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三原大臣記者会見(令和7年8月29日)

【照会先】

区分連絡先
こども家庭庁令和8年度概算要求の概要長官官房会計担当
自営業・農家・パート・フリーランス等への育児期間の支援の拡充厚生労働省
ひとり親家庭への支援の強化支援局家庭福祉課
若年世代に関する政策の推進
(1)若者10万人の総合調査長官官房EBPM推進室
(2)つながり・相談・支援の強化成育局成育環境課 支援局虐待防止対策課
(3)将来設計の可能性の最大化長官官房少子化対策室
EBPMの推進長官官房会計担当

こども家庭庁(代表電話)03(6771)8030
厚生労働省(代表電話)03(5253)1111

三原大臣記者会見要旨

(令和7年8月29日(金)10時45分から11時10分まで 於:こども家庭庁記者会見室)

1. 発言要旨

冒頭、私からご報告3件ございます。

まず、本日提出を予定しています、私が所管いたします、こども家庭庁及び内閣府・内閣官房部局の令和8年度予算概算要求及び機構定員要求の全体像についてご説明いたしたいと思います。

まず、こども家庭庁の概算要求の概要です。要求総額は、表にありますとおり、前年度から約960億円増となる7.4兆円であります。「こども未来戦略」等に基づいて、人口動態や、こども政策を巡る自治体間の施策実施や財政状況の違い等も見据えつつ、次の5つを重点的な柱として、必要な予算を要求いたします。

1つ目、こどもまんなか社会の基盤構築
2つ目、若年世代が安心して希望する将来設計を追求できる社会の構築
3つ目、未来を担うこどもたちのための保育の質の向上等
4つ目、地域ぐるみの包括的なこども・若者支援システムの構築
5つ目、人口動態・社会経済の変化を踏まえた持続的なこども施策の提供体制の構築

この5つであります。本日、全ての施策のご説明はできませんけれども、前回ご説明いたしました「プレコンセプションケアの普及等に向けた取組の強化」に加えて、要求において、特に、今回重点を置いた「3つ」の事項についてご説明させていただきたいと思います。

1つ目は、自営業・農家・パート・フリーランス等への育児支援の拡充です。具体的には、こどもが1歳になるまでの期間の国民年金保険料の免除を要求いたします。自営業・農家・パート・フリーランス等の国民年金第1号被保険者の方々の状況は様々であることから、所得要件や休業要件は設けずに、国民年金保険料の免除を行い、自営業・農家・パート・フリーランス等の方々の育児を経済的に支援いたします。

2つ目は、ひとり親家庭への支援強化であります。ひとり親家庭が困難から脱出するために必要な「相談」「こども」「収入」の3点セットの大幅な強化を概算要求に盛り込みます。

まず「相談」支援の強化です。これまで実施してきました相談支援事業の「補助率を引き上げ」るとともに、福祉・医療等も含めた多角的な支援につなげるため、新たに福祉専門職を相談体制に配置するほか、食料や生活物資の配布といった「生活の下支えと相談」を一体で展開することによって、様々な困難に直面するご家庭に寄り添い、ニーズにあった的確な支援につなげます。

次に、「こども」に対してです。ひとり親家庭等の「こども」への支援について大幅拡充を要求いたします。今年度までに創設いたしました「受験料等」の支援に加えて、令和8年度概算要求では、こどものいわゆる「体験格差」を解消するために自然体験や野外学習等の体験支援や、地域の多様な人と出会い、交流し、成長していける場の提供を支援する事業の創設をするほか、オープンキャンパスや職場見学等、進路選択に活かすための体験活動を新たに支援するとともに、来年度から、ひとり親家庭等の受験生には、学校外での学習支援を最大週4日まで予算補助することといたします。ひとり親家庭等の「こども」に着目した支援の大幅な拡充を図ってまいります。

その上で、最後に「収入」であります。親御さんにつきましては「就業支援で収入を増やし、安定した自立までしっかりと支える」ための新規・拡充予算を盛り込みます。新規事業といたしましては、人材確保が急務の業界・企業等とのマッチングを実施するほか、高卒認定試験の対策講座の提供や大学授業料等の一部の助成を行います。また、既存の「民間企業と協働した就業・定着までの一体的支援」の拡充も行ってまいります。ひとり親家庭が経済的に安定した自立にたどり着けるように支援策を強化してまいります。

重点の最後、3つ目は、若年世代に関する政策の推進であります。来年度、若年世代のための政策を本格的に始動いたします。この政策の基本的な骨格として、「リアルな声を聴く・知る」「話す、つながる」「サポートする」「一緒に社会を創る」を4本柱といたしまして、そのための所要の予算を要求したいと思います。

まず、今の若い世代の声にしっかりと耳を傾けることから始めます。若い世代の状況や課題を把握し、それらをもとに的確かつ効果的な政策の展開につなげるため、来年度、「若者10万人の総合調査」を実施いたします。

次に、若い世代との「つながり」や「相談」、「支援」の強化を図ります。多様でオープンな居場所づくりに向けた支援のほか、困難を有する若者へのつながり・相談支援機能を強化するとともに、支援からこぼれ落ちやすい若者向けに、支援につなげるためのモデル事業を開始する、などに取り組んでまいります。

そして、若い世代の「将来設計の可能性の最大化」をサポートしていきます。「正しく知りたい」に応える情報提供ですとか、自治体が行う若年世代のための独自の取組に対する支援のほか、結婚・妊娠・共育ての相談機会の提供を行うなど、若い世代の多様な価値観、ライフデザインを前提に、ニーズに沿った施策を展開してまいります。

最後に、冒頭申し上げました通り、来年度概算要求の総額は7.4兆円となります。ただいまご説明した重点事項も含め、要求いたします全ての事業・施策について、しっかりとした効果を目指さなければなりません。こちらにありますように、客観的で定量的なデータを活用いたしまして、検証可能な目標・指標を設定し効果検証を行うEBPMについても、確実に実行してまいります。

続いて、内閣府所管政策に関する要求について申し上げます。男女共同参画政策予算に関しましては、全国の男女共同参画センター等で女性の起業支援等を強化するため、「地域女性活躍推進交付金」を充実させるとともに、来年度に設立いたします男女共同参画機構と全国の男女共同参画センターが連携するための情報プラットフォームや起業等の専門人材情報のデータベースを構築する経費などを盛り込みました。このほか、性犯罪・性暴力被害者支援、DV被害者等支援のための経費などを盛り込んでいます。

共生・共助政策予算に関しましては、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向け、障害の有無に関わらず、共に楽しむ経験を通じて、交流や相互理解を促進する「ともともフェスタ」の開催のほか、第50回の節目を迎えます「東南アジア青年の船」事業のための経費などを盛り込んでいます。

就職氷河期世代等支援予算に関しましては、当事者の実像に関する詳細な実態調査ですとか、プッシュ型広報等の広報プロモーション、就職氷河期世代をメインターゲットとして明確化し全面的にバックアップするため、新たに創設いたします「地域就職氷河期世代等支援加速化交付金」などを盛り込みました。

孤独・孤立対策予算に関しては、交付金を活用いたしました地方自治体への支援や、NPO等の先駆的な取組への支援、「安心・つながりプロジェクトチーム」の報告書を踏まえて新たに行います、民間企業におけるつながりづくりの取組に関する調査研究費などを盛り込んでいます。

次に、機構定員要求については、こども家庭庁では、こども性暴力防止法の施行に必要な体制の強化をはじめ、31名の増員要求を盛り込んでいます。また内閣府では、地域における男女共同参画の取組強化や男女共同参画機構の設立に伴う体制整備、共生・共助社会づくりに向けた分野横断的な政策の推進、孤独・孤立対策の推進に係る司令塔機能の強化及び海外連携強化、来年4月に開始いたします新しい公益信託制度の運用に向けた体制整備に関する所要の機構・定員を要求いたします。

今後の予算編成過程におきまして事項要求分も含め、財政当局としっかり議論し、私が所管いたします政策をさらに強力に推進できるようにしっかりと取り組んでまいります。詳細につきましてはこども家庭庁、内閣府までお問い合わせいただきたいと思います。

2つ目の報告であります。

本日、令和7年4月時点での保育所等の定員や待機児童の状況について、各自治体からの調査結果を取りまとめいたしました。保育所等利用定員数は303万人、保育所等を利用する児童の数は268万人となっています。待機児童数は前年より313人減少し、2,254人となり、昨年に引き続き、調査開始以降、最少となりました。待機児童が発生していた自治体において保護者の利用ニーズに応じた保育の受け皿整備が適切に進められてきた結果、全体として、着実に減少してきたものと認識をしております。

ただし、一部には待機児童が多い自治体も見られます。その要因は、保育人材の確保が課題であったり、申込者数の想定以上の増加が見られたり、地域によって様々でありますけれども、今後も丁寧にヒアリング等を行い、自治体と連携しつつ、それぞれの事情に応じた待機児童解消の方策に取り組んでまいります。

一方で、保育所等における定員充足率は88.4%となり、前年より0.4%減少いたしました。特に過疎地域などでは、定員充足率の低下が地域の課題として捉えられています。このような地域においては、今後、地域インフラとして保育機能を確保するため、将来を見据えた保育提供体制の計画的な整備や、保育所等の多機能化等を進めていきたいと考えています。

詳細は、こども家庭庁成育局保育政策課にお問い合わせをいただきたいと思います。

3つ目の報告です。

9月10日から9月16日は「自殺予防週間」であります。令和6年の児童生徒の自殺者数は過去最多の529人となり、「こどもまんなか社会」の実現を目指すこども家庭庁といたしましては、この結果を大変重く受け止めています。特に、こどもや若者の自殺は、夏休みなど長期休暇明け前後に増加する傾向にあります。本年も8月1日から、こども・若者を対象に自殺防止の啓発活動をこども家庭庁、内閣府孤独・孤立対策推進室、厚生労働省、文部科学省とともに実施しています。

そして、夏休みが終わり、新学期が始まる時期を迎え、本日、こども政策担当大臣、孤独・孤立対策担当大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣の連名で、お配りしているとおり、こどもや国民の皆さまに向けてメッセージをお送りすることといたしました。併せて、こども政策担当大臣として、こども・若者の自殺防止の観点から、専門家のご意見もお伺いしつつ、こどもや若者、そして、こどもたちと関わっておられる方々に、それぞれメッセージをお送りいたします。メッセージの内容の一部をご紹介させていただきます。

メッセージでは、こどもや若者の皆さんには、悩んだり、不安な気持ちになったとき、今感じているモヤモヤを誰かに話してみることも考えてみてほしい、ということ。一方、誰かに話すことは勇気がいることでもあり、ただ、うまく言葉にならなくても大丈夫ですよ、ということをお伝えしています。また、日々こどもたちと関わっておられる方々には、こどもの様子がいつもと違うと感じた場合には、こどもの「気持ち」を尊重し、寄り添うとともに、状況によっては相談窓口も伝えていただき、相談しやすい方法を一緒に考えてほしい、ということをお伝えしています。

さらに2つのメッセージに共通して、こども家庭庁の「こどもの悩みを受けとめる場に関するプロジェクトチーム」の中で、こども・若者の皆さんに向けたメッセージや、相談窓口の紹介などを行っており、この機会にぜひご覧いただきたいことをお伝えしています。

私たちこども家庭庁としても、こどもたちが自ら命を絶つ選択肢を選ばざるをえなかったり、そこに至るまでの状況を一人で抱え込まざるをえなかったりするような社会を変えていくため、こどもたちの声を聴きながら、引き続き、関係府省とワンチームとなって、しっかりと取組を進めてまいります。

報道関係者の皆さまにおかれましては、本日発出いたします、お配りいたしておりますメッセージにつきまして、周知にぜひご協力をいただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。

なお、詳細につきましては、こども家庭庁支援局総務課までお問い合わせをいただきたいと思います。

2. 質疑応答

(問)先ほど話がありました保育所の待機児童の関連でお尋ねします。全国的に保育施設の受け皿整備が進んだこともあり、待機児童数はピーク時と比べて大きく減少したとのことですけれども、一方で、今後は人口減少を踏まえた定員の縮小や施設の統廃合も自治体の課題になってくるかと思います。人口減少を見据えた対応について、国としてどのように取り組むかお考えをお聞かせください。

(答)これまで保育政策は、待機児童対策を中心に保育の量の拡大を図ってきた結果、待機児童数はピークだった平成29年4月1日時点と比較して、10分の1以下となりました。一方で、過疎地域等の人口減少地域では、定員充足率が低下いたしまして、安定的な運営が困難となる施設や、統廃合等が必要となる施設もあると承知しております。今後、こうした地域における保育機能の維持・強化が重要な課題であると認識をしております。
このため、市町村が中心となりまして、保育所等と連携をし、将来を見据えた保育提供体制の計画的な整備、保育所等の多機能化、そして法人間の連携等を進めること、必要に応じて、法人の合併ですとか事業譲渡等が円滑に進められるようにしていくことが重要と考えてございます。昨年12月の「保育政策の新たな方向性」におきましても、こうした取組を進めていくということを明記いたしまして、令和7年度から、人口減少に対応した公定価格とするため、定員区分の細分化を行うとともに、過疎地域の保育所等での多機能的な取組を支援し、多機能化に向けた効果や課題を検証するモデル事業等を進めています。引き続き、全国どこでも質の高い保育が受けられるよう、必要な支援・取組を強化してまいりたいと考えております。

(問)よろしくお願いします。この場をお借りして、自民党内の動きについて1点お伺いしたいことがあります。今、党内で臨時総裁選を求めるかどうか、来月8日に意思確認が行われるという動きがあると思いますが、こちらに前倒しを求めて署名をするお考えがあるのかどうかお聞きします。
また、一部からは、内閣の構成員であります政務三役が署名する場合は辞任する必要があるのではないかという意見も上がってきておりますが、こうした意見について三原大臣の見解をお伺いしたいです。

(答)私自身は、引き続き内閣の一員として、緊張感を持って所管政策にしっかりと取り組んでいく、それのみだというふうに考えております。お尋ねの件に関しましては、自民党における活動に関する事項でございますから、政府としてのコメントということは、申し訳ないですけれども、差し控えさせていただきたいというふうに考えます。

(問)大臣として、後半の、内閣を構成するものが、そういった行動を起こすかどうかということに関しての責任感について、辞任するかどうか、必要があるかという点に関しては、何かご自身としてのご所感ですとかお考えというのはお伺いできるでしょうか。

(答)その件に関しましても、私からコメントするということは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、私自身の仕事をしっかりと全うしていく。それだけを考えております。

(以上)