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小倉大臣記者会見(令和5年6月2日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年6月2日(金)9時51分から10時03分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1. 発言要旨

冒頭は2点です。
今週の5月31日に、孤独・孤立対策推進法案が国会で可決・成立いたしました。また、本日公布のための閣議決定もなされ、6月7日に公布される予定であります。

孤独・孤立の問題は、今後、単身世帯や単身高齢世帯の増加等により、更なる深刻化が懸念をされているところです。こうした中、孤独・孤立の問題に対する政策対応をしっかりと進めるため、この法律は孤独・孤立対策の基本理念、国等の責務、施策の基本となる事項、国及び地方の推進体制等について定めるものであります。

この法律によりまして、孤独・孤立対策を内閣官房におけるモデル開発や試行の段階から、内閣府における本格実施の段階へ進めていきたいと考えています。今後、来年4月の法律の施行に向けた準備に万全を期してまいります。

続きまして、2点目でありますが、今日この後「こどもの自殺対策に関する関係府省庁会議」の第4回を開催いたします。この会議は、関係省庁の知見を結集し、総合的な施策を推進するために設置をしたものであります。

これまで、有識者や当事者の方々から御意見を伺うとともに、先週末には長野県に赴き、専門家の知見を生かして地域の実情に応じた支援を行っている「長野県子どもの自殺危機対応チーム」の皆様と意見交換を行ってまいりました。

本日の会議では、これまでいただいた御意見を踏まえて、こどもの自殺対策の強化に関する施策を取りまとめたいと考えております。なお、取りまとめの内容につきましては会議において説明をさせていただきます。
私からは以上です。

2. 質疑応答

(問)こどもの付添い入院に関連して1点伺います。先般NPO法人が全国アンケートの結果を公表しました。その結果によると、多くの保護者が寝食もままならない状況に置かれ、長期入院の場合は、離職に追い込まれるケースもあることが確認されました。NPO法人は、こども家庭庁にも支援と付添い環境の改善に向けた検討会の立ち上げなどを要望しています。この結果に対する御見解と、今後の対応についてお考えをお聞かせください。

(答)まず、こどもの心身の健やかな成育を確保する観点や、家族の身体的・精神的負担を軽減する観点から、病気のこどもやその家族が安心して入院生活を送ることのできる環境の整備は、重要な課題であると認識いたしております。
こどもの入院患者への家族等による付添いにつきましては、これまで厚生労働省において、令和3年度に行った実態調査等を踏まえ、患者の家族等が付き添う場合には、付き添う事由や範囲について十分に説明を行うよう医療機関に依頼するほか、診療報酬上、こどもの療養生活や成長発達等に着目にした評価として、病棟への保育士の配置について加算を設ける等の対応を行ってきたと承知をいたしております。
しかしながら、今回公表されたNPO法人キープ・ママ・スマイリングの調査では、入院中のこどもに付き添う家族の実態や課題が改めて示されたものと受け止めております。
こども家庭庁といたしましては、厚労省と連携しながら、令和5年度中に患者の御家族や関係団体等、これはキープ・ママ・スマイリングも含まれますが、こういった団体等の御意見を踏まえながら、小児の入院医療機関を対象に家族の付添い時の食事や睡眠等に関する医療機関の取組や課題等について調査を実施し、早急に実態を把握の上、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

(問)昨日公表された、こども未来戦略会議の素案についてお伺いいたします。大臣の受け止めと、保育士の配置基準の改善については時期が明確ではありませんが、いつ頃からを考えていらっしゃるのでしょうか。

(答)受け止めということなので、長くなりますがお付き合いをいただければと思います。
昨日お示ししたこども未来戦略方針の素案は、私が3月末に取りまとめた試案に盛り込んだ施策から、何一つ抜け落ちることなく、むしろ新たな施策も加えた上でこれらを具体化したものと、このように受け止めております。
こうした施策を実現することで、我が国のこども・子育て関係予算は、こども一人当たりの家族関係支出で見ても、OECDトップ水準のスウェーデンに達する水準となり、画期的な前進をもたらすものになります。
私の所管する施策につきましても、児童手当のかつてない大幅な拡充、「こども誰でも通園制度」の創設、75年ぶりとなります保育士の配置基準の改善など、重要な施策が盛り込まれております。
加えて、今後こども大綱の中で具体化をする貧困、虐待防止、障害児、医療的ケア児に関する支援策については、更なる拡充を検討することとしております。
引き続き、こども未来戦略方針の取りまとめに向けてしっかりと議論を進めていくとともに、できるだけ早く施策を具体化できるよう、具体的な制度設計等の検討を進めてまいります。
加えて、こども未来戦略方針の素案の施策を実施していくためにも、社会全体の意識改革に取り組んでいくことが必要と考えております。先般「こどもファスト・トラック」、「こどもまんなか応援プロジェクト」の取り組みを始めたところであり、さらに今年の夏頃をめどに、こども・子育てに優しい社会づくりのための意識改革に向けた国民運動をスタートさせる予定です。社会全体の意識改革につきましても、こども家庭庁が先頭に立って、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
そして最後に、保育士等の配置基準の改善の時期についてお尋ねがございました。今般のこども未来戦略方針案におきましては、「昨今、子育て世代が不安を抱えており、安心してこどもを預けられる体制整備を急ぐ必要がある。このため費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ、取組を進める。具体的には、1歳児及び4・5歳児の配置基準については、1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は30対1から25対1へと改善する」とされたところであります。
この配置基準の改善は、これまで御説明を申し上げたとおり、加算措置により実施することになると考えておりますが、今般の素案を踏まえながら令和6年度予算にこれを盛り込むべく、その具体的な内容については令和6年度の予算編成過程において詰めていきたいと考えております。

(問)先ほどの質問に関連して、戦略方針の中で児童手当の所得制限の撤廃や、多子世帯への加算が打ち出されたと思います。一方で、児童手当の拡充が少子化対策に実際につながるかというところに懐疑的な見方を示す意見もあると思いますが、実効性について大臣はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

(答)少子化対策を考える上で、実際に希望するこどもの数についてこどもを持てていない方にお話を伺いますと、まず先頭に来るのが経済的な理由。これによって、希望するこどもを持てないということであります。そういった意味では、経済的な負担を解消するということは間違いなく少子化に資するものと、このように考えております。
これも繰り返し申し上げてまいりましたが、我が国の現金給付と現物給付のバランスを考えたときに、今から10年ぐらい前まではむしろ現金給付のほうが現物給付の1.5倍に相当しておりましたけれども、保育・幼児教育の無償化、保育の受皿整備を進めたことにより、今は現物給付のほうが現金給付の約1.5倍の予算となっております。そういった中で、現金給付の割合を高めるべく、児童手当の拡充というのは意味があるものだと思っておりますし、様々なこども・子育て支援施策があると思います。ただ、今回こども未来戦略会議の委員の皆さま方からも多数意見が出ておりましたように、今回の少子化対策の大きな理念の一つとして、全てのこどもに対して支援を行うということであります。
児童手当は、今回の所得制限の撤廃によりまして、全てのこどもに支給をされる経済的支援ということにもなりますので、そういった意味においても、この児童手当の拡充というのは大変大きな意義をもつものではないかと考えております。

(問)令和6年度の保育士等の配置基準の関係ですが、令和6年度の予算に盛り込むということは、始める時期はどうなるのでしょうか。

(答)正に令和6年度の予算に盛り込むということでありますので、来年度予算ということになりますが、繰り返し申し上げておりますように、配置改善をするに当たっては、十分な数の保育士の確保等々、様々な事情もございます。そういった事情をしっかり勘案し、それについての議論を深めた上で令和6年度の予算案に盛り込むべく議論を更に進めていくということでありますので、私の考えとしては、令和6年度から何らかの配置改善に向けた内容を盛り込んでいきたいということであります。

(以上)