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加藤大臣記者会見(令和6年2月16日)

加藤大臣記者会見要旨

(令和6年2月16日(金)8時47分から8時57分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭、私から2件ご報告がございます。
 
まず、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」についてでございます。
 
先ほど「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。これは、昨年末に閣議決定された「こども未来戦略」の「加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実施していくため、給付拡充と財政基盤の確保を一体的に整備するものでございます。
 
給付面の改革としましては、児童手当を所得制限なく高校生年代まで延長することや、妊娠・出産時の10万円給付を恒久的な制度とすることなどで、広い範囲の子育て世帯に確かな支援拡充を図ってまいります。また、「こども誰でも通園制度」の創設や児童扶養手当の第3子以降の加算額の引き上げ、両親が育休取得する場合の手取り10割を実現する給付創設など、切れ目のない支援を実現し、子育て世帯にとって大幅な給付増を図ってまいります。こうした拡充を子育て世帯に確実にお届けをし、本当に子育てしやすい世の中になったと実感をしていただくことが大切でございまして、そのためには、社会の意識や働き方を変えていくことも欠かせません。こども家庭庁として、「こどもまんなか」の機運醸成に全力を尽くしてまいりますが、国民の皆様におかれましても、ぜひ身近なところから、「こどもまんなか」を実践していただければと思います。
 
総額3.6兆円規模の「加速化プラン」は、その多くを歳出改革等によって賄いますが、残る1兆円について、「少子化対策に受益を有する全世代・全経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合い・連帯の仕組み」として、国民の皆様に「支援金」の拠出をお願いすることとしています。これは、医療保険料とあわせて、企業にもご負担いただきつつ、全世代の皆様から広く拠出いただくもので、実際の拠出は、賃上げ等の経済基盤強化を先行させた上で、令和8年度から段階的に開始します。そうした工夫の上で、医療保険加入者一人当たりでみた粗い試算としては、令和8年度に月平均300円弱、9年度に400円弱、10年度に500円弱の拠出をお願いすることとなりますが、これらは、基本的には歳出改革による社会保険負担の伸びの抑制の範囲内とし、今後の賃上げの効果とあわせて、支援金の拠出がそのまま負担増とならないようにします。
 
我が国の少子化は危機的な状況にあり、こうした給付・拠出の両面を通じて将来の我が国、地域社会を支えるこども・子育て世帯を全世代、全経済主体が応援していくという考え方を、多くの皆様にご理解をいただけるよう、この法案の成立に向けて努力をしていきたいと考えております。
 
冒頭、2件目でございます。神戸視察について報告いたします。
 
明日、2月17日に兵庫県神戸市の「小さないのちのドア」及び「神戸真生塾」が運営する乳児院及び児童家庭支援センターを視察いたします。ご調整下さった関係者の皆様に感謝を申し上げます。
 
まず、「小さないのちのドア」は、困難を抱える妊産婦やそのこどもが安全・安心に過ごすことができるよう、電話・メール・SNS・来所での相談、産前・産後の衣食住の無償提供、関係機関との連携や同行支援などの支援を実施されています。
 
こども家庭庁においては、来年度より、家庭生活に困難を抱える妊産婦とそのこどもに一時的な住居や食事提供、その後の養育等に係る情報提供等を行う「妊産婦等生活援助事業」を創設することとしております。私も以前、代表理事の永原さまからお話をお伺いしたところですが、実際に現場の状況を視察させていただき、来年度からの事業内容の具体化につなげてまいりたいと考えております。
 
また、「神戸真生塾」は、乳児院や児童養護施設の運営のほか、児童家庭支援センターを設置し、里親家庭や地域の子育て家庭の支援を行うなど、様々な取組を進めていただいています。
 
今回、施設の専門性を活かして、地域全体の子育て支援や、困難な課題のあるこどもたちのケアをしていただいている、「真生塾」さんの取組を視察をさせていただきます。併せて、実際に現場で従事する職員の皆様にもお会いし、現場の課題・意見をお伺いし、今後の施策の参考にしたいと考えております。
 
詳細につきましては、こども家庭庁にお尋ねをいただければと思います。
 
冒頭、私からは以上になります。

2.質疑応答

(問)東京都台東区で、当時4歳の次女を殺害したとして両親が逮捕される事件が明らかになりました。次女に関しては児童相談所に一時保護されるなど、長年にわたって児相側の関与がありましたが、一時保護が解除され、都や区は虐待はなかったと判断していると公表されています。今回の事件に対する受け止め、ならびに、検証や再発防止など、こども家庭庁としてどのような対応を検討するのか教えてください。

(答)東京都台東区で4歳の女児が亡くなるという非常に痛ましい事件が発生いたしました。亡くなられた女児のご冥福を心からお祈りを申し上げます。
このような痛ましい事案が繰り返されないために、まずは女児が亡くなるに至った経緯において、保護者それぞれどのような関与がどのような背景の下にあったのか、また、家庭内における日々の養育において、保護者それぞれの関わりがどのようになされ、児童相談所や台東区の子ども家庭支援センター、保育所等、家庭に接点のあった関係機関において、どのような察知しうるサインがあり、どう対応がなされていたのか等について、事実関係を十分に押さえていくことが重要だと考えております。これらの点について、現在、警察において捜査が進められるとともに、東京都の児童福祉審議会において、本件に係る検証の実施をしていく方向で調整が進められているものと承知をしております。
こども家庭庁としましても、東京都とも十分連携をし、東京都による検証の状況を注視するとともに、国としても例年実施する死亡事例検証の取組において、本事案を含め、しっかりと事案を検証の上、現場において留意すべきリスクや取るべき対応の検討を進めてまいります。

(問)今回の閣議決定に関してなのですけれども、世論からは実質負担ゼロというのが非常に分かりにくいという声があります。やはり社会保障を減らした分だけ上乗せするから増えないのだよという説明はなかなか言葉で言っても伝わりにくいと思うのですが、これを今後どう国民に伝えていかれるお考えでしょうか。それから、各保険者によって結構負担の金額も変わってくると思うのですが、それに関して数字を出すなどして分かりやすく説明されるお考えはありますでしょうか。

(答)まず、前段のご質問にお答えします。支援金は、先ほども申し上げたように、事業主や全世代から広く拠出をしていただき、公費とあわせて、拠出する側と比べて人数の少ない子育て世帯への大きな給付拡充にあてるものでございます。これにより、これまでは実現できていなかった切れ目のない支援を可能とするものとなっており、また、歳出改革等により全体として実質的な負担が生じないようにするものです。
なお、被用者保険においては、共働きであってもそうでなくても、基本的には世帯の収入に応じた保険料となるよう設計をされているところでございます。
こども家庭庁としては、加速化プランによる給付の充実内容や全世代・全経済主体が子育て世帯を支える枠組みである支援金制度の理念等について様々な機会を捉えて説明を尽くしてまいりますので、皆様におかれましても何とぞご理解をいただきたいと考えております。
また、医療保険ごとの支援金の大まかな試算という話でありましたが、支援金制度の創設は令和8年度からを予定しておりまして、医療保険者ごとの拠出額を算出するに当たっては、各医療保険の加入者数ですとか被用者保険の報酬水準等について仮定を置く必要もあることから、総理からも先日申し上げているとおり、どのようなお示しの仕方が可能か、少なくとも法案審議に間に合う形でお示しできるよう、引き続き検討してまいります。

(以上)