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小倉大臣記者会見(令和5年7月14日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年7月14日(金)11時53分から12時06分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1. 発言要旨

今日は冒頭3点です。まず、来週7月17日から7月23日までは「こどもの事故防止週間」になります。これは、こどもの夏休みに入る時期に、関係省庁や自治体と連携し、こども、保護者、教育保育関係者等に対して、事故防止意識向上を目的とする周知・啓発を重点的に行う取組になります。

昨年度までは消費者庁が中心となって取り組んでまいりましたが、こども家庭庁の設置に伴い、今年度からはこども家庭庁が中心となって取り組むことになります。

今年の「こどもの事故防止週間」のテーマは、「こどもの取り残し、置き去りによる事故の防止」です。

昨年度、送迎バスの置き去り事故が発生し、現在対策を進めているところでありますが、送迎バス以外にも自家用車にこどもを置き去りにする事案がしばしば発生しております。

今回の「こどもの事故防止週間」では、車内等への置き去りからこどもの身を守るための留意点等について、保護者や送迎バスを運行する施設の意識向上を促すことについて、重点的に広報啓発を図ってまいります。

我が国では、毎年200人ほど、14歳以下のこどもが不慮の事故によって亡くなっております。こどもたちの明るい未来のために、事故防止の意識の向上にしっかりと取り組んでまいります。詳細はこども家庭庁にお問い合わせください。

2点目です。7月16日、今度の日曜日に「家族留学」の視察及び受入れ家庭や参加者との意見交換を行います。

第16回出生動向基本調査の独身者調査によりますと、赤ちゃんや幼いこどもと触れ合う機会がよくあった方については、「いずれ結婚する」ことを希望する人が男性で86.4%、女性で90.4%であったのに対し、そうではなかった方については、「いずれ結婚する」ことを希望する人が男性で79.2%、女性で80.3%まで低下するという結果がございます。

若い世代からは「結婚やこどもを持つと人生の幅が狭まると感じる」ため結婚に希望が持てないといった声や、「あまりこどもと接することがないまま大人になったため、こどもはどちらかと言うと苦手で、欲しいと思ったことがそもそもなかった」といった声を聞くところであります。

「家族留学」は、子育て中の家庭を学生や若手社会人が訪問し、こどもとの触れ合い体験や多様なロールモデルとの出会いを通して、自分自身のライフキャリアを考える体験型のプログラムです。

また、「家族留学」はあくまで結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えたりしてはならないという前提の下で、「家族やこども」と暮らすとはどのようなことなのかを知ってもらうための機会をつくるものと伺っております。

今回は、「家族留学」のような体験型プログラムによる若い世代の意識の変化などを直接お伺いし、今後のこども施策、少子化対策についての政策立案につなげていきたいと考えております。

最後、3点目です。こどもの頃に性被害に遭われた当事者の方々との面会についてであります。こどもや若者の性被害防止に向けた対策の強化については、これまで「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」及び「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」の合同会議を3回開催し、有識者等からのヒアリングを実施してまいりました。

これに加えて、前回の会議から今日までの間に、私自身がこどもの頃に性被害に遭われた複数の当事者の方々と直接お会いし、お話を伺いました。

どなたにいつお会いしたかや、伺った具体的な内容は控えますが、当事者の方々からは、こどもの頃の被害が成人後も含め、長期にわたって極めて深刻な影響を及ぼすこと、こどもは被害に遭っても、そもそもそれが性被害であると認識することができなかったり、周りに打ち明けることが難しいこと、被害の相談を受けた大人による適切な対応が重要であることなどをお聞きし、被害の重大さや、こどもを被害から守るべき大人の責任、実効性ある対策の必要性などを改めて痛感したところであります。

当事者の方々からは、こどもや若者の性被害防止や被害者支援のために必要な取組についての御意見も伺いました。また、合同会議におけるヒアリングを通じて、有識者等の皆様からも具体的な御指摘や御提言を頂戴しておりますので、これらをしっかりと踏まえた上で、実効性ある強化策をお示しできるよう、速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。

冒頭、私からは以上です。

2. 質疑応答

(問)トランスジェンダーの経済産業省の職員が、トイレの使用をめぐって国を訴えた訴訟に関して伺います。最高裁は11日、国の対応を違法だとする判決を言い渡しました。LGBT理解増進の観点から、大臣としての御所感をお聞かせください。

(答)御指摘のとおり、11日、最高裁において原判決を破棄し、最高裁としての判決が言い渡されたものと承知しております。
本件につきましては、人事院や経産省をはじめとする関係省庁において適切に対応されるものと承知しております。
今後、いわゆるLGBT理解増進法に基づく基本計画や指針を策定していくこととなりますが、基本計画等の策定に当たっては、法律の趣旨、国会での議論等も踏まえ、関係者の方の声を丁寧に伺いながら適切に対応してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、理解増進を担当する私としては、多様性が尊重され、性的マイノリティの方もマジョリティの方も含めた全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

(問)三重県津市で、4歳の女児が母親による暴行で亡くなった事件が起きました。この事件では、県が、過去に類似の虐待事案で児童を一時保護した割合を示す人工知能システムの情報を参考にした上で、一時保護を見送ったとの報道があります。県は「あくまで目安や参考で、最終的には人間が判断している」と説明していますが、AIシステムを第三者委員会で検証する方針を示しています。今回の事件の受け止めについて教えてください。加えて、政府は、昨年公表した児童虐待に関する総合対策の中で、一時保護の必要性の判断にAIを活用するなどして児相職員の負担軽減を図ることを打ち出していますが、今後、AIとの関わり方についてどのような形が望ましいか、大臣のお考えがあれば教えてください。

(答)まずは、三重県で4歳の女児が亡くなるという非常に痛ましい事件が発生しました。亡くなられた女児の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。
その上で、こども家庭庁といたしましては、AIによる評価はあくまでも補助的なものと考えており、御指摘のとおり、三重県におきましても、「あくまで参考値で、判断は人間がしている」旨、回答されていると承知しております。
また、本事案に関しましては、御指摘がありました検証委員会が本日14日、三重県におきまして開催されるものと承知しており、事案の詳細に関して、こども家庭庁としても注視してまいりたいと考えております。
後半の質問でございますが、こども家庭庁としては、一貫して増加傾向にある児童虐待に対処する児童相談所の職員の負担軽減を図ることが重要と考えておりまして、その対応の一貫として、これも御指摘にありましたとおり、児童相談所の一時保護の判断に当たり、AIを活用した緊急性の判断に資するツールの開発を行っているところであります。
AIを活用した緊急性の判断ツールについては、あくまで一時保護時の緊急性の判断に資する情報を提示するという性質であり、最終的な一時保護の要否等の判断は、児童福祉司を中心として児童相談所長が判断すべきものと考えております。
今後、このAIを活用した緊急性の判断ツールの運用につきましては、本事案の状況確認等も含めて慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。

(問)冒頭で言及がありました性犯罪・性暴力対策強化のための合同会議についてお伺いします。大臣は被害に遭われた方からのヒアリングを行われたとのことですが、事務局のこれまでの説明では、ヒアリングを含めて今回の合同会議ではジャニーズ関係者の招待、ヒアリングに関してもないと名言しています。性犯罪・性暴力に関する事案として被害を実名で訴える方がおり、社会的な関心も高いジャニーズ事務所の問題に全く触れず、関係者の話も一度も聞かないまま対策を打ち出した場合、十分な検討を行ったと言えるのでしょうか。あえて避けているのではないかという声も一部では上がっていますが、所感を教えてください。

(答)これまで申し上げておりますとおり、性別にかかわらず、また、どのような環境に置かれたこどもや若者であっても性被害に遭うことはあってはならないことだと考えており、全てのこどもや若者を対象として、性被害防止のため、実効性ある強化策を検討しているところであります。
こうした検討に当たりましては、有識者・支援者等の御意見を伺い、こどもや若者の性被害をめぐる現状や課題等を把握するとともに、被害に遭った当事者の方々の声も丁寧に耳を傾けることが重要と考え、先ほど御紹介申し上げたとおり、先般、当事者の方々に御協力をいただきまして、私が直接お会いする機会を設けていただきました。
これまでのヒアリングや被害に遭われた当事者の方々との面会を通じて、例えば、必要な知識を身に付ける機会がなければ被害に遭ってもそれが性被害であることを認識できず、周囲への相談も難しいこと、身近な大人から被害に遭うことも多く、加害者との関係性などから誰にでも相談できず、被害が潜在化、深刻化しやすいこと、被害者が男性・男児の場合、特に被害の深刻さを認識しにくかったり、相談をちゅうちょしたりすることなど、多くの被害に共通する状況などを把握してまいりました。こうしたこどもや若者の被害の実態等をしっかり踏まえて、実効性ある対策の強化を検討してまいりたいと思います。
その上で、これも繰り返し申し上げておりますけれども、御指摘の特定の事業者における事案について、政府として対応するために会議を開催しているわけではございません。このため、今回の合同会議における検討と関連して、当該事案に関する方々からヒアリングを行うことは、今予定しておりません。
なお、本日報告した当事者の方々との面会におきましても、大変参考になるところがございまして、継続的に当事者の方々のお話を伺うことの必要性を感じた一方で、御自身の経験した被害を振り返りお話をいただくということは、長い年月を経ても大変つらく、難しいことであるということも実感しました。
今後の取組の中で、私がどのような方とどのような形でお会いするのが適当かにつきましては、適切に判断してまいりたいと思っております。

(問)こどもの貧困についてお聞きします。間もなく夏休みということもあり、給食がなくなることに対して不安を感じている御家庭もあるようです。民間ですと、NPO法人や民間の団体がフードパントリーやこども食堂を運営していると思いますが、政府として支援できることを改めてお聞かせいただければと思います。

(答)これまでも、政府はフードバンクやこども食堂に対する支援を充実・強化させていただきました。また、低所得の子育て家庭に対する給付金もスタートさせていただいております。
引き続き子育て世帯の今の経済状況をしっかりと踏まえながら、まずは、充実・強化させていただいております様々な施策をこれからも着実に実施していきたいと思っておりますし、子育て世代の今の状況については、これからも注視してまいりたいと考えております。

(以上)