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こども政策の強化に関する関係府省会議(第3回)

概要

  • 開催日時:令和5年2月20日(月)17時50分から19時30分まで
  • 開催場所:官邸2階大ホール

議事

  1. 内閣総理大臣あいさつ
  2. 有識者ヒアリング
    「幼児教育・保育の量・質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充」
      天野 妙   みらい子育て全国ネットワーク代表
             合同会社 Respect each other 代表
      奥山 千鶴子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長
             認定NPO法人びーのびーの理事長
      柴田 悠   京都大学大学院人間・環境学研究科准教授
      新居 日南恵 NPO法人manma創業者・理事
  3. 意見交換

配付資料

議事要旨

(1) 内閣総理大臣あいさつ

  • 私の政権の最優先の課題として、これまでとは次元の異なる「こども・子育て政策」に取り組むことを宣言した。
  • 地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で、こども・子育てを応援するような、「社会全体の意識」の変革を目指す。年齢・性別を問わず、皆が参加する、次元が異なる「こども・子育て政策」を進め、日本の少子化トレンドを何とか反転させたいと考えている。
  • 本日は、20 代の若者の方、子育て当事者の方、子育て支援の現場の方、研究者の方から、「何に困っているか」、「どこに重点をおいてもらいたいか」、「誰の意識を変えてもらいたいか」など、率直なご意見を伺い、こども・子育て政策の強化につなげていきたい。

(2)有識者ヒアリング
みらい子育て全国ネットワーク代表、合同会社 Respect each other代表 天野妙氏から、資料1に基づき説明があった。

NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長、認定NPO法人びーのびーの理事長 奥山千鶴子氏から、資料2に基づき説明があった。

京都大学大学院人間・環境学研究科准教授 柴田悠氏から、資料3(追加)に基づき説明があった。

NPO法人manma創業者・理事 新居日南恵氏から、資料4に基づき説明があった。

(3)質疑応答・意見交換
(岸田総理大臣)

  • ありがとうございました。それぞれのお立場で具体的なご指摘をいただき、それじれ参考になる点が多々あった。
  • 昨日、「奇跡のまち」と言われる岡山県奈義町に行き、地域の皆さんと「こども政策対話」として様々な取組を聞かせていただいた。奈義町では、経済的な支援や様々なサービスについてもきめ細かくメニューが用意されていることとあわせて、一方的に行政から支援を行うということではなく、住民がサービスの提供者として、子育ての相談に乗る側、こどもを一時的に預かる側に参加していた。地域を挙げて取り組んでいるからこそ、経済的支援やサービスもより生きてくるのではないかと感じ、合計特殊出生率が 2.95 を実現した町を見てきた。
  • こうした取組をそのまま都会に当てはめることはなかなか難しい部分もあるが、経済的支援やサービスをより生かすためには、社会の雰囲気を変えないといけないのではないかと考えている。都会においても、社会がこども・子育てに前向きな雰囲気を持つことがより政策を生かすことにもつながるのではないか、そう思いながら昨日視察をし、本日話を聞かせていただいたが、そういった考え方についてどう思われるか。
  • 特に、都会において、雰囲気を変えるためにはどこがポイントになるのか。職場なのか、若者なのか、高齢者なのか、地域のつながりなのか。どこから手を付けるのが効果的なのか。思うところがあったらお聞きしたい。

(奥山氏)

  • 資料 24~26 ページに掲載したが、横浜市の当法人が運営している地域子育て支援拠点施設では、こどもたちがお母さんから離れて地域のボランティアに本を読んでもらうなどしており、地域の人たちへの信頼や社会に対する信頼を育んでいる。
  • 全ての世代、特にシニア世代が活躍できる機会を、子育て支援、保育所、幼稚園などに設けていくことが大事ではないか。現状、子育て支援員の研修の仕組みがあり、こうした研修機会を活用してはどうか。高齢者雇用安定法におけるスキームをうまく活用するなどすれば、企業も巻き込めると思う。
  • 私の団体では、ボランティアを多様な入口で募集しており、無償も有償もある。また、現役のパパ・ママにも力を発揮してもらっている。人材が足りないというよりは、仕組みづくりが大事なのではないか。

(天野氏)

  • 地域に男性がいない。労働時間が長すぎるということともあるが、土日も男性が地域社会にいない状況。私自身、公立の保育園に娘を通わせていて、上の娘は 14 歳だが、パートの方から大きくなったねとか、誰かと歩いていたとか、様子を教えてくれる。地域のつながりは、保育園のときに初めてできた。こどもが生まれるまで、行政と関わるのはごみ出しくらいだったが、地域社会とのつながりのスタートは子育て。そこを女性だけの領域にしないことがすごく大事ではないか。

(柴田氏)

  • 男性の育児参加のためには育休が非常に重要だが、北欧の研究で一番効果が大きかったのは、職場で特に男性上司が育休を取ることであり、部下の男性達も取れるようになった。職場において、いかに男性上司の育休を促進するか、中間管理職の方々の育休取得促進が重要。

(新居氏)

  • こどもに触れたことがないまま親になる人が多い。親にならなかった場合は、大学生や若いうちにこどもに触れたことがないままだと、こどもとの接点がない人が多くいることになる。そういう人がこどもにウェルカムな雰囲気、温かい雰囲気を出すというのは難しいのではないか。地域のこどもと関わるなど、若い人がこどもと接点を持たないといけないような環境づくりが重要ではないか。

(柴田氏)

  • 総理からのメッセージが重要。岸田総理や小倉大臣など責任のある方々が子育ての現場に行って、子育てを応援するというメッセージを示して、どんどんやってよいのだと思ってもらうことで、男性の育児参加も地域の関わりも増えてくるのではないか。

(奥山氏)

  • 乳幼児の子育て支援をすればするほど、こどもが生まれる前から知っておいたらよかった言う人が多い。こどもが生まれた後のイメージがもてず、こんなに体が疲れるとは思わなかった、こんなに夜泣きすると思わなかった、仕事への復帰なども考えないといけないとなると、いろいろなことが押し寄せる。パートナーが料理できないなどあると、ストレスもたまる。産前からイメージを持つ経験をしていかないと厳しいのではないか。
  • だからこそ、里帰りができない家庭に対して地域の方が家事支援として訪問できると、その後に例えばファミサポはおおむね小学6年生くらいまで使えるので、妊娠中に利用した人はこどもが高学年になるまでサポートしてもらえる可能性がある。家事支援とファミサポは業務内容が異なっていても、訪問する人は同じ人という場合も結構ある。こどもや子育てに関わる人が増えるほど地域の意識も大きく変わるし、支えられた方が今度は担い手になってくださる。出産という子育てのスタートの時に地域が応援するということがすごく大事。

(天野氏)

  • 総理のメッセージはすごく大事であり、国民が心躍る発信をしていただきたい。例えば、資料3に記載している法定労働時間の6時間化というのは大胆な政策かもしれないが、全国民を巻き込むことができ、響くと思う。加えて、柴田先生資料9ページの右側に、平均労働時間が週6時間減少すると出生率 0.52UP とある。難しいかもしれないが、3年以内にぜひ発信して、進めていただきたい。

(新居氏)

  • 赤ちゃんが突然泣きだすと、大人が思う通りには物事が進まないと思うように、例えば、オンライン会議や電車でこどもが急に泣き出すことには抵抗を感じると思うし、その積み重ねで歓迎されていないと感じてしまう。大学の授業にこどもがいてもいいし、会議中に後ろでこどもが泣いていてもいい。今、できていないことを言葉にして変えていくことが非常に大事。

(記者退出)

(岸田総理大臣)

  • 本日はこれで退出するが、協力に感謝。様々なご指摘をいただいたが、現在、小倉大臣の下で整理をし、たたき台を作る作業をしている。それを基に、6月を一つの目標とし、次元の違う子育て政策として、個々の政策のメニューも用意するが、全体としてどういうパッケージを示せるか。
  • 子育てに前向きに思っていただけるとともに、子育てを社会が応援するようなパッケージを示すことが大事。様々なご意見を頂いたが、政治の立場から発信する大切さを念頭に置きながら、努力をしていきたい。メッセージも大事ということも踏まえていきたい。皆様からの指摘を一つ一つ積み重ねながら取りまとめたいと思うので、今後ともお力添えをお願いしたい。

(岸田総理大臣退席)

4名の有識者から追加で補足説あり。その後、有識者と構成員との質疑応答。

(構成員)

  • 昨今、少子化が深刻、保育等の現場での虐待等の不適切事案の報道があって、こどもと接することが、本当は明るく希望に満ちた誇らしいものであるにも関わらず、子育てが極めてネガティブに受け取られている。解消に向けて、総理も仰っていたような社会的な雰囲気作りも必要だし、子育ての負担感など子育てを大変に思っている方を社会全体で支えることも大事。同時に、子育てによって得られる喜びなどポジティブな面も、若い方々にしっかり伝えることも大事だと思う。先生方の御所見やアイデアなどあれば教えていただきたい。

(柴田氏)

  • 義務教育の中で、赤ちゃんと接する時間を確保することがいいのではないか。実際に接してみないといくら言われても分からない。接すると赤ちゃんってかわいいなと思うのではないか。

(奥山氏)

  • 資料2のp28-29 に、「中高生による乳幼児とのふれあい体験の実施」と書かせていただいた。柴田先生同様、義務教育の中でできたらいいのにと思う。乳幼児とふれあった体験の後には、「赤ちゃんをかわいいと思うか」との問に、「80%の人がそう思う」と答えている。学習指導要領にも関連の記載はあるが、実際にやるかどうかは各学校の判断になっている。すべの中学校でやっていただけるとうれしい。
  • p28 にも書いたが、高齢者だけではなく、学生など若い世代にも、インターンなどの形でこどもに関わる仕事をやっていくことも重要。海外では学生が面倒を見ている。事故などへの配慮は必要だが、幼稚園に入ったくらいのお子さんを対象とした送迎や子育て体験や就学後のお家での見守りや学習支援などはできるのではないか。

(新居氏)

  • 中高段階での取組も大事だと思うが、こどもとの接点を持ち続けることが大事。大学生や社会人など切れ目なくこどもと触れ合っていける接点をもっていけるように。
    大学生がベビーシッターをするのは例も増えていていいと思うし、地域に開かれた大学として学生が地域の預かりに入っていくプログラムもある。企業も、社会貢献や地域貢献として実施するなどもある。中高大、社会人、そして自分がこどもを持つ直前まで、連続して接する機会の確保が重要。

(天野氏)

  • 全国民に育児インターン義務化がいいと思う。例えば育児中の人が職場で優遇を受ける場合、こどもがいない人は「ずるい」と感じてしまい、分断が生じている。しかし、全国民が育児を実体験すると、親戚のような気持ちが生まれ、子育てに寛容な社会ができるのではないか。
  • ハンガリーでも実行されているが、孫のお世話のための育休「ジジババ育休」も可能ではないか。男性育休の話は子育てが終わった人からすると、自分たちは関係ないと考えてしまうが、孫も対象とすれば、自分事としてとらえてくれるのではないか。
  • ヨーロッパの自動車メーカーのボルボ社では、ペアレントリーブ(育休)のホームページの写真が男性同士のカップルになっている。政府もそのぐらい大胆なメッセージを打ち出すとよいのでは。

(構成員)

  • 子育て体験の重要性を4人の方が指摘されたことは非常に新鮮。このような会議も作ったので、ぜひ形にできないかと思った。
  • 柴田先生にお尋ねしたい。経済的な支援に関する定量的な政策の効果は比較的測りやすいと思うが、子育てに対する社会の意識を変えることの政策効果、労働時間短縮以外にも、男性育休取得率との関係など、制度に関する政策効果が、経済学的に定量的に測れるのかどうか、教えていただきたい。

(柴田氏)

  • 1月の日経新聞の記事「幸せに生きるために」の最終回で、保育の話と両立支援の話を書いている。先進諸国を研究した有名な社会学の研究がある。両立支援が充実している国としていない国を分けた場合、両立支援が充実している国を見ると、全員が幸福感が高い、こどもを持っていても幸福感が低くならない。逆に言うと、両立支援が充実していない国は、こどもをもっている人は、当然幸福感が低い。日本では「子育て罰」と言われているもの。両立支援が何かというと、仕事と私生活の両立であり、育児に限らない。例えば、有給休暇やフレックスタイム、育休制度などの指標をポイント化し、低い国はアメリカ、オーストラリアなど。北欧やフランスのような両立支援が充実している国は、こどもをもっていても幸福感が低くならないし、こどもをもっていてもいなくても有意差がない。あとは、全員の幸福感が、他の国に比べて高い。
    両立支援は、子育て以外にも、趣味と仕事を両立したいなどの多様な生き方が可能になる。子育てが多様性の一つとして許容されることにより、全員の幸福感が高まる。
    働き方を柔軟化して、多様な私生活と両立しやすいように必要がある。両立支援のためのフレックスタイム制などに補助金を出すことになるかもしれないけれども、社会全体が多様性に寛容になっていくことが重要。
    人々の多様性への寛容さが高まると、幸福感が高まることも明らかになっている。
    寛容な私生活を許容する制度、そのためにはみんなで財源を出し合いましょうというような寛容性が高まると、人々の幸福感が高まり、子育ても幸せになっていくと考えられる。

(構成員)

  • 有識者から「法定労働時間を6時間に」というお話をいただいた一方、人のライフに対するニーズは多様で、働く時間帯を選べることが大事だとも思う。「こんな風に選べるとよい」などご意見があればお伺いしたい。

(柴田氏)

  • 選べるということが重要だと思う。多様性を許容すること、様々な選択肢があって、どれを選んでも誰にも文句を言われないことが大事。日本の男性育休はかげで文句を言われたりするが、北欧では上司が育休を取れ、誰にも文句を言われない、実質的に選べる。育休の利用を促進していくことが重要。

(奥山氏)

  • 本日言いたいことの2つ目にも入れたが「選択できる、選択に寄り添う」ことが大事。妊娠期に、夫婦間でどう育休を取るか、そういった話を夫婦内で確認するとともに、互いの会社の制度を使いこなすことが大事。そこに寄り添う人が必要。ここは母子保健とも違う分野。産前産後に、一緒に考えてくれるサポートが必要。いろんな人のケースを聞く機会を、社会の仕組みとして作っていくことが重要。

(新居氏)

  • 給料が下がらずに、労働時間を短くする選択肢が欲しいとの声がある。労働時間を短くする方向での選択肢も重要と認識。

(天野氏)

  • 大胆な少子化対策ということで、法定労働時間を6時間と申し上げたが、8時間働くと2時間残業がつく、という考え方。日本の労働時間の中で、残業時間の単価は諸外国より安いと言われている中、残業代を多く払うことになれば、企業は本気で働き方改革に取り組むのでは、との狙い。長時間仕事をしたい人がいてもいい。ただ、デフォルトは6時間で、選択できるのがいいと思う。

(構成員)

  • 人手不足の中で、高齢者が育児支援という形で社会を支えるというお話が出た。日本における労働投入自体は維持していかないといけない。育児という場面に労働力を注ぎ込まないといけないし、高齢者が貢献できる場面もあると思う。
    シルバー人材センター制度では、全国で70万人くらい登録があり、育児支援、家事支援も案件が増えている。育児の主役はお父さん、お母さんだけど、お宅に伺ってちょっとしたことを手伝う。シルバー人材センターの会員は必ずしも育児の専門家ではないということもあり、育児に他人が関わることへの抵抗、ミスマッチがあるのではと思う。支援者と支援を受ける方のミスマッチなどをどう解消されているのか、苦労されている点や提案などあれば教えていただきたい。

(奥山氏)

  • 産前産後ヘルパーとファミサポのマッチングをさせていただいている。ファミサポは地域人材の活用だが、今1か月に 1000 件くらい動いていて、ニーズは高い(人口約 36 万人、出生数 2,900 人)。マッチングはコーディネーターが苦労してやっている。家庭のニーズと近くに住む方の特性をよく理解してコーディネートしている。相性もあるので、合わないとまた次の方、というのも大丈夫ですよ、ということも申し上げている。コーディネートの研修も大事だし、担い手の研修も大事。厚労省が全国共通の支援研修を実施してくれて、保育士の資格がなくても受講できるし、受講後は認定証ももらえる。受けたけれども仕事につながらない、研修の機会が少ない等、の課題もあると思われるので人材育成に力を入れていけるといいと思う。
    また、事業者として今やりたいと思っている団体の方が、まだ参入できていないところもあるので、勘案していただけるとうれしい。

(天野氏)

  • 資料1―2にもあるが、ファミサポはニーズが高い。この議論をみらい子育て全国ネットワーク内でした際、DBSが不可欠だと話した。現在、日本版DBSの議論が進んでいると思うが、ファミサポに限らず、学童や先生、スポーツクラブなど関わる大人が小児性愛の罪歴がない、という保証がないと安心して頼めないし、広がらない。
    法律で一定のフィルターをかけつつ、ニーズとどうマッチングさせるかということが合わせて大事。

(小倉大臣)

  • 当事者と接して生の声も聞いているが、こども政策、子育て支援策は、ニーズが千差万別。地域によっても、こどもの年齢によっても、こどもの状況によっても、働き方や親の年収等によっても違う。どれか一つではなく、多様な人生設計の中で、どんな人生を歩んだとしても、しっかり社会が国が支えられるよう、まさに一つ一つに対応していきたいと思っている。天野さんの時短の話にもあったが、時短勤務者の給与補填の話だけではなく、周りで支えてくださっている職場の人、人繰りを間に合わそうとしてくださっている企業の皆さん方への支援も重要。時短勤務者が我が国では女性に偏っていて、マミートラックではないけれども、時短勤務が育休明けも続くことによって、出世が望めなくなることもある。女性だけでなく男女が交互に時短勤務を取るなど、お互いに子育てとキャリを追求できるようなことが望ましいと考えている。

(構成員)

  • (天野氏への質問)p14 貧困対策として必要な施策のうち、養育費の取り立てが一番多くなっているが、その背景など、ご意見あれば教えていただきたい。

(天野氏)

  • 私たちもこの結果には驚いた。この当時、明石市の養育費の催促をして立て替えているということで話題になっていた頃。養育費の未払いは、母子家庭の24.3%、養育費の受けたことがない人が56%を占めるというデータの注釈があったことも、牽引した要因。
  • もう一つの驚きは「義務教育の完全無償化」が一番多いだろうと思っていたが、「こどもの居場所の確保」が善戦したと思う。中高生は本当に居場所がない、と言う話はよく耳にする。勉強する場所がない、家で勉強する場所がないなど。
  • ワンチームで、みんなで少子化に対抗していきたい。選別主義から普遍主義に転換して、叡智を集めて、ぜひ皆さんと打破していきたい。

(構成員)

  • (奥山氏への質問)国と地方自治体とのあり方について伺いたい。国が異次元の少子化対策を表明してから、自治体も次々表明している。それ自体は望ましいことだと思うが、医療費無償化や給食費無償化、教育費支援などの経済的支援が中心になっていて、子育て支援のNPOを支えたり、地域の担い手を育成するなど地味だけど重要なことが、選挙でも自治体の首長のマニュフェストでも出て来づらい。自治体でやってもらわなきゃいけないのは、自治体でないとできないこと。地域にどういう団体がいて、どういう人材がいらして、お子さんがどういう状況でいるのかなどは自治体でないと分からない。自治体の大事な役割だと思う。国と地方自治体の望ましい協働関係や国から自治体にお願いしてほしいことがあれば教えていただきたい。

(奥山氏)

  • 国が大きな打ち出しをしたので、各自治体も特徴を出そうと動きが活発化している。ただ、隣の市がやったからこちらもやらないと市民から要望が上がってくるなど、〇〇無償化から脱却してパッケージで考えていかないといけないと思っている。
    いろんな人達で「わが街の子育て支援」についてしっかり話し合っていただくことが大事。当事者に近い若い職員中心にやってもいいと思う。その際に大事なのはエビデンスをきちんと出すこと。自分の街をどうしていくか、トップを含めて考えていくことが大事。そういう場に、市民団体も入れてもらえるともっと当事者の声が拾えるのではないかと思う。
  • 小さい自治体では、ファミサポを1つのNPOが受託しているが、1市3町をカバーしている。しかも、一時預かり事業で、普通は(住む市町村で)金額を変えるが、そこは変えていない自治体もある。広域連携が必要では。また、それをするためには県レベルがいいかなと。ニーズ調査も含めて、次の子ども・子育て支援事業計画を作るタイミングでもある。市町村に意欲的に取り組んでもらう方策を、考えていかないといけない。

(構成員)

  • (柴田氏への質問)出生率に対するエビデンスだけでなく、養育に関するエビデンス、例えば、就学前のこどもの育ち指針など、エビデンスに基づいてこどもの健やかな成長を促したい。出生率に与える影響というマクロの話ばかりが注目されているが、育ちに関するエビデンスも重要だと思っている。
    少子化に関してお尋ねしたいが、多子世帯への経済的支援の効果は、2子以降同じか、2子以降3子4子と加速度的に支援した方が、経済的支援と出生率という関係では効果があるのか、教えていただきたい。

(柴田氏)

  • その点は今後検討したい。
  • 経済的支援と出生率の関係でいえば、資料3のp10 真ん中あたりにあるとおり、出産一時金に関する研究については、所得下位50%の世帯にのみ効果があり、所得上位50%には効果がなかった。最も効率的に行うのであれば、所得下位50%にのみ支給するのがいい。ただ、そうすると分断が生じるし、不満が生じる。
  • また、海外と違って日本では、結婚と出産があまりにも結び付いてしまっている。
    児童手当によって結婚を後押しする必要もあるかもしれない。自民党案の方でも、一人目についても多少増額、例えば1万円増額していただければ、若い世代にとって結婚や一人目の出産のうえでメリットがあるかと思う。若い世代の求める少子化対策の第1位が教育費支援、第2位が経済的支援つまり児童手当なので、若い世代は生活が苦しいけれど、一人目を望む人が産んで毎月2万円もらえると少し楽になるという風になれば、大きなことかなと思う。

(構成員)

  • (新居氏への質問)ライフステージに合わせた総合的な少子化対策として、結婚から妊娠出産育児となるが、我が国の95%以上が結婚しているカップルからのお子さんで、かつ、結婚しづらい理由として、適当な相手に巡り合えない、したいけれども、経済的な理由でできないなどもあるので、結婚支援は意味があると思うが、ただ、子育て支援の対象は結婚したカップルだと言ったことは一度もなくて、家族形態にかかわらず、そこにお子さんがいれば支援をするというスタンス。結婚してこどもが生まれると、ライブに行けないとか、スポーツ観戦できないとかデートできないとか、一時預かりでより開放しようとしているのが、差し迫った事情でなくても、保護者の皆さんが余暇を楽しみたいという事情であってもこどもを預けられるような社会が望ましいと思う。
    今の政府の考え方は新居さんと同じだと思うが、今の若い人たちにどうやったら伝えられるか。家族制度の改修もあると思うが、政府の考えが柔軟になっていること、多様化していることをどうやったら知ってもらえるか、教えていただきたい。

(新居氏)

  • 若い人たちにどうしたら伝わるかだが、仕組みが変わる、ことが一番のメッセージかと思う。大臣の話は、それこそ若い世代で話していたことだし、伝わっていないのはもったいない。仕組みが変わることで、需要が増えて、自分のリラックスのために保育サービスを利用していいんだとなると、そうした事例がありとあらゆるところで見られるようになる。けど、今お茶したいから、短時間保育園に預けて、インスタグラムにアップするかというと、批判されちゃうから上げられない、いい時間だったけど人に言うのはためらってしまう。こういう事例が当たり前にみられるようになれば、次の世代は、こどもが生まれでも自分の時間を持てるんだと、発信しても誰からも批判を受けない、そんな社会になったんだと思えるのでは。具体的な取組としては、シルバー人材、大学生もいるなど母数が増えれば、いつでも預けられる時に預けられる環境ができ、金銭的負担なく必ず月に1回は育児のストレスから解放されて預けれ、リフレッシュした状況でこどもに接することができる、異次元ということで理想的なことを申し上げているが、自分のために時間を確保してくださいというメッセージを打ち出すということが言えるかと思う。仕組みの変化を YouTube やSNSで宣伝するというよりは、事例が物語るということかと思う。

以上