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小倉大臣記者会見(令和5年6月13日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年6月13日(火)10時32分から10時49分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1. 発言要旨

まず、本日、総理官邸で全閣僚を構成員とする「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部」を開催し、「女性版骨太の方針2023」を決定いたしました。

全ての人が生きがいを感じられ、多様性が尊重される、持続的な社会の実現のため、以下3つの重点事項について取組を進めます。

第一に、「女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取組の推進」であります。企業における女性登用を加速化すべく、まずは日本を代表するプライム市場上場企業が「2030年までに女性役員比率を30%以上とすること」を目指し、「2025年を目途に女性役員を1名以上選任するよう努める」とする数値目標の設定や、各企業による行動計画の策定を促進します。併せて、女性登用のパイプラインの構築に向けた取組の支援や、女性起業家の育成・支援にも取り組みます。

第二に、「女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化」であります。長時間労働慣行の是正など多様で柔軟な働き方の推進や、女性デジタル人材の育成などリスキリングによる生産性の向上、地域のニーズに応じた取組の強化などを進めます。

第三に、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」であります。先般成立いたしました「配偶者暴力防止法改正法」の円滑な施行など、DV対策や性犯罪・性暴力対策の強化、事業主健診の充実など、生涯にわたる心身の健康への支援を進めます。

以上3点に加えまして、「第5次男女共同参画基本計画」に掲げられました女性の登用目標の達成に向けて、科学技術・学術、防災など、各分野における取組をより一層加速してまいります。

今回策定した「女性版骨太の方針」に基づき、政府を挙げて取組をしっかりと進めさせていただきます。

続きまして、こども・若者の性被害防止に関する関係府省の会議の開催であります。

性別を問わず、また、どのような状況に置かれたこども・若者であっても、性犯罪・性暴力の被害は根絶していかなければなりません。

これまで、こども・若者の性被害防止については、「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」や「子供の性被害防止プラン2022」に基づき各種の対策が進められてまいりましたが、依然多くのこどもや若者が性犯罪・性暴力の被害に遭っております。過去3年の犯罪統計を見ますと、こどもや若者が被害者となる強制性交等罪等の認知件数は増加しており、今年1月から4月の暫定値も昨年同時期を上回っております。

こうした中、被害に遭っても声を上げにくい当事者の心情にいかに寄り添うかといった課題も指摘されているところであります。

こうした状況等に鑑みて、関係府省がそれぞれの取組の強化を図るため、連携して検討を進めることといたしました。このため、お手元の資料にありますとおり、今日の15時30分から、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」及び「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」の合同会議を開催いたします。

今後、本合同会議において、こどもや若者の性被害防止に関する有識者や支援者の方々からのヒアリングなども実施をしながら、スピード感を持って議論を進め、来月の中頃を目途として、関係府省それぞれにおける対策の強化策についてお示しいたしたいと考えております。

また、検討に当たっては、私自身、被害に遭われた当事者の方の声を直接伺う機会も設けさせていただきたいと考えております。

本日の会議について、詳細は男女共同参画局及びこども家庭庁にお尋ねいただければと思います。

次に、孤独・孤立対策関連の2つのモデル事業の取組団体を決定したことを御報告申し上げます。

地方において官・民・NPO等の連携による孤独・孤立対策を支援する「地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業」については、令和4年度に引き続き、令和5年度も実施いたします。

このたび、第1次取組団体として9団体を決定させていただきました。9団体のうち7団体が新規の団体でありまして、残りの2団体は昨年度に続き2回目の実施となります。

このうち鳥取市は、連携する近隣6町とともにプラットフォームを形成していただいて、孤独・孤立対策に取り組んでいただく予定です。

また、北九州市は、官民連携プラットフォームの事務局をNPO等関係団体に移行する予定で、両団体とも新しいモデルの構築に今年度は取り組んでいただきます。

また、今年度新たに実施いたします「地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査」において、47件の取組を採択いたしました。本調査は、NPO等が主体となった日常生活における孤独・孤立の予防や早期対応につなげる取組に対して調査を行い、そのプロセスや成果を取りまとめるものであります。採択した取組については、お手元の資料で一部紹介しておりますが、いずれも現場で活躍されるNPO等の方々が、これまでの活動を孤独・孤立の観点から発展させました意欲的かつ先駆的な取組であると認識いたしております。

今後、こうした現場のアイデアに基づく取組モデルの横展開を図り、多様な交流の場や居場所づくりを全国各地に広げ、地域における孤独・孤立対策の充実につなげていきたいと考えております。

詳しくは、こちらも担当にお尋ねください。以上です。

2. 質疑応答

(問)性犯罪・性暴力の関係の関係府省会議についてお伺いいたします。被害に遭われた当事者の方々にもお会いされるという御発言がありました。今、国会で元ジャニーズの事務所の歌手の方々の問題というのも質問などで出ておりますが、具体的に、事柄上難しいと思いますが、どういう方々にお会いされる想定なのか、現時点で何か公表できるものはあるのか、教えていただけますでしょうか。

(答)まず申し上げておきたいのは、御指摘の特定の事業者のおける特定の事案について政府として対応するために会議を開催するものではなく、こどもや若者が被害者となる性犯罪・性暴力が繰り返されている現状にあり、また、被害に遭っても声を上げにくい当事者の心情にいかに寄り添うかといった課題も指摘されていることなども踏まえ、全てのこどもの性犯罪・性暴力をいかに防いでいくかという観点から、会議を開催させていただいているということであります。
当然、当事者の意見を聞くことは重要でありますし、先ほど申し上げたように機会を見つけて私自身も直接お話を伺いたいと思っておりますが、まさに被害に遭われた方でありますので、非常に機微に触れる案件でもあると思います。どういった方とどのようなタイミングで会うかについては、今後しっかり検討をさせていただきたいと思いますし、場合によってはその内容については公表できる部分も非常に限られてくるのではないかと思いますので、その点は御了解をいただきたいと思います。

(問)今の質問に関連してお尋ねします。当事者の方が声を上げにくいという状況があるとのことですが、今回の合同会議の論点としては、相談体制を強化するといったところにあるのか、どういったところに論点を見れば良いのでしょうか。

(答)やはり重要なのは、被害に遭われた方が、事が深刻になる前にしっかり声を上げられること。特に、こどもや若者の場合には、自分が被害に遭っていても自覚をされていない方も多数いらっしゃると思います。そういった潜在的な事案も含めて、いかに早期に発見をし、問題の芽を摘んでいくかということも重要だと思っておりますし、実際に被害に遭ってしまった場合には、メンタルケア、しっかりと被害者に寄り添った支援というのも重要ではないかと思っております。
いずれにしても、今日、会議を開催いたしますので、先ほど申し上げたように、取りまとめは来月の中頃を予定しております。何か特定の政策を決め打ちすることなく、より実効性のある具体的な政策を、各省庁、当然、私が所掌する内閣府男女共同参画局やこども家庭庁も含めて、スピード感を持ってお示しできるように、しっかりと議論を重ねてまいりたいと思っております。

(問)関連でお伺いします。今回の切り口ですが、会議として、性犯罪・性暴力、あとはこどもの性的搾取という観点になっているかと思います。野党を中心に児童虐待という観点からの法改正を含めたアプローチという視点もあったかと思いますが、改めて、先日も少し考え方を述べられていると思いますが、この問題は児童虐待ではなく、あくまで性犯罪・性暴力もしくはこどもの性的搾取という位置づけという理解でよろしかったでしょうか。その辺の整理を教えてください。

(答)お尋ねとしては、この合同会議の開催の目的、背景ということだと思います。まず、それについて説明させていただきたいと思います。
1点目は、先ほども申し上げたように、既に関係省庁がこどもや若者の性被害防止予防に向けた取組は進めてございますが、しかし依然として多くのこどもや若者が性犯罪・性暴力の被害に遭っております。過去3年間の犯罪統計を見ますと、こどもや若者が被害者となる強制性交等罪等の認知件数が増加をしており、今年1月から4月の暫定値も昨年同時期を上回ってしまっております。こうした中、被害に遭っても声を上げにくい当事者の心情にいかに寄り添うかといった課題も指摘されているところであります。
第2点、現在、今国会では刑法改正案も御審議をいただいております。そうした中で、こども・若者に対する性犯罪の防止や被害者への支援等について国民的な関心も高まっておりまして、法案が成立すれば広く改正刑法の趣旨等について周知啓発も必要となってきます。
さらに、3点目でありますけれども、4月のこども家庭庁の発足に伴い、こども政策担当大臣がこどもの性的搾取を防止するための政府の取組を中心的に担うことになり、性犯罪・性暴力対策の取りまとめを行ってきた男女共同参画担当とこれまで以上に一体的・総合的に取り組む体制も整ったところであります。
今申し上げた3点を背景にしながら、今後、これまでの対策に加えて、関係府省それぞれにおいて対策の強化等を図るために合同会議を初めて開催させていただくということであります。
なお、児童虐待の防止につきましては、前回の記者会見での申し上げたとおり、そういった児童虐待防止法の改正について議員立法として提出されたということは承知しておりますし、今後、国会等において御議論いただくものとは考えておりますが、児童虐待防止法は、本来こどもを監護する立場にある保護者からの虐待を防ぐとともに、親子に対する適切な支援を図る観点から、保護者による虐待行為に関する措置を規定するものであります。このように、親に対する支援とともに、虐待を受けた児童の家庭への復帰等を含めて規定する児童虐待防止法と、親以外の者からこどもに対する性加害にどう対応するかという議論は性格が異なるものであり、慎重に考えていく必要があるものと認識しております。
また、個別の事案に関して申し上げるものではありませんが、一般に、こどもに対する性加害があった場合には、事案に応じて刑法の強制わいせつ罪、強制性交等罪あるいは児童福祉法第34条等が適用され、対応されていくものと認識しております。
現在御審議をいただいております先ほど申し上げた刑法改正案では、現行法の「強制性交等罪」などの要件を改め、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするとともに、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力を憂慮させること又はそれを憂慮していること」等の類型を具体的に規定することとされております。これにより、こどもに対する性犯罪についても、現行法の下でも本来処罰されるべき同意していない性的行為が、より的確に処罰されるようになるものと承知いたしております。以上です。

(問)関連して、各省庁と連携して実効性のある政策をまとめるとのことですが、最終的には何かガイドラインなどの策定を想定しているのでしょうか。最終的な目標はどういったものなのか、教えてください。

(答)先ほどお答えしたと思いますが、今日、会議をスタートさせるところでありますので、まだ取りまとめまで1か月位あります。1か月といってもかなりのスピード感だとは思っておりますけれども。私が申し上げたいのは、この1か月の中で、従来の発想にないことを議論、検討していただいて、より実効性のある施策を各省庁にはお示しいただきたい。お示しいただいた各省の政策を、私の下でしっかり取りまとめたいとは思っておりますが、それぞれどのような形になるかにつきましては、これから有識者のヒアリングもございますので、予断を持ってお答えすべきものではないと思っております。

(問)先ほど、今の段階でどのような人たちと会うのかとの質問に対し、特定の事業者のために開く会議ではないとのことでしたが、今、国会で議論をされている元ジャニーズJr. の方たちも含めて、全てのこどもたちへ向けたものとの理解でよろしいでしょうか。

(答)我々の立場は、今御指摘いただいた特定の事業者、特定の事案、特定の業界に限らず、どのような状況に置かれているとはいえ、あらゆるこどもや若者の性暴力・性被害の防止を図っていかなければいけないという立場でありますので、全てのこどもや若者の性暴力・性被害防止対策、これをいかに強化できるかという観点から、しっかりこの合同会議において議論を進めさせていただきたいと考えています。

(以上)