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加藤大臣記者会見(令和6年10月1日)

加藤大臣記者会見要旨

(令和6年10月1日(火)10時33分から10時53分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭、私から申し上げます。

先ほどの閣議におきまして、内閣の総辞職が決定されました。

これまで皆様方には大変お世話になりました。心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

本日は、昨年9月に私が大臣に就任してから、約1年間の振り返りをご報告させていただきたいと思います。

まず、こども政策についてでございます。

当時、創設からまだ半年のこども家庭庁の大臣に就任をいたしました。

こども・若者や子育て当事者の皆さん一人ひとりの意見を聴くことを大切にしながら、「こどもまんなか社会」の実現に向けて全力で取り組んでまいりました。

昨年12月には、政府全体のこども施策の基本的な方針等を定める「こども大綱」を閣議決定するとともに、今年5月には、その具体的な取組を一元的にお示ししたアクションプランであります「こどもまんなか実行計画」をこども政策推進会議において決定しました。

また、昨年12月には、3.6兆円という前例のない規模で、子ども・子育て支援の抜本的な強化策をまとめた「加速化プラン」、これを盛り込んだ「こども未来戦略」を閣議決定するとともに、今年6月には、その具体化を図る「子ども・子育て支援法等の一部改正法」、これが成立いたしました。

本改正法は、加速化プランに基づく、児童手当の抜本的拡充や、こども誰でも通園制度の創設、ヤングケアラー支援の強化などの様々な取組を進めるとともに、子ども・子育て支援のための安定財源を確保するための「子ども・子育て支援金制度」を創設するなど、将来に向けて、大変重要な法律であると考えております。

さらに、先の通常国会におきましては、「こども性暴力防止法」も成立いたしました。

こども政策担当大臣として、また子を持つ一人の親として、かけがえのないこどもたちの尊厳を守り、こどもへの性暴力等を防止することが必要だと感じており、この法律の成立は、こどもへの性被害防止の推進の大きな一歩になったと考えているところでございます。

加えまして、私自身力を込めて進めさせていただいた「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」こちらでは、構成員12名のうち7名を20代の若者が占めるなど、前例のない取組を行ってまいりました。

中間報告においては、若いうちからライフデザインを学ぶ機会の重要性等をまとめていただきましたので、今後、その具体化に向けた取組を着実に進めていただきたいと考えております。

このほか、こども家庭センターの設置促進をはじめ、児童虐待防止対策の強化を図るとともに、障害児・医療的ケア児、社会的養護、それから不登校のこどもなど、多様な支援ニーズを有するこどもやその家庭への支援について、可能な限り現場に足を運ばせていただき、当事者の皆様方のお声を伺ってまいりました。

この経験を踏まえまして、来年度の概算要求には、地域の支援体制の強化をはじめとする様々な施策の充実を盛り込んでございます。

また、旧優生保護法訴訟につきましては、7月の最高裁判決を大変重く受け止め、旧優生保護法により心身に多大な苦痛を受けてこられた方々に対しまして、旧優生保護法を執行してきた立場として、真摯に反省をし、心から謝罪を申し上げました。

さらに、まさに昨日、原告団・弁護団等の方々と、旧優生保護法問題の全面的な解決を目指す「基本合意書」を調印したところでございます。

こどもを取り巻く様々な課題に加え、急速に少子化が進展している中、こども政策への対応は、引き続き、待ったなしの先送りできない課題でございます。

こどもに関する政策の司令塔として、引き続き、こどもや若者、当事者の方々の声をしっかり聴くことを大切に、様々な取組を前に進めていっていただきたいと考えております。

続いて、男女共同参画については、今年6月に「女性版骨太の方針2024」を取りまとめました。

今回は、女性活躍・男女共同参画を推進するための「人材育成」を横串に据え、企業等における女性活躍の一層の推進、女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進、防災分野をはじめ、個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現、女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化という、今申し上げた4つの柱に沿って施策を盛り込みました。

これに基づきまして、今後とも持続的で広がりのある取組が推進されていくよう期待をしているところでございます。

次に、公益法人制度につきましては、今年の通常国会において、公益法人認定法の一部を改正する法律案及び公益信託法案を全会一致で可決・成立させることができました。

本改正法は、公益法人制度及び公益信託制度をより使い勝手の良い制度に改めることで、民間公益の活性化を図ることを目指すものでございまして、広報動画に出演するなど、新制度の普及・啓発にも取り組んでまいったところでございます。

共生社会政策につきましては、旧優生保護法に係る最高裁判所判決を受け、総理を本部長、官房長官と私を副本部長とする「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」の設置・運営に尽力をし、障害者に対する偏見差別及び優生思想の根絶に向けて、取組を強化するための道筋をつけてまいりました。

また、「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」の推進に取り組んできたほか、新たな「高齢社会対策大綱」を策定いたしました。

孤独・孤立対策につきましては、今年6月、孤独・孤立対策推進法に基づく初の法定計画となる、孤独・孤立対策重点計画を策定いたしました。

また昨年11月には、「WHO社会的つながり委員会」の発足メンバーとして委員に就任し、12月のハイレベル会合では、日本の取組についてビデオメッセージで発信するなど、孤独・孤立対策における諸外国との連携強化に取り組んでまいりました。

新たな官民連携の手法であります、成果連動型民間委託契約方式、PFSの推進につきましては、昨年11月に、内閣府として初となります首長セミナーを開催し、普及啓発に努めました。

この場において、約1年間の全ての仕事について語り尽くすことはできませんが、どの仕事についても、部局の皆さん方、組織の皆さん方と一緒になって全力で取り組んでまいったところでございます。

改めて、在任中の皆様方のご厚誼に感謝を申し上げ、私の退任の挨拶とします。本当にありがとうございました。

2.質疑応答

(問)今の振り返りに関連してですが、後任のこども政策担当大臣に、こういったところに力を入れてほしいとか、加藤さんの思いを伺えればと思います。

(答)ありがとうございます。
後任には、三原じゅん子先生が就かれるということでございます。
個別の政策につきましては、どれも重要であるため、それぞれしっかりと引き継いでまいりたいというふうに考えてございます。
その上で、特に引き継ぎたいものとして、まずこども政策については、私自身かなり気持ちを込めて進めさせていただいてきた「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」、これにつきまして、9月6日に手交していただいた中間報告では、若いうちからライフデザインを学ぶ機会の重要性等をまとめていただきましたので、今後、その具体化に向けた取組を、ぜひ着実に進めていただきたいと考えているところでございます。
また、「こども性暴力防止法」につきましては、公布から2年6か月以内の施行日に向けて、制度が施行当初から実効的なものとして運用できるよう、関係府省庁とも連携しながら、遅滞なく準備を進めていただきたいと考えております。
また、旧優生保護法に係る最高裁判決を受けた対応、こちらにつきましては、昨日申し上げたとおり、原告団等の方々と調印をしました「基本合意書」、こちらに基づき、恒久対策等の施策の具体化などのため、定期的な協議の場を開催していただきたいと考えてございます。
次に、障害者施策につきましては、同じく旧優生保護法に係る最高裁判決を受け、総理を本部長として全閣僚を構成員とする推進本部を開催しているところでございます。
後任の大臣には、障害者に対する偏見や差別のない共生社会を実現すべく、引き続き、これまでの取組の点検や、教育・啓発等を含めた取組の強化に取り組んでいただきたいとお伝えして参りたいと思います。
そして、男女共同参画につきましては、「第5次男女共同参画基本計画」や、先ほど申し上げた「女性版骨太の方針2024」に基づいて、企業等における女性活躍の一層の推進、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組の一層の推進、個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現などに、ぜひ全力で取り組んでいただきたいと考えております。
最後に、孤独・孤立対策については、孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取り残さない社会を目指して、孤独・孤立対策推進法や本年6月に決定した重点計画に基づいて、地方公共団体やNPO等と手を携えて、政府一体となって取り組んでいただきたいと、このように考えております。以上です。

(問)先程来お話がありました、ライフデザイン支援についてお伺いさせていただければと思います。
大臣もこれまで検討会に出席されていましたけれども、検討会、あくまで希望する人が、結婚・出産を含めて、その希望するライフデザインを実現するために、というような目的でやられてこられたと理解しているのですけれども、一方で、SNS等を見ると、国の施策で個人の人生を誘導されたくないというか、そういった批判が一定あって、こども家庭庁が政策を進めていく上で炎上してしまったりとか、そういった側面も現状ではあるのかなというふうに思います。
ただ、少子化対策を考えていく上で、未婚化・晩婚化だったり、ライフデザインを考えていくという、そういった議論は今後も避けられないと思うのですけれども、実際に若者の委員の皆さんの声も、実際に大臣は現場で聞かれまして、今後どういうふうに議論を進めていったらいいかというふうに感じられたか、というのを、ちょっと改めて大臣の言葉で聞かせていただきたいです。

(答)ご質問ありがとうございます。
これまで携わってくださったワーキンググループの皆さんには、本当に感謝をしているところでございます。
また部局の皆さんにも本当に力を込めて前に進めていただいたので、ありがたかったなというふうに思っていまして、今回のワーキンググループにつきましては、7名にのぼる若い世代の委員や専門家の皆さんに、ご自身の体験なども含めて活発なご意見をいただいて、毎回本当に有意義な議論がなされたというふうに感じております。
ぜひ強調したいところは、改めて、これはもう何度でも強調して、誤解のないように伝えていくということしかないと思っておりますが、結婚、妊娠・出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであるということを、我々は毎回毎回強調して申し上げております。
それをしっかり強調して言うべきだというご意見も、そのワーキンググループで率直にいただきながら、そうですよね、ということで強く発信をしているところでございますが、その大前提のもとで、自分自身の人生の選択肢を広げるため、誰にとってもライフデザインについて学ぶ機会は重要であること、また、出会いの支援については、官民が連携協力して進めていく必要があること、さらに、価値観の押し付けにならない形で若い世代の方々の自己実現をサポートすることが重要であることなど、様々なご意見をいただいてまいりました。
これまでいただいたご意見をしっかりと踏まえつつ、こども家庭庁におきましては、ライフデザイン支援の推進や官民連携した結婚支援、若い世代による情報発信などを行うための予算を、早速来年度の概算要求に盛り込んだところでございます。
今後についても、ぜひ当事者の皆さんの声をしっかりと聞いていただいて、当事者の方々が今何を思っているのか、何に困難を感じておられるのかをしっかり聞きながら、その発信の方法も誤解のないように社会に向けてしていくというところも、ぜひ当事者の声を聞きながら進めていただきたいと思いますし、何しろ、当事者の方々のニーズや課題、そこを起点に施策を進めていっていただきたいなという思いを込めて、引き続きしっかりやっていきたいというふうに思っております。

(問)1年間ご苦労様でした。
私は最初担当させていただいて、大臣が初めて視察に行くところを取材させていただいたり、在任中にかなり重要な法案を通したり、最後には旧優生保護法の被害者の方たちと向き合ったりと、担当大臣として、かなり重要な、短い間に重要なことを行われたと思うのですが、苦労した点ですとか、実際に初入閣されて、感じ取ったもの、思いなどありましたら、お聞かせください。

(答)本当に青天の霹靂での就任から始まった1年でございまして、本当に自分自身が党にいたときから関心を高く持って、また当事者としても非常に関心を高く持って関わってきた分野についての大臣を担当させていただいたことには、本当に感謝しかないなというふうに思っております。
そして、在任中、法案も預からせていただいて、国会の答弁に臨んだり、多くの国民の皆様にご説明させていただく立ち位置になって、岸田内閣の一員として、また職員の皆さんともチーム一丸となって、今回大きな法案を通させていただくことができたのは本当にありがたく思っています。
力強いサポートがなければできることではなかったと思いますし、この法案をこれまで取りまとめてこられた、前任の大臣ですとか、また与党の先生方とか、本当に多くの方々の力があって、大変重要な法案を通させていただけたというふうに思っているので、関わった全ての皆さんに私は感謝を申し上げたいと思っています。
この法案自体が通ったことによって、やはり子育て世帯の方々やこどもたちにとって、とても重要な支援制度が拡充されていくわけでありますので、大変意義があるというふうに思っています。
これからは、皆さん方の力で成立することができた、このこども政策の拡充が実施されていく中で、1人でも多くの子育て世帯の方々が希望を持って、子育てを頑張れるとか、また若い世代の方々が社会の中でみんなに応援されながらこども子育てができるのだと思えるような、そういう社会になっていくように、後任の大臣にも頑張っていただきたいと思いますし、また組織の皆さん、こども家庭庁をはじめ、関係部局の皆さんに施策の実現・実行に向けて、引き続き全力で頑張ってもらいたいなというふうに思っています。

メディアの皆さん方も、週2回本当にお世話になりまして、いいやり取りができたと思っております。大変お世話になりまして、その点も心から感謝いたします。
皆さんの発信力で世の中に伝わったことがいろいろたくさんあったわけですので、皆さんと一緒に、二人三脚で進んでこれたこと、ご批判等も、厳しいご質問も含めて、大変意義深い時間であったというふうに思っています。
本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

(以上)