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加藤大臣記者会見(令和6年1月23日)

加藤大臣記者会見要旨

(令和6年1月23日(火)11時48分から12時03分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭、私から3件報告がございます。
 
改めて、令和6年能登半島地震により命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
 
被災状況についてでございますが、こども家庭行政関係の被災状況としては、児童福祉施設、障害児支援施設等に関し1月23日現在、石川県で237件、新潟県で13件、富山県で45件の被害があったと報告を受けております。引き続き被災自治体、関係団体等と連携し、被災状況の把握に努めてまいります。
 
ファミリー・サポート・センター事業についてです。二次避難先の市町村において、被災したこども・子育て家庭等が、こどもを預けたい人と預かる人のマッチングを行う「ファミリー・サポート・センター事業」を利用できるようにすることや、当該事業の利用支援を行った市町村に対して財政支援を行うことについて、各都道府県等に周知、依頼をいたしました。
 
また、昨日から、現地対策本部にこども家庭庁の職員をリエゾンとして2名派遣しており、リエゾンを通じて現場のニーズをより直接的に把握するとともに、引き続き、関係省庁・被災自治体とも緊密に連携し、被災者に寄り添った支援等に全力を尽くしてまいります。
 
その他の詳細につきましては、こども家庭庁にお尋ねいただければと思います。
 
冒頭、2件目であります。東京都八王子市での視察についてでございます。
 
昨日、不登校に関連する課題把握の一環として、不登校の児童・生徒の受入れを行っている「八王子市立高尾山学園」と「せいさフリースクールはちおうじ」の2箇所を訪問させていただき、こどもたちの様子を拝見するとともに、不登校のこどもたちの実情に応じた支援や職員の方々の取組の工夫などをお伺いさせていただきました。
 
「学びの多様化学校」である「高尾山学園」では、相談室、プレイルームといった校内での居場所や授業の様子を実際に見学をするとともに、教職員の方々から、元々の学校では教室に通うことができなかったこどもたちが、授業を受けることを無理強いされることなく、自ら次に何をするかを選べる環境づくりなどによって、教室に通うことができるようになり、自信をつけて卒業・進学もしているといったことですとか、また、教育と併せて福祉・医療とも連携しながら、一人ひとりに合った支援を行う工夫をされているということなどについてお話を伺いました。
 
また、「せいさフリースクールはちおうじ」では、「ピアサポーター」である高校生やこのフリースクール出身の大学生が、こどもたちの学習をサポートする様子なども見学させていただきました。スタッフの方々からは、個々のこどものペースに合わせた学習支援と併せて、こどもの発案を生かした体験学習・レクリエーションなどの課外活動を通じた学びも行っていることなどについてお話を伺いました。
 
いずれの場所におきましても、不登校のこどもたちの様子や現場の実情を知ることができ、大変有意義な視察になったものと考えております。今回の視察を通じて、改めて不登校対策は、こどもまんなかの視点で、こども一人ひとりの悩みに寄り添って適切な支援につなげ、そして、こどもたちが自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指していくということが重要であると感じました。こどもまんなか社会の実現に向けて関係省庁と連携しつつ、今回の視察で得た知見を今後の施策の検討に活かしてまいりたいと思います。
 
冒頭、3つ目でございます。「いじめ防止シンポジウム」の開催についてであります。
 
1月25日、「社会総がかりで考える地域におけるいじめ防止シンポジウム」をオンラインで開催いたします。本シンポジウムの冒頭において、私からも御挨拶をさせていただく予定です。
 
いじめ問題は、こどもまんなか社会の実現に向けて全力で対応する必要がある大きな課題のひとつです。いじめ防止に向けては、これまでも学校や教育委員会において対応がなされてきましたが、いじめは、学校生活への影響に留まらず、こどもの心や体に深刻な影響を及ぼすものであり、学校だけに対応を任せるのではなく、社会総がかりで取り組んでいく必要があります。
 
こども家庭庁では、具体的な取組として、今年度は8つの自治体の首長部局においていじめ防止対策や体制づくりをどのように進めていけばよいかの参考となるよう、自治体向けのモデル事業を実施しています。
 
今回のシンポジウムでは、本事業に取り組む自治体からの事例発表や、いじめ防止に関わる様々な立場の方々によるパネルディスカッション等を予定しており、今年度の取組の成果等を共有し、理解の促進を図るとともに、今後このような取組を広げていくことにつなげていきたいと考えております。
 
どなたでもオンラインで視聴していただくことができますので、たくさんの方にご覧をいただければと思います。
 
詳細は、こども家庭庁支援局総務課にお尋ねください。
 
冒頭、私からは以上となります。

2.質疑応答

(問)子育てと家族の介護が同時に重なるダブルケアについて伺います。毎日新聞が就業構造基本調査のオーダーメイド集計を依頼したところ、少なくとも約29万人が未就学児を育てながら、家族の介護を担い、ダブルケアの状態にあることが分かりました。30~40代の働く世代が9割を占めており、離職を迫られている人もいます。この件について2点伺います。1点目が、まず大臣の受け止めを教えてください。2点目になりますが、29万人という数字は推計であり、子育ては未就学児に限られるなど、実態の一部しか把握できていません。ダブルケアの調査は、内閣府が2016年実施したのを最後に行われておらず、今後、ダブルケアの実態調査及び全国調査に乗り出す考えはあるのか、大臣のお考えを教えてください。

(答)ダブルケアに関する御質問を2点いただきました。まず、受け止めにつきましてですが、御指摘の調査につきましては、毎日新聞が委託して実施されたものと伺っており、詳細についてまでは承知をしてはございませんが、こどもの育児と家族の介護の両方の負担があるご家庭等を含め、子育て世代に対して、適切に支援ができるよう取り組んでいく必要があると考えております。
こども家庭庁としては、様々なこども・子育ての支援策に加えて、ダブルケアの課題を抱える方であっても適切に支援ができるよう厚生労働省と連携をし、属性を問わない相談支援などを行う「重層的支援体制整備事業」を推進しているほか、伴走型相談支援や地域子育て支援拠点事業において支援が必要な家庭を適切な支援先につなげるなど、介護の問題も含め、複雑化・複合化した課題をお持ちの子育て世代に対する必要な支援を行っているところです。
また、実態調査等につきましてでございますが、ご指摘の内閣府の調査については、男女共同参画局において、政府の施策及び社会制度・慣行が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査するために毎年度行っている、「男女共同参画関係施策実施状況調査」のことであり、2015年度の調査として行った「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」のことであると承知をしております。
この調査では、平成24年就業構造基本調査の特別集計を実施し、ダブルケアの推計人口が約25万人程度であること、ダブルケアを行う女性の就業状況を見ると、約半数が無業者であり、その6割が就業を希望し、これらは育児のみを行う女性と大きくは変わらないこと等が明らかにされております。
「男女共同参画関係施策実施状況調査」は、その時々の問題意識等を踏まえて、毎年度、テーマを変えて実施をしているものであるため、2016年度以降、ダブルケアに関する調査は実施しておらず、現時点で実施する予定は特にございませんが、それぞれの家庭のニーズに応じて適切に支援を組み合わせていくということが重要であると認識しておりまして、引き続き関係省庁と連携し、それぞれのご家庭に寄り添った支援ができるよう対応の充実に努めてまいりたいと思います。

(問)能登半島地震のこども家庭行政関連の被災状況についてお伺いします。先週の火曜日から金曜日の間には、石川、富山で被災している施設の件数の大幅増があったと思うのですけれども、今日伺った限りでは、冒頭では石川県が1件増えたかなというところで、やや数字が落ち着いたのかなという部分であったりとか、あと、孤立地域の解消が進んだことやこども家庭庁の職員派遣も始まったということがあって、被害の全容というのがそろそろ明らかになってくるのかなというふうに思うのですが、大臣の現状認識で被害状況の確認状況、進捗というのは一体どれぐらい進んでいるというふうに捉えておられるのでしょうか。また、それらはいつ頃をめどに終わりそうかとか、月内にはおおむね把握できそうだとか、そういっためどなどがあれば、お伺いしたいと思います。併せて、被災したこども家庭行政関係施設のうち、停電とか断水が広域であったので、そうしたインフラ面さえ解消すれば、すぐに活動等が再開できそうなものもあろうかとは思うのですけれども、一方で、半壊とか全壊というような建物の損傷等があれば、すぐに再開は難しいといったことも想定されると思います。そうした被害の程度に関しては、件数と別にまた把握されているものがあるのかどうか。あるのであれば、状況等を教えてください。あと最後1点なのですが、そういった建物の損壊などによって復旧に今後、財政的な支援が必要になってくることもあろうかと思うのですけれども、どれぐらいの予算規模になりそうかというものがもう既に見当がついているのか。また、全然それが出ていない場合は、いつ頃までに規模感を示せるようになりそうかとか、現時点での復興に向けての見通しについて何かメッセージをいただけるものがあれば、御教示いただければと思います。よろしくお願いします。

(答)ありがとうございます。まず、被災状況につきまして、冒頭と重複しますけれども、こども家庭行政関係の被災状況としては、児童福祉施設、障害児支援施設等に関し1月23日現在、石川県で237件、新潟県で13件、富山県で45件の被害があったと報告を受けております。このうち断水や停電が197件、建物被害が213件あったと承知をしております。
被災状況の把握についてでありますが、被災した児童福祉施設等については、全ての被災自治体から報告をいただいているものの、被災状況が報告されていない施設も4割程度あると認識をしております。このため、こども家庭庁においては、県や関係団体等を通じて必要な情報把握に努めているところであり、例えば保育所等の被災状況については、ほぼ全容を把握できている状況であります。引き続きシステムを活用した把握や、県や関係団体等を通じた情報収集を進めるとともに、今週からリエゾン職員を派遣しているところですので、こうした様々なチャネルを活用して、さらなる被害状況の把握に努めてまいりたいと思います。
災害復旧費の予算規模についてでありますが、こども家庭庁においては児童福祉施設等の災害復旧費補助を行うこととしておりますが、今般の震災により必要となる額については現在精査中でありまして、現時点でお答えすることは難しい状況です。いずれにしましても、災害復旧に必要な額についてはしっかりと予算計上し、速やかに復旧できるよう支援をしてまいります。

(以上)