加藤大臣記者会見(令和6年7月19日)
加藤大臣記者会見要旨
(令和6年7月19日(金)11時31分から11時44分まで 於:こども家庭庁記者会見室)
1.発言要旨
冒頭、私から6件報告がございます。
最初に旧優生保護法に関する国家賠償請求訴訟における、原告団の皆さんとの面会についてでございます。
7月17日に岸田総理をはじめ、小泉法務大臣、三浦厚生労働大臣政務官とともに、旧優生保護法訴訟の原告の方々を含め、当事者や関係者の方々との面会を行いました。
優生手術を受けた皆様方の今までのつらいご経験、思いをお伺いし、総理から、国としての謝罪の意を表明するとともに、今後の対応に向けた決意や本問題の解決に向けた方向性についても申し上げたところでございます。
私自身も、皆様方の筆舌に尽くし難いご経験を直接お伺いし、改めて痛切な気持ちを抱きました。皆様方の苦難と苦痛に対しまして、お一人お一人に深く深く謝罪申し上げたいと思います。
また、優生手術等は個人の尊厳を蹂躙する、あってはならない人権侵害であり、皆様方が心身に受けられた多大な苦痛と、長い間のご苦労に思いをいたしますと、その解決は先送りできない課題であると受け止めております。
面会の場で総理から示された新たな補償の仕組みの基本的な方針に沿って、原告団等の方々のご意見も伺いつつ、超党派の議員連盟と相談をしながら、新たな補償の在り方について、可能な限り早急に結論を得られるよう、担当大臣として対応を進めてまいります。
2件目でございます。
「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ(第1回)」の開催についてでございます。
本日19日でございますが、「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ(第1回)」を開催いたします。
少子化の大きな要因の一つに、未婚化・晩婚化がありますが、先月、人口動態統計の概数が発表となり、令和5年の婚姻件数は47万4717組と、戦後最少となったところでございます。
また「骨太の方針2024」におきましては、「地域少子化対策重点推進交付金」による結婚支援等について、効果を検証しつつ、若い世代のニーズも踏まえた更なる方策を検討する。」と記載されたところでございます。
こうした状況を踏まえまして、結婚は個人の自由な意思決定に基づくものであって、個人の多様な価値観・考え方を尊重することを大前提とした上で、若い世代の描く結婚を含めたライフデザインや出会い等について検討することを目的として、ワーキンググループを開催することといたしました。
構成員は、少子化対策、結婚支援、ライフデザインや、若者の実情に詳しい有識者の方々のほか、今後、結婚を考える若い世代から直接ご意見を聞くことを重視し、20代の社会人や大学生など、計12名の方々にご参加をいただくこととしております。
本日のワーキンググループには私自身も参加をさせていただき、しっかりと皆さんのご意見を伺いたいと考えております。
詳細は、こども家庭庁少子化対策室までお問い合わせください。
3件目でございます。
本日午後、韓国の低出産高齢社会委員会の周副委員長にお会いをいたします。
韓国では先日、少子化対策などを統括する「人口戦略企画部」の新設が発表されるなど、少子化に関する様々な取組が進められていると伺っております。
我が国でも、先日、こども政策の抜本的強化を図るための「子ども子育て支援法等の一部を改正する法律」が成立したところであり、現在、各種施策の着実な実施に向けて取り組んでいるところでございます。
こうした中、両国間で様々な情報交換をするとともに、我が国の取組を発信できることは大変貴重な機会であり、楽しみにしているところでございます。
4件目です。
これも本日ですが、全国青年市長会役員の皆様と、こども・子育て支援に関する情報発信と、こども・子育てを応援する社会に向けた気運づくりをテーマとして意見交換会を行います。
「こども未来戦略」の「加速化プラン」に盛り込まれた様々な支援策を当事者の方々によく知っていただき、また、利用していただいて、安心して子育てができるということを感じてもらえることが何よりも重要であります。
また、こどもや子育て中の方々が気兼ねなく様々な制度やサービスを利用できるように、こども・子育てを応援する社会全体の気運、これをさらに高めていくため、「こどもまんなかアクション」の取組を加速していく必要があると考えております。
こうしたことから、今回の意見交換会では、地方自治体の若手リーダーの皆様方から、忌憚のないご意見を伺うとともに、今後、様々な場面で、連携・協調して取組を進めていくことを働きかけてまいりたいと考えております。
詳細につきましては、こども家庭庁広報室までお問い合わせください。
5件目でございます。
こども政策、少子化対策及び若者活躍担当大臣として報告いたします。
明後日7月21日から27日にかけて、英国、スウェーデンの2か国を訪問いたします。
まず、英国では、先の国会で我が国においてこども性暴力防止法が成立したことを踏まえまして、英国DBSの幹部と、こどもに対する性暴力防止のための取組について意見交換を行うほか、子育て世帯への支援を行う官民の現場の視察を行う予定でございます。
次にスウェーデンでは、担当閣僚である、アンナ・テニエ大臣と少子化対策について幅広く意見交換を行うほか、ユースセンターや若者が主体となって活動する団体、インクルーシブ保育の現場の視察等を行う予定でございます。
両国政府要人との意見交換や関連施設の視察により、こども政策、少子化対策及び若者活躍に関する先進的な取組や各国の実情をしっかりと把握し、今後の我が国の施策の推進に活かしてまいります。
最後、6点目でございます。
今年度の放課後児童クラブの実施状況について、速報値が取りまとまり、公表することとなりましたので報告いたします。
お手元の資料のとおり、本年5月1日現在の放課後児童クラブを利用している児童数は約151.5万人と過去最高値を更新しました。
昨年に比べ、約5万8千人増加しており、各自治体において受け皿整備を加速して取り組んでいただいたことが分かります。
その一方で、待機児童数は約1.8万人となり、前年比で約2千人増加いたしました。
この結果は速報値でございまして、今後精査が必要ではございますが、受け皿を大幅に拡充したにもかかわらず、待機児童数が増加している状況にあるということを受けとめてございます。
この主な原因は、共働き世帯の増加や、放課後児童クラブが整備されることにより、利用できる児童が増える一方で、更なる利用希望が喚起されていること等があると考えております。
放課後児童クラブの待機児童の解消に向けましては、こども家庭庁と文部科学省で昨年取りまとめた、「放課後児童対策パッケージ」に基づいた取組を引き続き進めているところでございます。
特に、更なる受け皿の整備につきまして、市町村から放課後児童クラブを開設する場や人材確保が困難であるとの声が寄せられているところでございますが、国としましても、これらの課題解決のために活用できる補助メニューを用意しており、例えば、開設を希望する場所に応じた整備費や賃借料に関する支援について活用事例を紹介するなど、自治体の状況に応じた更なる「きめ細やかな支援」を行えるようにしてまいりたいと考えております。
なお、待機の発生状況は年度内でも変化がございまして、昨年度実施した調査結果によりますと、秋以降には待機児童が減少するということが分かってございます。
今年度も、昨年度と同様10月にも調査を実施し、その状況を注視しつつ、関係省庁との連携はもちろんのこと、現場や当事者の方々の声を大切にしながら、放課後のこどもたちの生活の場や居場所の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
詳細は、こども家庭庁成育環境課にお尋ねください。
冒頭、私からは以上になります。
2.質疑応答
(問)旧優生保護法に関する対応についてお伺いします。
今後の対応を巡っては、主に同種の訴訟に対する基本合意の締結、訴訟当事者以外も含めた、一時金に代わる新たな補償制度の2つが主な論点かと思います。
それぞれの結論を得る時期に違いがあるのかないかなど、今後のスケジュール感について教えてください。
(答)7月17日の面会の場において、総理から、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証に加えて、優性思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策が不可欠であり、国会ともよく相談しながら、ご要求を踏まえた、より客観的な検証を実施すべく、その在り方を検討すること、また、優性思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けて、これまでの取組を点検し、教育・啓発等を含めて取組を強化するため、全府省庁による新たな体制を構築すること、また、被害の回復を含め、今申し上げた様々な課題に関して、関係府省と原告団等の皆様方との継続的な協議の場を設けることについて、発表がございました。
総理のご発言を受けて、具体的な対応につきましては、今後原告団等の方々のご意見を伺いつつ、関係省庁と連携をして検討を進めてまいります。
また、補償範囲等につきましても、総理から面会の場において、新たな補償の仕組みの基本的な方針として、今般の最高裁判決の内容を踏まえて、現在訴訟を起こされていない方々も含めた、幅広い方々を対象とした補償とすること、本人のみならず、配偶者の方々が受けた苦痛も視野に入れ補償を検討すること等についてご発言がありました。
新たな補償の仕組みや具体的な内容については、今後原告団等の方々のご意見を伺いつつ、超党派の議員連盟と御相談をしながら、可能な限り早急に結論を得られるよう具体的な検討を進めてまいります。
進め方等の具体的なところは、様々な関係の方々と相談しながら進めるということで、現時点で固まっているものはございません。
(以上)