加藤大臣記者会見(令和6年3月19日)
加藤大臣記者会見要旨
(令和6年3月19日(火)8時40分から8時47分まで 於:参議院本会議場中庭側)
1.発言要旨
冒頭、私から1件ご報告がございます。
まず、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案についてでございます。
ただいま申し上げた法律案、いわゆる「こども性暴力防止法案」が閣議決定をされました。こどもに対する性暴力の被害は、被害を受けたこどもの権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるものです。このため、こどもに対して教育、保育等を提供する事業者がこどもに対する性暴力を防止する責務を有することや、そのために講ずべき措置などについて定めることとし、これにより、こどもの心身の健全な発達を図ることとしています。
対象事業者に対しては、対象業務の従事者への研修、こどもに対する性暴力のおそれの早期把握のための措置、こどもの相談を容易にするための措置や、被害が疑われる場合の調査・保護を求めることとしております。また、対象業務の従事者による、こどもに対する性暴力のおそれがある場合には、その者を対象業務に従事させないなどの防止措置を求めることとしています。
その際、性犯罪前科の有無を把握することは、防止措置を講じる上で重要な手立てであるため、対象業務の従事者について、一定の性犯罪前科の有無の確認を求めることとし、その確認を可能にするため、性犯罪前科の有無に係る情報を、国が対象事業者に提供する仕組みを創設することといたします。対象事業者のうち、認可などを受け、特に高い社会的責任を有する学校、保育所などの児童福祉施設等については、これらの措置を法律上直接に義務付けることとし、それ以外の学習塾、放課後児童クラブや認可外保育施設等につきましては、国による認定制度を新たに設け、その認定を受けた場合に、これらの措置を義務づけることとしました。
また、認定事業者につきましては、国が公表するとともに、その認定事業者の広告などに、認定を受けたことの表示を可能とすることといたしました。これにより、保護者の方々にとっては、こどもが利用する施設を選択する際にこの表示を参考としていただくことが可能となります。
このように、本法律案は、性犯罪歴の確認の仕組みだけではなく、こどもに対する性暴力のおそれの早期把握のための措置や、こどもが相談しやすい環境づくりなど、複数の措置を組み合わせることで、初犯も含めて、こどもに対する性暴力を防止するための法律案でありまして、そのため、略称を「こども性暴力防止法案」としております。
本法律案は、これを起点に、社会全体でこどもたちを性暴力から守る社会的意識を高めていくとの観点からも、大変重要な法案であると考えております。また、こどもの性被害防止のためには、総合的な取組も必要であり、その推進を図りつつ、本法律案の成立に向けて最大限努力をしてまいります。
冒頭、私からは以上となります。
2.質疑応答
(問)「こどもファスト・トラック」についてお伺いしたいのですけれども、昨年春に首相肝煎りで始めた事業ですけれども、その後、あまり皆様に大々的なPRはしていないなという感じがして、例えば冬休みの実施のときも特段こども家庭庁からアナウンスがなかったりとか、実績が全く公開されていなかったりしていて、賛同する企業なんかもあまり増えていない状況です。子連れ客からは使いづらいというような声もあったりして、なかなか浸透するのが難しい事業だと思うのですけれども、今後、どのように進めていくお考えでしょうか。
(答)「こどもファスト・トラック」につきましては、こども未来戦略においても、こどもや子育て世帯を社会全体で支える気運を醸成するため、優先案内や専用レーンを設置するなどの取組を広げていくこととされており、こども家庭庁としましては、昨年のゴールデンウイークの取組を第一弾として、夏休みや冬休みの実施状況について調査・公表をしてきたところでございます。
昨年夏に実施した子育て世帯に対するニーズ調査によりますと、子育て世帯が周りから欲しかった理解や配慮の内容としては、「こどもやこども連れ、ベビーカーでも移動しやすく使いやすい施設や設備」というのが21.6%、「こどもやこども連れに対する周りの方の寛容な姿勢やちょっとしたサポート」という回答が20.3%、「こどもやこども連れの様々なニーズに応じたきめ細かなサービス」というのが12.0%となっており、「こどもファスト・トラック」が含まれるであろう項目の「こどもやこども連れの優先対応のルールや呼びかけ」と答えた方につきましては8.9%と、ファスト・トラックに限らない様々なニーズがあることがわかりました。
これらの様々なニーズに細やかに対応していくことが必要であるという認識のもと、「こどもファスト・トラック」につきましても、ホームページへの掲載により情報発信を行いつつ、ファスト・トラック以外の国・地方自治体・民間団体等の取組につきましても、リレーシンポジウムやホームページ等を活用して、個別の事例紹介などによって情報発信をしているところでございます。
こども家庭庁としましては、これら様々な取組を幅広く展開をしていきたいと考えており、その中の一つとして、気運醸成の意味も込めて長期休暇等におけるファスト・トラックの取組についても、引き続きホームページで公表するなどによって推進してまいりたいと考えております。
(以上)