加藤大臣記者会見(令和6年3月26日)
加藤大臣記者会見要旨
(令和6年3月26日(火)17時20分から17時33分まで 於:こども家庭庁記者会見室)
1.発言要旨
冒頭、私からは3点についてご報告がございます。
まず1点目、令和6年能登半島地震についてでございます。令和6年能登半島地震に関して、被災地における保育の対応について、ご説明をいたします。
まず、改めて、令和6年能登半島地震により、命を落とされた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。
今般、被災地における保育の対応として、2点の取組を講じてございます。
1点目は保育士確保の対応でございます。
現地の状況を確認してみますと、現状の利用児童数に対する保育士数は足りており、直ちに保育士が不足するという状況ではありませんが、避難所等から戻ってくる保育士とこどもの数に不均衡が生じることなども想定をされます。
こうした中、本日から石川県社会福祉協議会において、現地で勤務する保育職等について、全国募集が開始されました。また、こども家庭庁において、全国の公立施設に務める保育士等を各地域から応援派遣する仕組みを構築し、各自治体宛てに通知をいたしました。保育士等の応援派遣の仕組みにつきましては、現地の派遣要望や全国の派遣可能状況などを確認し、具体的な調整を行ってまいります。
2点目は、一時預かり事業の対応でございます。
2次避難等により、他の市町村に住民票を移した保護者が、地元の被災地に用事などがあり出向いた場合にも、地元の被災地で一時預かり事業を利用したいとのご意見をいただいているところでございます。こうしたことから、他の市町村に住民票を移した保護者が、地元の被災地の保育所等でも、一時預かり事業を利用できることについて、先週木曜日に事務連絡を発出し、周知・明確化を行っております。
こども家庭庁としましては、引き続き石川県庁とも連携しながら、新年度に入った後の保育のニーズや利用状況などについて、把握をしてまいります。
詳細については、こども家庭庁にお尋ねください。
2点目でございます。妊婦健診の公費負担の状況に関する調査についてでございます。
本日、令和5年4月1日時点における妊婦健康診査の公費負担の状況について、調査結果を取りまとめましたので、公表をいたします。
妊婦健診については、国において、妊娠期に14回程度の健診を実施することや、実施すべき検査項目の基準についてお示しをしています。また、妊婦健診の検査費用については、平成25年度より地方財政措置が講じられており、各自治体では公費負担を実施いただくこととされています。
今回、全国の自治体の公費負担の状況を取りまとめましたところ、全ての自治体において、国が示しているとおり、14回以上の公費助成が実施されておりました。また、公費負担額の全国平均は、前年の10万7792円から10万8481円に増加しておりました。併せて、国が示す検査項目の全てを公費負担としている自治体が、前年の86.3%から91.1%に増加したことなどが確認されました。
一方で、それぞれの都道府県別の状況を見ますと、妊婦1人当たりの公費負担の金額にばらつきがみられること、9%の自治体では、国が示す検査項目の一部に公費負担が実施されていないことなどが確認されております。
このため、関係省庁とも連携し、健診費用に地方財政措置が講じられていることを踏まえ、国が示している全ての検査項目について、妊婦の方々に自己負担が発生しないよう、公費負担を実施していただくことについて、改めて全国の市区町村の母子保健部局などに対して、働きかけを行うことといたしました。このような働きかけにより、自治体の公費負担の取組がさらに進み、妊婦健診に関するより良い環境整備が進むことを期待したいと思っております。
調査結果等の詳細につきましては、成育局母子保健課にお尋ねください。
最後に3つ目でございますが、令和5年度男女間における暴力に関する調査の結果についてでございます。
男女間における暴力に関する調査について調査結果を公表しますので、お知らせをいたします。
この調査は、配偶者や交際相手からの暴力、ストーカー、性暴力の被害実態を把握することを目的として、3年ごとに実施をしており、今回が9回目となるものでございます。今回は、昨年7月に施行された改正刑法の不同意性交等罪の規定を踏まえた被害類型の設問の見直しなどを行った上で、全国18歳から59歳の男女5,000人を対象に、昨年11月から12月にかけて調査を行いました。
調査結果をみますと、配偶者からの暴力の被害経験がある方の割合が25.1%と前回を上回るとともに、交際相手からの暴力の被害経験が18.0%、ストーカーの被害経験が10.2%とこれまでの調査で最も高い結果となりました。また、不同意性交等の被害経験がある方は4.7%。女性に限れば8.1%に及びました。このように多くの方が心身を傷つけられる暴力に遭っているという現状に対し引き続き対策が必要であると認識をしております。配偶者等からの暴力や性暴力などは重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。今般の調査結果も踏まえ、暴力の根絶に向け積極的に取り組んでまいります。
調査結果の詳細は、男女共同参画局にお尋ねください。
冒頭、私からは以上になります。
2.質疑応答
(問)一時保護中の児童の通学状況について質問させていただきます。毎日新聞が児相を持つ全国の自治体に調査したところ、一時保護中に週4回以上通学した小中学生は6%と推計されました。一時保護中の通学の制限について国のガイドラインは、「必要最小限とする」と求めていますが、現状についてどのように捉えていますでしょうか。また、一時保護中の通学状況について今後、国として把握していくつもりがあるか、何か対策を考えていますでしょうか。よろしくお願いします。
(答)まず、現状についてどう捉えているかという受け止めでございますけれども、こども家庭庁において策定をしている「一時保護ガイドライン」において、「通学に関する制限は、こどもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする」ということが記載をされている一方で、一時保護されたこどもの中には、通学を希望しながら、実際はできていないケースが現に多くあると承知をしてございます。令和2年度に実施した調査研究事業において、一時保護所からの通学が困難な理由として、保護者がこどもを奪還する恐れ、安全確保が困難といった課題の他にも、送迎対応をする職員の確保が困難といった課題が挙げられており、今後これらの課題に対応しながら、通学支援の取組を加速する必要があると考えております。
また、通学状況の把握と対策についてでございますが、先ほど申し上げたことのため、令和6年4月より新たに策定する一時保護施設の設備運営基準において、こどもの希望を尊重しつつ、その置かれている環境等を勘案して、通学の支援等の必要な措置を講じる努力義務を設けるとともに、通学できない場合においても一時保護施設内で適切な学習支援が実施できるよう、新たに学習指導員の配置を義務づけることとしております。このほか、学校への通学等に付き添う者を雇用した場合の人件費や、学校への送迎に要する交通費に対する国庫補助の活用を各自治体に促すとともに、令和6年度の調査研究事業において、新たな基準の施行後の最新の実態を把握した上で、令和2年度の調査研究で得られたデータと比較・考察し、通学支援を含め、取組が進んだ要因や進まなかった課題の分析等を行うことを予定しており、こういった取組を通じて一時保護されているこどもの教育・学習支援の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
(問)冒頭にありました妊婦健診の調査結果についてなのですけれども、9%の自治体で検査項目の一部に公費負担がされていないということで、妊婦さんの自己負担が発生しているということだと思いますけれども、そちらへの大臣のお考えというか受け止めと、あと、出産の無償化を求める声もありますけれども、今後の対応とか検討についてお考えがあれば教えてください。
(答)9%の方々が自己負担があるのではないかということについてですけれども、まず、住んでいる地域によって公費負担額のばらつきがあるということ自体は、妊婦さんたちにとっていい環境ではないというふうに受け止めております。どこに住んでいても公平に、公費が出ている部分においてはきちんと補助が行き渡るということが大事だと考えており、今回の調査を踏まえて、各都道府県の担当部局の皆さんに働きかけを行ってまいりたいと、このように考えております。
また、状況について幾つかの自治体に聞き取りを行いましたところ、公費負担額の低い自治体からは、自治体の財政状況に課題があるですとか、地域の産科の健診費用相場を踏まえた評価を行っていないといった意見を聞いてございます。そういった声も聞きながら、効果的な働きかけを行っていけるように対策を講じていきたいと、このように思っております。
また、無償化についてのお話もありましたけれども、これは厚労省とも連携しつつでございますが、妊産婦の方々の負担を軽減することで、健やかなお母さんたちの産後の体調の回復等も含めて、そういったことは小さなこどもたちの笑顔にもつながることですので、しっかり進めていきたいと私自身は、厚労省と連携しながらではありますが、考えております。
(以上)