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成育医療等分科会(第2回)

概要

日時:令和5年11月22日(水)11時00分から13時00分
場所:オンライン開催
こども家庭庁のYouTube公式チャンネルにてライブ配信を行いました。

【オンライン配信URL】
https://youtube.com/live/zL8cYLPddAA

議題

  • 審議事項
    (1)母子保健に係る制度改正について
    (2)乳幼児健診について
    (3)その他

資料

議題

五十嵐分科会長:それでは、時間になりましたので、第2回「成育医療等分科会」を開催いたします。

今日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

前回と同じように、ウェブ会議で開催させていただきます。

本日の委員の出欠状況の報告を、事務局から、お願いいたします。

木庭課長:母子保健課長の木庭でございます。

よろしくお願いいたします。

本日は、宮田委員、末松委員から、御欠席、井本委員から、途中から御参加の御連絡をいただいております。

委員18名に御出席いただいておりまして、定足数に達していることを御報告申し上げます。

また、本日は、参考人として、こども家庭科学研究「身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に乳幼児・学童・思春期の健やかな成長・発達をポピュレーションアプローチで切れ目なく支援するための社会実装化研究」の研究代表者であります、福岡大学、永光信一郎先生に御出席いただいております。

また、同じ研究班の、成育医療研究センター、小枝達也先生にも御出席いただくこととなっておりますが、本日は遅れての御参加との御連絡をいただいております。

なお、今回の分科会は、傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。

本分科会ではこれ以降の録音・録画は禁止とさせていただきますので、傍聴されている方は、御注意のほど、よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

本日の議論の流れと配付資料の説明を、事務局から、お願いいたします。

木庭課長:本日の議題は、議題1として「母子保健に係る制度改正について」、議題2として「乳幼児健診について」となっております。

なお、議題2の「乳幼児健診について」は、事務局からの説明とは別に、永光参考人からも御説明いただく予定としております。

五十嵐分科会長:永光先生、今日は、参考人としておいでいただきまして、ありがとうございます。

後ほど御紹介いたしますので、本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

永光参考人:よろしくお願いします。

五十嵐分科会長:それでは、議事に入りたいと思います。

議題1です。

「母子保健に係る制度改正について」は、産後ケア事業、母子保健DX、新生児マススクリーニングと3つのテーマが含まれておりますので、テーマごとに説明と議論を行いたいと思います。

事務局から、説明をお願いいたします。

木庭課長:それでは、資料1-1「母子保健に係る制度改正について」という資料に沿って、まず、母子保健を取り巻くこども政策全体の動きと併せまして、概略を簡単に御説明させていただきたいと思います。

1ページでございます。

まず、今年の6月にこども未来戦略方針が策定されましたけれども、その中で、今後3年間で集中的に取り組む事項として加速化プランが示されております。

この加速化プランにつきまして、去る10月2日のこども未来戦略会議において、総理から、加速化プランに掲げる各種施策について、法制化が必要なものは来年通常国会での法案提出に向けて準備をするようにとの指示がございました。

こども政策全体の制度改正について取りまとめるプラットフォームが子ども・子育て支援等分科会になりますけれども、10月に開催された第2回の分科会において、母子保健に関する事項については成育医療等分科会において議論をすることが決定されました。

これを受けて、本日、この第2回成育医療等分科会において、「母子保健に係る制度改正について」ということで、先生方から御意見を賜りたいと思っております。

この後の動きですけれども、12月上旬に予定されております第4回子ども・子育て支援等分科会の場でこの成育医療等分科会で行われた議論の報告をするという流れを考えてございます。

おめくりいただきまして、加速化プランに規定されております母子保健関係のテーマでございます。

産後ケア事業の実施体制の強化、乳幼児健診等の推進が、必要な取組として記載されてございます。

また、加速化プランに記載はございませんけれども、政府全体の方針として、デジタル化に向けた推進がございます。

母子保健のデジタル化を実現するために必要な環境整備等も、制度改正の一環として、検討していきたいと考えております。

本日は、そういった流れで、産後ケア・母子保健のデジタル化・新生児マススクリーニングという3つのテーマで、現状・課題、その対応案について、整理をいたしたものに先生方から御意見を賜れればと考えております。

続きまして、1つ目のテーマであります産後ケア事業について、資料1-2に沿って、御説明させていただきたいと思います。

まず、現状と課題でございます。

2ページをお開きください。

産後ケア事業については、委員の先生方は、皆様、御承知と存じますけれども、令和元年の母子保健法改正によりまして、令和3年度から産後ケア事業は市町村の努力義務として実施されることになっております。

この事業につきましては、少子化社会対策大綱において、来年度、2024年度末までの全国展開を目指すとされておりますところ、令和4年度時点では、全市区町村の84%に当たりますが、1,462市町村において実施されているという状況まで達しております。

また、この事業につきましては、国から市町村に対する財政支援として2分の1補助をさせていただいておりますほか、補助事業として、利用者に対する利用料減免も行っているところでございます。

4ページでございます。

産後ケア事業に関する自治体の実施体制の課題でございます。

令和3年に総務省において子育て支援に関する行政評価・監視が実施されましたが、その中で、産後ケア事業について、委託先が地域によって偏在していて、市町村単独での対応に苦慮している実態が見られるという指摘がございました。

また、都道府県が関与した広域的な対応など、都道府県の市町村に対する支援を促すことを求める勧告も行われたところでございます。

その後、令和4年度に実施した調査研究事業において、市町村に対して事業実施における課題をお尋ねしたところ、61%の市町村が委託先の確保に苦慮しているという課題を挙げておられました。

併せて、市町村が都道府県に求める支援については、53%の市町村における「集合契約等域内での契約実務の支援」等、都道府県の実務においての関与・支援を求める声が多いことが分かりました。

続きまして、ページをおめくりいただきまして、今度は、産後ケアの主な目的の一つとして妊産婦の心身のケアというものがございますけれども、自治体における妊産婦のメンタルヘルス対策の課題についてでございます。

令和3年度の母子保健課における調査によりますと、精神科医療機関を含めた地域関係機関と連絡会等を定期的に実施していると回答した市町村は7.2%と少数にとどまっていた一方で、産後1か月までのエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)が9点以上の褥婦さんの割合は9.7%と、1割程度の褥婦さんについて、一定程度産後うつのリスクがあることがわかり、ケアが必要という状況でございました。

令和4年度に実施いたしました産後ケアに係る調査研究事業においては、市町村における事業実施に関する課題といたしまして、およそ半数、43.6%の市町村が「精神疾患の場合への対応」を課題として挙げておられました。

こういった、自治体、産後ケア事業の実施主体である市町村において挙げられている課題に対して、どのような対応をしているかということについて、幾つか見てまいりたいと思います。

7ページをお開きください。

先ほど申し上げましたような総務省からの勧告、また、この成育医療等基本方針は令和5年3月に改正されたものですけれども、下段のほうにございます成育医療等基本方針の中で、域内の市町村、あるいは、小児の医療、保健、福祉等に関する関係団体等との十分な連携の下に、産後ケア事業をはじめとした成育医療等に関する施策を行うことが望ましいこと、都道府県においては、域内市町村との連携、また、こういった関係者による協議の場を設けることが一案として考えられるといった記載がございます。

こういったことを受けまして、令和5年度予算において、都道府県事業を新設いたしまして、母子保健事業に関して都道府県が実施体制の整備あるいは委託先の確保に関する検討を行うための協議会を設置する場合には国庫補助を行うといった措置を設けてございます。

8ページでございます。

妊産婦のメンタルヘルス対策の充実に向けては、現在、国会で審議されております令和5年度補正予算案の中に、妊産婦のメンタルヘルスに関するネットワーク構築事業を提案させていただいているところでございます。

どういうものかというと、妊産婦のメンタルヘルスにつきましては、先ほどもございましたように、市町村が単独で対応することは困難であることが多いと思われますので、都道府県の拠点病院を中核として、地域の精神科医療機関、行政、産後ケアの実施をするような産科の医療機関等、関係機関が連携していただき、知見を共有して、地域全体で支援の必要な妊産婦を支えていく、そんな体制を構築していただくという事業でございます。

これまでの実施市町村における実施体制の強化に向けて、また、妊産婦さんのメンタルヘルス対策という産後ケアの質の向上に向けて、都道府県の関与が非常に重要であることが見えてまいりましたけれども、都道府県の関与の下、こうした産後ケアの実施体制を、体系的に整理して、制度として確立していく必要があるだろうと考えているところでございます。

9ページをお開きください。

こうした中で、子ども・子育て支援法において、子ども・子育て支援事業がございます。

例えば、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、延長保育事業、病児保育事業、放課後児童クラブといった事業が該当しているものでございます。

それぞれの事業の提供体制を確保するために、国において基本指針を定めて、市町村・都道府県において事業計画を立てて、それぞれの役割分担の下で実施体制を確保していくものでございます。

産後ケアについても、この事業の一つに位置づけることで、こうした体制を、国、都道府県、市町村、それぞれの役割分担の下で確保していくことができるのではないかということで対策案として記載をさせていただいております。

最後、10ページをおめくりください。

まとめでございます。

これまでに申し上げたことでございますけれども、産後ケア事業は、現在、市町村を実施主体として、全国展開を目指して推進していただいているところでございます。

提供体制や委託先の確保の課題という量的な課題、妊産婦のメンタルヘルスへの対応という質的な課題、この両面にわたって都道府県の積極的な関与をいただくことで、産後ケア事業の基盤をより確固たるものにしていこうということと、国、都道府県、市町村の役割分担を明確にして、計画的に提供体制の整備を進めるために、産後ケア事業を子ども・子育て支援法に定める地域子ども・子育て支援事業として位置づけてはどうかということで、対策案としてお示しさせていただく次第です。

御意見を賜れば幸甚です。

よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長:御説明をありがとうございました。

それでは、委員の先生方、御意見、御質問がありましたら、挙手していただけますでしょうか。

どうぞ。

お願いします。

木村委員:木村でございます。

日本産婦人科学会から、参りました。

こういう体制をつくっていただくことは、ありがたいことでございます。

ぜひこの辺を充実させていただきたいと思うのですけれども、1つだけ、コメントをさせていただきたいのです。

8ページのメンタルヘルスのところでございます。

このメンタルヘルスのいわゆる中心となるものは、このスキームによりますと、拠点病院の精神科になるかと存じますが、実は、大阪府でこのような体制をつくろうといたしましても、拠点病院の精神科は全くやる気がないのです。

全然やる気がない。

特に夜などはもう診たくないと。

そういったことをどうするのか。

どのような御指導が入るのか。

むしろ、夜間に非常に精神科的な御相談をさせていただきたいとき、一番夜間にもそういう方を取っておられるのは、いわゆる精神科救急の単科病院なのです。

単科病院は、逆に、妊婦を取れないのです。

妊娠しているというだけで、ノーなのです。

そこの矛盾をどのように解決するかということは、非常に大きな問題です。

特に精神科救急の場合、年に数件、自殺企図とかが大阪でも起こっておりますが、そのような方を誰がどのように収容するのか。

実は、大学病院ですら、そういう人が紹介されたあるいは地域の医療機関から来たときに「精神科は、夜は対応しない」と堂々とおっしゃるところが結構あります。

その点をどのようにこれから変えていくのかということは、非常に大きな問題と認識しております。

ぜひその辺りの対策もお考えいただいて、誰が頼りになるのか、誰にやる気があるのかということも、しっかりと見ていっていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長:貴重な御指摘をありがとうございます。

私も、同じような話を既に伺っております。

ほかはいかがでしょうか。

どうぞ。

お願いします。

相良委員:産婦人科医会の相良です。

よろしくお願いいたします。

今回の産後ケア事業を法律的に位置づけるというお話ですけれども、広域的な対応が必要であり、委託先を確保していく上で、非常に重要な問題だと思います。

方向性としては非常に望ましいと思っております。

ただ、1つ、委託先の確保というところで、産婦人科医会から少し状況をお話しさせていただきたいと思います。

現在、産後ケア事業の中で、宿泊型、デイケア型に関しましては、産科医療機関と助産所が大体半々で請け負っているという状況です。

産科医療機関の中では、大体50%ちょっとの医療機関がこの産後ケア事業に参入しています。

参入していない産科医療機関の状況を聞きますと、既に人員が足りない、ベッドが確保できないということで、これ以上の産後ケア事業のキャパシティーを増やすことが難しいという状況になっています。

実際に産後ケア事業を既にやっている医療機関では、採算が取れているものが大体3割程度なのです。

この事業を法律的に位置づけて財政を確保していただくことは非常に望ましいことだと思うのですが、現場でのキャパシティーをどう確保していくかということについても少しお考えいただければと思います。

以上でございます。

五十嵐分科会長:御指摘をありがとうございました。

橋本先生、どうぞ。

橋本委員:ありがとうございます。

KidsPublicの橋本です。

産婦人科オンライン・小児科オンラインというSNS相談をやっております。

先ほどの資料の8ページ、ネットワーク構築事業について、1つ、提案としては、このネットワークの中にはSNSの相談もあっていいのではないかというところを申し上げたいと思っております。

私どもは、産婦人科オンラインでも、実際に産後鬱の疑いのある人からの相談も受けております。

SNSだから本音が言えるのですという、今のお父さんやお母さんたちで、メンタル問題に関しては、電話や対面では恥ずかしくて言えない、自分の心が整理できないけれども、LINEのチャットだったら本音が言えますという方に、本当にたくさん出会ってきました。

実際に、オンライン相談を提供するとEPDSのハイリスクの方が3分の2に減るというランダム化比較試験も国内の論文で出ております。

そういったエビデンスもありますし、伴走型相談支援の中にもSNS相談が推奨されると明記されております。

成育基本法の基本方針にも、そのような推奨が書かれております。

今後のお父さんやお母さんたちを救っていくという観点でいいますと、このネットワークの中でITやSNSはあり得る一要素になるのではないかと考えております。

その辺りをぜひ御検討いただけたらありがたいと思っております。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございました。

重要な指摘だと思います。

秋山先生、どうぞ。

秋山委員:あきやま子どもクリニックの秋山です。

情報連携の件なのですけれども、精神科・産科医療機関からは市区町村に情報連携がされています。

市区町村から小児科医療に情報が共有されていないために、2か月の予防接種のときにそのバックグランドが分からないままになっています。

産科医療機関あるいは精神科医療機関から、診療情報提供書という形ででも、小児科医療機関と情報連携をさせていただけないかと思います。

その点も考慮したネットワークをつくっていただけないかと思っています。

よろしくお願いします。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございます。

家保先生ですか。

お願いします。

家保委員:全国衛生部長会の家保でございます。

今回御説明のあった方向性は、都道府県としても、進むべき方向と思います。

ただ、実際、各都道府県によって、医療資源の問題や関係者との連携は様々ですので、実施に向けては、それなりの猶予や経過措置等を考えていただければと思います。

木村委員からお話がありましたように、精神科と産科との連携は、当県でも数年前から着手しまして、関係者同士で、2年ぐらい、ゆっくりとどういうことをやっていったらいいかということを協議しました。

ルールを決めないと、ケースが出た場合、大変になります。

別の委員がおっしゃったように、ここに書いている中核的な拠点病院を確保することは現実的にはかなり難しいところがありますので、その辺りは、予算執行に向けて、国には一定の御配慮をいただきたいと思っております。

以上でございます。

五十嵐分科会長:ありがとうございました。

藤井委員、お願いします。

藤井委員:子育てひろば全国連絡協議会の藤井と申します。

私どもが実施している地域子育て支援拠点事業や利用者支援事業で、妊娠期から地域子育て相談機関として子育て当事者に情報提供ができる立場でもあることから、このように、産後ケアを必要とする誰もが利用できて、日本のどこに住んでも安心してケアを受けられる事業になることは、とても喜ばしく思っておるところです。

これから伴走型相談支援の制度化や妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援という制度が整う中で、今までは産後に自分の体や心に向き合う余裕がなかったママたちも遠慮することなく「休ませてほしい」や「助けて」と言える社会になってくるのではないかと感じています。

そうなったときに、必要な人が地域格差なくすぐに利用できる事業として、受入れの優先度や提供体制の整備をどのぐらいまでしっかりとできるのかというところや、市町村の課題として委託先の確保というところも挙げている点から、需要と供給のバランスが取れる仕組みになるのかというところで、疑問に思っているところです。

産前・産後サポート事業で専門職ではない地域の方々の支援が行われている地域もあるのではないかと思います。

そういった連携なども考えております。

以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございました。

そのほかはよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

リアクションをしてください。

お願いします。

木庭課長:様々なコメントをいただきまして、ありがとうございます。

いずれも大変貴重な御意見だったと受け止めております。

幾つかポイントがあったかと思いますけれども、木村委員、家保委員からは、妊産婦のメンタルケア事業の関係で、中核病院の確保がなかなか難しいのではないか、そういったことに積極的に取り組んでくれるところがどこにでもあるわけではないのではないかといったお話がございました。

おっしゃるとおりで、この事業はどこから手をつけたらいいのかというところも、実際にお声として拝聴している部分もございます。

関係機関がよく連携できている都道府県さんもあると私どもは把握させていただいておりますので、そういったモデルケースを御紹介させていただいて、どういった形でこういった体制を組んでいただけるかというガイダンスをさせていただくことも考えてございます。

相良委員、藤井委員から、産後ケアに関して、需要と供給との関係で、拡充したときに十分キャパシティーがあるのかといった御懸念をいただいたかと思います。

まさに、今後、産後ケアを必要とする方全てに、地域の偏在なく、必要なケアを受けていただけるような体制整備を目指しているところでございますけれども、それに向けて、実際、どういったところに課題があるのかということは、今年度、改めて、母子保健課で、調査研究事業として、産後ケア事業の実施体制について、また、経営状況について、調査をさせていただいております。

そういった調査結果を踏まえて、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

橋本委員からは、SNSの活用についても、お母さんの産後うつ予防にもつながるので、計画的に検討されたいという御指摘がございました。

このネットワークに限らず、様々な相談支援の場でのSNSあるいはITの活用は、今後、引き続き検討してまいりたいと思います。

秋山委員からは、小児科の先生に情報がなかなか入ってこない、2か月児健診のときに必要な情報がなくて困ることがあるというお話をいただきました。

これについては、先ほど7ページで御紹介させていただきましたように、都道府県・市町村の行政、医療機関、様々な母子保健に関する関係者に参画いただいた協議の場を設定していただく都道府県に対して、補助をさせていただくような事業も設けさせていただいておりますので、こういった場で情報連携をしていただいて、関係者の間で密に連携をしていただきながら、お子さんや妊産婦さんの支援を検討いただければと思っております。

五十嵐分科会長:そのほかは、委員の先生方、よろしいですか。

続きまして、「母子保健DXについて」、事務局から、説明をお願いいたします。

吉川推進官:事務局でございます。

資料1-3に沿って、御説明させていただきます。

2ページ目、本日説明を差し上げますのは、2つ、テーマがございまして、1つ目が、「PMH」と私たちが呼んでいるものでございますけれども、情報連携基盤を活用した母子保健DXについて、2つ目が、母子健康手帳の電子的な交付についてでございます。

3ページ目、4ページ目は、昨年度厚生労働省にて行いました、母子健康手帳、母子保健情報等に関する検討会の報告書の概要でございます。

3ページ目におきましては、「(1)母子保健情報・母子健康手帳の電子化について」で、マイナンバーカードカードを活用した母子健康手帳のデジタル化に向け環境整備を進めていくことが適当という文言が記載されたところでございます。

また、4ページ目、この検討会では、最後に、母子保健情報のデジタル化に関する現状と課題を整理いたしまして今後の実証事業等を通じて対応策等を検討することが記載されたところでございます。

5ページ目、今年の3月に閣議決定されたものでございますけれども、成育医療等基本方針の中の母子保健のデジタル化に関しての記載を取り上げたところでございます。

「(1)総論」には、母子保健情報のデジタル化と利活用を進め、健康管理の充実や母子保健事業の質の向上等を図ること、「4記録の収集等に関する体制等」におきましては、全国医療情報プラットフォームの創設に向けた取組を推進する、そのため、乳幼児期・学童期の健診・予防接種等の健康等情報の電子化及び標準化を推進するなどの文言が記載されたところでございます。

6ページ目、政府全体の方針として、DXに関しての閣議決定文書を、2つ、お示ししているところでございます。

上段にございますものは、医療DXの推進に関する工程表でございます。

この中に、母子保健に関して、乳幼児健診や妊婦健診情報等の共有について、2023年度中に、希望する自治体において事業を開始し、これらの取組を踏まえたシステム改善を行いながら、順次、参加する自治体や医療機関を拡大し、自治体システムの標準化の取組の状況を踏まえながら全国展開をしていくことが記載をされております。

また、同じく6月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきましても、同様の記載がされているところでございます。

7ページ目は、先ほど御紹介を差し上げました、医療DXの推進に関する工程表の全体像をお示ししたところでございます。

この中で、赤枠で囲ったところでございますけれども、母子保健情報に関しましても、令和5年度から先行実施をしまして、デジタル化について、今後、令和8年度以降に全国的に運用することが示されているところでございます。

こうした背景を踏まえまして、8ページ目、今年度、母子保健情報等の情報連携基盤(PMH)を活用した情報連携について、先行実施事業を進めているところでございます。

このPMHに関しまして、母子保健、予防接種、公費負担医療・地方単独の医療助成制度について、住民、医療機関、自治体間での必要な情報を連携するための情報連携基盤(PMH)、PublicとMedicalのHubという趣旨でございますけれども、これをデジタル庁が開発することとなっております。

今年度に開発されるPMHを活用しまして、母子保健領域では、乳幼児健診・妊婦健診を対象として、マイナンバーカードを活用した母子保健のデジタル化に関する事業を希望する自治体で先行実施することとなっております。

下のような情報連携のイメージを実現する形で、現在、準備を進めているところでございます。

これが進みますと、9ページ目にございますように、ユーザー目線では、健診前、健診時、健診後におきまして、例えば、問診票がスマートフォンで入力可能になったり、マイナンバーカード1枚で健診を受診可能になったり、健診結果がスマートフォンでいつでも確認可能になるなど、ユーザー目線でも大きなメリットがあると考えております。

ひいては、10ページにありますように、母子保健DXのイメージとしましては、このPMHという情報連携基盤を核に、自治体、医療機関または健診会場、国民がつながるようなことを想定しておりまして、紙を使わずとも健診に関する情報などの連携ができるような基盤の整備を行っているところでございます。

また、左側では「住民票所在地自治体」、右側には「転居・里帰り先等」と書いておりますけれども、PMHを活用することなどにより、自治体間、医療機関間といった地域を越えた情報連携なども、今後、実証を行っていければと考えております。

ただいま、里帰りについて言及いたしましたので、簡単に、里帰りについての現状などに関して、資料を御説明させていただければと思います。

11ページ目、平成29年度に行われた調査におきましては、n数が多くはない状況でございますけれども、全体のおよそ4分の1が自分の自治体を越えて里帰りをしていると推計ができるところでございます。

12ページ目、政府の対応としまして、今年の9月に里帰り出産をする妊産婦への支援について、事務連絡を発出したところでございます。

この中では、妊婦あるいは産婦の方々の里帰り出産の予定の有無、里帰り先の自治体医療機関についての把握、住民票所在地の市区町村と里帰り先の市区町村との連携、里帰り先の医療機関で支援が必要な妊産婦さんを把握した場合の医療機関や自治体等の情報連携について、こちらの依頼を行ったところでございます。

これにつきましては、必ずしもデジタルというわけではなくて、アナログなどで行われる場合が現状ではまだ多かろうと思っておりますが、こうしたすぐにできる対応を行いつつも、今後、デジタル化を進めていくことが重要だと考えております。

13ページ目でございます。

母子保健DXにおける現状・課題と対応の方向性の案を示しているところでございます。

現状・課題については、今までに御説明を差し上げたところでございますが、それに対応して、「対応の方向性」以下に、2つ、示しているところでございます。

令和5年度中に構築する情報連携基盤(PMH)及びマイナンバーカードを活用した母子保健の健診等に係る事務のデジタル化に向けた制度改正を行うこととしてはどうか、また、その際、里帰りの妊産婦等に係る自治体間の情報連携についても法律上の位置づけを明確化することとしてはどうかということをお示ししております。

14ページ目、母子健康手帳の電子的な交付についてでございます。

15ページ目を御覧ください。

母子健康手帳に関しましては、市町村が妊娠の届出をした者に対して交付するという、母子保健法に基づいた手帳でございます。

妊娠、出産及び育児に関する一貫した健康記録であるとともに、乳幼児の保護者に対する育児に関する指導書といった、様々な機能を持つものでございます。

16ページ目では、母子健康手帳に関する法令等で、関係する法律、施行規則、参考としまして、関係する局長通知の文言を引用しているところでございます。

全体としまして、この母子保健法の体系の中では紙の運用を前提とした記載がなされているところでございます。

例えば、この局長通知の中では、紙質などに関しての言及があるところでございます。

また、母子保健法の施行規則、省令に関しましては、17ページ目でございますけれども、紙の母子健康手帳を前提とした様式が定められているところを幾つか示したところでございます。

一方で、18ページ目にございますように、現在、様々なベンダーさんの中から、母子健康手帳アプリなどが開発されているところでございます。

19ページ目、自治体におきましても、この電子母子保健ツールが多く導入されている状況でございます。

令和4年度の母子保健課調べの速報値でございますけれども、全1,741の自治体中、52.7%の自治体にてこの導入が行われているところでございます。

20ページ目、令和3年度に行いました調査におきまして、自治体向けに、この電子母子保健ツールの機能や導入効果について、アンケートを行ったものでございます。

この中では、ほとんど電子母子保健ツールにおいて、母子手帳の内容を記録する機能、自治体から住民へのアプローチを可能とする機能は搭載されているところでございまして、この導入によりまして自治体業務の効率化・省力化や住民向けの新たなサービス提供が期待できるというデータが示されているところでございます。

21ページ目でございます。

課題と対応の方向性でございます。

課題につきましては、母子保健法に基づき市町村が交付する母子健康手帳については、現状、紙の手帳の交付及び記載を前提として、運用されているところでございます。

一方で、先ほど説明を差し上げましたとおり、現状、半数以上の自治体で電子母子保健ツールが導入されている状況でございます。

母子健康手帳の電子的な交付に当たっては、電子化された母子健康手帳が最低限持つべき機能、母と子の情報の連携や母親以外の保護者を含めた情報の共有・管理の在り方、電子化のされた母子健康手帳を原則とすることを目指すに当たっての紙の母子健康手帳からの移行などの課題について、今後、整理する必要があると考えております。

対応の方向性としましては、母子健康手帳の電子的な交付に当たって、現場などで混乱が生じないよう、法的な観点も含め、今後、課題とその対応を整理していくこととしてはどうかと記載しております。

資料の説明は、以上でございます。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございました。

それでは、委員の先生方から、御意見や御質問がありましたら、挙手をお願いします。

よろしいですか。

渡辺先生、どうぞ。

渡辺委員:日本医師会の渡辺です。

2点、あります。

総論は、賛成でございます。

私はこれで特に問題はないと思うのですけれども、まず、1つ、5ページの乳幼児期・学童期の健診・予防接種等の電子化及び標準化というところです。

御存じだと思うのですけれども、今、文科省は、特定健診の項目に合わせて学童期の健診の項目の入力方法を見直しているところです。

一貫したデータを管理するのであれば、乳幼児期のデータも、文科省と連携して、ぜひ項目を共通化した入力方法にしていただきたい。

もしくは、その表記をそうしていただきたいと思う。

そうしないと、途中で切れてしまいますので、一貫した管理にならないというところが気になる点であります。

もう一点は、6ページの母子保健のマイナンバーを利用した情報連携です。

PMHも若干関連するのですけれども、前から問題になっている母子健康手帳は誰がいつまで管理するのかもしくは所有権があるかというところが、議論をしますと言いつつ、まだ全然進んでないところが気になる点です。

つまり、母親のマイナンバーでこれを登録したのであれば、こどもの情報はいつから自分のものになるのか。

この時間と並行して、今、小児慢性特定疾患や難病の会議がありますけれども、データ利活用の同意書を取るというところも、小児慢性特定疾患の場合は保護者が同意を取るのですけれども、本人が成人になった場合、その保護者の同意は生きるのかどうかということに関しての議論をこれからすることになっています。

つまり、こどもの情報を母親が管理するというこれまでの母子手帳の概念から、マイナンバーカードは誰のマイナンバーカードの番号を使って、母子健康手帳もどのデータをいつまで誰が管理するのか。

誰が所有権を持つのか。

様々なそういうデータの管理の在り方は、例えば、母子手帳はここだ、小児慢性特定疾患の人はここまでだ、臓器提供の許容年齢は何歳だと、ばらばらにならないように、省庁間できちんと十分な連携を取って統一した見解を示していただきたいと思います。

PMHもやっていただいていいと思うのですけれども、誰のマイナンバーを使ってどのデータをどこまで活用するかというところもきちんとすみ分けをしておかないと、混乱するのではないかと思います。

ぜひ御検討いただきたいと思います。

以上です。

五十嵐分科会長:大変貴重な御指摘だったと思いますが、今、何かお答えできますか。

どうぞ。

吉川推進官:渡辺委員、どうもありがとうございます。

母子保健課の吉川でございます。

2点、御指摘をいただきました。

1つ目、文部科学省での議論との整合性に関しましては、文部科学省の学校保健に関する部署とも連携を取りまして、母子保健ではこうした動きがあるということも適宜情報共有し、先方の議論にも生かしていただいているところでございます。

また、担当者同士でも密に連携を取りまして、引き続き我々母子保健側と学校保健側で齟齬が生じないような連携を取っていければと考えております。

2つ目、こどもの情報と母親の管理、今回資料でお示ししております21ページ目のところでございますけれども、母子健康手帳の電子的な交付に当たって今後議論していくべき課題を幾つか例示しているところでございます。

この中では、母と子の情報の連携や母親以外の保護者を含めた情報の共有、管理の在り方についても、重要な課題だと考えております。

ただいま渡辺委員から御指摘をいただきました、従来ですと母子健康手帳という紙に記載されたものに関して誰がどのように共有して管理していくのか、こどもの情報はいつからどのようにこどもの管理下に移行していくのかといった課題も、この検討の中で整理をしていくべきだと考えております。

いただいた御指摘も踏まえながら、今後の検討に生かしていければと思っております。

五十嵐分科会長:よろしいでしょうか。

それでは、磯谷先生、どうぞお願いします。

磯谷委員:ありがとうございます。

実は今渡辺委員さんがおっしゃったところとほぼ重なっているので、簡潔に申し上げたいと思うのですけれども、特に父母が婚姻している場合は共同親権であるということが現在の法律で決まっております中で、父親のアクセス権もきちんと位置づける必要があるのだろうと思います。

これも重なりますけれども、先ほどのマイナンバーカードは誰のものかというところは私もすぐに疑問に思ったところです。

そこも含めて、しっかりと検討する必要がある。

一方で、DVといった問題がある場合に母子手帳の記載されているところをそのまま明らかにしますと、どこで受診しているのかが分かってしまうところもあります。

本当にこの辺りはきめ細かく議論する必要があるのだろうと思いました。

以上でございます。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

何か、リアクションはありますか。

よろしいですか。

それでは、中西委員、お願いします。

中西委員:たまひよの中西です。

2点、素朴な疑問です。

スマートフォンは、確かにすごく普及しているのですが、100%の妊婦さんが持ってるわけではないと思います。

持っていない場合は、どのように対応することになるのかということと、スマホを持っている場合も、すごく古いものをずっと使っている人だと、アプリを載せると起動が重くなるとか、そういう不具合もいろいろとあると思っています。

システムをつくるときに、そういったあまりデジタルスキルが高くない妊婦さん向けの発想というか、ケアも考えていただいたほうがいいのではないかと思いました。

もう一つ、母子健康手帳は、医療的に大事な面もあるのですが、「こどもが大きくなったらこの子に譲る、そのためにいろいろと書く」みたいな、心のつながりやお母さんがこどもへの愛着を持つ一助になる、そういう優しい心や絆をはぐくむことに役立っている面もあると思います。

そこら辺が電子化してなくなってしまうのは少し寂しいというか、そういったところを担う紙のツールみたいなものもお考えいただくか何かをしていただくといいと思いました。

以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

よろしいですか。

どうぞ。

吉川推進官:中西委員、御指摘をありがとうございます。

母子保健課の吉川です。

2つ、御指摘いただいたところ、まず、1つ目でございますけれども、スマートフォンなどのデジタルデバイスを保有していない方などへの対応という御指摘かと思います。

今のPMHを活用したものにつきましては、スマートフォンやマイナンバーカードを活用したデジタル化でございますけれども、御指摘いただきましたように、このマイナンバーカードやスマートフォンを保有しない方あるいはそうした機器に対しての扱いが不慣れな方への対応も、併せて検討していくことが必要だと思っております。

そうした観点からは、デジタルを推進していく中でも、そうした方々にどのように対応していくのか、例えば、一部紙での運用を残すなどの方法も考えられるところでございますけれども、今後、そうした形での運用を検討していくことが重要だと思っております。

一方で、母子保健のデジタル化を進めることによって、例えば、自治体の職員の方々が必要な業務により注力することができるようになって、母子保健全体のサービスの質の向上なども期待されるところでございますので、誰一人取り残されないデジタル社会の実現という政府全体の方針も踏まえながら、母子保健のデジタル化を進めていくことが重要だと考えております。

2点目、心のつながりは非常に重要な御指摘かと思います。

こうした点からも、電子的な母子手帳は最低限どういう機能を持つべきなのか、それ以外のツールとしてどういうものを残すべきなのか、そうした観点も含めて、今後の議論が必要なところだと改めて認識いたしました。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

山本委員、お願いします。

山本委員:ありがとうございます。

日本歯科医師会の山本です。

私も、懸念があるのです。

例えば、1歳6か月児や3歳児の健診は、電子母子保健のツールが自治体で導入されているということで、電子化することが可能だと思うのですが、現状、地域の歯科妊産婦の歯科健診みたいなものを自治体と一緒にやっている場合に、の診療所に委託をされて行っています。

そういった場合に、電子化された手帳にどうやってその内容を記載するかという問題が、1つ、あるかと思います。

もう一点は、先ほど吉川推進官は自治体の業務が減ると言われましたけれども、自治体の中で職員の方が紙のものを全部こういった電子ツールに変換しなければいけないという作業が多分あると思うのです。

そうすると、逆に自治体の負担が増えてしまうのではないかという懸念がありますけれども、いかがでしょうか。

よろしくお願いします。

五十嵐分科会長:どうぞお願いします。

吉川推進官:山本委員、御指摘をどうもありがとうございます。

まず、1つ目でございますけれども、今回御提案させていただいておりますものは、自治体と医療機関間で行われる健診などの情報に関してこのプラットフォームを活用して情報共有をする枠組みについてでございます。

御指摘いただいたものに関しては、自治体が絡まないものに関してどのように情報共有をしていくかという観点なのではないかと理解いたしました。

そうしたものに関しましては、例えば、医療機関での電子カルテなどをどのように共有していくのかということについて、今、厚労省の中でも電子カルテの共有についての議論が進んでいるところだと思いますので、そうした議論を踏まえて、今後、対応を検討していく形になるのではないかと考えております。

2点目でございます。

自治体での業務の軽減があるかどうかという御指摘かと思いますけれども、現状ではデジタルを行うことによって逆に自治体の方の業務が増える場合もあるという御指摘があることは認識しております。

ただ、今回PMHの枠組みで検討しておりますものは、医療機関での情報入力の時点からデジタルを行うものでございまして、医療機関から自治体に紙が送付されるという現状を何とか打破しようと考えてのこのPMHのスキームでございます。

そうした枠組みを進めることによって、自治体の方々も、もちろん医療機関の方々にとっても、より効率的な情報の共有などができるような仕組みを、今後、つくっていきたいと考えております。

以上でございます。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

どうぞ。

山本委員:1つだけ、よろしいでしょうか。

今の点は非常によく分かったのですが、例えば、電子カルテの問題にしても、歯科の場合は電子カルテがまだ存在しないという状況でございますので、ぜひその辺もこの中で御検討いただければと思います。

以上です。

ありがとうございました。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

木村委員、お願いします。

木村委員:ありがとうございます。

2点、ございます。

1点目は、資料の10ページ目のポンチ絵でございます。

このようなポンチ絵は、先ほどの渡辺委員をはじめ、皆様方の御意見と同じだろうと思うのですけれども、どうしてもこのデジタル庁作成の政府のところが中心に来るわけですね。

この問題でいつも議論になってしまいますことは、この情報の持ち主は誰かということ。

先ほど来もお話がありましたが、もちろん母子手帳の情報は自治体とかが全部共有すべきであるということは分かっているのですが、その部分を切り分けてでも、こういうポンチ絵は、なるべく、国民、使う人が真ん中にくるようなポンチ絵にされたほうが、皆さんの受けがいいのではないか。

これは単純に受けの問題かもしれませんけれども、コンセプトとして、情報を持っている方は御本人であるということをうまく見せられないか。

そういう感じにしながら必要な情報を取っていくという形にできないかなと感じた次第でございます。

入力の問題です。

民間のアプリとかを使うのはいいのですけれども、電子カルテに連動されないと、例えば、現実的には、医師が入れることは多分無理です。

そうしますと、誰が入れるのか。

妊婦さん御自身が入れるのであれば、様々な間違いやニュアンスの違いが出てきます。

電子カルテの必要なところをトランスファーできないところもあると思うのですけれども、どの情報をどのように御本人のスマホなりなんなりに移していくのかという制度づくりが必要かと思っております。

もう一つ、非常に印象深かったものは、里帰りに関してでございます。

11ページで、里帰りは随分多いのだなと改めて感じたところでございますが、里帰りについても、これこそ情報の電子化が非常に大事で、御本人がこの情報を持って里帰り先に行かれることはすごく大事だと思います。

将来的には分娩する場所がどんどん減ってまいりますので、最終的には、全員が里帰り、すなわち、診療所あるいは小さい施設での健診と大きい施設での分娩という時代が来るかもしれません。

海外は既にそうなっております。

そのような文脈からも、このような里帰りの際に、健診施設と分娩施設が違った場合、産後ケアも一緒ですが、そこの3つの施設が違った場合に、どのようにきちんとした情報提供をするかということをぜひこれからまた御検討いただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

御指摘をどうもありがとうございました。

それでは、相良委員、お願いします。

相良委員:ありがとうございます。

PMHの活用に関しましては、私の理解では、現在のところ、受診券の内容を共有するというレベルかなと理解しております。

これは非常にいいことだと思いますし、今は2か月とかのタイムラグをもって自治体に行っているということであれば、できるだけこういった形でスムーズに情報共有ができることは大事だと思います。

里帰りとの連携につきましても、今までこういった情報がきちんと提供できる形での体制ができていなかったことにむしろ驚いたぐらいで、これを法制化していただくことも望ましいことではないかと思います。

ただ、母子手帳に関しましては、いろいろと問題がありそうだと思います。

今先生方にそれぞれ御指摘いただいたような内容ですけれども、先ほど既に使われているアプリを幾つか御紹介いただきましたが、今後、母子手帳が電子化されるということになると、恐らくこういったものがどんどんできてくるのではないかと思うのです。

これを乱立させていいのかどうか、どうやってこれを統一させていくのかといったことも難しい問題だと思いますし、先ほど中西さんがおっしゃったように、親子で紙の手帳を共有することも非常にいいことですし、今の紙の形は割合と便利な形ではないかと思います。

今後、この母子手帳のアプリをどうするかということは、検討を始めるという段階だと思いますけれども、本当にこれを電子化することがいいのかどうかということも含めて、十分に検討していただきたいと思います。

以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

何か、ありますか。

どうぞ。

お願いします。

吉川推進官:相良委員、御指摘をありがとうございます。

母子保健課の吉川でございます。

最後に御指摘いただいた母子手帳の電子化に関して、コメントをさせていただければと思います。

御指摘いただきましたように、今後の母子手帳の電子化をしていくという流れについて、様々な課題・懸念があることは承知しております。

その一方で、今、政府全体としても、国民の若い世代の方々の中でも、デジタルが非常に浸透してきている中で、この母子手帳の電子化・デジタル化は、今後、一定の方向性で進んでいくのではないかと考えております。

そうした中で、この母子手帳というものに関して、どういうものが要件として認められるのか、あるいは、どういうものを求めていくのか、そうしたことをしっかりと考え方として示していくことが重要だと考えております。

例えば、今までに国が母子手帳アプリを開発するのか、という御指摘をいただいたこともありますけれども、こうしたものに関しては民間での競争領域部分に該当するものと思いますので、現在までに多くのベンダーさんの中で母子手帳アプリが開発されてきているという現状を踏まえますと、国がアプリを開発して一つに統一するような話はなかなか難しいのではないかと思っております。

そうした中で、今後、有識者の方々の御意見も伺いながら、どういう形であれば皆様が安心して効果的に使っていただけるような電子的な母子手帳になり得るのかということをしっかりと議論していくことが重要だと考え、今回、このような論点を出させていただいたところでございます。

以上でございます。

五十嵐分科会長:続きまして、橋本委員、お願いします。

橋本委員:ありがとうございます。

KidsPublicの橋本です。

質問としては、今後の拡張性というところが、まずは1つあるのです。

様々な地域で、うちの地域は産後ケア施設を使いやすくする予約システムを入れようとか、オンライン相談をやってみようとか、いろいろな民間事業者がこの母子保健領域で活躍する時代も来ると思いますし、そういういろいろな事業者が切磋琢磨してより国民にとって使いやすいサービスが生まれていくことも自然な流れだと思うのです。

そういった民間事業者へのPMHの拡張性、こういったデータが取れて、それをPMHに載せていくということを、将来的にも考えていらっしゃるのか。

例えば、オンライン相談ですと、本当にめちゃくちゃ不安が高まってくると、オンライン相談の頻度がすごく上がってきて、だんだん黄色信号から赤信号になって、「死にたいです」みたいなせりふが入ってくる。

これは自治体と共有すべきで、僕たちは電話で共有しているのですけれども、こういうシステムがあって、シームレスに自治体でも閲覧できるようになると、ハイリスクの家庭を早く見つけられるというすごく有用な情報になると思っているのです。

PMHも将来的には拡張性を持って、このように民間事業者で取れた母子保健に生かせるようなデジタルデータの情報共有の仕組みも構築していく予定なのかというところが、まずは1点。

自治体側がこのように閲覧できるようになっていますけれども、自治体が使っている様々なシステムが既にあると思うのです。

大体オンプレでサーバーが置かれていて、本当に閉じられた空間で、そこだけで使っているみたいな情報がたくさんあると思うのですけれども、それとクラウド上のPMHの互換性という点です。

1対1で人が突合できないと、絶対にミスマッチが起きて、データが訳の分からないことになってしまうことも予想がつくので、その辺りの既存の自治体システムとの連携の方向性も教えていただきたいと思いました。

お願いします。

五十嵐分科会長:いかがですか。

お答えできますか。

どうぞ。

吉川推進官:橋本委員、御指摘をどうもありがとうございます。

2つ、御質問をいただいたかと思います。

1つ目がPMHと民間との関係性に関して、2つ目に関しては自治体システムとPMHとの連携についてと理解いたしました。

1つ目、PMHとの連携、APIなどを活用して民間のベンダーに開発いただいたアプリがこのPMHに連携していくという話に関しましては、今後、しっかりと検討していければと思っております。

住民の方々などが活用しているアプリをしっかりと活用できるようにすることが今後のPMHを活用した情報連携には必須だと思っておりますので、そうした民間の方々に開発していただいたものも連携ができるような仕組みづくりが必要なのではないかと思っております。

データの連携なども含めて具体的にどこまでしていくのかというところに関しては、現状、まだ十分に検討が進んでないところもございますので、いただいた御意見を参考にしながら、今後、検討を進めていければと思っております。

2つ目でございます。

自治体システムとの連携でございますけれども、PMHは、先ほど来御説明を差し上げているように、今年度、新たに開発するものでございます。

そういった意味では、自治体のシステムと一定の整合性は取っているものの、自治体とPMHが接続することまでは、既存のシステムの中では対応が難しい部分もあろうかと思っております。

今年度に関しては、先行実施に御参加いただく自治体で自治体システムを改修していただいてPMHとの接続を可能とする形で進めているところでございますので、今後、ほかの自治体におきましてもPMHと接続できるような仕組みづくりあるいはそれに向けての推進が重要だと認識しております。

以上でございます。

五十嵐分科会長:よろしいでしょうか。

橋本委員:ありがとうございました。

五十嵐分科会長:そのほかに挙手をされている方はいらっしゃいますか。

申し訳ありません。

画面で見えないので、お願いいたします。

柏原委員:柏原です。

ありがとうございます。

3点、ございます。

1点目は、冒頭に渡辺委員がおっしゃっていたように、学齢期を含めてその子の成育・成長が一貫して分かるようなシステムは構築すべきだろうと思います。

学校では、電子システム化に移行はしていますけれども、紙で記録を残しているところがあるため、、文科省と連携しながら、システム構築に向けて、学校と連携がとれるスタイルを取っていく必要があることが、1点目です。

2点目につきましては、今は保健・医療というところを軸に考えられているのですけれども、これに教育が加わり、例えば、特別な支援が必要なこどもたちについては、福祉や就労が関連します。

そういったところも視野に入れてその子の成長あるいはキャリアも視野に入れていらっしゃるかどうかということを伺いたいことが、2点目です。

3点目は、基礎自治体の個人情報保護条例が不利益になっていることがありますので、21ページにありますように、それも含めた法整備をお願いできればと思います。

私からは、以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございました。

1番目の質問は、答えられますか。

吉川推進官:母子保健課の吉川でございます。

どうもありがとうございます。

今回お示ししたものに関しましては、母子保健でのデジタル化という観点でお示ししたところでございます。

ただ、政府全体の方針として、デジタル化を進めていくこと、こども政策に関しましても、特にニーズが高い分野から優先的にDXを進めていくこと、そうした観点で、今、こども家庭庁をはじめ、関係省庁と連携しながら議論を進めているところでございます。

まずは、ニーズが特に高く、デジタルと親和性が高いというところで、母子保健のデジタル化について御議論いただいているところでございますけれども、ほかの分野に関しましても、しっかりと情報共有や連携をしながら、デジタル化の議論を進めていければと考えております。

以上でございます。

五十嵐分科会長:ありがとうございました。

そのほかは、よろしいでしょうか。

続きまして、「新生児マススクリーニングについて」、事務局から、説明をお願いいたします。

吉川推進官:事務局でございます。

資料1-4「新生児マススクリーニングについて」でございます。

2ページ目にございますように、まず、新生児マススクリーニングについて、概要の御説明を差し上げた後、新生児スクリーニングの対象疾患拡充の考え方について、御説明させていただければと思います。

3ページ目でございます。

成育医療等協議会だった時代に取りまとめあるいは閣議決定をしていただきました、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針、成育医療等基本方針における関連する記載を引用しているところでございます。

この中では、新生児へのスクリーニング検査の実施により先天性代謝異常等を早期に発見しその後の治療や生活指導等につなげるなど先天性代謝異常等の対応を推進するという、政府全体の方針として、記載されているところでございます。

4ページ目でございます。

新生児マススクリーニングについて、概要を御説明させていただければと思います。

本事業、マススクリーニング検査の目的でございますけれども、先天性の代謝異常その他先天性の疾患に関して、放置をすると知的障害の症状を来すため、新生児について、血液によるマススクリーニング検査を行い、異常を早期に発見し、その後の治療・生活指導等につなげることにより、生涯にわたって知的障害の発生を予防することを目的とした事業でございます。

実施主体としては、都道府県及び指定都市でございます。

各都道府県または指定都市の地方衛生研究所等の機関または検査を適切に実施できる機関に委託して、この検査が実施されているところでございます。

全ての新生児を対象としているところでございまして、昭和52年に、国庫補助事業として開始いたしまして、平成13年度に、検査費用を一般財源化しているところでございます。

その後、検査方法や検査対象の疾患などを拡充して、今日に至るところでございます。

5ページ目、新生児マススクリーニングの実施状況でございます。

こちらの検査に関しましては、全ての自治体にて実施され、高い受検率となっているところでございます。

平成26年度から令和3年の受検率を赤枠で囲っているところでございますが、複数回、再検査などを行っている方もいる都合上、100%を超えているところでございますが、高い受検率であることが見てとれるかと思います。

6ページ目でございます。

このマススクリーニング検査でございますけれども、法的な位置づけがある状況ではございません。

現状は、こちらのような通知に基づいて都道府県または指定都市に実施していただいているところでございます。

目的、実施主体については、先ほど御説明したところでございます。

現在、20疾患を対象に行っているところでございます。

また、6.検査の実施や7.精度管理の実施などについても、適正な実施のために、この通知の中で示しているところでございます。

7ページ目でございます。

新生児マススクリーニングの対象疾患拡充の考え方について、説明を差し上げます。

8ページ目、平成29年に19疾患から20疾患に対象疾患を増やしたときの考え方について、お示ししたところでございます。

こちらにおきましては、平成29年7月に、母子保健課長通知をお示ししております。

厚生労働科学研究の研究成果を踏まえると、新生児マススクリーニング検査の対象疾患にCPT2欠損症を追加することが適当であるということが示されておりまして、これまで、新生児マススクリーニングの対象疾患の拡充に当たっては、研究班や関係学会の科学的知見等を参考に、検査技術や治療法の進展等を踏まえつつ、個別に検討や対応を行ってきたところでございます。

9ページ目でございます。

先ほどは個別に対応という御説明を差し上げましたけれども、一方で、この新生児マススクリーニングの対象疾患に関しては、よりシステマチックに明確な基準などを設けるべきではないかと、従来、御指摘していただいていたところでございます。

令和2年度から令和4年度にかけまして、AMED研究におきまして、この基準の案を研究班にて作成いただいたところでございます。

この中では、新生児マススクリーニングの対象拡充の候補疾患を選定・評価するための項目と配点を、こちらにお示しいただいたような形で、研究班から、御提言いただいているところでございます。

10ページ目でございます。

こうした背景も踏まえまして、今般閣議決定いたしました令和5年度の補正予算案におきまして、新生児マススクリーニング検査に関する実証事業の予算案を計上しているところでございます。

この中では、これまでの20疾患に追加しまして、重症複合免疫不全症、いわゆるSCIDと、脊髄性筋萎縮症、SMAの2疾患を対象とするマススクリーニング検査を実施し、国の調査研究と連携・協力を行うことで、マススクリーニング検査の対象疾患の拡充に向けた検討に資するデータを収集し、その結果を踏まえ、全国展開を目指すということを示しているところでございます。

11ページ目でございます。

こうした新生児マススクリーニングにおける背景を踏まえて、現状・課題、対応の方向性を整理したところでございます。

繰り返しになる部分もございますが、文章を読ませていただきます。

新生児マススクリーニングは、昭和52年から都道府県・指定都市への国庫補助事業として開始され、平成13年から一般財源化されているところでございます。

母子保健課長通知に基づき実施され、成育医療等基本方針などにもその推進が位置づけられているところでございますが、検査の実施や精度管理等についての法的な実施根拠が存在せず、都道府県・指定都市の予算事業として実施されているところでございます。

また、新生児マススクリーニングの対象疾患は、当初は5疾患でございましたが、検査技術や治療法の進展等を踏まえて拡充し、平成29年からは20疾患を対象として、通知で示しているところでございます。

これまでは研究班や関係学会の科学的知見等を参考に対象疾患の追加を個別に検討してきたところでございますが、追加に係る基準が明確でなく医学の進歩に即した対応が不十分といった御指摘があったところでございます。

こうした指摘等を踏まえまして、令和2年度から令和4年度のAMED研究班におきまして対象疾患を選定する基準等に関する研究を実施し、こちらは「補正予算案」でございますが、新生児マススクリーニング検査に関する実証事業を令和5年度補正予算案で要求するなど、対象疾患追加に係る取組を進めているところでございます。

対応の方向性としましては、これまでは通知に基づいて実施していただいているこの新生児マススクリーニングに関しまして、対象疾患や検査の実施方法を含め、母子保健法令上、位置づけることとしてはどうかということをお示ししたところでございます。

以上でございます。

五十嵐分科会長:御説明をどうもありがとうございました。

それでは、委員の先生方、何か、御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。

山本委員、挙手されていますね。

お願いします。

山本委員:歯科医師会の山本です。

1つ、先生方に教えていただきたいことがあります。

各自治体の1歳半や3歳児の健診のときに、低アルカリホスファターゼ血症を見つけてほしいという要請がよくあります。

乳歯が早期脱落するということで、そういった問合せをいただいております。

歯科医師会の中でも都道府県の先生方から時々そういった声が上がるので、それをこういったところで検査できないのか、その辺について教えていただければと思いまして、質問しました。

よろしくお願いします。

五十嵐分科会長:これは、どなたに御返事いただいたらいいですかね。

木庭課長:何という疾患でしたか。

五十嵐分科会長:低アルカリホスファターゼ血症。

木庭課長:それは、先天性の代謝異常ですか。

山本委員:難病指定だと聞いています。

五十嵐分科会長:どうぞ。

吉川推進官:ありがとうございます。

母子保健課の吉川でございます。

こちらの疾患に関して、今、私どもは十分に情報を持っていないところでございますけれども、少なくとも新生児マススクリーニングの対象にするかどうかという研究班の議論の中には含まれていなかったと認識しております。

五十嵐分科会長:よろしいですか。

山本委員:分かりました。

その辺は私どもも分からないので、ぜひ教えていただければありがたいと思いました。

以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

手を挙げていますね。

家保先生、どうぞ。

家保委員:ありがとうございます。

実施主体の都道府県の立場から、お話しさせていただきたいと思います。

新生児マススクリーニングについては、現状、都道府県の過剰負担はないですが、将来的には予算によっていろいろと変わってまいりますことから、法定としていただいて、国で2分の1、都道府県・指定都市で2分の1ということをきちんと明記していただくことは、方向としては、いいと思います。

ただ、対象疾患がどの程度増えてくるのかということが非常に問題になってまいりますので、選択に当たっての基準については、研究班等、専門家の方々で、感度、特異度、陽性的中率、治療法等、いろいろなことを踏まえて、御検討いただく場面をつくった上で、難病の分科会のように、きちんと審議会なりで地方の意見や医学界の意見等を聞いていただいて決めるような枠組みを、法制化に併せて、検討いただければありがたいと考えております。

以上です。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございます。

どういう疾患を難病あるいは小児慢性特定疾病として認めるかについては、既に委員会がありまして、定期的に関連学会等から要望をいただいてしっかりと検討しているという状況です。

歯科の先生方から先ほどのような要望があるようでしたら、そういう委員会に申請していただくことは一つの手だと思います。

申請があれば、しっかりと調査・評価が行われると思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

どうぞ。

吉川推進官:母子保健課の吉川です。

今の家保委員からの御発言を踏まえまして、1点、補足させていただきます。

新生児マススクリーニングに関しましては、先ほど資料で説明を差し上げたように、平成13年度以降、検査費用は一般財源化されているところでございます。

家保委員:すみません。

間違えました。

吉川推進官:これを受けまして、今行っていただいている20疾患に関しましてもこの地方交付税に基づいて実施していただいているところでございますので、現状、法定化に伴ってこの枠組みが変わることは想定していないところでございます。

いずれにしましても、今後、対象疾患拡充などの議論を進めていく場合におきまして、関係者の御意見も伺いながら適切に対応を行っていくことが重要だと、改めて認識いたしたところでございます。

以上でございます。

家保委員:ありがとうございました。

財源については、一般財源化していましたことを失念しておりまして、誠に申し訳ございません。

ただ、実施主体としては、対象疾患を増やすときは、医学的な観点だけではなく、行政的な観点も含めて、きちんと地方の意見を聞いていただきたい、審議会等でもんでいただきたいという趣旨で、お話しさせていただきました。

以上です。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございました。

大変貴重な御指摘だと思います。

そのほかは、いかがでしょうか。

伊藤先生、どうぞ。

伊藤委員:伊藤でございます。

今、マススクリーニング協議会というものが都道府県にあるようですけれども、きちんと組織されていない自治体もあるようです。

また、これによって見つけられたお子さんたちが、その後、どういう治療をして、どこで診られているかという登録制度等もあまりないようなことを聞いています。

アメリカ等は50疾患ぐらいのマススクリーニングが行われているようで、これから日本も増えてくると思いますので、そこら辺をきちんと法律的に組織化してフォローできたらいいと考えております。

以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

ほかは、よろしいですか。

これまでの議論全体を通して、何か御質問や追加の御発言はございますか。

特にないようですね。

本日は、事務局から母子保健に係る制度改正について御説明いただきましたけれども、委員の先生方、大変貴重な御意見をどうもありがとうございました。

資料で示されました対応の方向性については、特に大きな反対の意見はなかったと思いますので、本日の御意見を踏まえまして、母子保健に係る制度改正について、事務局でこれを骨子に進めていくことについて、皆さん、御了解いただけますでしょうか。

よろしいですか。

(首肯する委員あり)

五十嵐分科会長:特に反対はないですね。

それでは、事務局は、本日の委員の御意見を踏まえまして、母子保健に係る制度改正について、進めていただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

活発な御議論をどうもありがとうございました。

それでは、議題2に移りたいと思います。

「乳幼児健診について」、事務局から、説明をお願いいたします。

木庭課長:事務局でございます。

それでは、資料2に基づきまして、次の議題、「乳幼児健診について」を御説明させていただきたいと思います。

これは、現在国会で審議中であります補正予算案にあります、1か月児と5歳児に対する健康診査についての内容でございます。

メインは次の永光先生から御発表いただく内容になりますが、その背景について、簡単に御説明させていただきたいと思います。

資料2ページでございます。

委員の先生方は既に御承知と思いますけれども、乳幼児健診の体系について、簡単に御説明させていただきます。

まず、母子保健法上で市町村に実施義務が課せられておりますものが、2つ、1歳6か月児健診と3歳児健診です。

任意として実施していただいておりますものが幾つかございますけれども、そのうち、3~6か月児健診、9~11か月児健診については、地方交付税措置がなされておりまして、その実施率も、3~6か月児については99%、9~11か月についても8割を超えており、非常に高い実施率が得られております。

一方で、1か月児、5歳児、その他の健診については、地方交付税措置がなされていない状況でございます。

3ページです。

市町村に実施の義務が課せられております1歳6か月児と3歳児の健診につきましては、省令においてその健診項目も定められておりまして、実施率は、下のほうの赤字でございますけれども、いずれも95%前後と高い実施率が得られているところでございます。

4ページ、様々な時期に実施される乳幼児健診の実施状況をまとめた表でございますけれども、先ほど申し上げましたように、地方交付税措置がなされております3~5か月児健診と9~12か月児健診以外については、市町村によって実施状況は様々で、実施率も、1~2か月児健診においては3割強、一番下のところ、4~6歳児健診においては15%程度という状況でございます。

5ページ、そのような中で、今年の6月に閣議決定されましたこども未来戦略方針の中で、乳幼児健診等を推進することが盛り込まれております。

乳幼児健診をどのように推進したらいいかということを、厚労科研・こども家庭科学研究の研究班で研究をしていただきました中で、より優先度が高いものとして、1か月児、5歳児に対する健診があろうということになりました。

次の6ページをおめくりください。

こうしたことを背景に、今般、先ほど申し上げましたように、1か月児及び5歳児の健康診査支援事業を補正予算事業として計上させていただいたところでございます。

1か月児健診については、先天性の疾患等の器質性疾患のスクリーニングと併せて、虐待あるいは保護者の方のメンタルの状態のチェックなども兼ねて実施する必要性が非常に高いこと、5歳児健診につきましては、主には、小学校生活という集団生活に入る前の時期に、発達障害等のスクリーニングを目的として実施する事業を、今般、補正予算案の中に盛り込ませていただいている状況でございます。

また、特に5歳児健診につきましては、発達障害の疑いがあるという判断をされたお子さんに対しては、集団生活、小学校に入るまでの間に、集団生活に適応できるようになるためのフォローアップが必要でございます。

おめくりいただきまして、こういったことで、5歳児健診の後のフォローアップ体制のイメージを示させていただいていますけれども、保健、医療、福祉、教育、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たしながら、地域のリソースを活用して、発達障害の疑いがあると判断されたお子さんをその後の集団生活に円滑につなげるための支援をしていくことが必要であると考えているところです。

こうしたところを踏まえて、こども家庭科学研究の中で1か月児健診と5歳児健診の在り方について御検討いただきましたものを、次に、永光参考人から、御発表いただける予定でございます。

以上です。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございます。

続きまして、永光参考人から、これからお話しいただきたいと思います。

永光先生には、こども家庭科学研究で3つの研究班が走っているわけですけれども、その代表として、本日はお話しいただきたいと思います。

永光先生、よろしいでしょうか。

どうぞよろしくお願いします。

永光参考人:よろしくお願いします。

永光です。

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このたび、乳幼児健診の拡充に向けた提言を、こども家庭科学研究に属する永光班・山縣班・梅澤班の3つの研究班の合同で作成させていただきました。

まず、背景ですけれども、令和5年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針において、乳幼児健診を推進すると述べられています。

さらに、令和5年3月に閣議決定された成育基本法の基本的な方針において、健診の頻度や評価項目に関する課題抽出、ガイドライン作成等を検討するとされています。

さらに、母子保健のデジタル化の下、母子保健情報の利活用が進められてきています。

以上を踏まえて、「乳幼児健診の拡充に向けた提言~こども政策デジタルトランスフォーメーション推進も踏まえて~」を取りまとめさせていただきました。

課題として抽出されたことは、乳児期早期における健診体制が十分ではなく、3歳児健診以降の支援体制が十分ではありません。

切れ目ない母子保健と医療・福祉・教育との連携が求められています。

提言ですけれども、乳幼児健診の拡充においては、点としての健診ではなく、切れ目のない支援を提供するために、出生早期の身体疾患のスクリーニングや養育者の不安に対する助言を主目的とした1か月児健診と発達障害のスクリーニングを主目的とした5歳児健診を、特に優先して標準化し、充実していくべきと提言をいたしました。

標準化に当たり、健診の方法、内容、事後指導について、解説いたします。

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1か月児健診の概要ですけれども、背景としては、1か月児健診は、現在、多くの医療機関で既に実施されていますけれども、先天性疾患が顕在化する時期であり、また、育児相談を含む子育ての不安は、この時期、生後0~2か月が最も多く、乳幼児期早期の健診が養育者に対する相談支援のきっかけとなり、伴走型相談支援と連携していくことが期待されます。

目的ですけれども、赤ちゃんの身体疾患のチェック、その子の健康を決定する社会的要因の評価、さらに、育児相談の支援が必要でございます。

方法ですけれども、健診の種類は医療機関に委託して行う個別健診で、時期としては、その下、生後27日を超え、生後6週に達していない乳児と考えております。

留意事項は、先ほども説明がございましたけれども、様々な社会的要因、未受診、虐待の可能性が疑われたら、こども家庭センターと連携を行っていくことであります。

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これは、1か月児健診の問診票の案を提示しております。

時間の関係上、詳細は割愛させていただきますけれども、関係団体・学会・機関には見ていただき、その意見を反映させております。

1か月児健診の問診票では、左、器質的疾患の確認、発達の確認。

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親や子育ての環境を確認する項目を多数設けています。

支援者がいるか、あるいは、事故予防、保護者自身の健康面などをチェックする項目を設けております。

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1か月児健診の健診票の案を示します。

健診票の上の3分の2では、赤ちゃんの身体疾患を小まめにチェックし、下の3分の1の部分については、保健師さんが育児状況などを確認し、記載する内容でございます。

次のページをお願いします。

次に、5歳児健診の概要を示します。

まず、背景として、この4~5歳の時期は自閉やADHD等の発達障害が認知される時期ですけれども、これが就学時健診のときに指摘された場合は、それからの事後対応の時間が十分ではなく、就学後に保護者もこどもも困るということが多々あります。

また、3歳児においては、就園をしておらず、社会性の問題に気づかれにくいこともございます。

3つ目の丸ですけれども、さらに、学童期・思春期の健康増進に向けて、運動、睡眠、メディア、食習慣といった保健指導を就学前に行うことも重要でございます。

目的は、繰り返しになりますけれども、主に発達障害のスクリーニングを実施し、同じく健康を決定する社会的要因の評価も必要と思っております。

方法ですけれども、原則、集団健診です。

その下ですけれども、対象者の年齢は、幼稚園・保育園でいうならば年中に相当する年齢が望ましいと思っております。

留意事項ですけれども、先ほども御説明がありましたように、健診を実施した後の保護者に対する相談支援、専門相談体制の整備が必要と思われます。

地域のリソースを踏まえつつ、自治体の福祉サービス、医療等につなげること、さらには、多職種でカンファレンス等を行い、児童発達支援センターや、かかりつけ医、専門医療機関等への紹介を行っていくことです。

また、健康を決定する社会的要因でリスクが認められた場合の対応や虐待の可能性が疑われた場合の対応も必要となります。

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5歳児健診の問診票を提示します。

体や運動発達、理解面の発達以外に、左側の大きなところですけれども、情緒や行動のことも尋ねる。

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生活習慣や、メディア、事故予防、家族の子育て状況についても、尋ねていきます。

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5歳児健診の健診票を提示します。

ざっくりと言いますと、左上4分の1が身体診察に関すること、右上4分の1が情緒・行動や生活習慣のこと、下3分の1が生活環境や養育環境のことになります。

次に、最後のスライドをお願いいたします。

研究班で検討した1か月児健診、5歳児健診の内容について、母子保健課を通して、関係団体に意見照会を実施いたしました。

いただいた意見を踏まえて、健診内容を精査しております。

本日の会議での御意見を踏まえて、年内に、研究班として、問診票・健診票を完成予定でございます。

併せて、5歳児健診については、現在、診療用のマニュアル及び自治体の実施マニュアルを作成中であり、年明け早々に完成予定でございます。

以上でございます。

五十嵐分科会長:どうもありがとうございました。

小枝先生、お入りになっていらっしゃいますか。

何か追加で御発言ございますか。

小枝参考人:小枝です。

入っております。

特段はございません。

我々が今目指しているところをお示しいただいたと思っています。

永光先生の研究班に加えていただいて、その下で、今、5歳児健診のマニュアルをつくっているところでございます。

以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

山縣先生は、おいでになりますか。

お願いします。

山縣委員:山縣です。

ありがとうございます。

私は、特にはないのですが、これをやることによって、最初の少し抜けていた部分、1か月が入ることの重要性と、就学前に地域の中でしっかりと押さえておくという点では、PersonalHealthRecordやいわゆる切れ目のない支援という点でも、重要な健診になると期待しております。

以上です。

五十嵐分科会長:補足をどうもありがとうございました。

それでは、委員の先生方、何か御意見や御質問がありましたら、挙手をお願いします。

渡辺先生、お願いします。

渡辺委員:日本医師会の渡辺です。

永光先生、いつもお世話になります。

このたびの永光先生のこの御提案は、非常に喜ばしいことだと思っておりますし、ぜひ進めていただきたいと思うのですけれども、気になる点が、2点、ございます。

1点は、先生もお示しになられたように、受皿の問題でございます。

そもそも今の時点でも、こういう発達障害に関する受皿が足りなくて何か月も専門医の受診を待っているという状況がございます。

療育相談も何か月も待っているという状況の中で、グレーゾーンがいっぱい出てくるという今回の試みに関して、7ページに、「小児神経科医、児童精神科医、子どもの心専門医等」と書いてあるのですけれども、どこに行っていいか、現場もつかめていないところがあります。

児童精神科医は僕らも理解しやすいのですけれども、例えば、小児神経科医はどなたでも発達障害を診ていただけるのかどうか、専門医か、それとも学会に属しているだけでよろしいのかとか、あの辺をできればアカデミアでうまくまとめていただけないかと。

例えば、どこの学会とどこの学会とどこの学会に属して専門医の資格を持っておられる方はそういう受皿になり得るのだということを、地方にぜひ御提示いただきたいと思うのです。

そうしないと、地方はどこに行っていいか分からないと非常に困っているところが多いので、ぜひその辺りの指針を示していただきたいと思います。

もう一点は、先生への質問というか、今回の改訂された問診票、調査票というか、診査票でよく分かったのですけれども、就学時健診と異なって、発達障害に特化されているということだと思います。

ただ、それを現場が理解していないと、就学時健診で同じようなことをする場合も当然あり得ますので、ぜひこれは文科省と連携を取っていただいて、非常に近いところに健診が2つとなってしまいますから、情報の連携の仕方も含めて、5歳児健診の確固たる体制をつくっていただくこともいいのですけれども、それをどう展開するかというところまで、ぜひ班会議で御議論いただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

永光参考人:どこに行ったらいいか、受皿はかなり地域によって格差があるという現状でございました。

これに関しても、こどもたち、親子が迷わないように、どんな連携ができているのかを聞いて、そういうマップみたいなものをつくることができればと思っております。

また、文科省との連携については、こども家庭庁さんも含めて、連携を進めていきたいと思います。

御質問をありがとうございました。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

吉川委員、お願いします。

吉川委員:吉川慎之介記念基金の吉川です。

お世話になっております。

先日は、事前説明をありがとうございました。

私からは、2点ほど、この件について意見を述べさせていただきたいと思います。

これは本当に実現してほしいと思います。

問診票は保護者さんが記入する形になっていると思うのですが、義務化されている健診でもそうなのですけれども、保護者さんたちの理解、この健診は何のためにするのだろうかという理解が、きちんと統一で図られているかというと、私は理解がきちんとされていないのではないかと感じる部分がございます。

何か欠点を探されてしまうのではないかとか、そういったネガティブな理解や解釈をしていて、本当は「はい」なのだけれども「いいえ」に丸をしてしまうとか、この健診は何のためにやるのだろうというところの理解を、保護者さんたち自身がされていなくて、毎日の育児に追われる中で、健診もただこなしているようなものになってしまっている可能性があるのではないかと感じています。

この1か月半と5歳は本当に実施してほしいと思うのですけれども、保護者さんたち自身が、こどもたちのため、自分たちのこれからの育児、こどもと向き合うためのものなんだというところの理解について、問診票に記入するときに、一言でもいいので、これはこういうためのものですよとか、一緒に子育てを頑張りましょうではないですけれども、保護者さんたちがこどもの日常生活と向き合えるような、大切な目的が伝わる問診票になってもらえるといいのではないかと感じました。

先ほど橋本先生からも産後鬱の問題のところで御指摘があったかと思いますけれども、相談しにくい保護者さん、本当はサポートが欲しいと思っても相談することや伝えることに対してハードルが高いと感じていらっしゃる保護者さんたちも少なくないと思います。

子供さんの成長と、きちんと向き合える機会につながるような問診票の在り方を御検討いただきたいと思いました。

もう一点は、事後対応と情報共有もぜひ御検討いただきたいと思います。

この問診票の情報は非常に有益なものだろうと思います。

個人情報が特定されない形で、地域の安全や育児環境を改善することにつながるようなデータの活用にもつながるといいなと思います。

先ほどの保護者の理解というところで、特に発達障害に関しては、今、いろいろな情報が出てきていて、知る機会も増えていると思うのですけれども、逆に、過度な不安に駆られてしまって向き合えなくなっているとか、先ほどと少し重複しますけれども、何か欠点を指摘されるのではないかとか、そういった不安を持っていらっしゃる方も少なくないと思うのです。

こどもたちが生きやすい環境をつくっていこうと、一緒につくっていくものだということを保護者さんたちとも共有できるような対応について、学校・教育機関も交えて検討を進めていく機会を本当に前向きに御検討いただきたいと思いました。

以上です。

永光参考人:御質問をありがとうございました。

保護者の方が迷わないような形で適切な問診票をつくっていきたいと思いますし、必ずしも、病気だけ、欠点だけを見つけるような健診ではなく、その家族全体を見ていける形の健診に発展していけるように進めていければと思っております。

事後対応については、大変重要な点であり、御両親、御家族に気づきを与えるという機会でもございますけれども、その後に、自治体の方々、教育の方々も加えて、その対応で、診断まで至らなくても即していけるという方々もおられますので、今後、そういう形が築けていければいいと思っております。

吉川委員:よろしくお願いします。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

乳幼児健診は、本来、子育てをしている保護者、特にお母さんを激励する会でもありますので、そうした視点はとても大事だと思います。

時間も押しておりますので、手短に質問をお願いしたいと思います。

山本委員、お願いいたします。

山本委員:ありがとうございます。

日本歯科医師会の山本です。

発達障害の問題でございますけれども、私も、特別支援学校を診ていて、非常に発達障害のこどもたちが増えているなという感がありますので、ぜひこの5歳児のいわゆる健康診断を一生懸命やっていただければと思います。

ただ、1つ、非常に残念だったことは、我々日本歯科医師会として、こども家庭庁への制度・予算要望の中で、3歳児健診以降、就学児の健診までに、歯科の健診が全くないので、そこが非常に問題であるということを指摘させていただいているところでございます。

ところが、今回もこういったところには歯科の関与が全くないということでございます。

それを言うのはなぜかといいますと、例えば、6歳臼歯といういわゆる第1大臼歯は、昔は6歳頃に生えていたものが、今、4歳半や5歳とかの非常に早い時期から生えるようになって、口の中の状態も昔とは大分違ってきている感じがしますし、口腔機能の発達不全というこどもたちもいる、指しゃぶりといった習癖がなかなか治らないお子さんもいるということがございますので、そういったところをチェックするという意味でも、今後、ぜひ歯科の分野も検討していただければ大変ありがたいと思っております。

以上です。

五十嵐分科会長:御要望は承りました。

ありがとうございます。

家保先生ですか。

お願いします。

家保委員:衛生部長会の家保です。

方向性としては、国民の皆さま方から支持される方向性と考えます。

1か月児健診につきましては、従来から、産婦健診として、2回、産後8週までに行われている実績が既にあります。

今回の1か月児健診をやったときに、現在の実施されている産婦人科の先生方と小児科の先生方とのすみ分けといった点について、あらかじめ調整をしておくことが必要かと思います。

1か月児健診については、生後27日から生後6週に達しない乳児と書いております。

15日しかございません。

いろいろな理由で受けられなかったときにどうするのかという点についても、きちんとフォローをしていただきたいと思っております。

5歳児健診についても、おおむねそのとおりだとは思いますが、都道府県、特に地方の市町村におきましては、小児科医の確保が非常に難しくなっています。

現在、3歳児健診ですら隣の市町村の小児科医の先生にお願いしているような状況でございます。

施策の実施に当たっては、市町村の広域実施等々という部分についても十分目配せしていただいた枠組みを検討いただければありがたいと思っています。

健診は、いずれにしろ、陽性者の方はフォローをしないといけませんが、問題があるものは未受診の方でございます。

未受診のフォローをどの程度するのか。

それについても御検討いただかないと、市町村でオーバーフローをする可能性がございます。

特に、大都市圏、非常に対象が多いところでは、未受診を追うこと自体が非常に大変になる可能性がありますので、その点についても配慮した仕組みをつくっていただければというお願いでございます。

以上です。

永光参考人:ありがとうございました。

こども家庭庁さんと一緒に、いただいた質問について、検討していきたいと思います。

五十嵐分科会長:ありがとうございます。

それでは、工藤委員、お願いします。

工藤委員:工藤でございます。

私どもは、障害児や医療的ケア児を育てている親たちの会です。

5歳児健診について、御意見申し上げます。

非常にありがたい健診だと思っております。

なぜなら、先ほどから御指摘もございましたとおり、私どものような親たちは、就学前健診で、引っかかるかどうかと非常にどきどきしながら、ある意味、特にグレーゾーンのお子さんのお母さんにとっては、本当に試練というか、何か言われたらどうしようと思いながら、門をくぐるので、もっとその前の段階で、支援します、助けてくれるといった形、目に見える形での健診をしていただけると、非常にありがたいと思います。

また、私どもは、御指摘もありましたとおり、この時期は障害の受容に対して非常に苦しんでいる時期です。

ともすれば、追い詰められてしまって、家族でよく起きる離婚とかに直面する時期でもございます。

早期発見・早期療育は大切と言われている中で、特に公的な療育施設、自発等に関しましては、宣告といいますか、「あなたのお子さんは」と言われた後に、3か月や半年待ちで電話もなかなかつながらないといった状況に置かれますと、家庭内が非常に不安定になりますので、そこも含めた切れ目のない支援をお願いしたいということです。

大丈夫、必ずつながるからというところが、私たちが安心して心を開いて頼れることになっていきます。

もう一つ、お願いしたいことは、5歳という時期ですと、親たちには働いている方が既に多く、復職されているケースが多く、今の社会情勢、4分の3の世帯が共働きという時代で、きょうだいもおりますし、特に障害児は生涯にわたって親が養育していかなければいけないという中で、切れ目のない支援をお願いしたいということです。

1つ、提案がありまして、OT、ST、あらゆる専門家の方に安心して気軽に親子で相談できるような、オンラインのような形です。

「お宅のお子さんはこうですよ」と言った後に、親子で支援していただかないと、こういうときは家庭で切れてしまうので、そんな広がりを持った、次につながるような健診にしていただけると、すごく心強いし、ありがたいです。

すみません。

長くなりました。

よろしくお願いいたします。

永光参考人:ありがとうございました。

いただきました意見は班員ともしっかりと共有したいと思います。

五十嵐分科会長:秋山先生、どうぞ。

お願いします。

秋山委員:あきやま子どもクリニックの秋山です。

こどもたちのウェルビーイングを目的として、バイオサイコソーシャルの視点を社会全体で共通認識にしようという流れがあると思います。

永光先生の御説明にも、バイオサイコソーシャルの説明がありました。

バイオサイコソーシャルを周知するためにも、この問診票の中で、バイオサイコソーシャルを組み合わせていただき、また明記をしていただけないかと思います。

2つ目ですけれども、標準的には集団健診とありましたが、既に個別健診を行っている地区もあると思います。

そうすると、個別健診よりも集団健診がいいという認識になるのではないかと思いますので、個別健診と比べられないような書き方にできないかと思いました。

先ほどから出ていますが、健診は、ポピュレーションアプローチで、課題の抽出だけではないと思います。

前向きに予防的なことができるように、末松委員が出されていました資料が大変よかったと思いますので、あのような前向きな健診になるといいと思いました。

以上です。

よろしくお願いします。

永光参考人:ありがとうございました。

いただきました3つのポイントについて、しっかりと班の中でも引き続き検討させていただきたいと思います。

五十嵐分科会長:それでは、柏原委員、お願いします。

柏原委員:ありがとうございました。

5歳児健診について、これはぜひお願いしたいと思いました。

3歳児から就学時健診までの期間は長いものですから、東京の地域特性かもしれませんが、安否確認ができないこどもがいます。

その間に健診でこどもたちが健全に育成されているかどうかということのチェックは必要なのではないかということが、1点目です。

2点目ですが、本市では、5歳のこどもたちに、就学前の適応指導を心理士が実施していました。

適応が非常によいと評価されていました。

大脳発達の課題で落ち着きがないのか、それとも本当に発達障害なのかということが明確になる場合がありますので、そういった点でもサポート体制は必要かと感じました。

今課題になっていることは、先ほど申し上げた情報共有です。

教育と子育てと福祉の三位一体型の重層的な支援が必要な場合に、教育と子育てと福祉が情報共有をしないと次の一手が打てないということがありますので、その点はまた長い目で改善を図っていく必要があると思います。

以上です。

永光参考人:どうもありがとうございました。

五十嵐分科会長:ありがとうございました。

それでは、橋本委員、お願いします。

橋本委員:ありがとうございます。

KidsPublicの橋本です。

5歳児健診はとてもすばらしいと考えております。

こちらで強調されている発達障害等のスクリーニングというところもありますが、恐らく、発達に携わっている先生方は、5歳ももちろん見つけたいポイントだけれども、本当はもっと早くがいいという気持ちはどうしてもあると思うのです。

これまでの既存で行われていた1歳半や3歳というところからも、そういったものを早く見つける。

スクリーニングの施策をさらに強化する。

新しいものを追加することも大事だし、なるべく早く見つかって早くサポートにつながっていくことが、その後のその子にとっての育ちやすさ、保護者にとっての育てやすさにもつながってくると思うので、既存の健診からのサポート体制も同時に強化していただけると、すごくよいのではないかと思いました。

よろしくお願います。

永光参考人:どうもありがとうございました。

五十嵐分科会長:それでは、相良委員、お願いします。

相良委員:産婦人科医会の相良です。

この乳幼児健診は非常によろしいと思います。

1か月児健診に関して、少し補足させていただきたいと思います。

産科側では、今、産婦健康診査事業というのがあって、産後2週間と1か月の時点で、主にお母さんのメンタルヘルスを中心にチェックをしております。

こことの情報共有をぜひしていただきたいということが、1点です。

もう一つは、1か月の乳児健診の中で赤ちゃんの身体的な発育と保護者のチェックもしていただけるということなのですけれども、この辺りで保護者のメンタルの問題は恐らく結構出てくると思うのです。

産科側でも、一生懸命チェックはして、スクリーニングをしておりますけれども、なかなか見つからない場合もあります。

この辺りで、お母さんの側の軽い発達障害や知的障害的なもので育児困難が出てきているということが、小児科の先生からキャッチできる場合も、すごくあると思うのです。

お子さんの視点が中心だとは思いますけれども、保護者、養育者の視点も大事にしていただいて、ここで見つかったお母さんたちの問題から、恐らくこども家庭センターを通じてということになると思いますが、しっかりとそういったケアにつながっていくようなシステムをつくっていただきたいと思います。

以上です。

永光参考人:ありがとうございます。

地域によっては産科が少ないところでは小児科のクリニックでも1か月児健診をされている地域もあるというところで、こどもだけではなく親のこともしっかりと見て、それを産科の先生方や行政の方々と情報共有して、地域で見守っていくことが本当に大切だろうと思います。

その辺の連携のことをしっかりと踏まえて、引き続き研究班の中でも検討していきたいと思います。

相良委員:よろしくお願いします。

五十嵐分科会長:御意見を様々にいただきまして、ありがとうございました。

そのほか、何か追加でございますか。

よろしいですか。

それでは、今日いただいた御意見を踏まえまして、3つの研究班におかれましては、1歳児健診、5歳児健診の標準化に向けて、検討を進めていただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

以上、本日予定をしておりました議事は終了となります。

委員の先生方には、長い時間、御議論していただきまして、ありがとうございました。

最後に、事務局から、連絡事項はございますでしょうか。

木庭課長:ありがとうございました。

次回の開催日程につきまして、御案内させていただきます。

第3回の成育医療等分科会は、年が明けまして3月14日の13時からを予定してございます。

議題あるいは開催方法等、詳細につきましては、改めて御連絡させていただきます。

委員の先生方におかれましては、引き続きよろしくお願いいたします。

事務局からは、以上です。

五十嵐分科会長:ありがとうございました。

本日の会議は、これで終了いたします。

御協力をどうもありがとうございました。