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小倉大臣記者会見(令和5年6月27日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年6月27日(火)11時02分から11時23分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1. 発言要旨

今日は、冒頭5点あります。
まず、1点目。送迎用バスに対するこどもの置き去り防止対策として、6月末の安全装置の装備状況の調査結果がまとまりましたので、本日、公表させていただきます。

調査の結果、6月23日までに報告のあった保育所など安全装置の装備の義務付け対象となっている施設の送迎用バス50,019台のうち、27,566台、約55.1%が6月末までに安全装置の装備を完了する予定との回答をいただきました。

この結果につきましては、安全装置導入の義務化まではまだ半年以上ありますものの、これまで可能な限り6月末までに装備するよう求めてきたことを踏まえますと、十分とは言えないと受け止めております。

他方で、5月15日時点で約15.6%だったものが、この1か月半で約55.1%まで上昇しており、装備が加速化している状況にあることも分かりました。

なお、こどもの安全を確保する観点から、法令上、安全装置を装備するまでの間はチェックシートを備え付けるなどの代替措置を講じることとしており、この点は十分御理解いただければと考えております。

今回の調査結果を踏まえまして、これから御説明申し上げる対応の強化を行わせていただきます。

まず、施設については、以下の内容の通知を発出するなど働きかけを強化します。

第一に、装備が進んでいない施設に対しては、これから車内置き去りよる熱中症等のリスクが更に上昇することを考慮し、こどもの安全を第一に考え、極力早く装備を進めること。

第二に、こども家庭庁のホームページに安全装置のリストを掲載していることに加え、取付け事業者のリストを提供するので、早期の装備に向けて活用することを検討すること。

第三に、やむを得ず安全装置が装備できていない間は、運転席に確認を促すチェックシートを備え付けるとともに、車体後方にこどもの所在確認を行ったことを記録する書面を備えるなどの代替措置を徹底すること。

第四に、こどもの安全に関する情報を保護者等に積極的に提供するという観点から、自分の施設における安全装置の装備予定や代替措置の実施状況等の情報を、保護者に情報提供することを検討することであります。

続きまして、自治体に対しては、管内の施設における装備状況・予定を積極的に公表することを依頼し、自治体からの働きかけの強化を図ります。

さらに、事業者に対する依頼でありますが、安全装置の製造メーカーや取付け事業者の所属団体に対しては、安全装置の出荷や取付けの促進への配慮を依頼し、事業者の円滑な対応を働きかけます。

こどもの尊い命が失われる悲惨な事案を二度と発生させてはなりません。施設職員の皆様におかれましては、日々、安全管理マニュアルを活用し、こどもの出欠や所在の確認に取り組んでいただいているものと承知しておりますが、ヒューマンエラーを防ぎ、置き去り防止の徹底を図るためには、安全装置の装備を速やかに進めていくことが重要です。

我々としては、今回の調査内容について、施設類型や地域による達成率の違いを更に分析し、更に働きかけを強化してまいりたいと思います。

詳細につきましては、記者会見終了後にこども家庭庁からブリーフィングをさせていただきます。

2点目です。明日6月28日に、練馬区の放課後児童クラブを視察いたします。放課後児童クラブの受皿整備などの計画であります「新・放課後子ども総合プラン」は、今年度が最終年度となります。利用しているこどもの数が増えている一方で、残念ながら待機児童が発生している状況が続いております。

今回、現場の実態や課題について意見交換を行い、その内容を踏まえて、今後、待機児童の解消や質の向上に向けた取組の加速化について検討してまいりたいと思います。

詳細につきましては、こども家庭庁にお尋ねください。

3点目です。こちらも明日6月28日に、「第1回障害児支援部会」を開催いたします。障害児支援については、家庭、福祉、教育の連携が重要と考えております。こども家庭庁の設立とともに、障害児支援に関する業務を厚労省からこども家庭庁に移管いたしました。こども家庭庁が司令塔機能を発揮することで、これまで以上に家庭、福祉、教育の連携を強化し、障害児への支援を充実させ、インクルージョンを推進してまいります。

施策の推進に当たっては、現場の支援者、自治体、学識経験者、そして当事者の皆様の声をしっかりと聞くことが重要であり、明日の部会は、まさにその議論の場がスタートするものとなります。

第1回では、令和4年に改正された児童福祉法の施行に向けた取組状況等について議論する予定であり、私も出席させていただく予定であります。

詳細は、事務方にお問い合わせください。

4点目は、こども・若者の性被害防止に関するヒアリングの実施についてです。今日の14時から、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」及び「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」の2回目の合同会議を開催し、有識者等からのヒアリングを行います。

本合同会議は、こどもや若者の性被害防止のために、これまでの対策に加え、関係府省それぞれにおいて対策の強化を図るため、6月13日に初めて開催したものであり、関係府省が連携し、実効性のある強化策を検討していくこととしております。

この検討に当たっては、有識者や支援者などの御意見を伺うとともに、被害に遭われた当事者の方々の声も丁寧にお聞きしながら議論を進める必要があると考えております。

そこで、ヒアリングの初回となる今日の合同会議では、まず、地域における現状や取組事例などについてお話を伺うとともに、こどもや若者の性被害防止に関して詳しい有識者の方から御意見をいただく予定であります。

今日のヒアリングを通じて、こどもや若者の性被害を巡る現状や課題をしっかりと把握し、実効性ある強化策をお示しできるよう、検討を進めてまいりたいと考えております。

会議の詳細につきましては、男女局及びこども家庭庁にお尋ねください。

最後5点目です。孤独・孤立対策に関する海外との連携に関して、2国間連携の強化・深化という観点からの取組について、御報告させていただきます。

昨日、ドイツ連邦共和国のリサ・パウス連邦家庭・高齢者・女性・青少年担当大臣と、在京ドイツ大使館におきまして、孤独・孤立対策に関する会談を行いました。

昨日の会談の成果は、お手元に配付した「孤独・孤立に関する日・独共同発表」に記載のとおりでありますが、昨日の会談では、孤独・孤立は全ての人が抱え得る普遍的かつ社会的な課題であり、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により顕在化・深刻化したグローバルな重要課題であることについて認識を共有するとともに、孤独・孤立対策においては、「予防」の観点から、人と人との「つながり」や「絆」を実感できることや、孤独・孤立に伴うスティグマを解消して、誰もが支援を求める声を上げやすく、周囲が声をかけやすくすることが重要であり、そのための社会環境づくりについて知見や政策を共有することなどに関して、日・独両国で合意をいたしました。

日本の孤独・孤立対策が世界で注目をされている現状に鑑み、今後も日本が孤独・孤立対策の分野で国際的なリーダーシップを発揮していくという観点から、大臣同士の会談も含めた様々な機会を捉まえまして、国際的な政策対応の進展に貢献してまいりたいと考えております。

冒頭発言は、以上となります。

2. 質疑応答

(問)日本版DBSについてお伺いします。本日、有識者会議の初会合が開かれます。大臣は、憲法や刑法、児童心理の専門家らがメンバーになると以前の会見でおっしゃっていましたが、具体的なメンバーについて教えていただけますでしょうか。また、本日初回ということですが、本日議論される主な論点についても御紹介いただければと思います。

(答)御指摘の日本版DBSの有識者会議でありますが、今日の17時半から開催いたしまして、私も出席する予定であります。構成員につきましては、こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みについての会議であることを踏まえ、座長は東京大学名誉教授の民法の内田貴先生にお願いいたします。その上で、メンバーにつきましては、子ども家庭福祉や児童心理関連の有識者、憲法、労働法、刑事法、民法等の法学の有識者、児童虐待防止に関わる実務家、PTA団体等の保護者代表、そして地方団体等としております。
今日の内容でありますが、初回でありますので、各有識者の構成員の先生方からまずは御所見を述べていただき、政府のこれまでの施策について御説明を申し上げる場にさせていただきたいと思っております。
それ以外の構成員も決まっておりますので、もし関心があれば事務方にお問い合わせいただければと思います。

(問)バスの安全装置の結果についてお伺いします。全国については十分と言えないとの御見解で、施設別や都道府県別には、これから詳しく見ていくとのことですが、現時点で施設別に差があり、都道府県別もかなり差があるようですので、大臣の御所感があれば是非お聞かせください。

(答)まず、施設類型別であります。実際に児童発達支援センター、指定児童発達支援事業所、放課後等デイサービスが他の施設事業に比べ、6月末時点でありますが、装備完了及び装備予定の割合が低くなっております。一般的な課題を申し上げると、施設において日々の送迎に使用する車両に安全装置を装備することができる時間が限られており、取付け事業者との調整が困難であること、また、安全装置のメーカーによっては、注文を受けてからの生産で入手に時間がかかること、安全装置の取付け作業は取付け事業者にとっても手間がかかること等があるものと認識しております。
その上で、障害児に係る各施設・事業所については、各施設が保有する車両の台数が比較的多く、また小規模な事業者が多いこと、施設に通うこどもの特性を踏まえて安全装置を選定する必要があることなどから、設置に時間がかかる面があると考えております。
自治体においてもかなりばらつきがありますが、自治体でどうしてこのばらつきが出ているのか、特に装備完了あるいは装備完了予定の割合が高い県にどのような取り組みでここまで比率を高められたのかヒアリングをした上で、その県の良い取組をほかの都道府県にも見習っていただくようなことを今後やっていければと思っておりますし、施設類型別に見ればそのような状況でございますので、しっかり事業者の方々の御意見を丁寧に伺いながら、施設類型別でもばらつきが今後生じないように、政府としても後押しをしていきたいと考えております。

(問)今の朝日新聞さんと重なるかと思うのですけれども。今回の結果は、十分とは言えないとのことですが、背景にはどのような事情があると、お考えでしょうか。また、改めてどういった意識で取り組んでもらいたいか教えてください。

(答)まず、前半の部分ですけれども、先ほどの高橋記者の質問の前半でお答えした部分となります。地域や施設ごとに差があり、また個別の事情もあるかと考えておりますが、一般的な課題といたしまして、先ほど申し上げたように、施設においては日々の送迎に使用する車両に安全装置を装備することができる時間が限られており、取付け事業者との調整が困難であること、安全装置のメーカーによっては注文を受けてからの生産で入手に時間がかかること、安全装置の取付け作業は取付け事業者にとって手間がかかること等があるものと認識いたしております。
そういった現状を認識した上で、まずは先ほど冒頭申し上げたように、施設、自治体、そして事業者向けに依頼を速やかに行おうとしているところでありまして、今後のことについては、実態調査の今回の結果を踏まえて更に分析をし、自治体やそれぞれの施設類型ごとの事業者の後押しを考えてまいりたいと思っております。
同時に、当然、安全装置はヒューマンエラーを防ぐための重要な取組でありますので、できる限り速やかに全ての施設、事業者に取り付けていただきたいというのが我々の思いであります。そのために、しっかりと我々も後押ししてまいりたいと思います。
それと同時に重要なのは、前回私どもが発出した「こどものバス送迎・安全徹底プラン」の中には、先ほど申し上げたような安全装置の装備の義務化と同時に、こどもの所在確認の義務化も今年の4月からスタートいたしておりますし、安全管理の徹底に関するマニュアルの作成もさせていただきました。したがいまして、先ほど申し上げました安全装置を導入するまでの間の代替措置の徹底を全ての事業者にお願いをすると同時に、ヒューマンエラーを防ぐための安全装置の前に、ヒューマンエラー自体を防ぐ取組は幾重にも張り巡らさなければいけないものだと思っておりますので、今、申し上げたようなマニュアル等を使いながら、それぞれの事業者において安全管理を徹底していただきたいと思っておりますし、我々も自治体を通じて促してまいりたいと思っております。

(問)関連でお伺いします。今回、都道府県別で見ますと、バスの安全装置の装備完了および装備予定の割合は、山口県が77%、一方で滋賀県など低いところを見ると20%で、3倍近い開きがあるとのことでした。業者の取付け時間がかかるとの御説明がありましたが、地域別でここまで差が出ているのは、何かそれぞれ事情があるのか、これについてどのように分析されているのか伺えますでしょうか。

(答)まさに、これは1回調査した段階でありますので、調査した結果を基に各自治体にそれぞれヒアリングをして、その背景にある事情を丁寧にお伺いしたいと思います。一方で、今回初めて都道府県別の数字を出させていただいて、「見える化」もさせていただきました。こうした「見える化」を通じて、やはり比率の低い都道府県におかれましては、より一所懸命にこれから県を挙げて取り組んでいただくものと思っておりますので、こういった調査を行って都道府県別の数字を出したということも、一定の意義のあるものではないかと私どもは捉えております。

(問)週末に開催された男女共同参画担当大臣会合に関して、閉幕後にも会見いただきましたが、改めて振り返りの御感想をお願いしたいと思います。
今回の会合は、日本が初めて議長国を務めて、共同声明をまとめました。しかし、G7ダッシュボードやWEFのジェンダー・ギャップ指数を見ても、まだまだ日本は後を追いかけて、諸外国が先を走っている状況だと思います。今回の国際会議を通じて、日本の現在地をどのように感じられたか、率直な感想を教えていただけますでしょうか。併せて、今後日本で課題を共有して現状を根本から変えていくためには何が必要と考えるか、お考えをお聞かせください。

(答)まず、先般発表されましたジェンダー・ギャップ・インデックスによりますと、我が国は146か国中125位ということで、前回よりも9位順位を落としました。このこと自体、私どもは重く受け止めなければならないと思っております。
他方で、今回、私も担当大臣として2回目のG7の会合に出席させていただきましたが、参加各国に共通する認識としては、全ての国において、ジェンダー平等がまだ達成できていない状況にあるということであります。議論をしていても、どこの国が遅れているとか、どこの国が進んでいるという観点で議論をしているというよりも、むしろ全ての国においてまだまだ不足をしている点があるので、どうしたらその理想に近づけるか、日本も含めて、それぞれの国のベストプラクティスを持ち寄って、G7各国あるいは国際社会全体がジェンダー平等に近づけるようにできるか真摯に議論をしてきた、そういう場ではないかと認識しております。
さりながら、先ほど申し上げたように、我が国はジェンダー・ギャップ・インデックスを見ても世界に立ち遅れている状況でありますので、これからは「日光声明」に盛り込まれた様々な施策につきまして、しっかり着実に実施させていただきたいと思っております。
例えば、女性の経済的な自立に関しましては、男女間の賃金格差の拡大が指摘されました。我が国でも事業所ごとの「見える化」を始めておりますし、女性が育児と仕事を両立しやすいような環境をつくることによって女性のL字カーブを解消し、女性の男性に比べての低賃金状態を解消する取組も進めておりますので、そういった取組も着実に実施したいと思っております。先般「女性版骨太の方針」に盛り込ませていただきました女性の役員比率の目標や女性起業家の支援といった施策を着実に実施することにより、女性の経済的な自立を確立できるよう、私どもとしてもしっかり取り組んでいきたいと、そういう思いを今回の会合の参加を通じて認識、再確認をしたところであります。

(以上)