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こども政策の強化に関する関係府省会議(第1回)

概要

  • 開催日時:令和5年1月19日(木)9時00分から9時30分まで
  • 開催場所:中央合同庁舎第8号館8階特別大会議室

議事

  1. こども政策担当大臣あいさつ
  2. 全世代型社会保障構築本部決定について(報告)
  3. 今後の進め方について

配付資料

議事要旨

冒頭、本会議について、資料2のとおり開催を申合せ、その運営について資料3により確認した。

(1)こども政策担当大臣あいさつ

  • 岸田総理から、6月の骨太の方針までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示するため、本年4月のこども家庭庁の発足を待たず、私の下で、第一に、児童手当を中心とした経済的支援の強化、第二に、幼児教育や保育の量・質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、第三に、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実の3つの基本的な方向に沿って検討を進め、3月末を目途に、具体的なたたき台をとりまとめること、その際には、学識経験者、子育て当事者、若者をはじめとする有識者から広く意見を聞き、大胆に検討を進めてもらいたいとの指示があった。
  • 大胆に検討せよとの総理からの指示であり、漸進的な対策にとどまらず、長年の課題の解決に向けて一気に前進させられるよう、こども政策の強化に向けた「目指すべき姿」、また、その中で、「当面加速化して進めるべきこと」について示したい。
  • 少子化対策・こども政策は岸田政権の最重要課題であり、また、我々の存立を左右する未来への投資である。省庁の垣根を超えて、政府一丸となって大胆なたたき台を作っていきたいので、よろしくお願いしたい。

(2)全世代型社会保障構築本部決定について(報告)

全世代型社会保障構築会議の清家座長から、資料4に基づき説明の後、以下の発言があった。

  • この30年ほどを振り返ると、少子化対策は、1989年の「1.57ショック」に続く「エンゼルプラン」から始まっているが、ここ10年ほどの間で特に大きかったのは、社会保障制度改革国民会議において、社会保障と税の一体改革の中で、消費税の引上げに伴い、年金・医療・介護に加えて少子化対策を大きな柱として焦点を当てたことである。報告書では、少子化対策こそ社会保障制度改革の一丁目一番地だと明記し、消費税引上げのうち0.7兆円を少子化対策の充実に振り向けるべきとし、さらに0.3兆円を別途財源確保して、合計1兆円規模での充実を行うべきとした。このうち0.7兆円については実現したが、0.3兆円分の別途財源についてはまだ実現していない。
  • 全世代型社会保障構築会議の報告書にもあるとおり、こども・子育て支援は一時的ではなく恒久的な政策であり、恒久的な政策には安定的な恒久財源が必要。様々な財源のある中で具体的財源をどうするかは政治の決定に委ねられるべきことだが、財源は確保すべき。
  • 社会全体で子育てを全力で応援していくという強いメッセージを出していくことも重要。
  • 子育てをしている人としていない人の間で、また子育てをしている人の間でも分断を生じさせないという視点も大切。全世代型社会保障構築会議では、委員から、児童手当の所得制限は子育て世代を分断することになってしまっているとの意見もあった。税財源での給付には所得制限はあってしかるべきということはある一方で、子育て世代を皆で支援しているというメッセージ性からは、児童手当の所得制限を見直すことも考えられる。

小倉大臣から、以下の発言があった。

  • 子育て世代の多くが、子育てに温かくない社会である、子育てを応援してもらえていないという感覚を持っている。こども政策は、なるべく、子育て世代とそうでない方の分断や、子育て世代の中での分断を生じさせないようにすることが重要であると改めて感じた。今後の議論に活かしたい。

(3)今後の進め方について

事務局から、資料5に基づき、こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識について説明があった。

小倉大臣から、以下の発言があった。

  • 中身のある熱い議論をしなければ国民の負託にこたえられない、そういう気構えで構成員の皆さんには参加してほしい。
  • 日ごろの業務の中で様々な関係者や現場の方々から聞いている課題や、また、そうした立場や省庁の垣根を超えての個人的な意見でよいので、積極的に議論してほしい。

それを受け、構成員から、以下の発言があった。

  • 保育について、保育の人材確保や質の向上が課題として挙げられるが、若い世代から 80代など様々な年代の保育士が働き、たくさんの人が関わることで、若い保育士のモチベーションが上がり、職場の士気が上がっている保育所もあると聞いている。昨年の園バスの痛ましい事故や虐待は、現場の方々こそが残念に感じており、一部の事案によって、保育の現場がネガティブに思われ、若い人が敬遠する負のスパイラルになるとの声がある。配置基準や処遇の改善に加え、保育は楽しい職場であるとのポジティブな発信をしてほしいという意見がある。
  • 補正予算で事業化した伴走型支援は、現金給付か現物給付かではなく一体的に効果的な支援に結び付ける新しい観点の支援。自治体からも評価いただいており、しっかり進める。
  • 0~2歳のこどもについては、専業主婦家庭も就労家庭も、在宅で子育てをする家庭が増えている。保育園などを利用して定期的に預かりを行う支援への期待感・ニーズの高さを実感している。
  • 生まれてきたこどもたちが、どんな家庭環境にあっても、また、障害や疾病があっても、家庭や地域で大切に育まれる環境の整備が重要。社会的養護の若者の声なども聴きながら、支援の充実を図っていきたい。
  • 保育の現場で働く保育士の皆さんが対応に困った時にSOSを発することができるような開かれた保育環境を作ることが大事。
  • 0.3 兆円メニューの充実など保育の質の向上を図っていくことが重要。
  • 理想のこどもの数をもたない理由として、教育・子育てにお金がかかりすぎるからということがあげられる。教育費の負担軽減は少子化対策としても大切。高等教育への修学支援は人的投資としても大事。
  • 幼児教育・保育の現場の安全安心な環境づくりや、いじめ・不登校対応を含めて学校に安心して預けられる観点も重要。
  • 仕事と両立しながら子育てをしている家庭が増えている。育児休業が明けた後も子育ては長く続くので、仕事と子育てが両立できるような働き方の改革が重要。長時間労働の是正も大事だが、メリハリのある柔軟な働き方が追及されないと両立できないという指摘もある。
  • 育児休業制度について、職場レベルでは休業した人の分を残った方がカバーすることになるが負担感ばかりが広がって、働き方の問題が分断の方向に進まないように進めていく必要。
  • 実体験としてフランスでは子育てにやさしい社会であり、親として有難かった。日本でも当事者の要望を聞くとともに、実際に取り込んでいく伴走型の政策形成過程が求められると思う。
  • これから結婚しようとする方、こどもを産み育てようとする方、そうした当事者にとって良い政策だと思ってもらえないと、効果はない。当事者に寄り添うようにウィングを広げていく、伴走していくというような発想が大事。
  • 育児休業は、ユニセフも指摘しているように制度は世界の中でも充実しているが、意識の面では、まだまだ女性が取るものと思われている。昨年 10 月から男性育休促進の取組が始まった。制度が当事者にどう伝わっているのか、そうした視点から議論を進めることが、行動変容につながるのではないか。
  • 地方自治体が第一線で取組を担っており、地方の声をよく聞くことがとても重要。
  • 経済社会の持続可能性という点で考えると、人口減少、少子化に歯止めをかけるため、出生数や出生率をどうやったら引き上げることができるかという観点が大事。

その後、清家座長から、以下の発言があった。

  • こども政策は未来への投資。人材、人的資源への投資は、日本のような人材こそ最大の資源である国にとっては大事。少子化は、マクロ経済でみれば、生産という供給面での制約となるし、雇用者所得が減れば消費という需要面での制約にもなる。社会保障制度の持続可能性も低下する。こうした観点からこども政策が重要であることは言うまでもない。
  • 同時に、結婚し、こどもを産み育てるということは、個人的な幸せの問題だということ。こどもを産み育てたいという人が安心してこどもを産み育てられるよう、そうした個人の希望を実現するという観点。子育ての喜びとキャリアの充実の喜びの両立といった個人の幸せの追求を支援する政策だという観点が重要。
  • このように社会全体にとっての未来への投資と、個人にとっての幸福の追求は、トレードオフの関係ではなく、こども・子育て支援は両者を同時に実現できる。社会全体で費用を負担していくということの意義もここにある。
  • 産まれてきてくれてありがとう、こどもを産み育ててくれてありがとう、という社会全体のメッセージを明確に伝えられるようにすべき。

最後に、小倉大臣から、以下の発言があった。

  • それぞれの省庁の立場を超えて色々な意見が出て、心強く思っている。国全体で取り組まなければならないことであり、まさにワンチームとして、検討していきたい。
  • 3つの柱に沿って、目指すべき姿と、その中で特に加速化して進めていくことの2本立てで打ち出し、積年の課題に取り組む姿勢であると国民の皆さんに感じてもらえるようなたたき台にしていきたい。