小倉大臣記者会見(令和5年9月8日)
小倉大臣記者会見要旨
(令和5年9月8日(金)10時05分から10時19分まで 於:こども家庭庁記者会見室)
1. 発言要旨
本日は冒頭に3点ございます。
まず1点目、こども誰でも通園制度の検討会について、第1回を9月21日に開催することとしましたので、報告させていただきます。
配付資料のとおり、学識経験者や保育所・幼稚園などの関係事業者、自治体の方々と、こども、保護者にとっての意義、利用方法や実施方法ごとの特徴を踏まえた対応などの事業実施上の留意点、施設・事業類型ごとの事業実施のイメージなどについて議論していただきまして、12月に中間取りまとめを行い、今後の事業の在り方についてお示しすることを予定しております。
こども誰でも通園制度は、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に活用できる、利用できる新たな通園給付であり、保護者の方をはじめ、多くの方々に期待の声をいただいております。
こども家庭庁として、丁寧に御意見を伺いながら、こども誰でも通園制度の創設に向けた取組を着実に前に進めてまいりたいと考えております。
検討会の詳細につきましては、こども家庭庁保育政策課までお問合せください。
続きまして2点目です。来週9月11日月曜日に「いじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議」を都内の中学校において開催することとし、関係省庁の事務方に加え、私と永岡文科大臣も一緒に参加することを予定いたしております。
この連絡会議は、いじめを政府全体の問題として捉え直し、関係省庁が連携して社会総がかりで取り組んでいくことが重要であるとの認識の下、昨年度、こども家庭庁と文科省を共同議長として新たに立ち上げたものになります。
今回の会議では、各省庁のいじめ防止に向けた取組の状況を確認させていただくとともに、会場となる中学校において、いじめ防止に関連する授業の見学や、生徒の皆さん方との意見交換を行うことも予定しております。
「こどもまんなか社会」の実現に向けては、こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとって一番の利益を考えて政策を進めていくことが必要だと考えております。
連絡会議を通じて、直接こどもたちのいじめ防止に向けた思いを聞き、また、関係省庁とも連携を深め、実効性あるいじめ防止対策を更に進めていきたいと考えております。
詳細につきましては、こども家庭庁支援局総務課までお問合せください。
最後、3点目になります。孤独・孤立対策関連の2つのモデル事業の取組団体を決定いたしました。
地方において官・民・NPO等の連携による孤独・孤立対策を支援する「地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業」につきまして、このたび第二次取組団体として6団体を決定いたしました。6団体のうち4団体が新規の団体であり、残りの2団体は昨年度に続き2回目の実施となります。
また、中間支援組織によるNPO等の運営能力の向上や活動基盤の整備のための支援モデルを構築いたします「孤独・孤立対策活動基盤整備モデル調査」についても二次公募を実施し、2団体を採択しましたので、併せてお知らせいたします。
詳しくは孤独・孤立対策担当室の担当までお問合せください。
冒頭は以上となります。
2. 質疑応答
(問)ジャニー喜多川氏による性加害問題について、何点か質問させてください。まず、当事者の方々が、現状の民法や刑法では不十分な点が多くあると指摘しています。政府として、このようなこどもへの性加害を今後食い止めるために、更に法整備を進めていくという考えはおありでしょうか。
(答)そもそもこども・若者への性暴力は決してあってはならないことであります。長期間にわたってこどもに対する性加害が繰り返されるということは、断じて許されることではありません。
どのような事業者であれ、事業を行う上でこども・若者が性被害に遭うことのないよう、安全・安心を確保すべきことは当然であると考えております。また、性被害の事案が発生した時は、当該事業者において適切に対応されるべきものとも考えております。
政府といたしましては、年齢・性別にかかわらず、どのような状況に置かれたこども・若者であっても性被害を受けることのない社会を実現すべく、関係省庁と一体となって「課題」を洗い出し、先般7月26日、緊急対策パッケージを取りまとめました。
法整備の点でございますけれども、緊急対策パッケージの中におきましても、日本版DBSや児童福祉法の改正等も盛り込んでございます。こうした緊急対策パッケージなどに基づき、全てのこどもや若者が安心して過ごせる社会の実現に向けまして、着実に施策を実施してまいりたいと考えております。
(問)今、緊急対策パッケージのお話もありました。男性版のホットラインもつくるという内容は私も確認しましたが、これにとどまらずに更なる支援をしていくという考えは、現状ではあるか教えてください。
(答)7月に取りまとめたパッケージにつきましては、性暴力・性被害の当事者、性被害を受けた男性の有識者の方、あるいは性被害・性暴力に取り組んでいらっしゃる現場の方・有識者の方からも御意見を伺いながら取りまとめたパッケージでございますので、まずはこの取りまとめたパッケージに基づいて、着実に政策を前に進めていくことが先決ではないかと考えております。
(問)ジャニーズの問題の実態の解明や被害者への補償については、事務所だけではなくもっと政府に積極的な関与を求めると、被害者の方もおっしゃっています。今後どのようなアクションを取っていくのか、改めてお伺いできますか。
(答)先ほどの繰り返しになりますが、個別の事業者の対応や個別の発言内容につきましては、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
政府の役割は、性別や年齢にかかわらず、どのような状況に置かれたこども・若者であっても性被害を受けることのない社会を実現するため、関係省庁と一体となって「課題」を洗い出し、これを取りまとめ、政策を実施することだと思っておりますので、先ほど申し上げたように、取りまとめたパッケージを基に、どのような状況に置かれたこどもであっても、性暴力や性被害からきちんと守っていくことが政府としての大きな役割ではないかと認識しております。
(問)今、言及がありました、日本版DBSについてお尋ねします。DBSについては、期待する声ももちろん大きいです。一方で、与党内からは厳しい声も上がっているのが現実です。法案提出の時期について、大臣は可能であれば臨時国会でとおっしゃっておられましたが、現状のお考えをお聞かせください。
(答)御指摘いただいたように、昨日、党において「「こども・若者」輝く未来実現会議」が開催され、「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」の報告書案について、こども家庭庁から報告し、様々な御意見をいただいたと承知しております。法案提出の時期につきましては、これまで私からは、可能であれば次の国会での法案提出を目指して検討を進めていきたいと申し上げたところであります。こども家庭庁としては、有識者会議の報告書の最終的な取りまとめを近日中に行うこととしておりますが、今後、この報告書を基に制度設計を検討していくことになると思います。その上で、与党においても御議論いただきながら、様々な御意見を丁寧に伺いながら、進めていくことが重要ではないかと思っております。いずれにいたしましても、本件はこどもの安全・安心を守るための重要な施策であると認識しており、様々な御意見を丁寧に伺いながら、制度設計の検討を早急に進めてまいりたいと考えております。
(問)今の点に関して、可能であれば次の国会を目指してというスタンスに関しては、変更はないということでよろしいでしょうか。
(答)はい。これまで私から申し上げたとおりであります。
次の国会がいつ、どのような形で開かれるのかは分かりませんけれども、可能であれば次の国会での法案提出を目指して検討を進めていきたいと思いますが、いずれにしても与党を含めて、これは従来から申し上げておりますように、こどもの安全を守るということと、他方で職業選択の自由やプライバシーといった様々な問題もございますし、プライバシーという機微に触れる情報、犯罪歴という機微に触れる情報をどのように扱っていくかという実務上の課題もございます。
そういう意味では、有識者会議の報告書が出ましたが、そこでおしまいではなく、正にこれに基づいて様々な方から意見を伺うことも同時に重要だと思っておりますので、丁寧に議論を進めていきたいと考えております。
(問)法整備をめぐってもう少し詳しくお聞きしたいのですが、当事者の方は、児童虐待防止法の改正、そして刑法の改正、具体的には時効の撤廃を求めていますが、これについて、政府はどのように受け止めているのか、そして今後の法整備についても詳しく教えてください。
(答)先ほど申し上げたように、例えば、野党の立憲民主党が、児童虐待防止法の改正による警察への通報義務の創設について議員立法を提出されていると承知しております。こういった議員立法については、まずは国会において御議論いただくものと思っております。
その上で、先ほど来申し上げているように、先般取りまとめたパッケージにおきましては、性犯罪・性暴力に関する通報がまずは適切に行われ、被害者が速やかに相談することができる環境を確立するための取組を盛り込んでございます。
具体的には、先ほど刑法改正についての言及もございましたけれども、実際に刑法改正が今年行われましたので、いわゆる性交同意年齢を13歳未満から16歳未満に引き上げる等の周知を行うとともに、これに基づいて厳正に対処をしていくこと、性犯罪等に係る被害の形態等が変遷していることを踏まえて、全国の警察における取締りを強化し、早期発見と被疑者の迅速な検挙に努めること、さらに、こどもに対する性犯罪等に関する通報を匿名で受け付け、被害者保護等への貢献度に応じて情報料を払う「匿名通報事業」について、今般の刑法改正等に伴い対象を拡大するとともに、事業の一層の周知を図ること、また、今月までの期間で実施する「こども・若者の性被害防止のための緊急啓発期間」におきまして、第三者が被害に気づいた時の適切な対応についても啓発することなどを盛り込んでおるところであり、まずは改正刑法等による厳正な対処や取締りの強化等を実施していくことが重要ではないかと思っております。
児童福祉法の改正も、保育所等におけるわいせつ行為も含む虐待行為について通報義務を設けることも検討しておりますので、こういった児童福祉法の改正も含めて議論をまずは進めていき、先ほど来申し上げておりますように、パッケージに盛り込んだ内容をしっかり進めていくことが先決ではなかろうかと思いますし、これによってこどもの安全を守ることを図っていくということが重要ではないかと考えています。
(問)時効の撤廃についてはいかがでしょうか。自分の性被害を受入れることができるのが、もっと年齢がたってからということも考えられます。今の言及の中には時効の撤廃についてのお話がなかったので、お伺いできますでしょうか。
(答)時効の撤廃につきましては、改正刑法のときに国会で御議論をいただいて、時効の適切な在り方については、引き続き調査をするとの御指摘があったかと思います。
政府としては、どのやり方にするかは今後検討だと思いますけれども、適切な時効の在り方について、調査をまずは進めていくということが重要ではないかと考えております。
(以上)