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加藤大臣記者会見(令和6年2月13日)

加藤大臣記者会見要旨

(令和6年2月13日(火)10時46分から10時57分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭、私から2件につきまして御報告がございます。
 
まず、令和6年能登半島地震の被災地訪問についてでございます。2月10日土曜日、令和6年能登半島地震の被災地である石川県を訪問いたしました。
 
まず、午前は、七尾市において、「本宮のもり幼保園」と「矢田郷地区コミュニティセンター」の状況を視察いたしました。「本宮のもり幼保園」では、震災後のこども、保護者のご様子や、保育士の確保等の今後の課題などについて、園長や保育士の方々と意見交換を行いました。
 
また、「矢田郷地区コミュニティセンター」では、1次避難所の状況を視察するとともに、こどもの居場所づくりに取り組むNPO法人や、ご自身のクリニックや避難所において被災した女性の支援に取り組まれている医師の方、居場所を利用しているこどもたちとの意見交換を行いました。
 
次に、午後は、金沢市内の「いしかわ総合スポーツセンター」において1.5次避難所の状況を視察し、こどもや男女共同参画の視点に立った避難所の運営等について、関係団体と意見交換を行いました。
 
また、石川県庁におきまして馳知事と意見交換を行い、知事からは、保育士確保のための応援派遣の枠組みや国の財政支援の検討のほか、保育施設への心理士等の巡回支援など、被災したこどもの心のケアなどについての要望をいただきました。また、知事には私のほうから以下4点のことをお伝えさせていただきました。
 
男女共同参画の視点に立った避難所運営がなされているか引き続き状況の把握をお願いしました。また、一次避難所等の支援への女性職員の派遣をぜひためらわないで行っていただきたいこと。3点目として、避難所チェックシートの活用、関係機関、民間団体等への周知をお願いしました。最後4点目として、DV、性暴力被害の防止の観点から防犯ブザーの活用や相談しやすい環境の整備への尽力をお願いさせていただきました。
 
今回の視察を通じて、災害時におきましても、こどもが安全・安心に遊んだり学んだりすることができる居場所を確保することや、女性が実際に現場へ参画し、男女共同参画の視点の重要性について発信することが必要であることを改めて実感をしたところでございます。
 
また、今回の視察を踏まえ、1つ目に、保育士が足りない状況を踏まえた対応として、年度が替わる4月以降も、被災したこどもの受け入れ先の保育所等の配置基準緩和や定員弾力化を継続すること、2つ目に、被災したこどもの心のケアとして、保育施設への心理士等の巡回支援について、既存の予算事業である「若手保育士や保育事業者等への巡回支援事業」が活用できるということの2点を、本日事務連絡で周知することとしております。
 
その際、1つ目の対応によりまして、避難先の保育所等を利用している被災したこどもが、生活の拠点を移した場合にも、待機児童とならずに、引き続きそのまま利用している保育所等を利用できるようになることを周知するとともに、2つ目のこどもの心のケアにつきましては、石川県庁と連携して体制の整備を進めてまいります。
 
このほか、先日の視察の状況、意見交換の内容や現在集計している被災したこどもの受け入れ状況等の実態調査の結果等を踏まえながら、必要な対応を検討してまいります。
 
こどもや女性をはじめとする被災者の支援、児童福祉施設等の復旧・復興、男女共同参画の視点に立った取組や避難生活における安心安全の確保等について、今後も被災地のニーズをしっかりと把握し、より的確な支援を行ってまいります。
 
その他の詳細につきましては、こども家庭庁にお尋ねいただければと思います。
 
冒頭発言の2件目でございます。新たな高齢社会対策大綱の検討について、高齢社会対策を担当する大臣として報告いたします。
 
我が国におきましては、少子高齢化が進行し、健康寿命や平均寿命の延伸、高齢者の単身世帯の増加など、経済社会における様々な変化が急速に進んでおり、これらの変化に伴う社会課題に適切に対処し、持続可能な経済社会を構築するための変革を進めていくことが必要でございます。
 
このため、本日、高齢社会対策会議を持ち回りにて開催し、本年夏頃を目途に、新たな「高齢社会対策大綱」の案の作成を行うことを決定いたしました。また、大綱の案の作成に資するため、お手元に配付の資料のとおり、本日、「高齢社会対策大綱の策定のための検討会」の開催を決定いたしました。第1回につきましては、2月15日に開催を予定しております。
 
詳細は、政策調整担当にお尋ねください。
 
冒頭、私からは以上になります。

2.質疑応答

(問)ベビーシッターの割引券について伺います。割引券をめぐっては、去年10月に発行上限に達し配布を停止しましたが、半数が利用されていなかったため、配布が再開されました。現在の利用状況と、そして、一部報道でもあったのですが、来年度の配布枚数の検討状況について教えてください。

(答)「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」につきまして、令和5年12月末までの割引券の発行枚数は約48万枚、利用者枚数は約33万枚となっております。
本事業につきましては、新型コロナウイルス等により多様な働き方が進んだことや、事業の認知が進み、利用する企業や地域が広がってきたことにより、近年、割引券の利用枚数が増加傾向にあります。この傾向を踏まえ、割引券の活用が必要な方々が制度の枠組みの範囲で活用いただけるよう必要な予算を確保するため、令和6年度は約70万枚の利用枚数を見込み、対前年比約6.8億円の増額としております。
令和6年度につきましては、未利用の割引券が企業に滞留することのないよう、1回当たりの発行枚数を令和5年10月までの企業当たりの年間発行上限枚数の12分の1となる枚数から24分の1となる枚数とするほか、企業ごとの年間上限枚数の階層を従業員の規模に応じて4階層から7階層に細分化すること、また、利用する企業や利用者に対して本事業の趣旨や上限等があることの周知を徹底すること等を検討しております。
また、本事業につきましては、都市部と地方の利用状況の違いなど様々な課題が指摘をされており、今回の予算の増額と併せて、制度の運用の在り方について、丁寧に議論していくことが必要と考えております。今後更なる検討を進めてまいります。

(問)出生率についてお伺いします。出生率回復の成功例とされてきたフランスで、国立統計経済研究所によると同国の出生率が過去最低の水準となりました。高い水準の出生率を維持することの難しさが浮き彫りとなったと受け止める向きもあります。これについての大臣の受け止めと、改めて日本の出生率低下の現状認識と改善に向けた具体的方策や意気込みをお聞かせください。

(答)フランスの2023年の出生率が1.68と過去最低水準になったことは承知をしており、フランスを始めとする諸外国においても、少子化の進行は深刻な問題であると認識をしております。
我が国におきましても、少子化の進行は危機的な状況にあり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでのこれからの6~7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると受け止めております。
このため、昨年末に取りまとめられた「こども未来戦略」に基づき、若い世代の所得を増やすこと、社会全体の構造や意識を変えること、全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援をすることの3点を柱に据えて、前例のない規模で少子化対策の強化に取り組んでまいります。
今年は、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減、保育所の76年ぶりの配置改善、こどもの貧困や虐待防止といった多様な支援ニーズへの対応など、いよいよ政策が本格実施されるステージに入ります。今国会に必要な法案を提出し、スピード感を持って実行に移してまいります。
あわせて、単に制度や施策を策定するのではなく、社会全体でこどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要であり、車の両輪として進めてまいります。

(以上)