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第5回 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会

概要

日時:令和6年2月21日(水)10時30分から12時00分
場所:対面及びオンライン併用開催

議題

審議事項
(1)NIPTの臨床研究について
(2)その他

資料

議事録

福井座長:定刻となりました。ただいまから、第5回「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」を開催いたします。

委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜り、本当にありがとうございます。

まず、本日の委員の出欠状況の報告等を、事務局から、お願いいたします。

上出課長補佐:事務局でございます。

本日の会議は、会議とオンラインとの併用で開催しておりますが、会場からは、福井座長、北川委員、堤委員、ほか、事務局が参加しております。本日は、家保委員、植田委員、櫻井委員、関沢委員、堀委員から、御欠席の御連絡をいただいております。また、門脇委員は11時頃より御出席と伺っております。そのほかの委員からは御出席をいただいており、過半数以上の御出席をいただいておりますので、本会議は成立いたします。

続きまして、本日の配付資料の確認等を行います。

本日はペーパーレス会議としており、オンラインで御参加いただく委員の先生方にはあらかじめ資料をメールで送らせていただいております。資料の確認をさせていただきます。議事次第に記載の配付資料のとおり、資料1-1、資料1-2、参考資料1~4となっております。過不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。

また、多くの委員にはオンラインで御参加いただいているため、御発言いただく際には、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただくか、カメラの前で挙手いただき、座長から御指名させていただきますので、お名前を伝えていただいた上で御発言をよろしくお願いいたします。

会議冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、記者の方々は御退席の御協力のほどよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

上出課長補佐:また、会議の公開についてですが、会議の模様をユーチューブによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。

事務局からは、以上になります。

福井座長:それでは、議事に入ります。

議事1「NIPTの臨床研究について」です。前回の専門委員会では、「NIPTの臨床研究における課題と対応(見解)」について、たたき台を基に、御議論いただきました。本日は、専門委員会での御議論と会議後に追加でいただいた御意見を踏まえまして、見解の修正案を作成してもらっております。資料1-1「NIPTの臨床研究における課題と対応(見解)(案)」、資料1-2「NIPTの臨床研究の実施に係る透明性の確保等に関するスキーム(イメージ)(案)」について、事務局より、説明をお願いいたします。

上出課長補佐:ありがとうございます。事務局でございます。

資料1-1と1-2を御説明させていただきます。

1-1の共有をお願いいたします。

ただいま座長より御説明のありましたように、御意見を踏まえまして、修正案を作成しております。主に修正した部分を中心に御説明させていただきたいと思っております。

まず、1ページ目の下になりますが、注釈としまして、本見解で対象とするNIPTの説明を入れております。3行目からになりますけれども、「今後様々な臨床研究の実施が想定されうることから、本見解におけるNIPTは、母体血を用いて、母体由来のDNA断片とともに胎児由来のDNAを分析することで、胎児疾患等の検出を行うものを対象とする」という形にしております。

続きまして、資料をおめくりいただきまして、2ページ目の下から3段目のところに、追記をしております。読ませていただきますと、「しかしながら、認証制度の枠組みの外では、本邦において分析的妥当性や臨床的妥当性が確立していないNIPTが、検査前後の適切な遺伝カウンセリングや十分な支援体制がない中で実施されているという調査結果が報告されている。」の部分を主に追記させていただいております。

続きまして、おめくりいただいて、3ページ目の2パラに、元の文章の修正を行いつつ、追記を行っております。少々長い文章にはなっておりますけれども、「NIPTの臨床研究を行うに当たっては、様々な特性を持ったこどもが生まれ、個人として尊重され、その権利が擁護され、命を全うできる社会づくりが重要であること、適切な臨床研究を行い得られた知見により、産まれてくるこどもや妊婦等への支援体制や医療体制の充実につながる可能性があること等を踏まえつつ、胎児の状況を正確に把握し、将来の予測をたて、妊婦及びそのパートナーの家族形成の在り方等に係わる意思決定に資すると共に、胎児治療や産まれてくるこどもの早期治療、療養につなげることを念頭において実施することが重要」であるということで、専門委員会の御議論の中で重要だった部分について、冒頭で記載させていただいている形になります。

次の項目は、報告書からの引用の部分になりますので、大きな修正はしていないため、少し飛びまして、5ページ目になります。「2 検査の実施体制」の1ポツを追記させていただいておりまして、「データの再現性等の基本的な分析性能を含む精度管理を確実に行う必要性がある。」と、臨床研究においても当然ながら精度管理が重要であるということを記載しております。

次のⅢ章は特に大きな変更はございませんので、おめくりいただいて、6ページ目の「Ⅳ 検査対象」に移らせていただきます。より具体的な記載が必要であると先生方から御意見をいただきましたところから、1ポツ目の7行目辺りになりますけれども、「胎児超音波検査や家族歴等をもとに臨床上疾患を有する確率が高い集団等を対象として実施」と記載させていただいております。

次に、Ⅴの部分が一番大きく修正させていただいた箇所になります。1学会だけではなく関連する学会が協力するほうがよい、個々の倫理審査委員会における審査をサポートするような仕組みが必要と、委員の先生方から御意見があったことから、修正を行っております。この章は全文を読ませていただきますけれども、「NIPTの臨床研究については、我が国におけるNIPTに係る経緯や倫理的・社会的課題を有すること等を踏まえ、透明性をもって実施されることが必要である。」と、まずは透明性が重要であるということを記載しております。その次に、「このため、それぞれの研究者及び研究実施施設による研究活動を尊重しつつも、研究の計画段階において多角的な検討を行う観点から、産婦人科や小児科、遺伝医学の関係学会が必要な協力を行うことが求められる。具体的には、研究実施施設における倫理審査委員会等の審査に先んじて、研究者から研究計画等に対する意見を求められた日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本人類遺伝学会それぞれの学会は、研究内容や倫理審査委員会の構成等を確認し、研究に対し意見書を返す枠組みが必要である。研究者は当該意見書を踏まえた必要な対応を行い、その後、研究実施施設の倫理審査委員会は、意見書等の経緯も把握した上で、審査を行うこととなる。」としております。次のポツに行きますけれども、「研究実施施設の倫理審査委員会の承認を経られた場合は、研究者より認証制度を運用している運営委員会へ臨床研究の概要等の報告を行い、更に運営委員会より専門委員会へ報告を行う。」、さらに、「また、研究終了後等、研究の適切な段階においても、研究者より運営委員会、運営委員会より専門委員会への報告を行うことが求められる。なお、得られた知見や課題等については、必要に応じて、専門委員会において検討を行い、その結果は、国民や研究者に周知するものとする。」としております。

この内容を図示したものが資料1-2となっておりますので、説明が重なる部分はありますけれども、資料1-2を御参照いただければと思います。今、御説明させていただきましたように、3つの学会が、研究実施施設の審査に先立ちまして、意見書を返すという形にしております。倫理審査委員会の承認後は、日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会に報告を行っていただきまして、さらに運営委員会から本専門委員会へ御報告いただくという流れになっております。

資料1-2の説明は、以上になります。

また資料1-1に戻らせていただきます。

Ⅵの2ポツ目と3ポツ目のところに、倫理的・社会的課題を主眼に置いた検討についても研究が進むことが望まれること、また、得られた結果については国民に情報発信をすることが重要であることを記載しております。

最後の「おわりに」も、先生方の御発言などを踏まえまして、追記をさせていただいております。「NIPTについては、検査単体で捉えるのではなく、妊娠・出産・育児に関する包括的な支援の一環として、必要な情報提供やカウンセリング等の支援と組み合わせて、その課題と対応を検討することが重要である。このためには、社会においてノーマライゼーションの理念が普及していくことや、国民のNIPT等の出生前検査に関する正しい理解が深まることが望まれる。」、「専門委員会において、社会情勢や国民の議論醸成の状況、専門家や関係者のご意見を踏まえながら、引き続き、NIPT等の出生前検査に関する課題と対応を多角的に検討するとともに、国民に対する適切な情報発信を推進していきたい。」と結んでおります。

説明は、以上になります。ありがとうございました。

福井座長:ありがとうございます。

ただいま、資料1-1と1-2について、説明していただきました。「Ⅴ 臨床研究の実施に係る透明性の確保等」が大きく修正されておりますので、まずは、「はじめに」から「Ⅳ 検査対象」までについて、御意見があれば、お願いしたいと思います。その後、Ⅴ以降について御議論いただければと思います。いかがでしょうか。1ページから6ページの上、4割ぐらいでしょうか、「Ⅳ 検査対象」までで、まず、何か御意見やコメントはございませんでしょうか。

堤委員、どうぞ。

堤委員:5ページの上から4行目、「運営委員会が認証する基幹施設で行われる必要がある。」と、臨床研究については基幹施設で行う必要があるということが書かれておりますけれども、ここの委員の先生方の御認識も一応確認しておいて、事務方にも確認したいと思うのですけれども、この記載は、基本的に基幹施設だけで行われる、基幹施設単独でやるのか、連携施設はそこには入ってこないという枠組みでよろしいのかどうかということを確認しておきたいと思いました。それがこの文章に関わる1点目です。

これは臨床研究の実施ですので、現在やっております13・18・21トリソミーの検査を受託している会社以外の施設に直接検体を送って実施される場合もあるという認識だと私は思っているのです。

1点目のどういう体制で実施されるのかということと、解析する場所は海外に直接というルートもあり得るという認識で間違いないかということ、その2点について、確認しておきたいと思いました。以上の2点でございます。

福井座長:いかがでしょうか。認証された基幹施設でのみという意味なのか、基幹施設が中心になって連携施設も当然に入ると考えるのかということなのですけれども、事務局どうでしょうか。

上出課長補佐:後で三上先生の御意見等もいただきたいとは思っておりますけれども、これまでの御議論としまして、2回前の議論だったと思うのですけれども、基幹施設のほとんどであれば体制について大丈夫だろうというところですけれども、一部基幹施設では難しい可能性があるのではという御意見もあったと思っております。実施体制としては基幹施設より高いレベルを先生方は考えられていると受け取りましたので、事務局方では、基幹施設でやっていただこうという趣旨で記載しました。もちろん、基幹施設同士の多施設連携の研究は、全部が基幹施設なので、問題はないと思うのですけれども、認証制度の連携施設について入っているという認識はなかったです。もちろん、先生方の御議論で、基幹が支援をするのであれば連携施設もということであれば、そこはまた検討したいと思います。

福井座長:三上先生、どうぞ。

三上委員:まず、1点目の基幹施設か連携施設も入るのかということですけれども、例えば、研究の対象が全て基幹施設に来ている方々ということではなくて、連携施設を含めて、ある程度、リクルートをしてくるという研究は十分にあり得るわけです。一般的な研究としては、基幹施設というか、責任者になる先生がいて、いろいろな施設と共同研究をやっていく形になりますから、あくまでも基幹施設が中心になって研究を計画してリクルートは連携施設も含めて行っていく、あるいは、連携施設同士が分担になってやっていくという可能性もありますので、基本的には、今、研究事業は認証されている基幹施設と連携施設で行えるということではありますけれども、基幹施設が全ての責任を負っている形ではないかと思います。

以上です。

福井座長:もしそうでしたら、例えば、通常の臨床研究もそうなのですけれども、「基幹施設を中心に」といった文言を入れる必要はないですか。ここにある「基幹施設で行われる必要がある」という文章だけで大丈夫でしょうか。

三上委員:私は、入れたほうがいいと思います。

以上です。

福井座長:私も、個人的には、入れたほうがいいのではないかなと。患者さんのリクルートが1か所では、幾ら基幹病院でも、なかなか難しいことが多いですので、そのように思います。

柘植先生、どうぞ。

柘植委員:今の件なのですけれども、今の該当のページではなくなって申し訳ないのですが、関連して、7ページに、「倫理的・社会的課題を主眼においた検討についても研究が進むことが望まれる。」と書いてあって、ぜひこれは臨床研究のときにも検討いただきたいと思うのです。倫理的・社会的課題を主眼に置いたら、連携施設が入っていて、最初に連携施設からどんな情報提供がなされたりどんな相談先を紹介されたりしたかということも関係してくると思うのです。そうすると、連携施設で最終的に基幹施設のほうに紹介されなかった方、もしくは、産みますという形で紹介されなかった場合もあるかもしれないのですけれども、確定診断をしませんとか、そういう方たちを含めるために、連携施設もぜひ入れていただきたいと思います。先ほどの座長の御提案で、「等」とか何かを入れていただくといいと思います。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

それでは、堤委員からの御指摘の2つ目の点、検査の解析会社は、例えば、外国に直接依頼していいのかということなどについては、いかがでしょうか。

上出課長補佐:事務局から。

堤委員が一番お詳しいところだとは思うのですけれども、法律上のいわゆる実臨床の場合は、国内の衛生検査所を通すということは、先生から我々も勉強させていただいたところではあるのですけれども、研究となると、枠組みの外にはなってしまう認識です。先生方の御意見次第ですけれども、なかなかこの見解にそこまでは踏み込めないと思っておりますが、各施設の実臨床では、枠組みの流れの中で行われているので、あまりにそこから逸脱した計画は審査の段階で成り立ちにくいのではないかと思っております。

福井座長:三上先生、先ほど挙手を。

三上委員:まさに今の上出先生と全く同じ意見です。研究ですので、例えば、新たな手法等が出てきたときに研究ということになって、その目的とその方法論についても倫理審査委員会で検討することになりますから、それについても3学会で検討も行うことになりますので、そこできちんとサジェスチョン等を受けて、その施設の倫理委員会で判定していただくことになると思います。この委員会では、例えば、今認証されている検査所に出さないといけない検査ということは言い切れないというものが研究であろうと。上出先生と全く同じ意見です。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

そのほか、6ページの上、30~40%ぐらいのところまでの部分につきまして、何か、御意見、御質問はございませんでしょうか。

野崎委員、どうぞ。

野崎委員:ありがとうございます。

冒頭の「はじめに」の脚注に明示されているところが大事なことかと思うのですけれども、今回、NIPTの臨床研究という言葉の定義といいますか、ここでNIPTの臨床研究というものが何を指すのかということについて、なるべく早いところで少し明記をしておいてもいいのではないかと思いました。3トリソミー以外のものに関する、まだ分からないものに関する研究で臨床の実践を見据えた研究になるわけで、そのように書かれてあるもので、分析的妥当性等がはっきりしないものが実際に実施されているということが2ページ目の下段のほうにも書かれてあります。これを念頭に置いた臨床研究をここでは臨床研究の対象にしているのだということを明記しておく必要がないだろうかと思いました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

よろしいでしょうか。恐らくこれは検査の精度や妥当性だけでなくてNIPT全体に関わるいろいろな臨床判断とかも全て検査対象になるのかなと、個人的には思っていたのですけれども。

上出課長補佐:事務局でございます。

恐らく、野崎先生からの御意見は、場合によっては例えば基礎的な研究はここの枠組みの外にあるのではないかという御意見と解釈はしているのですけれども、実際にこれを臨床研究を検討する研究者からして、臨床研究という言葉で意味することを解することができるのであれば、もちろん厚労省のいろいろなほかのところで臨床研究の定義はあるのですけれども、過度に読み込まれ過ぎないのではないかと思ってはいるのです。逆に、書くこと自体で難しくなることもあると思ったところでもございます。もし公式な文書から引用できるもの等があれば、検討したいと思うのですけれども、今の記載で研究をされる方には理解されると考えております。もちろんこの見解が研究者以外の方も、読まれるということは配慮する必要はありますが、、委員会として想定していない研究が規制されるということは実質上ないのではと思っております。

福井座長:研究者がどういう疑問を抱くか、何を証明したいと思うのかによっても、全然内容が違ってくると思います。定義することは難しいのではないかなと、私も読んでいてそのようには思いました。また後ほど、御意見がございましたら、お願いします。

次に、北川委員から、お願いします。

北川委員:私からは、非常に簡単に。

3ページの丸ポツの真ん中です。新たに加わった「障害児・者の療育や生活、福祉サービス」のところです。「療育」という言葉は古く、今あまり使われていないので、「障害児・者の発達支援・家族支援」と、家族支援をここに入れることが大事だと思います。「発達支援・家族支援」にしていただけるとうれしいです。

以上です。

上出課長補佐:ありがとうございます。

こちらは、修正させていただきたいと思います。

福井座長:ありがとうございます。

横野先生、どうぞ。

横野委員:私は、文章の書き方に関する部分なのですけれども、3ページ目の最初のパラグラフ、最後の文章に「研究の自由の名の下に、NIPTの臨床研究を無制限に行うことも不適切であると考えている」というところがあって、ここは、抽象的かつ結構強い表現なので、もう少し具体的な問題意識が分かるような書き方にしたほうがいいのではないかと思っています。具体的な問題意識としては、恐らく、後ろのほうで出てくるのですけれども、6ページから7ページにかけて「臨床研究の臨床応用との間の垣根が低いこと」、その少し前のⅤの最初のところに「我が国におけるNIPTに係る経緯や倫理的・社会的課題を有すること等を踏まえ、透明性をもって実施されることが必要である」ということがあるので、これと同じような具体的な問題意識をここに書いたほうがいいのではないかと思いました。臨床研究は、基本的には倫理審査や研究機関の長の許可等の手続を経た上で行われることになると思います。審査の内実はどうであれという面もあるのですけれども、「無制限に」と言うのは少し強いかなと思いました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

その方向で。

上出課長補佐:そこはまた御相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。

横野委員:お願いします。

福井座長:柘植先生、どうぞ。

柘植委員:ありがとうございます。

1ページ目の脚注1なのですけれども、瑣末なことなのかもしれないのですが、「母体由来のDNA断片」と書いてあって、「胎児由来のDNA」と書いてあるのです。2か所出てくるのですが、どちらもそう書かれていて、専門家の方だったら同じということがすぐ分かるのかもしれないのですが、専門家ではない者が母体由来の場合はDNA断片で胎児由来の場合はDNAになるのかという誤解をするといけないので、統一していただきたいと思います。

以上です。

上出課長補佐:統一させていただきたいと思います。ありがとうございます。

福井座長:ありがとうございます。

中込委員、どうぞ。

中込委員:ありがとうございます。信州大学の中込です。

6ページの前半までの範囲でということでしたので確認点があります。検査対象の最初の丸、最後の文に書かれている「胎児超音波検査や家族歴等をもとに臨床上疾患を有する確率が高い集団」は、非常に広い範囲にわたるという印象です。「胎児超音波検査」であれば、非常に特異的な胎児水腫や胎児のプロポーションのバランスを見て、もしかしたら死産につながってしまうかもしれないほどの重篤性も考えられ、羊水検査で確認を要する胎児が該当すると考えられます。「家族歴」が加わり胎児DNAで調べられるとなると、胎児自体は、出生直後も小児期も問題ない成人発症の疾患もここに加わるということ、単一遺伝子疾患も想定していることになります。この委員会では、見解の段階では広く認めて、倫理審査等でディスカッションをして、吟味した上で研究を遂行する、すなわち「窓口は広く」でも「倫理審査ではきちんとやりましょう」という見解と理解してよろしいでしょうか。

上出課長補佐:事務局からです。

先生のおっしゃっていることが事務局の認識でして具体的な記載が必要とのご意見をいただいた中、書かないことによって家族歴の対象が外れることもございます。臨床研究は我々が想定していないことも今後はいろいろとあると思いますので、疾患を調べること自体に倫理的・社会的妥当性があるかということは審査の中で御判断いただければと思っております。

中込委員:分かりました。

福井座長:ありがとうございます。

そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、Ⅴ以下について、御意見を伺いたいと思います。資料1-2に書きましたようなスキームで、3つの学会に関わっていただくという案になっております。いかがでしょうか。

渡辺先生、どうぞ。

渡辺委員:日本医師会の渡辺でございます。

資料1-2の考え方は、恐らく3つの学会の方々がお話しになられてこのような立てつけになられたと思いますので、それに対して、3つの専門学会が関与することは非常によいことだと思うのですけれども、1点、この資料1-2の模式図を見たときに若干気になる点は、研究者が3つの学会におのおので意見を問い合わせるという立てつけになっていることなのです。例えば、3つの学会が1つのグループとなって、窓口を1つにされて、そこに研究者が問合せをされて、3つの学会の意見として研究者に出されるということはすごく分かりやすいと思うのですけれども、研究者が個別に3つの学会に意見を求められた場合で、この3つの学会の中で統一しない意見が研究者に寄せられた場合の調整というか、判断が研究者に委ねられることは、若干研究者に負担が来るのではないかと。その3つの学会の中で、例えば、1つと2つの学会で意見が異なった場合の調整や対応という運用の立てつけが、この3つが併記された場合は、上下があるというのは難しいかもしれませんけれども、窓口が1つのほうが本当はすっきりすると思うのです。そうでなければ、その運用基準というのですかね。例えば、この3つある学会の人類遺伝学会さんと日本産科婦人科学会さんと小児科学会の中で異なる意見が研究者に寄せられた場合の調整は、研究者の判断に委ねるという方針のままでいいのかということは、若干気になった点でございます。事務局は研究者がそれを自ら調整するということを想定しておられるのかということをお聞きしたいのですけれども。

福井座長:ありがとうございます。

上出課長補佐:ありがとうございます。

前回の案では日本産科婦人科学会が中心にということでございましたけれども、様々な御意見から今の形を案として出させていただいております。先生のおっしゃるとおり、意見が食い違う場合はあるのですけれども、逆に、食い違う部分もあることから、それぞれのお立場の学会から御意見をいただくことも大事かと思っております。研究者や倫理審査委員会はその意見書を踏まえていくというところなのと思っております。一方で、まだ今後のお話の中だとは思うのですけれども、少なくとも事務的な手続等については、各学会と御相談させていただいて、あまり研究者に負担がないような形とは目指していけるのではないかと思っております。意見が異なって、3学会で統一をすること自体がどうかというところもございますので、研究者の負担はあると思うのですけれども、現時点ではこういった案にさせていただいております。よろしくお願いいたします。

福井座長:恐らく、研究者だけでなくて、その研究実施施設の中の倫理審査委員会とのやり取りが、3学会で意見が分かれた場合には、より重要になっていくのではないかと思います。

三上先生、どうぞ。

三上委員:今福井先生がおっしゃったことと全く同じことなのですけれども、このNIPTは立場によって意見が違うということが大切なわけですよね。それをしっかりと理解した上で進めていかなければいけないわけでして、実際に、こういう専門委員会ができて、いろいろな先生方の御意見を伺って進めているわけですよね。それぞれの学会が考え方をしっかりと示してそちらでしっかりと考えていただくというプロセスで研究を評価していくことが一番大切なので、3つの学会が集まってそこで意見を統一させて出すこと自身がこの方向性としてそぐわないと思いますので、それぞれの学会がしっかりと検討して、お互いの学会のこともいろいろと考えながら、患者さんたちのことも考えながら、検討した上で、意見を出して、その施設の倫理審査委員会でしっかりと検討を行うことがポイントではないかと思います。そこの学会がまとめるということは全く必要がないように思います。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

玉井委員、どうぞ。

玉井委員:ありがとうございます。

双向性で意見書を出すことができるようになったことは非常にいいことだと思っています。3学会でそれぞれ別々の統一されない意見ということも、そのとおりでいいかと思っています。これは、意見書を出すと、それに対してまたその研究者が回答をしてくるわけですよね。それについて、回答がこれで納得できるかどうかということは、各学会はまた言えるのでしょうか。

上出課長補佐:細かくそこで何往復が必要なのかということは、提出された研究や意見書の内容によって変わってくるかと思いますので、専門委員会から何往復して、更に各学会が納得しなければ進めてはいけないというところまでは書き切れないと思うので、意見書の中で、研究者と学会の調整と思っております。

福井座長:玉井先生、いかがでしょうか。

玉井委員:研究ですから、しっかりとした人が回答しているとは思うのですけれども、回答の内容が納得できるかどうかということは、各学会の審査するところがあろうかと思うので、それを担保してほしいと思います。それがなかったら、意見を聞いて回答さえすればとにかくいいということになるので、何往復するまでというわけではなくても、真摯に答えていただかないことにはいけないと思います。納得できるような回答をしていただく必要があるため2回目があっても別に構わないのだとする、また、学会からの質問は研究機関の倫理審査委員会への書類に含めることも必須とする、その辺のところはしっかりと書いていただきたいと思います。

上出課長補佐:事務局から、追加させていただきます。

完全に先生の御趣旨と対応しているところではないのですけれども、Ⅴ章の2ポツ目、最後のところで、倫理審査委員会は、意見書等の経緯というか、どういったやり取りが各学会でされているかということは把握してくださいということを記載しておりますので、学会の意見に真摯に対応がされていないこと自体が仮にあった場合は、それは倫理審査委員会の中で情報を当然把握して、その上で審査いただきますし、倫理審査委員会からサジェスチョンがさらに出てくる可能性はあるかと思っております。玉井先生の御指摘の趣旨含めているところが、倫理審査委員会で経緯を確認してくださいという文章という認識でございます。補足になります。

福井座長:この点に関してでしょうか。どうぞ。その後、横野先生にお願いします。

小崎委員:小崎です。

三上先生がおっしゃったように、各学会がインディペンデントに出すというやり方はよいと思うのですけれども、玉井先生がおっしゃったように、あまりに広い意味で、問題のポイントが的確に返ってくる保証がない以上、何回かのやり取りがあることを認めるような仕組みがいいと思います。それで学会が納得しない場合には、納得しないような意見で終わって、それを各施設の倫理委員会がやり取りを眺めるという仕組みがよいのではないかと、僕も思います。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

上出課長補佐:今の書きぶりだと足りないということであれば、検討させていただきたいので御相談させていただければと思います。

福井座長:倫理的側面につきまして、本当に最先端のところまでいくと、意見が100%一致するかどうか分からないようなテーマもあるのではないかとは思ってしまいます。100%のコンセンサスがないとできないというニュアンスの文章になるとなかなか難しいのではないかと、私は個人的には思っています。きちんとやり取りをして十分に納得のいく議論が行われたということ自体は担保する文章をぜひお願いしたいと思います。

どうぞ。お願いします。

門脇委員:日本医学会の門脇です。

事務局から今回出された提案に私は全面的に賛成で、前回、三上先生もおっしゃってくださいましたけれども、日本小児科学会、日本人類遺伝学会の意見もよく聞いてということがこの案の中に具体化されている点で、今の福井先生の御意見も含めて、賛成でございます。

各倫理審査委員会の判断が、日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会、さらにこのNIPT等の出生前検査に関する専門委員会に上がってくる仕組みになっています。この仕組み自体はいいと思うのですが、各倫理審査委員会でいろいろな判断が出てきて、それが同様の判断である場合もあれば少し異なる判断である場合も当然出てくると思うのです。そのような点に関して、この出生前検査の運営委員会やこの専門委員会に上がってきたときの役割はどんなふうに考えたらよろしいでしょうか。最終的には、この専門委員会での議論が一番大事だろうと思うのです。そういう中で、いろいろな蓄積がされてきたら、この専門委員会でいろいろな見解を出すということもあり得るのではないかと思うのです。そうした場合に、運営委員会と専門委員会の役割分担みたいなところもあると思うのですけれども、その辺りはどのようにしたらいいのか、教えていただければと思います。

福井座長:ありがとうございます。

事務局から。

上出課長補佐:ありがとうございます。

こちらは、事務局としての意見にはなりますけれども、今回、基幹施設となっておりますので、その基幹施設を認証している運営委員会が、もちろん研究を審査するということではないですけれども、基幹施設として適切かどうかということは御判断いただけるものではないかと考えております。

門脇委員:分かりました。その部分は分かったのですが、実際に臨床研究をするに当たって、倫理委員会の審査で、例えば、判断が少し分かれたり、あるいは、倫理審査委員会としても判断をしかねる問題が出てきたり、そういった場合には専門委員会で御議論いただいて何らかの指針を出していくということは、事務局として、想定しているということでよろしいでしょうか。

上出課長補佐:ありがとうございます。

Ⅴの最後のところに書かせていただいておりますけれども、知見や課題について、必要に応じてこちらの専門委員会で検討いただくという形にしており、その結果を周知することになっておりますので、必要があれば、そういう形になるかと思っております。

門脇委員:最終的に、これは福井先生が一番お詳しいと思うのですけれども、各研究実施施設の倫理審査委員会の決定を、大きな意味では、基本的に尊重するということが前提になっていると考えてよろしいでしょうか。

福井座長:はい。そのとおりです。

門脇委員:その上で、何か共通の、倫理審査委員会でもこういう点が今後の課題であるみたいなことが出てきた場合に、個々の倫理審査委員会に何か言うということではなくて、課題を抽出して論点を明らかにする、あるいは、研究者に対してこの仕組み全体の適切な情報発信をすることがこの委員会の役割と考えてよろしいでしょうか。

福井座長:その方向です。

門脇委員:よく分かりました。どうもありがとうございます。

福井座長:横野先生、すみません。お待たせしました。

横野委員:6ページ、Ⅴの2つ目の丸は、資料1-2も同じような書き方になっていて、少し手続が分かりづらいかなと思うところがあります。「研究者から研究計画等に対する意見を求められた」各学会はという書き方になっていて、その前に研究責任者が研究計画をこれらの学会に提出して意見を求めるということを明確に書いておいたほうがいいだろうと思います。それが1点です。

もう1つは、この次の3つ目の丸のところで、「研究実施施設の倫理審査委員会の承認を得られた場合は」とあって、細かいことなのですけれども、また別途具体的な運用ルールはつくられると思うのですけれども、倫理審査委員会の承認ということなのか、研究実施施設での実施許可ということなのかというところは混乱が生じ得るところかと思いますので、そこを明確にしていただくあるいは別途定めていただく必要があるかと思います。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

確かに、研究者から3つの学会に申請するという文章が抜けているかも分からないですね。それは入れていただく方向でお願いしたいと思います。

2つ目は、いかがでしょうか。

上出課長補佐:実際の実務のところでやっていただくような内容なのかもしれませんが、修文については、先生の御意見をいただきたいと思います。

福井座長:文言については、事務局と先生でまた相談させていただくということで、お願いします。

そのほかは、いかがでしょうか。

河合委員、どうぞ。その後、野崎委員、お願いします。

河合委員:学会間のことと全く違うことなのですけれども、私は臨床研究というものについては知っていることも少ないのですけれども、これが開始されたら、臨床研究とはいえ、この検査が行われることでメリットがある妊婦さんがいらっしゃるということを考えますと、妊婦さんからどのように見えるのか、妊婦さんは臨床研究が自分の行ける範囲内の医療施設で行われていることをどのような方法で知るかといったことが気になっております。具体的には、7ページの上から2つ目のポツで、その結果について国民に適切に情報発信を行うことが重要であるという言葉で国民に対してどのような行動を取るべきかということが書かれていますけれども、研究が終わってからですと、この問題に関心を持つ国民にはいいのですけれども、そのときに妊娠中であった妊婦さんには現在進行形でどこかで検査が行われている状態を知らせてさしあげるべきなのではないかという気がしました。臨床研究がどういう性格のものか十分に理解していないことでこのようなことを考えるのかもしれませんけれども、これによって羊水検査を回避できる方がいらっしゃることは確かだと思います。開始されていること、開始されるであろうこと、そういった情報を、つまり、スタートの時点から、国民に適切に情報発信を行うことが重要であるということを書いていただけたらと思いました。例えば、「その結果について」ではなくて「その情報について」と書いていただくとか、そういったことをお願いしたいと思いました。

2点目ですけれども、先ほどNIPTの定義が変わってきているというお話が出ていました。私はここが非常に気になりまして、今、全ての情報、妊婦さんが読める情報が、NIPTとは3つのトリソミーの検査ですということで、統一規格になっているわけですけれども、これをだんだん変えていくことも考えなければいけないのかなと思っております。そういう準備としても、国民への情報提供は、結果が出てからではなく、なるべく早い時期から行っていただくほうがありがたいと思っております。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

研究対象となる方々に何か情報を与えるべきだとおっしゃっているのか、それとも、研究の途中の結果などを広く皆さんに知ってもらうようにするべきとおっしゃっているのか、理解できなかったのですけれども。申し訳ありません。

河合委員:全ての妊婦さんに対してこのNIPTの変化が分かるように情報提供をするべきだと思いました。検査の対象になるハイリスクの方だけに知らせるということですけれども、妊婦さんはほとんど自分がハイリスクかどうか分からないと思うのです。このハイリスクかどうかということは診察室で個別に妊婦さんに伝えられるものかとは思うのですけれども、現実にこういう3つのトリソミー以外の検査が存在していることは、どの妊婦さんも、サイトを調べれば、分かるわけです。

福井座長:この点について、いかがでしょうか。研究は基幹病院を主として行うものですから、それ以外の日本全国の方々に参加してほしいという形にはなりにくくて、基幹病院が計画した範囲内で研究に参加していただきたいということのお願いをすることが一般的ではあります。ですから、全ての妊婦さんにということは、一般的には、非常に難しいのではないかと思うのですけれども、私がうまく理解できているかどうか分からないのですけれども、いかがでしょうか。

河合委員:具体的に私がイメージしたことは、臨床検査を行っていない医療施設においてこの検査の対象となるような妊婦さんが出る可能性はないのでしょうかと。

福井座長:この点についてですか。堤委員、どうぞ。

堤委員:いろいろなことを混同されているのではないかなと思うのです。今、福井先生がおっしゃられたように、基幹施設で対象者を決めてやっていく。妊婦さん全員に向けて、こんな臨床研究がやられていますということで、リクルートをするような形を取ったら、それこそ何のための臨床研究かということが分からなくなって、単に非認証施設の対抗の枠組みを組んでいることにしかならないのではないかと思うのです。どういう研究が実施されるかということに関しては、こちら側の委員会に上がってくるわけですので、そこの情報でこういう臨床研究がやられていることが分かるということが、今はベストな整理ではないかと思ってお聞きしていたのですけれども、いかがでしょうか。

福井座長:臨床研究は、全ての方々に適応できるかどうかを、限られた人数の方々を対象にして、検証します。最初から全ての方々を対象にこうしますということは、研究とは違う切り口になるように思います。

河合委員:すみません。少し考えてみます。

福井座長:それでは、野崎委員、どうぞ。その後、兵頭委員、お願いします。

野崎委員:ありがとうございます。

最初に申し上げたこともあったので、2点のつもりだったのですが、1点だけ今の話に関してです。臨床研究の実施機関は、基幹施設に加えて、連携施設を含むかどうかはありますけれども、今回はこの認証の枠組みの中で臨床研究をするということですので、ここで取り組んでいる認証制度の中で行われようとする臨床研究なのだということはどこかにまとめて冒頭等に置くことが望ましいのではないかなと。感想でございました。

質問、確認という点では、私からは、2点、あります。

1点目は、先ほど横野委員からもありましたけれども、資料1-2とⅤの2つ目の丸との関わりの部分ですが、手続の問題ですけれども、言葉遣いかもしれませんが、研究者は、まずもって3学会に意見を聞いてみる、それでアドバイス等を受けてやり取りをした上で、倫理審査委員会に研究計画を提出するという枠組みなのだろうと思います。文言上、事前に、この3学会に提出するという立てつけが、いわゆる二重審査のような形にすると言うと、研究の在り方としてどうなのかなというところがあるので、これを事前に各学会に提出しなければならない、というのではない文言とか違うやり方にした方がよいのではないかという気がいたしました。研究審査のあり方として、研究者から①に行って、②に行かないといけないという関係よりも、意見を聞くという①の意味合いを分かるような形の立てつけに、手続的にしたらいいのではないかと思ったということが1点です。

2点目は、これもはっきりしないので、したほうがいいかなと思ったことが、資料1-2の図の中、⑤です。⑤が意味するものが何なのかというところが、少し曖昧になっているかなという気がします。これは、今回の1-1、いわゆるⅤの4つ目、最後の丸、「その結果は、国民や研究者に周知する」という話があります。これと、Ⅵの最後、河合委員がおっしゃられたところですが、「その結果について、国民に適切に開示し、わかりやすい情報発信を行う」という、この発信の在り方が、Ⅴの中に入ってくるのか、あるいは、Ⅴは臨床研究の立てつけですので、その後の話になってくるのかということが曖昧になっていて、その結果、情報の発信の在り方(何をいつどのように)が曖昧になっているかなという気がいたします。今回は臨床研究ですので、特にⅤの4つ目、最後の丸ポツは、結局、研究結果が出てきた後の問題かと思います。その結果をNIPTの検査制度の中に入れるかどうかと言うのですかね、その3トリソミー以外に拡大する・しない、含める・含めないという話はどういう形で考えるのかということです。その臨床研究の結果をどのように検討し、何をどこでどのように検討してどう発信していくのかということがかなり大きな問題になってくると思います。要するに、⑤あるいは⑤に持っていく前の委員会で何を検討するためのものなのかということが、ここも踏まえた上で、Ⅴの4つ目の丸ポツの周知するという話とⅥの最後の情報発信の話を少し検討しておいたほうがいいのではないかと思いました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

上出課長補佐:事務局から、まず、このⅤとⅥのところですけれども、Ⅴの情報の周知は専門委員会がというところになっていると思っています。Ⅵについては、それぞれの研究する側も求めている対応ですので、1ポツで臨床と研究を分けること、こちらの3ポツ目に関しては、研究機関に対しても情報発信が必要だということが事務局の認識です。その後、臨床研究の結果が出て以降に関しましては、はじめににありますように、改めて検討することになることになると思いますが、どういう形かということは、そのときの社会状況や研究結果を踏まえてということになるので、今のところ、こちらで何か発言できるものではないと思っております。

福井座長:よろしいでしょうか。

そもそも研究テーマとして何を証明するのかによって社会にどのように還元するのかということは全く変わってくると思います。総論的にどういう書き方ができるかは分かりませんが、実際のところ各論に入っていかないと明示するのはなかなか難しいのではないかと思います。

兵頭委員から、どうぞ。

兵頭委員:ありがとうございます。

先ほど河合委員がおっしゃっていた内容なのですけれども、私は、実際に診療しております。今、3つのトリソミーしか分からないのかというところとほかの病気はどうなのかというところで、患者さんたちが求めることは、たくさんの病気が分かるのだったら調べてもらえるところに行きたいと。それで、未認可施設にたくさんの妊婦さんが行かれているわけですね。そこがまだこれから臨床研究が必要なところだということとか、具体的な研究はこれから内容が検討されていくわけですが、こういった臨床研究がそもそもなぜ必要なのかというところも国民の皆さんにも理解していただく。だからこそ、今、3つのトリソミーだけが臨床で使われている対象疾患なのだということにもつながっていくと思います。実際に研究をする施設は基幹施設なのですが、一般の国民だけではなく、医療者、産婦人科の医療者も、本当に専門的・具体的なこの研究の内容というよりは、今の診療で用いられている3つのトリソミーに対するものとそれ以外の対象疾患に対してどういう研究をどういう目的で行うかということを知っていただくことは必要だと思います。恐らく、河合委員も、そういったことも含めて御意見をされたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

福井座長:どうしますか。河合委員、何か付け加えますか。

河合委員:私は妊婦さんに直接知らせるという頭ばかりだったのですけれども、今の御発言を聞きまして、基幹施設だけで閉じないで、対象になる妊婦さんは全ての医療施設に発生し得ると私は思うので、その妊婦さんを診ていらっしゃる、まずは産科の先生に、この臨床研究の存在がきちんと伝わるとよいと思っています。この臨床研究の印象として、検査環境の格差みたいなものを私は感じるのです。最前線はどんどん行く、しかし、ほかのその最先端の環境に接することがない医療者やそこにつながっている妊婦さんは置いていかれてしまうのではないか、そのひずみが認証制度の枠外の施設に流れていくという動きがあると思います。産科の先生が要となってこの臨床施設の存在が知られていく形が現実的なのではないかと思いました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

兵頭先生と同じことを言われているのか、少し分からないところはありますけれども、根本的に、臨床研究をやるということは、あくまでもまだ結論が出ていなくてみんなが行っていないことが適切かどうかを検証するわけですので、最初から、全ての人にとか、個人的にこう思うからこれを多くの人にやったらどうかということとは、もともとスタンスが違います。臨床研究をやる意義とこれこれを希望している人がいるからそれをたくさんの人に行おうということは全く立場が違っています。エビデンスのないことをたくさんの人にやることによって今までにいろいろなデメリットが起こったという歴史的な背景もあって、統計学的に、医学的に適切かどうかという臨床研究をまず行って、エビデンスを出した上で、それを多くの人に適用しようという手続になっているわけです。最初から、多くの妊婦さんにまたは多くのドクターに、研究テーマとなっているものをやってくださいということは、現在の医学の価値観の中では難しいのではないかと思います。

すみません。時間のことがございまして、いずれにしましても、後ほど、いろいろな御意見いただいた点につきましては、修正案を作成してまた確認するという作業を取りますので、よろしくお願いしたいと思います。

和田委員から、その後、中西委員、お願いします。

和田委員:和田でございます。

私は、先ほど野崎先生が御発言されたところと同じところなのですが、そもそも臨床研究は国民の福祉に資するための研究が行われて、そのような結果が出ることが望ましいわけなのですけれども、過去を振り返りますと、知見が得られたことに関して、マスコミがセンセーショナルに取り上げて、国民にといいますか、知らされて、いろいろと社会的に問題を引き起こしたことがあると思います。どのように書き込むかということは難しいと思うのですが、透明性とは逆のことになるかもしれないのですけれども、6ページ、Ⅴの4ポツ、得られた知見について、必要に応じ専門委員会において検討を行い、結果を周知するということは、「必要に応じて」という言葉もよく分からないですし、何を検討するかということも分かりにくいですし、国民や研究者に周知するものとするという奥深いところを考えると、正しく理解していただくためにこういう手順を取るということでよろしいかと思うのです。何を文言として入れるかは別にして、このようなスキームで研究が進むときに、各学会、運営委員会、専門委員会も、この研究の結果が出たときに、このような結果が社会に知らされたときに、どのようなインパクトがあるかということはある程度予想ができると思うので、そういうことは、私自身もですけれども、ウオッチしながら、この結果が出たとき、特に大きなすばらしい結果が出たときは、各医療機関でプレスリリースをされることがあると思うのですけれども、見せ方と言うと変ですけれども、大きく国民に伝わるときにこのような注意が必要だみたいなことは、素早く検討できる仕組みであったらいいと思います。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

中西委員、どうぞ。

中西委員:たまひよの中西です。よろしくお願いします。

2点、あります。

学会の承認のことについての先生方のお話を伺っていて思ったところなのですが、例えば、日本産科婦人科学会と日本人類遺伝学会はオーケーを出したけれども、日本小児科学会はここはどうなのかと指摘した・・・みたいな場合、そのあとは倫理審査委員会が、「それでは、これはこういう形でやりましょう。」と決めて、実施するのだと思うのですけれども、そういう情報も検査を受ける妊婦さんには提供されるのかなと。3学会のどれもが必要と認めた検査なら協力したいけれども、1学会が少し難色を示しているなら協力したくないなどと思う人もいたりしないのかなと思いました。

もう1つ、河合先生のお話のやり取りを聞いていて、確認したいと思ったのですが、この臨床研究に協力する妊婦さんは血液をその検査のために提供するのだと思うのですが、結果は報告される可能性があるのでしょうか。結果が確定していないケースを研究するものが臨床研究だと思うのですけれども、そうすると、精度が確定していない検査であなたは陽性でしたなどと言われたら、それはとても困ったことになってしまうと思います。また、研究に協力したけれども何も報告されないということが臨床研究への協力なのだとしたら、4ページ目、Ⅱの1のポツのところに施設の十分なカウンセリングとあるのですが、「臨床研究の対象となる妊婦等への遺伝カウンセリングを、十分に行う」とは一体何をカウンセリングすることになるのかなという疑問も生じました。「あなたはこの臨床検査の対象になり得るリスクのある人です」と教えられてしまったことに対してカウンセリングを行うということになるのでしょうか。今までは疑問に思っていなかったのですが、この場でお話をいろいろ伺っていたら少し混乱してしまいました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

最初、の学会間で意見が分かれたいきさつまでその検査対象になった方に知らせるかどうか。これはどうでしょう。我々は、一般的には、そこまではやってこなかったのが事実だと思いますが、テーマがこのようなテーマですので、知らせるということもあるのでしょうか。

三上先生、感触としましては、いかがでしょうか。

三上委員:すみません。はっきりとした答えは持ち合わせておりません。例えば、3つの学会の意見の相違点をある程度お知らせすることも、確かに、実際にその研究に参加していただける妊婦さんたちには、知らせてもいいことなのかなと、今、思いました。これが正しい答えかどうかは分からないと思いますけれども、NIPTという検査が持つ大きな問題点というか、当たり前といえば当たり前ですけれども、それをしっかりとお知らせすることが大切だと思った次第です。これは、学会の意見でも何でもなくて、僕の個人的な意見になります。

以上です。

福井座長:検査結果を知らせるかどうかも、最終的に、何を調べようとしているのかというテーマによって全然違ってくるものですから、そういうことも含めて研究対象になる方々には説明して、入ってもらえるかどうかということを決めるということではないでしょうか。

そのほかは、いかがでしょうか。たくさんの御意見をいただきましたが、よろしいですか。

堤委員:1点だけ、よろしいでしょうか。私は、ここの書きぶりは、それこそ三上先生や産科婦人科学会で御尽力されてつくってこられた枠組みであるPGT-Mの3学会の関係になるのではないかと思って、拝見しておりました。産科婦人科学会で出された文書も見て、人類遺伝学会、小児科学会が関与するという形もきちんと書かれておりますし、そういう内容で運用できるのかなと、それが一つのイメージかなと思っておりました。人類遺伝学会は、小崎先生も、理事長をやられていたときに、何例も対応されていた、意見を求められて対応してきた内容だと思いますので、そういう枠組みで想定されるかなと思いました。そんなことを思ったということだけ、付け加えさせていただきたいと思います。

福井座長:ありがとうございます。

河合委員、どうぞ。

河合委員:すみません。私がいろいろと申し上げたのは、私たちはNIPTの最初の臨床研究というものを非常によく覚えているわけです。これは新聞報道によって一挙に妊婦さんたちや社会に知られるところとなり、検査を希望する妊婦さんは臨床研究をおこなっている施設に行くことができた。この臨床研究によって臨床研究とは何かということが非常に分かりにくくなったのかもしれません。こちらはまだ始まっていませんけれども、今回始まる臨床研究とNIPTがスタートしたときの臨床研究の違いはこのように違うのではないだろうかという辺りを説明していただける方がいらっしゃったら、私たちのような臨床研究に携わっていない立場の委員も助かるのですけれども、どなたか説明していただけますでしょうか。

福井座長:すみません。何と何の違いですか。

河合委員:NIPTがスタートしたときも、臨床研究でした。それとこの臨床研究は、同じ臨床研究ですけれども、どのような違いがあるのかを教えていただけますでしょうか。

福井座長:お願いします。

三上委員:三上です。

私はそれに完全に立ち会っていた人間ではないのですけれども、概要的なお話をしますと、NIPTは何の前触れもなく外国から急に入ってきてしまった検査であったということが、1つ、最初の問題点だったのです。それに対してどういう体制で行っていけばいいかということで臨床研究を始めたということが、最初のところだと思います。

柘植先生、その辺でよろしいですかね。加えていただくとよろしいかと思うのですけれども、お願いします。

柘植委員:河合委員がおっしゃっているように、NIPTの臨床研究で何を明らかにしたいのかということが前回のときには明確でなかったと思うのです。どんな体制で行うかということ、どれくらいの検査精度があるかということ、もう1つ、遺伝カウンセリングということを臨床研究の中に入れてしまっていた。本来は、臨床研究で何を明らかにするのかが措定されているべきだと思いますが、前回は遺伝カウンセリングをやりました、以上という感じで、明確ではなかったのです。今、私が挙手させていただいているのも、臨床研究で一体何を明らかにするのかということが、例えば、PGT-Aの場合に、臨床研究に加わった方たちには、PGT-Aで胚の染色体の異数性はその時点で知らされるわけですよね。それこそ無認可というか、ほかの医院に行って、何十万円と自分でお金を払っているのですけれども、それを検査してほしいという人たちが、まだ産科婦人科学会の倫理指針でできないんだよという人が、臨床研究に加わると、それは自分の受精卵の胚の染色体異数性を知らされて、どの胚を子宮に戻すかどうかということが分かった形なのですよね。ただし、ゲノム関係の臨床研究とかは、あなたの遺伝子の解析した結果はあなたに返されませんよという臨床研究もいっぱいあると思うのですよね。だから、あなた自身の利益・不利益は、今回、これが使えるのかどうかも分からないので、お知らせしません、あなたにもしその病気の遺伝子があったとしてもお知らせしませんし、なかったとしてもお知らせしませんと。今回のこの臨床研究はどっちなのですかということを明確にしていただかないと。多分、河合委員が誤解されたのは、その結果が戻ってくるから、その結果が戻ってくるのだったら、臨床研究に参加した人だけが得になるようなことはないですかという疑問から始まっているのだと思うのですけれども、私は最初に結果を返さないのかなと思って理解してしまっていたので、ずれが生じたのだなと思いました。

もう1つは、その3学会のコメントが研究者に返されていますよね。研究者に返されたものは全て倫理委員会に研究者が提出するのかどうかということが書かれていないのです。私は、各学会が研究者に返したことを、それに対して研究者がいかに対応したかも含めて、倫理審査のときに、補足でもいいですから、資料として提出することぐらいのことを書かれたほうがいいのではないかと。それは厳し過ぎるのかな。倫理委員が大変になりすぎるのかとは思いつつも、そのように考えました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

検査結果を返す・返さないは、研究のテーマによるはずです。一体何を調べようとしているのか、どの点について患者さんにメリットがあるのかないのかを調べようとするかによって、研究デザインによって、全く違う話ですので、総論的に、必ず研究結果を研究対象者に返すとか、この時点で研究者に知らせるとか、そういうことを書き込むこと自体が難しいように思います。

柘植委員:今、委員長がおっしゃったように、知らせるか知らせないかということで少し違いがあることを考えたほうがいいのではないかと思いました。

福井座長:そういうことも含めて、倫理委員会です。個別の様々な細かい手順も含めて、倫理的に容認できるかどうかを倫理委員会で審査していただくということしか、この時点では言えないように思います。

柘植委員:それも書かれているといいと思います。

福井座長:分かりました。相談します。

野崎委員、どうぞ。

野崎委員:今のところで、お伺いしたところで、1点だけ。皆さんも承知の上だと思うのですけれども、当初のNIPTの導入のときの臨床研究と今回との違いは、いろいろとあると思うのですけれども、決定的なことの一つは、当初のNIPTの臨床研究は先に疾患が決まっていたことだと思うのですよね。もう技術が入ってきていたので、3つのトリソミーについて臨床研究を始めるのだということが先に決まっていて、検査技術が入ってきたのに、なぜそれでよいのかどうかという議論をするいとまもなかったことに対して、今回は、一つ一つのケースを検討するとはいえ、既に認証制度以外のところでは実施されているという部分が念頭にありながらの臨床研究といったところが、かなり性質として異なっている部分なのかなと思いました。すみません。追加的なことでした。

以上です。

福井座長:結局、科学的に、正しいかどうか、やることがいいかどうか、検証されていないことが現場で行われているという、それ自体、非常に倫理的な問題をはらんでいることでして、なかなか難しいですね。

堤委員:先生、そのことは、2ページ、下から3つ目のセンテンス、「しかしながら」というところに書かれていることだと思うのです。なぜこれが臨床研究としてやらなければいけないかということがこの「しかしながら」に全部出ていると私は見ておりましたので、コメントとして付け加えさせていただきたいと思います。

福井座長:すみません。大分時間が迫ってまいりましたので、申し訳ありませんが、ここら辺で本日の議論は終了ということにさせていただいて、いずれにしましても、事務局と、可能であれば私も加わって、修正案を作成して、本日の様々な御意見にできるだけ対応できるような内容にして、委員の先生方に確認いただくという手順を取った上で、最終版としたいと思います。御了解いただければと思います。よろしくお願いします。

どうぞ。

三上委員:三上です。

最後に、一言、よろしいですか。この前の委員会でも最後に議論が出たと思うのですけれども、今回の研究審査に関しては、普通の臨床研究の審査と少し違う側面がこの遺伝学的検査にはあると思うというお話は前回の委員会でも出ました。今回の委員会でもこれだけの議論が出ていて、普通の、一般的な、例えば、薬剤の臨床試験や臨床研究とは訳が違うものであるということは、皆さんも御理解できていることと思うのです。社会を巻き込んだ議論を行っていて、今、こういう委員会でやっているわけですけれども、公的なというのは多分公的にお金を出していただく組織だと思うのですけれども、そういう組織をきちんとつくった上で議論していくべきだろうと、そういう倫理審査委員会があってもいいのではないかというお話が出ていたと思うのです。今回の見解にそういうコメントを書く必要はないのでしょうか。前回の委員会でも、そういうことに関して反対する人はいなかったと思います。日本産科婦人科学会では、先ほど、堤先生から、着床前遺伝学的検査のお話も出ましたけれども、日本産科婦人科学会が最終的な実施の可否をそこで決めているというのは、本当に私たちがやっていていいものなのか疑問に思いながら話を進めているわけでして、単独の学会でやるべきものではないと思ってございます。そういう意見に関して、この委員の先生の中で反対される人は多分いないと思うのですよね。こども家庭庁でそういうことに関してどのように考えているのかということも、少し課長から御意見をいただければと思うのですけれども。時間を取らせていただいて、すみません。

福井座長:課長から。

木庭課長:皆さん、大変お世話になっております。こども家庭庁母子保健課長の木庭でございます。

まずもって、今日まで何回か、NIPTの臨床研究について、大変お忙しい中、非常に活発な御議論をいただきまして、ありがとうございます。NIPTの臨床研究は様々な検討すべき課題があって難しいものだと承知しておりますけれども、先生方から、透明性を持って十分に必要な機能を備えた環境で、また、多角的な専門的見地からの確認を経て、実施されるべきであること、生まれてくるお子さんの医療・福祉の充実のためであること、倫理的・社会的影響を考慮の上で実施すべきであることなど、重要なご指摘をいただいて、それを事務局としても案として反映させていただいている次第でございます。今日もまた様々な御意見をいただきましたので、どのように反映させていただけるか、引き続き私どものほうでも座長の福井先生に御相談させていただきながら検討してみたいと思っております。ありがとうございます。

今、三上先生からいただいたお話でございますが、生命倫理を扱うプラットフォームを政府でつくるべきだという御意見かと拝聴いたしました。今回の「見解」につきましては、NIPTの臨床研究というテーマで、計画あるいは実施に際して、その研究をされる方々に御留意いただきたい点を見解として取りまとめていただいたもの、そういう性質のものと理解をしております。御提案の政府内に生命倫理に関する審議の場を設けるということにつきましては、この「見解」に入れ込むというよりも、私ども事務局に対する提案として受け止めるという形にさせていただくことがよろしいかなと、そのように受け止めさせていただきたいと思っております。

その上で、御提案について、先生方は御承知かと思いますけれども、生殖補助医療をめぐりまして、現在、超党派の議連において、その在り方について、必要な法整備に向けて、精力的に議論が続けられている状況でございます。こども家庭庁は、その議論の中心になって推進しているというよりも、議論の進展に最大限協力をさせていただいているという立ち位置でございますが、将来的に、この特定生殖補助医療法案が可決・成立した暁には、政府において、制度の運用について専門の先生方に御議論いただくような場を設けるという可能性は十分にあろうかと考えてございます。このようなこともありまして、現在、母子保健課に新たに生命倫理全般を扱うようなプラットフォームを設けるという考えを持っているわけではございませんが、一方で、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議におきまして、生命倫理的な観点から、特定胚、ヒト胚の取扱いに関する検討がなされているものとも承知をしております。当然、母子保健課においても、関係課としてそうした議論に参加しているところでございますけれども、私たちの担当する施策との整合が取れるように十分に留意してまいりたいと考えておりますし、また、必要に応じてこの専門委員会にもフィードバックをさせていただきたいと考えている次第です。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

三上先生、いかがでしょうか。

三上委員:分かりました。ありがとうございます。

福井座長:いずれにしましても、いろいろと議論を重ねていく必要があると思いますので、先生方、学会で、非常にストレスフルなことだとは思いますけれども、ぜひいろいろな方々の意見をくみ入れて、判断していただければありがたいです。

小崎先生。

小崎委員:公的プラットフォームの議論がもっと先になることはよく理解したのですが、この3学会の意見が研究者の手元にのみとどまるということではなくて、ある程度、公開されて、少なくとも研究を実施しようとしている施設の倫理委員会の委員全員に渡ること、そして、研究計画書をその段階で世の中に出すことは難しいかもしれないのですが、この委員会も含めて、モニターできるような仕組みはぜひ明文化していただければと考えているところです。

以上です。

福井座長:ありがとうございました。

事務局と相談して、できるだけそのようにしたいと思います。

小崎委員:ありがとうございます。

福井座長:そのほかは、いかがでしょうか。議題2が「その他」となっていますので、それも含めまして、何か御意見がございましたら、どうぞ。

堤委員:先ほどの三上先生の公的プラットフォームに関わる問題だと思うのですけれども、今、ゲノム医療推進法ができて、基本計画のワーキングで議論が進んでおりまして、12月26日、暮れの資料の中には、このこども家庭庁のNIPTに関する専門委員会のことも出ておりました。そういう流れの中で、公的プラットフォームの必要性についての議論がなされていくことは物理的に必要なことではないかと思ったり感じたりはしておりましたので、日本産科婦人科学会から、例えば、そちらに何らかの提案をするというルートも、三上先生は御存じかも分からないと思ったのですけれども、そんなこともあり得るのかなと思いましたので、追加で発言させていただきました。

以上です。

福井座長:ありがとうございます。

最後に、事務局または課長から、ございましたら。

上出課長補佐:いただきました意見を踏まえまして、座長と御相談させていただいて、確定する前にはもちろん先生方に一度見ていただこうと思いますけれども、最終的には座長と事務局で取りまとめをさせていただきたいと思っております。

ありがとうございました。

福井座長:ありがとうございます。

それでは、本日の委員会はこれで閉会とさせていただきます。

活発な御議論をありがとうございました。