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加藤大臣記者会見(令和6年6月28日)

加藤大臣記者会見要旨

(令和6年6月28日(金)11時48分から12時01分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭、私から4件ご報告がございます。

まず1件目が、令和6年度「青少年の非行・被害防止全国強調月間」についてでございます。

本日の閣議におきまして、7月1日から31日までの1か月間、「青少年の非行・被害防止全国強調月間」を実施することについて、閣僚の皆様にご協力をお願いいたしました。

スマートフォンやSNSをはじめとする様々な機器・サービスが普及し、青少年を取り巻くインターネット利用環境が一層多様化する中、不同意性交、児童買春、児童ポルノなど、SNSを通じて面識のない被疑者と知り合い、性犯罪等の被害に遭った児童の数が、依然として高い水準で推移するなど、青少年の非行や被害は、深刻な状況にございます。

こういった状況を踏まえまして、今年度の月間の最重点課題を、「インターネット利用におけるこどもの性被害等の防止」とし、必要な取組を推進してまいります。

その一環としまして、こども家庭庁におきましては、例年実施している有識者によるリモート講演会・座談会について、「こどものインターネット利用について」をテーマとして実施することとし、国民の皆様に対する啓発を進めることとしております。

月間中においては、このリモート講演会・座談会を含め、国、地方公共団体、関係機関・団体等が、相互に協力・連携しながら、青少年の非行・被害防止に向けた広報啓発等の諸活動を集中的に実施してまいります。詳細はこども家庭庁にお尋ねください。

2件目でございます。通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策に関するワーキングチーム第4回の開催についてでございます。

交通安全対策担当及びこども政策担当の大臣としてご報告します。

本日6月28日は、千葉県八街市において下校中の小学生5名が死傷した痛ましい交通事故の発生からちょうど3年になります。

改めて、事故でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様方に心からお悔やみを申し上げます。

内閣府をはじめとした関係省庁においては、通学路における交通安全を確保するため、この事故を契機に策定された緊急対策に基づき、総理からご指示をいただきながら、各種施策に取り組んでまいりました。

このたび、目標期間である令和5年度末における緊急対策の進捗状況が取りまとまりましたので、本日、持ち回りによるワーキングチームを開催しました。

通学路合同点検結果に基づく対策の実施状況につきましては、暫定的な安全対策を含めると、全国7万6404か所全ての対策必要箇所において、安全対策が講じられたことなどが報告されております。

今後も、こども家庭庁が司令塔となって、こどもが日常的に集団で移動する経路について、定期的な合同点検を行い、対策の改善・充実を図るとともに、ハード・ソフトの両面から、こどもをはじめとする歩行者の安全確保にしっかりと取り組んでまいります。

報告の詳細につきましては、この後、事務方からブリーフィングを行う予定ですので、そちらにお尋ねください。

3件目になります。「母子保健に関するデジタル化の実証事業」についてでございます。

今年度、こども家庭庁で実証事業を行うこととしております「乳幼児健診などにマイナンバーカードを利用する取組」、これについてお知らせいたします。

現在、こども家庭庁としましては、デジタル化の取組の一環として、乳幼児健診や妊婦健診に関して、スマートフォンで事前に問診票を入力し、健診当日もマイナンバーカードを問診票・受診券として利用することで、紙を持参しなくて済むようにする取組を進めております。

併せて、健診の受診勧奨をプッシュ型で行うとともに、健診結果についてもマイナポータルで閲覧できるようにすることを予定しております。

実証事業においては、今後の全国展開に先駆けて、先行的に取り組む自治体を9団体採択しており、最初の事例として、今週6月25日に青森県むつ市において、乳幼児健診におけるデジタル化の取組がスタートしたところでございます。

今後、他の先行自治体におきましても、本年夏頃に順次開始していく予定としてございまして、住民の皆さまの利便性向上のため、早期に事業を進めていけるよう、デジタル庁とも連携をして、必要な取組を進めてまいります。詳細はこども家庭庁母子保健課の方にお尋ねください。

最後4つ目でございます。こども家庭庁の幹部人事についてでございます。

7月5日付けで、小宮義之長官官房長を財務省に出向させ、後任として、財務省大臣官房審議官主税局担当の中村英正を起用することとしました。

なお、それ以外の内閣承認人事官職の幹部、局長級以上につきましては全員留任となります。

冒頭、私からは以上になります。

2.質疑応答

(問)来月3日に、旧優生保護法下の強制不妊手術をめぐる最高裁の大法廷判決が言い渡されます。これに関連して、3点お伺いさせていただければと思います。
まず、これまで地裁や高裁の判決では、旧法が違憲であるという結果、判決が相次いで出ましたけれども、改めて判決前ではありますが、国として旧法は違憲であったのか、現状どのようなご認識かということをお聞かせください。
2点目です。2019年の一時金支給法の成立時に、当時の安倍首相が談話をなされましたけれども、国としての謝罪には至っておりません。3日の最高裁判決で、旧法を違憲とし、国の賠償責任を認める判決が出た場合には、改めて国として謝罪をする考えはありますか。また、直接被害者の原告の皆さんと面会するお考えはあるか聞かせてください。
最後に、また同様のそういった判決が出た場合に、原告以外の全国の強制不妊手術の被害者の方に対して、現在は一時金支給法で救済を行っているところですけれども、どのような賠償をお考えか、ということをお聞かせください。

(答)3点まとめてお答えさせていただきます。
まず1点目ですけれども、旧優生保護法に基づいて、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省をし、心から深くお詫びを申し上げる次第でございます。
その上で、旧優生保護法国家賠償請求訴訟における、これまでの判決で、旧優生保護法の一部の規定が憲法に違反すると判断されたものがあることは承知してございますが、旧優生保護法の違憲性については、継続中の訴訟に関する事項であり、見解を述べることは差し控えさせていただきます。
また、謝罪についての考え方についてですが、旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術を強いられた方々に対しましては、平成31年4月24日に議員立法である旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律、これが成立した際に、内閣総理大臣及び厚生労働大臣からそれぞれ真摯な反省と心からのお詫びを表明しており、政府のこうした立場は今も変わりはございません。
また優生手術等を受けられた方々との面会につきましては、優生手術を受けられた方々の声が大切であると考えておりますけれども、最高裁判決が出る前までの間は、あくまで訴訟が継続中ということもあり、予断をもって申し上げることは差し控えさせていただきます。
賠償についてのご質問でございますけれども、こども家庭庁としましては、立法府の総意により制定をしていただいた一時金支給法に基づいて、優生手術を受けた方に対して一時金を支給しているところでございます。
引き続き、周知・広報を推進するとともに、申請者の方々に寄り添った丁寧な相談対応を通じて、一時金の着実な支給が進むよう全力を尽くしてまいります。
また、最高裁判決後の対応のあり方につきましては、最高裁判決が出るまでの間は、あくまで訴訟が継続中であることもありますので、予断をもって申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

(問)関連してお伺いいたします。
一時金支給法に基づく被害救済の現状についてお伺いいたします。
一時金の支給については、なかなか進んでいないという指摘もありますけれども、大臣として、現在の支給状況をどのように評価しておられるのか。想定通り進んでいるのか、それともなかなか思うように進んでいないのか、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。
また、支給にあたっての課題をどのように捉えておられるか。
さらに、今後支給を進めるために、どのような取り組みが必要か、大臣のご見解をお聞かせください。

(答)令和6年5月末現在、1110名の方に一時金の支給認定をしているところでございますが、いまだ一時金の請求に至っていない対象者の方も相当数おられるものと思われます。
その理由につきましては、個々人の置かれている状況が様々であり、一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、家族にも一切伝えておられないという場合があったりですとか、また当時のことを思い出したくない等の理由によって請求を控えている場合などが想定されると思います。
このため、一時金の支給対象者の方々に確実に請求をいただけるよう、様々な機会を捉えて、周知広報を行うということが重要であると考えているところでございます。
これまで行ってきた取組といたしましては、新聞広告、インターネット広告、ラジオ広告、またホームページやSNS等を活用した周知、障害者関係団体と連携した周知・広報、こういったことにより制度の周知を行ってきたところでございます。
昨年度も複数の全国紙に数回にわたって一時金制度についての広告を掲載いたしました。
これらに加えまして、障害特性を踏まえた手話ですとか、字幕付き動画、また点字版のリーフレットなどの作成配布も行っているところでございます。
さらに効果的な周知方法を把握するため、都道府県等を通じながら、請求者の方に情報の入手方法について、アンケート調査を実施しまして、その結果について、都道府県に対する取組の参考となるよう周知を行ったところでもございます。
本年4月にも、改めて都道府県及び関係団体に周知・広報についてお願いしたところでもございまして、引き続き、より一層周知広報の推進に努め、一時金の着実な支給に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

(問)こども家庭庁の幹部人事についてですけれども、今回官房長以外は骨格維持ということで、政策を進める上での安定性や継続性などいろいろあると思いますけれども、人事の狙いについて一言お願いいたします。

(答)こども・子育て分野について、社会経済との調和ですとか、財政との連携を強化していくということが重要であることから、財政政策と税務政策の双方に精通した中村英正を官房長の方に起用することといたしました。
また、その他の人事異動につきましては、詳細は控えますが、適材適所で人事を行っているところでございます。

(以上)