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小倉大臣記者会見(令和5年7月28日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年7月28日(金)10時42分から10時59分まで 於:こども家庭庁記者会見室)

1. 発言要旨

今日は、冒頭が全部で7点ございます。

まず1点目です。昨今、神戸市や津市などの事案をはじめといたしまして、幼いこどもの命が失われる大変痛ましい事件が生じております。まず、亡くなられたお子さんの御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。

個別の事案については、それぞれ警察における捜査や各自治体の検証の取組に加えまして、国としても死亡事例検証の取組を今後進めてまいりたいと思っております。

こうしたそれぞれの検証等の動きの中で判明した新たな課題などについては、その都度必要な対策を講じていきたいと考えておりますが、幼い命を守るため、現時点において改めて取組の一層の徹底を図るべく、来週にも全国の自治体等に通知を発出することといたしました。

主な内容といたしましては、まず、こどもと日々の接点を有する学校、保育所等に対して、改めて虐待のサインとして留意すべき点を示すとともに、不自然な外傷や長期の欠席などの場合は、ちゅうちょなく市町村等へ連絡を入れていただくことの徹底を呼びかけるものであります。

私が今お示しをしておりますこちらのリーフレットにコンパクトにまとめましたので、職員会議等での周知や職員室等での掲示等を全国でお願いしていきたいと考えております。

こどもたちに近い職業の方々に、こどもや御家庭の様子がどういった状況にある場合には市町村等に対して連絡が必要であるかを分かりやすくお示ししたものであります。こういった分かりやすいリーフレットを使いまして、関係者の皆様に周知を図ってまいりたいと思っております。

その上で、こうした虐待が疑われる情報を受けた市町村においては、適切なリスク評価に基づく対応を行えますよう、チェックリスト形式のツールを改めて周知いたしまして、着実な安全確認や児童相談所への通告等につなげていくことといたしております。

学校や保育所、市町村や児童相談所等の現場におきましては、これまでも多大な尽力をいただいてきているところではありますが、こどもの命を守るために、もう一段の御協力をここでお願いしたいと考えております。

また、国民の皆様におかれましても、「虐待かもしれない」と不安に思われた際には、こどもの命を守るために、ちゅうちょなく「児童相談所虐待対応ダイヤル189」に情報をお寄せいただくことを併せてお願いしたいと思っております。

2点目であります。7月21日に、福岡県を流れる犬鳴川で小学6年生の女子児童3名が溺れて亡くなるといった、大変痛ましい事故が発生してしまいました。

また、7月27日には、滋賀県におきまして、放課後児童クラブの活動としてプールで遊泳していた際に児童1名が亡くなるという、大変痛ましい事故も発生してしまいました。

それぞれの事故で犠牲になられましたお子様とその御家族の皆様方に、心からお悔やみを申し上げたいと思っております。それぞれの地域において、残された方へのグリーフケアの取組をしっかりと行っていただきたいと考えております。

その上で、こども家庭庁といたしましては、これまでこどもの事故防止ハンドブックにおきまして、川遊びではライフジャケットを着用させ、必ず大人が付き添うようにすることを周知してまいりましたが、今回の事故を受けまして、改めてSNS等を通じて、川や海も含めたこどもの水難事故について注意を徹底して呼びかけてまいりたいと思っております。

また、2点目に申し上げた事故に関連しまして、保育所やこども園等に対しては、「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」において、プール活動や水遊びを行う際の監視体制や注意すべきポイントをお示しし、周知してきたところでありますが、今回の事故を受けまして、昨日改めて、放課後児童クラブにおける安全管理の徹底について、各都道府県等に対しまして、周知徹底を図るよう事務連絡を発出させていただきました。

加えまして、放課後児童クラブについては、事故やけが防止のためのマニュアルの策定をこれまでも求めており、9割以上の事業所でこうしたマニュアルが策定されておりますが、これが全ての事業所で策定されるよう改めて要請をさせていただくと同時に、今回の事故を踏まえまして、放課後児童クラブにおいてプール活動を行っているかどうかや、行っている場合にプール活動に関する事故防止マニュアルが策定されているかといった実態把握を行った上で、私どもといたしまして、必要な対応について検討してまいりたいと考えております。

引き続き、それぞれの関係者、現場に対しまして注意喚起を促すと同時に、死亡事故が繰り返されないように、予防のためのこどもの死亡事故検証、いわゆるCDRの取組も一層強化し、こういった大変痛ましい事故が起こることのないよう、事故防止策を全国で共有する仕組みを構築してまいりたいと考えております。

3点目です。今日の16時半から、放課後児童対策に関する2省庁会議を開催いたします。

放課後児童クラブにつきましては、受皿整備などの計画であります「新・放課後子ども総合プラン」が今年度で最終年度を迎える中で、これまで私も現場視察や自治体担当者との意見交換などを重ねてまいりました。

本日は、こども家庭庁と文部科学省から「新・放課後子ども総合プラン」の進捗や放課後児童対策の実施状況等について、改めて報告していただきます。

こども政策担当大臣として、両省庁からの報告を踏まえまして、待機児童の解消や質の向上に向けた取組を加速化してまいりたいと考えております。

この会議の詳細につきましては、事務方にお問い合わせください。

続きまして4点目です。本日、こども家庭審議会の下に置かれております部会の1つであります「こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会」の第1回が開催されます。

こどもの貧困対策やひとり親支援施策を議事として専門的に審議をいただく部会であります。

こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」では、こどもたちがどのような環境にあっても健やかに育っていけるようにすることを目指しております。

経済的に困難な家庭のこどもなど多様な支援ニーズを有するこどもについては、その育ちを保障し、可能性が十分に発揮される環境を整備することが重要だと考えております。

また、こどものいる世帯の7%は一人親であり、その44.5%が相対的貧困の状況にあることを踏まえれば、とりわけひとり親家庭の自立と子育て支援は喫緊の課題であると認識いたしております。

このような考えの下で、先月閣議決定されました「こども未来戦略方針」では、ひとり親家庭の自立促進の対応を進めることを盛り込んだ上で、今後、「こども大綱」の中で具体化をします貧困等に関する支援策について、施策の拡大を検討することといたしております。

「こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会」では、学生や子育て当事者をはじめ、こどもに関わる有識者など様々な立場の方に委員として御参画いただいており、こうした方々の御意見をしっかりと伺いながら、政策に反映させていきたいと考えております。

こちらも、詳細につきましては事務方にお問い合わせください。

5点目であります。夏休み期間中の8月23日に、こどもの職業・社会体験施設「キッザニア」と連携いたしまして、こども家庭庁内で「PRオフィサーDay in こども家庭庁」を開催させていただきたいと思います。

このプログラムは、こどもたちにこども家庭庁の広報官の仕事を体験していただく内容となっております。

まず、こども政策に関する課題を各部局からヒアリングしていただいて、それを基に課題解決に向けたアイデアをこどもたちが自ら考え、「模擬記者会見」で発表していただくことになります。初回は、私も参加させていただく予定であります。

今日からキッザニアのホームページで申込みの受付を開始すると伺っております。

こども家庭庁のこれまでの行政にはない新たなチャレンジとしては、こどもをこども政策の対象としてのみ捉えるのではなく、こども政策の当事者として共に政策を立案していくということにあります。

このプログラムを通じまして、参加するこどもたちだけではなく、より多くの国民に「こどもとともに政策を立案していくことの重要性」をお伝えできればと考えております。

こちらも、事務方に詳細はお問い合わせください。

6点目です。男女共同参画・女性活躍担当大臣といたしまして、報告します。来週8月1日から5日にかけて、インドを訪問します。

インドでは、ガンディナガルにおきましてG20女性活躍担当大臣会合に出席し、経済分野における女性のエンパワーメントについて発言しますほか、デリーにおきまして同地における男女共同参画・女性活躍に関する取組の視察を行う予定です。

また、関係国要人との会談等も予定いたしております。

事務方に、詳細はお問い合わせください。

最後7点目です。孤独・孤立の問題を抱える方々に支援制度や相談先の情報をタイムリーにプッシュ型で発信することについては、孤独・孤立対策の重点計画の基本方針にも定められております重要な施策となっております。

本年2月から、孤独・孤立に関する各種支援制度や相談先を紹介する孤独・孤立対策ウェブサイトの周知をソフトバンクと連携して実施してまいりましたが、来月からはNTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、楽天モバイルの各社と連携して、同様の周知を拡大して行うことになりました。

具体的には、携帯電話の料金の支払いが遅れている方に対して、携帯電話事業者が送付するショートメッセージ又はメールでの案内の中で、孤独・孤立対策ウェブサイトを紹介していただくものであります。

ほとんどの世帯が保有しております携帯電話の事業者との連携によって、タイムリーに支援制度や相談先の情報が届けられるようになることは、「孤独・孤立に至っても支援を求める声が上げやすい社会とする」ことに資すると考えております。

また、孤独・孤立の問題やそれらから生じる更なる課題に至らないようにする予防の観点からも、効果を上げることを期待いたしております。

今回の取組を含め、声を上げやすい・声をかけやすい社会に向けた環境整備について、官民連携して更に取り組んでまいりたいと考えております。

冒頭発言は以上となります。

2. 質疑応答

(問)冒頭に御発言いただいたプールでの事故に関して伺います。マニュアルの策定状況などについて今後実態把握をされるということですけれども、この調査はいつから始め、いつ頃終了見込みでしょうか。また、調査結果を踏まえてどういう対応をされるか、イメージがあれば教えてください。

(答)このマニュアルについては、既にお願いしているものであります。速やかに、自治体を通じて全ての事業所にこのマニュアルをきちんと策定していただけるよう、行動に移してまいりたいと思っております。
後半のプール活動におけるマニュアルの在り方でありますけれども、現在自治体におきまして、今般の事故を検証していただいていると思います。その自治体の検証結果をしっかりと御報告いただいた後に、プール活動における安全管理の在り方を、私どもとしても適切に考えて対応してまいりたいと思っております。

(問)関連してお尋ねします。今回滋賀で事故があった学童においてもマニュアルが策定されていたかどうか、もし把握していたら伺いたいというのが1点と、大臣の先ほどの御発言の中で、こども園や教育・保育施設等にガイドラインのツールや水遊びのポイントをこれまでも周知してきたという話でしたけれども、こちらの周知はこれまで放課後児童クラブも対象となっていたのか、お答えいただけますでしょうか。

(答)まず1点目の御質問ですけれども、当該事業所におきましてはマニュアルを策定していなかったということであります。
2点目については、当然、冒頭発言の「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」、この中に放課後児童クラブも入ってはいるのですけれども、明示的には入っていないということでありますので、今回学童についてもこのガイドラインの対象であるということをしっかりと周知させていただきます。

(問)確認ですけれども、昨日発出された事務連絡は、改めて学童についても対象であることを明示して、周知を徹底したという理解でよろしいでしょうか。

(答)そうです。そういう理解です。

(問)関連して、滋賀県の事件では、報道では、こどもがどのぐらい泳げるかを放課後児童クラブの側は把握していなかったということですけれども、こうしたことに限らず、放課後児童クラブと学校側の連携について、どのような課題があるかお伺いします。

(答)この事案そのものにつきましては、現在は警察による捜査が行われているものと承知しております。先ほども申し上げたように、まずは市において事業所に対する聞き取り調査をしているところと承知しておりますので、現時点で、私から当該事案についての対応の適否についてコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に教育現場と学童との連携という意味におきましては「新・放課後子ども総合プラン」等でもお示ししておりますところでありますが、放課後児童クラブと学校との連携は、こどもの育成支援におきましても重要であると考えております。
先ほど御紹介いたしました、本日開催されます文部科学省とこども家庭庁による会議におきまして、更なる連携を通じて安全・安心な放課後の居場所づくりという観点からも議論を進めてまいりたいと考えております。

(問)国連の人権理事会作業部会の来日についてお伺いします。国連の人権理事会ですが、「ビジネスと人権」作業部会の専門家が24日に来日して、日本のビジネスと人権に関わる状況について調査しているということですけれども、政府としてこの専門家の調査にどのように協力されるかということと、小倉大臣自身が専門家の調査に協力する予定があるかどうかお聞かせください。

(答)御指摘の国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家の方々が、7月24日から8月4日までの予定で訪日していることは承知しております。
また、同作業部会の専門家が、当事者の方々と面会をしたという報道も承知しておりますけれども、この作業部会の活動については、私ども政府といたしましてはコメントをする立場にはございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

(以上)