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加藤大臣記者会見(令和6年6月7日)

加藤大臣記者会見要旨

(令和6年6月7日(金)14時24分から14時35分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭、私から2件ございます。

まず、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」の成立についてでございます。

「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」につきましては、先日5日に参議院において可決をいただき成立しました。

今週公表された令和5年の1年間における出生数、合計特殊出生率をみても、少子化の進行が危機的な状況にあり、少子化対策の速やかな実施が待ったなしの課題であることは明らかでございます。

今回成立した法案には、児童手当の抜本的拡充、こども誰でも通園制度の創設、育児休業給付の充実など、長年指摘されながら実現することができなかった施策を数多く盛り込んでおります。

こうした充実策をこれから確実にお届けしていくこととあわせまして、社会全体で、こどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要でございます。

これらを車の両輪として進めていく中で、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援し、一人ひとりのこどもの健やかな成長を目指すとともに、様々な支援や働き方の見直しを通じて、社会全体の構造・意識の変化と、「こどもまんなか社会」を実現し、こどもを持つことを希望する方が安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現につなげてまいりたいと考えております。

こうした社会の実現に向けて、こども家庭庁としてしっかりと努力し、多くの皆様のご理解やご参画を得られるよう、引き続き、全力で取り組んでまいります。

2件目でございますが、「社会的養護に関する調査―里親委託を中心として―」についてでございます。

本日の閣議において、総務大臣から、「社会的養護に関する調査」の結果に基づく勧告があり、共働き世帯の里親が受託するための環境の整備が課題となっているなどの実態を踏まえ、必要な措置を講じることが求められました。

こども家庭庁としましても、共働き世帯の里親が増加する中、里親委託と就業の両立、これを支援していくことは重要な課題であると考えております。

今回の勧告を踏まえ、里親に委託された児童の保育所への優先利用に関する周知の徹底などに取り組んでまいります。

安定した家庭環境の中で養育を行う里親制度は、わが国の社会的養護の重要な柱です。

引き続き、里親支援の体制強化などに取り組んでまいります。詳細は、こども家庭庁支援局家庭福祉課にお尋ねください。

冒頭、私からは以上になります。

2.質疑応答

(問)先日、厚労省の発表した人口動態統計で、出生率が過去最低の1.2となりました。大臣の受け止めと、今後こども家庭庁としてどう少子化対策に取り組むか、お伺いいたします。

(答)合計特殊出生率が過去最低の1.2となったことにつきましては、いまだ多くの方々のこどもを産み育てたいという希望の実現、これに至っていないことを示しているものとして重く受け止めるべきと考えています。
その上で、「こども未来戦略」においては、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する、この3つの理念の実現を掲げて、3.6兆円規模に及ぶ前例のない規模で、こども・子育て支援を抜本的に強化することとしております。
先日、児童手当の抜本的拡充、「出産・子育て応援交付金」や「伴走型相談支援」の制度化、「こども誰でも通園制度」の創設、出生後休業支援給付や育児時短就業給付の創設等々、こういったことを盛り込むとともに、その財政基盤の確保のための支援金制度を創設する、「子ども・子育て支援法等の一部改正法」、この法案と、「共働き・共育て」の推進に向け、こどもの年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充などを盛り込んだ、「育児・介護休業法等の一部改正法」、この2つの法案がそれぞれ可決・成立をしたところでございます。
今後、政府を挙げて、賃上げや三位一体の労働市場改革など、若者・子育て世代の所得向上に全力で取り組むとともに、これらの改正法の着実な施行を含め、今後3年間の集中取組期間において「加速化プラン」をスピード感をもって実行してまいります。
また、こうした制度や施策の充実とあわせ、社会全体でこどもや子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要でありまして、車の両輪として進めてまいります。

(問)今の質問に関連して、政府はこれまで60兆円を超える予算を投じてきましたが、少子化の歯止めがかかっていない状況です。
現金給付や現物給付を増やしても出生率は上がらないという指摘もありますけれども、そうした指摘について、どうお考えでしょうか。

(答)少子化の背景には、個々人の結婚や妊娠・出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っており、未だに多くの方のこどもを産み育てたいという希望の実現には至っていないものと認識しています。
少子化対策は、その効果が表れるまでに一定の時間を要することや、様々な施策があいまって、総合的に効果を発揮していくものであるため、全体としての検証が難しいという側面、これはありますが、「こども大綱」及び「こどもまんなか実行計画」において、数値目標を含めた指標を掲げており、PDCAの観点を踏まえながら、政策を推進してまいります。
なお、衆議院予算委員会の中央公聴会等におきましては、「加速化プラン」の取組により出生率が上がるのではないかといったご意見もいただいているところでございます。

(問)関連でもう一点お伺いいたします。
大臣のおっしゃられた少子化対策の加速化プランは、子育て世帯には手厚いけれども、結婚や出産をまだしていない若い世代に対してアプローチできていないのではないかという意見もありますけれども、こちらについてはどうお考えでしょうか。

(答)「こども未来戦略」におきましては、若い世代が希望どおりに結婚し、こどもを生み、安心して子育てできる社会を目指し、「若い世代の所得を増やす」ことを基本理念の一つとして掲げています。
これを踏まえ、政府全体で、賃上げや三位一体の労働市場改革など、「若い世代の所得を増やす」取組を進めるとともに、地方自治体による結婚支援の取組を支援し、結婚を希望する方を後押ししてまいります。
さらに、先日、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」が可決・成立いたしました。
今後、「加速化プラン」の実施にスピード感を持って取り組み、今まさに子育てをしている方々への支援を充実することで、これから結婚しようとする若い世代が、結婚や出産に希望を持てる社会を作っていきたいと考えております。
これらに加えて、こども家庭庁としましては、さらに何ができるか、若い世代を始め様々な方々のお声をよく伺いながら検討してまいります。

(問)冒頭でご発言があった、里親委託の問題に関して、こども家庭庁にとして、改善に向けた取組をどのようなスケジュールで進めているか、現段階で決まっていましたら教えてください。

(答)本日の閣議におきまして、総務大臣から里親への委託について、児童の属性と里親の希望のミスマッチにより、児童を預けられていない里親が多く見られること、共働きの里親が受託するための環境の整備が課題となっていること、その上で短期の里親委託等を活用することや、保育所入所の優先利用の徹底が求められることなどを内容とする勧告をいただいたところでございます。
こども家庭庁といたしましては、虐待等を理由として、里親等へ委託されている児童の割合、いわゆる里親等委託率は増加傾向にはあるものの、国の目標と比べ低調になっており、更なる里親等委託の推進が必要であると考えております。
そのため、令和6年度からは包括的な里親支援を行う児童福祉施設として、里親支援センターを創設し、短期の里親委託も含め、里親のリクルートからマッチング、委託後の養育支援まで、包括的に支援する体制を強化することとしてございます。
また、共働き世帯の里親は増加する中、里親委託と就業の両立を支援するために、里親に委託された児童の保育所への優先利用に関する周知の徹底などを行ってまいります。
また、対応のスケジュールにつきましては、様々な内容の勧告をいただいたところでありますので、できることから速やかに取り組んでまいりたいと考えています。
このように、勧告を踏まえた対応を講じながら、社会的養護を必要とするこどもたちの育ちをしっかりと支えられるように取り組んでまいります。

(以上)