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小倉大臣記者会見(令和5年4月28日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年4月28日(金)11時01分から11時15分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

今日は冒頭2点です。まず1点目、昨日、官邸におきまして「男女共同参画会議」を開催し、今年の「女性版骨太の方針2023」の策定に向けた議論を行いました。

私からは「女性版骨太の方針2023」の検討にあたり、女性の登用や経済的自立、女性に対する暴力根絶に関する現状や課題について説明いたしました。

特に企業における女性登用を加速化するため、プライム市場上場企業について、2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを見据えて、女性役員がいない企業をゼロとするような取組が必要であるとの考えを述べました。

また、そのために各企業が行動計画を策定し、パイプラインの構築を含めた実効的な取組を検討していくことの重要性も説明いたしました。

更に昨年末、岸田総理から本年のG7サミット及び各閣僚会合において、ジェンダーの視点を取り入れた議論を進めるよう御指示があったことを踏まえ、全ての会合における議論にジェンダーの視点が反映されていることを御報告いたしました。
 
それらを踏まえ、民間有識者議員の皆様から女性版骨太の方針に盛り込むべき視点や具体策について御意見をいただいたところであります。
 
会議の締めくくりに岸田総理から「女性版骨太の方針2023」の策定に向けた3つの重要事項として、第一に企業における女性登用の加速化、第二に女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化、第三に女性が安心できる社会に向けたあらゆる暴力の根絶、が示され、政策の具体化を進めるよう関係閣僚に対して御指示があったほか、G7の議論へのジェンダーの視点の反映を国内政策にも活かせるよう、引き続き取り組むことが重要との御発言がありました。

今後とも総理からの御指示や有識者議員の皆様の御意見を踏まえながら、政府一体で検討を深めてまいります。
 
続きまして2点目です。ゴールデンウィークを迎えまして、「こどもファスト・トラック」等の取組を実施する施設も予定されております。その一つであります上野の国立科学博物館の取組状況を5月1日月曜日の午後、視察させていただくことになりました。

国立科学博物館では、常設展示入り口において、先週末、「こどもファスト・トラック」を試行したところですが、その実施状況を踏まえ4月29日土曜日から本格的に実施する予定となっております。その模様を視察し、利用者の声をお聞きすることで、いわゆるマーケットインによる取組につなげ、全国展開を図っていきたいと考えております。
 
また、ゴールデンウィーク前後における「こどもファスト・トラック」の実施予定の情報については、本日中にこども家庭庁ホームページでもお知らせする予定であります。詳細につきましてはこども家庭庁にお問い合わせください。以上です。

2.質疑応答

(問)先日、公表されました将来推計人口の受け止めについてお聞かせください。

(答)お答えいたします。社人研の将来人口推計の御質問でありました。
先日発表された社人研の「日本の将来推計人口」について、同推計では今後、我が国の人口が2020年の1億2,615万人から2070年には8,700万人に減少すると見込まれていると承知いたしております。
また前回推計、平成29年のものと比べますと、将来の出生率が1.44から1.36に低下するなど、引き続き少子化や人口減少が継続していくことが見込まれております。
改めて少子化の進行は危機的な状況であり、我が国の静かなる有事として認識すべきものであると実感をしております。2030年代に入るまでのこれからの6~7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスでありますので、何としても加速化プランを実現させないといけないと、そのように考えております。以上です。

(問)昨日行われましたこども未来戦略会議ついてお伺いします。昨日の会議では、3つの基本理念について意見交換をして、今後は具体的な制度設計などについて議論していくことになると思いますが、どのような議論を期待していらっしゃいますか。

(答)昨日の会議では後藤大臣の方からもブリーフィングがあったかと思いますが、例えば少子化の一因である若者・子育て世代の将来不安を解消するため、構造的な賃上げは極めて重要であるとの意見ですとか、あるいは個別の施策の実効性を確保するためにも真の意味でこどもや子育てに優しいインクルーシブな社会を作ることが重要であるとの意見をいただいたところであります。
試案で掲げた基本理念、これを更に補強したり、後押しをしていただくような御意見をいただいたものと受け止めております。
次回は更に、御指摘のとおり具体的な施策について御議論をいただく予定でありますので、有識者、子育て当事者、若者、経済界、労働界、地方自治体など、様々な立場から忌憚のない率直な御意見をいただいて更に議論が深まることを期待いたしております。

(問)首都圏を中心に展開するスープ専門店の「スープストックトーキョー」が、今月中旬に一部店舗で実施している離乳食の無料提供を全店舗で実施すると発表しました。賛同の声が上がる一方、こども連れに嫌悪感を抱く人による反発の声も上がり、SNS上ではちょっとした騒動になりました。こども家庭庁では今夏、こどもや子育てに優しい社会づくりを目指し、制度や政策にとどまらない意識改革をするための「国民運動」の展開も予定していると思います。SNS上では、こういうことはよく起きるのが今の日本の姿で、大臣はこの一件に何を感じますか。加えて、どうすればこどもまんなかが可能となるのか、ハードルの高さなど、課題を感じるものがありましたら見解を教えてください。

(答)御案内の企業の取組につきましては、小さなこどもを連れているという理由で外食店での飲食をためらう方の助けになるよう始められたものであると報道等を通じて承知いたしております。
これも繰り返し申し上げておりますが、「自国はこどもを生み育てやすい国だと思うか」との問に対して、「そう思う」と回答してくださる方はスウェーデンでは98%に上りますが、日本では約4割に止まっております。そういう意味では、こうした企業の取組は歓迎させていただきたいと思います。
その上で、私としては国民の皆様の中で、少子化の危機的な状況ですとか、子育て当事者の子育ての負担についての理解が深まることによって、自然と周囲の方々がこどもや子育て当事者を応援するような社会に変わっていくことがあるべき姿ではないかとも考えております。
こうした考えのもとで、先般こどもファスト・トラックの取組をスタートさせたことに加えまして、近日中にはこどもまんなかに共感・賛同し、こどもまんなか社会実現の応援のため、何かプラスアルファのアクションを起こすような企業・個人・地方自治体などに、「こどもまんなか応援サポーター」になってもらい、具体的なアクションを広げていく取組を正式に公表させていただく予定であります。更に、こども・子育てに優しい社会のための意識改革に向けた国民運動を夏頃をめどにスタートすることとしております。
社会の意識を変えていくということは簡単ではありませんし、究極で言えばやはり個々人の考え方や感情というのは自由であるべきだとは思いますが、しかし、今の少子化の現状を考えますと、こういったものにつきましても大きな挑戦と捉え、様々な手法で国民的な議論を起こし、より多くの方の理解と行動を促せるよう努めてまいりたいと考えております。

(問)今の質問にも関連するかもしれないのですが、こどもの声が公園などでうるさいというか、騒音だという声もある中で、先日の厚生労働委員会で岸田総理が、こどもの声が騒音であるという声に対して、我々は改めて考えを改めなければいけないというような御回答をされているんですが、今の国民運動の文脈にもつながるかもしれないんですけれども、社会の意識を高めていく上で、こどもの声が騒音と捉えられる社会状況に関して、何かこども家庭庁の方で理解を促していくとか、そういったことは御検討されているんでしょうか。

(答)やはり、こどもたちから意見を聞きますと、公園がなくなりつつあると、身近な場所に公園があっても、様々なルールがあって十分に遊べないという声をたくさんいただきます。
私たちこども家庭庁としてはこどもの居場所づくりの政策も進めておりますので、より多くのこどもたちにとって身近な場所で、安心をしていたいと思えるような場所はしっかりとつくっていかなければならないと思っております。
そういった中でやはり重要なのは、こどもたちの声も含めた地域の周りの皆様方の御理解だというふうに思っておりますので、この点につきましても、先ほどの話とつながりますけれども、少子化の危機的な状況、そして今のこどもを取り巻く状況や、子育て世代の皆様方の御負担、こういったものをより多くの方に理解してもらうことによって、自然とこどもや子育て当事者に温かい社会を実現していかなければならないと思っております。
そういった観点に立ちまして先ほど申し上げたような、「こどもまんなか応援サポーター」に自治体やあるいは個人の皆様方にも加わっていただくことを想定しておりますし、自治体の中、あるいは地域社会の中でこどもたちの遊びと地域住民の皆様方の理解の調和をより図っているような取組事例があれば、そういったものを学ばせていただいて横展開をするような、そういったこともこども家庭庁としてやるべきではないかというふうに考えています。

(問)ありがとうございます。今のお話、横展開というお話があったんですけれども、こういうことについては一応、お尋ねなんですか、法制化とか、強制力を含めたことも視野に入れておられるのか、あるいは機運の醸成だよということで横展開なのか教えてください。

(答)法制化を検討しているという事実はございません。
やはり、例えば法制化を考えた場合に、こどもの声、あるいは騒音とは何かというような定義をしていかなければなりません。この一つをもってしても非常に法制化の課題はたくさんあると思っておりますし、そもそも先ほど申し上げたように法制化を検討しているという、そういう事実はございませんので、このことは申し上げたいと思います。

(問)関連してなんですけれども、こどもファスト・トラックについても、不公平だというような声も一部では上がっておりますが、どのような対象ですとか、施設ですとかを選定することで、そういった声を払拭していきたいとか、受け入れてもらうための理解をどのように進めていくべきだと感じていますか。

(答)受け入れてもらうための理解こそ、先ほどからの議論につながりますけれども、やはり、周りの皆様方の少子化に対する今の危機的な状況、こうした状況がこどもや子育て当事者のものだけではなくて、やはり広く国民の皆様みんなに関わるものだということをいかに理解し、この認識を共有してもらうか、そして、公園で遊びにくいとか、そういったことも含めて、今のこどもが置かれている状況がどれだけ厳しいか、あるいは子育て当事者の負担がいかに大きなものかということを理解してもらうことによって、自然と周りの皆様方の協力が行われることが望ましいと思っておりますし、そうなるようにこども家庭庁を中心に政府としても努力をしていかなければならないと思います。
なお、どういった形でこどもファスト・トラックを実施していくかにあたりましては、やはり子育て当事者やこどもの意見も大切にしなければならないと思います。
皆様方が日ごろ生活をしていて非常に困難を伴う場所でしたりとか、手続き、こういったものについて、やはりこどもファスト・トラックを設けることによって、子育ての負担を軽減していくことが必要だと思っておりますので、例えば行楽とか、そういったところに出かける場所だけではなくて、やはり生活に身近な場所につきましてもこどもファスト・トラックを設けてもらえるように、こちらとしては協力をお願いしていく必要があるのではないかというふうに思っています。

(以上)