肢を立ちどまって考えてみる機会とかも重要なのかなと思います。婚活のところも、そうした余白とか余暇がないと考えることすらも難しいのかなと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、村宮委員、お願いします。ここで、青年期は村宮委員で一度区切りたいと思います。

村宮委員、お願いします。

村宮委員: ありがとうございます。

ほとんど大人とも見られる青年期において、本当に青年期を生きる青年たちは将来を見据えて選択していっていけているのかなと疑問を持ちました。妊娠とか就職とか選択の先の支援はもちろん必要なのですが、それ以前に、例えば妊娠・出産の実態を青年は確実に分かっていますかというところとか、妊娠・出産において責任を持たなければいけないということは分かってはいるとは思うのですけれども、そもそもどういう責任があるのかとか、どうやって妊娠・出産を越えていくのかというところが本当に分かっているのかというところであったり、就労に関して言えば、先ほどの意見にもありましたが、高校を卒業したら就職しなければいけない、進学しなければいけないという中で、義務的に就活をしている人というのはどれぐらいいるのかなというところなのですけれども、過酷な労働条件であったり、不正な労働環境というのもまだ隠れて存在していると思うのですが、そういうものに対して適切な権利を行使して自分で打開できるのかというところが、青年期では就職に至る前に必要な力なのではないかなと思いました。

また、大学進学のことで言えば、それこそ義務的に進学、学歴を得るために進学するとか、いい就職先に今後何となく就ければいいから大学に進学するという将来設計で大学進学をしている人はどれぐらいいてしまうのかなという疑問を持ちました。先ほどの意見と少しかぶってしまうのですけれども、目的があって何かを学びたくて大学進学をするのではなくて、学歴社会でいい地位につくとか、いい収入を得るというためだけの進学になってしまっていったら、進学した先に何も見据えられていないまま、結局また義務的に就活が訪れるというサイクルになってしまうのではないかなと思いました。

学歴においても、学歴を持っているだけで社会的格差とかへ立ち向かえるのか、逆に大学に進学しなかった人たちは学歴社会の中でどういうふうなリスクとかがあるのかというのを十分理解せずに、何となく就活、何となく進学ということになっていないかなと思いました。

妊娠するとか、進学するとか、選択した後の支援は十分拡充するべきなのは当然なのですけれども、選択する以前に十分正しい教育とか社会の実態とか隠れたルールというのをもっと直接的に教えていかなければならないのかなと考えます。やはり社会の実態とか隠れた部分というのは、教えることによる青年へのリスクとか悪影響というのも若干あるかもしれないのですけれども、そのリスクを負ってでも正しい知識を身につける必要があるのではないかなと考えました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

青年期はここで終わりとうっかりお伝えしましたが、矢島委員が手を挙げてくださっております。矢島委員、お願いいたします。

矢島委員: いろいろなポイントがあるので、皆さんの意見を伺っているうちにタイミングを逃してしまい、すみませんでした。

3点申し上げたいと思います。

1点目は、やはり未婚の問題ですとか子育て家庭のゆとりということについては、ほかの委員の方からも御指摘があったように、経済的な問題、ゆとりが非常に重要だと思っています。これは、若い世代の所得を上げるということが具体的に書かれていますが、若い世代だけではなくて、40代、50代の子育てにお金がかかる世代の実質的な手取りの減少等の問題も深刻かと思います。

ここで、賃上げと言うと、国から企業へのお願いベースではないと無理なのかとか、それでほとんど実現しないということがありますけれども、改めて先進国において国民が豊かになるメカニズムというのを考えたときに、生産活動において技術が高度化して、それに伴い産業構造が変化して生産性の高いビジネスが次々と生まれるみたいな単純化したモデルを考えると、そのために国は産業振興や技術開発の予算をつけて、これは国民のお金で投資をしてきているわけなのですよね。ですので、最終的にその効果は国民の労働価値が高まるというところに落ちるはずだということが大原則としていま一度確認される必要があると思うのです。それが、今はAI活用などで技術開発が進んできた結果、人から仕事を奪うとか、労働者の価値の向上として還元させないみたいなことが肯定されているかのように見えているということが非常に問題かなと。そして、現在も国は、企業に新たな技術開発や産業振興の予算をつけているわけですけれども、今後、そうした予算措置をするときに、その成果がしっかりと日本の労働者の労働価値の向上に結びつくかまで監視していく。あるいはそうした動きをすることを国からの助成の条件としていくということまでが必要なのではないかと思います。一時期盛んに言われたトリクルダウンみたいなことは起こらないことが分かっているわけですから、もはやもっと積極的に国民の労働価値を上げるということに国が企業への働きかけを強めていかないと、早晩、本当に日本は先進国と呼べなくなるだろうということが非常に重要な問題かと思います。

一方で、社会保険料や税が控除された後の手取りの減少という問題については、国が直接改善できる余地もあるので、やはり年少扶養控除の復活であるとか、児童手当や高校無償化における所得制限の撤廃ですとか、そういったことも早急に実現させることが必要ではないかなと。また、うわさベースで高校生の扶養控除も廃止するみたいなことが出るということは、そういう案が出るだけで出生率を下げているのだということを認識することがとても大事だと思います。

あと、地域の子育て支援なのですけれども、非常に短くまとめられていて、既に様々な支援プログラムがあるのでこういった形になるのだと思うのですけれども、大事なのは、こういう子育て支援の結果、安心感が醸成されるということなので、そういった様々なプログラムがどの地域でもすべての子育て家庭でしっかりと受けられるように、量的に、それから、アクセスという意味では面的にちゃんと充足させるということが必要かと思います。今、非常に地域格差もありますし、新しいプログラムは本当に一部の人しか利用できていないというものも多いかと思います。今、提唱されている誰でも通園制度みたいなものも、本当にこれまで給付の対象になっていない3歳未満児の、親が就業している等の保育事由を持っていない家庭、こういった家庭がどの程度利用できるレベルで整備するのかということをしっかりと明らかにすることが大事だと思います。この問題は、もともと次世代法では当初から全ての家庭の子育て支援というのは打ち出されていましたし、一時預かり、いわゆるリフレッシュ等の私的な目的を対象に非就労家庭も月20時間の利用という方針が随分以前から打ち出されているのですよね。それが実際には自治体が対応していませんし、自治体間の格差が非常に大きいので、それが期待できないサービスになってきたという経緯があります。ですので、しっかりと量的に充足させると同時に、そうした支援が受けられることを、こどもを持つ前から周知していく。それによって安心感を醸成していくことの必要性を明記していただければと思います。

最後に、子育てと仕事で、女性と男性がともにキャリアアップと子育てを両立するというのは大変重要な視点で、今、企業においては女性が就業継続を実現するようになり、今後の活躍も期待がされるということはとても前進ではあるのですけれども、一方で、正社員の働き方がまだまだ長時間で厳しい中で、従来それが男性の働き方だったのですが、これが女性も正社員は長時間労働だ、みたいなことが起こってくると、子育て家庭の生活が非常に厳しいものになってしまう、こどもの生活が犠牲になってしまうという危険性があります。ですので、男性のこれまでの働き方やキャリアの在り方に女性を合わせるのではなくて、男女ともに新しい形でのワーク・ライフ・バランスの実現や多様なキャリア形成を図りながら、この両立を果たしていくという視点を入れていただければと思います。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございました。

それでは、ここで青年期については一旦一区切りとさせていただきます。

それでは、先ほどお話ししましたように、次に「各ライフステージに共通する事項等」にテーマを移して議論をしてまいりたいと思います。

皆様御承知のように、私のタイムマネジメントが悪く、30分ではなく、かなりの時間をここまでに使っておりますので、でも、できるだけ多くの方に御発言いただきたいので、お一人2~3分程度で御発言いただけますとありがたいです。

どなたからでもお手を挙げていただけましたらと思います。よろしくお願いします。

では、松本委員、ありがとうございます。

松本委員: 提出資料の3ページ目になりますかね。「基本的な施策における『縦断的な施策』について」というところに幾つかのメモがございますので、そちらを御覧いただければと思います。

まず一点でございますけれども、やはりこどもの権利に関するアドボカシー、権利擁護の促進ということをきちんと明記して、併せて救済機関等のアドボケートの機関を創設するという方向をきちんと書き込むということが全体を通して重要なことではないかと思います。

こういうふうに書いたときに、1ページ目の一番最初に戻っていただいて、基本的な方針のところで、最初のところに、現在の整理では意見表明と自己選択・自己決定の主体としてこども・若者を認識すると。これは大変重要な観点だと思いますけれども、やはりこどもの権利全体、こども・若者権利保障を目指すということを最初において、その中の一つとして自己選択・自己決定というような主体として見るというようなことを入れ込むということにしたらどうかと。そうすると、それと今の縦断的な施策のところで権利の問題を最初にきちんと書くということが対応しているのではないかと思います。

あと、修正提案の(1)のところはほかの理由もありますけれども、これは見ていただいてと思います。

2点目ですけれども、虐待とか貧困とか、そういう問題をもう少しきちんと位置づけたらどうか。あとは健康、障害の問題であります。これは、基本的な方針のところでは(4)です。「全てのこども・若者への対応を基本としつつ、こども・若者の現在と将来が虐待・貧困などその生まれ育った環境に左右されないようにする」とあって、全てのこどもというのが先にあって、それとは別に貧困とか虐待の問題があるというふうにメッセージが読めてしまうと、これはやはりまずいと思います。大変残余的、限定的な問題として扱っているというふうになります。

考えますと、これは3つの大綱に向けてということになりますと、その一つがこどもの貧困に対する大綱なので、やはり貧困の問題をかちっと前に出す。部分的に入れ込むのではなくて前に出すということが必要かと思います。それは全体に共通する権利の問題の次に貧困の問題をきちんと全体に共通する問題として書くということと、基本的な方針にそれを独立させるということが対応するのではないかと思います。

それと関わって虐待の問題、もう一つは健康の毀損あるいは障害の問題ということも、残余的な問題というよりは全体に関わる問題としてきちんと入れ込むというふうに構成してはどうかということが2点目であります。

3点目は、ここにありますけれども、費用の軽減と貧困による云々、これを入れたらどうかと。これ前回から議論になっていたところかと思いますので書きました。

4点目、5点目は省略いたします。

以上であります。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして青木委員、お願いいたします。

青木委員: ありがとうございます。

資料1の21ページに多様な体験活動の機会づくりとありますが、体験活動の推進というのはかれこれ50年近く行われていて、ずっと課題が続いているところでございます。そういった意味では、今、場づくりとか機会づくりというのはかなりいろいろな施策において行われてきているところがあります。ただ一方で、今、そうしたところへの参加というものがなかなかつながっていないというところが課題になっております。ですので、ここのタイトルとして、機会づくりに加えて、私のほうの資料で挙げさせていただいておりますが、参加促進ということも今後は大きな課題になってくると思っております。この参加促進を行っていくに当たっては、先ほども少しお伝えさせていただきましたが、こういった体験活動が、何かの力が身につくということ、それは結果として出てくるものですが、こどもの人生において、生活において体験活動はどういう意味があるのかということを分かりやすく保護者の方、社会に伝えていくということが必要になってくると考えています。そのため、先ほどお話をさせていただきましたが、こどもにとっての放課後や休日に体験活動を行う意義をこちらの文面のところにもうまく入れていただけるとありがたいと思っております。

今回は学校教育における体験活動というものには触れておりません。地域、休日の時間を大切にするという意味で、こどもたちの成長にとって様々な体験を行うことが、実はこどもが力を身につけたり、いろいろな問題の解決につながったりということもありますので、そうした環境をつくっていくということをうまく伝えていければいいかなと思っております。

その上で、今回、議論の中でライフステージごとにどういう施策を行っていくのかといった中で、体験活動については途切れて行われるものではないので、ある年齢期においてこういったことをある程度力を入れてやっていったらいいだろうということを示す必要があると思っています。そうしたところで言うと、私の資料の中でスライドの10枚目に年齢期を踏まえた系統的・体系的な体験活動の推進ということを挙げさせていただいております。体験活動を推進するに当たり、年齢期に応じてどういった体験をある程度力を入れてやっていったらいいのかを考えていくと、やはり幼児期は家族であったり身近な人との関わりや、自然体験というものを大事にしながら、学齢期、児童期に上がってきたタイミングでは、仲間との集団生活や、活動を通して達成感とか充実感とかを味わいながら自分自身の力を感じていくといったことも必要になってくるであろうと思います。

また、体験活動と一口に言っても様々な体験があります。自然体験だけではなく、文化・伝統体験や、科学体験、国際交流体験、そうした様々な体験をより多く重ねていくことがとても人生の中で大事になってきますので、体験活動といった場合に具体的にどういった体験というものが考えられるのかということも示していければいいのではないかなと思っております。

そうした中で、やはり年齢が上がってくる中で多様な体験を重ねていくことを考えていくことが大事と思うので、例えば高学年ぐらいから徐々にそういったいろいろな体験にもチャレンジしていく。青年期においては、社会に目を向けていくということが大事になってきますので、例えば地域に貢献する活動であったり、奉仕体験であったり、地域との関わりを深めるような体験というものも大事になってくるであろうと思っております。

このように、ライフステージに分けて並べるというのはなかなか難しいので、これまでは体験活動の推進と示されていましたが、どういった体験をどの時期に推進をしていくのかということもこういった中で盛り込めていければいいかと思っております。

あと、先ほどの子育てのところでもいろいろ議論がありましたが、経済的な問題というのは非常にこの体験活動の中でも大きな課題になっています。今、貧困家庭であったり、ひとり親家庭に対しては経済的な支援というのが行われておりますが、その中で一般的な家庭においてもどう支援していくのかということも考えていかなければなりません。そうした中で、例えば体験活動に参加した費用に関しては税額控除の対象にするとか、要は保護者にとってもメリットがあるよということを示していかないと、こどもの教育にとって必要というだけではなく、子育ての家庭にとってもメリットがあるような状況もつくっていけると、子育て支援にもつながってくるのではないかなと思っております。

あと、もう一つなのですが、こうした地域の活動と学校の活動をつないでいくといった意味でも、学校の先生にも生涯学習であったり地域連携ということを学んでいただく機会も必要になってくると思います。社会教育士については学校教育に関する学びは入っていますが、教職課程では生涯学習という科目が入っていないので、今後、教職課程において必修化を図れるといいかなと思っております。

私のほうからは以上です。ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、木田委員、お願いいたします。

木田委員: 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

私からは、各ライフステージに共通する事項の22ページに掲げてあります、こどもの人権・権利について意見を述べさせていただきます。

その前提として、先ほど松本委員のほうから、基本的な方針の1つ目にこどもの意見表明に限定せず、広くこどもの日本国憲法、子どもの権利条約にのっとり、こどもの権利保障を中心に置くという提案がなされまして、それについて基本的に賛成です。

ただ、子どもの権利条約は、1回目の議論で申し上げたとおり、こどもを権利の主体としてパラダイムシフトするというのが要ですので、やはりこどもの権利主体性を確保してあらゆる権利を保障するということを提案します。

その上で、この各論といいますか、各ライフステージに共通する事項のことですが、現在の案ではこどもの人権・権利の周知ということが書いてありますが、それでは抽象的過ぎると思っていまして、こども基本法にも第1条で子どもの権利条約の精神にのっとり、こども施策を総合的に推進すると書かれていること、さらに、我が国は子どもの権利条約の締約国として定期報告を行っていますが、第4回、第5回の定期報告に対する総括所見の第8パラを見ていただくと、委員会は、締約国が、条約が対象とする全ての分野を包含し、かつ政府機関間の調整及び相互補完性を確保する包括的なこども保護政策を策定することを勧告しているのですが、これがまさに我々が今策定しようとしているこども大綱に当たると考えています。この勧告に応答する包括的・総合的な施策であることを明記する、きちんと世界にこういった包括的・総合的な施策をこども中心にこどもの権利主体を認めて策定しますということをしっかり表明する必要があると思っています。ですから、こどもの人権・権利の周知にとどまらず、子どもの権利条約に基づく包括的・総合的な施策の実施、さらに、国連のこどもの権利委員会による一般的意見や総括所見の尊重ということの明記も提案します。

2つ目に、その上で、こどもの権利教育という視点が全く書かれていないのが前回に引き続き懸念しております。やはりこどもの権利主体性を幾ら掲げても、こども自身が、自分自身が権利の主体であることを知ることができなければいけないわけですので、まず学校教育、その他代替的教育、あらゆる学習の場でこども自身がこどもの権利を学ぶ機会を保障することを提案します。例えばイギリスではこどもの権利教育の導入、Child Rights Educationによってこども自身の自己肯定感や態度を改善して、さらに相手の権利も尊重できる。さらにいじめも減少して、学校自体がこどもにとって安全安心な場所になったという報告もありますので、こども自身が人権について学ぶことはもちろん、自分自身が権利を持ってそれを行使して、それに他者の権利も尊重するという人権のための学びを含む包括的な権利教育のことを明記するべきだと思います。

最後に、それをこどもだけが学んでも、こどもに関わる大人がこどもの権利について全く認識がないと、それ自身がこどもの理解に及びませんので、学校、教職員、社会的養護に関わる職員、さらに公務員、司法関係者がこどもの権利を理解して促進するということについて、具体的には、こどもの権利を学ぶ研修を行うということを盛り込むことを求めます。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして有村委員、お願いいたします。
 
有村委員: 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

それでは、私、本日、資料6-2を提出させていただいておりますので、こちらに基づいてお話をさせていただこうと思います。

その前に、まず障害児支援のところを23ページに書いていただいているのですが、ここは各ライフステージに共通する事項の困難な状況にあるこども・若者、家庭の支援の中に入れていただいているところでございます。けれども、これもやはり様々な発達というところも考えると、それぞれの段階にも関連する内容はきちんと入れ込んでいく必要はあるのかなというのが一つです。

あとは、今日は時間が少ないので、資料6-2にまとめたところだけ提出させてだきました。何度も重ねて周縁化とか障壁の話ばかり出しておるのですが、基本政策部会のこれまでの議論においても、少数派であったり、子育ての課題、生活の困難に直面しているこどもや家庭、様々な方が存在することや課題が指摘されています。ただ、それぞれの課題をいかに大綱の中に盛り込んでいくのかというところでは、取り込むための構図や仕組みというのをきちんと議論しておかないといけないところがあるのかなと思います。これは章立てよりも、一歩踏み込んで検討する必要がある部分かと思い、その議論に何とか寄与できないかなと思っています。

時間の関係もあるので、読み進めていただければと思うのですけれども、やはり社会的障壁、どちらかというと中心から疎外されがちになったり、あるいは阻害されて周縁化された方だからこそ見えるところが結構あるかなと思っております。松本委員のお話にもいっぱい出てきたので重なるところはあるのですが、障害もそうですし、社会的養護もそうですし、その方々の声をきちんと聴く。ただ、それを各論にするだけではなく、グラデーションのように捉えて、全てのニーズとして考えていく必要があるのかと思います。

特に3ページのところの上です。これもほかの部会でも出したところですが、私はパラ17、パラ18を出しましたけれども、やはり社会的な障壁になっている部分というのがどうしてもあって、その部分の指摘を受けているわけです。この会議あるいはこども家庭審議会の範囲を超えてしまうところはあるかもしれませんけれども、先住民族の問題であったり、被差別部落の問題であったり、国籍の問題、今回の議論には出ていない部分などもあって、こういったところもきちんと全てのこどもたちというのであれば考えていかなければならないところがあるかなと思います。

3ページの下のところに構図(試論)と書きました。自信がないのですが、あえて図示化してみたらどうなるかまとめてみました。こういったものが子育てですよと決めてしまい、そこから外れてしまうと、あるいは遅れたり、乗り切れない方々、あるいはいろいろな背景によってそこの枠で考えられない方々なども出てくるかと思います。右上の②のところにオレンジ色の丸をつけてあります。例えばここが周縁化されたグループであったら、支援のニーズとしてきちんと捉えていくこと自体は重要です。これまでの議論でもたくさんあったと思います。そこから見たときにやはり障壁、あるいはスティグマであったりというものが見えない形で埋め込まれているところはあるかなと思います。でも、そこに感じているニーズというのは案外グラデーションのようなもので、右か左かというわけでもないところがあります。線引きをしてしまえばまた違うところはあるかと思うのですけれども、線引きできないものが多いかと思います。

4ページの上の⑤のように、たくさんのニーズを普遍性に気づくことでインクルージョン、すべてのこどもと言えるのではないかなと思います。このような部分をどうしていけばよいかについて考えていく必要があると思いました。

4ページの下、まとめのところまで書いてみたのですけれども、大綱に支援などの方針だけではなくて、周縁化された当事者から学ぶ部分、これをそう書かなくても明確に意識して組み込むことはできるのではないでしょうか。例えば個別のニーズについて書き込む際、それぞれの当事者やニーズを検討して、支援について考えるだけではなくて、全てのこどもや家庭に通じるニーズとか社会的障壁も抽出してはどうか。

それから、これは松本委員もお話しいただいたところですが、やはり独立型アドボケートなどだけではなくて、様々なアドボカシーの形態などもあるわけなので、権利の問題、権利擁護も含めて、もう少し幅広くここで打ち出していく必要もあるのではないか。

それから、エビデンスに基づく評価のところも、単に集計して集計値を見ていったり、全体はどうなのかというのを見るだけではなくて、やはりエビデンスとして周縁化されたニーズをどう把握していくかところも戦略として考えていく必要があるのではないかと思います。ここは、やはり何に気づくかというところでは、当事者との対話とかということも必要かと思います。

最終的に、繰り返しになりますけれども、いろいろ各論として出ているものからいかに全てのこどもたちの育ちあるいは子育ての環境を考え直さないと、こども家庭庁でこうやってこども家庭審議会が取り組んでいること自体の意味が失われてしまわないかというところを心配しております。そこはぜひうまく、大きく構図を変化させる形ではなくても、御検討いただけれる部分かと思うところです。

以上でございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして定本委員、お願いします。

定本委員: ありがとうございます。
 
ライフサイクルの共通したこととして申し上げたいのは、せっかくライフステージのことを出されているので、先ほど申し上げたように、それぞれのライフステージで発達課題がある。その発達課題を乗り越えることができずに、つまずいて取りこぼしたまま年を取っている人が結構少なくないのです。その人たちが立ち直ることを支える。例えば乳幼児期に愛着が形成されなかった人が、必ずその後一生できないかというと、そういうことはないのです。次のステージに行ってもう少し丁寧にすることで回復できる人もあるのです。だから、決して諦めず、そのときそのときに。どういうことが鍵になるかというと、やはり人との関係性だと思うのです。だから、関係性を提供する。決して孤立させずに、関係性によって乳幼児期、そして、学童期の自己肯定感みたいなものが取り返されるような環境を整えながら、その人その人にゆっくりじっくり大人になってもらったらいいという社会でいてほしいということがあります。特に思春期、青年期に非行とかひきこもりに陥っている人たちの育て直しというのを現場ではやっているわけで、そういうことも地道にやっていて、そこで立ち直る人たちもいるので、そういうことにお金や目をかけて興味を持ってほしいなと思っています。

あと、取りこぼしたまま、もう少し言えば、親になった人たちでも青年期の課題を乗り越えていない人たちも実際にいるのです。若年妊娠・出産とかありますし、その人たちも、やはり寄り添いながら、その人、親自身がちょっとずつ経験を積みながら大人になればいいという姿勢、親になったのだからこうでないといけないってやってしまうと、やめてしまう、逃げてしまうとなるので、やはりあなたのままでいいからそこから始めようという姿勢でいくと全然違うと思うのと、それから、そこそこ課題を乗り越えつつある若者というのは、私から見て本当にしっかりしている。今の若者たちは本当にしっかりしている。昔はそうだったかなと思うぐらい、今、情報もいっぱい来ますから、今の若者は本当にみんなしっかりしているので、私はライフステージというのはだんだん大人が介入を減らしていく。幼児期などはしっかり守ってあげなくてはいけないし、学童期も必要なことをちゃんと教えてあげないといけないのです。特に性に関する性教育なんてしっかり教えてあげなくてはいけない。だんだん思春期ももちろん二者関係は必要だけれども、青年期になったら大人がそんなに介入せずに放っておくというか、見守るというか、相談に来たら教えてあげればそれでいい。相談にちょっと乗ってあげるだけでこどもたち、若者たちは本当に自分の道を歩んでいくので、もっと青年期を信用して、後押しするだけでいいと思って、若者たちの情報力とかIT能力というのは私たちをはるかに超えているので、むしろ大人が教えてもらうとか助けてもらうということで若者の力を活用させてもらうというぐらいのほうがいいと思っていて、そういう意味で、先ほどの土肥委員の意見は本当に賛成で、大学はもっとゆっくりさしてあげたほうがいいと。私はよく海外の若者にも会いますけれども、海外などは4年の学生が終わったら1年間フリーでバックパッカーで旅行しているのですよね。その途中で寄ってくれたりすると全然違う。だから、日本の若者はいい子たちがいっぱいいますけれども、本当に就活で大学生活が終わってしまって気の毒だし、もったいないし、だから、青年期に失敗とか進路変更などはどんどんあっていいわけですから、そんなに早く自分の人生を決めなくていいのですから、その間にどれだけ経験を積むか、どれだけ出会いをたくさん得るか、そこで本当に宝物がいっぱいまた、そういう経験や出会いが宝ですから、そうやってゆっくり大人になってもらったらいいと思っていて、だから、大人があまり介入し過ぎないほうがいい。あまり婚活とかはしてあげなくていいと思っております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして清永委員、お願いいたします。

清永委員: ありがとうございます。清永です。

資料1の5ページにございます基本的な方針の中に何かが足りないなとずっと思っていたのですけれども、誰もが安全安心に生きていける社会をつくるというような、もっと言うと、互いに助け合える寛容な社会をつくっていくというような言葉がどこかに必要なのではないかなと思いました。もっと言うと、各ライフステージに共通する事項として、犯罪の被害、もしくは加害者化しないといった対策を入れるということが必要なのではないか。

というのも、今、資料1の10ページにこどもの安全を確保するための環境整備というのが入っておりまして、11ページにいじめが入っています。13ページに非行少年を生まない社会づくりというようなことが入っていて、青年期には何も入っていないということで、この安全に安心して生きていくといった大事な根底のところが途切れ途切れになってしまっているというような状況があるので、幼児のときから通貫して犯罪の被害者にも加害者にもならない。もっと言うと、災害やいろいろなことの被害に遭わない、いじめにもそうですね。被害に遭わないような安全で、そして、安心して生きていける社会という視点が必要なのではないかというのが一つ。

もう一つだけ言わせていただきますと、そのためには、大人へと育てていくための新しい教育が必要なのではないか。先ほどから定本委員などがおっしゃっていますけれども、大人になかなかなれない、なりきれない、元はなる機会を失っているというようなことがあって、生きていくのが難しい若者がたくさんいる。もっと言うと、思春期から青年期にかけては本当に様々な問題行動が噴出して、そして、拡大する時期だと思うのです。この背景には規範意識の希薄さとか崩壊みたいなものが指摘されたりしていますけれども、実際には実は規範意識は言われるほど低いかというと、そうではないですよね、定本先生。

では何が起きているのかというと、規範意識としてはこれはやったら悪いということは分かっているけれども、やってしまうというすごく乖離が生まれてギャップが生まれてしまっている。そのギャップをどうにかして埋めていくというような必要がある。そのギャップというのは、例えばいじめ、それから、犯罪、性問題、薬物乱用、不良行為、さらには生活全般にわたって若者の危機というか問題を噴出させて広げていって、これは次世代の社会の大きな問題となるだろうと思います。なので、そのギャップを埋めるような新しい教育、生きた人間関係を学べる大人へと育てていく教育というのが必要なのではないか。それが先ほど青木委員もおっしゃっていました体験教育ですとか、安全に関しても体験的な教育というのが非常に必要だと思います。

それと、イギリスなどでは、実は前回からも申し上げていますけれども、「寛容な人間を育てる」ということを非常に重要視していまして、というのも、DVですとかいじめ、性犯罪、テロなどもそうですけれども、あらゆる危機は人間関係の齟齬から生まれる。なので、この深刻な問題を解決するには、「寛容な人間を育てていく」ということを一つ大きなテーマとしています。なので、こどもたちから大人まで、心の中に自分にとって大切な存在、失ってはならないというものがしっかりとあって、そして、そこから人のつながりができていくというようなことで、この人と人とが温かく助け合える寛容な社会というのができていくのではないか。実は、こうしたメカニズムは矯正教育の原理原則ではないかと思うので、実は定本先生にもお聞きしたいと思っていたのですが、家庭も学校も我々自身も矯正教育からこうした人間関係の学びというのをしていくべきではないかなと思います。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。
 
それでは、続きまして岸田委員、お願いします。

岸田委員: ありがとうございます。

資料として用意させていただいたものを改めまして開いていただけますと幸いです。

資料6-3ですけれども、ライフステージごとの施策ということで前半に設けておりますが、ここの項目か分かりませんけれども、もしかしたらもっと前の項目にふさわしいのかもしれませんが、冒頭に基本的な問題認識として4点書かせていただいております。

まず基本的な認識としまして、こどもの生きづらさが今高まっているという現状から、このこども大綱を考える上で出発する必要があるのではないかということで、初回会合でも申し上げましたが、いじめや自死や虐待などが非常に多くなって深刻な状況であるということで、やはり現状を踏まえた上で、これまでの延長線ではない転換が必要であるということをうたう必要があるのかなと。

もう一点、こどもは発達の特性上、もともと弱い立場にあるのだということも踏まえる必要があるのではないかと。ですから、このこども基本法が掲げるこどもを主権者として認める、こどもの人権を擁護していくという方針を、社会のあらゆる場面でこどもの尊厳を守っていくのだというこの基本法の理念の価値とその共有ということを目指すのだということをうたう必要があるのではないかと。あわせまして、これを実態的なものとするために、権利が脅かされたときにそのことをこどもが分かりやすい方法で救済することの保障と、また、脆弱な立場のこどもの意見を代弁する者、先ほどもアドボケートの話がありましたが、こうした確保の必要性ということ。

3つ目に親支援になりますが、子育てをすると損する社会からの脱却というのが3点目。

4つ目に、こども時代が非常に重要だということについての社会的な合意ということを掲げさせていただいております。やはりこどもの数が少ないという時代にあって、また、子育て世帯が全世帯の中でも2割を切っているという中で、やはり社会的な合意を得ていかないと、なかなかここに公的な資金の投入ですとか、理解を得ていく上でも非常に重要だということで、こども期の重要性に対する理解促進ということも非常に重要なのではないかという点でございます。

各ライフステージごとの共通する施策として、幾つか整理させていただいたものです。抜粋して申し上げたいと思います。

第1に、先ほど来お話がありますように、こども自身がまずこどもの権利を学ぶということをぜひ学校の教科の中で入れていただきたいと思います。学校と申しましたが、もちろん就学前の段階でも関わり合いの中でこどもたちが感じられるということが非常に重要で、自分自身及び他者の権利を理解し、尊重する民主的な対話の在り方を学んでいく。これはいじめ防止教育にもつながるというのは、先ほど木田先生からもお話があったとおりかと思います。

あわせまして、健康や性の学びということをこの権利教育の中に同時に入れていく。先日の会合でも申し上げましたが、例えば教科として「生きる科」というものの創設の中で、生命の尊重と権利、多様なライフデザイン、そして、心と体の守り方、こうした学びをカリキュラムの刷新として検討いただけないかと思います。これがいずれのプレイコンセッションケアにもつながるものかと思いますので、ライフステージで横断的に必要な概念かということでここに記させていただきました。

同時に、こどもと関わる大人がこどもの権利について知るという項目です。こちらも先ほど木田先生もおっしゃっていましたが、保育士さんや教員、あるいはほかの養成過程もそうですけれども、養成の過程、あるいは資格の取得時、あるいは保育や教育の指針、また、研修、そうした様々な機会の中で確保していくことが必要であるということもこども大綱の中で併せて明記が必要ではないかということです。

もう一点、これは子育て支援とも関係しますけれども、子育て家庭への十分な情報提供ということを書かせていただいております。今日、定本委員から発達段階の情報の重要性ということを、今回改めて私もお聞きしていて非常に感じておりますが、こうした発達に対する知識を子育て当事者が教えるということはとても重要だと思います。ただ、これは今、現状では自分で情報を取りに行かないとなかなか得られない。妊娠期の中で例えば親学級というのがありますけれども、その後、それがうまくいかないときにどうしたらいいかというような情報をぜひプッシュ型で得られるような発信をいただきたいと思います。こども政策でDXというものが進んでいると思いますが、ぜひこの中で親の皆さんへの情報提供として発達の情報、また、こどもとの接し方、コミュニケーションの取り方についての情報の提供ということです。これらは不適切な養育であるとか虐待の予防にもつながるということを述べさせていただいております。

そして、先ほどお話もありましたが、もう一つは権利の救済機関の創設ということであります。これはこどもがアクセスしやすいということが重要かと思います。コミッショナー制度が各ヨーロッパにありましたり、また、国内でも自治体が独自に設けているところがありますけれども、現状では全国的な広がりというものや国での設置はまだないという段階ですので、ぜひワンストップでこどもがアクセスしやすい救済機関の創設ということを今後5年間の施策を考えていくこのこども大綱の中でぜひ明記いただきたいと思っております。

また、こども家庭庁で今取り組んでいらっしゃる、いじめに関しての第三者的な観点で認定あるいは調査をする機関の調査研究というものが行われるかと思いますけれども、こうした機関との統合ということも一つあり得るのではないかなと思っております。何よりこどもが1か所でここに行けば大丈夫、守られるのだということが分かるような、もちろん保護者もですけれども、そういった形が望ましいのではないかなと思います。

続きまして、いじめと自死の予防について書かせていただいておりますが、これは前回もお話ししているので割愛しますけれども、これまでの重大事態の事案、あるいは自死の事案の中には本当に学ばなければいけない教訓がたくさんあるわけですけれども、これがなかなかその現場の中では生かすことが難しいというところがあるかと思います。この調査研究はされていると思いますけれども、抽出した上で現場への研修ですとか、また、それのフィードバック、あるいはこどもたちの意見あるいは保護者の皆さんからの意見もアンケートなども取りながら、どれだけ周知徹底ができているのかというところの確認も踏まえて実現してほしいと思います。まさにこどもの権利侵害の最たるものが自死であると。いうことを踏まえた上で、重く受け止められればと思います。

ほかにも項目を設けさせていただいておりますけれども、例えばデジタル社会の中での育ちというような項目もあってもいいのかなと思っております。アクセスのしやすさのみならず、SNSによる例えばメンタルヘルスの問題であるとか、あるいは性的搾取などがより身近なリスクになっているということが、こどもたちの学びとともに親御さんにとってもデジタルの理解ということの促進支援も求められるところかと考えております。

全体的なこども施策の達成度を図る上での指標の必要性ということも設けさせていただきました。こども・子育て施策は実質上自治体が担うものも多く、また、地域差も大きいという一方で、やはりこどもの命や教育、そして、権利の救済に関わる施策というのは全てのこどもが格差なく享受できるということが必要であるということで、例えばこどもWell-being指標などを創設して、その検証結果を基にこども・子育て施策を迅速に改善するということを国の責務として明記するというようなことが必要ではないかなと思っております。

あと、家庭的な環境で育つことの保障ということで、里親支援ですとか、あるいは遊びの環境確保の必要性ということで、例えばこどもの声を騒音とみなさない法制度なども含めて、こういったことはこどもの意見もぜひ取り入れた形で検討いただければと思っております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして土肥委員、お願いいたします。

私の不手際で、今、こども大綱の各論の議事進行の(5)をやっているわけです。まだあと議題の2がございますので、どうぞお一人2~3分でよろしくお願いいたします。

すみません。土肥委員、お願いします。

土肥委員: 短く発言させていただきたいと思います。
 
22ページの主権者教育の推進に係る部分なのですけれども、この点が書かれていること自体はそんなに問題はないと思うのですけれども、文科省のほうでも主権者教育推進会議をやられておりますし、そこの内容と雑駁な印象も受けましたので、内容を精査される必要があるかなと思いました。

その上で、主権者教育の推進において3点具体的に盛り込めたらいいなと思っていることがありまして、一つは、文部科学省からも高等学校等の「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」の通知が平成27年に出ているのですけれども、この中で具体的な政治的事象を扱うことということが盛り込まれていまして、どちらかというと今ここに書かれているものは、地域課題に関する学習であったり、税や財政の学習等が書かれているのですけれども、リアルな政治的な課題を学校等の授業の中で扱っていくということも重要なのかなと思います。

そして、この中ですと大学等における周知啓発などの取組をと書かれているのですが、これは主権者教育の課題の一つで、高校までは主権者教育は取り組まれるのですけれども、高校でぷつりと切れてしまって大学で行われないのですよね。なので、高大接続をどういうふうにするのかというところも論点として盛り込まなければいけないかなと思いました。

あとは、全体的に学校の中だけにとどまっていて、地域の中での主権者教育、学校外での主権者教育というのもあるだろうなと思っていまして、自治体でもこども議会とか若者議会といった取組を行っていたりもしますし、要するに多様な担い手が主権者教育の担い手であるということも明記いただければなと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして谷口委員、お願いいたします。

谷口委員: ありがとうございます。

私からは、今日資料6-5を提出させていただいたので、そちらについて少しお話ししたいと思います。

この資料は、私が所属しているボランティア団体のあしなが学生募金事務局という親を亡くしたこどもたちとか親が障害を負って働くことができなくなった家庭のこどもたちに支援をしている、募金活動を主に活動している団体に向けてアンケートを取った結果になります。この事務局は全国の学生で構成されていて、実際に親を亡くしたり、親が障害を負って働くことができなくなっている貧困家庭の当事者が9割を占めています。なので、その貧困家庭の当事者に向けて、実際に経済的に困窮した過去とか精神的につらかったエピソードなどを集めることができました。なので、その結果をこの資料にまとめています。

本当に多種多様な声が集まったのですが、幾つか抜粋してお話ししたいと思います。牛乳1本でさえ買うのが苦しかった時期があった。困ったら助けを求めるという考え方を教えてほしかった。相談できる場所が欲しい。早くに親を亡くしてしまったり、親が障害を負ってしまった家庭に確実に情報が届く制度が整っていたらと思うなどの声から、実際に自分の経験した詳しいエピソードを書いてくれた学生たちもいました。その中に、両親そろって精神疾患になり、家庭環境が悪くなったこと、母親がいつ自殺してしまうか分からなくて怖かったこと、お金がなくて習い事ができなかったこと、親の話や家族の悩みを話したら離れていく友達がいたこと、経済格差による劣等感がつきまとっていたこと、仲良しな家族を見ると消えたくなる、一人娘なので親の面倒を見ないといけないのかもしれないけれども関わりたくないと思うし、そう思ってしまう自分が悪いような気がしてくるし、ここの話がちょっと長いのですが、最後のエピソードに関しては一人の学生から声をもらいました。この学生は両親そろって精神疾患になっているので、障害を負っている家庭に区分されると思います。なので、障害を負っている家庭の制度が適用されると思うのですが、障害を負っている一つの家庭の中を見てみたら、これだけの困りごとがありました。多分これが本当に貧困家庭当事者ではないと分からない声になるのかなと思っています。

今私がお伝えした声は本当に1人、2人、3~4人の声にはなるのですが、もっともっとほかにもたくさんの当事者にしか分からない声がたくさん集まっています。私がこの資料を見て再度思ったのが、一つ一つの声とか困りごとが本当に多種多様だなと思ったこと。だから、貧困家庭の課題貧困の課題を解決するためには、やはり一人一人の背景を見ていかなくてはいけない、見ていく必要があるなと再度認識しました。なので、今回提示した資料にたくさん当事者の声が集まっているので、大綱や施策などを考えていく参考の資料にしていただければなと思っています。

少し長くなってしまったのですが、私からは以上です。ありがとうございます。

秋田部会長 :どうもありがとうございます。本当に貴重な資料の一人一人の声をどのように実現できるか、貧困の問題は先ほど松本委員からも出ましたが、やはり各ライフステージというか前面のところに出していく必要があると今も伺っていて思いました。

それでは、続きまして、太田委員、お願いいたします。

太田委員: ありがとうございます。

それでは、手短に申し上げますが、日本の状況を細かく見ていく。今の問題点が挙出すということも重要なのですけれども、それと同時に、ほかの国のこどもたちと比べて日本のこどもたちはどんな状況に置かれているのかといった視点から俯瞰的に見てみるということも必要だろうと思っております。

それで言いますと、内閣府がやっている13歳から29歳の7か国の若者に対する調査があります。それは日本もその1か国に入っているのですけれども、残りは韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンになっています。その調査を見ますと、やはり日本のこどもあるいは青年に特徴的な部分というのは、自分に対する満足度が非常に低い、自己肯定感が低いということです。これは国民性的な部分ももちろんあるのだろうとは思いますけれども、それと同時に出てくる幾つかの指標を見ますと、例えば悲しいとか憂鬱だと感じている比率というのが非常に高い。ほかの国に比べて高い。あるいは将来に希望が持てないと回答している比率も非常に高いわけです。

こういった調査を見るにつけ、やはり若い人が希望を持つことができない現在の状況というのを率直に示す必要があるのではないかと。さらに言えば、それに対する背景要因の調査といいますか、そういった部分も十分にやっていくということをうたうことができないかとも思うわけです。これはつい先ほどの岸田委員からのこどもの生きづらさが最近高まっているのではないかという御指摘とも関連していくかとは思うのですけれども、そういった事実認識を踏まえた形での対応、それから、調査、原因究明をやっていくということをある程度盛り込む形がいいのではないかと思います。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして原田委員、お願いいたします。

原田委員: ありがとうございます。

僕からは、25ページのひとり親家庭について、今、この制度利用や、経済的な方針になっていますが、もう少しこどもの視点で片親がいないことの影響とその対策についても方針立てる必要があるかなと思います。

僕自身、2歳のときに両親が離婚して母子家庭になっていました。生活保護も受けていたのですが、こどもの体感として、お金がないことの困難さがあるのと同時に、父親がいないことの困難さも多く感じました。それは、学齢期とか思春期では同性の親に相談できないことであったり、青年期では人生経験の相談など、こうした課題についてもライフステージに応じて課題に対応できるように方針立てる必要があるかなと思います。

続いて、26ページのこども・若者に関わる大人の支援についての部分に関して、大人への支援というのが専門職の養成にとどまっているように思います。支援者養成も大事なのですけれども、こども・若者に関わるもっと身近な大人、地域の大人が学ぶことも重要かなと思います。

こども・若者の権利行使についても、権利はあるけれども、実効性がなければ意味がないと思います。そうならないようにするためには、アルバイトとかで関わる地域の大人とかもこういったこども・若者について学ぶ必要があるのかなと思います。実際に僕のいる兵庫県尼崎市では、ユースワーク研修を積極的に地域の人が受けているようなこともありますので、そうしたところを参考にできればなと思います。

全体を通して、行政が主語の部分がもちろん多いのですけれども、その中で社会とか地域への働きかけがもっとあるべきだと思います。あと、総じてこども・若者と施策との関わり方についてもさらに何か方針立てる必要があるかなと思います。これは、こども家庭庁ができて、様々な意見があって、大人がこどものことをもっと考えるようになると思います。でも、こどもとしては、何かを話したいときに大人が考えていることが伝われば伝わるほど、それに合わせないととか、それに忖度することが必要なのではないかなと思って、意見とかSOSを言いにくくなるし、その空気にこども・若者自ら従うようになると思います。なので、そうしたこども・若者と施策の関わり、接続の仕方というのを考える必要があるかなと思います。

最後に、こども・若者の支援を考えるときに、今は状態が改善されるかされないか、0か1かみたいな状態だと思うのですけれども、もっとグラデーションの中で行き来していること、前回の会議でもステップに段階に分けてというところがあったと思うのですが、そうした視点が必要かなと思います。こども・若者、家庭が、当事者がどんな状態でも意見を言えたりSOSを出せるというところが必要かなと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして新保委員、お願いいたします。

新保委員: ありがとうございます。

現時点で、大綱に何を書くのが優先順位が高いかなということをずっと考えていました。時々それぞれの委員から出てきた、こどもを出産すると損する社会にはしたくない、それは確かだと思うのです。そうすると、逆の言葉で言うと、こどもを出産すると少し経済的に得する社会というのをつくることを考えていかなければいけないのだと思うのです。それをするための経済的な給付、もしくは再分配をいつやったらいいのかということを考えていました。

いろいろ話が出てくると、例えば大学の進学について、給付型奨学金の話はしばしば出てきます。だから、18歳のときに現金給付もしくは給付型の奨学金の権利が必要なのだろうと思いました。一方で、今日の話の中では18歳以上の人はみんな大学に通うのかということが出てきましたが、必ずしもそうではないと思うのです。大学に進学しなかった場合、就職する場合ということもあると思うので、就職した人にとっても同じような権利がわたるといいなと思いながら聞いていました。ただ、あまり議論はなかったですね。そうすると、現金給付もしくはそれに相当するものをいつ提示したらいいのかということが、18歳の時期と、それから、前の時期はやはり出産のときなのではないかなと思います。出産のときにぽんと大きな金額が出て、18歳のときにぽんと大きなものが何か出る。こういう経済活動が、こどもを出産すると少し経済的に得する社会を考える上では必要なのではないかなと考えました。

一方で、現金給付をぽんとやる。これは幾らぐらいがいいのか、僕のメモでは360万円はどうかと書いてあって、ちょっとイメージがつきにくいかもしれないけれども、このぐらいのイメージでいいのではないかと。青年期の入り口も360万円でいいのではないかというようなイメージがあるのですが、そこでぽんと出した上で、1年間新生児期を過ごすということを経て、その後は、今まであまり議論が出ていないのですけれども、保育のことを丁寧にやることが必要なのだろうと考えます。保育所だけではなくて、認定こども園、幼稚園も含めてやっていく。ただ、その時期になってくると、親は所得を向上するということをどこかでイメージしなければいけないので、そうなってくると、現金給付よりも所得控除の仕組みのほうが経済活動として適切なのではないかなと感じました。

一方で、その間のこどもの生活ということを考えると、保育所、認定こども園、幼稚園というところで育っていく。そして、夕方、お父さん、お母さんが迎えに来てくれるということになってくると、これは幼児期までの育ちの部会でしたか。正確な名前は分かりませんが、そこのYouTubeを見せていただいたら、保育所での子ども食堂などをやったらどうなのかとかという議論があって、保育所の多機能化がある、地域と結びついていく。そういうのができるといいなと。その中の報告では保育の本来事業ではないから使っては駄目とかという話が出ていたけれども、それをもう少し使いやすくしたらどうだろうかとか、訪問型保育という話も出てきていました。こういうことももう少し活用していいのではないかななんてことを考えておりました。

以上でございます。ありがとうございます。

秋田部会長 :どうもありがとうございます。

それでは、この議事の1、こども大綱の各論についての各ライフステージに共通する事項につきましては、ここで一応区切らせていただきまして、議事の2でございます。「こども大綱における基本的な施策の構成について」ということで、主に前回の御議論を踏まえて、こども大綱における基本的な施策の構成について御議論をいただきたいと思います。

前回、まずライフステージに共通する施策を全体像として記載し、その後、ライフステージごとの施策を基に記載するほうがいいのではないかという御意見を多く頂戴いたしました。そのことを踏まえ、事務局のほうで基本的な施策の構成案を作成してくださっておりますので、事務局から資料の御説明をお願いいたします。

佐藤参事官: 官房参事官の佐藤です。今日もありがとうございます。

資料2の御説明に入る前に、事務局のほうから2点、これまでの御議論の関係で申し上げたいことがありまして、1点目が、今日の部会は、前回の部会までもそうですけれども、いわゆる権利救済機関の話が出てきますが、権利救済機関の話に関しては、こども家庭庁設置法案、こども基本法の審議過程でも様々な意見がありました。その中で、まず、個別の権利救済は自治体の事務であるというのが政府の立場であります。また、議員立法で成立したこども基本法案の過程でも様々な議論があったり、いわゆるこどもコミッショナーをどうするかという議論があったわけですけれども、こども基本法に盛り込まない形で与野党を超えた賛成を得て可決・成立をしています。そのことを踏まえてこの場でも御議論いただければと思います。

もう一点、松本委員から基本的な方針の御提案がありました。ありがとうございます。基本的な方針については第2回と第3回の部会で一当たり御議論いただきまして、もちろんまだそこで議論が終わっているわけではないのですが、その次の議論については、9月の文章にした形のときにまた御議論いただきましょうという話をしていました。ですので、今日の御提案については、少なくとも今回やまた次回に委員同士で御議論いただく時間がないと思いますので、9月に基本的な方針の項目立てについてもまた御議論いただきたいと思っています。

その上で、資料2は基本的な方針とも関係するのですが、9月にはある程度事務局のほうで僭越ながら起草をさせていただいて、文章にある程度したような形でまた皆様方にたたいていただく、御議論いただくというフェーズに持っていく必要があります。そのためにも、ある程度これで完全に決まりですよではないのですが、構成については仮セットのような形で、一度これで起草をしてまた9月に議論をしましょうという構成をぜひお決めいただきたいと思っています。

その上で、この基本的な施策の部分については、初回からこれまでにいろいろな御議論を委員の皆様方からいただいていますので、それをなるべく集約した形で御提示したのが資料2です。これについてももちろんいろいろな御議論があると思うのですが、繰り返しになりますが、9月にまた文章化した形で御議論をいただくので、起草をそろそろしなくてはいけないということを踏まえていただいた上で、御議論を賜れればありがたいと思っています。

事務局として今までの御議論をまとめたものが、資料2の下のほうの点で囲んだところで書いているものです。これまで、前回は「幼児期まで」「学童期」「思春期」「青年期」「各ライフステージに共通する事項等」となっていたものを、まずライフステージに共通するような施策のことを書いて、その後にライフステージごとの施策を記載したほうがいい。これはかなり多くの委員の方々から前回の部会で御指摘をいただきまして、前回の部会の場ではおおむねこういう感じではないかというところで、皆様方の御意見が一致した形になっているのではないかなと事務局としては認識しています。

また、ライフステージに共通する施策についても、こどもの年齢別に課題が異なるものがある。これは本日の部会でも個別個別の分野の中ではそういう話もありました。他方、個々の施策をライフステージごとに当てはめていくことは難しい、それぞれの施策の中でライフステージごと、段階ごとに書いてはどうかという御意見もありまして、これは極端言えばライフステージごとに項目を立てるのはやめたほうがいいのではないかということなのかもしれませんけれども、一方でライフステージに共通する事項を書いてから、ライフステージごとに施策を書いてはどうかという御意見のほうが大多数だったかなと思っています。

もう一つ、一番最後のポツは少し別の話ですけれども、子育て支援とか親支援の話が、これまで、親になった若者という位置づけで青年期のところに入っていたのですが、むしろ保護者支援というのはこどもが小さい頃から大人になるまで、それこそ全てのライフステージに関わるのではないかというお話がありました。そうしたことを踏まえて、まずライフステージに共通する事項と申し上げていたものは、今、この資料上は縦断的な施策という書き方にしましたけれども、ライフステージそれぞれに縦断的に関係するようなものについては一番最初に持ってきてはどうかと。

その上で、そこの中の書き方なのですが、なので、ここも基本的な方針の立て方自体にまだ御議論あることは承知しつつ、第2回、第3回の部会では一当たり御議論をしていただいて、基本的な方針の(4)で「全てのこども・若者への対応を基本としつつ、こども・若者の現在と将来が虐待・貧困などその生まれ育った環境によって左右されることのないようにする」といったことで、一当たりまず御議論を終えているので、まずはこの考え方に従って全てのこども・若者に関する施策から記載をし、続いて、虐待・貧困等の課題に対する施策を記載するといった形で、この(1)の縦断的な施策についても順序みたいなものが必要になってきますので、まずはこの形で起草させていただいて、文章で見ていただいて御議論いただきたいと思っています。

その上で、(2)以降が「幼児期まで」「学童期」「思春期」「青年期」でありまして、縦断的な施策のところに入らないものというか、幼児期までのところに特化したようなものとか学童期のものに特化したものについてはこちらのほうに記載するという方針でやってはどうかと。ここも、先ほど有村委員のほうから、障害児支援も縦断的に関わるものもあれば、それぞれのライフステージにも関わる、それもまさにおっしゃるとおりだと思うのですが、そうすると全部のところに書くのかという話になりますので、まずはそういった全体に縦断的に関わるものは(1)に書いておく。幼児期までだけのもの、学童期だけのものを、思春期だけのものというか、特化したものというのですかね。そうしたものは(2)、(3)、(4)、(5)で書くといった形で考えてはどうかと思っています。

その上で、子育て支援、親支援については外に出すというところで、子育て家庭への支援というのは別立てで(6)という形で並べてはどうかと思っています。

言い方を変えますと、こども・若者の視点に立ってライフステージに応じてというのが(1)から(5)まで並んでいて、そのこども・若者を育てる保護者の支援、親支援といったものが(6)のところに入っている。そういった形でお考えいただければと思っています。

私のほうからの御説明は以上になります。

秋田部会長: 御説明をどうもありがとうございます。

それでは、今御説明いただいた基本的な施策の構成につきまして、残された時間は限られていますけれども、若干延長も、ある程度御意見をいただけるところはいただいたほうがいいと思いますので、御意見や事務局への御質問等がある方は挙手をお願いいたしたいと思います。どなたからでもよろしくお願いいたします。

有村委員、お願いします。

有村委員: 貴重なお時間で手短にと思うのですが、まとめの時間とか、いろいろな御苦労をおかけすることも考えると、発言しがたいところでありますが、先ほど障害のところもお話しいただき、やはり気になるのは、縦断的な施策の①、②です。グレーゾーンや同じような課題を、例えば障害なら障害という位置づけにされていなくても感じる人たちというのがどうなっていくのかというのがあります。やはりグレーゾーンの部分というのが子育ての不安だったり大変さにも直結している部分でもありまして、そこの部分をうまく書いていただきたいなというところです。

手短にというところで、このような質問になりました。以上でございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

うまく書いていただきたいとはどう書くことかと。言い返してはいけないのですけれども、なかなか難しいだろうなとは思います。

有村委員: ②のところで課題を分けて書くとしても、そこから共通の子育てに関しての課題みたいに見えてきた部分は、やはり①のところにもしっかり盛り込んでいただきたいということでございます。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

松本委員、お願いします。

松本委員: まず、もちろんこの構成について、私自身は別の考え、意見もありますけれども、こういうところで、まず草稿を作ることを優先するということについては異論はございません。草稿の段階でまた通した形で議論することが重要だということについて賛成いたします。

その上で、今、有村委員のほうから①と②の関係のことについて御提起がありました。同じような危惧を私は持っております。うまく書くということはどういうことかということでありますけれども、うまく書くというよりも、各問題のつながりのようなものを多少意識して、それを本文に書くのか、ある種の注書きのようなもので書くのかは別にして、全体の構造が見えるということで努めてみる。そういう観点で9月の議論も行ってみる。それは事務局だけの御苦労というよりも、この委員の中でも草稿を基に知恵を出し合うようなことなのだろうと考えます。

進め方についてのお願いなのですけれども、やはり資料をまとめる御苦労が大変なところがあって、いつも直前になっていますが、9月の議論というのはかなり重要なところだと思うので、直前に変更があるということ、案として変更があるということを前提にしてでも、仮案のような段階ででも多少早めに草稿の草稿みたいなものをいただけると、やはり各委員、全体を通したところでのコメントが出てくるかと思いますので、その準備がしやすいと考えます。これが一点です。

もう一点、進め方についてなのですけれども、これは一番最初の部会で申し上げたところでもあるのですけれども、例えばこれまでの大綱、あるいは大綱にないような児童福祉法に関わるような分野等でもかなり細かい施策を書いています。細かい施策のところについては付録でかなり大部なものになるというイメージであるということでしたけれども、そこに何を書き込むかということはどこかで議論の時間があるのかどうかということです。ここはかなり大部でもありますし、どうするのかというのは今のところ全体の進め方の中では共有されていないと思いますので、そこについての見通しというものを御提示いただければ。特にこれまで既存の大綱にある部分は、大綱の書かれていることを基本にして、そこを修正していく等の作業になるかと思うのですけれども、大綱に含まれていない、関連する施策としてはかなり大きな分野が幾つかあると思いますけれども、その辺りをどう書いていくのかということについてはどのように進めていくのでしょうかということです。これは進め方の質問です。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

まずこの点、事務局のほうからお願いいたします。

佐藤参事官: ありがとうございます。

私自身も9月の段階のものは文章でお示しして、多分まあまあな分量になるので、直前にお示しして御議論をお願いしますなんていうのはとても失礼だと思っていますので、しっかり早めに御提示して、事前に御説明もしっかりさしあげて、お読みいただいて、その上で部会の場で委員の皆様同士で有意義な御議論をいただけるように、事務局としてそこはしっかり、これまでの資料がばたばたで本当に恐縮でありましたけれども、文案化したものはしっかりやりたいと思っています。

細かな施策の点なのですが、次回以降の部会のどこかでまた御議論をいただこうと思っておったところではあるのですけれども、今、事務局としての考えを申し上げますと、前回の構成の中で初めに基本的な方針、基本的な施策、EBPM、意見反映、推進体制というのが大綱の本体であって、別添でより具体的な内容の施策とか目標とか指標が載りますという話をしました。これまでの3つの大綱もそれぞれ少し濃淡があって、かなり細かいもの、子供の貧困などは割と細かめに書いていた気がしますけれども、少子化などは本体のところはそんなに細かくなかったりするのです。今回で言いますと、これは政府の中の状況のことでもあるのですけれども、いわゆるこども・子育て予算の倍増の話とか、こども・子育て支援加速化プランでやっていくのだという話があって、それはより具体的なことは年末の予算編成過程で具体化を図るということになっていきます。

何を申し上げたいかと申しますと、具体の施策については、政府部内で年末ぎりぎりまで調整をしないと決まらないものが今回はかなり出てくることが予想されます。なので、今、事務局として考えているのは、少なくとも別添に載せるようなレベルの具体的な内容のものをこの審議会の場で御議論いただくのはなかなか難しいのではないかと思っています。むしろ、この場でこれまでも個別の分野についても様々な御提案をいただきました。そうした御提案をいただきながら、秋口にこども・若者の意見を聞いた上で、年末に施策が決まる前の段階でしっかりと答申を出していただいて、そのお出しいただいた答申に基づいて政府部内でこども家庭庁がしっかりと政府部内の調整をさせていただく。その上で、こども大綱の別添として決定をするときには、政府部内の調整をした結果のものが具体的な施策としては羅列されている。それはもちろん答申を踏まえた形で、可能な限り調整をしていく。そうしたことで今のところは考えています。

秋田部会長: 松本委員、どうぞ。

松本委員: ありがとうございます。お考えについては理解しました。

危惧をしているのは、自治体のほうが自治体のいろいろな計画を立てるというときに、例えば子供の貧困に関する大綱に基づいて計画を立てている自治体もそれなりにあります。そのほかについてもそうです。それが統合されるというところで、これは自治体の計画をどういうふうに再編していくのかということがかなり自治体レベルで大きな関心事になっているということがあります。統合して大綱のところで具体的な施策というものがある程度省略されるような形になると、自治体レベルでのいろいろな取組というのが、それぞれのところでやられているところが縮小していくような危惧を持つわけです。その点をどう防ぐかと。むしろ、今、予算の倍増というお話もありましたけれども、これまでの法体系の中でやられてきたことをより促進するような方向性がきちんと出ないと、自治体レベルのところで小さくなってしまう、あるいは問題が見えなくなってしまうということが、例えばこどもの貧困の問題について担当部署をつくられているようなところがありますけれども、その担当部署はなくしましょうかという話になっていきかねないということが危惧としてありますので、それはこの場でも全体としてお伝えしておきたいと思うことが一点。

もう一つは、具体的な施策のところがかなりしっかりしていて、どういうものが並ぶか。特にそれの目標値をどう書くかというのは、かなり自治体に大きな影響を与えます。

あと、もう一つは、この基本政策部会以外にもこども家庭審議会の中に幾つかの部会がございます。私もこども貧困・ひとり親の部会に入っていますけれども、そこの部会での議論とこの全体の大綱がどう絡むのかと。それはそれで個別のかなり重要な政策分野であるという認識でいろいろな部会ができているのだと思うのです。そうすると、大綱全体の中で、個別の部会が何をするのかというようなところがやはり見えにくくなってしまうと、個別の部会のところの議論とこの大綱の議論というのはどうかみ合うのかということがよく見えないし、イメージがつかないのです。それもあるので、特にこれまで大綱あるいは個別の部会で出ているところは基本方針の中に入れ込んで、私は貧困のところではそういう話をしましたけれども、かつ具体的施策のところがそういう構造が見えるような形で並んでいるということがとても重要であるような気がします。それはまた自治体に対するメッセージでもあるように思います。なので、全体の付録に当たる部分がどういうふうになっているのかということはどこで議論をされるのかお伺いしたということであります。

以上であります。長くなりました。

佐藤参事官: よろしいですか。

私の御説明が少し悪かったかもしれないのですけれども、具体的な施策については省略はしません。こども大綱の中にもちろん入ります。私が申し上げたのは、具体的な政策についてはこども家庭審議会としての答申の中には入らない。それは先ほど申し上げたとおり、予算編成過程で結構ぎりぎりに政府部内の調整で決まっていくものがあるからということでありますけれども、ただ、その調整は答申を踏まえてしっかりやらせていただきたい。もっとシンプルに言うと、本体部分というのですかね。第1の「はじめに」から基本的な方針、基本的な政策云々で、政策の推進体制までがほぼ答申を踏まえて閣議決定するこども大綱の本体。今、別添とこれまで呼んでいたアクションプランみたいな部分というのは、皆様方の答申を踏まえて政府部内で調整いただいてまとめる。そんなような位置づけで考えているので、自治体から見れば省略をされずに具体的な施策がしっかり見える形にしたいと思っています。

もう一点、今、松本委員から御指摘のあったほかの部会との関係でありますけれども、今後の進め方の御議論をいただいたときにさらっと書いてありましたけれども、9月に基本政策部会で2回ほど御議論いただいて、部会として大方こういう形かなというのをおまとめいただいたら、審議会総会におまとめいただいたものを報告というか諮ります。その場で、この部会長である秋田部会長から基本政策部会としてのまとめとして御報告をいただきながら、審議会総会は各部会の部会長と部会長代理と若者の委員等から成り立っていますので、各部会の部会長、また、部会長代理から御発言をいただいた上で、必要な修正をした上で、最終的には、恐らく審議会総会での御議論によりますけれども、審議会の会長である秋田会長の御差配の下である程度の取りまとめがなされるということを想定しています。そうした形で、各部会の皆様方の御意見というのも可能な限り反映するような形で考えています。

秋田部会長: どうぞお願いいたします。

松本委員: 重ねての発言、申し訳ありません。

進め方について理解いたしました。そうすると、各大綱に各部会のほうから、ほかの部会からどういうふうな具体の施策を盛り込むべきかということは、9月の段階の前に各部会、それぞれのほかの部会で議論される。それを受けて部会長あるいは部会長代理が親会のところで報告されるという手順と理解して間違いがないでしょうか。

佐藤参事官: それぞれの部会の運営に応じて、そこは実は微妙に違うところがありまして、ある程度大綱の議論も意識しながら、そればかりではないのですけれども、御議論をいただくという部会もあるとも聞いていますし、例えば秋田部会長が部会長をやられています幼児期までの育ちのところであれば、むしろ指針の議論をしていまして、その指針の議論の中で関係するものというのはもちろんここの中に出てくる。だから、本体としての議論の中で結果として大綱にも結びつくようなものがあるものは、それは審議会総会の場で当該部会長からお話しいただく。そんなようなパターンもあると当該部会の担当からは聞いたりしています。

松本委員: 分かりました。

それと、もう一つは、例えばこどもの貧困のところで大綱をつくって数値目標等をつくったときに、それに関する有識者会議で議論を積み上げてつくる、あるいはその見直しをするというプロセスがございました。今回、具体的な施策のところは答申の中に盛り込まないで、別途年末にまで調整して閣議決定するというようなことであるとすれば、その後、例えば具体的な施策の見直し、あるいは達成目標をどうするか、その評価はどこでなされることになりますか。それは各部会でやるということになりますか。

佐藤参事官: ありがとうございます。

こども大綱のPDCAのチェックは、基本的にこの基本政策部会でやることになります。大綱が決定した後にこの場でチェックをいただくことになります。

なお、成果目標や指標についても、その数字そのものは具体的な施策と結構連動してしまうので、それも基本的には皆様方の答申の議論も踏まえた上で政府部内で決めたいと思っていますが、目標の在り方とか指標の在り方というのはとても大事な点ですので、それは次回8月10日の部会で御議論をいただきたいと思っています。

松本委員: 進め方について、事務局のお考えについては理解いたしました。

秋田部会長: ありがとうございます。

もう一回8月に今お話しいただいたところを議論し、9月に2回、聞いていることでは、全体の文書案で検討いただき、それが9月の終わりにある総会で、私のほうからここのものについては松田部会長代理とともに出席させていただいたところで報告をさせていただくことになります。それについて、私は別の部会の部会長もしていますが、実は同じことを午前中確認していたところで、両方の部会がそれぞれ独立に、例えば幼児期までの部会は幼児期までの話をしていてここに関わっているのですが、その議論はここには今来ていないわけです。両方出ている人は分かっているのですけれども、こちらの部会の議論も向こうの部会にはまだ行っていないわけですので、それは今後総会で議論をしたり、それをさらにブラッシュアップしていくというような形にせざるを得ないのではないかなと思っております。

認識はそれで合っていますか。

佐藤参事官: 審議会総会で、まさに今、秋田部会長がお話しされたとおり、各部会長から部会の議論なども踏まえた御発言をいただき、必要な修正をしっかりした上で、中間整理としてまず9月の段階でおまとめいただいて、10月に、これもまた具体的なやり方は次回の部会でお話ししますけれども、こどもや若者に具体的に意見を聴く取組などもした上で、もう一度この基本政策部会の場に戻ってきますので、審議会総会での議論ですとか、また、こどもや若者から出てきた意見も踏まえて、どう変えるかというのをまた意見を聴くときの後に御議論いただ

秋田部会長: どうもありがとうございます。

結局、予算も事項要求なので、細かいことが年末まで確定できないという状況の中でより肯定的、前向きな議論というのを私たちがここで出していくということが重要なところかと思っております。

松本委員: それは、各部会のところでもそういう進め方を共有するということが大事かなと思いました。

今週の金曜日にこどもの貧困とひとり親のところがあるけれども、ここでこうやって議論して、ここで大綱の話をしますよとなったら、そちらの部会は何をするのだろうと思って、その関係が一体どうなっているのかと。そこはどういうふうに了解されているのかということが少し気になったので、確認で質問させていただきました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

あと、進め方につきまして、松浦委員のほうからもお手が挙がっておりますので、若干伸びていてすみませんけれども、重要なところなので議論させていただきます。

松浦委員、お願いします。

松浦委員: 示していただいた資料の、それぞれの施策の中でライフステージごと、段階ごとに書いてはどうかという意見は、多分私の発言だと思いますので、どういう意味で申し上げたかということだけお伝えしておきたいと思います。

資料の「虐待・貧困等の課題に対する施策を記載する」の後の「縦断的な施策にあっても、こども・若者発達の段階に応じて取り組んでいくことが重要であることを記載」という部分に当たるかとも思いますが、例えば虐待・貧困政策について、縦断的施策の記述の中で、例えば幼児期はこういう施策が必要である、学童期はこういう施策が必要である、それを受けて思春期にはこういう施策が必要であるというように、ライフステージの上の階層に施策を持ってきていただくほうが、期をまたがる施策については書きやすいのではないかという意味で申し上げました。
 
ただ、これは書いてみないとどちらが書きやすいか分からないところもありますし、おまとめいただくときに大変御苦労されると思いますので、そこは秋田部会長や事務局に柔軟に御判断いただければと思います。書きやすいこと、要は分かりやすいことが一番重要なことですので、絶対にこの形式で記載しなければならないと考えているわけではありません。

もう一つ申し上げたいのは、この施策はこのライフステージに該当し、この施策は全てのライフステージに該当する、というような全体の見取り図のようなものを最初に示していただけると分かりやすいと思います。また、もし縦断的施策のボリュームが結構大きくなって、幼児期、学童期、思春期、青年期という個別のボリュームが小さくなるようでしたら、縦断的施策を1にして、各期の施策をまとめて2にして、その下の分類として幼児期、学童期等を入れて、最後の3に子育て家庭への支援を持ってくるという選択肢もあるかもしれませんので、併せて御検討いただければと思います。

秋田部会長: どうもありがとうございます。
 
土肥委員、お願いいたします。

土肥委員: 構成とは関係のないところなのですけれども、先ほど松本委員からも御指摘があったように、審議会と部会の関係性であったり、私は専門委員会のほうも関わらせていただいているのですけれども、ここの審議範囲と議論が今聞いてやっと理解できた。完全に理解できたかどうかも今、定かではないのですけれども、そのことについて、自治体にも分かりやすくというような話もありましたが、自治体のほうでも審議会がこれからつくられていくと思うのですけれども、既に関わっている自治体の中でも親会と部会をつくっていくというような検討も出ていますので、この大綱の別添になるのか、どこかに載せるのか分からないですけれども、各審議会と部会の関係性であったり、議論の範囲みたいなものの議論のプロセスを記載いただいたほうが、自治体にとっても部会をつくったり審議会をつくっていくときの参考になるのかなと思いまして、それはぜひ検討いただければなと思いました。

秋田部会長: 大変貴重な御意見をありがとうございます。

ほかはよろしゅうございますでしょうか。オンラインの方も大丈夫でしょうか。

今の御意見はとても重要だと思います。この国の中だけではなくて全国の自治体にも関わってきますので、どういう部会が立っているかというだけではなくて、それぞれの所掌とそれが今後どういう形の関係で議論がなされて、統合的・総括的にこども家庭庁としてこういうものが出ていくのかという流れや目指すところが明確に出せるように、文章だけでなのか、図などを足しながら分かりやすく作るということを御相談させていただければと思います。

本日、時間を大幅に超過しまして誠に申し訳ございません。

本日の会議はこれにて終了いたします。

本日の御発言で足りないところとか、今日の最後の構成のところ、時間の関係で延びてもまだ十分ではなかったところもあったと思いますので、御意見がありましたら事務局のほうまでいただければと思います。

次回は「こどもまんなか」の実現に向けたEBPM、エビデンスベースドの話と、こども・若者の意見反映及びこどもの施策の推進体制というところについて、8月、お盆前にもう一回議論をさせていただく。9月にはそれらも含めて全体像の草案について御議論いただくというようなことになります。

日時は8月10日の午後を予定しております。詳細は事務局より追って御連絡いたします。

皆様、どうもありがとうございました。長くなりましてすみません。