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小倉大臣記者会見(令和5年5月23日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年5月23日(火)11時22分から11時34分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

今日は冒頭1点です。
昨年12月に私の下に設置をしました「女性活躍と経済成長の好循環実現に向けた検討会」では、平野信行座長を中心に、関係省庁である金融庁や経産省にも御協力をいただきつつ、これまで構成員の皆様に活発な御議論をいただいてまいりましたが、昨日、検討会の提言を大筋で取りまとめることができました。

御提言いただいた内容はどれも非常に重要なものであると認識しておりますが、今回の提言の最大のポイントは、これまで深く議論が尽くされてこなかった政策テーマでもあります「女性役員の登用」と「女性起業家の育成・支援」について、これまでよりも踏み込んだ形で具体策を盛り込んでいただいたことだと考えております。

具体的に申し上げますと、「女性役員の登用」につきましては、個別企業が達成を目指すことになる数値目標を設定することが必要であるとした上で、プライム市場上場企業について各企業が2030年までに女性役員を30%以上とすることを目指すこと、上記目標を達成するために各企業が行動計画を策定することが推奨されること、より短期的な目標として2025年を目途に女性役員を1名以上選任するよう努めること、併せて政府によるパイプラインの構築の支援などを提言していただきました。

また、「女性起業家の育成・支援」については、政府が実施する起業家支援事業における女性比率の増加、女性起業家支援機関の全国ネットワークの拡充、スタートアップ支援機関や地域金融機関との連携強化による有機的な支援の実施、政府関係機関による女性キャピタリストを採用・育成するファンドや、女性起業家に積極的に投資する方針の民間ファンドへの出資の促進などを提言していただきました。

その他、「女性デジタル人材の育成」や「地方・中小企業における女性活躍の促進」といったテーマについても、様々な御提言を頂戴しました。

最終的な提言書は、昨日の御議論も踏まえた上で修正し、取りまとめ、男女局ホームページ等で公表させていただく予定であります。

提言の内容は、来月目途に取りまとめます「女性版骨太の方針2023」に具体的な政策として盛り込み、担当大臣として関係省庁と連携して着実に実施していく考えでもあります。また、今後実施する施策については、来月下旬に栃木県日光市で行われますG7大臣会合でも紹介の上、各国と議論をする予定であります。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)児童手当についてお伺いしたいと思います。前回の「こども未来戦略会議」の議事要旨が本日公表されまして、委員からは、第3子以降への手当を重点的にという意見が多く寄せられていたように感じます。この多子世帯への支援の在り方について、大臣の考えを改めて聞かせてください。

(答)試案において、児童手当については、多子世帯が減少傾向にあることや経済的負担が多子になるほど強いこと等を踏まえ、手当額についても諸外国の制度等も参考にしつつ見直しを行うこととし、対象や金額などの具体的内容については、今後財源の議論と併せて検討し、「骨太の方針2023」までに結論を得るとしております。現在、御案内のとおり「こども未来戦略会議」において必要な政策強化の内容、予算、財源について、更に議論を深めているところであります。
児童手当の拡充の具体的な内容については、試案に記載してありますとおり、6月の骨太の方針までに結論を得るべく議論を進めてまいります。
確かに、「こども未来戦略会議」において、夫婦の出生こども数は3人以上の割合が特に減少していること、経済的負担感についてはこども3人以上の世帯で強い状況になっていること、といったデータを私のほうからお示しさせていただきました。こうした状況なども踏まえながら、児童手当の拡充の具体的な内容につきましては、先ほど申し上げたプロセスを経て、検討を深めていくことになろうかと思います。

(問)もう一点だけ、お願いします。一部の報道で、扶養控除について触れられているものもあるのですが、仮にですけれども、18歳まで支給年齢を拡充した場合に、現行制度等との絡みというのは、何かやはり調整をしていく必要性というのは、お考えはありますでしょうか。

(答)扶養控除についても、これまでの児童手当の拡充の経緯、そして扶養控除の縮小・廃止、例えば中学生まではそうなっていたと思いますが、そういった経緯を説明した資料はあったかと思います。ただ、具体的な政策の中身ですとか財源の在り方については、まさに先ほど申し上げたように、「こども未来戦略会議」のプロセスにのっとって決定を今後していくことになろうかと思っておりますので、私の立場からは具体的なコメントについて予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

(問)冒頭発言のあった、好循環実現に向けた検討会についてお尋ねします。大臣も「踏み込んだ」という表現を使っていらっしゃいましたけれども、これまでやはり経済界には率直に言って慎重な意見もあったかと思います。もう少し具体的に言えば、やはりなぜ優遇するのかというような見方も少なくなかったように感じております。そうした受け止めに対して、大臣の今回「踏み込んだ」ということであれば、どういったお考えの基から政策提言をされたのか、お気持ちをお聞かせいただければと思います。

(答)まず、女性の役員登用に限ってということで御質問を頂いたかと思います。まず、我が国の現状というのが国際的に見て非常に立ち遅れているということが一つございます。数字の取り方にもよりますけれども、大体我が国の女性役員比率というのは10%前後であります。他方で、先進国は3割から5割近い国もございます。そういった中で、このまま自然体で女性役員の比率が上がっていっても、30%を我が国が超えるのは2042年、今から約20年後になります。したがいまして、やはり各国が女性の役員を増やしてきた経緯も考えますれば、より踏み込んだ、そういった政策が今このタイミングで必要だというふうに考えております。
他方で、例えば性別ではなくあくまでも能力で役員を決めるべきではないのかというような意見もあるのも事実でありますが、私の考えといたしましては、男性、女性、労働者の数はそれぞれ半分ずついるわけであります。能力に性別差はないわけでありますから、普通に考えれば多くの女性の方々が企業における意思決定層として関与していただくほうが、我が国においてより一人一人の能力を最大限生かすことにつながるのではないかと思います。
他方で、我が国の現状を見ると、先ほど申し上げたように9割の役員を男性が占めているということであります。その背景には、やはり固定的な性別役割分担意識、現状、育児・家事の負担は女性が男性の5倍以上にも上っておりますし、育児を経た女性の方が、時短勤務が続いてなかなかその会社の中で良い人事評価を受けることができないという事情もございます。あるいは、アンコンシャス・バイアスがあります。女性の管理職が少ない中で、なかなかロールモデルも身近にいない中で、能力のある女性であっても、出世や昇進を勇気を持って希望することができないという、そういう環境もあるのではないかと思います。
したがいまして、むしろ性別によってなかなか能力を発揮するチャンスをこれまで得ることができなかったのは女性のほうでありまして、正にその能力主義に基づいて自然な状態に戻していくためにこそ、やはり女性の役員比率を増やしていくことが、私は、これは女性のためだけではなくて、これからの我が国の経済社会を考えた時に必要なことだろうというふうに思いまして、今回より踏み込んだ、そういった提言を出していただくことになりました。
当然、経済界の協力もなければなりません。経団連としても、2030年までに30%以上という目標を掲げてくださっていますので、こういった提言が出た暁には、むしろ経済界には積極的に女性役員の登用拡大に向けたアクションを取っていただきたいと思っております。今の国内外の投資家のジェンダー経営というか、多様性のある経営の在り方に対する評価を考えると、女性の登用を促進していくことが企業価値の拡大にもつながることだと思っておりますので、そういった観点も踏まえて、経済界の皆様方にはむしろ積極的にこういった提言を踏まえてアクションを取っていただくことを期待させていただきたいと思います。

(問)G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当相会合について伺います。明日で開催まで1か月となるところですけれども、現在の準備状況に関する大臣の御認識と、また改めて本番に向けた意気込みというものをお聞かせいただければと思うのですけれども。

(答)1か月後に迫ってまいりましたが、これまで栃木県、そして日光市の皆様方には、非常に協力的に全力で会合の準備を進めていただいていることに感謝を申し上げたいというふうに思っておりますし、私としても栃木県日光市としっかり連携をしながら、この男女共同参画・女性活躍という政策分野についての我が国の取組を国内外に発信をすることのみならず、栃木県日光市が持つ様々な魅力を国外・国内に発信をしていける、そのような貴重な機会にさせていただきたいと思っております。
この男女共同参画・女性活躍というテーマでありますけれども、総理も今回のサミットの中で、ジェンダー主流化、それぞれの政策についてジェンダーの視点をしっかりと取り入れるようにということと、各関係閣僚会議におきましてもこのジェンダーの視点というのを大切にしながら議論を進め開催してほしいと、そういう指示を出してくださっております。
その中核となりますのが、この男女共同参画・女性活躍担当大臣会合であるというふうに思っておりますので、しっかり我が国のジェンダー主流化の流れを更に加速化できるような、そういう会合に来月の会合をさせていただきたいというふうに思っております。事務方の御協力も仰ぎながら、来月の開催に向けて着々と準備が進められているのではないかという、そういう手応えも感じている次第であります。

(以上)