加藤大臣記者会見(令和6年4月26日)
加藤大臣記者会見要旨
(令和6年4月26日(金)9時46分から10時02分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)
1.発言要旨
冒頭、私からは1件のみ報告がございます。
昨日、第10回性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議第15回こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議の合同会議を開催いたしました。
本会議は、昨年の合同会議から約半年が経ち、こどもたちも新学期を迎え新たな環境での生活が始まっていることや、3月19日に「こども性暴力防止法案」が国会に提出されたことを踏まえまして、関係府省庁でさらに連携を深め、対策を推進していくために開催をしたものでございます。
私からは、法案が国会に提出されたこと等を踏まえまして、こどもの性暴力防止に向けた対策の全体像を新たに整理し、ご説明をいたしました。
具体的には、「こども性暴力防止法案」の概要についてご説明をした上で、こども・若者の性被害を防止するためには、総合的な対策が必要であることから、加害の防止、相談・被害申告しやすくする、また被害者支援、さらには治療や加害者更生といった4つの視点から新たに対策を取りまとめ、実行していくこと。また、既存制度である教育や保育士などのデータベースも活用していくこととし、施策を総動員して、総合的な対策を推進していくと申し上げました。
岸田総理からは、「こども性暴力防止法案」は、こどもたちを性暴力から守るための重要な対策の一つとして位置づけられるものであり、現場からも大きな期待が寄せられていることから、政府としても、今国会中の早期成立を目指し、最大限努力していくことについて、ご発言をされるとともに、この法案に加えて、総合的な対策を進めていくことが必要であり、新たにとりまとめた対策に基づいて、更に取組を進め、政府一丸となって、こどもたちが安心して生活を送ることができる環境整備に万全を期すように、という指示を受けました。
総理のご指示等も踏まえまして、引き続き関係府省庁とも連携し、必要な対策を進めてまいります。
冒頭、私からは以上になります。
2.質疑応答
(問)私から1件。宗教の信仰等に起因する児童虐待について伺います。
一部報道でありましたように、宗教の信仰等に起因する児童虐待は、当事者があとになって虐待に気づくケースがあると思います。
一昨年公表した「Q&A」の周知など、当事者や周囲の大人たちの気づきにつながるための取組や、こどもたちを守るための取組で今後予定しているものがあれば、教えてください。
(答)身体的虐待や心理的虐待等の児童虐待は、宗教の信仰を背景するものも含め、その理由のを如何を問わず、許されるものではありません。
こども家庭庁としましては、児童相談所や市町村等の現場において適切な対応がなされるよう、令和4年12月には、「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」におきまして、具体的にどのような行為が児童虐待に該当しうるかを明示した上で、全国の児童相談所や学校等の関係者に対しましても、動画コンテンツなどを通じて、周知に取り組んでまいりました。
また、昨年度、児童相談所等の現場における対応の状況等を把握する観点から、こども家庭庁の補助によって、民間事業者において、「保護者による宗教の信仰等に起因する児童虐待に関する調査研究」が実施され、その結果が今後公表される予定であると承知しております。
その調査研究の結果も踏まえ、今後、どのような対応ができるかについて、さらに検討してまいります。
(問)こどもの自殺対策についてお伺いします。
こどもの自殺が深刻な状況となるなか、24日には遺族でつくる団体から、CDRの全国運用に向けた体制整備や、『心理学的剖検』という新たな調査手法の導入について要望がありました。
それぞれの受け止めをお聞かせください。
また加藤大臣は再発防止策を立てるために、こうした調査の必要性をどのように考えていらっしゃるのか、今後取り組まれる意向があるかについてもお伺いできますと幸いです。
(答)ご指摘のとおり、24日に「安全な生徒指導を考える会」の方々にお会いして、CDR、いわゆる予防のための子どもの死亡検証の全国展開ですとか、こどもの自殺の調査として心理学的剖検を行うようご要望をいただきました。
こどもの死亡事例について、医療、警察、行政等の関係者で死因等の検証を行い、効果的な予防策を導き出すCDR、これは重要な取組でございます。
CDRの体制整備に向けた検討を進めるため、令和2年度から、複数の都道府県において、モデル事業を実施してまいりました。
今後、そのモデル事業を通じた課題等を検証し、関係省庁ともしっかりと連携しながら、立法の必要性の有無も含めて、CDRの体制整備に向け、丁寧かつ着実に、引き続き検討を進めてまいります。
また、CDRも含めまして、こどもの自殺の要因分析を進めることは、効果的な自殺対策を進めていく上で、当然ながら重要な課題であると考えております。
こども家庭庁としましては、今年度、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づいて、警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が保有する自殺統計や関連資料を集約して、要因分析を行う調査研究を行うこととしております。まずは、この調査研究を進めてまいります。
この調査研究では、こどもの自殺に関する調査・分析に当たっての課題も整理することとしておりまして、ご提案されました、「心理学的剖検」による調査研究も含め、課題を整理しつつ、こどもの自殺の実態解明に向けて、どのように取り組んでいくか、関係省庁とも連携して検討してまいります。
不適切な指導によるこどもの自死を繰り返さないでほしいというご要望、この切実なご要望をしっかり受けとめて、引き続き「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく取組を推進してまいります。
(問)読売新聞では、本日の朝刊で人口減対策の提言を行いました。
対策の7つの柱として、結婚から育児まで切れ目なく支援することで、希望する人が第2子を産み育てることへの抵抗感をなくすことなどを掲げています。
少子化担当大臣として、この提言に関しての受け止めと、また結婚から育児、仕事との両立に向けた支援策や、安定財源の確保に向けて、今後取り組むべきことについて、どのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
(答)ありがとうございます。
大変大きく紙面のスペースを取ったご提言だったと思います。
御社のご提言一つ一つについて、コメントすることは差し控えますが、少子化対策を総動員して実行しなければならないという問題意識につきましては、我々も軌を一にするものと考えております。
その上で、少子化の進行は危機的な状況にあり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでの、これからの6、7年、これが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、これはいつも申し上げていることでありますが、少子化対策は待ったなしの瀬戸際でございます。
このため、昨年末に取りまとめられた「こども未来戦略」に基づき、若い世代の所得を増やすこと、社会全体の構造や意識を変えること、全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること、この3点を柱に据えて、3.6兆円に及ぶ、前例のない規模で少子化対策の強化に取り組むとともに、これらを支える安定財源の一つとして、支援金制度を創設することとしており、引き続き、法案の早期成立に全力を挙げてまいります。
あわせまして、単に制度や施策を策定するのではなく、社会全体で、こどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要でございまして、車の両輪として進めてまいります。
(問)1点、子どもの権利条約についてご質問させていただきます。
4月で批准から30年を迎えましたが、この間に、児童虐待防止法、子どもの貧困対策推進法、こども基本法が制定されるなど、こどもの施策が推進される一方で、虐待相談件数が更新され続けるといった課題も指摘されています。
こども家庭庁は、昨年こども大綱を制定しましたが、子どもの意見表明権といった観点を含めて、今後子どもの最善の利益のためにどのように追求されますでしょうか。また、地方自治体にどのように働きかけていきますでしょうか。よろしくお願いします。
(答)こども大綱におきましては、こども施策に関する基本的な方針の1つとして、「こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る」ことを掲げております。
その上で、こども・若者の意見を年齢や発達の程度に応じて尊重することなどを盛り込んでございます。
ご質問のこどもの意見表明につきましては、こども・若者の意見を政策に反映させるための取組である、「こども若者★いけんぷらす」を行っており、昨年度は「こども大綱」など27のテーマについて、対面・オンライン・チャット・アンケート・施設に出向くなど多様な方法で意見を聴いてまいりました。
今年度も本事業を活用して、こども・若者の意見の政策への反映を進めてまいります。
また、こども基本法におきましては、地方自治体はこども大綱を勘案して、自治体こども計画を策定するよう努めることとされております。
こどもの意見表明の取組も、その範疇に含まれることから、来月中を目途に、「自治体こども計画ガイドライン」を作成し、周知を図るなど、計画策定を国が支援することを通じて、地方自治体への働きかけを行ってまいります。
(問)ベビーカー利用に関するキャンペーンについて伺います。
来月1日からキャンペーンが始まります。こども家庭庁として、このキャンペーンを通じて、なかなか理解が深まっていないベビーカーの利用について、どのように変えていきたいとお考えでしょうか。
また、ベビーカーのキャンペーンの開始に合わせて、呼びかけなどがあれば、お願いします。
(答)5月1日から1か月間、ベビーカー利用に関するキャンペーンが開始されます。
このキャンペーンは、ベビーカー利用者と周囲の方々のお互いの理解を深めるため、国土交通省が関係事業者等と設置している、「子育てにやさしい移動に関する協議会」において実施しているものでありまして、こども家庭庁としましても、連携して、ベビーカー利用者とその周囲の方々へのご理解とご協力を促してまいりたいと考えております。
昨年、夏に実施した子育て世帯に対するニーズ調査におきましても、ベビーカー利用に関して、バス乗車の際、赤ちゃんを抱っこしながらベビーカーを畳むのが大変である、という声ですとか、またエレベーターがない、または遠い駅が多くあり大変だ、といったご意見も寄せられているところでありまして、ベビーカーを利用しながらの外出や移動にはご苦労されていることがあると思います。
このキャンペーンでは、周囲の方に対して、電車やバスではベビーカーは折りたたまずに乗車することができるのだということと、またエレベーターがない場所での上り下り、あるいは、電車やバスの乗車時など、そのときに手助けを申し出てみることなど、そういったことを呼びかけておりまして、ベビーカー利用者に対しても、また周囲の方に対しても、お互いに思いやりの気持ちを持ってほしいと伝えてございます。
周りの方への思いやりの気持ちや、ちょっとした行動で、ベビーカーを利用している方が困ったり、申し訳なく思ったりすることが減っていくと考えておりまして、こうしたことが、こどもや子育て当事者を応援する社会に変わっていくために大切なことだと考えております。
ぜひとも、ご協力をよろしくお願いいたします。
(以上)