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第2回 子ども・子育て支援等に関する企画委員会

概要

日時:令和5年11月7日(火)16時00分から17時00分
場所:こども家庭庁14階 長官官房第3議室
※記者傍聴可、オンライン配信は行いません

議事

  1. 開会
  2. 議題
    (1)本分科会における制度改正に係る議論に向けた論点整理について
    (2)その他
  3. 閉会

資料

議事録

秋田委員長:こんにちは。

ただいまより、第2回企画委員会を開始いたします。

本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

まず、事務局から、本日の委員の出欠と議事の確認をお願いいたします。

武田補佐:成育局総務課の武田と申します。髙田が今日は欠席でございますので、代わりを務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

早速でございますが、委員の出欠状況について、御報告でございます。本日の欠席は、ございません。ありがとうございます。

また、事務局側の出席者でございますが、送付しております座席表で御確認いただければと存じます。

続きまして、本日の議事につきましては、(1)子ども・子育て支援等分科会における制度改正に係る議論に向けた論点整理についてでございます。

本日は、前回も御議論いただきましたところでございますけれども、出産・子育て応援交付金の制度化、保育士の復職支援、保育所等の職員による虐待等の制度的対応について、論点整理を行っていただきます。

また、出産・子育て応援交付金の制度化につきましては、妊婦への支援を内容とすることから、秋田会長とも御相談させていただきながら、子ども・子育て支援等分科会の委員の岡本様、成育医療等分科会や幼児期までのこどもの育ち部会の委員である秋山様に、オブザーバーで参加をいただきます。よろしくお願いいたします。

そのため、まず最初に、出産・子育て応援交付金の制度化について御議論いただき、残りの時間で、保育士の復職支援と保育所等の職員による虐待等の制度的対応について御議論いただければと考えております。

秋田委員長:ありがとうございます。

それでは、「(1)本分科会における制度改正に係る議論に向けた論点整理について」を議題としたいと思います。

事務局から、資料1、出産・子育て応援交付金の制度化についての御説明をお願いいたします。

片山補佐:ありがとうございます。

成育環境課の片山と申します。どうぞよろしくお願いします。

それでは、資料1を御覧ください。

まず、1ページ目、制度の現状や背景についてでございます。1つ目の丸ですが、核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭も少なくなく、全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境整備が喫緊2 の課題となっております。こうした中、令和4年度より、伴走型相談支援と経済的支援、妊娠届出時と出生届出時の計10万円相当の経済的支援を一体として実施する事業としまして、出産・子育て応援交付金事業を実施しているところでございます。6月に取りまとめられましたこども未来戦略方針において、出産・子育て応援交付金については、制度化に向けて検討を行うとされていることを踏まえ、今回、御議論いただくものとなっております。

2ページ目を御覧ください。こちらに改正のイメージを記載しておりまして、以下のような改正を行い、令和7年度からスタートすることとしてはどうかと考えております。まず、1つ目の丸ですが、経済的支援は、子ども・子育て支援法の新たな個人給付を創設し、伴走型相談支援は、児童福祉法の新たな相談支援事業を創設することとする。その上で、市町村は、新たな個人給付について、相談支援事業等との支援を組み合わせて行うことを規定することを考えております。その上で、まず、個人給付の具体的な中身についてでございます。子ども・子育て支援法上の新たな給付については、自治体の認定等の事務の軽減、既存の経済的支援、児童の養育に着目した児童手当や出産に着目した出産育児一時金などがございますので、そういったものとの整理の観点から、妊婦に着目した給付として、妊婦のための支援給付を創設することとしてはどうかと考えております。その下に、具体的な規定のイメージと運用イメージを記載しております。妊婦に着目した給付となることから、そういった規定となりますが、運用については、今予算事業で行っております出産・子育て応援交付金の運用と同様とすることを想定しております。左側の規定イメージでございます。まず、1回目の支給について、妊婦の方に給付の申請を行っていただいて、市町村は、その申請に基づいて認定を行い、認定直後に5万円を支給することと考えております。2回目の支給について、この5万円の支給を受けた方は、妊娠しているこどもの人数等の届出を行って、市町村は届出後に残りの額として妊娠しているこども人数×5万円を支給することと規定することを考えております。右側の運用イメージを御覧いただければと思いますが、1回目の支給について、今も応援交付金で行っておりますが、妊娠届出や伴走型相談支援による1回目の面談のタイミングに合わせて申請を行うことと想定しておりまして、給付のための別途来所等は不要と考えております。市町村には、そういった申請や認定のタイミングに伴走型相談支援を実施していただくこととなります。2回目の支給についても、出生届出時や伴走型相談支援による3回目の面談、特にこの3度目の面談は訪問した面談を行っている自治体も多くありますので、そういった訪問のタイミングなどで届出を併せて行っていただくことを想定しております。その下に行きまして、相談支援事業についての説明でございます。伴走型相談支援については、妊婦・その配偶者等に対して面談などによって情報提供や相談などを行う事業として、妊婦等包括相談支援事業を創設し、児童福祉法のほかの事業と同様に、市町村の努力義務を規定することを考えております。また、併せて、子ども・子育て支援法において、地域子育て支援事業に位置づけるために、利用者支援事業の号を一部改正して、子子法上はこちらで読むことを考えております。なお、出産後の3回目の面談については、乳児家庭全戸訪問事業と一緒に行っている自治体が多く、その場合はこの事業で読むことが可能と考えております。また、その相談事業の具体的な実施方法については、今、予算事業で地方自治体での取組状況や課題等をまとめる調査研究を行っておりますので、そういった結果も踏まえながら、来年度、相談支援の在り方についての検討を行う予定と考えております。

事務局からの説明は、以上です。

秋田委員長:御説明をどうもありがとうございました。

それでは、今の御説明に関しまして、オンラインの岡本委員、秋山委員、そして、対面の倉石委員、鈴木委員、松田委員の順で、御意見、御質問等をいただければと存じます。

なお、秋山委員、鈴木委員から提出資料がありますが、御発言の際に適宜引用いただきながらお話しいただければと思います。

まず、岡本オブザーバー、お願いいたします。

岡本オブザーバー:こんにちは。日本助産師会の岡本でございます。御説明をありがとうございました。

この伴走型相談支援の制度化は非常に重要であると思います。特に妊娠初期には、診察時、検査等で非常に費用がかかりますので、この5万円の支給は女性にとっても非常に助かるものだと思います。私どもは、伴走型支援の妊娠8か月頃の2回目の相談の機会を非常に重要視しております。もともと産後1~2か月頃の鬱の発症率の高さは皆様も御存じのとおりなのですが、2020年にGeneral Psychiatryに発表された日本人女性の周産期鬱の発症率に関するメタアナリシスを読みますと、妊娠後期の近年の発症率が16.3%と非常に多かったことが分かっております。その点からも、この時期の相談支援は伴走型支援の要になるのではないかと私は思っております。妊娠中の女性がSOSを発信しやすい、また、センター等が女性のSOSをキャッチしやすい方法を考えていくことが重要かと考えております。今後好事例を提示していただくということではあったと思いますが、もともとこの時期に妊婦に対し全国的にアンケート調査と相談に関する情報提供をしているということをお聞きしてはいるのですが、提案ですが、例えば、少ない質問項目で鬱とDV被害をキャッチできるような内容を入れ込むことで、できるだけ負担感の少ない項目数でのスクリーニング方法を工夫することも必要かと考えております。この妊娠後期に適切かつ速やかに専門の相談機関とつながることで、産後の鬱発症率の低下、ひいてはネグレクトの予防にもつながるのではないかと考えております。

以上です。

秋田委員長:ありがとうございます。

続きまして、秋山オブザーバー、お願いいたします。

秋山オブザーバー:秋山です。

資料4を御覧ください。

まず、資料の1ページは、三鷹市が東京都の補助事業で行ったゆりかご面接であります。ゆりかご面接とは、妊娠中に保健師と面接することで1万円の子ども券が給付されるという事業でした。このゆりかご面接が平成28年度から始まったことで、平成28年度から、妊婦・産婦の電話相談件数や妊産婦の訪問件数が増えています。つまり、妊婦の全数面接をすることによって、潜在していた妊婦の課題に気づくことができたと思います。そこで、今回の伴走型支援と出産・子育て応援交付金をセットにされることは非常に有意義な事業になると思っています。

これは、出産後の支援の1つである、産後ケア施設と行政との連携を見たものです。1年間で産後ケア施設と行政が連携したのは、82名、全体の32%で、その中身は、行政から産後ケア施設に連絡があったものが41名、産後ケア施設から新たに市に連絡した人が41名、ほぼ同数でした。

この82名の人たちの相談内容をバイオサイコソーシャルで分類してみました。

まず、左側が行政から産後ケア施設に連絡があった人ですけれども、1か月のときに、社会的な相談と環境の相談が多くありました。右側が産後施設から市へ連絡した相談内容ですけれども、1か月のときに、身体と心理の相談が多かったということがありました。つまり、時期によって相談内容が変わってくるということがあります。

そこで、この82名がどの時点でゆりかご面接をしたのかということを見てみました。行政から連絡があった41名は、赤で示していますが、妊娠0か月から4か月までの間が16%、5か月から8か月までが68%、33週以降が16%となっています。次に、市がまだ課題に気づいていなかった、産後ケア施設で気づいた41名に関しては、妊娠初期に42%の人がゆりかご面接を受け、5か月から8か月が52%、33週以降が6%となっていました。このことを考えると、先ほど岡本委員が説明されました妊娠中期の時期が相談につながりやすい、発見しやすい時期と思われます。また、妊娠初期の場合は、課題に気づいていない、まだ気づかれていない時期かもしれません。確実に課題に気づくには、5か月から8か月の間に、しっかりと出会う工夫、相談を拾う工夫が必要かと思います。

これは、今年の4月から3か月ほど、クリニックと産後ケア施設に来た保護者に、どんな子育て支援を希望するかというアンケート調査を取ったものですけれども、どの月齢でも休息が最も多くありました。0か月では、上の子の送迎、家事手伝い、以降は、食事づくりなど家事のことが多くなってきています。

ところが、三鷹市ではこれらのサービスがどうなっているのかと調べますと、ほとんどが有料であります。すなわち、この時期に必要となるサービスが有料であることから、出産・子育ての交付金が全てのサービスに利用できるような仕組みをつくっていただければと思います。

以上です。

秋田委員長:ありがとうございます。

続きまして、倉石委員、お願いいたします。

倉石委員 よろしくお願いいたします。

何点か、確認と質問をさせていただきます。

まず、一つは、「届出」という言葉と「面談」という言葉と「申請」という言葉がありまして、今の両委員のお話もお伺いしていますと、面談をベースにすべきではないかと思うのですけれども、1回目と2回目が申請と届出ということになると、面談がベースにならない可能性があるということは、個人的にですけれども、課題として認識していますので、また御説明があればと思います。

もう一つ、面談を行うとなりますと、相談機関として、今、子育て包括が一番大きな役割を果たすと思うのですけれども、今後設定される地域における身近な相談機関がどのように活用されるかということなのですけれども、この資料を見ますと、8ページ辺りで、アンケート結果、調査研究のものでは、まだ地域の子育て拠点や身近な相談機関の利用は少ないので、この辺りはどんなふうに課題としてこれから取り組んでいかれるのかということです。

もう一つは、参考資料の6ページに、「実施機関・実施者」と伴走型支援のところに記載があるのですけれども、実施者のところに「等」とそれぞれ含まれています。こうしますと、自治体は、この「等」のところで、ある意味、逃げ道と言ったら少し失礼な言い方になるのだけれども、いろいろな人がこれでできるということになりますので、この専門性の担保を研修で行うのか資格で行うのかということははっきりさせておくこと。

もう一つは、面談をすることをベースにしたときに、どういう項目を聞くのかということをきちんと項目化するというか、マニュアル化することが必要ではないかと感じております。

最後ですけれども、給付についてです。私は、給付は素人で不案内なのですけれども、このサービスを利用できるようにするという給付にするべきではないかと思うのです。そうしますと、秋山委員がおっしゃられたように、自治体によっては、そのニーズに対してサービスが対応できない、例えば、産後ケアとか、ホームヘルパーとか、このようなことも出てくるのではないかということで、理念としては現金よりもサービス利用ということになって、その後ですが、その利用料をどのように算出していくのかということも、自治体のサポートという意味では、重要になってくるのではないかと感じました。

以上です。

秋田委員長:ありがとうございます。

続きまして、鈴木委員、お願いいたします。

鈴木委員:ありがとうございます。

この制度は本当にすばらしい制度だなと前から思っておりました。妊娠期から乳児期までの食べるとか、寝るとか、遊ぶとか、親子の生活の中で、何が一番劇的に変わるかというと、睡眠ではないかと思っています。妊娠の後期は、お腹が重くて仰向けに寝られない。生まれたら、本当に2~3時間置きに泣いて、出産でへろへろに疲れているのに、またおっぱいという感じで起きていく。断眠の生活が続くのですね。秋山委員のおっしゃるとおり、休息が本当に必要なのだと思っております。一晩でいいからゆっくりと寝たいと思う生まれた後の産婦さんの気持ちを考えますと、資料1の1ページの継続的な情報発信、2ページの面談等による情報提供という文言が大事だと思っています。なぜならば、赤ちゃんが何度も夜中に起きるのは、赤ちゃんが生まれて初めて「明るい」と「暗い」を知るのですね。お腹の外に出てきて、明るいときに起きている、暗いときに眠るというリズムがつくまでの間、何度も起きる、それが普通ということを情報提供していくことがすごく大事ではないかと思っています。今日、資料5として提出させていただきましたけれども、「昼は明るく夜は暗く」という、「明るい」と「暗い」がはっきりする、それから、目覚めと眠りのめり張りをしようという、何々をしなければいけないではなくて、軽いアイデアのような情報提供が必要なのではないかと感じております。私としては、制度としてはぜひどんどん進めていただけたらと思いながら、継続的な情報発信の内容を吟味して適切な情報を提供していただけたらと願っております。

以上です。

秋田委員長:ありがとうございます。

続きまして、松田委員、お願いいたします。

松田委員:松田です。

私も、この事業は妊婦支援になるものであると期待しております。

その上で、幾つか意見や質問などをさせてください。

1つ目は、この伴走型相談支援の方法ですけれども、今日の秋山先生の御報告、資料などを拝見しても、しっかりと人と会って、直接会って、相談をすることが大事であると思いました。今回、実施した自治体様のアンケート調査がありますが、ほとんどの自治体様は面談ができている。一部オンラインのところがあるようですけれども、オンラインよりも、面談、直接会ってのほうが、いろいろな情報あるいはサポートの効果が高いと思いますので、原則、面談を推奨したほうがよいのではないかと思いました。1点です。

続きまして、これは質問も関わるのですけれども、経済的支援のほうです。イメージとしては、1回目の支給のときに、妊娠届等のタイミングで給付を行う。5万円である。2回目は、出産届や3回目の面談ですから、出産後を想定されているかと思います。質問ですが、2ページの運用イメージの囲み、2回目の支給のところで「妊娠している子どもの人数等の届出を行うことを想定」と書いてありますので、妊娠したこどもベースでこの給付を行うのかということが質問です。何かといいますと、死産された場合はどうされるのかということなのです。死産された場合も面談をして給付をするのかどうかということによりまして、性格が変わってくるような気がします。事前説明を伺ったときは、給付するというお話を伺ったのですけれども、もしそうであれば、ここから、質問、意見等になりますが、経済的支援をする、給付をする、その理由をこの制度の中で明らかに説明したほうがいいのかなと。資料2のところで、何のためにということが、すみませんが、ぱっと見、分かりにくかったので、分かるようにしてはどうかと思いました。もしこれが妊娠にかかったお金の支援であれば、それでいいのですけれども、これから育児等に関わる、これから妊娠・出産の行為に関わる費用にこの給付を充てるということになると、死産の場合にそれが当てはまらなくなるのではないかと思いました。それに関しまして、方法に関しては、市町村さんのアンケートを見ると、現金給付が大半であると理解しました。私も、現金がベストだと思います。妊婦支援と考えたときに、妊娠に伴いまして物すごくお金がかかっているはずなのです。検査だけではなく、身の回りのものを整えたり、購入したり。そうすると、現金がベストであるかと思いました。育児関連用品のギフトという手も、交付クーポンもあり得るかと思いますが、その場合、死産に対するものにはならないような気がしますので、少し注意が必要かなと思いました。

私からは、以上です。

秋田委員長: ありがとうございます。

それでは、委員からの御質問があった点につきまして、事務局から、回答をお願いいたします。

片山補佐:事務局でございます。

御意見、御質問をありがとうございました。

少し順番が前後するかもしれないのですが、御回答させてもらいます。

まず、岡本先生から、伴走型相談支援の重要性、特に、8か月、2回目の面談の重要性について御指摘いただきまして、今、我々も調査研究で自治体の好事例などを調査しているところでございますが、少ない質問で、負担感は少なくスクリーニングができるような形という御意見をいただきました。今予算事業で行っている伴走型相談支援のうち、2回目の面談については、アンケートを実施して、希望者に面談を行うという形でも問題ないと国から示しておりまして、アンケートの内容についても、様式を国から示しております。ただ、先生の御指摘のような、きちんとそこでSOSをキャッチできるような形もしくは妊婦さんからSOSを発信できるようなアンケートにブラッシュアップしていくことがこの制度化に向けて必要だと思っておりますので、今後、制度化・施行がこのまま進むとなれば、具体的な内容については、制度化・施行までに検討していくことになりますので、御意見を伺いながら、具体的な国からのこういったアンケートの方法がいいのではないかという様式の内容について、一緒に検討していただければと思っています。

次に、秋山先生から、御指摘がありました。まず、時期によって相談内容が違う、妊娠中期に相談につながりやすい、拾う工夫をするべきといった御意見をいただきました。ほかの先生の回答とも少しかぶるのですけれども、今、出産・子育て応援交付金については、令和4年度の補正予算から始まって、対象者のいる全自治体で一気に体制をつくっていただいてやっているところでございますが、制度化に向けて、相談内容のブラッシュアップとか、どういった体制でやっていくべきかとか、どういった項目を情報提供するべきかといったところを、今後、さらによりよいものにしていくために、検討していく必要があると思っております。時期によって相談内容が変わるということも、自治体で実際に対応されている方からもお聞きしているところでございます。そういった今自治体で実施していく中での課題なども踏まえながら、相談の在り方を検討していきたいと思います。

また、そのサービスをきちんと利用できるような形でこの給付が生かせるようにという御指摘もいただいたところでございます。資料の2ページ目、規定イメージの四角のところ、※2で記載しておりますが、少し松田先生への回答ともかぶるのですけれども、こちらは個人給付として創設することとしておりますので、対象者についてはきちんと5万円なり支給額の価値のあるものを受け取っていただく必要があると思っております。現金その他確実な支払いの方法として内閣府令で定めるものにより支給することと、規定を考えております。その他確実な支払いの方法として内閣府令で定めるものの具体的な内容については、今、労働基準法のほうで、賃金について、口座振込以外での支払方法についての検討がなされていると思っておりますが、そういった規定、例えば、電子マネーやPayPayといった支払方法を、労働基準法に倣いながら規定することを検討しております。そこで受け取った給付をこういったサービスに利用していただくようになるのかなと思います。

また、サービスについても、この伴走型相談支援で支援の必要な人が見つかったら、ほかの支援につなげていくことも一つの重要なところだと思っております。例えば、令和4年の児童福祉法改正などでいろいろと事業も創設されたところでございますが、そういったほかの支援内容の充実についても併せてやっていく必要があると考えております。

次に、倉石先生から、御質問と御意見をいただいておりまして、まず、1つ目、「届出」と「面接」と「申請」についての御指摘がございました。この応援交付金について、個人給付と事業とそれぞれを創設しまして、給付の際に事業と組み合わせて行うという規定を考えております。そのため、給付のほうで「申請」や「届出」という手続が必要でして、別途、事業の具体的な中身が「面談」になるというものです。給付については、既存の子ども・子育て支援法のほかの給付などにも倣いまして、「申請」で認定をしていただいて、またその支給額を決めるための「届出」をしていただく、児童福祉法の事業で、「面談」などを行うことが市町村の努力義務として課せられる形と認識しています。

2つ目の御質問として、面接する機関、身近な相談機関等の利用についても御指摘がありました。おっしゃるとおり、そういった身近な相談機関などを利用していくことが、妊婦さんの相談へのつながりやすさの面からも、重要だと思っております。先ほど申したとおり、今はちょうど急ピッチで自治体に体制をつくっていただいているので、包括支援センターで実施している例が多いのかなと思っておりますが、今後、その相談の内容を密にしていくということを考えるのであれば、そういった身近な相談機関やほかの事業を実施している事業者とかに委託なども推進していくべきかと思っています。

相談に応じる人の「等」の部分でございます。今、予算事業では、有資格者だけではなくて、研修を受講した方もこの相談を実施できるとしております。それについては、自治体の人材確保の面と、まず、一度妊婦さんだったりに面談していただいて、その内容を踏まえて専門職につなげていくものですので、最初はつながりやすい人につなげていくことが重要だと思っておりますので、そういった形としております。こちらについても、制度化の際にどういった形がいいのかということは再度検討が必要かと思っておりますが、今の予算事業としては、そういった形でやっております。

最後、給付については、先ほどの回答と重なるところはあるのですけれども、現金その他確実な支払方法で支払っていただく。ただ、面談と一緒にやっていただくものですので、例えば、その面談の中でこういったサービスがありますということを案内していただいてそちらの利用につなげていくといったことを実施していけたらと思っています。

鈴木先生からは、特に情報提供の部分で御指摘をいただきました。今、伴走型相談支援については、3回の面談と継続的な情報提供としておりまして、自治体の事例などを見ると、アプリを活用して、面談が3回終わった後も、継続的に自治体の情報や母子保健、子育てに関する内容を提供している例などもありますので、そういった継続的な情報提供の部分についても、どういった内容を情報提供しているのかといったことについて、今実際にどうやっているかということを調査しながら、国としてもどういったことをやっていくべきかということを、今後、検討していけたらと思います。

最後、松田先生からは、まず、面談の方法について、人と直接会うほうがいいのではないかという御指摘でした。今の予算事業の中でも、原則は面談で、どうしても面談ができない、直接会うことができない場合もございますので、そういった場合にはオンラインとしております。自治体の方からお話を伺う中でも、やはり直接会ったほうがいろいろと分かるという声もございまして、こちらについても、今の実施状況を踏まえて、制度化、施行後はどうするかということを考えていきたいと思います。

2つ目の御指摘が、この給付について、2ページ目の2つ目の丸です。法律的な話になるのですけれども、既存の経済的支援との整理が必要ということで、既に児童の養育に着目した児童手当や出産に着目した出産育児一時金があるので、別の制度として設けることから、妊婦さんの支援のため、妊娠の支援のための給付として創設することを考えております。そのため、残念ながら死産・流産された方についても、その妊娠を応援するということから、死産・流産の場合も支給対象として考えております。

最後、支払方法についても、個人の給付として位置づけることですので、きちんと5万円の価値を受給していただくことが紛争の未然防止にもつながると思っておりまして、現金その他確実な支払方法での支給を検討しているところです。

すみません。長くなりましたが、以上です。

秋田委員長:ありがとうございました。

事務局からの回答を踏まえ、さらに、御意見、御質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。オンラインの方も、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

岡本オブザーバー:岡本から、よろしいでしょうか。御説明をありがとうございました。

先ほど鈴木先生からお話がありました生活リズムを援助する情報提供は、私どもは、非常に重要と思っております。産後、母子訪問をしておりまして、非常にふだんから思うところなのですけれども、出産後、非常に疲弊しているお母様をたくさん拝見しています。母子の生活リズムを調整する援助を行うことは、昼夜エンドレスでお子さんの世話をする産後のお母様の疲労を軽減し、こどもの成長に伴う泣きの変化によって育児困難感を感じて育児不安になりがちなお母様にとっての大切な子育て支援になると思いました。生活習慣というところを、先ほどのように、ワンポイントアドバイスのような形で、その時期に上手に情報提供していくことは本当に大事なことだと思いますし、生活習慣形成の支援は、養育者の環境因子を整えるという意味からも、育児支援として重要な課題になるのではないかと思いましたので、出産後、乳幼児期に至っての相談支援の中で、重要な情報提供の中で、ワンポイント的にで結構ですから、上手に提供していただけると非常にいいなと思いました。先ほど鈴木先生の御説明を聞いて私も思いましたので、ちょっと付け足しで意見を言わせていただきました。

ありがとうございます。

秋田委員長:ありがとうございます。

ほかにはよろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございます。それでは、出産・子育て応援交付金の制度化についての議題は、以上となります。

岡本先生、秋山先生におかれましては、貴重な御意見をありがとうございます。

どうぞ御退室をお願いいたします。

(秋山オブザーバー、岡本オブザーバー 退室)

秋田委員長:続いて、事務局から資料2、資料3の説明をお願いいたします。

本後課長:よろしくお願いいたします。

資料2、まず、保育士の復職支援の強化についてでございます。左側の制度の現状。保育人材の確保は、恒常的な課題であります。今後、職員配置基準の改善、こども誰でも通園制度の創設を見据えると、保育人材確保策の強化を図っていく必要がございます。この保育人材の確保につきましては、修学資金の貸付けといった資格の取得支援、ICT化、保育補助者の配置といった業務負担軽減のほか、潜在保育所の再就職支援に取り組んでおります。このうち、潜在保育士の再就職支援につきましては、相談支援、求人情報の提供等を行う保育士・保育所支援センターにおきまして、設置・運営に関する費用を補助する予算事業として、実施をしております。設置主体は、都道府県・指定都市・中核市でありますが、46都道府県72か所で実施をしている状況でございます。こういった状況を踏まえまして、右側。この保育士・保育所支援センターが行う保育士の確保等に関する事務を都道府県の事務として児童福祉法上に位置づける、予算事業から法律上の事業にするということ、委託を受けて保育士・保育所支援センターの事務を行う事業者について、保育士の確保のための事務を行うに当たって都道府県等に対する情報提供の求めを可能とすることとしたいと考えております。これによりまして、都道府県が持つ保育士登録情報を把握するということで、潜在保育士の再就職を働きかける取組をしやすくすることを考えております。その他、参考でありますけれども、住所情報が保育士登録情報の中には入ってございません。そのため、引っ越した方にアプローチをすることができないという状況がありますので、法律改正ではなく省令以下の改正になりますけれども、その中で改正を行いまして、マイナンバー等による住所情報の連携・更新ができるような対応を併せて実施したいと考えております。保育士・保育所支援センターですけれども、保育士の確保に関する動向、情報提供、研修、相談支援といったことのほか、一番下ですけれども、無料の職業紹介事業も位置づけていきたいと考えております。保育士の確保を行うための事務を行うに当たりまして、都道府県との連携、保育士養成施設、公共職業安定所等との連携といった規定も併せて設けたいと考えております。

続けて、資料3、保育所等の職員による虐待に関する通報義務についてでございます。昨年来、保育所等における虐待等の不適切事案が相次いだことを踏まえまして、実態調査を行いました。これを受けまして、5月になりますけれども、こどもが安心して保育所に通える、保育所・保育士が日々の保育実践において安心して保育を担っていただくことを柱といたしまして、虐待等の防止及び発生の対応等に関するガイドラインの策定、児童福祉法の改正による制度的対応の検討、保育現場の負担軽減と巡回支援の強化、この3点の対応を行うということで方針を打ち出しております。このうち、2点目、制度的対応の検討について、児童養護施設、障害児者施設、高齢者施設と同様に、保育所等の職員によるi虐待等の発見時の通報義務の創設を含め、児童福祉法の改正による制度的対応を検討することとしております。併せて、今年の7月、性被害防止のための緊急対策パッケージを政府で取りまとめましたけれども、この中においても、児童養護施設等における虐待行為に限定されている発見者の通報義務等に関し、保育所等における虐待以降についても同様の仕組みを設けるということで、このパッケージの中で盛り込んでいるということでございます。こういったことを踏まえまして、右側、改正のイメージです。保育所等の職員による虐待について、児童福祉法を改正いたしまして、児童養護施設等、障害児者施設、高齢者施設の職員による虐待と同様の規定を設けることとしたいと考えております。虐待を受けたと思われる児童発見した者の通告義務、都道府県等による立入検査等、都道府県による虐待事案の公表、国による調査研究といった他の職員と同様の規定を設けたいと考えております。この対象となります施設・事業ですけれども、保育所のほか、幼保連携型認定こども園、地域型保育事業、認可外保育施設、一時預かり事業等の事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、児童育成支援拠点事業、児童館等ということで、具体的にはこれからしっかりと詰めてまいりますが、下に書いてございます「もっぱら保護者と離れた環境下において、児童に保育や居場所の提供等の支援を行う施設・事業を対象とする」といったメルクマールで対象の施設を設定してまいりたいと思っております。なお、一番下ですけれども、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部につきましてもこれと同じ措置を講ずるということで、文科省と連携いたしまして、今、対応を検討しているところでございます。

説明は、以上でございます。

秋田委員長:御説明をどうもありがとうございました。

それでは、今の御説明に関しまして、倉石委員、鈴木委員、松田委員の順で、御意見、御質問をいただければと思います。

倉石委員:ありがとうございます。いつも一番なので緊張しますが、よろしくお願いします。

まず、復職支援です。

タイトルは「復職支援の強化」になっていて、潜在保育士の再就職の促進があるのですけれども、一方では、もう一つ、人材確保のこともあるということで、大きなタイトルとその中身のところが少し分かりづらいなと、全く素人的な発言になってしまうのですけれども、感じております。資料をつけていただいているのですけれども、どのように保育士になっていかれているかという資格取得者の状況、有効求人倍率とかがありまして、今、保育士・保育所支援センター、72か所で復職支援をされているのですけれども、その成果がこちらで見えてこないので、もしエビデンスがあるのであれば、そこを示す必要があるのではないかと、一つ、思っております。

もう一つは、現場サイドの話になるのですけれども、いわゆる保育補助者や保育支援者で雇用された方に資格を取っていただいて、保育士としてその職場で採用するということを、結構現場努力でされているわけですね。そこに対して、今のところ、私の存じ上げてることでは、教材費の支援が行われているようですけれども、それ以外に、受験対策のような教育カリキュラムを提供できるとか、こういうことをもう少しやっていくと、現場の実践、御苦労されている部分への具体的なサポートになるのではないかと感じたということです。

以上、2点が、確保支援のことに関してです。

虐待等不適切保育については、まさに、案件が起きてから、非常にスピーディーに対応していただいているなと、敬意を表しております。その上でですけれども、いつまでにこの法整備をするのかということの期限が見えてこない。難しいところが恐らくはあると思うのですけれども、ある程度は明確にしておかないと、このまま、結局、難しかったですねということで終わらないかどうかと少し危惧しております。もしそういうお考えがあれば、教えていただきたいということです。

もう一つ、この通報義務に関しては、1ページ目の左側の真ん中にあるように、「保育実践において安心して保育を担っていただく」ために行うのだというところを前面に出していただくことが、現場の不安感を払拭する意味でも非常に重要ではないかと思っております。

具体的なことを、2点ほど、申し上げます。

まず、1点目は、通告を受けた後、多分市町村がこのことについての勧告・指導を行うことになると思うのですけれども、それだけで終わらせるのか、それとも、児童養護施設で被措置児童虐待が起きた場合は、都道府県がこれを行うわけですけれども、第三者委員会や児童福祉審議会が、この都道府県の対応についてしっかりと監査を行うというか、監督を行うということですかね、こういうことが児童福祉法の33条の中に位置づけられておりますので、こういうところも含めて、市町村と現場がどういう対応を行っているのかということを第三者的に検証するような仕組みをつくっていくことが、一つ、考えられるのではないかということです。

もう一点は、保育所は数が多いですので、この通告権数は恐らく非常に多くなると思います。この点の窓口の整備をどのように行っていくのかということは、今後、恐らく調査研究でなされると思うのですけれども、その辺りの具体的なところをお願いして、自治体のバックアップをぜひしていただけたらと思っております。

以上でございます。

秋田委員長:ありがとうございます。

続きまして、鈴木委員、お願いいたします。

鈴木委員:ありがとうございます。

まず、「保育士の復職支援の強化について」というタイトルは、倉石委員と同じで、私もこれは「人材確保」のほうが合っているのかなとは思いました。その人材確保の中で、養成校に通う学生への修学資金の貸付けなどは、県の中では、例えば、長野などは、2年間、入学金と授業料を全面的に支援しているのです。そのような例もあるので、グッドプラクティスとして出していただけるとありがたいと思っています。

また、この保育士・保育所支援センターに非常に高額の予算がつくわけです。ここは質問なのですけれども、この450億もの予算がつく中で、この評価はどうなっているのでしょうか。つまり、潜在保育士を1人でも確保したらオーケーなのかとか、ルーブリックというか、支援センターとしての評価はどう考えていらっしゃるのか、質問としては伺いたいところです。

次に、虐待の通報義務については、おっしゃるとおりですが、今、報道がそちらに非常に傾くので、現場の保育士さんたちがとてもおびえていて、もしかしたら不適切かしらということで結構悩んでいる方もいるので、「保育実践において安心して保育を担っていただくこと」は全面的に出していただきたい、表に出していただきたいと思います。同時に、自分の保育を振り返っていくためには、事例の検討はとても大事で、日々のこどもとの関わりの中で事例の検討をする研修の時間と内容をしっかりと確保してあげてほしいと切に願っております。

以上です。

秋田委員長:ありがとうございます。

それでは、松田委員、お願いいたします。

松田委員:私からは、まず、資料2。保育士の復職支援の強化についてです。

少し異なる視点からになるかもしれませんが、資料2の赤字部分についてです。この改正によりまして、保育士・保育所支援センターの事務を行う事業者は、委託しているところもありますから、民間企業などもされています。資料に載っています。そうしたところが、必要であれば、都道府県等に保育士確保のための情報提供を求めることができると書かれています。確認ですが、保育士登録情報等となると、個人名、恐らく、保育士資格をきちんと持っているかということ、先ほどのマイナンバーなどに連携すると、住所などもある、つまり、アプローチができるようになるということです。具体的に、後ろのほうに、ページはありませんが、全国の保育士・保育所支援センター、各委託先なども載っています。そこで、今の改正案ですと、都道府県や市町村があります。こちらに保育士・保育所支援センターがありまして、委託企業がある。委託企業が都道府県等に持っている情報を一方的にくださいと要求できる文面になっているような気がします。私の理解が違うかもしれません。もしそうであれば、これは情報共有とかにしておいたほうがいいのではないかということが、一つ、論点かと思います。具体的には何かといいますと、委託先、例えば、民間企業など、今、実施されていますけれども、恐らくそこで新しく潜在保育士に関する情報を得ることができると思うのです。得た情報を都道府県等から照会して持ってこられるようにするほうがいいのではないかということが、論点としてあります。理由は、2つです。外部に委託しているということになると、その企業が潰れる可能性があると思うのです。倒産された場合などには、持っている情報を都道府県等が速やかに引き継げるか、そこは少し不透明なところがあるのではないかということが1つ。そうなると、あらかじめ共有しておいたほうがいいのかなということです。2つ目は、この仕組みでいくと、委託された事業者様が都道府県の情報をもらい放題になってしまうといいますか、つまり、いろいろな自治体でやると、どんどんもらっていって、すごく競争力はあるのですけれども、本当にそれでいいのだろうかという疑問があります。そうなると、もしその事業者があまりよくないことをされた場合に、変えることが難しくなってしまうと思います。何を言っているかというと、先ほどのように、初めから、自治体様と事業者様で持っている情報を共有し、同じようにしておけば、そのリスクは減るのではないのかということが、私の意見です。認識が間違っていたら、失礼します。

次に、資料3です。

非常に残念なことですが、虐待等の不適切事案があるということです。そうであれば、この改正は必要だと思います。私も鈴木先生の御意見にすごく共感するところがありまして、現場の保育士の方は、恐らく、虐待しようと思って虐待している方はいないと思うのですよね。誤ってなってしまう可能性がありますので、あまり萎縮させるようなことはよくないのかなと思います。

最後、もう一点ですけれども、何が虐待に当たるのかは分かりますが、一方で、何が虐待には当たらないのかということも情報提供をしてあげたほうが、保育士の方、現場の方も安心して保育に当たれるのかなと思いました。

私からは、以上です。

秋田委員長:皆様、どうもありがとうございました。

それでは、委員から御質問があった点につきまして、事務局から、御回答をお願いいたします。

本後課長:ありがとうございます。

まず、最初の復職支援の関係から、お三方の御意見に対して、お答えさせていただきたいと思います。

まず、倉石先生から、潜在保育士の対策と人材確保の全容、関係が分かりにくいというお話がございました。これは鈴木先生からも併せていただいておりますけれども、恐縮ですが、資料2の8ページ目をお開きいただければと思います。保育人材の確保といったときに、今、政策としては3本立てで実施をしております。1つが、新規の資格の取得の支援で、修学資金の貸付け等々を含めまして、非常に大きな事業でございます。2つ目が、就業継続の支援で、働く環境の改善をしていく事業です。ICT化、保育補助者の雇上げ、保育支援者、働き方改革の支援を行っております。この2つについては、引き続き、予算事業として、毎年度、しっかりと必要な予算を獲得しながら対応していくことになります。今回、法律改正との関係でいきますと、3番目、一番下の離職者の再就職支援について、法律事項にしていこうということであります。離職者の再就職支援については、今、ここに書いてございます保育士・保育所支援センターが予算事業という形で実施しておりますので、この事業を強化する、取組としてしっかりと都道府県に責任を持ってやっていただくという意味で、今回、これを法律事項に上げたいという趣旨でございます。したがいまして、資料のタイトルも「保育士の復職支援の強化について」と、保育士・保育所支援センターについて念頭に置いておりますので、こういった書き方とさせていただいておりますが、これは人材確保の大きな3本柱の大きな一つと理解いただければと思います。

もう一つ、倉石先生からいただきました保育補助者の関係でございます。保育補助者については、御指摘いただきましたとおり、資格を持っていない方が、現場で働きながら、保育士のサポートをしながら、資格を取る勉強をしていくことになります。その費用をしっかりと補助するとともに、同時に、貸付けの一つとしても事業を使えるように、保育補助者を雇うときの貸付けも用意をしております。そういった形で、雇う側の事業者をサポートしながら、資格の取得につながり、かつ、そのまま保育士として就職していただくことにつながっていくということを目指していることになります。引き続き、そういった事業の趣旨を自治体にしっかりと伝えながら活用していただけるようにしたいと考えております。なお、保育補助者に関しては、令和6年度の概算要求の中で、資格を取得していない方だけではなく、既に資格を取得していながら現場を長年離れている方も、保育補助者として雇い上げることを新たに認めるようにできないかということで、概算要求で要求をしております。年末予算編成に向けまして、政府の中で検討していきたいと考えております。

鈴木先生からいただきましたご意見ですけれども、人材確保で、先ほど長野県さんの例を御紹介いただきましたが、修学資金の貸付けの中で2年間は修学資金の貸付けをかなり高額でやらせていただいていますので、県でしっかりとそれを活用していただいているのかなと考えております。人材確保の新規資格取得支援の貸付けも大きな柱の一つですので、引き続き、予算を獲得し、都道府県でも活用していただけるようにしたいと考えております。

保育士・保育所支援センターですけれども、参考資料の中で、9ページ目です。450億となっておりますけれども、保育士・保育所支援センターだけで450億を使っているわけではございません。紛らわしくて申し訳ありません。様々なメニュー事業、保育対策総合支援事業費補助金という中で、多くのメニュー事業の一つとしてやっているということを書かせていただいているものです。450億の中で運用させていただいています。実績ということでいきますと、全国で72か所を設置しておりますが、真ん中辺りにありますけれども、その下に保育士・保育所支援センターの紹介による就職件数が約4,500件という形になっております。4,500件といいましても、事業所は、それぞれの都道府県、設置しているセンターによって、確かに多い・少ないはございます。評価軸としてどういう評価をすれば適切なのかということは、まだ軸があるわけではないので、非常に評価は難しいところなのですけれども、数百件というところもあれば、就職実績がなかなか出ていないというところもございます。御指摘は、この法律に引き上げるということだけではなくて、そもそもどういう活動をし、どういう取組をしていれば、しっかりとやっていると言えるのかということを併せて、中身についてもしっかり検討せよということだと考えております。当然その御指摘は受け止めまして、実際の業務内容としてどういうことをやるべきなのか、あるいは、様々に御指摘いただいております有料職業紹介あるいはハローワークの業務とどう差別化や切り分けあるいは連携をしていくのか、法律に引き上げるというだけではなく、ここは内容的には非常に大きな課題だと思っていますので、併せて検討を詰めていかなければいけないと考えております。

松田先生からいただきました、情報のやり取りというお話でございます。法律の規定上、他の様々な前例がありますので、行政機関から委託する側に出すときの規定を整備することによって、情報のやり取りで非常に個人情報の壁などを乗り越えやすくなるという趣旨で書かせていただいております。法律上、逆に行政と共有するという規定が必ずしもあるわけではないので、法律の規定が必要かどうかということはさておきまして、都道府県でもしっかりと情報を持っておくべきではないかという御指摘はそのとおりだと思いますので、今ほど申し上げました内容をどうしていくのかという整理の中で、そこはしっかりと整理をしていきたいと思っております。なお、法律上は、当然個人情報を取り扱うことになりますので、情報の管理についてはしっかりと規定を設けるつもりでございます。これも、様々な前例等に倣いまして、そういった対応をしていくことを想定しております。

以上が、復職支援の関係でございます。すみません。長くなりまして、恐縮です。

続きまして、虐待に関しましてでございます。

まず、倉石先生から、いつまでに法整備をということがございました。令和7年度からスタートをすることを基本的には想定しております。来年の通常国会に出しまして、都道府県、自治体で準備を進めていただき、令和7年度からという想定をしております。

「安心して保育を担っていただく」という点を前面に出してほしいという御指摘は、そのとおりでございます。既に出しましたガイドラインあるいは保育現場の負担軽減、この辺りはまさにそういう趣旨で出させていただいております。昨年来、様々な報道が相次ぐ中で、そもそも何が不適切であるのかということが現場で非常に不安を持って受け止められているということがございました。「不適切な保育」という言葉の使い方も、「虐待等が疑われる事案」ということで5月のときに改めて整理させていただきまして、そういったことがあった場合にはしっかりと行政と連携して対応していくと。ただ、こどもの人権を考えたときに望ましくない声かけや行動は、鈴木先生からもお話がございましたとおり、その施設の中でしっかりと振り返って、どうしたらいい保育になるのか、施設の中でしっかりとまずは考えてほしいということが、このガイドラインの基本的な考え方であります。この望ましくない対応、不適切、虐待といったことの対応をしっかりと区別しまして、虐待等の事案があった場合には、すぐに行政が入って対応できるように、毅然とした対応ができるように、それに至るまでの段階については、園の中で振り返りを行いながら対応ができるように、そういったことを今後もしっかりとお伝えしていきたいと思います。どういった事項が不適切な保育なのか、具体的に挙げてもらわないとなかなか現場では判断がしにくいという御指摘は、その過程の中でございました。5月のときにもそういったことまで踏み込めればよかったのですけれども、なかなかそれが難しくて、これは宿題とさせていただいています。現場の様々な事例等を踏まえながら、具体的な事例をお示しできるのかどうか、ただいま、検討しているところでございます。

第三者機関による検証という御指摘がございました。確かに、児童養護施設あるいは障害児者の虐待においても、重大な事案があった場合には、第三者評価機関をしっかりとつくって、市町村の対応、施設の対応が適切だったのかということは後からしっかりと検証するということは、ガイドラインの中でも明記されています。義務とまでは恐らく言っていないと思います。重大な事案についてということだと思いますけれども、そういったことが書かれております。今ほど申し上げましたガイドライン、私どもの保育所等におけるガイドラインの中では、今、そこまではまだ記載してございませんので、そういった前例を踏まえながら、どういう対応ができるのかということは検討していきたいと考えております。

倉石先生の最後、窓口の整備ですけれども、既に虐待の発生のガイドラインの中でしっかりと窓口を掲げてやってほしいということは明記しております。そういった体制を踏まえて、法定化された後もしっかりと自治体の中で体制を整備していただきたいと思っております。

鈴木先生から、大分お答えをしているかもしれませんけれども、現場で不安があることは御指摘のとおりであります。いただきました、研修、まさに振り返りという時間が非常に重要であるということは、ガイドラインの中でも申し上げています。振り返りの仕方についても、会議をやったり、その都度の声かけをしたり、様々な方法はあると思います。いずれにしても、園の中で、園長先生をはじめ、しっかりと指導すべき立場にある人はそういったことができる雰囲気をつくっていくことが非常に重要ですので、それは様々な研修の場あるいは行政説明の場でもお伝えしていきたいと考えております。

松田先生からいただきました、これももしかしたら既にお答えさせていただいているかもしれませんけれども、虐待あるいは不適切保育とそれに至るまでの望ましくないような関わり方については、実際にはそこは区別が難しいところではありますけれども、ガイドラインの中で、概念上、しっかりと区別をいたしまして、対応をお示ししたということでございます。何が虐待に当たるのか・当たらないのかあるいは不適切に当たるのか・当たらないのかということは、先ほども申し上げましたけれども、具体的にお示ししないと現場に伝わりにくいのではないかという御指摘はいただいております。これは、宿題として、今、検討させていただいているところでございます。

以上でございます。

秋田委員長:ありがとうございます。

これで本日の議題は全てとなりますが、全体を通じて、皆様から、何か御質問等はございますでしょうか。

もう時間も過ぎております。ないようですので、本日の会議はここまでとしたいと思います。

次回の予定について、事務局から、お願いいたします。

髙田課長:次回につきましては、当委員会で行った論点整理を踏まえまして、子ども・子育て支援等分科会において資料を提出し、この分科会における制度改正の議論を実施したいと考えております。日程は、改めて事務的に御連絡いたします。

秋田委員長:長時間にわたりまして、ありがとうございました。

それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。