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小倉大臣記者会見(令和5年6月6日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年6月6日(火)10時11分から10時26分まで 於:こども家庭庁記者会見室)

1. 発言要旨

冒頭、私からは3点ございます。
まず1点目。昨日、総理官邸で「男女共同参画会議」を開催し、「女性版骨太の方針2023」の原案について議長に御一任をいただきました。

原案には、第一に女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取組の推進、第二に女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化、第三に女性が尊厳と誇りを持って生きられるという社会の実現、といった重点事項に基づき、その具体策として、プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標の設定や女性登用のパイプラインの構築に向けた取組の支援、女性起業家の育成・支援、長時間労働慣行の是正等による多様で柔軟な働き方の推進や女性デジタル人材の育成などリスキリングの環境整備、各地の男女共同参画センター及び国立女性教育会館、いわゆるNWECの機能強化による地域のニーズに応じた取組の推進、先般成立した「配偶者暴力防止法改正法」の円滑な施行に向けたDV対策や性犯罪・性暴力対策の強化、事業主健診の充実など生涯にわたる健康への支援など、今まさに取り組むべき施策を盛り込んでおります。

この原案をベースとして、今後、与党における所要の手続にも諮り、近々開催する全閣僚の会議「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部合同会議」において、「女性版骨太の方針」を決定し、実行に移してまいりたいと考えております。

続きまして、2点目です。こども・子育てに優しい社会づくりのための意識改革の取組の一環として、本日より「こどもまんなかマーク」の投票を開始します。意識改革の取組を展開するに当たり、共通のマークを作成し、私どもが直接イベント等で使用するとともに、「こどもまんなか」の趣旨に御賛同いただく自治体や民間にも広く使っていただいて、取組の輪を広げていきたいと考えております。

こちらが、「こどもまんなかマーク」のそれぞれ案になります。打ち出したいメッセージを率直に表示しつつ、こどもにも分かりやすく覚えやすいものというコンセプトで、現在こちらの4案を考えておりまして、これについて広く国民の方々にネット等で投票いただき、最終的にこの中から決定したいと考えております。

この際、併せて社会機運醸成の取組の全体像を説明しますので、今度はお手元の資料を御覧ください。

今申し上げた取組は、こどもや子育て中の方々が気兼ねなく様々な制度やサービスを利用できるよう、地域社会、企業など様々な場で、年齢、性別を問わず、全ての人がこどもや子育て中の方々を応援するといった社会全体の意識改革を進めることを趣旨として行うものであります。

これまで、ゴールデンウイーク前後におけます「こどもファスト・トラック」の実施予定施設の公表や、「こどもまんなか応援プロジェクト」の発表なども実施させていただきました。今日「こどもまんなかマーク」の投票を開始するとともに、今月12日には、こどもや子育てに優しい社会づくりに関する子育て当事者に対するニーズ調査を開始する予定であります。来月下旬には、こども家庭庁の「こどもまんなか広場」で「キックオフイベント」を開催し、取組を正式にスタートいたします。

詳細につきましては、改めて時期が来ましたら御説明を申し上げますが、「こどもまんなかマーク」の投票結果もキックオフイベントに合わせて公表をさせていただく予定です。

その後は、「こどもまんなか応援サポーター」や「こどもファスト・トラック」の好事例の発信、リレーシンポジウムの開催、「こどもまんなかアワード」の発表など、順次展開していく予定であります。

こうした取組の全体を、資料のタイトルにもございますように「こどもまんなかアクション」と名付け、社会の意識改革に向けた取組を進めてまいります。

この外、8月には「こども霞が関見学デー」にこども家庭庁として初めて出展をさせていただくとともに、こども家庭庁の私の大臣室をこどもたちに開放する取組なども行わせていただいて、こどもたちがこども政策を身近に感じてもらえるような取組も進めてまいりたいと思います。

それぞれの詳細につきましては、こども家庭庁の担当部局にお問い合わせをください。

そして最後、3点目であります。第4回の「こども政策DX推進チーム」を、明日16時45分から開催させていただきます。

今回はこども家庭庁が始動してから初めての開催となりますが、昨年度末にチームにおいて取りまとめました取組方針を踏まえた今後の取組内容について議論を行うとともに、今回からオブザーバーに加わっていただく「こどもDX推進協会」から新たな取組についても御説明いただき、さらに地方自治体からも取組を御紹介いただいた上で意見交換を行う予定であります。

また、このチームの取組の一環として、今年の2月から3月にかけて行いました妊娠・出産等の手続に関するアンケートについて、頂いたコメントを細かく集計・分析をさせていただきました。ここから見えてきた課題や取組の方向性、取組状況についても議論したいと考えております。

その外、詳細につきましては、事務方にお問い合わせをいただければと思っております。私からは、以上です。

2. 質疑応答

(問)厚生労働省が2日に公表した2022年の人口動態統計で、「合計特殊出生率」が過去最低の1.26となりました。また、1年間に生まれたこどもの数も初めて80万人を割り込みました。この結果に関する受け止めと、今後の対応についての考えを教えてください。

(答)御指摘のとおり、先日、厚労省が令和4年の人口動態統計月報に基づく年計を公表いたしました。言及いただいた点をもう少し詳しく申し上げますと、同年計によりますと、昨年1年間において出生数は77万747人で過去最少となり、対前年比はマイナス5.0%で、7年連続の減少。合計特殊出生率は1.26で過去最低となり、前年1.30からマイナス0.05ポイントで、7年連続の低下。婚姻件数は50万4878組で、対前年比はプラス0.7%で、3年ぶりの増加となりました。
今回の調査結果は、新型コロナウイルス感染症の流行が出生数や合計特殊出生率の低下に影響を与えたということを示唆するものであったと認識いたしております。
例えば、出生数につきましては、令和4年の対前年減少数は令和2年や令和3年に比べて拡大しておりますが、これは夫婦が結婚してから第1子が生まれるまでの平均期間が2年から3年である中で、新型コロナウイルス感染症が流行して間もない令和2年に婚姻件数が大幅に減少したことの影響が考えられると思います。
また、合計特殊出生率や婚姻件数については、コロナ禍の3年間での減少幅がコロナ前の3年間での減少幅よりも大きくなっており、コロナ禍を契機とした健康面や経済面などでの不安が、結婚や妊娠・出産に関して消極的にさせた影響も否定できないものと考えております。
他方で、令和4年におきましては、婚姻件数が3年ぶりに増加に転じており、今後の推移については様々な要因に留意し、多面的に注視していくことが必要と考えております。
いずれにいたしましても、今回の結果は、これまでも繰り返し申し上げておりますとおり、少子化の進行は危機的な状況であり、我が国の静かなる有事として認識すべきものであることを示すものと受け止めております。
「こども未来戦略方針」の素案では、2030年代に入るまでのこれから6、7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと考え、今後3年間をこども・子育て支援の加速化に取り組む集中取組期間としております。
こども政策担当大臣としましては、引き続き「こども未来戦略方針」の素案に掲げた政策をスピード感を持って実現することができるよう、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

(問)冒頭発言のありました、昨日原案を公表した「女性版骨太の方針」についてお伺いします。プライム上場企業に対して女性役員比率の目標設定を促すことを盛り込んでいますが、この女性役員の定義についてどのように設定するお考えか、教えてください。

(答)今回数値目標の設定を提言いただいた有識者検討会では、将来の女性役員候補を供給するための人材育成システムの整備を含むパイプラインの構築状況は企業ごとに大きく異なる点、また、取締役等の会社法上の役員に限らず、企業の意思決定プロセスに関与する部分の多様化を進めることや執行役員の女性比率を向上させることが重要である点の御指摘がございました。こうした点を踏まえまして、「役員」とは、会社法上の「役員」に限らず、執行役員等も含むことが適当だと考えております。その上で、まずは「女性版骨太の方針2023」に盛り込まれた内容を、着実に実行していく必要があると考えております。
実際にプライム上場企業におきましても、この執行役員を含めた「役員」の中で、女性がいないという企業もございます。そういう意味では、非常に高い目標ではないかというふうにも思っております。
他方で、有識者検討会の提言におきましても、「今後の進捗状況を踏まえた上で、目標を設定すべき対象企業の範囲や数値目標の水準について、不断の見直しを続けるべきである」ともされておりまして、それも踏まえて、私どもとしては必要な対応をさせていただきたいと考えております。

(問)関連して、今後の進捗状況を踏まえて不断の見直しを進めるべきと考えているというお話もありましたが、その実効性をどのように担保できるのかと考えた時に、今後、更に対象を絞り込んでより目標を引き上げていくというお考えもありますか。

(答)まずは、2025年までに少なくとも1人、2030年までに30%以上という目標自体が、これまでの目標よりも大幅に踏み込んだものという認識がございます。まずは、この目標を経済界の皆さん方と一緒になって、しっかりと達成できるような様々な政策をやっていくということが重要ではないかと思っています。

(問)児童虐待防止について伺います。ジャニーズ事務所の報道が相次いでいる件で、児童虐待防止法について、第三者の虐待も認めるべきだという署名が当事者の方から出ています。これまでも官房長官を含め答弁があったかと思いますけれども、改めて現時点どのような御対応をお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。

(答)まず、児童虐待防止法改正につきましてであります。児童虐待防止法は、本来こどもを監護する立場にある保護者からの虐待を防ぐとともに、親子に対する適切な支援を図る観点から、保護者による虐待行為に関する措置を規定しているものであります。このように、親に対する支援とともに、虐待を受けた児童の家庭への復帰等を含めて規定する児童虐待防止法と今般の事案とは性格が異なるものであり、こちらについては慎重に考えていく必要があるものと考えております。
児童虐待防止法の改正につきましては、議員立法として提出されていると承知をいたしております。その取扱いにつきましては、今後、国会等において御議論をいただくべきものと考えております。
その上で、性犯罪・性暴力は、こどもの心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと、私どもも認識をいたしております。
実際に、公明党の緊急提言におきましては、関係省庁連絡会議の開催や、こどもに対して一定の影響力を持つ第三者が性行為等を強要することは刑法等に当たることへの周知等が提言されていると承知をいたしております。
政府といたしましては、本年3月に取りまとめました「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」に基づいて、関係府省が連携をして、若年層を始めとする多様な被害者を念頭に、被害申告や相談をしやすい環境の整備、社会全体への啓発など、性犯罪・性暴力対策の強化に取り組んでいるところであります。
とりわけ、こどもに対する性加害につきましては、昨年取りまとめた「子供の性被害防止プラン2022」などに基づき、こども家庭庁を中心として、こどもや保護者が相談しやすい環境の整備や、「同意のない性的な行為は性暴力」、「被害者は悪くない」という社会全体への啓発により、被害者が声を上げやすくする施策を推進しているところでもあります。
今後、今申し上げた公明党の緊急提言などを踏まえながら、関係省庁と連携をしつつ、必要な対策、対応を検討してまいりたいと、このように考えております。

(以上)