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こども家庭庁業務継続計画

計画の概要

こども家庭庁業務継続計画は、「首都直下地震緊急対策推進基本計画」及び「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」(平成26年3月28日閣議決定)が閣議決定され、両計画に基づき、作成する「首都直下地震対策編」と「新型インフルエンザ等対応中央省庁業務継続ガイドライン」(平成26年3月31日 新型インフルエンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議。)に沿って、新型インフルエンザ等の発生に備えるために作成する「新型インフルエンザ対策編」の二編からなり、あらゆる状況下において、優先して実施すべき業務を特定し、業務継続のための必要な措置を講じることにより、適切な業務の実施に資することを目的として定められています。


こども家庭庁業務継続計画(首都直下地震編)

資料

はじめに

1.本計画の背景及び位置付け
近年、発生する大規模の災害により、危機へ備える必要性は高まる一方である。
中でも、首都直下地震のような大規模災害は、首都中枢機能に甚大な影響を及ぼすおそれがある。その発生により、庁舎に被害が発生し、あるいは、利用しているライフライン施設が被災した場合においても、中央省庁は、中断すれば社会的に重大な中断すれば社会的に重大な影響を与えるおそれのある重要な業務については、継続する必要がある。

平成25年11月には議員立法により、「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(平成14年法律第92号)の改正(改正後の法律の題名は「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」)及び「首都直下地震対策特別措置法」(平成25年法律第88号)が制定され、同年12月に施行された。平成26年3月には、首都直下地震対策特別措置法に基づき、「首都直下地震緊急対策推進基本計画」及び「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」(平成26年3月28日閣議決定)が閣議決定され、各府省等は、両計画に基づき、中央省庁の業務継続計画を作成することとされた。
令和4年4月には、「中央省庁業務継続ガイドライン第3版(首都直下地震対策)」が策定された。

当庁においては、今般、「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」第2章第2節4(3)に基づき、業務継続計画を定めることとする。本計画は、特定の災害に焦点を置き、事務フロー等の具体的な業務継続体制を定め、当庁の業務継続力を向上することを目的とするものであり、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)等に基づき、防災に関し採るべき措置の基本を定めた「こども家庭庁防災業務計画」(令和5年4月1日)を補完するものである。

2.基本方針
首都直下地震発生時において当庁の機能の維持を図るべく、「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」等に従い、以下の方針に基づき、業務の継続性を確保するために必要な取組を進めていく。

①.緊急事態の初動対処業務を迅速かつ円滑に遂行する。
②. 当庁の業務継続性の確保のため、当庁の職員の安全を確保し、必要な体制を整備した上で、適切に行政資源を配分する。
③. 被災者の生活の確保等のため、必要な物資等の供給に向けた対応を検討・実施する。
④. 給付金等の支給業務について、継続性確保に向けた対応を検討・実施する。
⑤. 地方公共団体への補助金(児童扶養手当等)の交付業務について、継続性確保に向けた対応を検討・実施する。
⑥. こども家庭庁の情報発信体制の確保を検討・実施する。

なお、本計画の定める事項のほか、各局又は各課室レベルで、業務の実施手順(代替参集要員等、業務に精通していない者が業務を遂行するための手順書・マニュアル)、連絡網、データや各種機材、備蓄品の所在等の事項について定めておく。

3.計画の構成
業務継続計画は全5章で構成する。
「第1章 想定する災害・被害等」では、業務継続計画において想定する災害の規模や被害想定等について記述する。
「第2章 実施・継続すべき優先業務」では、想定する首都直下地震発生時においても、当庁として優先して実施・継続すべき業務の概要及び基本的考え方について記述する。
「第3章 非常時優先業務及び管理事務を実施・継続するための体制」では、第2章で記述した非常 時優先業務及び管理事務を実施・継続するに当たり、必要な要員等の人的資源に関し、体制を確保するための方針や権限の委任に対する考え方及び帰宅困難者の受入れ体制に関する方針について記述する。
「第4章 非常時優先業務及び管理事務を実施・継続するための執務環境の整備」では、非常時優先業務及び管理事務を実施・継続するに当たり、庁舎・施設の被害・対策等の物的資源に関し、執務環境を確保するための取組について記述する。
「第5章 教育・訓練並びに評価の実施及び計画の見直し」では、災害対応の実効性を高めるための、業務継続計画の評価の実施及び見直しに関する方針や、平時における職員に対する研修・訓練 について記述する。

第1章 想定する災害・被害等

想定災害は、中央防災会議で想定されている「都心南部直下地震」とし、その被害想定は、「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」(平成25年12月 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ)の想定を基本とする。
なお、当面の間、想定する首都直下地震以外の災害についても、必要に応じて業務継続計
画を準用することとする。

1.想定災害
想定災害とする「都心南部直下地震」の概要は、「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」に基づき、次のとおりとなる。

表1 想定災害の概要

項目想定内容
① 震源地都心南部直下(フィリピン海プレート内)
② 地震規模マグニチュード7クラス・最大震度7(政府緊急災害対策本部が設置されるものとする。)
③ 季節・時刻、風速冬・夕方、風速8m/秒(最も被害の大きい想定)

図1 都心南部直下(フィリピン海プレート内)の震度分布(出典:「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」)
都心南部直下(フィリピン海プレート内)の震度分布(出典:「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」

2.被害想定
想定災害が発生した場合の首都圏の被害状況は、「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」に基づき、次のとおり想定する。

表2 建物被害と人的被害の概要

項目想定内容
建物被害約61万棟(全壊・火災による焼失合わせ)
死者約2万3千人(建物倒壊等・火災合わせ)
避難者約300万人、都区部で約150万人(発災1日後時点)
帰宅困難者約800万人(当日時点)

表3 インフラ・ライフライン等の被害の概要

項目想定内容
電力1都3県で約5割(23区でも約5割)の停電が1週間以上継続
ガス1都3県で約3割(東京で約3割)の供給が停止。1週間後も約2割は停止
通信固定電話・携帯電話とも、9割の通話規制が1日以上継続。メールは遅配が生じる可能性
上下水道都区部で約5割が断水。約1割で下水道使用不可。
交通地下鉄は1週間、私鉄・在来線は1か月程度、運行停止する可能性。主要路線の道路啓開には、少なくとも1~2日を要し、その後、緊急交通路として使用。都区部の一般道はガレキによる狭小、放置車両等の発生で交通麻痺が発生。
港湾非耐震岸壁では、多くの施設で機能が確保できなくなり、復旧には数か月を要す。
燃料非常用発電用の重油を含め、軽油、ガソリン、灯油とも末端までの供給が困難となる。

また、本計画では、「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」に基づき、特に不確実性が高い項目については、次のとおり想定する。
(1) 停電、商用電話回線の不通及び断水は、1週間継続する。
(2) 下水道の利用支障は、1か月継続する。
(3) 地下鉄の運行停止は、1週間継続する。JR及び私鉄の運行停止は、1か月継続する。
(4) 主要道路の啓開には、1週間を要する。
なお、この場合において、庁舎の一部が使用不能となることも想定することとする。

第2章 実施・継続すべき優先業務

1.実施・継続すべき優先業務の選定に当たっての考え方
想定災害発生時においては、ライフライン等の機能が発災後に大幅に低下するため、庁舎(当庁の執務室がある建物をいう。以下同じ。)の設備機能も大幅に低下し、業務遂行に支障が生じることが考えられるほか、庁舎における職員の収容力にも制約が生じてくる。さらに、休日など勤務時間外においては、公共交通機関に多大な被害が生じ、道路の変形・火災の発生・建物の倒壊等により歩行による当庁への参集も困難な中、業務に着手できる職員は非常に限られることが予想される。
そこで、こうした行政資源の制約を踏まえ、想定災害発生時において当庁が行うべき業務を、真に実施・継続が必要であると考えられる最小限の業務(非常時優先業務)及び非常時優先業務を遂行するために必要な組織管理、庁舎管理等の事務(管理事務)に限ることとする。
具体的には、当庁が所掌する業務及び災害発生時における特有の業務を全て洗い出した上で、その停止・未実施による社会への影響度を5段階(レベルⅠ~Ⅴ)で評価し、発災後2週間以内にレベルⅢ(中程度)以上の影響が生ずると見込まれる業務を、非常時優先業務として選定する。
さらに、当庁では、こうした非常時優先業務に中程度の影響が発生するに至ると見込まれる時間を、当該業務の目標時間として設定する。被災の状況にもよるが、遅くとも目標時間までに各業務を遂行することで、多大な社会的影響が発生することを抑制することに努める。
なお、こども家庭庁防災業務計画において講じることとされている業務のうち当庁が所掌するものについては、非常時優先業務等に該当するものとする。

社会への影響度の評価区分
レベルⅠ:軽微
対象とする目標レベルに対象時間までに到達しなかったことによる社会的影響はわずかにとどまる。ほとんどの人は全く影響を意識しないか、意識をしてもその行政対応は許容可能な範囲であると理解する。
レベルⅡ:小さい
対象とする目標レベルに対象時間まで到達しなかったことにより若干の社会的影響が発生する。しかし、大部分の人はその行政対応は許容可能な範囲であると理解する。
レベルⅢ:中程度
対象とする目標レベルに対象時間まで到達しなかったことにより社会的影響が発生する。社会的な批判が一部で生じ得るが、過半の人はその行政対応は許容可能な範囲であると理解する。
レベルⅣ:大きい
対象とする目標レベルに対象時間まで到達しなかったことにより相当の社会的影響が発生する。社会的な批判が発生し、過半の人はその行政対応は許容可能な範囲外であると考える。
レベルⅤ:甚大
対象とする目標レベルに対象時間まで到達しなかったことにより甚大な社会的影響が発生する。大規模な社会的批判が発生し、大部分の人はその行政対応は許容可能な範囲外であると考える。

2.非常時優先業務及び管理事務
第2章1.の考え方に基づき選定した主な非常時優先業務と、これを遂行するために必要な管理事務について、業務開始の目標時間ごとに整理すると下表のとおりである。

表4 非常時優先業務と管理事務

目標時間非常時優先業務(※)管理事務
想定災害発生後3時間以内○情報の把握[①]○こども家庭庁の情報発信に係る業務[①]○職員・家族等の安否確認と職員の参集○こども家庭庁災害対策本部に係る業務○庁舎・設備の維持管理業務○情報システムの維持管理業務
12時間以内〇被災者の生活の確保等[②]-
1日以内-○備蓄配給業務○物品調達業務
3日以内○給付金等の支出業務[④]○支払業務
2週間以内〇地方公共団体への補助金(児童扶養手当等)の交付業務[④]-

※[ ]内は該当する政府業務継続計画上の分類: ①内閣機能 ②被災地域への対応 ③金融・経済の安定 ④国民の生活基盤の維持 ⑤防衛及び公共の安全と秩序の維持 ⑥外交関係の処理

非常時優先業務

(1)情報の把握
各部局は所掌する児童福祉施設等について、その人的・物的被害や稼働状況等を把握するため情報を収集する。また、把握した情報は(5)こども家庭庁の情報発信に係る業務の対象として、国民に迅速に提供する。

(2)被災者の生活の確保等
各部局は所掌する児童福祉施設等における被災者救援を支援するため、関係部局は飲料水、衛生材料等の供給について、速やかに関係団体等に協力を要請する。また、必要に応じ関係省庁に対して生活用品等の確保に努めるよう協力を要請する。さらに、避難所の運営や社会福祉施設等における被災者救援を支援するため、被災自治体の要望を踏まえつつ、職員がボランティアの派遣等の協力を所管部局から要請する。また、必要に応じて職員を派遣する。

(3)給付金等の支出業務
給付金等の支給業務については受給者の生活維持に直結することや支給期日又は支給月が法令によって定められていることから発災時においてもできる限り継続して業務を行う必要がある。
なお、受給者からの再審査請求については早期に採決を行わない場合には請求者の生活に影響が及ぶ場合があるため速やかな対応が必要である。

(4)補助金の交付業務
地方公共団体への補助金(児童扶養手当等)の交付業務については支給月が法令によって定められているものもあることから事務処理の期日が迫っている場合には速やかな対応が必要である。

(5)こども家庭庁の情報発信に係る業務
(1)から(4)までに掲げる業務のほか国民に周知すべき情報を適時に発信するため報道発表及び情報提供を行う広報体制を整える。
その際インターネットによる情報発信の重要性に鑑みこども家庭庁ウェブサイト及びこども家庭庁ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を活用し積極的な情報発信に努める。

管理事務

(1)職員・家族等の安否確認と職員の参集
全職員の安否を確認し、その情報を取りまとめて、こども家庭庁災害対策本部に報告する。想定災害発生時に、非常時優先業務又は管理事務に従事する職員(以下「非常時参集職員」という。)は、家族又は自分自身が負傷し参集することができない場合等を除き、速やかに決められた場所に参集する。
なお、こども家庭庁では通常の勤務時間以外の時間に参集要員へ参集を指示するシステム並びに全職員及びその家族の安否等に関する情報を集約するシステムを有しており、それらを用いて安否確認及び参集の一斉指示を実施するものとする。

(2)こども家庭庁災害対策本部に係る業務
こども家庭庁として採るべき措置を適時的確に実施するためには、緊急災害対策本部と連絡・調整を密にして、政府全体の方針に沿って、効率的かつ実効的に意思決定を行うことが必要である。このため、想定災害発生後、即時にこども家庭庁防災業務計画に基づき、政府全体の情報の集約とこれを踏まえたこども家庭庁における災害対応を意思決定するこども家庭庁災害対策本部を設置する。こども家庭庁災害対策本部の機能を確保するため、以下の業務を開始する。

  • こども家庭庁災害対策本部の設置・運営に関する庶務
  • 緊急災害対策本部及び関係府省庁等との連携により収集した被災状況に関する情報の集約・整理
  • 外部連絡先(緊急災害対策本部等)との連絡・調整
  • 職員の参集・配置に関する総合調整
  • 代替庁舎に関する調整

(3)庁舎・設備の維持管理業務等 
想定災害発生後直ちに、庁舎や設備、施設の安全性の確保及びライフラインの状況の確認を行い、庁舎の管理会社等と連携して必要な安全確保措置を採るとともに当該確認結果及び措置を、こども家庭庁災害対策本部に報告する。また、公用車を緊急時通行車両として運行できるよう、所定の手続きを行う。

(4)情報システムの維持管理業務等 
情報システムの障害の発生状況を把握しこども家庭庁災害対策本部に報告する。小被害が発生している場合には被災範囲を特定し復旧作業を行う。

3.非常時優先業務・管理事務以外の業務の取扱い
2.以外の業務遂行に当たっての考え方は、災害発生当初は業務遂行を抑制し、その後公共交通機関やライフライン等の復旧状況や当庁職員の被災状況等に応じ、非常時優先業務及び管理事務の遂行に支障を及ぼさない範囲において、職員の安全確保や庁舎の収容体制も念頭に置きながら順次、通常業務体制への復帰を目指すものとする(おおよそ災害後(災害に伴い危機的状況が発生した場合にはその沈静化後)14営業日以内を目途とする。)。

4.業務手順の共有
想定災害発生後の相当の混乱が予想される中で、的確に非常時優先業務及び管理事務を遂行することができるようにするためには、あらかじめ実施すべき業務を時系列で整理し、これを職員間で共有することが効果的である。
このため、各課室においては非常時における対応要領を時系列で整理し、平時から、関係職員間で共有するものとする。人事異動があった際には業務手順を引き継ぐこととする。

第3章 非常時優先業務及び管理事務を実施・継続するための体制

職員及びその家族の安全の確保は職員が安心して業務を継続する上で非常に重要でありまた業務継続に必要な人員資源を配分する上でも非常に重要である。こども家庭庁においては業務継続のための初動として職員及びその家族の安否確認を行うこととする。なお家族の安否確認については平時から家族内でメールや災害用伝言ダイヤル等の連絡方法を確認しておくよう周知徹底を図ることとする。
非常時優先業務及び管理事務についてはこども家庭庁災害対策本部において一元的に情報を集約する必要性や災害時優先電話等の設備の面での優位性を勘案し基本的に当庁庁舎において執行することとする。こうした前提の下第2章1.において述べたように想定災害発生時において業務に従事できる職員は極めて限定されることが想定されることから第2章2.に掲げる非常時優先業務及び管理事務を実施・継続するために必要な要員を確保すべくあらかじめ非常時参集職員等を指定するほか発災時における対応を定めることとする。

1.非常時参集職員及び非常時参集予備職員の指定
各課室の長はあらかじめ非常時参集職員を指定する。非常時参集職員については原則として平時において非常時優先業務及び管理事務を所掌している者を指定する。非常時参集職員のうちこども家庭庁災害対策本部員については職名によって指定されている。
他方、遠方に居住する職員も少なからず存在し勤務時間外に想定災害が発生した時においてはこうした職員の緊急参集は困難となることも想定されるほか家族及び職員自身の負傷等の理由により緊急参集が困難となることも想定される。このため各課室の長は非常時参集職員が交通状況や家族及び職員自身の安全確保等を理由に参集に時間を要し当該業務を目標時間内に遂行できない場合に備え徒歩により求められる時間内に庁舎等決められた場所に参集できる者を代替要員(以下「非常時参集予備職員」という。)として指定する。
また、各課室の長は指定された職員の人事異動があった場合や非常時優先業務を見直すことが必要となった場合等には速やかに新しい非常時参集職員及び非常時参集予備職員の指定を行うものとする。

2.想定災害発生時の行動
(1)勤務時間外に発生した場合
① 非常時参集職員及び非常時参集予備職員の行動
非常時参集職員及び非常時参集予備職員は東京23区内で震度6強以上の地震の情報を把握次第家族を含めた安否情報及び参集の可否を安否確認システムを用いて報告し指示を待つことなく速やかに庁舎に徒歩自転車等により参集する。やむを得ず参集できない場合は速やかに課室の長に状況を連絡する。何らかの事情により安否確認システムによる安否報告を行うことができなかった場合も課室の長に対し電話やテレワーク端末等による連絡により報告を試みる。
参集途上には余震夜間の停電路上における交通障害等があることが予想されることから職員自身が負傷しないよう参集途上の安全確保に留意しつつ可能な限り非常時参集職員間で被災状況及び参集状況の情報共有に努める。また参集に当たっては照明用具本人用の飲食物及び着替えを可能な限り携行する。冬季の場合は防寒対策に留意する。
参集後は直ちに非常時優先業務及び管理事務に従事する。

② 非参集職員の行動
非参集職員は家族を含めた安否情報及び参集の可否を安否確認システムを用いて報告した上で公共交通機関が復旧するまでの間連絡が取れるように留意して自宅等で待機し状況把握に努めつつ上司からの指示を待つ。なお待機の間自宅周辺での救出・救助活動避難者支援に携わる等地域貢献地元の地方公共団体への協力に積極的に取り組むよう努める。徒歩等による参集が可能な職員については家族の安否を確認した後状況に応じて参集し非常時参集職員が行う非常時優先業務及び管理事務の支援に当たるなど積極的に行動する。

③ 各課室の長の行動
安否確認システムで把握できない職員及びその家族の安否確認を行い総務課(職員係)に報告する。やむを得ず参集できない非常時参集職員を把握した場合は代替要員の調整を行う。
非常時参集業務及び管理事務の遂行に当たっては現に業務に従事している職員に過度の負担がかからないよう随時他の職員と交代させる。

(2)勤務時間内に発生した場合
勤務時間内に地震が発生した場合はむやみに移動せずに公共交通機関の情報が明らかになるまで庁舎内で待機し状況把握に努める。
①非常時参集職員及び非常時参集予備職員の行動
非常時参集職員及び非常時参集予備職員は家族の安否を確認し非常時優先業務及
び管理事務を遂行する。

②非参集職員の行動
帰宅困難者の大量発生により帰宅経路上での混乱が予想されることか ら帰宅経路上の混乱が落ち着くか公共交通機関についての情報が明らかになるまでの間はむやみに移動しない。
庁舎内待機中は職員自身の家族の安否を確認した後安否が確認されていない職員及びその家族の安否確認庁舎内の復旧業務非常時優先業務及び管理事務の支援庁舎内及び庁舎周辺地域の被災者の支援に従事する。

③各課室の長の行動
安否確認システムで状況を把握できない職員及びその家族の安否確認を行い総務課(職員係)に報告する。やむを得ず参集できない非常時参集職員及び非常時参集予備職員を把握した場合は代替要員の調整を行う。非常時参集業務及び管理事務の遂行に当たっては現に業務に従事している職員に過度の負担がかからないよう随時他の職員と交代させる。

3.緊急的な権限委任及び職務代行者の選任
想定災害発生時においても迅速に対応し的確に業務を遂行するために当該業務の指揮命令・意思決定の権限を有する者は非常時参集職員として原則参集することとされている。しかしながら場合によってはこうした権限者が参集できずかつ連絡が取れない場合も考えられる。
こうした事態に備えるため災害発生時の権限委任については非常時優先業務及び管理事務について権限者による意思決定が不可能な場合にはその権限は当該業務を所掌する権限者において、あらかじめ順序を定めるものとし、その順序に従い委任されるものとする。
また、権限委任が課室長未満のレベルまで行われるようなケースにおいては、特にこども家庭庁災害対策本部への報告等により的確な意思決定を行うことができるようにする。

なお、権限者が参集できない場合であっても連絡が取れ指示を仰ぐことが可能な場合は権限の委任は行わない。

4.社会全体としての業務継続体制の構築
非常時優先業務及び管理事務の遂行に当たっては緊急災害対策本部関係府省庁等との間で必要な情報を共有し有機的な連携を図ることにより非常時優先業務等を機動的かつ効果的に実施する。
また、平時から関係機関の業務継続計画と当庁の業務継続計画との整合性を検証し課題がある場合継続的改善の取組を行うこととする。

5.帰宅困難者の受入れ体制
当庁は民間ビルに所在していることから、ビル管理会社との連携の下非常時優先業務及び管理事務の遂行に支障のない範囲で可能な限り帰宅困難者支援を行う。また、平時からビル管理会社と帰宅困難者支援に関して連携を図っていく。

第4章 非常時優先業務及び管理事務を実施・継続するための執務環境の整備

当庁の非常時優先業務及び管理事務を確実に実施・継続するため次の取組を検討・実施していく。

1.庁舎の耐震安全化等及び電力の確保
庁舎については、ビル管理会社と平時から、庁舎の耐震安全化等及び電力の確保について連携を図っていく。
こども家庭庁の執務室の安全性の確保については、平時から、執務室内のオフィス家具やパソコンを始め、什器の固定等の措置を講じ、定期的に点検する。各課室においては、発災後の業務再開が円滑になるよう平時から執務室の環境整備に努める。
なお、庁舎は想定災害にも耐えうる耐震性を確保している。

2.通信・情報システムの確保 
想定災害発生時の情報通信の輻輳や通信設備の直接被害による通信途絶の影響を受け、通信が困難となる可能性を考慮し、専用回線MCA無線等の複数の通信手段の確保通信網の冗長化等の措置を講じたところ、状況に応じて、これを活用する。併せて、テレワークにより、実施可能な非常時優先業務及び管理事務については、状況に応じて、これを活用する。また、通常業務で使用しているGSS(※)のほか、中央防災無線災害時優先回線の固定電話又は災害時優先回線携帯電話を活用することにより、通信を確保する。災害時優先回線を使用する際には、こちらからの発信が他の電話よりも優先される機能を有している災害時優先電話を受信に使用することによって、発信のための利用を阻害することのないよう注意する。
また、当庁においては、BYOD利用(個人所有スマートフォン)により簡易にメールや予定表を利用出来る環境も整備している。
なお、「こども家庭庁における情報システム運用継続計画」に基づき、非常時優先業務及び管理事務に係る情報システムについて、平常時の情報システム設置拠点と同時被災しないことが想定される場所にバックアップシステムを確保する等の措置を既に講じている。
※ GSS:Government Solution Servicesの略称。デジタル庁が整備する政府職員が定常業務を遂行するために必要なツールや機器等、業務を安全かつ円滑に実施するために必要な環境を提供するサービス。

3.物資の備蓄等 
想定災害発生時に、非常時参集職員を始めとする職員が、非常時優先業務又は管理事務を実施するために必要な食料、飲料水、医薬品、毛布、簡易トイレ等の物資が不足することがないよう、庁舎等において、非常時参集職員の1週間分及び非常時参集職員以外の職員等の3日分程度の物資を備蓄するものとする。特に第1章2.により、下水道の利用支障は1か月継続することを想定することから、首都直下地震発生時における仮設トイレの確保及び廃棄物の処理について平時から庁舎の管理会社と連携・調整を行っていく。またバールジャッキ担架等の救助用資機材を備蓄するものとする。

4.代替庁舎
想定災害により庁舎での執務が不可能となった場合には、当庁の拠点の一部を施設等機関(国立武蔵野学院または国立きぬ川学院)に移転させること並びに移転する担当課室の範囲を対策本部において検討し、決定する。
上記施設においても使用が困難となった場合においては、政府業務継続計画(首都直下地震対策)に定める内閣府によるあっせんを求めその他必要な対応を行うものとする。

なお、こども家庭庁で管理する全ての公用車は、緊急時通行車両としての事前届出を行っているので、災害対策基本法等に基づく交通規制が実施された場合でも、所定の手続きの後、通行が可能となっている。

第5章 教育・訓練並びに評価の実施及び計画の見直し

1.教育・訓練等
(1)教育
業務継続計画策定後、その実効性を高めていくためには、全職員が災害発生時における業務継続の重要性への認識を深めるとともに、災害発生時の行動への理解を深めることが重要である。
また、非常時参集職員、非常時参集予備職員については、平時から、担当する非常時優先業務及び管理事務の習熟に努めることが重要である。
そのため、発災後の体制を平時から想定し、適切に業務を行えるように体制を整備して、発災後の体制に関する基礎知識を与える教育を行う。

(2)訓練
常時においても想定どおりに機能させることを目的として、毎年1回以 上、安否確認訓練、徒歩参集訓練、こども家庭庁災害対策本部運営訓練等を行うよう努める。訓練は、別途定める実施計画に基づき、適切な目標を設定し、訓練の実施結果を適切に評価するものとする。その際、必要に応じて関係機関等との連携を図るものとする。

(3)検討事項
代替庁舎での執務環境の立ち上げに関する訓練や、非常時優先業務の実施に関する訓練を行うことについて、引き続き検討を行う。

2.評価の実施及び計画の見直し
こども家庭庁長官は、こども家庭庁業務継続計画の実効性について必要に応じて評価を行い、適宜、これを見直すものとする。


こども家庭庁業務継続計画(新型インフルエンザ等対策編)

資料

こども家庭庁業務継続計画(新型インフルエンザ等対策編)(令和5年4月)(PDF/312KB)

はじめに

1.計画の策定背景と位置付け
新型インフルエンザは、毎年流行を繰り返してきたインフルエンザウイルスとウイルスの抗原性が大きく異なる新型のウイルスが出現することにより、およそ10年から40年の周期で発生している。ほとんどの人が新型のウイルスに対する免疫を獲得していないため、世界的な大流行(パンデミック)となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすことが懸念されている。ま た、未知の感染症である新感染症の中でその感染力の強さから新型インフルエンザと同様に社会的影響が大きいものが発生する可能性がある。このため、発生時においては、感染拡大を可能な限り抑制し、国民の生命及び健康を保護するとともに国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小となるようにすることが必要である。

政府の各部門では、新型インフルエンザ等(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第2条第1号の「新型インフルエンザ等」をいう。以下同じ。)の発生時においても、新型インフルエンザ等対策に関する業務を実施するほか、国としての意思決定機能を維持し、最低限の国民生活の維持等に必要な業務を円滑に継続することが必要であるとともに、関係機関や地方公共団体、国民への情報提供や支援を混乱することなく適切に行うことが求められる。
このため、全ての府省庁は、「新型インフルエンザ等対応中央省庁業務継続ガイドライン」(平成26年3月31日新型インフルエンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議。以下「ガイドライン」という。)に沿って、新型インフルエンザ等の発生に備えた業務継続計画の策定を行い、必要に応じて見直していくこととされている。新型インフルエンザ等発生時に想定される社会・経済の状況を踏まえ、当庁がその機能を維持し必要な業務を継続するために講ずべき措置をあらかじめ定めるため、ガイドラインに沿って、「こども家庭庁業務継続計画(新型インフルエンザ等対応編)」を策定することとした。

第1章 被害想定等

1.流行規模と被害想定
新型インフルエンザ等発生時に想定される被害状況は、ガイドライン及び「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(平成25年6月7日改定閣議決定。以下「政府行動計画」という。)に基づき、以下のとおり想定する。

表1 想定される被害の概要

項目想定内容
発症率全人口の25%がり患
医療機関の受診者約1,300~2,500 万人
死亡者○ 中等度(アジアインフルエンザレベル)上限約 17万人(致死率0.53%)○ 重度(スペインインフルエンザレベル)上限約 64 万人(致死率2.0%)
流行状況○ 各地域ごとの流行期間は約8週間(ピークは約2週間)○ り患者は1週間から10 日間程度り患(※1)
欠勤率ピーク時にり患して欠勤する職員の割合は、多く見積もって5%程度と考えられるが、り患した家族の看護等も含めると、職員の最大40%程度が欠勤(※2)

※1 り患した従業員の大部分は、一定の欠勤期間後、治癒し(免疫を得て)、職場に復帰する。
※2 従業員自身のり患のほか、むしろ家族の世話、看護等(学校・保育施設等の臨時休業や、一部の福祉サービスの縮小、家庭での療養などによる。)のため、出勤が困難となる者、不安により出勤しない者がいることを見込んでいる。

なお、未知の感染症である新感染症については、被害を想定することは困難であるが、新感染症の中で、全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものは新型インフルエンザと同様に社会的影響が大きく、国家の危機管理として対応する必要があるため、新型インフルエンザの発生を前提とした被害想定を参考に新感染症も含めた対策を検討、実施することとなる。
本計画は、上述の想定に基づき策定するが、これらはあくまでも過去の流行状況に基づいて推計されたものである。今後発生すると考えられている新型インフルエンザ等が、どの程度の病原性や感染力を持つかどうかは不明であり、人口密度の高い地域においてはより多くの人が感染する可能性もあり、地域差も出ると考えられていることから、被害状況や流行の拡大状況に応じ柔軟に対応することとする。

2.こども家庭庁業務継続計画との関係
新型インフルエンザ等を対象とする業務継続計画は、当庁の機能の維持を目的とし、地震災害を対象としたものと共通する要素もあるものの、被害の態様、それに対する対応が異なるため、首都直下地震発生時における当庁の基本的考え方及び必要な対応等を記載している「こども家庭庁業務継続計画」(平成30年3月一部改定)とは別に本計画を策定する。
具体的には、地震災害の場合は突発的に発生した災害からの短期間での復旧に主眼が置かれるのに対し、新型インフルエンザ等の場合は長期間にわたり最低限国民生活の維持に必要な業務の継続を図ること等、相違点が多く見られる。

(参考)ガイドラインより抜粋

業務継続計画における地震災害と新型インフルエンザ等の相違

項目地震災害新型インフルエンザ等
業務継続方針○できる限り業務の継続・早期復旧を図る○ 感染リスク、社会的責任、経営面を勘案し、業務継続のレベルを決める
被害の対象○主として施設・設備等、社会インフラへの被害が大きい○主として、人への健康被害が大きい
地理的な影響範囲○被害が地域的・局所的(代替施設での操業や取引事業者間の補完が可能)○被害が国内全域、全世界的となる(代替施設での操業や取引事業者間の補完が不確実)
被害の期間○過去事例等からある程度の影響想定が可能○長期化すると考えられるが、不確実性が高く影響予測が困難
災害発生と被害制御○主に兆候がなく突発する○被害規模は事後の制御不可能○海外で発生した場合、国内発生までの間、準備が可能○被害量は感染対策により左右される

第2章 実施体制

1.平常時の体制
平時には、新型インフルエンザ等の発生に備え、新型インフルエンザ等対策閣僚会議及び新型インフルエンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議(以下「関係省庁対策会議」という。)において関係省庁の緊密な連携を確保し、政府一体となって対応する。関係省庁対策会議では、業務継続に係る各府省間の横断的又は統一的事項に関する方針の調整や情報交換等について検討、決定する。

当庁においては、新型インフルエンザ等の発生に伴う事態に適切かつ迅速に対応するため、こども家庭庁新型インフルエンザ等対策本部(以下「こども家庭庁対策本部」という。)を設置するとともに、こども家庭庁新型インフルエンザ等対策会議(以下「こども家庭庁対策会議」という。)を開催することとしている。これらを通じて、各部局が緊密に連携を図るとともに、経済・社会機能維持に関わる事業者との連携を図る。
なお、本計画に係る意思決定は、こども家庭庁対策本部において行う。

2.発生時の体制
新型インフルエンザ等が発生した場合、政府において特措法第15条第1項の規定に基づき新型インフルエンザ等対策本部(以下「政府対策本部」という。)が設置され、基本的対処方針の決定等が行われる。また、内閣官房に、内閣官房副長官補(内政)を長とする新型インフルエンザ等対策本部事務局(以下「政府対策本部事務局」という。)が組織され、各種対策の調整等が行われる。
当庁においては、政府対策本部事務局と緊密な連携を図りつつ、内閣府特命担当大臣が別に定めるところによりこども家庭庁対策本部を設置して、同本部において本計画の発動を決定する。また、こども家庭庁長官が別に定めるところによりこども家庭庁対策会議を開催する。各部局においては、本計画の発動を受け、あらかじめ定めておいた人員体制等を、実際の状況に合わせて調整しつつ、具現化する。
なお、新型インフルエンザ等の発生段階に応じ、職場における感染対策や継続すべき業務内容を変更する。また、病休者等の増加により、職員の勤務体制や指揮命令系統も変化することから、実際の状況に応じて対応を変更する等、弾力的な運営を行う。

第3章 発生時継続業務等

1.業務継続の基本方針
当庁においては、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、適切な意思決定に基づき、政府行動計画等で取り組むこととされている業務であって、新型インフルエンザ等の発生により新たに発生し、又は業務量が増加するもの(以下「強化・拡充業務」という。)を優先的に実施するとともに、最低限の国民生活の維持等に必要な業務であって、一定期間、縮小・中断することにより国民生活、経済活動や国家の基本的機能に重大な影響を与えることから、国内感染期であっても業務量を大幅に縮小することが困難なもの(以下「一般継続業務」という。)を継続する。

(1)強化・拡充業務及び一般継続業務(以下「発生時継続業務」という。) を実施及び継続できるよう、必要な人員、物資、情報入手体制、相互連携体制等を確保する。特に人員については、国内における新型インフルエンザ等の発生以降、発生時継続業務以外の業務を一時的に大幅に縮小又は中断し、その要員を発生時継続業務に従事する職員が欠けた場合の代替要員として確保する。
(2)発生時継続業務以外の業務のうち、感染拡大につながるおそれのある業務については極力中断する。
(3)多人数の参加を得て行う会議等の業務については、通信機器の活用を図る等代替手段を検討し、それが困難な場合には、中止又は延期する。
(4)発生時継続業務を適切に実施・継続するため、職場における感染対策を徹底し、交代制勤務等感染リスクを低減させるための勤務体制を工夫する。
(5)感染リスクが高いものの、やむを得ず継続することが求められる業務については、より感染リスクの低い実施方法への変更等を検討する。

2.発生時継続業務の選定(業務仕分け)
新型インフルエンザ等発生時において、必要な業務を継続するために、業務の絞り込みを徹底して行い、必要な体制を検討した上で、適切に行政資源を配分するため、あらかじめ、発生時継続業務の選定を実施する。その際の基本的考え方は以下のとおりである。

(1)強化・拡充業務
強化・拡充業務とは、政府行動計画等で取り組むこととされている業務であって、新型インフルエンザ等の発生により新たに発生し、又は業務量が増加するものである。当庁においては、以下のような業務が考えられる。

  • 児童福祉施設等の対応について、地方公共団体と連携し、状況把握、支援及び調整等を強化
  • 保護者の新型インフルエンザの罹患に伴い、要保護児童が増加すると想定され、児童福祉事業が的確に運営されるよう地方公共団体への支援、調整等を強化
  • 新型インフルエンザ等対策に関する情報収集・分析、連絡調整
  • 庁内感染対策業務(マスク、消毒液の配布・補填、感染媒介の懸念がある箇所の消毒等)
  • 職員に対する注意喚起・指導
  • 広報啓発関係業務

(2)一般継続業務 
一般継続業務とは、最低限の国民生活の維持等に必要な業務であって、一 定期間、縮小・中断することで、国民生活、経済活動や国家の基本的機能に重大な影響を与えることから、国内感染期であっても業務量を大幅に縮小することが困難なものである。当庁においては、以下のような業務が考えられる。
なお、一般継続業務であっても、国内感染期の行政需要の低下により、一定期間の休止や業務量縮小が可能なものがあり得ることから、業務内容や作業手順を精査し、より少人数により短時間で効率的に実施するための工夫を行う。

  • 届出・許認可等申請への対応業務については、国民や事業者等に義務を課し、権利を付与する事務は可能な限り期限を延期するなど、事務を簡素化する工夫を行う。
  • 給付金等の支給業務については、受給者の生活維持に直結することや、支給期日又は支給月が法令によって定められていることから、新型インフルエンザ等発生時においても継続して業務を行う。
  • 発生時継続業務を継続するための環境を維持するための業務(物品購入・契約、庁舎管理等)
  • 予算関連業務等(予算・決算、税制、組織・定員、会計検査への対応等)
  • 国会関連業務(質問・資料要求への対応等)

(3)発生時継続業務以外の業務(縮小・中断業務)
発生時継続業務以外の業務(縮小・中断業務)とは、中長期的な業務等、緊急に実施することが必須ではなく、一定期間、大幅な縮小又は中断が可能な業務であり、施策の実施が遅れることにより国民生活や経済活動に一定の影響はあるが、行政資源配分の優先順位の観点から一定期間の大幅な縮小又は中断がやむを得ないものである。当庁においては、以下のような業務が考えられる。

  • 調査・研究、統計に関する業務
  • 白書等作成業務
  • 採用業務
  • 不急の会議(審議会、検討会、意見交換会等)の開催
  • 不急の各種ヒアリング、面談
  • 不急の出張(国内・国外)
  • 研修・講演等の開催
  • 福利厚生
    なお、発生時から段階的に業務を縮小し、国内感染期には可能な限り中断を検討する。そのうち、感染リスクが高い業務については、基本的には中断し、中断できない場合であっても、必要最小限の業務のみに縮小して継続する。特に不特定多数の者が集まる場を設定する業務(説明会、審議会等)については、インターネットや電子メールの活用など代替手段を検討し、それが困難な場合には、中止又は延期する。

第4章 人員・物資等の確保

発生時継続業務については、新型インフルエンザ等発生時において業務に従事できる職員は極めて限定されることが想定されることから、第3章に掲げる発生時継続業務を実施・継続するために必要な人員・物資の確保等のため、新型インフルエンザ等発生時における対応を定めることとする。

1.指揮命令系統の確保
新型インフルエンザ等発生時に、業務の指揮命令・意思決定の権限を有する者がり患した場合おいても、迅速に対応し的確に業務を遂行する必要がある。こうした事態に備えるため、新型インフルエンザ等発生時の権限委任については、発生時継続業務について権限者による意思決定が不可能な場合、当該権限は、当該業務を所掌する者のうち、代行者をあらかじめ確保することとする。
また、幹部と代行者が同時にり患しないよう措置を講ずる。
なお、権限委任が課室長未満のレベルまで行われるようなケースにおいては、特に、こども家庭庁新型インフルエンザ等対策本部と密接に連携をとり、意思決定を行うこととする。

2.発生時継続業務にあたる人員の確保 
(1)人員計画の策定
各部局において、発生時継続業務の遂行に必要となる人員を確保するための計画(以下「人員計画」という。)をあらかじめ策定する。
具体的には、まず、発生時継続業務の範囲決定後、それらの業務を遂行するために必要な人員を整理する。次に、発生時継続業務以外の業務についても、縮小又は中断するための手続きや広報が必要となり、代替策を講ずる必要がある場合もあると考えられ、これらに関わる業務と必要な人員を整理する。
人員計画の策定に当たっては、第1章1.にあるとおり職員の欠勤率を40% と想定し、家族の世話や看護等出勤困難となる可能性のある職員や、発生時継続業務の遂行のために必要となる専門知識・特殊技能等を有する等代替が困難な職員を具体的に把握した上で検討を進めることとし、強化・拡充の業務量が増加しても庁全体が機能するように策定する。

(2)勤務形態の検討
人員計画策定に当たり、勤務時の感染機会を低減するため、必要に応じ在宅勤務を行うことを検討する。
この場合には、在宅での勤務内容について、「現行制度下でのテレワーク実施に関する考え方(指針)」(平成16年7月 人事院・総務省)のもと、当庁におけるテレワーク実施要領に従い、対象となる業務や職員、在宅勤務の方法について検討を行い、あらかじめ決定する。
なお、現在在宅勤務を行うに当たっては、GSSの行政端末により、職場に近い環境での在宅勤務が可能となる。

3.物資・サービスの確保 
庁舎管理や清掃・消毒業務、各種設備の点検・修理、消耗品の供給等、新型 インフルエンザ等発生時においても継続して確保することが必要な物資・サービスについて、提供事業者に対し、事業継続に向けた協力を要請する。当該事業者における事業継続が困難と判断される場合には、代替策を検討する。また、業務継続に必要な物資について備蓄を進める。

4.情報システムの維持 
新型インフルエンザ等発生時においては、海外からの情報収集、国民や事業者、関係機関等への情報発信が重要となるため、情報システムの維持は不可欠である。このため、当庁情報システムの整備及び管理に万全を期し、感染拡大によるメンテナンスサービス等の不足等も想定して措置を講ずる。

第5章 感染対策の実施・徹底

新型インフルエンザの感染経路は、現段階では特定することはできないものの、飛沫感染と接触感染が主な感染経路と推測されていることから、この2つの感染経路についての対策を講ずることが必要であると考えられる。また、未知の感染症である新感染症の感染経路は、病原体ごとに異なるが、飛沫感染と接触感染の他に空気感染も考えられる。

1.職場における感染対策
職員においては、新型インフルエンザ等に関する情報に注意しつつ、感染対策に努める。感染対策の例は以下のとおりである。

  • 咳エチケット
  • マスク着用
  • 手洗い
  • 対人距離の保持
  • 清掃・消毒

また、 来訪者について、発熱している場合には庁舎への入館を控えてもらうよう事前調整の段階で呼び掛ける等、来訪者への理解を促す。来訪者と継続的に接触する場合には、当該職員にうがい・手洗いを励行させるとともに、来訪者との距離を1~2m以上とれるような配置とし、必要に応じ、マスクの着用を促す。また、こうした措置について来訪者からの理解を呼び掛けるチラシ等を作成し、来訪場所入口に掲示する。

2.発症者等への対応
(1)健康上具合の悪い職員に対しては、通勤前に医療機関の受診を勧奨し、早めの休暇取得を呼び掛ける。インフルエンザ様症状を発症している場合には、海外発生期、国内発生早期においては帰国者・接触者相談センターに、国内感染期においては病院・診療所に相談の上でその結果を連絡させる。当該職員に対しては、必要に応じて、病気休暇を取得するよう要請する。
職員が新型インフルエンザ等に感染したことが発覚した場合、職員に対し、医師の診察を受けて適切な対応をとることを勧奨する。また、感染した職員と同一部署等における濃厚接触者である職員を把握し、健康状態の把握に努める。

(2)新型インフルエンザ等に感染した職員に対しては、病気休暇の取得を要請するとともに、併せて、外出自粛を徹底するよう要請する。当該職員が出勤しようとする場合は、人事院規則10-4第24条第2項の規定に基づく就業禁止とすることができる。

(3)濃厚接触者として、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の規定に基づき外出自粛等を要請された職員に対しては、人事院規則15-14第22条第1項第16号の規定に基づく特別休暇の取得を認めるとともに、外出自粛を徹底するよう要請する。

(4)庁舎内において発症者が発生した場合には、各部局において、海外発生 期、国内発生早期においては帰国者・接触者相談センターに、国内感染期においては病院・診療所に連絡し、対応を確認し、発症者を医療機関又は保健所の搬送車等により、指示された医療機関に搬送する。
また、発症者と濃厚接触の可能性がある職員については、帰国者・接触者相談センターに連絡して、その指示に従う。

3.季節性インフルエンザワクチンの定期的な接種
季節性インフルエンザワクチンについては、これを接種することにより、 医療機関の受診の必要性及び医療機関の混雑の可能性を減じることが期待できる。また、新型インフルエンザと従来からの季節性インフルエンザの双方に有効とされるタミフル・リレンザ等の抗インフルエンザウイルス薬が、新型インフルエンザ感染拡大時に仮に不足するような事態になった場合においても、季節性インフルエンザワクチンを接種しておくことにより、季節性インフルエンザの感染の可能性を減じ、ひいては、抗インフルエンザウイルス薬の不足に直面する可能性を減じることが期待できる。
このように、新型インフルエンザ発生時に混雑が予想される医療機関への受診の必要性を減じ、また、抗インフルエンザウイルス薬の不足に直面する可能性を減じることが期待できることから、副反応のリスクを理解させた上で、職員に対し、インフルエンザ予防接種を受けることを勧奨する。

第6章 業務継続計画の実施

1.発動
海外で新型インフルエンザ等が発生し、政府対策本部が設置された場合、内閣官房に置かれた政府対策本部事務局と緊密な連携を図りつつ、こども家庭庁対策本部を開催し、本計画の発動を決定して、事態の状況に応じてあらかじめ定めておいた人員体制等に移行する。
初期段階(海外発生期、国内発生早期)では、発生した新型インフルエンザ等の重篤性、感染力等が不明である可能性が高いので、発生時継続業務以外の業務については、状況を見ながら必要に応じて縮小・中断する。

2.状況に応じた対応
本計画発動後は、事態の進展に応じ、本計画に沿って、人員体制等を変更する。その際、業務遂行上生じた問題等について、こども家庭庁対策本部に情報を集約し、必要な調整を行う。

3.通常体制への復帰
政府対策本部が小康期に入ったことを宣言した場合、こども家庭庁対策本部は、通常体制への移行を検討する。
なお、小康状態の後、第二波、第三波が到来する可能性があることから、感染対策を緩めることなく、第二波、第三波に備えた対応を検討する。

第7章 業務継続計画の維持・管理等

1.関係機関との連携
本計画について、業務遂行上関係のある府省、地方公共団体その他の関係機関との連携を確保し、
積極的に調整を行う。

2.教育・訓練
本計画を有効に実施するため、全職員に対し周知徹底する。特に、発生時継続業務に従事する職員に対しては、発生時の対応について周知し、理解させるとともに、定期的に教育・訓練を行うことが望ましい。
また、庁舎内において発症者が発生した場合に対応する職員等、適切な個人防護策を講じる必要がある職員に対しては、綿密な教育・訓練を行うよう努める。

3.点検・改善
本計画を有効に実施するため、各部局においては、人員体制等の計画について、人事情報等を反映し、継続的に更新する。
本計画については、新型インフルエンザ等に関する新しい知見が得られた場合、政府行動計画等に変更があった場合等には、適宜改正する。