加藤大臣記者会見(令和6年3月22日)
加藤大臣記者会見要旨
(令和6年3月22日(金)9時01分から9時15分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)
1.発言要旨
冒頭、私から3件について御報告がございます。
まず、令和6年度「若年層の性暴力被害予防月間」の実施についてお知らせをいたします。
本月間のポスターは、こちらにあるとおり、「誰も傷つかない、未来へ。」というキャッチコピーで作成をいたしました。性暴力の根絶を目指すとともに、被害に遭った方が相談しやすい社会をみんなでつくっていこうというメッセージを込めております。
4月は入学・就職等に伴い若年層の生活環境が大きく変わる時期であり、被害に遭うリスクも高まるものと考えられます。このため、政府では毎年4月を「若年層の性暴力被害予防月間」と位置づけ、性暴力防止の啓発や相談先の周知などに取り組むこととしております。
私も大臣就任以降、性暴力被害に関する相談対応をされている方々から、こども・若者からの相談が多いことですとか、被害者が相談に至るまで様々な困難を抱えていることについてお話を伺い、多様な被害者がためらうことなく相談することができる環境の重要性を認識、実感をしてきたところでございます。
相手の同意のない性的な行為は性暴力であり、許されるものではありません。勇気を出して相談をしたのに、心ない言葉に傷ついたり、誰にも相談できずひとり抱え込んでしまうということのないように、被害を相談しやすい社会をつくってまいりたいと考えております。
内閣府では、このポスターに加えまして啓発動画も作成をしており、本月間においてポスターや動画を活用して、関係省庁や都道府県とも連携をして広報啓発活動を集中的に実施いたします。
本月間を通じて性暴力の根絶を目指し、被害を相談しやすい社会をみんなでつくっていくことの重要性について、若年層を中心に社会全体で考えるきっかけとしていただきたいと思っております。どうか皆様の御協力をお願いいたします。
2点目でございます。いじめ防止対策関係省庁連絡会議について本日、第3回を開催いたします。この会議は、いじめを政府全体の問題として捉え直し、関係省庁が連携して取り組んでいくために設置しているものでございます。
今回の会議におきましては、昨年度に取りまとめた、いじめ防止対策の強化に向けた14の検討項目に関する取組状況等について関係省庁より御報告をいただく予定でございます。私も出席をいたします。
いじめの認知件数や重大事態件数はいずれも過去最多となるなど、いじめは大変深刻な状況にあり、社会総がかりでこのいじめの問題に取り組む必要があると考えております。「こどもまんなか社会」の実現に向けて関係省庁の皆様と一丸となって、改めてこういった認識を共有をし、いじめ防止対策にしっかりと取り組んでまいります。
会議の詳細につきましては、事務方にお尋ねいただければと思います。
3点目は、こども・若者の意見反映に係る取組についてでございます。この取組につきまして2点報告させていただきます。
まず1点目でありますが、本日、「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」を決定しました。
このガイドラインは、各府省庁や地方自治体で政策の最前線におられる行政職員の皆さんに、こども・若者の意見を聴き、政策に反映することについて理解を深めていただくとともに、実践していく際の留意点ですとか工夫、事例などを提供するものでございます。今後、こども・若者の意見反映が全国的に取り組まれるよう、このガイドラインを各府省庁、それから地方自治体にしっかりと周知をしてまいります。
各府省庁、地方自治体におかれましては、このガイドラインを活用し、こども・若者の意見反映についてぜひ積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
2点目でございます。次に、こどもや若者から意見を聴き、政策に反映する「こども若者★いけんぷらす」の運営に参画をしている『みんなのパートナーぽんぱー』について、令和6年度にぽんぱーを務めてくださるこども・若者の募集を本日から開始をいたします。
ぽんぱーの皆さんと一緒に考え、悩み、チャレンジをし、よりよい仕組みにしていくとともに、こどもや若者の意見を聴くことの意義を社会全体に広げていきたいと思っておりまして、多くの方からの御応募をお待ちしております。
なお、本日午後に事務方からブリーフィングを行いますので、詳細につきましては後ほどお聞きをいただければありがたく思います。
冒頭の報告は以上になります。
2.質疑応答
(問)離婚後にも父母の双方が親権を持つ共同親権の導入を柱とする民法改正案の国会審議が始まりました。こどもの意見表明を担保していくためにも、こども家庭庁が果たす役割があると思いますが、大臣としてこの議論をどのようにお考えでしょうか。
また、こうした事例に対し、こどもの権利を守るために行政から独立した立場でこども政策を調査し、勧告するこどもコミッショナーの導入の議論もあるかと思いますが、どのようにお考えか教えてください。
(答)こどもの意見の表明につきましては、こども基本法の基本理念にあるとおり、全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されることは重要であると考えております。
このため、こども家庭庁では、こども・若者が自由に意見を表明しやすい環境整備と機運の醸成に取り組むとともに、広く社会に対しても、こども・若者の意見を表明する権利について周知啓発をすることとしてございます。
また、御指摘のこどもコミッショナーにつきましては、こども基本法の法案審議の際に様々な議論があったものと承知をしてございます。こども大綱におきましては、こども家庭審議会において法案審議を受け止め、こどもや若者の視点に立って、公平性や透明性を確保しつつ、施策や制度の改善等に対して権限を適切に行使することとされておりまして、引き続きこども家庭審議会がその機能を発揮できるよう取り組んでまいります。
(問)この4月でこども庁設置1年を迎えるに当たって、ちょっと早いのですが、所感をお聞きしたいと思います。1つは、この1年の成果と課題をどうお考えか。それから、特に幼児教育とか学校教育とかが文科省に残った関係で、縦割りが解消されていないのではないかという指摘があるのですけれども、これに対してどうお考えか。それから、支援局と成育局とあるのですけれども、成育局の施策がやはりこの1年多く打ち出された一方で、本当に支援が必要なこどもたちへの施策を担う支援局がちょっと目立たない状況にあるかなと思うのですが、これについてどうお考えかお尋ねします。よろしくお願いします。
(答)幾つか御質問をいただきましたので、まず、こども家庭庁が発足して1年ということで、振り返りつつ受け止めを申し上げたいと思います。こども家庭庁発足1年ですが、所感については改めて年度末に申し上げたいと思いますが、昨年は、我が国初の「こども大綱」や、また、「こども未来戦略」、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」、それから、「こどもの居場所づくりに関する指針」といった新たな政府方針を昨年末に閣議決定するなど大きな動きのあった1年であったと感じております。
また、今年に入ってからは、令和6年能登半島地震への対応のほか、先日、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」を国会に提出をさせていただいたところでして、今後、本法案に基づいて施策や制度をしっかりと充実させるとともに、社会全体でこどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組を車の両輪として進めていき、こども政策の充実を多くの方に実感していただけるように引き続き取り組んでいきたいと、このように思っています。
それから、文科省との縦割りのことについての御指摘に対してどう考えるかという御質問でありますが、文科省が担う学びに係る行政とこども家庭庁が担う育ちに係る行政が、まずは、こどもの最善の利益を第一に考えて、密接に連携することが極めて重要だというふうに考えております。そのため、こども家庭庁としましては、その総合調整機能の発揮等を通じまして、文部科学省との密接な連携を図って、全てのこどもの健やかな成長を学びと育ちの両面から支援をしてまいりたいと考えております。
連携の具体例としましては、文科省と連携しながらやっているものを御紹介させていただきますと、幼児期までの育ちに係る基本的なビジョンを閣議決定させていただいたとともに、放課後児童対策パッケージを取りまとめました。また、まさにタイムリーで、今日行いますけれども、先ほど申し上げたいじめの問題について関係省庁会議を開催します。私も出席いたしますが、盛山文科大臣にも御出席をいただける予定となっておりまして、両省庁の施策の連携によって政府一丸となって対策を進めているところでございます。さらに、今後改定する幼稚園・保育所の要領や指針は両省庁が相互に協議をし、共同で策定することとしております。引き続き文部科学省と連携をしながら、全てのこどもの健やかな成長を支援してまいりたいと考えております。
最後に支援局の施策です。本当に支援が必要なこどもたちへの施策が目立たないという御指摘についてでございます。支援局のほうでは、こども家庭庁発足以来、多様な支援ニーズを有するこどもや家庭に対する様々な支援策に取り組んでおります。また、昨年の未来戦略やこども大綱においてもしっかりと厚みを増した施策を打ち出しておりまして、打ち出しが少なく目立たないということはないものと認識をしてございますが、御質問をいただけたことに感謝を申し上げます。こういった機会をとらまえて、ますます発信をしていきたいと、このように考えております。
ですので、この後具体的に紹介させていただきますと、こどもの自殺対策の司令塔として昨年6月に取りまとめた、こどもの自殺対策緊急強化プランに基づき、関係省庁とワンチームとなって取り組んでおります。また、本年4月からの改正児童福祉法の施行に向けては、市町村で包括的な相談支援等を行うこども家庭センターの人員体制強化や、法改正で創設をした社会的養護自立支援拠点事業、妊産婦等生活援助事業、里親支援センターの設置等が確実に実施されるよう必要な経費を予算案に盛り込んでございます。あわせて、政令・府令や各種ガイドライン等の整備を進めつつ、自治体説明会等によりこれらの内容の周知を図るなど着実に準備を進めております。
さらに、こども未来戦略に盛り込まれました新たな施策や既存施策の拡充事項として、児童扶養手当の所得制限の見直しや多子加算の増額などの実施、それから、家計が厳しい家庭における大学受験料等の費用補助などの貧困対策の強化、また、子育てに困難を抱える世帯やヤングケアラー等に対するプッシュ型・アウトリーチ型支援の強化、また、家庭から孤立したこども・若者の安全な居場所、こども・若者シェルターの確保など新たなニーズへの対応、障害のあるこどものための補装具費の所得制限撤廃等への取組を着実に進めてございます。
加えて、障害福祉サービス等に係る報酬改定につきましては、家族支援やインクルージョン推進の取組への充実などを盛り込み、令和6年4月の施行に向け、告示の改正、それから関係通知の発出を進めております。
今後とも全てのこどもの健やかな成長を支え、誰一人取り残さない社会を実現するために着実に施策を推進してまいります。
(問)冒頭発言に出ていた行政職員向けのガイドラインなのですけれども、この後、ブリーフィングが行われるということなのですが、どの辺りがポイントになるのか、もう少しお聞かせいただけるでしょうか。
(答)ポイントについても、ガイドラインの内容につきましては、後で事務方のほうからブリーフィングをさせていただきますので、そちらのほうで御確認いただければと思います。
(以上)