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幼児期までのこどもの育ち部会(第4回)

概要

日時:令和5年7月10日(月)9時30分から12時00分
場所:オンライン

【オンライン配信URL】
URL:https://youtube.com/live/2GKxb_8-GMo

議事

  1. 団体ヒアリング
  2. その他

資料

議事録

秋田部会長: おはようございます。ただいまより、第4回「幼児期までのこどもの育ち部会」を開催いたします。

今回もオンラインでの開催となっております。

御多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

初めに、事務局から委員の皆様の本日の御出席状況と本日の議事の確認をお願いいたします。

高木課長: 本日の委員の出欠状況ですけれども、御欠席の御連絡をいただいております委員は、稲葉委員、倉石委員、都竹委員、水野委員、堀江委員、横山委員の6名になります。他の委員におかれましては、オンライン等で御参加いただいているところです。

また、本日の議事ですけれども、次第に記載しているとおりです。議題は団体のヒアリングでして、全国認定こども園連絡協議会、全国認定こども園協会、全国保育サービス協会、全国保育協議会、全国私立保育連盟、全国児童養護施設協議会、全日本私立幼稚園連合会、全国国公立幼稚園・こども園長会、子育てひろば全国連絡協議会の9団体に御発表いただく予定でございます。

それぞれ3団体に御発表いただいた後に、質疑の時間を取らせていただきながら進めてまいります。

また、各団体におかれましては、資料1-1及び3月にまとめていただきました論点整理を送らせていただいているところです。

また、この団体ヒアリングの位置づけに関しますと、参考資料1に御用意しているもので位置づけられています。

また、前回の議論の中身につきましては、資料1-2で整理させていただきました。

本日も長丁場になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、これから議事1へ移らせていただきます。「1.団体ヒアリング」について、昨年度の有識者懇談会の論点整理への受け止めや補うべき視点、第1回目で示された論点案に関するお考えを中心に、各団体から各10分以内で御発表いただきます。

なお、質疑に関しては、3団体に御発表いただいた後に、それぞれ質疑の時間を設けさせていただきます。そちらの質疑の時間も今回発表が多いので時間で区切らせていただきますので、その点、御了解ください。

初めに、全国認定こども園連絡協議会戸巻様、お願いいたします。

(機器調整)

秋田部会長: 申し訳ございません。こちらの音声の不具合のようです。こちらの声、聞こえておりますでしょうか。

ありがとうございます。こちらの音声のほうで失礼いたしました。

それでは、もう一度、戸巻様、聞こえておりますでしょうか。お声をいただけますか。

戸巻氏: 聞こえます。お願いします。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、戸巻様、これから10分間でお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

戸巻氏: よろしくお願いします。

画面共有はお願いしていたと思いますので、よろしくお願いいたします。

まず、このような基本的な指針の検討であったりとか、検討会の開催等で新たなものについてつくり上げる部分について御尽力いただいていることと、こういった場を御用意いただいたことに、当団体を代表して御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

我々は論点案ということで事務局からお示しいただいた1と2ですね。1は「社会全体の意識転換を主導する基本的な指針の策定に向けた検討」と、2は「基本的な指針で示す理念や考え方を具体的に実現するための方策の検討」ということで、この2つに分けて我々の意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

まず1ですね。社会全体の意識転換を主導するといった内容なのですけれども、基本的に現在の少子化の対策もそうですし、こどもの育ちというのは、国民全体と共有することが大切なのではないかと僕は常々考えております。子育てをしている人や子育てに関わる人だけがああだこうだと大騒ぎになっている場面がすごく多いのではないかと思うときがあります。できれば日本国民として、こどもたちを育むことに対しての理解、そういった周知、広げる広報活動が必要ではないかと考えております。テレビのニュースでは少子化だとかいう言葉が流れてきたり、待機児童問題であったりとか、岸田首相のおっしゃるところの新しい子育てに対する切り口というのはニュースとしては流れてくるのですけれども、興味のない方が多い気がしておりますので、こういった広報について考えていけたらいいと思っております。

特に今のこどもたちを見ていると、こどもたちは常々大人の背中を見て過ごしているのですね。ですから、我々大人がどんな態度で、どんな内容を、どう周知するのかとか、どういう行動をするのか、あと、こどもたちに見られても恥ずかしくない行動を我々が本当にしているのか否かという、すごく根本的な部分なのですけれども、こういった部分をしっかりと考えていかなければいけないのではないかと常々考えております。

特に今の日本の社会では、こどもたちが安心と挑戦を循環することができる環境の中で育っているとは言い難い場面があるのではないかと僕は思っております。なぜそういうことを言うかというと、こどもの声は騒音なのですかという議論がよくあります。ドイツでは法整備されたなどとありますが、法整備しなければ駄目なような国では日本はないのではないかと僕は思っているのですけれども、例えばこどもの声は騒音だと言われれば、園の先生たちは防音壁をつくらなければいけないとか、外で遊ばせないとか、静かに屋外活動をするとか、こどもの育ちとは正反対の部分に対してすごく気を遣ってこどもたちを育んでいます。これは本当にこどもたちが安心と挑戦を循環できるのか、それは疑問点しかないかと思います。

もう一つ、これは保護者さんも周りの環境もそうなのでしょうけれども、公園の遊具の撤去とか、何か事故があると、そういったものを撤去すればいいという風潮ですね。要は、こどもたちから経験の場を奪っていっているのは実は大人なのではないかと僕は思っています。確かに事故があってはなりませんが、考え方としては違うのではないか、正しい使い方を伝えないで事故が起きても撤去、正しい使い方ができるこどもたちを大人がちゃんとコントロールしなくて事故が起きても撤去というのは違うのではないかと思っております。こどもたちは安心と挑戦の循環の中で育っていくことが必要不可欠だと思いますので、我々が国民運動として考えていく部分も出てくるのではないかと思っております。岸田首相を筆頭として、我々大人がこどもたちのサポーターとしてこれを国民運動として広げていくことが大事なのではないかと僕は常々考えております。難しい言葉や単語とかを並べるのではなく、明確で分かりやすいキャッチフレーズ等で伝えていくことが大切なのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いします。

そして、2つ目です。「基本的な指針で示す理念や考え方を具体的に実現するための方策の検討」ということで、こちらの部分なのですけれども、我々認定こども園なので、我々には幼保連携型認定こども園教育・保育要領という指針があります。幼稚園では幼稚園のものがあって、保育園では保育園の指針等がある形になります。その中で、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の姿等の部分については、従前、子ども・子育て会議や様々な研修の場で議論がされてまいりました。こちらに参加いただいている著名な先生方もちゃんとアナウンスをしてくださって、我々も研修の場で学んでまいりました。ただ、残念なことにそこの部分にたどり着けていない教育現場、保育現場が実はすごく多いと僕は感じております。こどもたちが自分で見つけて、自分で考えて、自ら考えて行動して、自主性や自己肯定感を高められる保育がどこまで浸透しているのかというところは心配になります。駄目だと言うつもりはありません。心配になります。国としてそういった部分をしっかり進めていこうという中で、いまだに例えば不適切保育などというのは、この言葉はあまり聞きたくないのですけれども、不適切行為とかそういう前にもこどもたちが自分でやりたいことを考え、自主的に動くことができるような環境で、こどもたちが育っていないという部分が多いのではないかと。こういった部分は、施設類型や規模や地域で異なることはないと僕は考えておりますので、これを進めていくことが実は大事なのではないかと思っております。

それを進めるに当たっては、それを進める人材確保という面では、しっかりと我々もタイアップしてやっていかなければいけないのですけれども、処遇改善というお金をあげればいいとか、そういう話はそれだけではないのかと思うのですけれども、やりたい職ですね。やりたい、ここで働きたいと思う人が集ってこられるような環境を整備することが大事だと思っております。保護者さん的なところのクレームであったりとか、そういったちょっと曲がってしまっているところが頭の中にあると、働きたくない要因になることが十分考えられますので、その辺も考えて対応していきたいと思っております。

あとは、実は皆さん肌感として感じられているとは思うのですけれども、支援の必要なこどもたちが増えてきているかという感じがします。支援が必要なこどもたちの育ちも支えていかなければならないですし、支援を必要としないこどもたちの育ちも支えていくこと、これを両立することがテーマにあります。インクルーシブという言葉でまとめてしまうと、そんな簡単ではないのでしょうけれども、職員の確保の部分は有資格者、保育士でなくてもそういったこどもたちを支えることができるような環境整備を進めていくことが必要なのではないかと私は感じております。

こどもたちの育ちを支えることの尊さとか、期待感とか、こどもまんなか社会を我々がどのように担っていくかをもうちょっと分かりやすい言葉で伝えていくことができたら幸せなのかと思っております。我々でいうところの保育教諭というところですね。こどもたちと向き合う仕事に向き合う人たちの社会的地位の向上であったり、処遇改善だけでなく、もちろん含めてなのですけれども、守られる立場であるべきと思っています。責められるべき立場ではなくて、守られるべき立場であると。彼女たち、彼らがこどもたちを育むときに、純粋にこどもたちのことを中心に考えて、しっかり育んでいくことができるように皆さんと考えていけたらと思っていますし、そういったものをこの機会に検討していくことができたらいいのではないかと思っております。

私からは以上となります。ありがとうございます。

秋田部会長: 戸巻様、どうもありがとうございました。

続きまして、全国認定こども園協会王寺様、お願いをいたします。

王寺氏: 全国認定こども園協会の王寺でございます。

まず、この4月よりこども家庭庁が始動し、就学前の乳幼児期のこどもについて、家庭審議会などを通じながら、保護者の就労の有無や家庭状況の違いにかかわらず「すべてのこども」を対象に真摯な議論がなされていることに、私からも心より感謝申し上げます。

それでは、私から当協会としての考え方を述べさせていただきます。1点目「社会全体の意識転換を主導する基本的な指針の策定に向けた検討」について、この3つの柱を基に、まず「誰と何を共有したいか」という点では、こどもの育ちと成⾧の過程に必要なことを私たちも国民全てで共有すべきだと考えます。理想的な姿は「こどもまんなか」であると同時に、全ての人が「まんなか」の社会であるべきです。とりわけこどもの保護者や養育者に対する温かい配慮(心がけ)という点もとても大切だと考えます。

その具体化という面では、身体、心、社会という3つの側面を一体的に捉えるとともに、それぞれの面が個々のこどもの発達に応じて濃淡があることを十分に踏まえつつ、育ちの時期ごとに大切になるポイントを示すことも重要であると思います。その上で、こどもまんなかチャートの視点を総合的に描くことで、全ての人で共有したい理念が明確になるのではないかと考えます。

また、心身・社会的状況にかかわらず等しく保障する方策、こどもと日常的には関わる機会の少ない人も含む全ての人へ届く方策に留意する必要があります。心身・社会的状況にかかわらず等しく保障する方策については、妊娠期から幼児期に至るまで、安心してこどもを産み育てられることが保障される必要があります。そのためには、こどもとその保護者・養育者に寄り添い、支える人材をしっかりと確保・配置した上で、国と基礎自治体が連携しながら積極的に取り組むことが重要であると思います。その際、こどもや保護者、地域子育て支援に総合的な機能を有する認定こども園が、地域のハブとして中心的な役割を果たし、実践していくことが必要であると考えております。

また、幼保小架け橋プログラムの充実に向けて、現在モデル事業が展開されていますが、教育という視点だけでなく、幼児期と小学校以降をつなぐ福祉的な接続については議論が十分になされていないように感じております。妊娠期から18歳までのスパンで、教育と福祉の両面からどのようにこどもとその保護者・養育者を支え、どのように「だれ一人取り残されない」仕組みを構築していくかが重要であると考えます。

次に、こども大綱の検討とも連携しながら、こども施策を総合的に捉えて、基本的な指針の考え方と連動させていくことが必要であると思います。こども大綱に含まれる「子どもの貧困対策」や「少子社会対策」は、こどもの育ち指針と重なる要素も多いだけに、総合的なこども施策の拡充という点からも、大綱と指針は連携させて捉えるべきだと考えます。特にこども大綱を踏まえて地方版こども計画が策定されることを考え合わせますと、地方自治体での取組を充実させ、地域社会レベルでの関心を高めていくことも重要であると思います。

2点目です。「基本的な指針で示す理念や考え方を具体的に実現するための方策の検討」についてです。まず、基本的な指針で示した内容を、絵本や外遊びといった具体的なこどもの活動内容に落とし込むなど、家庭・地域・幼児教育・保育施設等において、こどもの日々の育ちを支えるための手がかりを示す方策が必要であります。理念や考え方を具体化するための方策に関しては、それぞれの地域で日々こどもの育ちに関わっている専門機関である認定こども園や保育所、幼稚園等の幼児教育・保育施設を活用し、地域ごとに効果的な方策を検討することが重要であると考えます。特に幼保連携型認定こども園は地域子育て支援が必須となっており、そのノウハウやネットワークも築き上げられているところです。それを地域の実情に即した形で実施できるよう、好事例集の作成なども含めて実践的な取組を進めていただきたいと思います。

ただ、その際、認定こども園における地域子育て支援の実施については、人的配置に関しては主幹保育教諭の専任化加算しかなく、子育て支援事業を行う費用などについての財政措置は十分になされていない状況です。事業の経費面でも加算をしていただき、充実した子育て支援が実施できるように検討していただきたいと思います。

次に、認定こども園、保育所、幼稚園等や保育士養成施設等に基本的な指針で示した内容をいち早く伝え、実践につなげるための方策が必要だと考えます。幼児教育・保育施設には、基礎自治体や関係団体などを通じていち早く必要な情報をお伝えいただくことで、保護者・養育者との共有も速やかに行われます。日々の幼児教育・保育や子育て支援における対応にも結びつけていけると考えます。

また、次の認定こども園教育・保育要領や保育所保育指針の改定も視野に入れて、これら教育・保育要領や指針などにも大切な観点を盛り込んでいただきたいと思います。私どもとしても、様々な研修会などを通じて普及啓発する場面を積極的に設けていきたいと考えています。さらに、養成課程で学んでいる次代の保育者にも、養成カリキュラムの改善も含めて、この指針内容をしっかりお伝えいただくことが重要であると考えます。

以上が全国認定こども園協会からの意見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

秋田部会長: 王寺様、ありがとうございました。

続きまして、全国保育サービス協会尾木様、どうぞよろしくお願いいたします。

尾木氏: 尾木でございます。全国保育サービス協会より意見を申し上げます。

まず、訪問型保育の利用実態から見て、こどもの生活やこどもの育ちを考える際に必要なこととして3点申し上げたいと思います。

まずは「こどもが自分の家で過ごす時間を保障する」ということです。保護者が仕事のために家庭外で過ごす時間と同じ時間、こどもも家庭外で過ごすことを余儀なくされています。保護者ニーズに対応するために、延長保育ですとか、長時間保育が広がりましたが、暗くなったらこどもは自分の家で過ごすことが本来の姿であり、こどもまんなかを重視する場合は、大人の事情にこどもを合わせるのではなくて、こどもにとってあるべき生活を優先することが必要であると考えております。それは子育て期にある労働者の働き方改革等によっても可能となると思いますし、それを推進する一方で、長時間保育を利用するこどもが家庭外で過ごす時間を少しでも短くするために訪問型保育等の活用なども有効ではないかと考えております。地域子ども・子育て支援事業の延長保育事業には、訪問型という選択肢があります。その対象として「民間保育所等における延長保育の利用児童数が1人となった場合」が挙げられています。この最後の1人は、保育士がこどもの家まで連れ帰って、そこで延長保育をする仕組みです。このような仕組みを活用することもぜひ推奨したいと思っております。

また、病中・病気回復期のような時期は体調も悪く、こども自身も不安なときに、家庭外の場所に移動し、慣れない場所で過ごすよりも、こどもの家で過ごせるようにすることがこどもにとっては安心であると考えております。

2点目として「こどもに必要な生活時間を確保する」ということを挙げております。集団保育や集団活動でこどもが得るものも多くあると思いますけれども、長時間の集団生活はこどもにどのような影響を及ぼしているでしょうか。乳幼児期はもちろんのこと、学童にとっても、集団での規律を守らなければならない生活は一定時間までとし、自分の慣れた場所で、自分のものを使って、好きなように過ごす時間や、心許せる人に甘えたり、甘やかされたり、くつろいだりする時間の確保や経験も同様に必要なのではないでしょうか。また、その日の体調あるいは障害、個々のこどものニーズに応じた個別的な対応が必要であるということも考えられます。

3点目になりますが、保護者以外の多様な人と出会う機会を、例えば訪問型保育の利用で提供しております。そこで保護者とは異なる関わりを経験し、認められたり、励まされたりする経験もこどもの育ちを支えております。また、保護者の「親育ち」という観点では、第三者が子育てに関わる意義は大きいものと思います。小さいこどもの世話をした経験や、こどもを育てるモデルを身近に持たずに親となった保護者にとって、保育者は自分の代わりにこどもの世話をしてくれる存在であるだけでなく、保育中のこどもの様子の報告を通じて、こどもの成長を客観的に伝えてくれる存在でもあります。また、保護者の話の聞き役になったり、情報提供や求められれば子育てのアドバイスを提供してくれる存在でもあります。また、口頭でのアドバイスに限らず、実際に目の前で育児方法の模範を見せることなども保護者の親育ちに貢献していると考えられます。

また、訪問型保育に限らないことですけれども、保育者によるこどもの育ちへの支援は、こどもに対して直接的に、そして、保護者への支援を通して間接的に行われています。こどもが育てば、保護者はうれしくなり、こどもにほほ笑みかけ、保護者が喜ぶとこどもも幸せな気持ちになる、保護者にもっといいところを見せたくなる、そういった親子関係の循環があります。それは親子だけの関係で達成されるものではなく、そこに第三者が関わっているからこそ達成されるものと思います。その役割をかつては祖父母やあるいは近所の身近な人たちが担ってきたわけですが、現在はその代替を保育者や子育て支援者が果たしていると考えることができると思います。

さらには「虐待に発展しないようにストレスを軽減する」とか、「保護者の困りごとを解消する」というような予防的な視点に立ち子育て支援が展開されることが多いわけですが、逆の視点に立ち、子育て支援を積極的に活用することが、子育てを楽しくし、子育てを豊かにする、保護者だけでこどもを育てるのではなく、いろいろな資源を活用し、いろいろな人の手を借りながら一緒に育てることで、こどもが育ち、保護者が親として育つ点に焦点化しながら、こどもをまんなかに、社会が共にこどもの育ちを支えることを具現化していくことが必要であり、こういったことが、子育てをする人がこどもの成長の喜びを実感し、それを支える社会もこどもの誕生、成長を一緒に喜び合えることにもつながるものと考えております。

次に、民間事業であること、公的事業であること、それぞれの利点と両方の必要性について触れたいと思います。

まず「民間事業であることの利点」ですけれども、民間事業は、公的事業に結びつきにくい家庭、あるいは公的事業を利用できなかった家庭のセーフティーネットになっています。公的事業に結びつかない場合には情報不足という理由のほかに、事業の利用のしにくさや、利用への抵抗感もあります。何らかの支援を必要としながらも、公的事業を敬遠する場合もあります。そこには断られた経験や、利用理由やあるいは自身の子育てに関して何かを言われたような経験を持つ利用者が同じところを利用しようとしない、そういったこともあると思います。そのようなときに見つけた民間事業が、その家庭の唯一利用できる支援となる場合もあることに加え、地域に様々ある子育て支援に結びつくきっかけとなることもあるため、伴走型相談支援や利用者支援事業等において、公的事業に関する情報提供だけではなく、民間事業についての情報提供や、質の担保された民間事業の選び方等の情報提供もぜひしていただきたいと思っております。

一方、公的事業であることの利点ですが、利用料金への助成に加え、まずは地方自治体による審査を経て事業者が選別されていること、つまり、一定の保育の質の担保がされていることへの信頼が得られることにより、利用者が安心して利用できることにつながっています。

公民連携の必要性への理解が今後地方自治体に広がっていくことにも期待を寄せております。

最後に「『幼児期までのこどもの育ちの基本的な考え方』をこどもと日常的には関わる機会がない人を含むすべての人と共有するための方策」について述べます。

親族等身近なところに幼いこどもがいない世帯では、こどもの成長や安全、こどもそのものへの関心が薄れています。こどもと日常的に関わる機会がない全ての人に「幼児期までのこどもの育ちの基本的な考え方」を共有するための方策としては、まずはこどもへの関心を喚起すること、そのためには、まちで育つこどもの姿がもっと見えてくることが必要であると考えております。一方、子育てをする家庭も転居等の理由で自分たちが生活するまちになじみがない人が増えています。こどもたちも施設内で過ごす時間が長時間化し、自由にまちを散策する時間や機会も少なくなり、自分の暮らしているまちをよく知らずに成長しています。保護者だけで育てる子育てが最善の子育てではなく、人と人との出会いがあって、親が育ち、こどもが育ち、まちが育つと考えられます。また、家族以外の様々な年代の人と出会い、様々な生き方、価値観、様々な家庭の文化や習慣を知り、経験する機会も必要と考えられます。その出会いの場の一つがまちであると考えます。こどもの生活を家庭と教育・保育施設等の敷地内だけで完結させるのではなく、教育・保育施設等で過ごす時間の中に、まちを知る機会や体験、まちに出かけて、まちで暮らす様々な人たちとの交流の機会を用意することが必要と考えております。

以上になります。ありがとうございました。

秋田部会長: 尾木様、どうもありがとうございました。

ここで、3団体の皆様に御発表いただいた内容につきまして、質疑の時間を15分間設けたいと思います。それでは、御質問がございましたら挙手ボタンを挙げていただきまして、お願いをいたします。委員の方は、どうぞ遠慮なく挙手ボタンをお願いいたします。

有村委員、お願いいたします。

有村委員: 各団体さんの御意見、本当に学ぶところが大きいと思って聞かせていただきました。ありがとうございます。

2つ質問させていただければと思うのですが、最初にお話しいただきました全国認定こども園連絡協議会様に質問したいのですが、支援の必要なこどもたちが増えているという御発言がありまして、その部分はインクルージョンの部分と保育士ではなくてもということも加えておっしゃっていましたけれども、職員の確保がお話に出ました。この場合の特に障害のあるとか、発達に課題のあるお子さん方とか、様々なお子さんがおられる中で、この保育士でなくても支えられるような職員というものが、保育士でなくてもほかの専門性を持っていらっしゃる方なのか、あるいはどういった要件が必要なのかというところで、現場でイメージがあればお話しいただきたいと思いました。

もう一点なのですが、こちらは全国保育サービス協会様に質問させていただきたいのですけれども、こども虐待ではなくて子育て支援への転換というところは、こども家庭庁、それから、こども家庭審議会の中でも大変大事な議論なのかと思いました。それに併せて思いますのが、担い手だったり、量の確保やどれぐらいの方々を対象にしていくのかということなどで、ここまでは押さえておきたいというイメージ等がありましたらぜひお伺いしたいと思いました。

以上2点でございます。よろしくお願いします。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、戸巻様、尾木様、お願いをいたします。

戸巻氏:ありがとうございます。

発言させていただいた支援を必要とするこどもについてなのですけれども、正直、今、保育士さんだったり、保育教諭の募集はなかなか厳しい中で、どのようなこどもたちに対しての人材不足かという言い方をすると、今回就学前のこどもたちの支援を要するこどもたちの部分はこども家庭庁に移ってきたと思うのですけれども、その中で、実は児童指導員という資格がございます。児童指導員の資格は、過去に認可保育施設だったり、幼保連携型認定こども園であったりで2年間そういったこどもたちの支援活動をしていれば、任用資格のような形で資格として認められます。児童発達支援事業の中では保育士と同等の仕事ができるということになっております。こういったもので、できれば寄り添いのところですね。どうしてもマンツーで見てあげなければいけないこどもたちであったりとか、現場はそこが厳しいと思いますね。クラスから出ていってしまって事故に遭わないようにその子に寄り添う人の仕事は、保育士でなくても児童指導員のような資格でもできます。

これは調査を見たこともないのですけれども、児童指導員という資格、任用資格を手にできる方、日本の中ではすごい数がいらっしゃると僕は思っております。要件ですね。認可保育所等で資格なしでも2年間程度のお仕事をしていた、この資格要件が間違えていたらごめんなさい。でも、そういった方は日本の中にいっぱいいますので、そういった方が小さいこどもたちで支援の必要なこどもたちを支えることができるということを、これもアナウンスすることが必要なのかと思っております。保育士を確保できるのが一番いいのでしょうけれども、そういった様々な資格の中でやっていくことが大事かと思っています。

特段、保育士さんや児童指導員では、表現はよくないかもしれません。手に負えないというか、専門性が求められる支援の必要なこどもたちは専門性の必要なところなのですけれども、我々が結構向き合っているのが、専門性よりもちょっとその下にあるという、寄り添ってあげることでほかの友達と楽しく過ごすことができたり、集団生活を経験することができるこどもたちもいますので、僕の中では児童指導員をイメージしていたというのが正直なところです。よろしくお願いいたします。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

尾木様、お願いいたします。

尾木氏: 御質問ありがとうございました。

本当に虐待防止という視点だけではなくて、全ての子育て家庭が様々な子育て支援サービスを活用する視点が非常に大事だと思っておりますが、担い手の確保やどれだけ確保する必要があるのかという御質問でしたが、今、国のほうで検討が進められています誰でも通園制度という保育所等の空き定員を活用した誰もが利用できる子育て支援という仕組みは一つ期待できるものと考えています。

そのときに、必ずしも保育士でなければならないかというと、基本はそうではないと思っています。子育て支援に関わる方全てが保育士であるというわけでもありませんし、現在は子育て支援員研修という資格をお持ちでない方に保育の一定程度の内容のことを学んでいただく機会や、あるいはベビーシッターに関しても基本的に受講していただく研修が義務化されておりますので、その最低限のレベルは確保できるような形になっていると思います。

特に利用したい人が利用するとか、必要な人が利用するとなると、「私は必要ない」と考えてしまったり、「私は人の手を借りずにこどもを育てたいのだ」というかなり抱え込みのような、誰の手も借りずに子育てすることが一番すばらしいことだと思っていらっしゃる方もたくさんいるので、そうではなくてもっと気楽にという言い方は変ですけれども、子育て支援をどんどん活用して楽しく子育てしましょうというメッセージが伝わるといいかと思っています。

以上になります。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、柿沼委員、その後、秋山委員、吉田委員、高祖委員とお手が挙がっておりますので、それぞれ4方に御発言いただいた後、3人から御対応いただけたらと思います。

まず、柿沼委員、お願いいたします。

柿沼委員: 柿沼です。3人の先生方、ありがとうございます。

僕からは2点質問という形になります。今回指針をつくっていく流れで、社会全体に共有することがすごく大事だというお話だったのですけれども、その認定こども園やベビーシッターさんもそうですけれども、地域に開かれていく、また、地域のつながりがある施設ということで、その園の保護者だけではなくて具体的にどのように地域社会に共有していくかという方策をもしお考えでしたら聞かせていただきたいと思います。

もう一点が、これはこども園の先生方から出たように、今回の指針、こどもの育ちやこどもの生活はすごく大事なところになってくるのですけれども、施設によってはカリキュラム、指針や要領とずれているような施設もあるので、そこを改善していくことがすごく大事になってくるのだと思うのです。こどもの指針ができて、遊びが大事で、こどもの発達が大事ということで考えていくときに、私自身も事業者なので、例えば基礎自治体がやるような集団指導であったり、監査を保育内容にも持っていくようなことをイメージするのですけれども、どのように団体としてそういった施設がナショナルカリキュラムに近づいていくような形を考えられていくかということ、2点お話を聞かせていただけたらと思います。よろしくお願いします。ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、秋山委員、お願いいたします。

秋山委員: 秋山です。御説明ありがとうございました。

この部会で、こどもたちのウエルビーイングの評価の視点として身体、心理、社会を共通認識とするということを述べています。その点で、現場では現状ではどうかということと、また、この視点を取り入れるためにどのようなことが必要かを教えていただきたいと思います。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、吉田委員、お願いいたします。

吉田委員: 吉田です。よろしくお願いいたします。

僕から王寺さんに伺いたいと思ったのが、幼保小架け橋プログラムの拡充を書いていらっしゃるということで、その点についてまだ教育という観点ではなくて福祉という観点も踏まえて十分に行われていないという御指摘をされていました。そこで、それを補っていくためにどのような施策が必要なのかというところと、恐らく幼保というところでいえばいっぱい団体さんがある中で、そこをある意味まとめ上げてうまく小学校側に接続する、または僕自身も放課後児童クラブを運営しているのですけれども、そういう学童に向けて接続するみたいなところをどんどん進めていかなければいけないという中で、どこが主導的に動いていけばいいのか、恐らくもちろん基礎自治体になるのかと思うのですけれども、そこら辺のお考えをお聞かせいただければと思っております。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

高祖委員までで3人に回答いただきまして、また次に進みたいと思います。

高祖委員、お願いいたします。

高祖委員: 御説明ありがとうございました。

私からは意見と質問ということでお願いいたします。訪問型保育の保育サービス協会さんから説明があった中で「こどもが自分の家で過ごす時間を保障する」というところが本当にとてもすごく大事だし、日本の最近の保育の中に欠けている視点かと思ったりしております。先日、スウェーデンの保育士さんからお話を聞く機会がありまして、スウェーデンでは遅くとも5時、本当に遅い場合には5時半にはお迎えに来て、それで園を閉めるというお話も聞きました。働き方改革というお話も出ていますけれども、そういう中で自分の家で過ごすというところで、保育時間も急には変わらないところで、訪問型保育はすごく大事かと思っておりますので、そこら辺の人員確保だったりとか、何かしら制度的なところが、こういうものがあったらというものがありましたら教えていただければと思いました。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、戸巻様、王寺様、尾木様、それぞれ御回答をお願いいたします。

戸巻氏: まず、柿沼先生から意見をいただいて、ありがとうございます。地域のつながりの部分でお話しいただいたと思うのですけれども、認定こども園自身の地域のワンストップのポジショニングはすごく僕は大事だと思っているのです。ただ、そこに行って何が分かるとか、そこに行けるのかとか、すごくシンプルなところをまだ保護者さんは理解していなくて、支援センターは行っていいけれども、園に直接行っても何もできないでしょうみたいな雰囲気が事実として地域にあって、そういったところで我々が今、努力しているのは、町内会であったりとか、そういった近い本当に足元のところの方に園を見ていただくことから始めております。要は、あそこは別に通っていなくても行って大丈夫だよ、お話を聞いてくれるよと言ってくれる人を増やすことから始めているのが現状だと僕は思っております。よろしくお願いします。

2点目なのですけれども、指針や要領ですね。こういったものに対して適合しているというか、それに寄り添う形で保育をしているところはどうかというところについて、我々の団体はグッドケースというのですか、そういったところの園の見学の研修をさせていただいております。コロナが落ち着いたのはよかったのですけれども、その場にこどもたちがいるところに園を見せていただいて、その後、その先生に思いや願いをお話しいただくような研修を今年は進めております。こういった活動を全国展開していくことが大事で、見てもらう、肌で感じてもらって、なるほどなと。その先生の思いや願いを聞いた上で、こどもたちの姿を見て判断していただける機会を多く持ちたいと思っております。よろしくお願いいたします。

2点目が秋山様からいただいたのか、ウエルビーイングのところかと思うのですけれども、自園のお話で申し訳ないのですけれども、まず先生たちが幸せであることを結構テーマにしております。先生たちの人間関係だったりとか、幸せという部分をすごく重視していまして、例えば残業がないことやノンコンタクトタイムがあることはもちろん大事なのでしょうけれども、それ以上に先生同士の人間関係ですね。みんなが笑顔でにこにこしながら過ごせている姿をこどもたちに見せるところから我々は始めたいと思っています。幸せな先生たちの中にいるこどもたちは、その姿を見て幸せだと思えると思うので、そのためにすごく力を注いでおります。すごく浅はかで申し訳ないのですけれども、そのようなところの取組をさせていただいております。よろしくお願いいたします。

私は以上です。よろしくお願いします。

秋田部会長: それでは、王寺様、お願いいたします。

王寺氏: 御意見をありがとうございます。

まず、柿沼先生からいただきました具体的な方策、本当にこれは難しいと考えております。国民全てに行き渡らせるためには、私たちのような専門的な施設の啓発活動もとても必要なのですけれども、マスコミやいろいろな関係機関に、今、マスコミは特に負の部分ばかりを捉えられているのですね。こどもを育てていくことがいかに楽しく素敵なことであるか、また、こども自身が未来そのものであるということを含めて、私たちはいろいろな機関、また、そういう報道も含めて、国民の考え方を違う視点から持っていく、子育ては大変だとかいろいろな視点ばかりが捉えられているところを違う視点へ持っていけるような、そういうことをこの専門的な施設の団体みんなでやらなければいけないのではないかと考えております。

また、団体として、先ほど戸巻先生におっしゃっていただいたように、指針とか、私学の独自性という言葉がありますように、いろいろな施設においては理念が違ってきて、なかなかそこが難しいところではあるのですけれども、いろいろな考え方があったとしても、このこども基本法の中で、こどもにとって何がよいのか、それをまずまんなかに据えていくことをみんなが意識をしていくことがとても大事ではないかと思っています。そのためにも、私どもはこのグランドデザインの中で、この10年間で認定こども園の認証マークというか、こういう子育て支援をどのような形で取り組んでいるかとか、また、やっているやっていないではなくて、好事例集なども含めてこういうことをやったらどうなのかという提案並びにそれが御自分の地域でどのような形でやれるのだろうかというものも含めて、研修を充実していかなければならないのではないかと考えているところです。

また、ウエルビーイングの視点は、まさにこどもの幸せばかりではなく、人々が皆幸せになっていくためにはどうあるべきかということの幼児教育の視点の中で、こどもたちがみんなが違ってみんなそれでいいのだ、一人一人が生きていくにふさわしいのだという視点の捉え方の保育を、私たちは先生たち同士もそうですけれども、こども一人一人がいろいろな人がいていい、例えば発達障害のこどもも一緒に生活をしているわけです。その中で、私たちとしてはみんながそれぞれ生きていくために必要なことなのだよという、社会の仕組みの中でも市民をつくるという意味で捉えて、今、やっていこうとしているところです。

最後に、幼保小のことなのですけれども、架け橋では本当にいろいろな事例を先駆的にやっていらっしゃるところを多くお知らせしていただいているところです。ところが、もちろん発達障害も含めてなのですけれども、貧困家庭、また、ヤングケアラーの問題とか、そういうところにまで話がなかなか行っていないと私は感じております。例えばそういう貧困状態の中のこどもたちが、学校でいじめとかいろいろな形へつながっていくことも踏まえて、私たちは乳幼児期からそういう家庭と向き合ってきていることを、小学校でどのような形で連動していけばいいのか、こういう問題はなかなか一長一短には解決することはできない長いスパンで捉えていくべきであることも踏まえて、教育とともにそこが大事ではないかと考えて意見を述べさせていただきました。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

次に、尾木様、お願いいたします。

尾木氏: ありがとうございます。

御質問に対してなのですけれども、地域に開かれていく、地域にどのように共有していくかということなのですが、いわゆるベビーシッターとこどもが外に出かけていく機会は多いのですが、その姿は割と一般的な親子の姿のように見える場合もあるかと思います。まずは地域に直接というよりは、保育者から家庭に伝えていく、あるいは保育者同士ですね。様々な方が保育者となり得る可能性がありますので、そういった方に対してこういった考えを浸透させていくことが第一歩なのかと思っております。

それから、秋山先生からも御質問をいただきましたこどものウエルビーイングについてということも問われて改めて思いましたけれども、身体、心理、社会を共通認識とするということを具体的に保育者やあるいは事業者に伝えていくこと、そして、それを共有することが非常に大事なことであって、今すぐに取り組まなければならないことだと思いました。

最後に、高祖委員からいただきました御意見なのですが、制度的にどうなればいいかということなのですが、こういった訪問型保育の利用は、積極的に利用する人とそういったものは利用しないほうがいいとか、あるいは危険な部分があるのではないかとか、いろいろな御意見があるのですけれども、先ほども説明しましたが、例えば保育所の最後の1人をこどもの家に連れて帰って保育する、そうしたら、保育所も閉めることができるわけですし、こどもも家で待っていればいい、保護者も家に帰ってくればいい、これは2015年からつくられた画期的な制度だと思っているのですが、一向に実施されている様子がないのです。これは何もベビーシッター事業者を使わなくても、保育士の方がそれを担うこともできますし、訪問型保育の勉強をした養成校の卒業生もたくさんおります。認定ベビーシッターの資格を持っている保育士がたくさんおりますので、そういった人材を活用しながら、ぜひどこかで取組を始めていただいて広がったらと思っております。

以上になります。

秋田部会長: 多くの御意見をありがとうございました。

お時間の都合もございますので、次のヒアリングへ移らせていただきます。

それでは、全国保育協議会奥村様、村松様、お願いいたします。

奥村氏: おはようございます。本日はこのような場をいただきまして、誠にありがとうございます。

私は全国保育協議会会長を務めております奥村尚三です。

私から施設の施設長の立場と、また、保護者の立場という形で意見を取りまとめて言わせていただきます。また、全国保育協議会副会長であり、全国保育士会会長の村松幹子は、保育士として日々直接お子様たち、また、保護者の皆様たちと接する職員として発言をさせていただきます。

資料の2ページに、全国保育協議会の成り立ち、活動の一部を書かせていただきました。私どもの会は1952年に設立され、全国の公立・私立の認可保育所・認定こども園等の会員総数2万1500施設で構成されており、保育・こども家庭福祉の質の向上に努めております。

また、内部組織である全国保育士会の概要を3ページに書かせていただきました。こちらは会員数18万8000余りの保育士・保育教諭等から成る専門職の組織であり、全国保育士会倫理綱領の理念の下、こどもの最善の利益、「子どもの育ちを支え、保護者の子育てを支え、子どもと子育てにやさしい社会をつくる」を目標に事業活動を進めております。

また、以上の2名から発言させていただきますが、前回までの内容を見せていただきまして、いささか細かい部分も入れさせていただきますが、発言させていただきます。

私はこの資料を見せていただいた際に、第1子と第2子、第3子とあると思いますが、第1子を想像して検討させていただきました。第1子のお子さんを持つ保護者の皆様がどう考えるか、地域がどう考えるかを少し考えました。これによって変わっていくことも多少あるかと思います。

さて、4ページの論点整理の受け止めの「こどもの育ちを見る3つの視点」を見た際に、心、身体、社会に含まれているとは思いますが、育ちを見た際に「こどもの感情」「こどもの表現力」「こどものコミュニケーション力」という視点も欠かせないように思っています。感情でいえば、好き嫌いから始まり、欲しい要らないや、人に対する、また、物に対する憧れなどがあり、一生持ち続けるものもあれば、日々変化していくものもあるように思っております。表現力は、笑顔や泣き顔、身振り手振り、発声と、出産期より変化も大きく、周りの人が受け止める影響も大きいものがあると思います。そして、コミュニケーション力は、こちらは乳児期に抱かれた際に、顔を埋めたり、また、目線が合ったり、指をつかんだりというときの力の入れ具合、ほほ笑みの仕方、抱きつき方など、言葉の成長などの中に見る自然に身につけたものではあるが、個性が大きいものであるとも言えると思われます。

以上の3点なども見据えて、そちらの変化の大きいところもこういう中に入れていただけたら、検討していただけたらうれしいと思っております。

また、「発達の鍵となる『安心と挑戦の循環』のイメージ」を見た際に、挑戦と安心が交互に相乗効果となるように見えますが、挑戦をすれば成功しても失敗してもそこから学びが出てくると思います。また、土台となる安心には環境的な面として誰かの見守りがあったほうがよいのではないかと考えました。

また、こどもまんなかチャートの直接接する人の中に、最近「保護者の友人」が非常に大きい影響力を持っているようにいつも思っております。そのような友人的な立場の者も加えてはどうかと考えます。特に母親同士の情報は早く、様々な情報をお互いに交換しておりますし、また、父親同士も親しくなればというケースは本当に珍しくなく、家族同士のお付き合いなどもあり、こどもの情報が非常に循環しているというか、うまくいっているようなケースもあれば、それによって問題を起こすケースもあろうかと思いますが、そういうものを踏まえたほうがよろしいのではないかと思うところもあります。

そして、妊娠期のチャートでは、こどもに対するものであれば、まず母体である妊婦の家族、親類が妊娠を喜び、また、妊娠に対する慈しみを母子ともに寄せられているか、また、家庭内の状況は妊婦の出産までの生活を安定して過ごせる環境にあるか、また、子育てパートナーは協力的に関わりを持ってもらえるか、出産までの計画などもパートナーと一緒に立てることができているのか、生活環境が変わること、また、妊婦となり制限ができることを理解してもらっているか、また、妊婦時に行ったほうがよいことややってはいけないこと、備えておいたほうがよいことなど、迷信や言い伝えもあれば理にかなったものもあります。気にする身内や地域の方がいらっしゃれば、対応するなども考えてよいと思っております。また、直接接する人の中で、こどもの健康を育てる共感、医療機関や助産師などのアドバイス、こどもを見守る人は、支援の場や機会を提供する人やシステムがあること、それらを知った上で活用できるものを認知しておく。

また、乳児期のチャートでは、こどもにとってくつろげる安心と生活の場が適した環境か、母子、パートナーともに健康で、子育て知識を共有しているか、養育者に支援してもらえることの内容を確認しているか、支援してもらいたいことを伝えているか、また、伝えられているか、子育て支援をする側には知識と技量、また、他機関とのパイプがあると、ニーズに対応できるといいと思います。また、直接接する人は、こどもの成長を理解し、愛着形成、人格形成の基礎となる時期であることを踏まえ、それぞれ専門性を持った人材による対応が求められること、支援をしてほしい事項、事柄などを伝える相手、また、対応する専門家の対応などがあるかを知っておいてほしいと思います。地域社会を構成する人は、乳児を育てていることを認識する、地域の支援プログラムを知ってもらうとともに、参加型のイベントの声がけなどをして、支援センターやこども会などの声なども上げられるとよいと思います。

また、おおむね1歳から3歳のチャートは、こどもがやりたいこと、やってみたいことを理解し、こどもの心理を理解して、成長度合いを理解する知識を持つ場を企画する。直接接する人は、意思やその子のペースを受け止められる喜びにつながる、そして、こどもの心身の育ちの道筋や関わり方の共有と理解をする、保護者等が子育ての仲間をつくる情報などを共有する、保護者同士が子育てを話し合えるきっかけやその場、時間づくりをして子育てを楽しむ。こどもを見守る人は、こどもの成長を理解し、その成長ややってみたいこと、やってみたいと思うこと、活動を行える適応した環境の提供、こどもの成長を視覚的に捉えられ、質問に答えられる人材なども必要だと思います。

おおむね3歳から幼児にかけては、村松先生、よろしくお願いいたします。

村松氏: それでは、私からおおむね3歳からのチャートでお話しさせていただきます。この時期のこどもたちを養育する立場の保護者には、本当に様々な経験を通して、こどもたちが達成感や満足感をたくさん味わっていく、そういうこどもとその喜びを共有できるような時間をたくさん持っていただきたいと思っています。そして、保護者のみならず、全ての人がこどものいる社会やこどもの声が響く社会を喜べることが大切なのではないかと思っています。また、このチャートにおいては、その後の育ちにおいても言及していくことが必要かと思っています。つまり、こどもの生活や発達は連続しているということです。幼児期までのこどもは、生涯にわたる生きる力の基礎を培うという大切なときにあります。幼児期に得た力をさらに育てながら、その後の大人になってからの生き方を模索していくのだと思っております。そこで、架け橋期のプログラムを共有していく立場として、学校や学校の先生たちにもこのチャートの中に参加していってほしいと思いました。

これまでのそれぞれのチャートにおいて、私たちとして共有していきたいこと、そのために必要なことを述べてまいりました。改めて、こどもと保護者の側に常にいる立場として発言させていただきますけれども、昨年末からの不適切保育を受けて、保育士たちは、では、どんな保育を行っていくべきなのか深く考えています。不適切な関わりを振り返ることはもちろん大切ですけれども、さらに求められるのは、こどもを大切にする保育を具体的にどのように行っていくかということです。つまり、こどもの立場で考えたときに、どのような関わりをしていってほしいかと自分事として捉える、そういう保育を行うことですね。つまり、こどもをまんなかにした保育をしていきたいと願っています。

その保育の姿勢は、保護者支援の柱でもあると思います。保育者にとっても、こどもたちにとっても、このような安心できる保育を当たり前に展開できる環境があって当然だと思っているのですが……。このたびようやくこどもがまんなかに置かれて、世の中のかは議論の主人公として語られることになったことが、私たち保育者にとっては何よりうれしいことかと感じました。同時に、子育てをする保護者・養育者にも、周りから支援されるように行動することも考えてもらうことも必要ではないかと思ったりもいたしました。

もう一歩こどもをまんなかにするのであれば、就労ありきの社会の軸足を、将来の日本を担う人材の育成という視点から、こどもにふさわしい生活リズムに基づく生活を保障していくことが、こどもを取り巻く全ての大人の役割ではないかと考えます。これが単に共有したいことで終わるのではなくて、ぜひ早々に実現してほしいと思っています。

本指針も含めまして、日本国憲法とか、児童憲章とか、こどもの権利条約とか、本当にこどもをめぐる施策を裏づけるもの、言わば骨格となるものがたくさんありますが、これらはふだんこどもと関わらない人にきちんと届けられているのでしょうか。これを検証した上で本指針を届けていかねば、策定の意味がないと思います。意味のある、力のある指針として、全ての人々に届けられることを期待いたします。

時間を超過いたしました。大変申し訳ありませんでした。以上です。

秋田部会長: 奥村様、村松様、どうもありがとうございました。

続きまして、全国私立保育園連盟、髙谷様、丸山様、よろしくお願いいたします。

丸山氏: ありがとうございます。全国私立保育連盟の常務理事をしております丸山でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

私どもからは、就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針について、具体的な検討における留意点として5つの論点が挙げられております。このうち前半に挙げられている以下の2点について、就学前のこどもに関わる立場から意見を申し上げたいと、そのように考えております。

画面の共有をさせていただきます。挙げられている2点、こどもの誕生前から幼児期までを切れ目なく対象とするというところと、妊娠以前や、小学校就学以降の育ちとの接続に留意、この2点、ここにポイントを絞って申し上げたいと思っております。

5歳児からの2年間を「架け橋期」として様々な議論が進められております。小学校との接続をいかにスムーズにするかは、私たち保育施設を運営する者としては非常に大きな課題と感じております。

今の指針、要領の下において、各施設では様々な保育が展開されております。現在の指針、要領は、知識の集約や知識偏重型の教育から「自己と他者との相互関係能力」を育むといった、個々に深く考え自律的に行動する能力を育む保育へと進む大きな転換となっておりました。それまでの保育は、保育者主導で朝のカリキュラムをし、時間になったら散歩または園庭遊びに行き、一斉にまた部屋に戻り、給食だよと言われて給食を食べるみたいな保育でございましたが、この指針、要領の改定によって、こどもの主体性を大切にした保育、これを目指して多くの保育現場ではそのように保育の転換を行ってまいりました。また、全私保連では「新しい時代は子どもから」ということで保育の運動も進めておりますが、これはチラシを御覧いただければと思います。

新しい指針、要領での保育の実践例としましては、運動会や各種発表会での演目を保育者が決めるのではなく、こどもたちとの話合いを基に検討したり、遠足の行き先をここに行きますと職員が決めるのではなく、目的地ありきで決定する保育から、こどもたちの話合いを土台に行き先を決めるなど、こどもと家庭、そして、保育者で保育の営みを編み上げるような、そのような保育として毎日を過ごしております。以前から行われていたような保育と比べて、こどもの主体性を尊重する保育は非常に手間もかかりますし、時間もかかりますが、指針、要領に合致した保育、「21世紀を生きる子どもたちに必要とされている知性の基礎を育んでほしい」というメッセージを私たちは受け取り、保育の転換を進めております。

一方で、4月にこどもたちを小学校へと送りますと、これがなかなかそうはいっていないという現実を4月、5月で目にするわけです。5月に一斉にこどもたちが動く運動会の予定が組まれていたりですとか、そのようなところで、保育施設と小学校との間でそごと戸惑いが生じているのではないかと思っております。保護者は、親心として、こどもに苦労や悲しい思いをさせたいと、そのようには考えておりませんので、どうしても「小学校に上がって困らないように」という願いを強く持っております。5月に開催されました幼児期までのこどもの育ち部会の資料3-2には「誰に何を共有したいのか」と題されたスライドがございました。そこにおいて「安心と挑戦の循環による育ちのプロセスを共有」と明言されておりました。私たちが願っておりますのもまさにこの点です。連続していくから学びがつながり、そして、それが定着するのだと思います。こどもと保育施設、家庭、小学校、そして、何よりも社会全般ですね。この5者間において育ちのプロセスの共有が何よりも求められていると、そのように考えます。

一人一人のこどもが尊重され、よりよい明日を生きるために、小学校、また、保育施設、また、教育委員会、保育課といった管轄、施設の壁を越えて、共にこどもを中心に話し合えることを願ってやみません。

以上でございます。ありがとうございました。

秋田部会長: 丸山様、どうもありがとうございます。

お願いいたします。

髙谷氏: 同じく全国私立保育連盟の髙谷でございます。

私から、先ほど丸山委員からもありましたが、どうしても現場レベルでは地方自治体との関係で保育・教育を実施していかざるを得ないということがありまして、繰り返しになってしまうのですが、まずはこの国の大きな改革を、きっちりと地方での理解へと浸透させていただきたいと思っております。

言われ続けまして久しいという感じがしますが、自治体の中でも特に首長部局と教育委員会の連携が非常に取れていない場合が多く、特に公立学校を所管している教育委員会さんにおいて、責任ある立場におられる方が小中高校の教員出身の方が非常に多くて、就学前の施設の先生はいないか、または非常に少ない現状になっています。そのため、どうしても先ほど丸山委員からもありましたように、教科教育におけるアプローチで考えるような場合が結構多くて、小1で座っていられない、ついていけないこどもを何とかしてほしいという声がよく聞かれております。これも座っていられない、ついていけないということよりも、個々の発達の度合いに応じた教育が小学校入学とともにできなくなる現状があるのではないか、これはまさに大人の問題なのではないかと感じています。配置基準等々でそうならざるを得ないということなのでしょうか。

繰り返しになりますけれども、小1プロブレムというのは、基本、私は大人の問題だと感じています。こども自身が小学校に入って急に変わるわけでもなく、何とか対処してきた就学前と、なかなかその対処が難しい小1の環境そのものに問題があるのではないかと感じざるを得ないと思っています。

また、こども自身の関わりだけにとどまらず、学校現場においては、就学前と比べて家庭とのつながりも薄れておられることが保護者の御意見等々からも非常によく聞くことでございます。支援が必要なこどもが増えているのも確かなのですけれども、小1プロブレムをこどもだけにフォーカスする議論はナンセンスではないかと思っています。教員確保が非常に難しいという現状でしたら、教員だけではなくて、先ほどもありましたように、それ以外のマンパワーで公教育の再生という中でぜひ実現していただきたいと思っています。就学前の我々が知っているこどもたちの笑顔が、小学校に入り学年が進むごとに失われていく過程を我々はずっとこれまで見てきました。こどもの笑顔が絶えることのないような学校現場への転換も頑張って進めていけたらと思います。

以上でございます。

秋田部会長: 髙谷様、どうもありがとうございました。

続きまして、全国児童養護施設協議会髙橋様、よろしくお願いいたします。

髙橋(誠)氏: 画面共有させていただきます。

私は全国児童養護施設協議会で総務部長を今期務めております、至誠学舎立川の至誠大地の家の髙橋と申します。本日はこのような貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
4月からこども基本法の施行によりまして、いよいよこどもを中心とした社会の実現ということで、こどもの福祉を担う一人として大変誇りを持って期待と感謝をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

初めに、児童養護施設は今日唯一の生活施設ということでありますので、少し説明をさせていただきます。まずは全国児童養護施設協議会、略して全養協と呼んでおりますけれども、全国606施設の児童養護施設により構成される協議会で、児童福祉法制定時は戦後の浮浪児や戦災孤児の保護ということでありますが、現在はほとんどが児童虐待など家庭の事情で家族と生活をすることが難しいお子さんが、児童相談所によって措置されて生活している施設です。定員は3万人程度、現員は2万3000人程度で、年齢は法改正を重ねて現在は0歳から22歳までのお子さんが生活できることになっております。特に大学進学等で22歳という補助制度をいただいておりますが、来年からはこの年齢もお子さんの必要な時期までということで撤廃される予定と示されております。

それから、入所されているお子さんの状況でございますが、虐待を理由とする入所が45%ということで、平成30年の国の調査ですけれども、同じように障害のあるお子さんも大変増えています。それから、下のほうへ行きまして、職員の関係は、こどもたちの生活を支える主にケアワーカーと多くは呼んでいますが、児童指導員、保育士、栄養士、調理員、それから、心理士、看護師といった医療・心理面の治療的関わりを支える職員、それから、家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員、自立支援担当職員等ソーシャルワーク的な役割の職員が勤めております。

それから、児童養護施設の生活形態なのですけれども、近年大きく変わってきております。小規模化ということで、施設自体の小規模化、小さくすること、それから、生活単位ですね。小さい人数で生活をするということで、6人程度のグループで職員とともに生活をして、また、グループホームということで、地域の中でおうちを借りたり、法人で建設して生活するという形態です。職員はシフト勤務でおりまして、24時間365日こどもの生活を支えております。したがいまして、小規模化の推進とこどもの安心した生活環境の確保のためにこどもの生活に合わせた勤務形態になっておりますので、そういった負担は大きくなっていると思います。

それでは、本指針を伺いましたところの確認事項ということで入れさせていただいております。まずはこどもまんなかチャートですね。今までの議論を拝見させていただきましたけれども、こどものところですね。ここに社会的養護で暮らすこどもたちが含まれていらっしゃるかどうかというところ。それから、それを支える保護者・養育者という次の枠のところに、ここはいろいろな御家庭がありますので、独り親家庭ですとか、多国籍、外国人の方の家庭、里親家庭、養子縁組家庭、さらには私たちのような施設の養育関係者、そういった者たちも含まれているかというところでございます。そして、私たちの施設での養育というのは、施設だけではとても完結しませんので、関係機関ですね。学校、病院、警察、児童相談所、それから、市町村の機関、様々な方たちに間接的に関わっていただいております。それに加えて地域住民の皆さんの支えも大変重要でありまして、こどもたちは地域の学校に通っておりますので、地域の住民の一人として、特にグループホームなどは近隣の方たちに本当に支えていただいて生活ができているということでありまして、ここは非常に重要なところと思っております。

それから、社会的養護で暮らすこどもたちは全人口から見ると約0.2%ということで少ないかもしれませんけれども、一般的な家庭とはかけ離れた養育環境で何とか生き抜いてきたというような、こどもとして経験しなくてもよい激しい暴力にさらされたり、心理的な虐待、中には性的な虐待を受けてきたこどもたちもおります。または学校に行かせてもらえなかったり、病院も行けなかったという深刻なネグレクトのお子さんも生活していますので、そういった環境から本来できるはずだったアタッチメントの環境ですね。母親とのアタッチメントの環境が十分に必要な時期にできなかった、いわゆる安全基地を持てなかった、そういったこどもたち、また、激しい暴力にさらされたトラウマの後遺症ですとか、自分が悪い子だからしようがなかったという不適切な認知というのですか、ゆがんだ認知というか、そういった環境が基になった行動、特に他者との人間関係の構築、そういったものを施設に来てからやり直しというか、職員とやっているわけですけれども、お子さんは家族や地域やお友達とさらに別れて施設に来ますので、大きな喪失体験、別離体験もしてきています。こどもはそういった様々な課題を抱えて、新たな養育者と、施設の職員と、また、里親家庭に行ったお子さんは里親さんと関係を築き直すというところで、まずは我々のような社会的養育の者が暮らしの安全基地となれるように、その先にお子さん自身が持つ本来の力を取り戻して癒やされていくという過程があると思っております。

現在我が国は少子化が進む一方で、社会的養護全体のお子さんの数は実は減っていないのですね。これは社会的養護を必要とするお子さんが抱える課題やその背景の課題、大変複雑化して多岐にわたっていることが言えると思います。地域で暮らす子育て家庭も経済r的な不安定ですとか、子育てに対する不安や孤独を抱える保護者も増えているのではないかと思いますし、それらを含めて虐待防止という視点では、要保護児童地域対策協議会ですね。いわゆる要対協の対応としているお子さんが約25万人もいることからも明らかなのではないかと思います。現在社会的養護で暮らすこどもや地域で支援を必要とする子育て家庭の環境も考える必要があるのではないかと思います。

特に重要と考えることということで、全てのこどもたちの育ちを保障するためにということですけれども、まずは胎児期からのネグレクトや虐待あるいはDV被害の恐怖にあるお母さんたちの生活ですね。中には喫煙、飲酒、薬などの不適切な環境がその後のお子さんの育ちに大きな影響を与えてきますので、妊娠期からの関わりが非常に重要になると思います。また、妊娠前からかもしれません。そういったお母さんたちが不安で孤独な不適切な環境にさらされているようでしたら、安心して出産ができる環境、ゆったりとおなかのお子さんと向かい合える環境が必要だと思います。

それから、こどもは社会的経験から安心と挑戦を行ったり来たりというサイクルがありましたが、これは私たちの児童養護の自立の支援と本当に重なるということで、挑戦と安心ですね。スパイラルのように行ったり来たりくるくると回りながら高く上がっていくような、そういったお子さんの成長、自立という形が、お子さんが安心できる環境を用意するのがすごく大事なことだと思います。これは社会的養護の施設が本来持つところだと思います。

こどもは何があっても見放されないという「絶対的な受容」ですね。受け入れてもらえる経験、これがされているかどうか、こういう心の安全基地を持っているかどうかが本当にこどもの育ちで重要になりますので、そういった環境が保障されていなかったこどもたちが施設で生活しておりますから、「絶対的な受容」のやり直しというのですか、そういったものの構築が施設の養育そのものだと思います。中にはこれでもかと自分を受け入れてくれるような問題行動を重ねるお子さんも、意図的ではなく無意識に試すお子さんもいらっしゃいますけれども、そういったお子さんたちの立場になって考えますと、幼児期、就学期などとこどもの年齢で見るよりかは、お子さん一人一人の発達に合わせたお子さんの発育を見ていくことが大事になると思います。

保護・支援を必要とするこどもに早期支援を行い、重篤化させないような予防的支援も必要だと思います。来年の児童福祉法の改正で、家庭訪問の支援が充実するというところは大いに期待しているところであります。実施する市町村がやりやすいような仕組みが必要と思いますが、児童養護施設には心理職やソーシャルワーク職、看護師、栄養士など専門家がいますので、市町村が地域の児童養護施設等と連携して予防的支援が充実することを期待しております。

どこにこどもが生活していても、切れ目ない支援をする必要があると思います。社会的養護に関する制度は都道府県・政令都市レベルでありますので、児童相談所から措置されます。地域住民の身近な施設ではないかもしれません。家庭復帰や進学支援などで、こどもたちの生活場所は市町村と、自分の生活する場所に変わりますので、市町村との連携はすごく大事になってくるということと、中には県を越えて違う県から東京に就職するお子さんや大学に行くお子さんもいらっしゃいますので、そういった県を越えた支援も大事になってくると思います。こどもの養育者が居心地のよいコミュニティーで生活できれば、こどもが安心して育つ環境の実現ができると思いますし、虐待の数も減ってくるのではないかと思います。

こどもの権利を代弁する方策としては、こどもの最善の利益や育ちを踏まえた対応策の調整も必要だと思います。制度により保護、措置されるにしても、しっかりと説明がされ、今、こうしている間に虐待などにおびえ暮らしているお子さんがいるわけで、つらい状況のこどもの育ちをどう保障するか、ここは大変重要になってくると思います。全てのこどもがまんなかにいる社会の実現を目指すということであれば、児童養護施設等をはじめ社会的養護の施設はこどものセーフティーネットとして機能していきたいということでありますし、地域で必要とされる児童養護施設になっていきたいと思います。

以上でございます。どうもありがとうございました。

秋田部会長: 髙橋様、どうもありがとうございました。

ここで、3団体の皆様に御発表いただきました内容につきまして、質疑の時間を設けたいと思います。御質問がございましたら挙手ボタンを挙げてください。先ほど同様、まとめてお話を伺わせていただく形にしたいと思います。

高祖委員、次に、有村委員、お願いいたします。それから、明和委員とお願いいたします。

高祖委員: 高祖です。御説明ありがとうございました。

質問を短く簡単にお伝えしたいと思います。私立保育園連盟のところで、こどもの主体性を重視した保育というお話で、本当に大変ありがたいと思っております。行事の演目や遠足の行き先をこどもの話合いを土台に決めるというお話がありましたけれども、これは本当に全園で実施してくださっていると考えてよろしいのでしょうか。

それに伴ってという言い方は変ですが、全国保育協議会のほうの把握としては、私立保育園のほうはそのようにおっしゃっていますが、保育協議会のほうの管轄の保育園などでもそのようにやってくださっているのでしょうか。

あと、児童養護施設協議会のほうなのですけれども、小舎制ということはとてもいいことだと思っておりますが、大舎制のところもまだあるのではないかと思いまして、ざっくりでいいのですが、割合と今後の小舎制へのめどというか道筋を教えていただければと思いました。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、有村委員、お願いいたします。

有村委員: ありがとうございます。

今回の3団体、皆さんのお話、そうだなと思って聞いておりました。質問は全国児童養護施設協議会さんに御質問させていただければと思います。1つ目は、今回のこども育ち部会では、こどもの声をどう聞いていくかが課題となっています。社会的養護に関しては、お子さんを育てている親御さんもそうですし、先ほども違う自治体で大学に進学して大人になっていくこどもたちのお話がありました。その話をどうやって聞いて、どうニーズを把握していくのかというところで、聞いていただく人や、あるいはこんなアイデアがというものがあればお伺いしたいです。

もう一つ、今回のこどもの育ち部会でつくられていくものを実際の社会的養護にどう生かしていくのか、あるいはどう使いたいのかとか、そういうイメージがあればぜひ教えていただきたいと思いました。

私の質問は以上でございます。ありがとうございます。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、明和委員、お願いいたします。

明和委員: 明和でございます。ありがとうございます。

私保連の髙谷先生のお話を聞いて、親当事者として、そして脳科学者として、本当に同意したことがあります。保育園で育ったこどもたちが小学校に上がったときに、笑顔が消えていくというのは、大げさなことではないと感じます。個人的なお話ですけれども、私の子どもは難しい部分を抱えていた時期があり、教室でじっと座っていなければならない時空間にさらされたときに、いかに心身にストレスを抱えていくかを目の当たりにしました。

ここからは、新しい視点の導入が必要かと思う点についてふれます。小学校を含め、GIGAスクール構想やICT教育の実装が進むと、「個別最適な学び」「個性に応じて」という名のもと、学びの時空間が選択できる、オンラインの時空間で学ぶという選択肢も出てくるかと思います。つまり、こどもたちにとってのリアル(現実)空間での集団生活は、一体何のためにあるのかを再考する時代を迎えているわけです。私自身は脳科学者として、知育ではなく感性(感情)の育ちの側面は、集団というリアル空間の中で育つものだと理解しています。文部科学省が管轄だと思いますけれども、小学校の6年間という長い期間において、この時期には・何を・集団生活で育むことが大切かを、エビデンスベーストの教育として再考いただきたいと考えます。これは、意見です。

もう一つ、これは髙橋先生にお伺いしたいのですけれども、生物学者、脳科学者として、ヒトという生物、ホモ・サピエンスにとって、アタッチメント対象の獲得は生存をかけて必須であることは明確です。これはマウスやラットの動物実験だけではなく、ヒトを対象とした研究でもエビデンスが出ています。ここからなのですけれども、では、ヒトで実際にこどもを産んだ母親、あるいは、血縁関係にある養育者が子育てできないという状況になったときに、児童養護施設等でどのように「ある特定の誰か」であるアタッチメント対象を築いていくことができるのか、ここをもう少し真剣に、具体的に議論していくことが必要だと考えます。まず何より、こどもたちの生存そのものがかかっている重要な視点です。髙橋先生のこれまでの御経験の中で、今後こうしたチャレンジがすごく重要など、いろいろな御意見を聞かせていただきたいと思います。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、安達委員、加藤委員まででここのセッションは区切らせていただきたいと思います。

安達委員、お願いいたします。

安達委員: 先生方、ありがとうございます。

私からは全国保育協議会と児童養護施設協議会の先生方に御意見をいただければと思います。私は助産師でございますので、今回妊娠期、胎児期からの大切な関わりのことをお示しいただきまして、本当にありがとうございます。周産期医療、母子保健はある程度一体化できているところがあるかと思うのですけれども、そこから先の乳幼児期へのつなぎはまだまだ課題があるかと思っております。一つの例としては、先ほどお示しいただきました要対協については、妊娠期から続けて継続的な支援ということで、地域での協議会等が開催されているかと思います。これらを含めて妊娠期、胎児期から次の乳幼児期へのつなぎに関して、何か御教示いただけることがありましたらぜひ御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、加藤委員、お願いいたします。

加藤委員: 加藤です。

私からは意見として2点申し上げます。1つ目は、全国保育協議会様、全養協様からの御提言で、こどもまんなかチャートについてのアイデアをいただきました。このチャートは当事者以外の全ての社会の人たちがこどもに関わるのだということを強くメッセージしたものと私は受け止めておりますけれども、その上でこどもの妊娠、出産、乳児期など時期に合わせた視点があることで、あるいは様々な環境にあるこどもたちがいることを皆が認識する上でも、この具体的な視点の入れ方は社会の人が身近に考えられる非常に大事なことと思いまして、指針できちんと一致させるものと、それから、それぞれの時期に合わせたものとして各論があると認識いたしました。大変興味深く伺いました。ありがとうございます。

それから、全国私保連さんの御提言の時代の変化と保護者が理解するまでのタイムラグについて、私たちの会議でも話題になっているところです。当指針におけるこどもの育ちについての方向性は御意見をいただいたものと同じと私も思っておりまして、社会の様々な方にこどもの育ちということを理解いただく啓発は、全国の各団体の皆様と一緒に取り組む必要があると感じました。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、御報告いただきました3団体様から回答をお願いしたいと思います。

全国保育協議会様からお願いしてよろしいでしょうか。

奥村氏: ありがとうございます。

先ほど、こどもたちに遠足など様々なものを考えさせているのかという意見をいただきまして、そちらに関しましては、先般研修等をさせていただいた部分の中で、汐見先生等のお言葉をいただくようなものを全会員に流す形で1か月間ですか、全部そういうこれからの取組を御教示いただいた研修等を始めているところです。何回かあったのですけれども、今回改めて出させていただきました。また、こども家庭庁のことも踏まえて、本後課長のお言葉なども入れて、勉強させていただいている最中ですから、全てのものが進んでいるわけではなく、これからどんどん進めていこうという形で全保協としては研修を重ねております。

また、妊娠期の話の中では、私たち保育園としては、お子さんが生まれる前に保育園にぜひ見学に来てくださいという形で、生まれる前のお母さん、お父さん方を対象に交流会なども持たせていただくことがよくあるのですが、なかなかお母さんに来ていただいてもお父さんが、お父さんに来ていただいてもお母さんが、夫婦御一緒に来ていただく時間がなかなか取れないこともあるのですが、そういうお父さん、お母さん方とお話しさせていただくというのは、先ほども少し言わせていただきましたけれども、どのような形でこどもたちを産んでいく場所を提供できるのか、育てていく場所は提供できるのかをパートナーとともにお考えいただいて、こどもたちのよりよい出産または成長へという形で、環境をお父さん、お母さん方に見直しをしていただくようなこともお話しさせていただく。ただ、実際にお子さんが生まれてみないと私たちの施設、保育園、または認定こども園に来ていただけないというところではなかなか難しいところですが、来ていただくと、産休明けですと、本当に抱き方、沐浴の仕方を改めてお母さん、お父さん方と研修したりして、子育てに対して不安がないようにという形、また、施設のことを知っていただくような形で進めさせていただいております。

また、チャートの中に出てきた様々なもので、チャートを見せていただいて、これはこどもたちの姿を小学校まで、卒園したときの姿までを考えた架け橋プログラムのところまで、私たちはどのように持っていかなくてはいけないのかをよく考えます。そのような中では、小学校の先生方との連携もあるのですが、小学校の先生方にこどもたちは0歳からどのように成長してきたという過程を改めて御理解いただくことをお願いしながら、場合によっては小学校に説明に行ったりだとか、そういうものもさせていただいているのですが、生活習慣が本当に保育園と小学校とで違う、勉強だけではなくて生活習慣的なものが違ってしまうことをよくお話しさせていただくこともございます。

秋田部会長: ありがとうございます。

すみません。時間が、この後3団体の発表がございますので、それぞれについて御回答は本当にポイントのところだけいただけましたら幸いです。

奥村氏: 失礼いたしました。

秋田部会長: よろしゅうございますでしょうか。

奥村氏: 結構です。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、全国私立保育園連盟様も必要なところだけ御回答をお願いいたします。心苦しいのですが、すみません。

丸山氏: 承知しました。こどもを主体とした保育を全国で全園でできているのかという御質問でした。自信を持って全国でやれています、全園でやれていますと言えたらどんなにかいいかと思うのですが、残念ながらそうではございません。ただし、このような保育が実は楽しい保育なのだというのは、だんだんと浸透しているように感じております。また、それに取り組む施設さんもだんだんと増えてきていると思います。その逆の流れはないので、もう少し時間がたてばもっと広がっていくだろうと考えております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、全国児童養護施設協議会髙橋様、お願いいたします。

髙橋(誠)氏: 小舎制、大舎制というところですね。大舎制は大変減っていて22%ぐらいと。今、こどもたちの生活は小さくなっていますが、どうしても人材の問題と建物を改造する、または建て替える資金の問題、これが大きいものですから、そこの問題と併せて進めている状態です。

それから、自治体の違うところでということで、来年の児童福祉法の改正でアフターケアですね。今までどこの責任かというのはなくて、施設がやっておりましたが、都道府県の責任がはっきり明記されることになりましたので、これからしっかりと都道府県が変わって退所したお子さんの支援ですとか、または来年から親子で入れるショートステイなども始まる、できるようになるということになりますので、そういうものを実施する市町村との連携、そういったものが重複的に支援できるようになるのが、支えが増えるのではないかと思います。そこでこどもの話を今まで以上に聞く仕組みもできていくと思います。

それから、指針をどう使いたいかということで、今、児童養護施設は児童養護施設で養育指針というものがありますし、第三者評価、そういったものがありますので、そういったものに反映していくことになると思います。

それから、アタッチメントのチャレンジというところでは、日々それが大変と言っては、我々の仕事はそれでございますので、お子さんに向き合って、お子さんが本来の力を取り戻せるように、そのお子さんを支える職員を支えるという、それが本当に一番大事だと思っております。

最後、乳児期から幼児期のつなぎのところも、これも来年からこども家庭センターですね。これが市町村で始まるというところで、さらに支援の重層化というところで、そこに都道府県レベルの児童養護施設や乳児院でありますが、一緒に連携できて、その社会資源の一つとなれればと思います。

以上です。

秋田部会長: 多くの御意見をありがとうございます。こちらの不手際で時間を巻かせていただいて、すみません。

それでは、次のヒアリングに移らせていただきたいと思います。

それでは、全日本私立幼稚園連合会田中様、10分でお願いをいたします。

田中氏: 全日本私立幼稚園連合会の田中雅道でございます。

時間がありませんし、私のほうは資料を特に準備しておりませんので、できるだけ短い時間にさせていただきます。

本日の会議に参加させていただきまして、ありがとうございます。様々な施設、様々な考えがこどもたちのために集まっていただいていることを感謝申し上げ、こういう会議の意義は大きいものがあると感じております。

先ほど明和先生から小学校のお話も出ていましたが、中教審でタブレット1人1台導入のときに、学校の在り方が変わってくるだろうということも議論の途中にもありましたが、なかなかそこまでは議論が深まらなかったというのが現状だと思います。これから恐らく実態から変わっていく形になっていくのではないかと思っています。

幼稚園教育要領等の委員に参加しておったときに考えておりましたことの中の一つで、自立と養護という、教育の視点から見た場合の自立の割合と養護の割合とかというものを議論の中心に置いて議論していたと私は思っております。特に乳幼児期においては、自らが世界を開いていくという自立感を持った成長が、実は社会人能力の原点として非常に大きなものがあるということは、周知の事実として上がってきているわけでございます。ただ、今日議論に参加させていただいて、単純にいわゆる自立と養護というものだけで切り分けていったり、割合の議論で進むものではないだろうと感じています。

その根幹としては、児童福祉法と学校教育法という2つの違いのある法律の中の施設が、特に乳幼児期の場合には両方あるわけですが、そこの整合性を持たせていくこと自体が非常に難しさを伴ってきているのではないだろうかと。特に児童福祉法の場合には、国家が介入して一定の成果を上げていくという、家庭への介入などの部分をやらなければならない部分と、やることによるマイナスがどうなのかの整理をしなければならないような時期に来ているのかもしれないと。一方、学校教育法上の施設としては、こどもが自立していく延長としての小学校との単なる接続だけではなく、保幼小の接続だけではなくて、多くは社会人能力の基礎としての幼児期があることを、もう一度家庭を含めて議論し直す必要があろうと思っております。そのような視点の中で、今回の第一歩という踏み出しをしていただくことは大きな意味があると思っています。

以上です。

秋田部会長: 田中様、どうもありがとうございました。

続きまして、全国国公立幼稚園・こども園長会高橋様、よろしくお願いいたします。

高橋(慶)氏: 全国国公立幼稚園・こども園長会の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

最初に「社会全員参加の子育てへ」というところからお話しさせていただきます。子の就学前の基本的な指針ですけれども、社会的な課題に注目して、全体的に「目的」「理念」「方向性」が明瞭に示されておりまして、「こどもまんなか」の社会を描くこの指針に深く共感させていただきます。そして、こどもが成長する過程において、保育者や養育者の果たす役割、そして、そのサポートは極めて重要かと思っております。そして、こどもの発達と成長に対する全体的な視点で、こどもの育ちの「質」に焦点が当たっていることは、とても重要なことだと思っておりまして、長時間の保育サービスに偏ることなく、こどもたちの健全な成長を追求する上では、育ちの質からの視点が不可欠であると感じています。そして、こどもたちだけでなく大人も同様に成長して幸せを感じることができる社会を目指していく取組に期待しております。

ただ、いろいろな家庭や特定の困難を抱えるこどもたちへの具体的な対策が必要であることも認識しております。社会全体がこの指針を理解して、それに基づいて行動して、幼児期のこどもたちの健やかな成長の重要性を根底に置いた広い範囲での啓発活動が必要かと思っております。

次に「誰と何を共有したいか」というところで、具体化と先を見据えた重要性についてお話しさせていただきます。経済的な安定を含む生涯にわたるウエルビーイングへつながるためには、乳幼児期に非認知能力等を育むことが重要だと認識しております。指針にもあります安定の土台となるのは非認知能力等ですし、これは生涯の人格形成の基礎となります。これからの社会にとって有益であることを全ての人が知ることで、共有することで、幼児期の育ちの重要性がより認識されて、広範囲にわたる協力の輪が広がると考えております。

全国国公立幼稚園・こども園長会としては、地域の幼児教育の中核となる役割を担ってまいりました。障害を持つこどもたちや外国籍等のこどもたち、特別な配慮を必要とするこどもたちへの対応をはじめ未就園児の活動、地域の全てのこどもたちが健やかに成長できるようにと、地域とも連携しながら取り組んでまいっているところです。国公立園は、ここのこどもまんなかチャートにもありました「過ごす空間」「地域の空間」というところでの役割も果たしていく存在かと思っております。そのためには、優秀な保育者の人材確保、環境の整備等は必須のことと思っております。

そして、人へ真に届く方策に向けての重要なことと期待することについてですけれども、こどもたち一人一人の成長段階を把握して、それぞれに対応した具体的な姿を明確にすることは必須かと思っています。それを示すガイドラインのようなものも必要かと思います。ただ、こどもたちの背景やニーズ、今までお聞きしていると、いろいろなこどもたちがいますので、そのこどもたち全てを尊重した上で作成されるべきだと思います。また、情報の共有と理解の拡大が重要で、教育機会や地域、メディア、そして、ソーシャルメディアなど、多岐にわたる手段を通じて、情報を広く共有することが求められるかと思います。そこにはいろいろな保育者、異校種の教員等、医療専門家、それから、経済界なども巻き込んで共有のビジョンを持つことが重要だと思います。また、全省庁とか、各自治体とか、教育委員会とかも、現場の基盤をしっかりとつくり上げていく必要があるかと思っています。今後も一貫した取組を続けて、こどもたちの未来をより明るく照らしていきたいと思っています。

最後に、子育てについて負のイメージが少し漂っている感じがするのですね。ですから、何かキャッチフレーズのようなスローガンのようなものを一緒に考えていけるといいのかと。例えばSDGsなどはメディアを通じてすごく広がったと思うのですけれども「こどもがハッピーな日本」とか「こどもでハッピーな日本」とか、子育ては楽しいよ、うれしいよというところが広がっていくといいなと思っております。

申し訳ありません。時間がないようなので雑駁に説明させていただきましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

秋田部会長: 高橋様、ありがとうございました。

続きまして、子育てひろば全国連絡協議会奥山様、よろしくお願いいたします。

奥山委員: ありがとうございます。

それでは、御説明をさせていただきます。今日、委員として発表するとともに、子育てひろば全国連絡協議会の立場であったり、認定NPO法人びーのびーのの立場であったり、行ったり来たりしてしまうことがあると思いますけれども、よろしくお願いいたします。

認定NPO法人びーのびーのは、横浜市の港北区で活動している子育て支援団体です。その理念なのですけれども、地域社会の互助機能も失われて密室育児になりがちであり、0、1、2、3歳児の子育てというのは、こどもの成長の土台づくりの大切な時期であるとともに、親の影響力が非常に強い時期でもあるということで、親子が密室育児にならないよう、共に学び育ち合う場をということで、地域のシニア、いろいろな方の力を借りてみんなで子育てをする環境づくりを目指してやってまいりました。この理念は23年前につくったものですけれども、今もこのような形でやっております。

今回こどもの育ち部会で示した心と身体と社会の関係なのですけれども、特に0、1歳のこどもと親の社会環境の関係を見ていったときに、古賀先生が以前出してくださったのもあったと思うのですが、特に0、1のところは、こどもと親、養育者の関係が非常に密接であるということで、こどもの願い、それから、親の願い、これを全体として社会環境でサポートしていく体制が特にこの時期に必要ではないかと思いましたので、図に示させていただきました。

地域子育て支援拠点では、この拠点事業というのは、主に就園前の親子が通っておりますが、場合によっては就学前まで利用できる場合や、土日どちらか利用できる拠点が約4割ぐらいあり、全国に8000か所程度設置されています。拠点の日常は、例えばここの図でいいますと、ここにC、Dの親御さんがいますが、ここにAの親御さんがいて、A、C、Dのお子さんの面倒を見ている、遊んでいるところを見守っている感じですね。ここにはボランティアさんもいて、このこどもたちの遊びを親とともに見守っているという形で、安心して任せられるのでCとDのお母さんはここでおしゃべりをしている。Cの小さい妹ちゃんはお母さんのそばにいて近くで遊んでいるというようなことが結構日常的な様子です。親子だけでカプセルのように点在しているわけではない、これが拠点のいいところなわけです。

それで、B親子が初めて来ましたと。もちろんお子さんは、お母さんから離れられない。この初めての利用者にスタッフが関わってお話を聞きながら、このグループ、CとDの親御さんにつないだらいいのか、それともお子さんの年齢によってはこっちのこどもたちの集団につないだほうがいいかという判断をするのですね。こちらのスタッフは全体を見ているということで、こういった日常が繰り広げられていて、親子の状況に応じてひろばの中の環境を見ながら、遊びの展開もこどもたちの様子も見ながら、親の話も聞きながらという形で、スタッフは目配せしながらひろばの全体を共有しながら過ごしているということなのですね。スタッフが少ないと、お母さん、こどもから目を離さないでくださいとなりがちになってしまうので、このボランティアさんがいることは非常に重要になってきます。スタッフが複数いることがこの環境を守っていくことにつながってまいります。

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会では「子育てひろば」の定義というものをさせていただきました。これは事業を受託しているかどうかにかかわらず、親子が集まる場所がどんな場所であったらいいかということを示したものです。気兼ねなく集まれるとか、こどもたちが安心して伸び伸びと遊べるとか、情報を得たり交換できるとか、親子が育ち合う仲間と出会える場、子育ての経験や体験を通じて親同士が学び合える場、親自身が主体となれる場、これはこどもだけではないですね。親も主体になれる場は非常に重要です。人との関係性が育める場、子育ての悩みに寄り添って聞いてくれるスタッフがいる場、地域のボランティアをはじめ様々な人が子育てに関わり、地域全体で子育てを応援する場と定義をして運営をしてまいりました。

調査研究などのご紹介もします。場があるという場の力が非常に大きいです。先ほども説明したように、連綿と続いてきたひろばの雰囲気というものが、新しい親子をうまく取り入れる環境として、文化として育っていることが非常に重要なのです。そして、まずは支援者と利用者の相互作用を活用した支援ということで、支援者を手がかりに、さっきのB親子なのですけれども、場になじんでいきます。そこで支援者が日常会話や身近な相談相手として関わる中で、今度は親同士の関係、こども同士の関係につないでいく。1番、2番、3番、これを日常的に拠点の中で繰り広げております。そのときに、支援者が安心感を与える関わりであったり、親御さんがスタッフに愛着を持ってくれること、そういう関係性に発展するよう、しっかり親子の関係性をとらえながら寄り添い対応していくことになります。この1、2、3を支える地域のネットワーク形成ですとか、支援者間での共通理解が地域にあって、このような支援の環境が守られると思っております。これが外とのネットワークの力かと思いますし、支援者同士の共通理解が非常に大事です。

2021年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、3歳になるまでに利用した制度・施設、は総数としては、1番が「地域の親子交流や相談の場」です。ですから、この拠点の中で親子の交流ですとか育みということがまずできることは非常に重要ではないかと思っています。妻が正規雇用継続の場合でも、育休中に御利用いただけているということで、育休制度、保育所等の次に、地域の親子交流、相談の場が入っておりまして、継続雇用の方も半数以上が拠点を利用しているというデータが出ております。

前回の委員会で多機能型のことが出ました。認定NPO法人びーのびーのが運営する地域子育て支援拠点どろっぷも多機能型で、親子の交流、相談、情報提供等の地域子育て支援拠点に加えて、ファミリーサポートセンター事業、利用者支援事業基本型が入っています。そして、地域の皆さんとのネットワーク事業や地域の人材育成も入っていて、一時預かり事業も実施しています。この多機能型で進めるということが、親子にとってはワンストップでサービスにつながりやすいという意味で非常に重要な点です。一方では、多機能型で実施するために、前回も課題になっていましたけれども、職員間のミーティングですとか、ケースの共有ですとか、かなり記録を書いたり、会議が増えるのですね。外に出向くことも多いということで、多機能型を実施するためにはある程度の体制(人員配置、担当者のスキル等)が必要であることは感じております。

利用者にとっては、拠点に来たついでに相談ができるとか、拠点を通じての利用につながる出口機能、他の利用サービスから拠点につながる入り口機能、継続的な見守りができる、これは非常に重要ですね。拠点の中でどう親子が変化したのか、そういったモニタリングもできるということです。そして、訪問型支援の大事さは、今日発表されましたけれども、ファミサポですとか、ベビーシッターさんとか、赤ちゃん訪問ですとか、この相談機能に利用者支援事業があることで、様々な支援サービスにうまくつないでいくことが可能となります。そして、民間事業のところにも具体的につないでいいことにはなっているのですが、自治体の制限で民間事業につなげられないということも聞いたりもしているので、今後の課題です。

今日、母子保健からのつなぎのこともありましたが、出産・子育て応援交付金の伴走型支援のところも重要です。お子さんが生まれる前に母子保健コーディネーターさんと利用者支援の基本型、こういったところが連携をしながら、生まれる前から地域とつながりができるよう、御夫婦で参加できるような両親教室の受入れ、(就労家庭が多いので土曜日開催、オンライン開催が必要)、また保育園の多様なプログラムにつながるとか、拠点のいろいろなプログラムにつながるとか、こういった連携がとても大事だと思って活動しているところです。拠点事業は妊娠期からの御利用はオーケーということで、国からも了解をいただいていますので、最近は妊娠期から御利用できますよとパンフレットやホームページ等で掲載しているような拠点も増えてきております。

ウエルビーイングについてなのですが、今日は時間がなくなってきましたが、こどもがいろいろな大人から受容される、それから、こども集団の中で自然かつ自発的な遊び・育ち合いが保障されていること、応答的に関わってもらえること、親以外のこどもや大人との関わりが持てること、社会から祝福されていると感じられること、これを早い段階から親子に提供していくことが非常に重要だと思っています。このように、これはボランティアさんですけれども、こどもは親がそばにいるなか、安心してこうやって絵本を読んでもらえるという環境なのですね。こういうものが大事だと思っています。

それから、次世代に向けてということで、中学生の赤ちゃん触れ合い体験、これはもう本当に全ての中学校でやっていただきたいと思います。この体験により、自分が小さい子と関われるという発見であったり、こどもたちの本当に柔らかさとか、笑顔とか、いろいろなことを感じてくれており大事にしている事業です。

親のほうなのですが、学びの機会がとても大事ということで、出産後には拠点で例えば生後2か月から4か月に来てもらえるようなプログラムを用意しています。特に、グループワークで学び合えることが大事で、グループワークを通して、程々の母親でよい、ウィニコットがおっしゃっているようなグッドイナフマザーでいいのだよとか、完璧な子育てなんてないのだよというのは、いろいろな人の話や体験談を聞くとか、自分も話すことで客観的にとらえ身につけられるものだと思いますので、そういった機会を提供しています。

ということで、ここはもう読んでおいていただいて。

秋田部会長: 巻いていただけますようお願いします。

奥山委員: ということで、大きなところはそんなところです。

最後、一時預かり事業だけ説明させてください。拠点のほうでもさせていただいており、一時預かり事業の課題が出ていましたけれども、通い慣れた場所での一時預かりはこどもにとって非常に安心ができる預かりの一つでもありますので、拠点で実施するものについても、誰でも通園制度の中で安心できる一時預かり事業の活用として、また考えていただければと思っているところです。

以上です。ありがとうございます。

秋田部会長: どうも奥山様、ありがとうございました。

最後のほうは皆様に巻いていただいて、申し訳ありません。

ここで、全日本私立幼稚園連合会、全国国公立幼稚園・こども園長会、そして、子育てひろば全国連絡協議会の3団体の皆様に御発表いただいた内容につきましての質疑の時間を設けたいと思っておりますので、お手を挙げていただいているので、お願いをいたします。

坂﨑様、高祖様、秋山様、まずお願いいたします。

坂﨑委員: 坂﨑です。

田中雅道先生、ありがとうございます。質問すると長くなるので今日は意見だけにしておきます。田中先生から2つの意見があったと思うのですけれども、いわゆる小学校のタブレット、幼稚園の幼児期の体験というものがあって、そこのところを非常にこれから先きちんと考えていく必要があるのではないかということについて、私もここは同感です。一方、ここに関しては、幼児期側でいうと、これから保育DXをどうやって考えていくのかということは大きな観点になると思いますし、小学校でもこの体験やいわゆる論議をする、話合いをしながら一つの考え方を求めていくということをこれから進めていく。この中で、先ほどの私保連さんの中にもありましたような架け橋期だけではなくて、全体を通した教育をどのように考えていくのかというのは、問題があることは、明和先生のおっしゃっているとおりで、そこは非常に大きなことです。そのことも含めて、どのような形で幼児期の教育から小学校の教育を、なだらかということではなくて全体を通してどのように考えていくのかというのは、私たちの大変大きな論議の一つではないかと思いました。

2つ目に関しましては、自立と養護の関係でいろいろなお話をいただいて、非常に感慨深いものがありますけれども、厚労省の長い間の保育所と文科省の長い間の幼稚園という関係があったと思いますが、私はこのこども家庭庁ができたということと、幼児教育部門が今、私たちのこのこども家庭庁と一緒になって物事を行っていくという段階で、このような就学前に関わるような大きな指針がつくられていることを考えていくと、ある意味では長い間の歴史を超えたものがつくられていくと考えています。認定こども園という新しい制度ができたことも含めて、今後こういうものが教育的なことから児童福祉を含めた施設まで広めていけることをどうしていくのかが大きな観点だという意味で、田中先生のお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

続きまして、高祖委員、お願いをいたします。

高祖委員: 高祖です。

質問が1つです。子育てひろば全国協議会で御説明がありましたけれども、利用状況のグラフのところで、ひろば自体は利用者が増えているということだったのですけれども、一時預かり事業のグラフは減っている傾向があるように読み取れましたが、そちらの理由というか考察があれば教えていただきたいと思います。

全体に対しての意見、簡単にですけれども、今後の話になると思いますが、保育士とか、幼稚園とか、幼稚園教諭とか、専門職養成校の科目の中にも考え方を落とし込んでいくというところが今後必要になってくるのではないかと思っています。体罰禁止ももう2020年にスタートしておりますが、保育士、学生の中でもまだ学んでいないみたいな話を聞いたりしておりますので、そこの浸透もぜひ今後検討いただければと思いました。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、秋山委員、鈴木委員、古賀委員とお願いしていきたいと思います。

秋山委員、お願いいたします。

秋山委員: 秋山です。ありがとうございます。

最後の奥山委員に質問をいたします。奥山委員のご発表で身体、心理、社会の図が出てきました。切れ目なくつないでいくときに、何の視点をつないでいくかが必要で、そこに身体、心理、社会という視点があります。これまでの団体のお話にも様々なところでいろいろなところに気づかれており、それは、身体、心理、社会に分けられるのではないかと思います。奥山委員のところで、つなぐという点で身体、心理、社会をどのように工夫されているかを教えてください。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

続きまして、鈴木委員、お願いいたします。

鈴木委員: 今日はいろいろな団体の先生方、ありがとうございました。

奥山委員に、これは質問というよりはお願いなのですけれども、先ほど村松全国保育協議会の先生もおっしゃっていましたけれども、生命の大事さを学ぶ機会はとても大切だと私は思っていて、奥山委員のところは本当に長くそれをなさっているので、例えばどのぐらいの時期に、どのぐらいの時間で、どのような関わり方を中高生あるいは養成校の学生がすることによって、こども観であったりとか、子育て観が変容していく、そのような目安というか、モデルケースというか、そのようなものがあったら教えていただきたいというお願いです。というのは、養成校の受験生が、中学生のときに職場体験で幼稚園に行って、すごくこどもがかわいかった、楽しかったということをきっかけにして受験をすることがとても多いので、点でいいのか、逆にそれは線にしたり面にしたりしたほうがいいのかというところで教えていただけたらと思っております。よろしくお願いします。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、古賀委員、お願いいたします。

古賀委員: 本日はありがとうございました。

意見を3つ、早口で申し上げたいと思います。広報の問題が何度か出てきているかと思いますけれども、もちろんそういったことも大事だと思うのですが、本質的には国民一人一人のマインドの問題ではないかと思っております。こどもという存在の価値が社会経済的な価値というのではなく、存在そのものの価値が感じられる社会にしていかなくてはならないのではないか、こどものすばらしさが伝わる子育ての楽しさ、それでしか出会えない価値を知り、それが広がっていくことを目指すということです。今後は、これまでも御尽力されていた多くの園の先生方のお話があったと思いますけれども、そういった園の活動、例えば環境整備にボランティア協力する企業の活動等があると思いますけれども、そういったところを活発化するようなことができないかとも思いました。園がハブとなるということはこれまでも言われてきたところですけれども、保護者、地域がさらにつながっている企業も視野に入れていくことで、こどもに関心を持つ層がこどもにもともと近い人から広がっていくような取組が促進できるのではないかと思いました。

2つ目です。訪問型支援について、こどもが家庭で過ごす時間を増やすというときに、本来は働き方改革が第一だろうと思うのですけれども、子育ての支援というところで、子育て支援者がその部分を見るという方策もまた必要とされているだろうと思います。その質に対する安心感をもたらす仕組みとして、園にいる子育て支援コーディネーターの保育者の先生が間をつないでくださるというマッチングの仕組みや、最初の研修だけではなくて園と自治体が協働で子育て支援者の研修を定期的に行うシステム、中にはシビアなケースもありますので、ケースカンファレンスの機会が保障されるシステムなどは、支援者にとっても重要になるのではないかと考えます。こどもと保護者が安心し、質の高い支援を受けられること、また、支援者も安心して質の高い支援を目指していけるようなことがシステムとして求められると思います。

3つ目は、一時預かりについて、関係の継続している中で親育ち、子育ちの両面をサポートするかかりつけのような発想は、私も非常に重要だと考えております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございました。

よろしゅうございますでしょうか。

そういたしましたら、今の御意見や御質問に関しまして、3団体の皆様から御返答をお願いしたいと思います。

最初に、全日本私立幼稚園連合会田中様、お願いします。

田中氏 : 質問というか御意見を承りましたし、そのとおりだと思いますので、私としては特にございません。また皆さん方で慎重な御意見を闘わせていただくことを期待しております。

以上でございます。ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続きまして、全国国公立幼稚園・こども園長会高橋様、お願いいたします。

高橋(慶)氏: ありがとうございます。

御意見は本当にそうだなと思ってお伺いしておりました。乳幼児期から幼児教育がとても大事で、それが架け橋につながりというところが大事です。そして、環境を大事にして、総合的な指導でこどもたちの主体性を大事にしていくというところが大事だなというところを、私たちは本当にずっと考え、そして、質を考えやっておりますので、改めて意見をお聞きしまして、本当にそうだと実感したところでございます。今後これが広まっていくことを本当に期待しております。ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、奥山委員、お願いいたします。

奥山委員: ありがとうございます。

高祖委員から御質問がありましたが、この国立社会保障・人口問題研究所のデータも実はコロナ前のデータになります。その後のデータが出ていないので分からないのですが、コロナの影響を受けて拠点の利用も2020年以降は減っている可能性がありますし、一時預かり事業ですが、これは全体としては95%が保育所や認定こども園さんで実施されていますが、これもコロナの影響を受けたこともあって、減ってきている状況にあります。ただ、ニーズは高いです。認定NPO法人びーのびーのが運営している地域子育て支援拠点どろっぷでは、1か月分の予約が3分で埋まってしまうほどのニーズがありますので、ニーズが高いことは申し添えておきたいと思います。

それから、秋山先生から切れ目なくというところのつなぎの工夫の話があって、0~2歳の子育て支援の立場でいうと、母子保健からのつながりの部分と、幼稚園、保育園へのつなぎの部分と2つあるわけなのですが、どちらも大事で、母子保健からのつながりのところでいえば、保健師さん、助産師さんと連携して両親教室なども一緒にやらせていただくなど、そして、切れ目なく拠点等に来られるような工夫を行政と連携しながら、妊娠8か月のときにお手紙を出していただいて、拠点につなぐ利用券みたいなものがついており、次のステップ、両親教室に参加するとかというように、うまく地域の中切れ目なくできるように工夫しています。

逆に、幼稚園や保育園に入ってからまた私たちに相談で戻ってくる親御さんもいて、身近な相談拠点と先ほど古賀先生にも言っていただきましたが、地域の中に身近に相談できるところが幾つかあるのは非常に大事なことだと思います。来年4月から始まりますけれども、そういう場所がたくさん増えてくるといいと思っております。

それから、赤ちゃんとの触れ合い体験なのですが、私たちの区には9校の中学校がありますが、4校で実施しています。これが全てできないというところが、また学校教育と福祉のところの難しさがあるのですが、中学校の校長先生の御理解と専任の家庭科の先生が来たタイミングを活用する等、1回始まると継続しやすいと感じています。こどもたちに実施前後でアンケートを取りますと、こどもがかわいと思えるという感想が30%ぐらい上がります。ですから、この体験が1回でも効果があるということが出ています。本当は1クラスで何回かできたらいいとは思いますが。

ボランティアなのですけれども、地域のボランティアさんをたくさん受け入れることが、親子の理解者を地域で増やすことになるのですね。ファミサポもヘルパーも地域人材が担っており、この地域のこどもたちのためにと力を尽くしてくださる、こういった体制をどこかでしっかりつくっていく必要があると感じております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございました。

本日、皆様から数多くの御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。

また、御発表いただきました9団体の皆様におかれましては、御多用の中御発表いただきまして、誠にありがとうございました。御協力をありがとうございました。

9つの団体のそれぞれの貴重な御意見、これから実際に指針やまんなかチャートの形をどのようにより精緻なものにしていくのか、それによってこどものウエルビーイングやこどもに関わる人のウエルビーイングを保障していくのかということと同時に、直接こどもに関わらない人も含めて国民の方全体にいかに周知していくのかというところにつきましても、本日の皆様の御意見を踏まえて、さらに精緻に深めてまいりたいと存じます。

本日の会議はこれにて終了といたします。皆様、スムーズな会議進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、次回以降の日程につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。

高木課長 : まず、おわびさせてください。本日、冒頭、事務局の機材トラブルによりまして、本日の議事及びヒアリング団体の紹介に関する部分につきまして、音声が皆様に届いておりませんでした。誠に申し訳ございません。

音声が切れてしまった部分につきましては、後日、議事録の掲載をもって公表をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

また、次回第5回でございますけれども、7月28日金曜日、今のところ16時からのスタートと考えています。次回もヒアリングが中心になりますので、オンラインでの開催を考えております。よろしくお願いいたします。

以上でございます。

秋田部会長: これにて閉会とさせていただきます。皆様、御協力をありがとうございます。