加藤大臣記者会見(令和6年8月2日)
加藤大臣記者会見要旨
(令和6年8月2日(金)11時23分から11時35分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)
1.発言要旨
冒頭、私からご報告申し上げます。
まず1件目、こども政策、少子化対策及び若者活躍担当大臣として報告をいたします。
去る7月21日の日曜日から27日の土曜日まで、英国、スウェーデンの2か国において、政府要人と会談するとともに、現場を視察し、各国の政策に関する知見の蓄積や人的ネットワークの強化を図ってまいりました。
はじめに、英国では、まず英国DBSの幹部とこどもに対する性暴力防止のための取組について、意見交換を行いました。
我が国における今後の制度の実施に向けて、様々な示唆をいただくとともに、改めてDBSの制度や組織体制等について説明を受け、英国でも様々な試行錯誤をしながら、現在の制度や組織を確立してきたことなどをお伺いし、今後我が国においても不断の点検を行いながら進めていくことが重要であるとの認識を深めました。
また、課題を抱える子育て世帯に対して、ボランティアスタッフを派遣し支援を行う団体や、地域の子育て世帯への支援の拠点である「ファミリーハブ」の取組の視察等を行いました。
いずれの取組も、課題を抱える子育て世帯への支援は、「早期介入」が大変重要であるという一貫した考え方や、これらのサービスを利用した保護者が、ボランティアスタッフや地域課題を話しあう会議のメンバーとして、サービスの運用や改善に重要な役割を担っていることが印象に残りました。
我が国でも、令和4年の児童福祉法改正により、子育て世帯への包括的支援の拡充を行ったところであり、さらなる取組の推進に活かしてまいります。
次に、スウェーデンでは、まず担当閣僚であるアンナ・テニエ大臣との会談を行いました。スウェーデンにおける最近の制度改正についてのお話を伺うとともに、こどもを生み育てやすい社会の実現のためには、男女問わず、子育てをしながらでも働きやすい環境の整備や、男女の賃金格差の解消が重要であるとのコメントがありました。
子育て世帯が働きやすい環境づくりを進めることや、あらゆる分野の施策に男女共同参画の視点を反映させていくことが重要であるという思いを更に強めました。
また、こどもや若者の社会参画や意見反映の観点で、担当省庁や若者が主体となって活動する団体を取りまとめる全国組織の幹部との意見交換や、世界最大規模のユースセンター、中心市街地にある若者向け図書館の視察を行いました。
これらの意見交換や視察を通じて、スウェーデンでは、一人ひとりが個々人の違いを肯定的に捉え、こどもや若者が意見を表明する文化が醸成されており、それが、若者が主体となって活動する団体の取組の原点となっていること、まずは、こどもや若者の意見をしっかりと聴くことが重要とされていることなどについて伺うことができ、我が国におけるこどもや若者の社会参画や意見反映を進めていくうえで、貴重な示唆を得ることができました。
さらに、インクルーシブ保育に関連して、ストックホルム市内の2か所のプレスクールを視察した後、ストックホルム市のプレスクール担当者との意見交換を行いました。
これらの意見交換や視察を通じて、スウェーデンでは、障害の有無に関わらず、誰でも一般のプレスクールに通う権利が保障されており、実際に障害があるこどもの多くが一般のプレスクールに通っていること、プレスクールでのインクルーシブ保育を進めるうえでは、そこで働く方々の労働環境やスキルアップの機会を整えることが重要であることや、自治体とも連携した手厚い人員体制で保育が実施されていることなどについて伺うことができ、我が国において、こどもの育ちの場でのインクルージョンを更に推進していくうえで、貴重な示唆を得ることができました。
その他、スウェーデンでは、若者向けに無料で職業訓練を提供する職業高等学校の取組も視察し、リスキリングのための手厚い休暇や給付の制度、企業と密接に連携した訓練プログラムの開発と実施などについてお話を伺いました。
リスキリングを含め、「若い世代の所得を増やす」ことは、少子化対策の重要な柱の一つであり、その観点からも大変先進的な取組であると感じました。
いずれの政策分野においても、今回の海外訪問において、両国の政策担当者との人的なネットワークを構築することができました。
今後とも、それぞれの政策分野において、海外とのネットワークや知見も活かしながら、政策を進めてまいります。
2件目になります。「こども・子育てにやさしい社会づくり」を目指す「こどもまんなかアクション」を、昨年の夏に本格的にスタートさせてから約1年が経過しました。
現在、1800を超える自治体、企業、団体、個人のみなさまに「こどもまんなか応援サポーター」としてご参加いただいております。また、サポーター同士の自発的な連携も進んでおり、活動の広がりを実感しているところです。
こども家庭庁としては、今後も、こどもまんなか応援サポーターのみなさまとの取組の輪を広げていきたいと考えており、ぜひ多くの方にサポーターとしてご参加をいただければ嬉しく思います。
なお、こどもまんなか応援サポーターのみなさまの取組につきましては、こども家庭庁のホームページでその一部をご紹介していますので、そちらをご覧ください。
3件目になります。来週8月7日、こども家庭庁が委嘱している、「いじめ調査アドバイザー」の方々と私との間で、いじめ防止対策の強化に向けて意見交換会を行います。
文部科学省の調査結果では、令和4年度のいじめの認知件数、いじめの重大事態の件数がともに過去最多となるなど、大変深刻な状況であり、関係省庁とも連携し、いじめ防止対策のさらなる強化に向けた検討を進める必要があります。
こうした中、いじめに関する現場の課題や実態、いじめ防止のための効果的な方策等についてお伺いするため、各分野の専門家であり、いじめ問題に詳しい、「いじめ調査アドバイザー」のみなさんと意見交換を行うこととしました。
こども家庭庁としては、「いじめ調査アドバイザー」などの専門家の方々からの知見もいただきつつ、関係省庁等とも連携し、社会全体で協力して、いじめの防止が進むよう、必要な対策の強化を進めてまいります。詳細につきましては、こども家庭庁支援局総務課までお問い合わせください。
私からの報告4件目、これで最後になりますが、今年度から新たに創設した孤独・孤立対策推進交付金の交付団体を決定しましたので報告いたします。
交付団体は、都道府県について18団体、また個々のNPO等に対する、いわゆる中間支援組織について9団体です。
孤独・孤立対策の事務は、昨年度まで内閣官房で担っており、同種の事業はモデル事業という形でしたが、今年度から内閣府に事務を移管することにより、地方公共団体及びNPO等への支援に係る本格的な事業を行うことが可能となりました。
これにより、孤独・孤立対策の安定的・継続的な推進に向けて、地方における官・民・NPO等の連携による孤独・孤立対策の推進を支援するとともに、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の運営能力の向上や活動基盤の整備に取り組む中間支援組織を支援してまいります。
続きまして、地方版官民連携プラットフォーム事業及びNPO等の取組モデル事業の採択団体について報告をいたします。
昨年度に引き続き、地方における孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの整備の後押しなどを行う市区町村向けについて14団体を、日常生活における孤独・孤立の予防や早期対応に資する先駆的な取組への支援を行う個々のNPO等向けについて77団体を、それぞれ採択をしております。
本年6月には、孤独・孤立対策推進法に基づく初めての重点計画が、孤独・孤立対策推進本部で決定されたところですが、その中で、「特に重点を置いて取り組むべき事項」の一つが、「地方公共団体及びNPO等への支援」です。
引き続き、この重点計画に基づき、地域の実情に応じた孤独・孤立対策を推進してまいります。採択した取組につきましては、お手元の資料でも一部ご紹介させていただいておりますけれども、詳しくは内閣府孤独・孤立対策推進室の方までお問い合わせください。
冒頭、私からは以上になります。
2.質疑応答
(問)旧優生保護法をめぐる裁判での和解についてお尋ねします。この法律のもとで不妊手術を強制されたとして、都内に住む女性が国を訴えた裁判で、国が和解金を支払うことで一昨日和解が成立しました。
一連の裁判で和解が成立するのは初めてとなりますが、そのことについて、大臣の受け止めをお願いします。
(答)7月31日に東京地裁において、旧優生保護法国家賠償請求訴訟についての和解が成立いたしました。
和解条項の詳細や和解に至る経緯については、個別の訴訟に関することであり、また、各地で係属中の訴訟への影響等を踏まえ、詳細なお答えは差し控えさせていただきますが、当該訴訟につきましては、裁判所からの和解勧告を踏まえ、先行的に和解成立に至ったものでございます。
なお、各地で係属中の訴訟についても、総理からの、旧優生保護法の国家賠償請求訴訟の係属訴訟について、原告が高齢化している現状及び原告団との協議の状況を踏まえ、和解のための合意書の締結等による早期解決を急ぐように、とのご指示を踏まえまして、引き続き早急な解決に向けた取組を進めてまいります。
(以上)