黄川田大臣臨時記者会見(令和8年8月31日)
黄川田大臣記者会見要旨
(令和8年8月31日(月)11時00分から11時17分 於:こども家庭庁記者会見室)
1.発言要旨
本日、令和9年度こども家庭庁予算概算要求の全体像がまとまりました。今回の概算要求は、高市政権のもとで初めての編成になります。「日本列島を強く、豊かに」し、次の世代に引き継いでいくという大方針のもと、こども基本法の理念と目的、そのためのこどもまんなか社会の構築、そして、こどもや若者のウェルビーイングの実現に向けて編成しました。
今回の概算要求を貫く方針を一言で申し上げますと、「改革する」「命を守る」「未来を育てる」の3つです。聖域を設けず、既存事業を検証し、必要性や効果の低い事業を見直し、予算の使い道を徹底的に見える化します。
予算を増やすことそのものが政策の成果ではなく、見直すべきものは見直し、本当に必要な政策に予算を振り向ける。その際、決して見失ってはならないのは、何のための制度であり、何のための組織であり、何のための予算なのか、ということです。守るべきは、こどもや若者の命であり、安全であり、未来への可能性です。こどもや若者は、今を生きる一人ひとりの主体であると同時に、これからの社会を担い、未来をつくっていく存在です。安心してこどもを産み育てられる環境を整え、こどもや若者が希望を持って自らの人生を選択できるよう、必要な政策にしっかりと投資をする。これは、こどもや若者一人ひとりのためだけではなく、社会全体の安心・安全のため、さらには、日本の未来への投資にもつながります。今回の概算要求は、この3つの方針を軸に考えたものです。それでは、要求額と重点施策についてご説明いたします。
まず、今回の概算要求の全体像をご覧いただきたいと思います。令和9年度のこども家庭庁予算概算要求は、総額7兆7,436億円です。この約7.7兆円という数字だけでは、こども家庭庁の予算の実態はなかなか分かりにくいと思います。その主な内訳はご覧のとおりであります。保育所や放課後児童クラブの運営費等で約2.7兆円、児童手当で約2.1兆円、育児休業等給付で約1.1兆円、障害児の支援・虐待防止・ひとり親家庭の支援等で約1兆円、大学の授業料減免等で約0.7兆円等となっております。このように、約7.7兆円の大半は、こどもや若者の命と安全を守り、健やかな成長を支え、子育てを社会全体で支えるために、欠かすことのできない予算です。このため、こども家庭庁が、先ほどお伝えした方針などを実行するために、政策的に工夫し、柔軟に活用できる予算は、極めて限定的であります。
こうした中、今回、全ての事業の実績や効果を一つ一つ検証して、見直すべきものは見直し、重点政策に再配分するよう指示しました。もちろん、見直しの対象は、今申し上げた、限定的な柔軟に活用できる予算に限るものではありません。児童手当など、法律や制度に基づいて支給される経費についても、その制度や運用に問題がないか、必要な検証と改善を行うよう指示しています。この点については、後ほど具体例も申し上げます。
その上で、既存の事業であっても聖域を設けず、執行状況や実績等を踏まえ、令和7年度補正予算と令和8年度予算を合わせて、合計約130億円を見直しました。必要性や効果が十分に確認できないもの、役割を終えたもの、重複しているものは思い切って見直し、そこで生み出した財源を、こどもたちのために真に必要な政策へ振り向ける。そのための改革です。具体的には、単発のイベントや広報啓発に係る委託事業の廃止に加え、効果検証が十分でない事業の見直し、複雑化した相談支援事業の整理・統合、執行率の低い事業の縮減などを行います。
また、予算の使い道についても、透明性を徹底して高めます。すべての事業について、委託先や補助先だけではなく、地方自治体からの最終的な支出先までを含め、ネット上で公開する「全部見える化」を、令和9年度に実現します。これは全省庁で初めての取組です。私自身が先頭に立ち、こども家庭庁の職員が一丸となって、政策と予算を不断に検証し、自ら改革し続ける組織にしてまいります。
その上で、今回、重点的に予算を振り向ける政策についてご説明します。こども家庭庁というと、「少子化対策を行う役所」と受け止められることがあります。もちろん、安心して結婚し、妊娠・出産・子育てができる環境を作ることは、極めて重要であります。しかし、こども家庭庁の使命は、それだけではありません。今を生きているこどもたち一人ひとりの命を守るため、自殺、虐待、いじめ、性被害、貧困など、こどもたちを取り巻く困難をできる限り減らす。そして生まれ育った地域や家庭環境によって、将来の可能性が大きく左右されない社会をつくる、これが、こども家庭庁の大切な使命だと考えています。こどもの命と安全を守り、健やかに育つ環境を整えることは、日本社会の安心と安全、そして未来への投資でもあります。こうした考え方に基づき、本日は、先日説明した「こども包括支援基盤」の構築のほか、特に重点的に取り組む施策について、ご説明いたします。
第一は、自殺対策をはじめ、地域が一体となって、こどもの命と安全を徹底的に守る組織を強化することです。前回申し上げたとおり、まずは、大臣プロジェクト第3弾としてお示しした「こども包括支援基盤」の構築のため、こども家庭センターを中核として、地域の様々な関係機関が連携し、支援を必要とするこどもや家庭を早期に把握し、必要な支援につなげていくことが重要です。地域全体でこどもや家庭を支える仕組みをつくる。日本中どこに住んでいても、必要な支援につながることのできる基盤を整えてまいります。こうした地域のつながりは、こどもの命と安全を守る上でも極めて重要です。
昨年の小中高生の自殺者数は過去最多の538人となり、深刻な状況が続いています。こうした中、令和9年度は、地域の連携の基盤となる法定協議会の設置・機能強化や、厚生労働省からの移管を調整中の「こども・若者の自殺危機対応チーム」の設置や活動を推進します。また、ICTやAIなども活用し、自殺リスクの早期発見につなげる取組を進めます。相談に来るのを待つだけではなく、地域で異変に気づき、早く支援につなぐ。その仕組みを全国で広げてまいります。こうした取組を実施するために、「こども包括支援基盤」の構築として、対前年度比で214億円増となる986億円を要求し、このうち、こども・若者の自殺対策の強化として、11億円増となる13億円を要求しています。
第二は、財政力の低い自治体に対する支援を、さらに強化することです。自治体の財政力の違いが、そのまま、こどもたちが受けられる支援の違いになってはなりません。特に、人口規模の小さい地域や財政的に厳しい自治体では、専門人材の確保や支援体制の整備が難しいという課題があります。今回の概算要求では、自治体の財政力や地域の実情にも配慮し、必要な地域に必要な支援が届く仕組みを強化します。どこに生まれ、どこで育っても、必要な支援から取り残されない環境をつくってまいります。こうした取組を実施するため、対前年度比で36億円増となる、46億円を要求しています。
第三は、「こどもと共に成長する企業」の実現に向けた取組です。これは総理からも指示をいただいている重要な政策です。こどもまんなか社会を実現するためには、こどもや若者、子育て世帯への直接的な支援だけでなく、社会全体で支えていく機運を高めていくことが重要です。そのためには、企業にも大きな役割を担っていただく必要があります。企業は、従業員の働き方や職場環境だけでなく、商品やサービス、顧客との関わり、地域での活動などを通じて、多くの人の暮らしや社会のあり方に影響を与える存在だからであります。企業が、こどもや若者、子育て世帯を応援する視点を日々の事業活動の中に取り入れ、具体的な行動を変えていくことは、社会全体の意識や行動を変えていく大きな力となります。そして、こうした取組は、働きやすい職場づくりや人材の確保、企業への信頼や評価の向上にもつながり、結果として企業自身の持続的な成長にもつながります。こどもや子育てを応援する企業が増え、その取組が社会に広がり、企業にとってもプラスになる。そうした好循環をつくっていきたいと考えています。令和9年度は、こども・若者・子育てを経営アジェンダに位置づけて取り組む企業に対する認定制度の創設や、中堅・中小企業への伴走支援など、新たな取組を進めます。こうした取組を実施するため、対前年度比で15億円増となる22億円を要求しています。
最後に、今回の予算の見直しについて、もう1点申し上げます。先ほど申し上げたとおり、今回の見直しは政策的に柔軟に活用できる予算だけに限ったものではありません。児童手当など、法律や制度に基づく予算についても、制度や運用に問題があれば、当然、改善していきます。その一例が、児童手当の支給に関する問題です。住民票上の住所を日本国内に残したまま出国した一部の外国人に対し、児童手当を誤って支給していた事例について、全国的に調査を行い、確認された事例を把握しています。こうしたことも踏まえ、先の特別国会では、令和9年3月以降、マイナンバーにより出入国情報を連携することで、こうした誤支給を防止する旨を、こども家庭庁から答弁しています。しかし、こうした仕組みが構築されるまで、そのままにしているわけではありません。私は全国の自治体に対し、就学状況が確認できない児童に関する情報などを積極的に活用し、必要な是正を行うよう依頼しました。今後、同様の誤支給が起こらないよう、引き続き自治体に対する働きかけを行い、フォローアップするとともに、出入国情報を活用する取組についても着実に進めてまいります。このように、法律や制度に基づく経費についても、必要な検証と改善を不断に行ってまいります。
以上でございます。冒頭にお話ししたとおり、今回の概算要求は、「改革する」「命を守る」「未来を育てる」の3つの方針に沿ってとりまとめました。私自身が先頭に立ち、こども家庭庁の職員一丸となって改革を進めます。そして、こども・若者の命と安全を守り、一人ひとりが希望を持って未来を選び取ることのできる社会をつくってまいります。その決意で、令和9年度予算の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。詳細については、こども家庭庁会計担当までお尋ねください。
2.質疑応答
(問)1ページ目の円グラフのところにある薄い黄色の「障害児の支援、虐待防止、ひとり親家庭の支援等」で1兆200億円が計上されていると思うのですが、今年度の当初と比べると、この項目の増え幅がおそらく1,300億円ぐらいで、他の項目に比べて増え幅が大きいかと思うのですが、その要因についてお聞かせいただけますでしょうか。
(答)後ほど、事務方からお答えいたします。
(以上)