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児童虐待防止対策部会(第3回)

概要

日時:令和5年12月26日(火)14時00分から16時00分
場所:こども家庭庁 庁議室(霞が関ビルディング22階)

議事

1.令和4年改正児童福祉法の施行に向けた検討状況について
2.こども大綱等について
3.その他

資料

議事録

山縣部会長:それでは、予定の14時になりましたので、ただいまから第3回「こども家庭審議会児童虐待防止対策部会」を開催したいと思います。

皆様、オンラインの方々、聞こえますでしょうか。ありがとうございます。

本日は、対面とオンライン併用の会議にさせていただきます。

出席についてですけれども、北川委員は、所用のため、途中での御出席。それから、吉住支援局長につきましては、遅れての出席になる予定です。

では、議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

河村虐待防止対策課長:まず、委員の皆様方にこんな年の瀬の最終週まで審議会をセットさせていただきまして、大変申し訳ございません。割とみんな年末まで普通にペースよく行くのかなと思ったら、庁内で最終週まで入れているのは私どものところだけで、本当に申し訳ございません。今日もたくさんの方々に御参集いただきまして、大変ありがとうございます。

資料でございますけれども、配布資料の右上に資料番号を振っておりますが、資料1が施行に向けた検討状況の御報告の分厚い資料でございまして、資料2、こども大綱の抜粋と、資料3、こども未来戦略の抜粋。これら2点は御報告事項でございます。あと、資料4がヤングケアラーに関する制度改正についての資料となっております。そのほか、参考資料1~9をお配りしております。お手元にございますでしょうか。もしも不足等あれば、お知らせいただければと思います。お願いいたします。

山縣部会長:ありがとうございました。確認いただいたと思います。

本日の部会についてですけれども、傍聴希望の方向けにYouTubeでライブ配信をさせていただいております。これ以降の録音・録画につきましては禁止となります。よろしくお願いします。

では、議事のほうに入っていきたいと思います。まず、議題(1)「令和4年改正児童福祉法の施行に向けた検討状況」につきまして、事務局からよろしくお願いしたいと思います。第2回の部会以降、改正法の施行に向けた検討がさらに進められてきておりますので、その内容について、少し丁寧に説明をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

河村虐待防止対策課長:資料1をお手元に御用意いただければと思います。9月の部会以降の進捗を中心に御報告させていただきたいと思います。全部で80ページほどございますが、10分から15分ぐらいで、なるべく議論のお時間をしっかり取るように御説明したいと思いますので、一部早口になるかもしれませんが、御容赦いただければ大変ありがたいと思います。

2ページのところに目次の一覧を載せております。これらの事項について、この後、御説明させていただきます。

まず、5ページ以降が「こども家庭センター」関係でございます。9月以降、ガイドラインの具体的な案の準備を進めてきておりまして、ガイドラインそのものの確定版については、この後、3月にお示ししたいと思っております。12月末といっても、あと2営業日しかございませんけれども、今月末までに何とかガイドラインの案として自治体さんに原文をお示しするという作業を今行っているところでございます。本日は、今、作業しておりますガイドライン案の全体の概要の、特にポイントになるところについて資料にお示ししておりますので、御議論いただきたいと思っております。

6ページが、新しく出そうとしているガイドラインの構成でございます。第1章が、まさにこども家庭センターとして、母子保健部門と児童福祉部門が一体的に業務をやっていくところの具体的な業務フロー等をお示ししている部分になります。

冒頭で、こども家庭センター創設の背景・目的、またセンターの役割と業務について述べた上で、右側ですけれども、業務実施のための様々な体制の事項、それから、母子保健と児童福祉が一体的にどのように業務を進めていくか、とりわけ合同ケース会議やサポートプランの作成などについて、お示ししようとしている部分でございます。

その上で、第2章に、従来の子育て世代包括支援センター、母子保健機能の部分の業務フローのガイドラインが来まして、第3章に、児童福祉機能の部分のガイドラインとして、従来の市町村子ども家庭支援指針の改正に当たるものが来るという構成で現在検討させていただいております。

7ページ目以降が、今回お示しするガイドラインの第1章の部分、母子保健機能と児童福祉機能が一体となってやっていく部分のポイントでございます。冒頭、こども家庭センターの役割ですが、こども家庭センターがソーシャルワークの中心的な役割を担うものとして、とりわけ2つ目の矢羽根のところですけれども、妊産婦・子育て世帯の個別の世帯に対するマネジメントをやるという役割と、それだけでなく、そういった個々の世帯にきちんと支援が届くように、地域資源の開拓等々の役割を車の両輪として果たしていくのだということを記載しようとしております。

その上で、その下の一体的支援の実施のところとして、まず、①として、それぞれ母子保健・児童福祉の各機能のケース対応があった上で、②で統括支援員による一体的支援に向けた両機能間の調整、③で合同ケース会議の開催、④でサポートプランの作成・評価・更新、それから、それらに基づく支援の実施という流れをお示ししようとしております。

おめくりいただいて、8ページ、まさに統括支援員の下、両機能で一体的にサポートプランの作成等に取り組んでいく対象のイメージについて記載させていただいております。大まかに言えば、真ん中の人の絵の上辺りに書いておりますが、両機能のほうでそれぞれ支援に着手している中で、お互いに共有・連携して対応すべきというように考えられるものについて統括支援員に相談し、合同ケース会議の開催に至るという流れで書いております。

9ページ、サポートプランの作成に係るところですけれども、まず、矢羽根の1点目ですが、サポートプランの作成に当たっては、家庭のリスクに着目するだけでなく、対象者の声を丁寧に聴き取るプロセスの中で、ニーズにより深く入っていって、御家庭との間でこどもの最善の利益という同じ目標に向かっていく協働関係(パートナーシップ)を形成するという姿勢で臨むということですとか。

そういった意味で、サポートプランというのは、支援対象の御家庭と一緒に信頼関係をつくって、共同作業として支援を展開していくためのツールであるという考え方を記載しております。

その上で、3つ目の矢羽根ですけれども、サポートプランは要支援児童と特定妊婦を含む要支援・要保護の御家庭、プラスその他の者ということで幅広く作成していくことが考えられます。その他の者の典型像として、※印のところでございますけれども、本人の御希望がある場合、また、より早期に支援を開始したほうが御家庭の福祉に資すると考えられる場合を挙げております。

さらに、矢羽根の4点目、作成の同意が得られないケースですけれども、その場合、サポートプラン作成の前段階として、ニーズの把握をしながら、行政内部としての支援計画に反映させていった上で、定期的な家庭訪問等によって信頼関係を構築、継続してサポートプランの作成につなげていくという考え方をお示ししております。

10ページが、従来、母子保健と児童福祉、それぞれで取り組んできている、例えば母子保健機能のセルフプランとか、児童福祉機能における支援計画等との関係の概念図、包含関係の図をお示ししているものでございます。

次の11ページですけれども、サポートプランの留意点として、可能な限り対面で手交すること、ただ、手交そのものが目的というよりは、相談関係、信頼関係を丁寧につくってきた一環の流れの中で手交ができるような関係性をつくっていくのだという点に留意するという考え方をお示ししております。

また、2点目の矢羽根のところ、作成が困難な場合についても、先ほどのように支援計画に反映させていくことを考え方として示しております。

3点目のところですけれども、どうしても度重なる訪問の末でも拒否が強かったりするような、関係の構築が極端に難しい場合、また、その期間が相当継続するような場合に関しては、利用勧奨や措置、児相への送致等、次の方策を検討していくことを考え方として示しております。

また、後半の関係機関との連携のところですけれども、学校とか地域の子育て関係の機関等々から、御家庭に関する支援を必要とするという情報が集まって、共に継続して連携して支援していけるような体制をつくることが重要ということを書かせていただいております。

ヤングケアラーに関しては、近年、政策課題としてクローズアップされてきたわけですが、自治体内の体制がなかなか明確化できていないところがある中で、こちらのこども家庭センターのガイドラインの中で、ヤングケアラーを早期に発見して支援につないでいくために、とりわけ教育分野等との連携が非常に重要であると。そういったところと連携関係を構築した上で、こども家庭センターで情報が集まるような流れをつくっていくということをガイドラインの中でもお示ししているところでございます。

続いて、12ページに今後のスケジュールを書かせていただいております。下の帯のところにスケジュールをお示ししておりますが、この後、12月末までにガイドラインの案として、本日、御覧になっていただいているものはポイントですけれども、文章体になったものをお示ししようとしております。続いて、本日、部会でいただいた御意見につきましては、その後、3月にガイドラインの確定版を出そうとしておりますので、そのときまでにしっかり反映作業をしていく形にできればと思っております。

その上で、令和6年1月25日を今、予定しておりますけれども、自治体向けに施行関係をまとめて御説明する説明会を予定していますので、その場でも12月末にお示ししたガイドライン(案)について御説明したいと考えております。

また、一番右下のところですけれども、予算関係の設置要綱につきましても、令和6年3月にガイドラインの確定版と併せて発出したいと考えております。

続けて、13ページが、9月にも概略を御説明させていただいた統括支援員の研修でございます。右上の方法のところの枠囲みに記載がございますが、こどもの虹情報研修センターさんと西日本こども研修センターあかしさんから多大な御尽力・御協力をいただきまして、来年4月にオンデマンドによるオンラインの研修を配信開始いただいて、研修時間としては90分×12こまの研修を御用意しようと準備を進めさせていただいておりますので、御報告させていただきます。

また、14ページ以降がこども家庭センターの予算関係の措置でございます。こども家庭センターの統括支援員等の、とりわけ人件費を中心とする財政支援につきましては、こちらの子ども・子育て支援交付金の利用者支援事業の中で、こども家庭センター型に対する財政支援として行わせていただくということで財務省と調整ができております。実際の金額等の内容につきましては、9月に御報告させていただいたものが基本的には認められて予算措置されておりますので、御報告でございます。

また、17ページ以降、「地域子育て相談機関」の資料をおつけしております。地域子育て相談機関の関係は、9月に御報告させていただいたものとおおむね同じ内容でございます。20ページ等において、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、それぞれの単価等が入っておりますので、御参照いただければと思います。

また、23ページ以降、「家庭支援事業の利用勧奨・措置」関係の資料をおつけしております。こちらも9月に御報告させていただいているものとおおむね同じでございますので、御報告させていただきます。

続いて、29ページ以降が「一時保護施設の設備・運営基準」関係になります。

まず、30ページの下半分の今後のスケジュールでございますけれども、1月から2月にかけまして、設備・運営基準案、府令の案のパブリックコメントに入りたいと思っております。その上で、3月に、確定した府令を公布した上で、併せて一時保護ガイドラインについても通知として発出を目指していきたいと考えているところでございます。

本日は、まず、設備・運営基準に関して9月に御審議いただいて、御意見を幾つかいただきましたので、それらの反映状況についての御報告をさせていただいた上で、3月に通知として出そうとしているガイドライン関係の案をお示ししておりますので、こちらについても御意見をいただければと思っております。

まず、基準案についてでございます。31ページの下半分にありますとおり、実際には私どもが府令として出す基準に従って、条例で当該都道府県のルールをお定めいただくわけですけれども、★のように、条例制定に当たって、基準に従うべき内容、自由に変更したりすることが許されないタイプのものと、☆の参酌すべき基準という、地域の実情に応じて、自治体が異なる内容を定めることが許容されるものに分かれております。

32ページ目以降でございますが、基準案の中で、前回、9月の部会での御議論のときに、(2)児童の権利擁護等というところに記載があります、○の1つ目、一時保護施設の職員に対する研修の機会の確保に関して、児童の権利擁護関係に直接大きく関わるものであるので、参酌ではなくて従うべき基準に変更すべきではないかという御意見を複数いただいてきたところでございます。こちらについて御意見を踏まえて再検討いたしまして、御指摘のとおり、こどもの権利義務に直接関わり得るものという捉え方にして、従うべき基準に変更するということに案を修正させていただいております。

また、その下の(3)児童の健康状態の把握の箇所ですけれども、こちらも9月の部会の御意見を踏まえまして、歯科医師による診察を含めて、必要な措置を講じなければならないと追記させていただいております。

少し飛びまして、35ページの(7)一時保護施設の管理者、指導教育担当職員のところの○の4つ目、管理者がSVを兼ねられるというところについては、単に技術的な解釈で十分お示しできる内容ですので、こちらについてはガイドラインに記載を移させていただきます。

その上で、一番下の○の、管理者と指導教育担当職員は、こども家庭庁長官が指定する者が行う研修を受けなければならないというところでございますけれども、こちらも9月の部会のときのの御意見を踏まえまして、従うべき基準に引き上げた上で、研修につきましては、こども家庭庁長官が指定する者が行う研修だけでなく、自治体単位で、これに準ずる内容の充実した研修が行われると判断できるときは、その当該研修を受けることで足りると変更させていただいております。

また、36ページの(8)児童の教育につきましては、従来、「就学している児童」という書き方をしておりましたが、文部科学省に御相談した結果、「就学」という用語は、通常、義務教育についてのみ用いるということで、高校生も対象に含まれることを明確にする観点で、「学校に在籍している児童」と書き換えさせていただいております。その上で、前回の部会の御意見を踏まえて従うべき基準に修正を行った上で、前回は、「児童の希望に応じて」とのみ書かせていただいておりましたが、従うべき基準となり拘束性がより強まることもありますので、児童の希望と、置かれている環境その他の事情、安全性等に関わる事情等ももちろん勘案し得るように、明示的に修正させていただいております。

それから、(9)衛生管理のところについては、ケアリーバー等の御意見を踏まえて、下着は未使用のものを提供しなければならないということ等、具体的に基準で明記させていただいております。

また、37ページ以降が一時保護ガイドラインの見直しの案でございます。今年の夏に、当部会の当事者委員の皆様に御協力いただきながら、一時保護施設を利用したことのあるお子さん、またケアリーバーの方々からの御意見を聞かせていただき、その主立った御意見をまとめさせていただいたのが、こちらの右側の欄でございます。それらを踏まえた上で、現行の一時保護ガイドラインについて、どのように見直しをしていくかというのを左側にお示しさせていただいております。

まず、一番上の一時保護施設の生活上のルール・服装等の制限のところですけれども、明文化されていないようなルールとか暗黙のルールがあったりして、ルールを知らなくて怒られたりした経験がつらかったという声がありました。そこで左側に、まず、ルールが正当な理由に基づくものなのか、定期的に点検・見直しを行うということ、また、○の2つ目ですけれども、ルールとその理由について、しおり等の説明資料にきちんと明記して丁寧に説明して理解を得るように努めるというような内容等を入れさせていただいております。

また、私物の持込み制限につきましても、同様に合理的なルールに基づくものかの定期的な点検・見直しを求めるという内容等を盛り込んでいるところでございます。

次のページ、ぬいぐるみ等の心理的に大事なものが所持できるような配慮についても明記させていただくことにしております。

それから、教育、日課・自由時間等についても、こどもに配慮した内容を今回盛り込んでいるところでございます。

一時保護施設の設備・環境等についても、きょうだい児の場合の複数での利用可能な居室を利用できるように努める等の記載を入れさせていただいております。

40ページ、こどもたちの声として、一時保護施設の職員から傷つく言い方をされたり、自己肯定感が下がるような言い方があったという点等が複数挙げられておりまして、そういったことに対して、まず、研修の内容として、臨時職員も含めた必要な研修を行うべき等々を入れさせていただいております。

また、41ページ、こどもが意見を言いやすくするための工夫を入れていくようにという内容についても盛り込ませていただいております。

42ページ、一時保護解除時の対応、解除後のフォロー等についても、家庭に戻られた後のつらい経験をお話くださった方々もおられますので、相談機関等の連絡先について、こども向けの資料等を用いて、解除前に分かりやすく説明しておくこと等を入れさせていただいております。

また、42ページの一番下のところでございますけれども、一時保護のガイドラインだけでなく、基準そのものについても、一時保護施設以外の委託先に関しては直接適用されないということについて、一時保護施設に準拠した対応を求めるべきではないかという趣旨の御意見をいただいておりますので、その旨を追記させていただき、委託先に児童相談所として、こういったルールに沿った対応を行うように求めた上で、定期的に順守状況を確認するということを設けさせていただいております。

また、こうした対応について、現場の一時保護所の職員自体も、非常に体制が厳しい中で大変御苦労いただいているわけですけれども、そういった人員配置の引上げとか個室ユニット化ですとか夜間対応の充実等のための財政措置についても、今回盛り込ませていただいております詳細は参考資料の8、9記載しておりますので、御参照いただければありがたいです。

43ページの「親子再統合支援」関係は、前回の部会の御指摘の中で、お子さんの目から見たときに適切でない表現があるという御指摘を頂戴いたしまして、当事者委員の皆様方と上鹿渡委員にも大変な御尽力をいただきまして、表現を見直しております。赤字の部分が見直し部分でございますので、御参照いただければ大変ありがたいと思います。

このガイドラインにつきまして、本日付で私どもから通知として全国に発出させていただいております。

47ページ以降、「こどもの権利擁護」につきましても、9月に御報告をさせていただいておりますスタートアップマニュアル等を、通知で本日お示ししておりますので、御報告させていただきます。

53ページ以降、「こども家庭福祉の認定資格」関係でございますけれども、54ページから60ページの資料は以前からおつけしている内容でございます。

また、61ページから64ページですが、9月の部会で御議論いただいた府令と告示について、11月に公布されておりますので御報告でございます。

65ページに、今後の認定資格関係のスケジュールを入れております。

まず真ん中のところ、こども家庭庁のほうから、認定機関について11月に公募を行いまして、一般社団法人日本ソーシャルワークセンターを本日付で認定いたしましたので、こちらのソーシャルワークセンターを中心に、この後、認定資格の事務が行われることになってまいります。

その上で、その下のところですけれども、研修の受講要件について、基本的には既に公表されております検討会の報告書を踏まえるのですけれども、その詳細な解釈を明記する内容を年度内に通知として発出する予定でございます。

その後のスケジュールについては、下に表でおつけしておりますので、御参照いただければと思います。

あと、66ページの認定資格の取得促進関係の予算も無事に取れておりますので、御報告でございます。

最後、68ページ以降、「司法審査」関係でございます。

69ページからしばらくは、前回もおつけしております資料ですので、割愛させていただきます。

その上で、12月20日に司法審査の実務者作業チームで、一旦マニュアル案として仮のセットをいただきまして、一部、座長一任でこの後修正が入りますけれども、骨格は本日御報告させていただく内容で変わらない状態で、1月に自治体あてに案としてマニュアルをお示しする予定になっております。

そのお示しするマニュアル(案)のポイントが、73ページ以降にございます。

まず、第2章の一時保護の要件のところで、一時保護を行うことができる場合につきましては、①として、内閣府令で具体的に一時保護ができる場合を規定していますが、その府令への該当性、また、それに加えて、②の児童相談所長としての一時保護の必要性の判断。この2つを満たすことが要件になります。

その上で、2行目ですけれども、裁判官は、府令該当性が満たされていれば、明らかに必要性がないと認める場合を除いて保護状を発付するという方針で、裁判所の委員もお入りいただいた上で合意しているところでございます。

3番に、内閣府令の内容について記載しておりますので、御参照いただければと思います。

その上で、74ページ、第3章ですけれども、請求手続について、同意が微妙な場合は同意があると言えないので、基本、一時保護状の請求をすることですとか、親権者に対する説明・同意等のプロセスについて詳細をお示ししているところでございます。

また、75ページの提供資料の準備でございますけれども、資料の準備関係が児相の事務負担に大きく関係いたしますので、関係者の皆様の御関心が高いところでございますが、極力、裁判官の判断に必要な材料を集約しつつ、事務がなるべく簡素になるようにということで、委員の先生方にも大変御議論いただいて、簡単な請求書と、あと、裁判官の判断に資するための総括書面という様式例をお示ししております。参考資料5で一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル(案)をおつけしております。60ページ辺りに載っておりますので、ぜひ御参照いただければと思っております。

こういったマニュアル(案)について、この後、軽微な修正を経た上で、1月にもお示しした上で、76ページのように、試行運用に入りたいと思っております。試行運用の目的は、まず、児相としての業務負担増がどのぐらいあるのかということもおはかりして、人員体制強化の具体的な検討、具体的な体制のプランの改定の検討を行っていくということと、②として、マニュアル(案)を試してみて、実際に追記すべき内容がないか等、検討するということで、77ページにあるとおり、来年の春にかけまして、この後、10か所ぐらいの自治体さんにモニター報告をしていただく御協力をいただき、実際にマニュアルに沿った7日間の時間制限の中で流れを試行いただくということにしております。

最後、78ページ、今後の予定ですけれども、春頃にかけて試行運用を経て、来年の夏頃にはマニュアル(案)の確定、内閣府令の公布を目指しまして、次の7年6月1日に施行となっております。

すみません、時間をちょっと超過してしまいまして、事務局の説明、以上でございます。

山縣部会長: ありがとうございました。

この間、膨大な作業が進んでいたということを御理解いただきたいと思います。事前に目を通していただいていると思いますけれども、これから40~50分の時間、議題(1)につきまして意見交換していきたいと思います。いつものように、会場の方は手を挙げていただいて結構ですし、オンラインの方々は「手を挙げる」機能を使っていただきますと、適宜、私のほうから御指名させていただきます。よろしくお願いします。では、御自由に発言ください。

では、倉石委員。

倉石委員:緊張しているので、最初に発言します。ありがとうございました。本当に膨大な作業をしていただきました事務局には敬意を表します。

2点か3点になるのですけれども、まず、こども家庭センターの件ですが、図を入れて説明いただいているのですけれども、母子保健と児童福祉のすみ分けが、まだやや分かりにくいかなと思っております。一体的という言葉はあるのですが、特に子育て世代包括のほうは非常にたくさんの法的な業務をされておりますので、そこのすみ分けを明示いただくほうが、自治体の現場の混乱はないのかなと思います。

特に、利用者支援事業のところが、こども家庭センター型というのが新しくできているわけですが、これまでは子ども家庭、子育て世代包括でしていたわけですね。ここのところが出てきている意味は分かるのですけれども、現場サイドにすると少し分かりにくいところがあると思いますので、これまでの母子保健でされていたものと、一体的にやる部分の業務の例示といいますか、そういうものを示していただくほうがいいのではないかと感じました。具体的ではないのですけれども、これが1点目です。

それから、2点目は、地域の相談機関のところですけれども、25ページの家庭支援事業の利用勧奨・措置のところです。図を示していただいているのですけれども、結局のところ、利用勧奨はするけれども、措置に至るところの手続が少し分かりづらいかなということです。右の端に児童相談所への連携という言葉があるのですけれども、ここで連携といっても、児童相談所がどう動くのかというところを法的なところでしっかりと明示いただくといいますか、例えば児童福祉法25条、26条、27条の辺りで、児童相談所で行われる措置、市町村との連携ということが明示されております。

ですので、連携というよりは法的な流れの中で措置の手続を児童相談所は行うのであるとしていただくほうが、市町村からすると児童相談所への連携というのがもう少し具体的に分かって、受ける児童相談所のほうも法的な手続で行うということで分かりやすいのではないかという印象も含めてですけれども、以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

必要な部分については、何人かまとまったところで事務局のほうから併せて御回答いただくというふうにしたいと思います。

では、北川委員、その後、河村委員、お願いします。

北川委員:ありがとうございます。北川です。すみません、今日、毎年恒例の監査をやっていまして、3時半から講評になりまして、先に抜けさせていただくので早い発言になりました。よろしくお願いします。

私からは、こども家庭センターのサポートプランと一時保護のところの質問と意見ですけれども、今までサポートプランのことをいろいろ意見申し上げていたのですけれども、これを読むと、ガイドラインのことで申し訳ないですけれども、母子保健機能型と児童福祉機能型と、両方の一体的なサポートプランがあるということで間違いないでしょうか。

その上に立って意見なのですけれども、障害のあるこどもに関しては、今までも母子保健で1.6健診、3歳児の後の心理職のフォローとか親子教室とか、そういうところでサポートして、児童発達や幼児や保育園などにつながるフォロー体制がどこの自治体でも結構整っていたと思うのですけれども、子育てが障害のある子の場合、大変だということで、こどもの虹の川崎先生が出した障害児の虐待死の研究でも、背景にこどもの障害が隠されているのではないかということもあるので、できれば障害のある子とか発達が気になるこどもに関しては、こども家庭センターで基本サポートプランをつくっていく必要があるのではないかなと思いました。

今回、そういう状態に陥る兆候が見られるとか、それなりのことが書いてあるのですけれども、発達が心配なとか、そういうことは書いていないので、意見させてもらいました。

あと、11ページのガイドラインの記載ですけれども、関係機関との連携の中に、障害児支援が入っていないので、できれば入れていただきたいと思いました。

それから、一時保護のことですけれども、こどもの声を聴いてという、よい見直しになっていると思います。

34ページは、例えば一時保護専用施設がどのようになっているのかというのがちょっと知りたいなと思いました。特に一時保護専用施設の職員配置が、今、正職員が2人で、あと宿直なのですね。児童養護の地域小規模のグループホームは、6人に6.5人の職員配置なので、一時保護のこどもは、生活するこどもよりも結構大変なので、できれば一時保護専用施設の職員配置もここで考えていただいて、個別対応職員などをつけていただくといいと思いました。

それから、36ページの直していただいた、「就学」という言葉を使わないというところですけれども、学校に在籍していない幼稚園の子というか、幼児もいますので、保育園とか障害のある子は児童発達とか放課後デイとか、それももしかして、その他の必要な措置に入っているかもしれないのですけれども、この辺、明確にしていただくと助かります。

私から以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

北川委員、一時保護専用施設と言われたのは、一時保護所ではなくて、委託一時保護を受けているところの専用空間という意味合いで使われるという理解でいいですか。

北川委員:一時保護専用施設ですね。一時保護委託ではなく。

山縣部会長:一時保護所でもないのですね。障害についてのものを言っておられる。そうでもない。

北川委員:いえ、今回は一時保護関係の設備と運営に関する基準案なのですけれども、一時保護専用施設はどうなっているのかということと加えてお聞かせ頂きたいということです。

山縣部会長:了解しました。

ここは質問に最初に答えてもらうほうが後で混乱しないと思うので。サポートプランがどうなっているのか、母子保健型と福祉型の二本立てであるのかどうかということだけ答えていただいて。

河村虐待防止対策課長:実際のガイドラインは、もうちょっと文章体で細かく書いておりますけれども、つづめて申し上げますと、結局はそれぞれの機能のところで具体的な相談なり通告を受けて支援が始まっていくわけですけれども、それが母子保健から出発している場合と福祉から出発している場合、両方があるということを前提にしておりまして、それぞれで端緒として拾ってきた中で、これは両機能で連携する必要があるのではないかと思ったら、すぐに統括支援に相談を入れてもらって合同ケース会議をセットしていくという流れになっております。それについて何々型ということは特段言っていないです。

山縣部会長:分かりました。ありがとうございます。

では、川村委員、藥師寺委員、中村委員、大久保委員、畑山委員、藤林委員まで、結構つながっておりますので、川村委員からよろしくお願いします。

川村委員:よろしくお願いします。

まず、家庭支援事業のところですけれども、スライドの25ですね。イメージ図があると思うのですけれども、気になったのが、利用勧奨から利用拒否・未開始に向かって矢印が伸びています。その次に、措置の検討・決定に一連の流れとして矢印が流れているのですけれども、利用勧奨を行う回数とか、利用拒否になった場合にもう一回利用勧奨するのかどうか言及されていない。スライド26は、利用勧奨の実施方法などについて記載されているのですけれども、不可逆的なフローに見えました。

なので、どういった行政手続になるのか、よく分からないのですけれども、一度利用勧奨して、著しく利用拒否を示したとか、1回の利用勧奨で対象者の変化がなかなか見られないところで、すぐ措置を検討・決定というところに行くと、少し足早なのかなと思いました。確かに利用措置の慎重さについては、スライドの27に留意点が書かれているのですけれども、利用拒否・未開始から利用勧奨に1回戻るような矢印もあっていいのかなと感じました。

それから、スライドの26に実施方法として、児童記録表等に利用勧奨した旨やその結果を記録することと書いてありますが、利用勧奨した旨と結果だけではなくて、対応や支援の状況等を引継ぎやすいように、利用勧奨した背景や理由もしっかり記録に残すよう、ガイドライン上に明確に文言として示したほうがよいのではないかと思いました。

それから、一時保護ガイドラインの案のところです。まず、スライドの38の私物の持込制限についてです。心理的に大切なものというところがありまして、ぬいぐるみなど心理的に大切なものについては、こどもが所持できるよう最大限配慮とあるのですけれども、もう少し具体的な例を列挙したり、職員の対応に関する留意点を加筆したりしたほうがよいのではないかと思いました。ここでは短い文章で、ぬいぐるみというものが典型的な例として明記されていると理解しましたが、こどもの数だけ、何を心理的に大切なものとするのかというのは多様なので、こどもがいろいろ主張したときに、それに対応する職員の対応が難しかったり、価値観とか組織のルールがそれぞれ異なってくる。

極端な例を挙げますと、あるこどもにとってスマホが心理的に大切なものだという主張があった場合に、職員はこのガイドラインを見て、携帯電話等の通信機器については、制限することも可能と別の項で定めがあるので、持たせられないと説得する。けれども、こどもはガイドラインに心理的に大切なものは持てるように最大限配慮されると書いてある。ここでちょっとした意見の対立というか、食い違いみたいなものが起こることが想定できる。

確かに別の項として定めがあるのですけれども、こどもにとってすごく心理的に大切なものがいろいろである一方で、ここでは曖昧な書き方なので、心理的に大切なものの項の中に、ただし、携帯電話等については別項でみたいな感じの留意点を書き加えることで、こどもにとっては分かりやすいガイドラインになるのではないか。職員も対応しやすいものになるのではないかなと考えました。

それから、スライドの38に教育についてのところがあります。画一的な学習教材だけではなくて、タブレット学習端末の活用などこども一人ひとりの習熟状況に応じた学習教材を提供とあります。ここでは、タブレット学習端末の活用を、創意工夫した学習例として筆頭に挙げているように読みましたが、この場合、どの一時保護施設においてもタブレット学習端末を用意できるように、国からの働きかけや援助などはあるのか、想定しているのかどうかということが気になりました。

それから、スライドの39です。日課・自由時間についてというところです。資料には、日課の予定についての記載が見られるのですけれども、日課の中身の部分、実際の余暇の中での対応に関する記載は、ここでは見受けられない。割愛されているのかなと思いましたが、前回の部会で示された一時保護経験のあるこどもからのヒアリング結果の中に、例えば本が新しいものが入らない。DVDを見る機械が壊れているから修理してほしい。ボードゲームが壊れているといった意見も重要な指摘であると思います。

例えば、備えてある作品の多くがかなり昔のものであったり、著しく劣化・破損・故障した物品を長期間放置したりするといったことがないように配慮されるべきではないかと思いますので、こどもの文化保障を守る観点から、例えば「余暇に必要な物品等の整備状況を定期的に点検するとともに、できる限り、その時代や文化に合わせた物品等への更新を行うよう配慮する」みたいな記載がガイドラインにあってもよいのかなと思いました。

最後です。スライドの42に関連するところです。一時保護解除時の対応、解除後のフォローの3項目に、家庭復帰ができた場合のことについて、「こどものみとの面談を行うなどこどもの状況を適切に確認し」と書いてありますが、12月13日送付時点の同じ資料の同じ箇所では「こどもの状況を適切に確認できるよう配慮し」という言葉になっていました。変更としては、確認できるよう配慮するという表現から、確認し、つまり、確認するという表現に変わっているので、私の解釈ですけれども、確実性を帯びた表現への修正を行ったのかなと理解しました。

そう考えた場合に、スライドの37と39に、それぞれ1箇所ずつ気になることがありました。スライドの37では、一時保護施設の生活上のルール・服装等の制限の3項めに「一律にルールを押し付けてこどもに過度な負担とならないよう配慮する」とありまして、スライドの39、日課・自由時間の1項めには「一律に押し付けることによりこどもにとって過度な負担とならないよう配慮」とあります。それぞれ配慮という言葉が使われているのですけれども、先ほど述べたような修正の理解で正しければ、この2点も同様に「過度な負担とならないようにする」という確実性のある表現への修正をお願いしたいと思います。

以上です。

山縣部会長:細かい読み込み、ありがとうございます。事務局のほうと検討していきたいと思います。ありがとうございます。

では、藥師寺委員、お願いします。

藥師寺委員:藥師寺です。

私もたくさん意見が出ています25ページになります。家庭支援事業の利用勧奨・措置についてのところです。ここは法改正の前から市町村で非常に苦労されているところという御意見が多かったところでして、実際に支援の量と質が足りないというところで、今回、法改正で子育て世帯訪問支援事業とかの新設、また子育て短期支援事業の拡充というのがなされましたけれども、支援者側からして、この御家庭には訪問支援が必要ではないかと見立てたところで、サポートプランを一緒につくるということになっておりますけれども、そういったところを利用拒否されることによって未開始という御家庭に対する対応というのは非常に苦労しているところだと思います。

その中で、先ほどほかの委員の御意見もあったのですが、児童相談所との連携ということになりますと、きちんとそういう子育ての養育環境を整えていただくために、そういった支援を受けて入れてほしいというところが、社会に対して信頼を持たれていない。非常に困難な状況にある御家庭にすれば、児童相談所と連携するということが、逆に一時保護されるのではないかという気持ちになることもありますので、こういった非常に拡充された家庭支援事業をどのような形でソーシャルワークを進めて利用勧奨し、また拒否されたときにはどんな対応をするのか。

措置の検討・決定に至る過程についても、その御家庭の状況をどうアセスメントして利用勧奨の段階で受け入れてもらうのかという、ここの部分のソーシャルワークの中身をしっかりと形づくっていくということが、今後、そういった充実した支援を各御家庭に届けるということの課題になるかと思いますので、そういった部分の調査研究なり、実際に全国の市町村で行われている取組を展開するということが非常に重要になるかなと考えております。

私からは以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

続いて、中村委員、お願いします。

中村委員:よろしくお願いします。

今回のサポートプランも含めて、従来型の一方的な支援ということではなくて、一緒に考えていこうということが4章に書かれていて、そういうことが基本になっていることは本当にすばらしいと思いながら読ませていただいています。

幾つか私のほうでも意見を言わせていただけたらなと思っていますが、まず、11ページのスライドのヤングケアラーの部分で、介護、教育と書いてありますが、これは介護じゃなくて福祉のことなのかなと思いました。介護だけに限定されていますが、多分、ヤングケアラーの背景というのは、もっと福祉的な要素の中にいる家庭なのかなと思いましたので、気になったところです。

次が、24ページの家庭支援事業の部分になります。家庭支援事業の部分も、従来に加えて新設・拡充というところで、利用される親子の方たちがより利用しやすい方向に行くといいなと思っています。その中で、これから実践されていくところだと思いますが、従来型だと一方的な支援の方向性のイメージがあり、今回は親子で一緒に話し合っていこうとか、当事者を参画させていこうという狙いもあるかなという点では、実践においては、保護者の人たちが来ていただくだけというよりは、サービスを提供する側もサービス利用が必要な家庭に寄っていくようなイメージを持っていただけるといいかなと思っています。

例えば、ペアレントトレーニングとかも、従来、来ていただくというスタイルが多かったのを、実践レベルでは訪問型も可能なのではないかと思います。これから進めていく上で、より親子が利用しやすいような形での実践も先進的に進めている自治体があれば、ぜひ紹介していただいたり、従来の方法ではない、新たなやり方ということを各自治体の皆さんで考えていただけるといいかなと思っています。

子育て短期支援事業は、これまでもあった事業ですけれども、利用できる日数の部分も含めて、各自治体によって利用のニーズや受け入れ先の確保とか、既存のサービスとこれからつくっていくサービスがより柔軟に話し合われていくと良いなと思っています。引き続き、各自治体の必要なサービスの量や内容で、今、国が提案しているものだけで十分なのか、より拡充した内容が必要なのではないかも話し合っていただけるとよいなと思っています。

さらに付け加えると、今、親子でショートステイを受けられるようにという実践を始めておられる自治体もあるかなと思います。施設での受入れは既にされていると思いますが、例えば里親での受入れの検討も含め、今、されている実践にプラスアルファした新たな方法も実践の中で考えていただけるといいかなと思っています。先進的な事例があれば、ぜひそれを国のほうでも紹介していただけると、参考になる自治体があるのではないかなと思いました。

最後は、一時保護のガイドライン案についてなので、川村委員と重複する部分もあるかと思いますが、37ページのルールについてです。生活上のルールというところで、一時保護のガイドライン案で、後半にこども会という表記が出てきますが、ルールを設定するときにも、こども会などでこどもが意見を言える場をつくり、そういうことを仕組みに導入することで、見直し、検討を進めていくといった取り組みがなされると良いのではと思いました。

38ページの携帯電話の部分ですが、今、書かれている内容だったら、私からしても抵抗感を感じます。記載内容でも、まだ利用の制限がかかっているなと思います。こどもの年齢や利用の必要性、個別の事情を踏まえ、利用可能となる工夫をこどもと一緒に考えることが望ましい。例えば、立会いでという記載のほうがいいかなと思っています。それが、さっき別添でスマートフォンとか携帯電話の記載を作成されるのであれば、この部分は気をつけて書いていただけるといいかなと思います。

今、かなり制限がかかっている状況がガイドライン案で少し緩和されていると思いますが、通常の生活をしている人たちからすると、まだ制限があると思います。その辺はもう一度見直していただいて、こどもたちが一時保護所でもこどもの権利がより守られた環境でできるだけ生活しやすくなるといいなというところです。

もう一点、日課・自由時間の39ページに「こども一人一人の障害等」という記載がありますか。最初に頂いた資料と混同しており、もし修正がされていたらすみませんが、「こども一人一人の障害等」と書いているのを「配慮が必要な点等を踏まえ」に変更してはいかがかなと思っています。一時保護所に入っているこどもはみんな障害があると読み解けるのは、誤解をうむ表現ではないかと思いました。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

では、大久保委員、お願いします。

大久保委員:大久保です。よろしくお願いします。

私も、既に意見が出ている家庭支援事業の措置について、2点ほど意見になります。

ここで先ほども意見がありましたように、措置を拒否した場合などに市から児相のほうに報告が行ってということが書いてありまして、支援の対象者が児童相談所の支援につながることがあるのは、そのとおりだと思うのですけれども、27ページに対面での丁寧な説明という初めの段階の実施方法があるのですけれども、最初の説明の段階から、後の支援、児童相談所へ支援の主担当が移ることもあり得るといったことも意識した制度運用となることが大事だと考えています。そういう点の周知をもっとお願いしたい。

それから、もう一点は、ちょっと手続的なことになるのですけれども、措置の解除については、この27ページの下のほうに、福祉の措置の解除に係る説明等に関する命令に十分留意するという旨が記載されているのですけれども、家庭支援事業の措置の廃止及び提供期間満了前の解除を通知する際には、不服申立ての教示についても漏れがないように注意喚起しておいたほうがいいのではないかと思いますので、この点にも配慮をお願いしたいと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

あと、畑山委員と藤林委員から手が挙がっております。そこで一旦、これまでいろいろ御意見が出ておりますので、事務局のほうで何かコメントがあれば聞いて、さらに残った時間で各委員からの御意見を伺いたいと思います。

では、畑山委員、お願いします。

畑山委員:ありがとうございます。畑山です。

前回の会議から当事者の声を多く聞いていただいて、特に親子再統合支援事業については、文言の修正を含む配慮をしていただき、本当にありがとうございました。

私から2点あります。

1つ目が、家庭支援事業の利用勧奨について、ページ26です。利用勧奨した場合、費用負担に関しては公費による支援は行わないとなっていて、これは昨年度から金銭的な部分に関してはすごく議論されてきたかなと思うのですけれども、この費用というところがすごくネックになるのではないかなと思います。そこで、所得状況に応じた減免制度を設けるとあるのですけれども、もちろん減免制度は重要ではあるのですが、所得では見えづらい家族関係であったり、附属関係があるのかなと思います。例えば、お金の主導権に関してはパートナーが握っているなど、お金がかかるなら我慢しようという考えがすごく勝つのではないかと思ったりします。

何らかの事情があって利用勧奨しているということから、今後、可能な限り、利用勧奨したケースに関しては、公費での支援ということも検討し続けていただきたいなという思いがあります。

また、27ページの○の1つ目に「利用勧奨を実施したにもかかわらず、対象者の心境の変化が見られず」という文言があるのですけれども、先ほども述べたように、様々な背景を持つ親御さんがいるということを考えたときに、使いたくても使えないという場合があった際に、利用者の心境の変化というところ、まず利用が進まないところが、対象者が悪いような書きぶりというのが、すごく違和感がありました。なので、もし可能であれば修正していただきたいなという思いがあります。

そして、もう一点が、一時保護施設の設備・運営についてです。来年3月頃に基準府令の公布を行った上で、各自治体に条例の制定をお願いするようになるかと思うのですけれども、このたび一時保護施設の運営基準とこどもの権利を中心に大きく変化して、現場でどのように変わっていくのかなというのをすごく期待しているところではあるのですけれども、一時保護施設の設備・運営については、各自治体で条例を定めることになっているところでは、こういった資料を公布するだけではなくて、説明会を開くということもどうかなということで提案させていただきたいなと思います。

例えば、こども家庭センターについては、1月に自治体への説明会を実施したり、ほかの部会でありますけれども、社会的養育推進計画についても自治体への説明会というのを実施予定されています。ほかの自治体であったり、児相と足並みをそろえるではないですけれども、自治体間の格差であったり、児相間の格差によって、こどもにとって一時保護所に入って当たり外れというものがないように、紙だけの公布ではなくて、自治体への説明の場というものを検討していただきたいなと思います。

以上です。ありがとうございました。

山縣部会長:ありがとうございました。

では、藤林委員、お願いします。

藤林委員:手短にポイントを述べたいと思います。

まず、6ページからのこども家庭センターのガイドラインについてですけれども、内容はとても現場に即した、分かりやすい内容になっていて、とてもいいかなと思っております。ただ、今後の課題として、この内容をどのように普及していくのかというのが非常に重要なポイントになるのではないかと思っていまして、その意味では13ページの統括支援員の基礎講座というのは非常に重要な方法かなと思っていますけれども、一方で、従来から行われている要対協調整職員研修の内容についても、本来は今回の法改正に応じて変更していく必要があるのではないかと思っていますので、ぜひ検討いただきたいなと思います。

加えて、児童福祉司も含めた児童相談所職員を対象とした法定研修、こども家庭センターだけじゃなくて、今回、改正法で幾つも項目がありますので、改正法に関連した部分を追加していく必要があるのではないかと思っていますけれども、そういった従来の法定研修の内容について、今後、修正とか追加とかを予定されているのかどうかについて、現状をお聞かせいただければと思います。

次は、一時保護施設の設備・運営基準ですけれども、36ページの児童の教育のところですけれども、「就学」という言葉が「教育」になったことによって、ちょっと概念が変化していないだろうかという危惧というか不安を感じるところです。「安心して教育を受けられるよう……通学の支援その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」となっていますけれども、「安心して教育を受けられるよう」の「教育」というのは、従来の、どこの一時保護施設でもよく行われている、学習室にこどもを集めてプリント学習をするというものなのか、そうではなくて、学校で行われている教育とほぼ同様のものを指すということなのか。その辺について、お答えいただければと思います。

また、そうすると、「その他の必要な措置」というのは、従来の学習室でプリント学習をするということではなくて、例えば通学支援も当然ですけれども、分教室のようなものを考えているのかというところも、現在想定しているものを教えていただきたいなと思います。

それから、通学支援を行うとしても、在籍校が非常に遠方の場合には、なかなか通学支援ができない県または政令市も多いのではないかなと思っています。その場合には、一時保護委託を活用して通学を保障していくというやり方が、前回の一時保護ガイドラインにも書いていたのですけれども、そういったことも進めていくことになるのではないかと思うのです。そうすると、この一時保護施設の設備・運営基準とはちょっと異なる文脈になるのですね。現在、入所しているこどもは通学がなかなか難しいけれども、積極的に一時保護委託をして、そこから通学支援を行うというのもぜひ促進してほしいなと思います。

それから、この一時保護の基準ですけれども、国がこういった基準を定めるわけですから、それが今後どのように実施されているのかというのは、ぜひ定期的な把握と、可能であれば公表が必要ではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

それから、42ページ、先ほど意見もあったと思うのですけれども、一時保護委託先についても、都道府県が順守状況を確認することが必要と書いてありますけれども、そもそもそれ以前に、国として、例えば調査研究事業等を使って現状を把握していくことが必要ではないかなと思っていますけれども、この点についても御所見をお聞かせいただければと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

まず、藤林委員の中で明確に質問と言われたのが2つですね。要対協研修と従来の研修と併せて、今後見直すのかという話と、一時保護所における教育あるいは就学の在り方について、少し内容をお聞かせ願いたいというのがありました。あとは御意見だと思いますが、これまでの各委員からの意見等を踏まえて、事務局のほうで現段階でお話ができることがあれば、少しお願いしたいと思います。

河村虐待防止対策課長:利用勧奨関係は、後ほど山口課長のほうから御説明いただきたいと思います。

それ以外の項目で、まず、北川委員のほうから、一時保護専用施設の位置づけの基準の適用に関してどうなのかという御指摘ですけれども、一時保護施設と基準を直接適用する範囲と想定しているのは、まさに児童相談所を設置している施設ですので、北川委員の御指摘になられている、例えば麦の子さんで受けていただいている一時保護専用施設に当たるものは、これは適用との関係で言いますと委託先に当たりますので、ガイドラインの最後に書いている、なるべく基準に準拠した運営が行われるように児相から求める、順守状況を確認するという関係性になると私どもで想定しております。

あと、川村委員のほうから、タブレット等に対する国の財政支援等があるのかということですが、まさに今回、財政措置を講じておりますので、後ほど別の資料で御説明させていただこうと思います。

すみません、中村委員から御指摘いただきました39ページの左側の「こども一人一人の障害等」という表現、内部でも大変議論で悩んだ点なのですけれども、もともとのお子さんの御意見は、自分自身、発達障害があって、不文律みたいなものの理解がなかなか難しかったがゆえに、非常にそれが理解できなくて叱責されるのがつらかったという内容の御意見でして、そこが「障害」という文字を消してしまったときに伝わるだろうかというのを悩んで「障害等」と書いております。ただ、そういう側面があることも踏まえて、より適切な表現があれば、自分たちもぜひ直したいと思っております。

それから、藤林委員から御指摘いただきました要保護児童地域対策協議会関係について、もちろんこども家庭センター設置のガイドラインにとどまることなく、要保護児童地域対策協議会のそもそものガイドラインでありますとか、研修の在り方自体も見直しをしていかないといけないと思っております。私どもの事務作業が全く追いついておりませんで、大変恐縮ながら年度が開けてしまうかと思うのですが、そこはやっていこうと思っております。

また、36ページの、これも一時保護ガイドラインの「就学」を、義務教育だけになってしまうので、「教育」と書き直していることによって、最後のその他の必要な措置に具体的に何が含まれるかというところですけれども、私どもの意図としては、もちろん分教室の設置もそうですし、オンライン中心で元の在籍校を受けられるように配慮することも含まれるのですが、そういったことがもろもろ難しい事情があったときに、いわゆるプリント学習とかタブレットで学習を代替的にしてもらうということも含んだ上で、必要な措置を講ずるのだろうと思っております。

ただ、この辺り、御指摘のとおり、文言を変えたことによって、「安心して教育を受けられるよう」必要な措置なのかというのが、もう少し精査が必要かもしれませんで、部会終了後も含めて、また中で検討させていただきたいと思います。

あと、一時保護の基準の実施状況についての把握とか、今の一時保護委託先の状況の把握についても必要なことだと思いますので、どういう方法でやっていくべきかについても検討したいと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

山口課長。

山口成育環境課長:成育環境課長です。家庭支援事業の所管をしております。

本日、複数の委員から家庭支援事業について御指摘がございました。まず、この家庭支援事業ですけれども、さきの法改正で盛り込まれた新しい事業でありまして、来年度の施行に向けて、まずはこの家庭支援事業がしっかりと使われていくようにしていかなければいけないと思っています。そういった中で、家庭支援事業は、基本的にはほかの子育て支援サービスと同様に、利用契約を結んでいただいて、負担できる方には御負担いただいて使っていただくというサービスになっているというのが、まず原則としてございます。その具体的な内容につきましては、社会的養育・家庭支援部会のほうで御議論いただいておりますので、そういったところの議論も踏まえまして、使われる事業となるようにしっかり制度設計していく必要があると思っております。

本日は、そういった中で、家庭支援事業の利用勧奨・措置について、この虐待部会にお諮りしているものでございます。その中で、今回、25ページはイメージ図として示しているものですので、具体的には、今日も一部お示ししておりますが、こども家庭センターのガイドラインに具体的な内容を書き込んでいくということになろうかと思っています。

その中で、利用勧奨を行って、それでもなかなか利用に結びつかない場合に措置を行うと。そして、措置を行う、あるいは利用勧奨していく中でも、「心境の変化」という言葉に抵抗があるというお話もありましたので、その辺はよく検討させていただきたいと思いますけれども、いずれにしても利用に結びつかないという場合に、ここで言う措置というのは、これは中にも書いてございますけれども、児童相談所が行う、いわば強制的な措置とは異なって、措置の本質というのが保護者とサービス提供者が利用契約を結ぶのではなく、行政が保護者に代わって契約を締結し、措置を行うということが本質でございますので、強制性ということは必ずしも結びつかないものであると思っております。

そういった中で、措置を必要な場合には使っていくということで、事例の紹介ということもございました。実際にどのようなケースで使われているかといったことについては、施行状況を見ながらよく見ていきたいと思っております。

この利用勧奨について、費用負担のところを減免なりというところでも御指摘がございました。今回の案では、措置については、基本的に利用料を徴収しないという扱いにしておりますけれども、利用勧奨については、基本的に払える方についてはできるだけ払っていただくという前提の下で、別途、所得に応じた減免制度というものについては、国としても補助を行うという形で行っていくということで今、お示ししておりますので、そこのところも実際の利用状況等を見ながら、また必要な支援について検討していきたいと思っております。

児相との連携ということについても、複数の委員から御指摘がございました。児相が持っている権限なり資源、使える手段。それから、市町村が持っている手段、資源といったものについては違いがある中で、その御家庭に沿った支援がどのように行えるか、それを両者でよく話し合って行う必要があるということであろうと思っております。もちろん、児相が持っている最終的な権限として、親子分離という、いわば強制的な権限が最終手段として法律上、担保されているわけでございますけれども、それにとどまらず、市町村と児童相談所がよく連携して、その親子をどう支援していくかを話し合う。

その際、児童相談所が持っている人的な資源・専門性と、市町村が持っている実際の体制とのギャップというのもあるのは事実でございますので、そういったところもよく踏まえながら、支援に結びつくようにやっていけるように、ガイドラインのほうでもなるべく具体的に書けるところを書いていきたいと思っております。

以上になります。

山縣部会長:ありがとうございました。現段階でお答えいただけるところをお答えいただいたのではないかと思います。

あと、時間的には2~3人でしょうか。では、まず、オンラインの久保野委員を聞いて、あと会場のほうからほぼ全員挙がっていますね。どうしよう。できるだけ御意見ということで、手短にポイントを押さえていただけるとありがたいと思います。

では、久保野委員、お願いします。

久保野委員:すみません、会場の方を差し置いて、先に失礼します。

3点ございますが、簡単に。

1つは、利用勧奨との関係で「心境の変化」という表現に抵抗があるというふうにまとめられた御発言ありましたけれども、外国などでも拒否の方にどうアプローチするかという法制があったりしますが、そこでのポイントが、社会経済的背景事情があるという観点だと思います。つまり、心境の問題ではなく、社会経済的背景事情があると。先ほどの御意見もそのような御指摘だったと受け止めておりまして、賛成しますというのをお伝えさせてください。

もう一つが、一時保護の司法関与についてですけれども、76ページの辺りにも書いてありますとおり、この点については資源不足等その他の利用により、適切な一時保護ができない事態にならないかということが常に課題として認識されているところと思いますが、弁護士会との協力というのを既になさっているのだと思いますが、浜田委員もいらっしゃいますけれども、弁護士会も熱心に取り組んでいらっしゃると思いますので、ぜひその辺りの取組を具体的に前向きに進めていただけますようお願いしたいと思います。

また、一方で、スムーズに動かすということが大事な局面ではあると思いますけれども、同時に、一時保護に関する法的な解釈とかについて、より統一した適切な解釈や運用を発展させていく好機だとも言えると思いますので、情報を広く発信や共有等していただきながら、そのような面での向上につながるよう取り組んでいただけると、この点もありがたいと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

では、会場のほうで、申し訳ないですけれども、倉石委員を除いて、あと相澤委員から順番に最後まで行きます。7人いらっしゃいますので、各委員の御意見を同じように聞いていただきたいと思います。

では、相澤委員、お願いします。

相澤委員: ありがとうございます。手短に話したいと思います。

例えば、今度、ショートステイなどは、こども本人が使える。こども本人が使えるということは、費用負担とかはどうなるのか。こどもの使い勝手がいいような事業になっているのかどうか、そういう点が非常に重要になってくるのではないか。特に、こどもまんなか社会をつくるためには、こどもが主体的に選択できるように事業をつくっていくのが重要だと思います。

もう一点は、そういう意味では、私は、こどもの権利擁護に関する事業に携わっているのですけれども、こどもへの説明は結構大変なのです。こういった事業をこどもが主体的に使うためには、こどもへのきちんとした説明があってこそ、事業が生きてきますので、説明のための事務方へのガイドラインも大事ですけれども、こどものためのガイドラインもつくっていくことをぜひやっていただきたい。大変だと思いますので、例えば調査研究事業などでこども向けの動画をつくるとか、事務方の説明を補助できるようなツールもぜひつくっていただいて、こどもに説明しこどもの主体的な意思決定などを図っていただきたいと思っています。

以上です。

山縣部会長:重要な御指摘ありがとうございます。

では、秋山委員。

秋山委員:あきやま子どもクリニックの秋山です。

私は、全てのこどもと家庭に対しての予防と、切れ目なく対応するという観点から、2点ほど意見を述べたいと思っています。

10ページのサポートプランですけれども、ここは以前あった支援プランとサポートプランを一緒にしていただいたこと、大変よかったかと思っています。そこで、セルフプランについてですけれども、セルフプランについては、18ページにあります地域子育て相談機関がぜひ関わっていただきたいと思っています。あるいは、この支援メニューに書いてある保育所、学校、機関もセルフプランに関わっていただきたいと思っています。そして、このセルフプランがサポートプランにつながり、そして母子保健・福祉とつながるという流れ。また、福祉で終結した場合に、そこで支援が途切れる場合がありますので、逆にサポートプランからセルフプランに移行するという流れが必要ではないかと思っています。

そうすると、このセルフプランと端の黄色いプランのところに矢印で連携できると、ここに循環ができ、切れ目のない支援が、できるのではないかと思います。これらが循環するためには、同じ視点、アセスメントが必要になりますので、ぜひバイオ・サイコ・ソーシャルの視点ということを基本に置いてサポートプランを作成してもらい、つながっていくことを期待したいと思います。

2点目は、24ページにあります親子関係形成支援事業でありますが、こどもの育ち部会において、パブリックコメントがありました。そこで5歳のお子さんから、生まれる前にお父さんとお母さんに怒らないように教えておいてほしいというのがありました。つまり、親子関係形成支援事業というのは、その役割をしてくれるのではないかと思います。生まれる前、就学前、就学後、定期的にこの事業を提供していただきたいと思いましたので、よろしくお願いします。

以上です。

山縣部会長:2点、ありがとうございました。

では、上鹿渡委員。

上鹿渡委員: ありがとうございます。

まず、こども家庭センターのところですけれども、ここにパーマネンシー保障という概念の紹介が入るといいなと思っておりました。次期社会的養育推進計画策定要領が今検討されているところですが、そこには今回パーマネンシー保障という考え方がかなり取り入れられており、それは都道府県だけでできることではなくて、市町村も一緒に取り組むものです。家庭維持や予防というところで、その主たる機関がこども家庭センターになると思いますので、市町村の方々にもパーマネンシー保障について理解をしていただいて、それを軸にして都道府県と市町村とが同じ方向に向かっていく必要があるという考え方を持ってもらえるような書き込みをしていただけるとありがたいです。

それと、親子再構築に関するガイドラインですけれども、前回部会で、当事者委員からいろいろな御意見をいただいて、その後、しっかりもう一回聴き直して、今回修正ができたという形なのですけれども、この間にこども家庭庁には大変良い形で対応していただいたと思っております。私自身もガイドラインのもとをつくる調査委員会の座長をしながら、十分気をつけてやっていたつもりだったのですけれども、全然配慮が足りていないというのが前回の委員会で分かりまして、そこをしっかり変える機会をいただけたことがとてもよかったと思います。それでも十分ではないかもしれませんが、何回か当事者委員の方々ともお話をし、いろいろなことを含めてある程度は修正できたと思います。

それでも全てできたわけではないと思っておりまして、今後実際にガイドラインとして使われ始めたら、いろいろな御意見がまた出てくるだろうと思いますので、そこでまた変えていけるような機会もさらにつくっていただけたらと思います。

同じ観点で、一時保護に関するガイドラインがこれから示されるにあたり、今日当事者委員から御意見を聴かせていただく中でもやはり重要な指摘がありました。自分で事前に目を通した際にはあまり引っかからなかった表現や内容が、実際に経験された立場から言ってもらえることはとても大切なことだと改めて思います。このガイドラインについても、ワーキングというか、当事者委員で率直にいろいろな御意見をいただく機会を持ち、表現や内容について関わっている現場の方々により伝わりやすくなるよう反映してと、よりよいガイドラインになっていくのではないかと思いました。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

ごめんなさい。マイクを使わず進行していたもので、オンラインの方々あるいは傍聴の方々は、場合によっては聞きにくかったかもしれません。申し訳ありません。ここからマイクを使います。

では。

川松委員:ありがとうございます。

大変な中でたくさんの事業を適切におまとめいただきまして、ありがとうございます。

サポートプランのところで気になるのですけれども、まず、9ページで、当事者の「ニーズを把握し」となっていまして、リスクだけでなくてというところです。以前もこの議論は出ましたけれども、当事者の希望・要望というふうに矮小化して捉えられると、そのままそれを実現すると捉えられた場合には、私たちの支援のゴールとずれていくことも考えられて、当事者の方の意向には、そのままではないけれども、対話してすり合わせていく中で一緒にゴールを見つけていくということをするわけなので、「当事者の意向を把握した上でニーズを検討し」とか「真のニーズを対話の中で見いだし」とか、そういう記載がいいのかなと思ったことが1つです。

それから、利用勧奨と利用措置のことはとても気になりまして、特に児童相談所との関係がとても気になります。それで、フロー図でも「利用勧奨」→「利用措置」→「児童相談所への連携」となっていくので、1段階目、2段階目、3段階目で児相が登場してくるのかなというイメージが持たれる可能性もあるのですけれども、場合によっては、利用勧奨の時点で児相がかなり積極的に介入することが必要な事例もあって、それが利用勧奨・利用措置という手続を経なければいけないと認識したとしたら、タイミングを逃してしまって適切な介入ができなくなるということも想定されなくはないのかなと思います。

先ほど藥師寺委員のほうから、児相が全面的に出てくるのではなくて、市町村の中でできる支援をというお話もありましたけれども、一方で、児相が適切に対応しなければいけない事例もあると思われるので、その児相との関係性が非常に複雑だなと思いました。主担当がどっちかということにもよりますけれども、その中で児相が主体で枠組みをつくっていくのであれば、その児相の支援計画の中に盛り込まれていくと思われるので、その場合はちょっと脇にそれた別のルートが入ってくるのかなという気もしまして、絶えず児相とは連携していく必要があるのかなと思いました。

もちろん、そうではなくて、市町村の中で粘り強く支援しながら、互いの関係の中で支援を構築していく事例がたくさんできていくことを望むのですけれども、児相が最後に登場するということではないのではないかというところで、児相の動きとの関係性の整理が非常に難しいので、やりながらみんなで模索していくしかないので、いろいろな事例を積み上げて共有していけるといいのかなと思いました。

次は、一時保護所のことですけれども、これは今後に向けてですけれども、夜間の職員配置が2人以上配置することにしていただいて、本当にありがたいと思うのですけれども、実態としては常勤職員が配置される場合が多いわけではなくて、会計年度の方かアルバイトの方がいらっしゃって、常勤がいらっしゃらない場合があります。

それから、全国では夜勤化されているところは少数だと思われるのですけれども、宿直になっていらっしゃるところが多いと思います。実際、夜間の支援は結構たくさんある。一時保護所は24時間の支援が必要で、夜間、身柄付き通告も入ってくるし、お子さんたちの様々な混乱も生じる時間帯でもありますし、常時支援が必要だと思いますので、今後の課題として夜勤化に向けた動きをつくっていけるような検討をしていただけたらなと思います。直ちにはなかなか難しいと思うのですけれども、自治体のほうでもなかなか御苦労はあると思うのですけれども、そうした方向性を共有していけるといいのではないかと思います。

それから、一時保護のガイドラインの中で、男女の関係のことについては取り上げられていないわけですけれども、これも整理が難しくて、実際にはどう進めていくか、なかなか難しい課題だと思いますけれども、不自然に男女を分けて、居住空間とか活動について分ける、あるいは言葉を交わしてはいけないという対応ではなく、自然な形で男女で交流できる場も設けられている必要があると思いますので、書き方はとても難しいけれども、環境整備の一つとして、男女の交流の場面など、男女の関係性について適切な配慮をしていくとか、何か男女のことについて触れる必要はないのかなと思ったところがあります。

最後に、親子関係再構築支援事業ですが、親子再統合支援イコール親子関係再構築支援となっていて、親子再統合は必ずしも家庭復帰だけを意味するのではないですよということを意味しているのだと解釈しているのですけれども、場合によっては、親子関係再構築支援のことを家庭復帰することと捉えられないかなという懸念があるのです。親子関係再構築支援は家庭復帰だけが目的ではなくて、親子それぞれの生き方を見直していくということも含めて、別々の場所だけれども、それぞれ肯定的に自分を捉えながら人生を歩んでいくという支援をすることも含まれていると思うので、その親子再統合支援と銘打ってあるところは、家庭復帰だけを意味しているのではないのだというところは、どこかに示されていてもいいように感じたところがあります。

そういった認識が広く共有されているかというと、必ずしもそうではない。家族再統合、イコール家庭に戻ることと捉えている場合もあるのではないかと思うのですけれども、その辺りは少し気になっていまして、何かコメントが添えられていてもいいのかなと思いました。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

では、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員:ありがとうございます。佐藤です。よろしくお願いします。

私のほうからは、大きくは2点あるのですが、まず、1つ目に、こども家庭センターのガイドラインに関係することで幾つかあります。

1つは、こども家庭センターができ、母子保健と児童福祉が一体的な運営をなされるということで、これまでの組織による切れ目がつながるということ、一体的な支援がされることにより、専門性の間、それからサービスの間の切れ目がつながるということにとても期待しております。

もう一つは、こども家庭センターでは包括的な支援を検討することになりますので、市町村と都道府県の実施体制の間での切れ目についても埋まっていくということを期待しています。

さらに、合同ケース会議のことですけれども、こどもとその家庭のニーズの全体像を、母子保健と児童福祉の機能を併せて、全体像をアセスメントするように、ぜひしていただけたらありがたいと思っています。その上で、統括支援員という方は、そのアセスメントが包括的な観点に基づいて行われているようになっているかどうか、それを確かめていただいたり、あるいはそのアセスメントの結果がサポートプランに反映されているのかどうかということを調整していただけたらと思っています。

また、サポートプランに関しては、こどもと家庭とのパートナーシップをつくっていくためのツールとしても、とても有用であるということで記載があるのですけれども、専門性の異なる人たちが見立てを持ち寄って包括的なアセスメントになっているのかを確かめるツールとしても、役割を果たしていくと考えています。

それから、サポートプランとの関係で、家庭支援事業の中でも、それぞれの事業者の方が支援計画を立てることになっていると思います。ですので、サポートプランと、そうした事業者の方がつくられる支援計画との関係についても、視野に入れておく必要があるのではないかと思います。そういった意味では、今回、ガイドライン案の中では章立ての中に一部触れられていますけれども、要対協の調整機関としての役割をこども家庭センターがしっかりと担っていくということが非常に重要だと思いますし、一体的支援の実行をしていくというのは、関係機関のそれぞれの役割になっていくかと思いますので、要対協とこども家庭センターとの関係というのも、しっかり書いていただけたらありがたいと思っております。

そういう意味で、こども家庭センターが動き出した後に、ガイドラインの中で示されている内容が、実践に活用されているかどうかということを点検していくようなことも必要になってくると感じています。ここまでがこども家庭センターに関わることです。

もう一つ、利用勧奨・措置の件です。たくさん御意見を伺っているのですけれども、例えば25ページのフロー図、イメージ図ということで御説明いただいているのですけれども、ここのフロー図の感じと、例えば11ページのこども家庭センターのガイドライン案の中での書きぶりというのは、少し差があるように感じられます。というのは、この家庭支援事業の利用勧奨措置というのは、事業の利用を明確に拒絶しているものではないと市町村が認めた場合に措置を行うことに留意することと書いてあります。

ですけれども、ガイドライン案の11ページ目では、3つ目の矢羽根のところに「拒否を示す場合や複数回連絡・家庭訪問等をしても家庭の状況が把握できない等」という書き方がしてありまして、利用勧奨しても難しい場合は措置をするように読めるのですが、フロー図では、利用勧奨と措置の検討・決定の間には、利用拒否・未開始がグレーになっております。措置が市町村の中で義務的経費としてサービスの利用負担がなく、御本人に使っていただけるということを考えれば、本当に必要なこどもにサービスが届くようにするためにも、積極的に使っていただいたほうがいいのではないかと思っているのですけれども、この辺りのことをもう少し明確に書いておかれる必要があるのではないかと感じております。

すみません、以上です。ありがとうございました。

山縣部会長:ありがとうございました。

では、浜田委員。

浜田委員:浜田です。2点申し上げます。

まず、13ページのこども家庭センターの統括支援員の基礎研修のところです。統括支援員は、生身の人間、お一人が担当なさるということが想定されていると思いますが、それだと、最初はあれですけれども、2代目、3代目に交代していくときに、そこでの円滑な引継ぎができるのかというところが前から気になっております。そういたしますと、まず1つは、考えられるところは、自治体において実質2人体制にするとか、現任者のラスト1年はかぶっていてもいいとか、いろいろな形が考えられるのだと思うのですけれども、円滑な引継ぎのためにできることはないかということを検討していただくというか、そういうことが許容されるということがうたっていただけるといいなというのが1つです。

関連して、この統括支援員の基礎研修、13ページですけれども、6年4月なのはいいですけれども、2代目、3代目になられる方は一体いつ受けるのかというのが若干気になっておりまして、4月で発令を受けてから受けるのか、それとも、その前に受けることが可能なのかといったところも、円滑な引継ぎといったところでは、細かいですけれども、検討していただいておくといいのかなと。先に向けての課題ではないかなと思います。ここまでが1点目です。

2点目ですが、32ページからの一時保護施設の設備・運営に関する基準案についてのところで、真ん中のちょっと下のところで「一時保護施設においては、正当な理由なく、児童の権利の制限を行ってはならない」という記載がございます。これは当たり前の話なのですけれども、じゃ、正当な理由があれば制約はなされるわけです。そこで言うところの正当な理由というのは、一体どういう法的根拠に基づいて、何を、どこまでだったら制約できるのかということが、実のところ、あまり今まで明確になっていないのではないかと思うのです。先ほど久保野委員から、一時保護の法的解釈をこの機会に向上させていく、よい機会だというふうな御指摘もございました。

全くもっておっしゃるとおりだと思いまして、この辺りは、まさにいろいろなところで法的紛争も実際起きているところであります。特に、面会・通信制限に関するところで、あれは一体誰の権利が、何に基づいて制約されているのかといったところが、だんだん大きい問題になりつつあるところです。そういたしますと、この辺りは、先ほど触れた32ページの記載そのものには何の異存もないのですけれども、その裏にあるものとか、そこには法的根拠というのは、国としても考え方をしっかりまとめておくべきではないかと思います。

私の力だと微力過ぎて、どうしようもないので、久保野委員の御協力なども頂戴しつつということになろうかと思っておりますけれども、指摘したからにはできることはさせていただこうと思っておりますので、どうぞ一度御検討願いたいということでございます。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。協力を、法律家のお二人で。

お待たせしました。最後。

増沢委員:こどもの虹情報研修センターの増沢と申します。最後ということで、なるべく手短にと思います。

まず、1つ、サポートプランの作成というところで、支援を求めるケースに幅広くサポートプランをつくるというのは、これは全く異議がない大事なことと思います。

一方で、先ほど藥師寺先生からありましたけれども、あまり支援を求めないケースの中に、大きな困難を抱え、予後が不安になるケースがかなりいるというのが現実だと思います。そういったケースが支援を求める多くのケースの中に埋没しないように、きちんとキャッチできるように、どういうケースに対して支援が必要なのかを正しく理解し。、きちんとケースとつながっていくということ。そのためには家庭訪問とか動機づけ面接などといった専門技術、そして重要なのは支援者の姿勢ですね。ガイドには書いてあったと思います。傾聴、共感、承認といった姿勢を重視して、きちんと関係を構築し関係を継続することが重要で、それをせずに、支援を求める多くの人たちへの支援プランでいっぱいになってしまって、支援が真に必要なケースに手が届かなくなるのが本当に怖いなと思っていますので、そこは留意してほしいと思います。

それから、一時保護についてです。先ほど大切なものを持っていっていいかどうかという話がありましたけれども、一時保護特有のリスクを我々はきちんと認識することが必要だと思います。特に緊急一時保護等、被害状況からこどもを守るという意味でなされる対応なわけですけれども、一方、こどもにとっては、それまでなじんでいた環境から、予期できない突然の分離体験だということですね。そこで分離の対象になるものは家族だけじゃないです。家にある大切なものもそうですし、家庭外の支援者、地域の居場所、いろいろなものを一時でも失うリスクを伴うということなのですね。

保護されるこどもは、それに対して心の準備が全くできていないです。お別れの挨拶も、引っ越しの準備もするなどの余裕はないわけですから、そこをきちんと視野に入れて、特に一時保護所の保護の後、里親委託や施設入所になるケースは、よりこれは深刻ですので、一時保護の中でそうした喪失体験の視点を必ず組み入れて対応すべきということも、ぜひガイドの中に入れていただきたいということが2点目です。

それから、3点目です。親子関係形成支援事業も、こどもと家族の支援を在宅の親子も対象に、とても重要なことだと思います。この際に、こどもと保護者、それぞれ単独にニーズを把握・理解することも重要ですが、親子関係がどのような状態にあるのかという関係性のアセスメントをするという視点が基本になると思います。そのためには、それぞれ単独ではなくて、親子一緒の場面に支援者が加わって、その関係性を理解し、支援するということが極めて有効です。これについては海外の実践やプログラム等を見ても、関係性を重視する視点が基本となっています。その意味で、子育て短期支援事業に、こどもだけではなく、保護者も一緒にできるようになったということは、とても意義あることだと思っています。

親子関係形成事業においても、例示されているのが保護者のみのペアレントトレーニングが挙げられていますが、こういった保護者のみのペアレントトレーニングではなくて、親子一緒に支援できる体制とか支援プログラムの充実・強化が重要と思います。パーマネンシーを保障することの第一義は、親子一緒の暮らしが継続されるということですので、特に周産期の親子に対して、リスクがあるからということですぐに分離・保護という。もちろん、必要なケースは分離・保護が必要ですけれども、それが優先ではなくて、親子の関係性を適切にアセスメントして、よりよい関係が構築できるような支援をしていく。そういった体制と支援のあり方を追求していくという方向性をぜひ示してほしいと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

たくさんの御意見をありがとうございました。もう既に2時間近くたっておりまして、さあ、進行をどうしようというところですけれども、事務局のほうに回答の時間はありませんので、基本的には意見が多かったということですので、できるだけ反映、スタート時点でやるべきことと、スタート時点以降、できるだけ早く、さらに微修正していくという考え方もあろうかと思いますので、その辺で今日のたくさんの御意見に対応いただけたらありがたいと思います。

では、議題(2)「こども大綱等について」になりますけれども、最低4時10分、最大で4時15分ぐらいまで延長させていただくことを御了解いただけますでしょうか。では、それで進行していきます。では、事務局のほう、議題(2)についての提案説明をお願いします。

河村虐待防止対策課長: まず、資料2でございますけれども、「こども大綱」、22日に閣議決定しております。9月の部会でたくさんの御意見をいただきまして、9月25日の親審議会で山縣部会長のほうから御意見を述べていただきまして、かなり全面的にこの部会の意見を取り入れて文章を修正しておりますので、御報告でございます。御参照いただければと思います。

続きまして、資料3「こども未来戦略」でございます。こちらについては、本体を参考資料7でおつけしておりますけれども、本体の副題にもありますとおり、この「こども未来戦略」、少子化対策の文脈で全般的にいろいろな支援策が書かれておりますけれども、その中でも、夏以降、虐待と貧困の分野、あと障害児支援の分野について、特に充実を図るということで、この間、財政調整も含めて進めてまいりまして、資料3で抜粋させていただいているところ、とりわけ下線を引かれている箇所が、従来に比べて大きく財政措置を拡充した部分でございます。

その財政措置の拡充内容は、時間が限られておりますので個別に触れませんけれども、参考資料8の6年度当初予算の概要、また参考資料9の5年度の補正予算、先日成立した補正予算の概要のところに詳細が書かれております。その中で、先ほど川村委員のほうから御指摘のあった、例えばタブレットを取り入れて一時保護所で学習支援をする等々も載っておりますので、ぜひ御参照いただければありがたいと思います。

また、資料4については、今後、法改正をしてはどうかという御提案の内容でございます。「ヤングケアラーに関する制度改正について」でして、前段のところで現状・背景として、ヤングケアラーの支援について、この間、政策課題として非常に大きくなってきている中で、法律上明確な根拠の支援の規定がございません。そういった中で、こども大綱の中でも記載がございますけれども、18歳までのこどもを見てきている要対協と、18歳以降の若者期全般を支援する子ども・若者協議会、この2つの機能があるわけですけれども、18歳のところをまたいで成長していくときに、この両機関の間でしっかり連携していくことが重要ではないかということで、下の改正イメージでございます。

こども期、若者期を横断して見る子ども・若者支援推進法において、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」、こちらの表現が法制局の審査等との関係でも、ヤングケアラーを表現する法律上の硬い文章として、今、提案させていただいておりますが、このヤングケアラーを指す表現を定義として入れていって、国と地方が各種支援に努めるべき対象として法制上明確化することにしてはどうかという内容と。

あと、後段のほうですけれども、先ほどのような背景から、子ども・若者の協議会と要対協が協働して、両機関同士の連携を図るように努めるという、自治体さんに対する努力義務を規定してはどうかという内容の御提案でございます。

そのほか、参考資料、いろいろおつけしておりますが、お時間の都合上、説明は割愛させていただきますので、どうぞ御参照いただければありがたいと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

既に御議論いただき、閣議決定まで至っておる「こども大綱」「こども未来戦略」、それに基づく予算措置につきましては、既に終わっている部分でございますので、御意見というよりも、質問、確認事項があれば伺いたいと思います。ヤングケアラーについては、これからの取組ですので、積極的に御意見があれば伺おうと思います。

では、その形で、先ほどは失礼いたしました。無視したような感じになってしまいましたので、先に会場に御参集の方からあれば。

では、上鹿渡委員、お願いします。

上鹿渡委員:ありがとうございます。

こども大綱について、資料2の最初のページの真ん中に「『こどもとともに』という姿勢で」ということが書かれてあるのですけれども、その実現のために、こども・若者の声を聴くということがとても重要で、今回大綱をまとめていただく過程でもそれがなされたと思いますが、同時に評価していくということもとても重要です。先ほど藤林委員からも、今回いろいろ良い施策が提示されたのだけれども、これが実際にどう実現できるかをどう評価していくのかというご質問がありました。まさにこの評価・確認をどう実施していくかがこれからとても重要になると思います。こども大綱の今回の資料2にはないのですが、参考資料6の41、42ページにこども家庭審議会についての記載があります。

読みあげますと「こどもや若者の視点に立って、公平性や透明性を確保しつつ、こども大綱の下で進められる各般の施策の実施状況や評価等について分科会や部会において幅広く充実した調査審議を行い、当該施策や制度の改善等に関して、これらの権限を適切に行使する」ということが、大綱にこのように明確に書かれています。これについては基本政策部会等で、コミッショナーのような独立したものが必要ではないかという御意見もあったわけですが、現時点での理解としては、こども家庭審議会がまさにそういった役割を担っていくことがまずは想定されているということだったと思います。

ここに書かれてあることは、本当に重要です。まずは現時点では、こども家庭審議会でこの重要な役割を担うことになっているということで、今回、ここに挙げられたたくさんの新しい施策がどう実現されていくのか、この部会でその状況をどこまで、どう把握できるのか、その方法が今はまだ具体的に分からないのですが、このことも部会や審議会でしっかり責任を持って取り組まなければならないと思います。こども・若者の声も聴き新たに示された施策の実施状況が実際どうなっているかということも把握して、必要があれば施策や制度自体をどう改善するのかということも、部会やこども家庭審議会で検討していくことを、まずは実際にしっかりやっていかなければなりません。

それでこのような形でどこまでできるかはやってみないと分からないところだと思うのですが、できる限り今ある体制でやってみて、やはりそれでは難しいということになれば、外部の独立した形に変えていくことも検討する必要があると思います。よろしくお願いいたします。

山縣部会長:ありがとうございました。

オンラインの方々も、手だけ挙げておいていただくと、時間配分上、ありがたいと思います。

では、増沢委員、その後、相澤委員。

増沢委員:質問ということなのですけれども、ちょっとお伺いしたいなということと、もしそうでなければ検討していただきたいということですが、こどもまんなか社会の実現のために、虐待や性暴力被害や障害や要支援・要保護児童、そしてヤングケアラー、自殺、非行等、こどもを取り巻く問題を幅広く視野に入れた大綱になっていくというのはとても意義があることだと思います。

ただ、こうした課題を抱えているこどもの実態が必ずしも明確になっていないというところがあるように思っていて、特に性暴力被害とか要保護児童もそうなのですけれども、ヤングケアラーも定義がどうかによって随分違ってくるし、自殺企図のあるこどもについて、どれだけ、どのような状態で存在しているのかという実態など、実態をきちんと把握して施策に反映する。こどもの声もとても重要なことです。一方で、客観的なこういった現状分析もきちんとすることが大事で、答申の中ではEBPMの浸透ということが挙げられていて、これも非常に重要なことだと思います。

ぜひ大学とか研究機関と協働するなどして、逆境状況にいるこどもたちの実態把握に努めて、国民もそれを理解すべきなので、それを周知すると同時に、そのための施策立案に反映すべき。実態把握をベースに検討してほしいと思っていて、時間があれば、その方向性やお考えをお答えいただくとありがたいのですけれども、そうでなければ、そういうふうにお願いしますということで終えたいと思います。ありがとうございます。

山縣部会長:ありがとうございました。

では、相澤委員、お願いします。

相澤委員:ありがとうございます。

私、ヤングケアラーのほうです。子ども・若者支援地域協議会と要対協が協働するというのは、これは全然問題ないと思っています。さらに、例えばこども家庭センターの予算を見ても、子ども・子育て支援交付金、プラス重層的支援体制整備事業交付金というのが出ていまして、ここの定義の家族の介護とか、そういうことを考えたときには、重層的支援体制整備の包括的な相談支援事業とは切っても切れない関係にあると思いますので、そういった面も読み込めるように配慮していただくといいと思っています。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

では、オンラインの方々、指名させていただきます。川村委員、中村委員、大久保委員、藤林委員の4人の手が今、挙がっております。ここで一旦切らせていただきます。

では、川村委員、お願いします。

川村委員:ヤングケアラーのところで気になった点があるので、発言させていただきます。定義として、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」というふうに案が出ているのですけれども、世話が何を指すのかという定義、そして範囲を慎重に検討して定めていっていただきたいなと思います。というのは、特に国民に周知していくとなれば、国民の方々が世話を行うということが何を意味しているかというと、動作的だったり、行動的だったり、物理的な意味合いで捉えることがほとんどなのかなと思います。私もそうです。

ですが、ヤングケアラー支援というものを本当にしっかり考えていく、整備していく上では、そういった動作的、行動的、物理的な意味合いだけではなくて、こどもが家族に対して、そうせざるを得ない状況や背景や要因があるがために、日常的に心配するとか、遠慮する、気づかう、見守りをするといった心理的な面、精神的な面の、こどもの家族に対してのものも、世話という言葉に当てはめると違和感があるかもしれませんが、世話を行うというものに含まれる定義ではないかなと思いました。なので、法制度の中に補足でもいいので、そういったものを明記、必ずしも動作・行動だけではない、介護とか介助とか看病ということだけではないメンタル的な面も大事な、こどもが世話を行うということに入っているというものが国民にも分かるようにしていくべきではないかなと考えます。

法律的な文言なので、「世話」というふうになっていくのかもしれませんが、個人的には「ケア」としたほうが、心理的・精神的な面も含めて表現できるのではないかと感じました。なぜかというと、例えば親が、うちの子はヤングケアラーではない、家のことを手伝っているだけだという主張がすごくあったり、それに対して、何て親だみたいな世間からの非難があったり、ヤングケアラーに該当するようなこども本人が周囲にヘルプを求めたくても、それができなくなってしまったりというのが、そういった法制度上の書かれ方とか社会からの認識で、そこが変わってくるのかなと思います。

ですので、これからどんどんヤングケアラーという法制度がプッシュされていくと思うのですけれども、何がケアなのか、どの程度の範囲がある程度根拠のあるケアなのかというものの一定程度の基準とかガイドラインも、国民にも分かりやすく、誤解がないように啓発していくことが同時に必要ではないかなと感じました。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

では、中村委員、お願いします。

中村委員:ありがとうございます。

川村委員と意見が似ているかと思いますが、私もこの表現だったら行動面ばかり注視してしまうなと思いました。世話をするといっても、金銭的な搾取、労働しないといけないという状態とか、こども・若者たちが本来いろいろなことができる機会が奪われている状態も考えられます。ヤングケアラーの支援においてとか、ヤングケアラーを理解する上で背景や状態を理解しておくのも重要かなと思っていて、この文言を変えるのがどこまで可能かはわかりませんが、そういった視点を持って、これから法改正や仕組みが考えられるといいかなと思いました。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

では、大久保委員、お願いします。

大久保委員:よろしくお願いします。

私は、資料3の未来戦略のところですけれども、業務軽減に向けたICT化というのは、本年度の補正予算でも対応いただいているのですけれども、直接的な支援ツールの構築だけでなく、福祉行政報告例のような統計業務のICT化というのも含めた考えで進めていただきたい。施策の基礎となる各種数値を正確・迅速に把握することは、とても必要なことだと考えております。

それと、もう一点、国と自治体間のシステム連携についても、既に補正予算で対応いただいているのですけれども、こういったシステム整備、ある程度時間が必要なことから、より多くの自治体の取組が可能となるように足並みがそろうように、継続的な予算措置をぜひお願いしたいと思います。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございます。

では、藤林委員、お願いします。

藤林委員:私のほうからは、こども未来戦略(案)のこども・若者視点からの新たなニーズへの対応のところで少しコメントを言いたいと思うのですけれども、先ほどの説明で参考資料8の、これは多分、こども若者シェルターと相談支援事業のことになっているのかなと思って改めて見たのですけれども、結構な額で今後始まっていくのかなと思いまして、この背景には、トー横キッズとかグリ下とか、そういう様々な居場所がない未成年のこども、または若者を対象にしているのかなと思ったり。現在、全国的に展開しているこどもシェルターさんの安定的な運営を保障するものかなと想像しているところです。

その意味で、この枠でされるのかどうか分からないのですけれども、こどもシェルターを運営している方々のヒアリングの中で、この額になったのかなと思っているのですけれども、ぜひこれはニーズに応じてどんどん展開していってほしいと思いますし、現在、こういった居場所を持たない若者を一時保護所に保護してもあまり意味がないという感じがしまして、より開放的な環境で、スマホを持ったような環境で居場所を提供していくというデザインをしながら、信頼できる場につながっていくことが必要かなと思っているので、これはとてもいいのかなと思っています。

これに関連しまして、私は一応精神科医の端くれですけれども、居場所がなくなった若者は、往々にしてメンタルヘルスのニーズがありまして、精神的不安定であったり、自傷行為を繰り返したり、または摂食障害とかメンタルヘルスのニーズ、アディクションのニーズを持っていたりする方が結構な割合、いらっしゃるのですけれども、こういった方々がアクセスしやすい精神科医療、児童精神科医療が非常に乏しいという現状もあるのかなと思っています。私の前任地の福岡市でも、予約を取るだけで1か月も2か月も先になってしまうということでありまして、これは今後の課題として、質の高いメンタルヘルスサービスを全国的に展開していくことに向けた施策展開をお願いしたいなと。

これはケアリーバーの方々にもそういった援助がかかっているものですけれども、それも非常に重要な課題と思っていますので、ぜひこの課題についても、今後、鋭意検討いただきたいなと考えます。

以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。

ほぼ予定の時間が来ておりますけれども、先ほど増沢委員から、もし回答ができるのであればという話がありました。その時間が若干残っているような気がします。あと、中村委員、川村委員のほうから、「世話」という言葉はどういうものを指しているのか、定義の話が出ていました。現段階のイメージで結構ですので、少し説明できることがあればお願いします。

河村虐待防止対策課長:増沢委員、御指摘のとおり、虐待課の中でいきましても、例えば児童虐待相談対応件数が、虐待を受けているお子さんを表している数字ではないわけでして、一方で、家庭の中のことですので、神の目で見た真実の虐待の件数になかなかたどり着けないわけですけれども、もうちょっとそこに近いような数字の取り方ができないのかということとかは考えていかないといけないと思っているのですが、今の時点において、このようにこの後、やってまいりますというのが言えている状況になっておらず、これから山とある施行の残務を3月末まで処理した上で、次の課題で考えていかないといけないと思っております。

あと、資料4の「世話」でございますが、率直なところを申し上げますと、法律の条文になる文言としては、おっしゃるとおり「ケア」と書けると本当はいいのだろうと思うのですけれども、日本語の条文の世界の中で相当する文言としては、どうしても「世話」という表現に、政府の提出する法案になりますので、表現の変更は正直難しいと思う一方で、先ほどから出てきております、親がぱんぱんである状況に鑑みたこどもの遠慮でありますとか、精神的な負担の面ですとか、あと、中村委員のほうからも御指摘のあった、家計のために働くことによって、お子さんが本来目指していた、将来、進路の変更を迫られたり、機会が奪われたりするようなもの自体が、ヤングケアラー支援において、しっかり支援すべき対象であるのはそのとおりだと思います。

ですので、条文の変更ではない形で、この後、すみません、私どももかなり自転車操業状態なもので、ヤングケアラー支援の充実に向けて、例えば通知とか、何らかいろいろ文書を出していかないといけないと思うのですが、その概略が全然できていないのですけれども、何かしら出していかないといけないので、その中で、今日御指摘いただいた重要な点について、ケアというのが物理的な介護・介助だけではないのだということがはっきり伝わるように工夫していきたいと思います。ありがとうございます。

山縣部会長:ありがとうございました。

川村委員、手を挙げられましたけれども、これは前のやつが残っていますか。

川村委員:いえ、今の課長の御説明に対して。

山縣部会長:では、短くお願いします。

川村委員:ありがとうございます。短く。

先ほど表現を変更したらいいのではないかと言ったのですけれども、それは厳しいだろうなということは、私もその思いなので、あくまでも「世話」という言葉のイメージが、物理的なものというのが世間に浸透していると思うので、用語の補足説明とか、広報していく上での補足の部分で、どうにかメンタル面を取りこぼさないというところをしていただければいいかなということで、以上です。

山縣部会長:ありがとうございました。その趣旨ですね。承りました。ありがとうございます。それはほかのところでも基本的には同じだと思います。正しく伝わるかどうかというところですね。それはそれぞれ必要な箇所で、関係者あるいは国民に向けてメッセージを出していただけたらと思います。

ということで、10分オーバーしてしまいましたけれども、これで第3回の「虐待防止対策部会」を閉じさせていただきます。喉のつかえが残ったままで新年を迎えられる委員の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、また来年、吐き出してください。よろしくお願いします。

ということで、事務局のほう、何かその他あるいは今後の予定等でありましたら、補足をお願いします。

河村虐待防止対策課長:多岐にわたる御意見を短い制限時間の中でおっしゃっていただきまして、本当にどうもありがとうございます。

たくさんの御意見をいただいております、こども家庭センターのガイドライン関係ですけれども、本日いただいた御意見ももちろん、3月までの作業の中で加筆させていただくのですが、一方で、私ども、年内に自治体さんに案をお示しすると宣言しておりまして、実際はこのポイント、5ページなのですけれども、現物は第1章だけで30ページ強になっております。今日いただいた御意見の中で、既に現物の文章体の案の中には、例えばパーマネンシーの関係ですとか、入っているものもあれば、書き切れていないところもあって。ただ、それは3月までに反映していきます。

ですので、その上でポイント版で見る印象と、現物が大分違うなというのを、御意見いただきながら、ここは実際書いてあるけれども、そう読めていないなとかがいろいろあったので、年末に宿題を出すようで大変恐縮ですが、この後、私どものホームページ上にもアップしますが、委員の皆様にも御連絡させていただきますので、よろしければ現物の案も御覧になっていただいて、とにかく3月末までに出そうとしていまして、それまで部会ができるか分からないので、気になる点とかは、できれば具体的な、こう書くといいという文章イメージを基に御提案を、ぜひメール等でお寄せいただけると大変ありがたいと思います。その事務連絡は、後ほどさせていただきます。ありがとうございます。

山縣部会長:ありがとうございました。喉のつかえが増えてしまいました。ゆっくり雑煮が食べられないかもしれませんけれども、特になければ、これで終わらせていただきます。

年末のお忙しいところ、本当にありがとうございました。オンラインの方々もありがとうございました。