三原大臣記者会見(令和7年6月10日)
三原大臣記者会見要旨
(令和7年6月10日(火)9時00分から9時15分まで 於:こども家庭庁記者会見室)
1. 発言要旨
おはようございます。冒頭私から報告2件ございます。共生・共助を担当する大臣として申し上げます。
本日の閣議におきまして「高齢社会白書」、「障害者白書」、「交通安全白書」の三つの白書を閣議決定いたしました。まず「高齢社会白書」では、高齢期も安定して豊かに暮らすことのできる社会の実現に向けて、「高齢者の経済生活をめぐる動向」を特集として取り上げました。
収入を伴う仕事をしている人の割合や、就労の意欲はあるものの就労に至っていない理由、老後に備えた民間保険等の加入状況などを分析しています。
次に「障害者白書」では、昨年7月の旧優生保護法の最高裁判決を受けて昨年末に取りまとめました「行動計画」や優生手術等を受けた方々等に対する補償など、障害者に対する偏見や差別をなくすための取組について取り上げています。このほか、令和6年度に政府が講じた障害者にかかる取組の概況について報告しています。
最後に「交通安全白書」では、「通学路における交通安全の確保」を特集として取り上げました。こどもの交通事故を防ぐ対策の必要性を考えていただく機会とするため、小学生に関係する通学路における交通安全対策について紹介をいたしています。
これらの3つの白書が、国民の皆様に広く活用されて、そして政府の各施策について、ご理解、ご関心を深めていただく一助となれば幸いだと思っております。
続きまして、本日、「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部」を開催しまして、「女性版骨太の方針2025」および「新・女性デジタル人材育成プラン」を決定いたしました。今年の「女性版の骨太方針」は、「いつでも・どこにいても、誰もが自分らしく生きがいを持って生きられる社会」、そして「多様な地域で多様な幸せを実現できる活力ある日本」を目指し、「女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり」、「全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり」、「あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大」、「個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現」、「女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化」という5本の柱に沿って取組を強力に進めることといたしました。
一つ目の「地域」の柱には、これまで全国各地で開催してきました「地域で輝く女性起業家サロン」の成果として、新たな女性の起業支援策も取り込みました。新たな支援策では、サロンで指摘されてきました、ロールモデルやネットワークの不在といった「情報格差」や、女性が時間を持てなくなり起業を尻込みさせる、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスなどの「意識格差」これら二つの格差の解消を目指して、女性にとって敷居が低く、そしてアクセスしやすい各地の男女共同参画センター等を、サポートの拠点として、抜本的に強化をいたしたいと思います。
例えば、センターにおきまして、「継続的に開かれる起業セミナーやチャレンジショップ等に参加できる」、また、「先輩起業家と出会うことができる」、「起業家仲間とのネットワークをつくることができる」、「ちょっとした悩み事も相談できるバックアップ体制がある」、「事業内容や起業のフェーズに応じて、商工会や金融機関、取引先候補、メディア、地域の活動団体など、適切な起業家支援ネットワークへとつながることができる」といったサポートを受けられるようにしてまいりたいと考えております。
このため、こうした役割をセンターが果たせるよう、起業支援の経験やスキルを有する専門人材のデータベースを全国レベルで整え、各地のセンター等につなぐとともに、地域女性活躍推進交付金等を活用しつつ、好事例を効果的に横展開するなど、国として「人材」と「財源」の両面から強力にバックアップをしてまいります。
本日の本部で決定した「新・女性デジタル人材育成プラン」では、デジタルスキルを活かした女性活躍の具体的な姿を「4つのパターン」に整理をし、それらのパターン別に支援メニューをお示しいたしました。
「デジタル分野は女性活躍の成長分野である」との認識のもと、新たなプランを着実に実行してまいりたいと考えております。以上です。
2. 質疑応答
(問)本日、交通安全白書と高齢社会白書などの白書が閣議決定されました。
例えば高齢社会白書では、単身高齢世帯の4割が家計の心配を抱いているなど、白書の中では様々な課題について記載されています。それぞれについて政府としてどのように対応されていきたいか教えてください。
(答)初めに交通安全白書についてお答えさせていただきたいと思います。
次世代を担うこどものかけがえのない命を交通事故から守っていくこと、これは大変重要であります。今回の交通安全白書の特集は、「通学路における交通安全の確保について」をテーマに取り上げました。この中では、小学生が関係する交通事故の状況や特徴などの分析や、通学するこどもの交通安全対策を紹介しております。今後も引き続き、交通事故の発生状況を踏まえつつ、第11次交通安全基本計画に基づいて、国と地方公共団体、そして関係機関・団体等と連携をして、通学路の交通安全確保に向けた取組を進めてまいりたいと思います。
今ご指摘ありました高齢社会対策につきましては、高齢者の割合が大きくなる中で持続可能な社会を築いていくために政府が取り組むべき課題は多岐にわたっておりますけれども、一例を挙げれば、今回の高齢社会白書の特集では「高齢者の経済生活をめぐる動向」をテーマとして取り上げております。
仕事をしている高齢者の割合が増加をし、高齢期における就業意欲も高まっているという一方で、まだ就業に至っていない人につきまして、仕事をしていない理由として、「健康上の理由」に次いで、年齢制限や仕事の種類、勤務条件が合うところが見つからないと回答した割合が高く、高齢期においても、希望に応じて働き続けられる環境の整備ですとか、高齢期の就業ニーズを踏まえたきめ細かなマッチングの推進を図っていくことが重要である、ということなどが示されております。
今回の調査結果も踏まえて、高齢期も安定して豊かに暮らすことができる社会の実現に向けて、昨年閣議決定された「高齢社会対策大綱」に基づいて、関係省庁と連携して必要な施策の推進をしっかり図ってまいりたいと考えております。
(問)「子ども・子育て支援金」をめぐるSNS上での発言について伺います。「子ども・子育て支援金」制度は、医療保険の上乗せという形で全世代の拠出の形をとる一方で、こどもを持たない、特に独身層はその恩恵にあずからないといったところから「独身税」との声がSNSで時折散見されます。
この「独身税」との意見に対するこども家庭庁としての受け止めを教えてください。また、「子ども・子育て支援金」制度がどのような制度なのか改めて教えてください。
(答)はい。まず、こども家庭庁としては「独身税」を導入することは考えておりません。また、こうしたSNSの論調は、「子ども・子育て支援金制度」のことで捉えて発言されていると考えますけれども、これを「独身税」と言い換えることも間違っていると考えております。
少子化対策、子育て支援策というのは、「今を生きるこどもたち、そして将来生まれるこどもたちのためのものである」というふうに申し上げたいと思います。そうしたこどもたちは、いずれ大人になり、この社会全体を支えていきます。社会保障の担い手ともなっていくわけです。その意味では、「子ども・子育て支援金制度」によってメリットを享受するのは、こどもを持ち、子育てをしている方だけではなくて、独身の方もそうですし、既に子育てを終わられた方も含めた全ての世代であるということが言えると思います。
にも関わらず、「独身税」という言葉は、あたかも独身の方だけに負担のみを強いることを想起させる点で、これは正しくない言葉遣いであると考えております。
この言葉がSNS上で広まっているというのは、少子化対策、子育て政策がこどもを持つ方だけでなく、社会保障を含めた社会全体を支えるものであり、全員にメリットがあることが国民の皆様に十分届いていないということによるものだと、そこは率直に反省をしたいと考えております。今後、様々な形で、より丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
(問)女性版骨太についてお伺いしたいのですけれども、大臣もこれまでサロンを開くなどされてきて、女性起業家支援を柱の一つに今回置かれたということですが、その女性が地方を離れる背景の一つで、アンコンシャス・バイアスだったり、性別役割分担意識というのがすごく根強いという話が聞かれたのかなと思うのですけれども、女性自身への支援というのは非常に重要だと思うのですが、地方の、地域のコミュニティ自体への働きかけというのも、そういうものをなくしていく上ではすごく大切なのかなと思うのですけれども、今回の骨太の中でそういった意識を変えるための働きかけみたいなところというのは、ちゃんと盛り込まれているものがあったら教えていただきたいのですけれども。
(答)今回の「女性版骨太の方針」については、やはり女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくりというところが、目指している大変重要な柱の一つとなっております。この地域の柱として、今おっしゃっていただいたような固定的な性別役割分担意識、アンコンシャス・バイアスという意識格差をなくすため、敷居が低く、アクセスしやすい男女共同参画センターなどを使っての様々な抜本的な強化をしていこうということであります。こうした「起業」ということだけに関わらず、やはりその地域で働く女性の皆さん、若者の皆さん方が、そこの地域の中で働きたいと思える仕事づくり、地域づくりということが大切だということで、私もこの女性の起業家というところに着目をしたところであります。
そういう中で、やはり地方の自治体の皆様方、あるいは地域の皆様方との連携をとっていくということも大変必要でありますし、また、男女センターをこれから抜本的に強化していくというのは、「起業支援」ということだけではなく、仕事に対する、就業に対する様々な女性の悩みにもしっかりと応えていけるセンターづくりを目指していきたいというふうに思っております。
今まさに明日から法案審議に入っていきますが、その中でもこの「男女共同参画機構法案」というものでありますけれども、センターオブセンターズになる場所から様々な知識を地域にお届けをして、人材ももちろんでありますけれども、そうした施策もお届けをしていく。そして、しっかり定着をさせていく。そうしたことが私どもの大変重要なところだと思っております。この法案を機に、しっかりと男女共同参画センターの使い方、使っていただく形というものも見ていただけるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
(以上)