本文へ移動

幼児期までのこどもの育ち部会(第6回)

概要

日時:令和5年8月29日(火)10時00分から12時00分
場所:こども家庭庁 14階 共用大会議室

【オンライン配信URL】
URL:https://youtube.com/live/DdUtwtqFMf8

議事

  1. 保育士資格等に関する専門委員会の設置について
  2. 「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の策定に向けた中間整理素案について
  3. その他

資料

議事録

秋田部会長: 皆様、おはようございます。ただいまより、第6回「幼児期までのこどもの育ち部会」を開催いたします。

今回は対面、オンラインのハイブリッドでの開催となっております。

御多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

初めに、事務局から委員の皆様の本日の御出席状況と本日の議事の確認をお願いいたします。

齋藤課長: それでは、事務局でございますけれども、議題の説明に入る前に、7月27日以降に事務局において人事異動がございましたので、この場を借りて御紹介させていただければと思います。

まず、前任の浅野に代わりまして、長官官房審議官に着任いたしました髙橋でございます。

髙橋審議官: 髙橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤課長: 続きまして、私が前任でございましたけれども、成育局の総務課長に着任いたしました髙田でございます。

髙田成育局総務課長: 髙田です。どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤課長: 最後に、前任の高木に代わりまして、成育基盤企画課長を拝命いたしました齋藤でございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

以上が人事異動の御紹介でございまして、続きまして、本日の委員の皆様の出席状況でございます。御欠席の連絡をいただいておりますのが、稲葉委員及び古賀委員になってございます。また、奥山委員、倉石委員、都竹委員、堀江委員、水野委員、横山委員、吉田委員におかれましては、オンラインで御参加いただいております。ありがとうございます。

ほかの委員の皆様におかれましては、この部屋で対面にて御参加いただいております。

続きまして、本日の議事でございますけれども、お手元の議事次第に記載のとおり、議事2件でございます。1件目が「保育士資格等に関する専門委員会の設置について」、2件目が「『幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)』の策定に向けた中間整理素案について」でございます。

資料といたしましては、議事1に関する資料が資料1及び資料2、議事2に関する資料として資料3から6、そして参考資料が1から3でございます。

本日もよろしくお願いいたします。

以上でございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、議事1へ移らせていただきます。

議題1「保育士資格等に関する専門委員会の設置について」でございます。

今回、幼児期までのこどもの育ち部会の下に保育士資格等に関する専門委員会を設置したいと考えております。専門委員会の設置に当たりまして、まず資料1のとおり、こども家庭審議会運営規則第7条に基づきまして、部会の運営に必要な事項として、委員会に係る運営規則を定めましたので御報告をいたします。

その上で、こども家庭審議会運営規則第5条及びこの運営細則に基づき、幼児期までのこどもの育ち部会保育士資格等に関する専門委員会を設置したいと考えておりますので、事務局のほうで御説明をお願いいたします。

齋藤課長: それでは、資料1及び2を御覧ください。

まず資料1でございますけれども、ただいま部会長よりも御説明ございましたとおり、こども家庭審議会運営規則において、部会長が必要と認めるときは、部会に諮って、委員会を設置することができると定められておりますが、具体の運営の方法等につきまして、こども家庭審議会幼児期までのこどもの育ち部会運営細則という形で定めたものでございます。

こちらについても簡単に御紹介申し上げますけれども、第1条においては、先ほどのこども家庭審議会の規則第5条と同様、部会長が必要と認める場合に、幼児期までのこどもの育ち部会に諮って、委員会を置くこととしております。

第2条、委員会の構成につきましては、こども家庭審議会の委員、臨時委員または専門委員の中から、部会長が指名する者により構成するとされております。

第3条でございますが、委員長の指名について、委員長は委員会委員の中から部会長に指名していただくこととしております。

その下でございます。会議の招集については、委員長が招集すること。あらかじめ、期日、場所、議題を委員会に通知すること等が定められております。

会議の公開について、第5条でございますが、委員会の会議は公開とすること。ただし、公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があると認めるとき、会議を非公開とすることができると定めております。

そのほか議事録等が定められておるところでございます。

続きまして、資料2を御覧ください。今の運営細則に基づきまして、このたび保育士資格等に関する専門委員会の設置についてということで、この部会にお諮りしたいということでございます。

まず、設置の趣旨でございますけれども、規制改革実施計画におきまして、特定区域内でのみ有効となる地域限定保育士の資格を付与する特例措置等が実施されておりますが、この特例措置の全国展開について、当該実施計画において、今後の児童福祉法の改正に向けて、令和5年度中に詳細な制度設計を行うとされております。

また、2点目に関しまして、令和5年度の地方分権改革に関する提案募集におきまして、幼保連携型の認定こども園において、保育教諭の資格に関する特例措置が令和6年度末までの期限で設けられておりますけれども、この措置について、当分の間延長することについて地方から提案があったということでございます。

これを受けまして、この委員会を設置し、地域限定保育士制度について全国で実施を可能とすることに加えまして、幼保連携型認定こども園において配置が求められている保育教諭の特例措置の期限到来を踏まえた改正等について検討していただくために保育士資格等に関する専門委員会を設置することにいたしたいと考えております。

主な検討事項といたしましては、今申し上げましたとおり、(1)地域限定保育士制度の全国での実施を可能とすることに関する事項、(2)保育教諭の特例措置の期限到来を受けた改正に関する事項、(3)指定保育士養成における入所資格に関する指定要件の見直しに関する事項、(4)その他保育士資格等に関する事項、以上4点を検討事項としております。

この部会におきまして御承認いただきましたら、この後、部会長から委員及び委員長の御指名をいただきまして、具体的な委員会の設置ということで、事務局のほうで進めさせていただきたいと考えております。

説明は以上でございます。

秋田部会長: 齋藤課長、御説明ありがとうございました。

それでは、保育士資格等に関する専門委員会の設置につきまして、御意見、御質問などがあれば、対面の方は名札を立てていただき、オンラインの方は挙手ボタンをお願いいたします。いかがでしょうか。

堀江委員、どうぞお願いいたします。

堀江委員: ありがとうございます。本日、オンラインでの参加をさせていただいております。

保育士資格に関しての専門委員会が立てられることは本当にすばらしいなと思っております。その際に、確実にそういったところを大事にされていくところかとは思うのですけれども、やはり今回、こども家庭庁が決めていった保育園、幼稚園、幼保小というところの連携をしていく部分において、すごく重要な内容になっていくのかなと思いますので、一緒に連携してやっていく部分に関して、ぜひ入れていただきたいなというところと、あと、議論には絶対入ってくるところかとは思っておりますが、DBSですね。やはり性犯罪があった方に対しての措置みたいなところに関して、基本これは試験というところに関してかと思うのですけれども、資格を取っていく際とか資格を剝奪する要件みたいなところ。ちょっと私もここら辺は詳しくないのですけれども、そういった部分において、こどもたちがしっかりと守られるようにしていくというところはぜひ押さえていただけたらなと思っております。

質問というよりも意見というところになります。どうぞよろしくお願いいたします。

秋田部会長: 大事な御意見をありがとうございます。

ほかにはいかがでございますでしょうか。

高祖委員、お願いいたします。

高祖委員: 高祖です。ありがとうございます。

今の堀江委員の意見とほぼ同様なのですけれども、現状、保育園と幼稚園と認定こども園ということで、それぞれ一応指針というところではかなりそろってきていると思っております。なので、ここで保育士資格等に関する専門委員会の設置というところなのですれども、今、堀委員からもお話がありましたが、やはりそこは将来的なこどもの育ちというところで、どういうふうにまとめていくのかというヴィジョンをちゃんと掲げていただいて、こどもの育ちというところで一本化するという方向性とか、あとは資格の相互の連携というところも含めて議論していただければなと思っております。意見です。

秋田部会長: ありがとうございます。

秋山委員、お願いいたします。

秋山委員: 秋山です。

今回の委員会の設置には心から賛同いたします。というのは、今回の主な検討事項がとても重要だと思っています。保育士不足というのは現場で大きな問題で、基本的なことですけれども、こどもの安全と安心を見守るためには、人の手、人材は欠かせない。そのために、今回の審議事項の内容がセーフティーネットになるようなものにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

秋田部会長: ありがとうございます。

ほかにはいかがでございますでしょうか。

今、お三方から御意見をいただきました。この辺り、これまでの特例や規制を緩和するというだけではなくて、セーフティーネットとして慎重な審議をこの委員会にお願いができれば、とても重要な案件だと思います。

それでは、保育士資格等に関する専門委員会の設置は、案のとおりに決定をさせていただきます。

専門委員会に属する委員及び委員長につきましては、運営細則第2条及び第3条で御説明がありましたことに基づきまして、事務局と相談の上、私のほうで指名をし、追って皆様に事務局からお知らせをさせていただきたいと存じます。御審議ありがとうございます。

それでは、議事の2のほうに行きたいと思います。「『幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)』の策定に向けた中間整理の素案について」でございます。

まず、中間整理の素案につきまして、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

齋藤課長: それでは、引き続きまして、事務局より議事の2に関しまして資料の説明をさせていただきます。主には資料3に中間整理素案をこのたび御提示させていただいたので、この説明をさせていただくとともに、机上配付といたしまして概要イメージというのも設けておりますので、こちらも併せて御説明申し上げます。加えて、資料4及び資料5において、今後の議論のスケジュール、それからこども大綱との関係がございますので、差し支えなければ併せて説明をさせていただきたいと思います。

まず、資料3を御覧ください。このたび中間整理の御議論いただきました結果を踏まえまして、中間整理の素案ということで事務局でまとめさせていただいております。

まず、タイトルでございますけれども、これまで幼児期までのこども育ちに係る指針という形でヒアリングと議論をさせていただいておりましたけれども、このたび、こどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)という形で整理案を示させていただいております。

続きまして、目次でございますけれども、「はじめに」がございまして、その後に1番「『育ちのヴィジョン』を策定する目的と意義」、2番「幼児期までのこどもの育ちの5つのヴィジョン」、そして「今後の検討事項~実効性のある『育ちのヴィジョン』とするために~」、最後に別紙「『育ちのヴィジョン』の実現に向けた社会全体のすべての人の役割」という構成でつくっております。

続きまして、2ページ目以降、ざっとかいつまんでになりますけれども、内容につきまして御説明を申し上げます。

まず、「はじめに」でございますけれども、今回、中間整理を行うに当たりましての冒頭のメッセージといったことで整理をしております。

2つ目の○でございますけれども、このたび4月にこども基本法が成立したことを踏まえて、この部会で議論していただいているということでございますので、権利主体としてのこどもの最善の利益を常に第一に考え、こどもに関する取組・政策を社会の真ん中に据えていく「こどもまんなか社会」の実現を目指すという、大きな価値転換を図るものであるといったことを冒頭に位置づけております。

その上で、次の○でございますけれども、この時期からこどものウェルビーイング向上を支えていくことができれば、こどもまんなか社会の実現へ社会は大きく前進するものであるというような認識を示しております。

しかしながら、14行目以降で、全ての乳幼児の権利や尊厳が保障できている現状にないといった認識を示しつつ、19行目以降の○のところで、幼児期までのこどもの育ちそのものに着目し、全ての人と共有したい理念や基本的考え方を整理したこと、社会の認識の転換を図ること、政府全体の取組を推進するための羅針盤としてこのヴィジョンを定めることなどを冒頭に整理させていただいているということでございます。

続きまして、4ページ目に進んでいただきまして、第1章の「『育ちのヴィジョン』策定する目的と意義」でございます。

まず、冒頭に「将来にわたる身体的・精神的・社会的ウェルビーイングの向上」ということで、ウェルビーイングの考え方を整理させていただいております。こども基本法の目指す、こどもの将来にわたる幸福、すなわちウェルビーイングの考え方を踏まえて整理したものであるということ。そして、このウェルビーイングの定義といたしまして、身体的・精神的・社会的(バイオサイコソーシャル)にいい状態であるという包括的な幸福として、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含むものをいうという形で整理させていただいています。

これに関しまして、注書きのほうで注の8及び9におきまして、成育基本法、それから教育振興基本計画においても同様の考え方でウェルビーイングが整理されているということも引用させていただいております。

こういったウェルビーイングの考え方を踏まえることと、それから、4ページ目の22行目以降の「(多様性を尊重し、包括的に支援する)」の観点も示しております。すなわち24行目の一番最後からですけれども、どんな環境に生まれ育っても、心身・社会的にどんな状況であっても、多様な全てのこども一人一人を対象とすること、 次の○にございますように、障害児かどうかを線引きするのではなく、グラデーションの中で捉えるべきであるということ、

次の○にございますように、「育ちのヴィジョン」は、幼児期までの時期から切れ目なくインクルージョンの考え方を前提として書かれているというようなことを整理しております。

続きまして、「育ちのヴィジョン」の目的ということで、5ページ目の一番下の部分から、こどもの誕生から幼児期までがなぜ重要なのかといったことにつきまして整理をいたしております。

5ページの最後のところからですが、脳発達において環境の影響を受けやすい限定された時期の1つとして、特に重要な時期であるといったことを示していること。

それから、6ページ目の4行目からの○でございますが、こどもの誕生から幼児期までを重視したこどもの支援というのが、諸外国ですとか国際機関でも推進されているといったことで、世界の潮流などを紹介しております。

こういったことの反面、13行目以降「(すべてのこどもへのひとしい保障)」というところですが、例えばこどもの虐待による死亡事例が多く生じていることなど、残念ながら基本的な生命に関する権利が、誰一人残さずひとしく保障できているとは言えない現状があるという点。

あるいは、次の○にございますように、未就園の方がゼロから2歳においてはかなりいらっしゃる中で、こども同士で育ち合う機会や保護者以外の大人と関わる機会、様々な社会文化や自然などの環境に触れる機会が、家庭の環境によって左右されているといった現状。こういったことを踏まえながら、家庭の環境に十分配慮しながら、ひとしく保障されることが必要であるというような問題意識も併せて提示をしております。

7ページ目、「(こどもから見て切れ目のない保障)」というところでございますけれども、本来、こどもの発達は一人一人違うペースで、絶えることのない連続性の中で進むということでございますけれども、現状として年齢や学年の事情で引かれた線が、こどもの育ちの大きな切れ目にならないように、環境(社会)の不断の改善を図っていく必要があるというような認識も示していること。

それから、次の○にございますように、環境(社会)に関わる人が緊密に連携し、点ではなくて、できる限り切れ目のない面で育ちを支えていくことが必要であるというようなことも示しております。

以上のようなことを踏まえまして、全体をまとめる形で「(『育ちのヴィジョン』の目的の在り方)ということで、7ページの下段のところで整理をさせていただいているということでございます。

続きまして、8ページ目以降ですけれども、こども基本法と本ヴィジョンとの関係について整理をしております。4月にできましたこども基本法を踏まえたヴィジョンということで、このところで少しその関係性を整理させていただいております。

具体的には、10ページ目でございますけれども、「育ちのヴィジョン」の理念という形で(1)から(4)まで整理しております。(1)「すべてのこどもが一人一人個人として、その多様性が尊重され、差別されず、権利が保障されている」、(2)「すべてのこどもが安心・安全に生きることができ、育ちの質が保障されている」、(3)「こどもの声(思いや願い)が聴かれ、受け止められ、主体性が大事にされている」、(4)「子育てをする人がこどもの成長の喜びを実感でき、それを支える社会もこどもの誕生、成長を一緒に喜び合える」というような整理としております。

11ページ目に参りまして、「すべての人と『育ちのヴィジョン』を共有する意義」ということでございます。今回、こどもの誕生前から幼児期までの育ちを支える理念や基本的考え方を、こどもと直接に関わる機会が少ない人も含め、社会全体の人と共有するということを期待しているわけでございますが、そのことの意義を整理しております。

「(すべての人で次代の担い手の人生最初期を支える)」というところで、16行目辺りでございますが、次代をつくる存在であるこどもの将来にわたるウェルビーイング向上を実現することは、社会全体の全ての人のウェルビーイング向上を持続的に実現することに一番重要な未来への投資であるという観点。

それから、その一方で、24行目以降でございますが、大人がこどもを支えるという一方通行の関係だけではないということ。すなわちこども同士が育て合っていくという視点ですとか、こどもや若者が権利主体として、大人とともに、幼児期までのこどもの育ちを支え合っていくという視点。

それから、30行目にございますように、こどもと大人がともに、こどもの誕生や乳幼児の笑顔に触れ、その成長を喜び合うこと自体が、全体としてのウェルビーイング向上につながるといった視点も整理をさせていただいております。

12ページ目でございますけれども、このような形で「育ちのヴィジョン」の実現に向けた社会全体の全ての人の役割、その役割を支えるために国に求められることという形で、29ページ目以降にございますが、別紙において、それぞれごとの役割を別途整理させていただいているものでございます。

続きまして、13ページ目以降が第2章で「幼児期までのこどもの育ちの5つのヴィジョン」という形で整理をしております。これは全ての人と共有したい基本的視点を整理したものということで5点にまとめております。(1)「こどもの権利と尊厳を守る」、(2)「『安心と挑戦の循環』を通じてこどものウェルビーイングを高める」、(3)「『こどもの誕生前』から切れ目なく育ちを支える」、(4)「共に育つ保護者・養育者のウェルビーイングと成長を支える」、(5)「こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す」、以上の5点で整理をしております。

14ページ目以降、それぞれの点につきまして詳しく書かせていただいています。

(1)の「こどもの権利と尊厳を守る」につきましては、21行目からの○にございますように、こどもの育ちに係る質保障に関しまして、権利の主体としての乳幼児のこどもの権利、乳幼児の尊厳に基づいた考え方を整理することが望ましいという形で整理した上で24行目以降の○のところで、児童の権利条約の4原則も踏まえてこども基本法が整理さているということも踏まえまして、次のページでございますが、権利主体としての乳幼児の権利を守る観点に立ち戻って、こども基本法にのっとって保障していくことが望ましいというような形にしております。

続きまして、(2)でございますが「『安心と挑戦の循環』を通してこどものウェルビーイングを高める」というような柱としております。こちらにつきましては「安心と挑戦の循環」ということにつきまして、12行目で整理をしていますが、乳幼児期の安定したアタッチメントがこどもに自分自身や周囲の人、社会への安心感をもたらす。その安心感の下で、遊びや体験などを通じて外の世界へ挑戦を重ねて世界を広げていく。それは将来的な自立に向けても重要な育ちの経験であるというようなことでございます。

その上で、②としてアタッチメントについても書いてございます。25行目以降ですけれども、こどもが怖くて不安なときなどに身近な大人がそれを受け止め、こどもの心身にり添うことで安心感を与えられる経験の繰り返しを通じて獲得される安心の土台であるというような整理としております。

16ページ目にございますように、こういった安定したアタッチメントが非認知能力の育ちにも影響を与える重要な要素であるといったことも整理をしております。

続きまして、挑戦の部分に対応するものとして、幼児期までのこどもの育ちに必要なかな遊びや体験ということで、豊かな遊びや体験が重要であるということを整理しております。

28行目以降の「(「遊び」そのものの保障)」というところにおいては、こどもが主的に興味を持って、面白いと感じて夢中になって心と体を動かして行う行為が遊びであるということで、17ページ目の最初に書いてございますが、遊びそれ自体が目的であるといったことを整理しているということと、続きまして、乳幼児の育ちにとっても遊びは重要であるということで、11行目以降、創造性や好奇心、折り合いをつける、自尊心、想像力や思いやり、やり抜く力などの社会情動的スキルの育ちにもつながるといったこと。

さらには、「(多様なこどもやおとなとの出会い)ということで、他者との関わりので多様な刺激を受けながら、次第に自分の世界を広げ、成長するというような役割も果たすことができるということ。

さらには、27行目以降で、モノ・自然・文化財・場所等の多様な環境との出会いを通じて成長するという意味合いもあるといったことを整理しているところでございます。

続きまして、3つ目の柱で「『こどもの誕生前』から切れ目なく育ちを支える」でございます。これは冒頭の目的のところでも少し触れておりますけれども、誕生後、就園前後、小学校就学前後などのタイミングで、こどもの年齢に応じて環境(社会)の面が大きく変わる節目が幾つか存在しておりますけれども、こういった節目が育ちの大きな切れ目にならないような形で、こどもの発達の過程、連続性に留意しながら、切れ目なく環境(社会を構築していくということを示しております。

その前提の上で、本中間整理では、多様なこども一人一人の発達の連続性の中で、こどものために全ての人が何ができるかという観点から4つの時期を整理いたしまして、それごとの留意事項を次ページ以降、整理しております。

具体的には、19ページ目冒頭から、妊娠期(保護者・養育者がこどもの誕生を迎え入れる準備期)、19ページ目の下部分で乳児期、20ページ目に行きましておおむね1歳から3歳未満、16行目からおおむね3歳以上から幼児期の終わり、こういった形で、それぞれの時期ごとの留意点を示しているものでございます。

21ページ目、(4)に参りまして、「保護者・養育者のウェルビーイングと成長を支える」という柱でございます。特にこどもの誕生前から幼児期までは、アタッチメントの対象となる保護者・養育者がこどもの育ちに強く影響を与えるといったこと。それから、保護者・養育者自身にとっても養育経験の一番最初の時期であるということも踏まえて、こどもと共に育つ保護者・養育者のウェルビーイングと成長を支えることが重要であるといったことで、この柱を立てております。

そういった支援を行っていくに当たりまして、21ページ目の21行目以降、「(支援との接点の重要性)」ということでございますけれども、必要としている人が必要なタイミングでつながることができなければ意味がないということ。支援の存在を知らない、支援を受けることへのちゅうちょ、偏見、困り感を説明することが困難であるなど、ハードルの存在を考慮する必要があるということを踏まえながら、全ての保護者・養育者、それからどもが支援につながることができるような支援づくりの工夫が必要であるという観点を示しております。

それから、21ページ目の一番下の行から次のページにかけまして、保護者・養育者自身のウェルビーイングの向上が重要であるということを整理しております。すなわち22ページ目の3行目以降でございますが、アタッチメントの対象となる保護者・養育者自身がウェルビーイングを高められることが、こどものウェルビーイングを高めていく上でも欠かせないということを示しております。

さらに、19行目以降でございますけれども、いわゆる「親育ち」という観点も触れておりまして、こどもと触れ合う経験、保護者・養育者同士の育ち合い、信頼できる情報や伴走者としての母子保健、児童福祉などの専門職による成長支援などが必要であるということ。

それから、27行目辺りですけれども、こどもと触れ合う経験から保護者・養育者自身が学びを得て成長していくといったことの重要性についても触れさせていただいております。

23ページ目が、(5)の最後の柱でございますが、「こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す」ということでございまして、13行目以降、養育の第一義的責任を有する保育者・養育者の役割は重要であるということではございますけれども、現在の社会構造に合った発想でこどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増していくことが必要であるということでございます。

この点につきましては、24行目以降、いわゆるこどもまんなかチャートという形でこれまで整理してきているところでございますが、こどもと直接接する人、過ごす空間、それから地域の空間、社会全体の施策や文化、それぞれに関わる全ての人が、環境や広がりのつながりを分かりやすく見える化することが有効だということで、こどもまんなかチャートの考え方に従って、24ページ目以降、整理をさせていただいているところでございます。

具体的には、24ページ目以降、保護者・養育者、直接接する人、過ごす空間、25ページ目に行きまして、地域の空間、施策や文化、そういった形でそれぞれ整理を書いておるところでございます。

7ページ目でございますけれども、最後の章といたしまして「今後の検討事項~実効性のある『育ちのヴィジョン』とするために~」ということで整理をいたしております。

まずは7行目以降、「(『こども大綱』に位置づけられるこども施策への反映)といことでございます。今回、「育ちのヴィジョン」という形で、全ての人と共有したい理念や基本的考え方をこのように整理したわけでございますが、これを絵に描いたもちにしいこと、こどもの育ちそのものの充実につなげるには、実効性の確保、こども施策への映が不可欠であるという認識に立っております。

そのため、次の○でございますが、こども大綱が現在、基本政策部会で検討されておりますけれども、こども大綱に「育ちのヴィジョン」を反映し、「育ちのヴィジョン」と整合的に策定されたこども大綱に基づいて、関連する目標や指標を整理した上で、具体的施策を強力に推進していくことが必要であるというようにしております。

さらに、21行目以降「(すべての人の具体的行動を促進する取組)」ということでございまして、実効性を確保するために、社会の認識の転換を併せて図り、全ての人と実現していくことが必要だと。そのためには、単に共有するだけではなくて、全ての人の具体的行動を促進する施策が必要であるというように位置づけております。

以上が施策に関する言及でございますけれども、続きまして、28行目以降について、副題の設定等について言及しております。

32行目辺りからですけれども、「こどもの誕生前から幼児期までの育ち」をこれまでに増して重要視して、全ての人で支えていくという社会認識転換を主導するためには、発信力のあるキーワードが必要ではないかということでございます。

そのため、35行目以降、次のページにかけまして、妊娠期がおおむね10か月、小学校就学までが平均6年6か月といったことも併せまして、おおむね100か月というところを踏まえて、母親の妊娠期から数えた育ちに係る「はじめの100か月」という概念を打ち出すなど、「育ちのヴィジョン」の発信に工夫が必要ではないかというような形で問題を提起させていただいております。

最後に19行目以降でございますが、「(『育ちのヴィジョン』の具体的実現策の一体的・総合的推進)」ということで、国において、こども政策の司令塔となるこども家庭庁が中心となって、省庁の縦割りを超えて各省庁と緊密に連携するといったことの上で、①から③等の取組により、「育ちのヴィジョン」の実現を強力に推進することを期待するというような形で整理をさせていただいております。

最後の部分につきましては、後ほど申し上げますが、こども大綱との調整がこの後ございますので、今後の検討事項という形で、全体の章として整理をさせていただいているとこでございます。

かなり駆け足になりましたけれども、以上が資料3の説明でございます。

これに関連いたしまして、机上配付資料で概要イメージというのを提示させていただいております。こちらにつきましては、今申し上げました中間整理案を基に全体の概要をまとめるという形で1枚の形で整理をしております。この整理の仕方自体につきまして、この部会の委員の皆様にあらかじめ御意見をいただいたものではなく、事務局のほうでこういった形で整理したということでございますので、基本的にこの中間整理案の内容に関する御意見は、この後、本文に従って御意見いただければと思いますが、この概要も中間整理をまとめるに当たりまして、あわせて公表していきたいと考えておりますので、構成につきまして、この場であわせて御意見をいただければありがたいということでございます。

以上が中間整理案についての説明でございました。

続きまして、資料4につきましては、前回の部会での主な御意見ということで、事務局のほうでまとめましたので、後ほど御覧いただければと思います。説明のほうは割愛させていただきます。

続きまして、資料5、今後の主なスケジュールでございます。今回、8月29日、第6回ということで、中間取りまとめの素案を審議いただきました。次回、9月14日に第7回で今回の意見を踏まえまして、さらに中間取りまとめ案を審議していただきます。これをまえまして、この右側の参考でございますけれども、9月下旬にこども家庭審議会総会で中間整理というのございます。こちらのほうに部会として報告をした上で、審議会全体の中間整理という形でまとめていきたいと考えてございます。

その後、秋以降、10月以降でございますが、このヴィジョンにつきましても、最終取りまとめに向けまして月1回程度議論をして、全体として取りまとめていきたいと考えております。

その際、こども大綱の内容との関係の議論が入ってまいりますので、そのことにつきまして、次の資料6を御覧いただけますでしょうか。資料6は基本政策部会の第6回、令和5年8月10日に示された今後の進め方についてのスケジュールでございまして、1ページ目は、今申し上げたスケジュールと大体同じような形で、基本政策部会においても、この9月下旬の中間整理に向けて議論が行われておりまして、10月以降、最終的な答申に向けた議論がさらに行われるというようなスケジュールでございます。

2ページ目を御覧いただきまして、左側にこども大綱の答申のイメージを書いてござます。第1から第5までございまして、「はじめに」、「基本的な方針」、「基本的な施策」、「『こどもまんなか』の実現に向けたEBPM、こども・若者の意見反映」、「政策の推進体制等」となっておりますけれども、現在、基本政策部会においては、この基本的な施策につきまして、ライフステージごとの重要事項という形、それからライフステージに縦断的な重要事項という形で審議が行われていると把握しております。この中で、こどもの誕生前から幼児期までのライフステージに関する議論もなされているということでございますので、この内容と今回ヴィジョンにおいて当部会で取りまとめる内容について調整が必要であると考えておりますので、今後、こども大綱の素案に関しまして、この部会として、意見を申し上げていくことが必要になるのではないかと考えております。

以上が事務局からの説明でございます。

秋田部会長: 御説明をどうもありがとうございます。

議論に入る前に、これまで基本政策部会で議論してまいりました、こども大綱の検討の今後の進め方について、こども家庭審議会のほうの総会の会長である当方から、本部会に対しての指示がございましたので、御報告を申し上げたいと思います。

こども大綱のほうの中間整理の案につきましては、9月に同じく私が部会長を務めています基本政策部会のほうで議論していきますが、その議論と同時並行で、今御説明ありましたように、関係部会でもそれぞれの部会の所掌の観点からこども大綱の中間整理の案について必要な議論を行っていただき、その上で、9月下旬のこども家庭審議会総会において、関係部会長から部会での議論等を報告し、それらをまとめまして、審議会総会として中整理を取りまとめたいというようなことになっております。

つきましては、基本政策部会からこども大綱の中間整理案が示され次第、この部会でも御議論をお願いしたいと思います。具体的には、事務局より追ってメール等で各委員に案を送っていただいた上で、次回の部会で御議論をしていただくことになろうかと思います。次回以降このような動きがあるということに御留意いただきながら、本日は、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン」の策定に向けて、部会の中間整理案につきまして、御審議をいただければと思います。

それでは、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の策定に向けた中間整理案を御説明いただいたものについて、御意見、御質問などがあれば、対面の方は名札を立て、オンラインの方は挙手ボタンでお願いをしたいと思います。既にいろいろ御意見もいただいていると思いますが、また改めて、これはどんどん更新されてきていますので、率直な御議論等をいただけたらというところでございます。いかがでございますでしょうか。

水野委員、お願いをいたします。

水野委員: おはようございます。大阪はとても暑い朝ですので、あまりにも暑いので壁紙だけ少しだけ季節を進めてみたので、どうぞよろしくお願いいたします。

まずはこの短期間の間に、本当に素案(案)から各委員からの多様な意見を聞き取っていただいて、このような形に中間整理をいただいたこと、事務局の皆さんに感謝と敬意を表したいなと思います。本当に御苦労さまでございます。

私からは大きく2点意見をさせてください。まず1点目は、教育行政を預かる立場から申し上げますと、従前より意見をしている義務教育期とののり代の観点、これが指針の文言にもう少しあってもいいのかなと感じております。具体的には、17ページの8行目から始まる「(乳幼児の育ちにとって重要な「遊び」)」の項目に関して、遊びから学ぶことというのは、幼児教育の文脈では積み重ねられてきた知見に基づいて語ることができるのかなと思うのですが、義務教育期においては、まだまだ幼児教育と同じ認識ではないように感じております。ゆえに学齢期以降においても学びとしての遊びや、遊びが学びにつながっていくという概念は重要だと感じておりますので、そのようなのり代になるような言葉を追加してみてはどうかと思います。

また、同じように20ページの27行目から始まる項目です。ここに関しては、昨年度に取りまとめられた中教審の幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の議論のところかなと感じておりますが、原案のままでも趣旨は伝わるのですけれども、この指針がそもそも専門家や当事者だけにとどまらないことを鑑みますと、より教育委員会や学校の役割を明確にするためにも、学びの連続性を大切にし、幼児教育側と小学校側の双方向からの育ちの架け橋を意識する必要がある等の文言を入れてみてはどうかなと感じております。

もしこのような内容が反映されるのであれば、別紙の30ページにも同様に、教育委員会や学校も含まれた書き方ができるのかなと思います。これがまず大枠の1つ目です。

続きまして、2点目なのですけれども、家庭教育の領域なのですが、こどもを産んだら子育ては上手にできて当たり前。だから、誰かを頼ったり相談したりするのは恥ずかしという、こういう昭和的な価値観を変えていく必要性を感じております。やはり昭和の時代と令和の時代を比べますと、地縁・血縁の希薄化をはじめ、子育てを取り巻く環境はきく変わってきておりますので、そこを踏まえますと、子育てはうまくできなくて悩むのが当たり前なんだと、だから誰かに相談するのは恥ではないし、主体的に我が子のウェルビーイングのために家庭教育を学ぶのが当たり前なんだという価値観にアップデートしていく必要性を感じております。

そのような点から、「はじめに」の○の2つ目にもあるように、大きな価値転換をして、つまり行動変容を期待していきたいなと思います。

そのような視点で素案を読みますと、21ページから23ページにかけて、支援という言葉や支えるという言葉がすごく目立つのです。支援という言葉は、印象としては、マイナスの状態を問題がないと言われる状態までサポートするような印象やニュアンスを受ける方が多いと思うのですが、家庭教育というのは、ハイリスクアプローチだけではなくてポピュレーションアプローチが大切ですので、プラス3の状態の認識の保護者を、よりプラス5、プラス10としていくような、そこの要素を忘れてはならないのかなと思います。

そう考えると、支援という言葉以外にも、応援という言葉を盛り込んではどうかなと思います。これは3ページの5つ目の黒ちょぼでも「保護者・養育者が、様々な人や機会に支えられ、こどもと共に育ち成長が応援される社会」というふうにすばらしい文言が掲げられておりますので、本文中にもそのようなエッセンスをもう少し色濃く反映してはどうかなと感じております。

これも同様に、このような内容がもし反映されるのであれば、別紙の31ページの保護者養育者の役割の項目にも、主体的に学びにつながろうとする意識を持つことの大切さについても書いていけるのかなと感じます。

以上、教育行政の視点と家庭教育支援の視点での意見です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、有村委員、お願いいたします。

有村委員: まずは様々な意見がある中でこのようにきれいにまとめていただき、本当に頭が下がる思いです。

私は細かいところで、ちょっと誤解を招かないかなと思ったところを幾つかの指摘をさせていただきます。あとは、資料の中に入っています、本日御欠席だということですが、参考資料3の古賀委員の御意見を拝見して、少しコメントをさせていただければと思います。

まず最初に、「はじめに」の冒頭から、これは少し悩むところで、私だけではなくて皆さんの御意見もお伺いしたいところです。「こどもは、おとなと同様」という書き方がなされているのですが、もちろん権利としては対等なのだけれども、大人と同様と言ってしまって通じるかなというのを少し心配しています。場合によっては難しければ抜いてもいいと思います。「生まれながらに権利の主体であり」という、対等性のところはきちんと示していかないといけないですが、大人と同様の権利を求められているような誤解を招くところかなと思って、心配をしてのコメントでございます。

続いて、ウェルビーイングのところです。ここもいろいろ御議論あったところですが、4ページの上のところも、バイオサイコソーシャルがきちんと書かれているということ大変大切だと思うのですが、ここもできればほかのところと同様に、権利行使の主体、あるいは権利の主体なんだというところも含めてウェルビーイングというのを捉えていく必要があるのかなと思ったところです。

次に、先ほど申し上げた古賀委員の御意見を見ながら、改めてそうだなと思ってお伺したところなのですが、5ページの幾つかの御指摘が大変大事かなと思いました。

まず、5ページの2行目の「大多数に位置付くこどものみ」。ここも多分表現はすごく迷われて、このような表現を頑張ってつくっていただいたのかなと思うのですが、やはり「大多数に位置付く」というところが何なのかというのは分かりづらさがあるのかなと、古賀先生から御指摘いただいたとおりなのかなと思いました。

あとは、私自身も責任があると思って読んだのですが、「グラデーション」という表現が7行目に書かれています。障害児かどうかを線引きするのではなく、グラデーションの中で捉えるべきというのは、これはニーズとか支援というところでは大きいかと思うのです。しかし、障害児、こどもの特徴自体をグラデーションの中でと言われてしまうと、古賀委員がおっしゃっているように、多様性というところで誤解を招くところがあるのかなと思います。すごく難しいところですが、子育てのニーズという意味ではグラデーショの中で捉えていただく、あるいは支援というところではグラデーションの中で捉えていただくところはあるかもしれませんけれども、ここは少し工夫をしていただく必要があるかなと思いました。

私が第2回目でお時間をいただいてお話しさせていただいたときには、障害のあるこどもたちの支援から学ぶという意味で使わせていただいて、学ぶというところで見えてきたことは、全てのこどもたちにとって実は大事なんだという意味でのグラデーションという使い方をさせていただきました。やはりここは私自身にも責任があると思いますし、表現としては「多様性」と併せてお示しいただく必要があると思いました。

あと、後ろのほうで4段階の設定をされていたと思います。例えば、19ページの妊娠期から始まっていきます。これも私だけではなくて、委員の先生方の御意見やここでの取りまとめの議論もお願いしたいところなのですが、妊娠前を扱わなくていいのかなというのはちょっと不安がありまして、その点を感じたところです。

それからもう一つ、大変大事なところなのですが、19ページの下の乳児期のところの1つ目の○の下から3行目に「子育ての知恵を学べる場」というのが書いてあるのですが、ここに喜びやこどもとのつながりとか、そういうことも含めて書いていただいてもいいのかなと思いました。

あと1点だけ、どうでもいいことかもしれませんが、22ページの真ん中に「(こどもと共に育つ保護者・養育者の成長支援)」というふうに書いていただいているのですが、ここで1つ目のところ、母子保健や児童福祉という書き方になっています。ただ、これは例えば保育士の受験科目では「子ども家庭福祉」と使っており、児童福祉でいいのかどうかとか、文言はちょっと御確認いただいてもいいのかなというのがあります。次の○のところで「まず、こどもが保護者・養育者を育ててくれるという視点」、これも大事なところなのですが、こどもと保護者・養育者が共に育つという視点もあるのかなと思いました。

すみません。長くなりましたけれども、まず気づいたところで以上でございます。ありがとうございます。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして、秋山委員、その次に加藤委員とお願いしたいと思います。

秋山委員: 秋山です。秋山は、4ページの「『育ちのヴィジョン』を策定する目的と意義」のところで意見を申し上げたいと思います。

将来にわたるというふうに書いてありますけれども、ここは生涯にわたるというふうにならないかと思います。というのは、小児科医の立場で言いますと、母子保健、保育保健、学校保健、地域保健、産業保健、老人保健、全ての時期において、このバイオサイコソーシャルの考え方は必要で、どの時点においてもウェルビーイングでなければならないので、将来に向けてではなく、生涯にわたるという考え方ではどうかと思います。

それから、バイオサイコソーシャルの考え方をもう一度御説明したいのですが、画面共有していただけないでしょうか。

ありがとうございます。バイオサイコソーシャルの観点で、身体には、成長、発達、疾病、障害等があったりします。それから、心理に関しては、愛着とか情緒、トラウマなども含まれてきます。それから、社会に関しては、家庭環境、保護者や養育者の状況、育児環境、園や近隣との関係、貧困とか虐待も社会の中に入ります。これらは一人一人異なっています。この異なったところが多様性という社会を生み出すのではないかと思います。この一人一人異なっていることに、バイオサイコソーシャルの目で見て支援をしたり、あるいは応援する必要があるのではないかと思います。

そこで、この目的というのは、今、「育ちのヴィジョン」のアウトカムになるのではないかと思いますので、このアウトカムを社会全体みんなで共有していく、共通言語、共通認識にしていくという必要がありますので、この概要のイメージの目的がとても小さく見えますので、できれば大きく書いていただけないかと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、加藤委員、その後、安達委員、堀江委員、倉石委員、奥山委員都竹委員とお願いしたいと思います。

加藤委員: それでは、加藤です。4点、細かいことも含めましてお話し申し上げます。

最初に16ページの「(「遊び」そのものの保障)」のところです。ここの30行目ですが、単に○○遊びと名前のついた遊びだけでなく、と書いてありますが、○○遊びというのは本来の遊びではないというのがその後書いてあるので、ここを削除してよいのではないと思いました。次のページの最後に、やがて自分のやりたいことを成し遂げたいために的のある遊びになっていく。というように、遊びが変化していくという記述にされるのはいかがかと思いました。

あわせて、13行目は、私は専門でないので確かなことは言えませんが、社会情動的スキルの育ちにつながるとも考えられる。との記述について、つながると断定してはいけないのか、専門の先生からの御意見をいただければと思います。

2点目です。23ページ、21行目の「発達の過程にはない点で」という、ちょっと文章が読みづらかったので、もう一度精査いただければありがたく存じます。

そして、直接接する人のところなのですが、31ページのほうにより具体が書いてあるので、こちらでお話しますと、まず、みんなで育てるということに関してはもちろん賛成との立場にたって申し上げます。32行目の文章が「立場にある」で丸になっているので、これは多分文章になっていないので、保護者・養育者の役割の一部を共有する者はで次の文につながるのだと思います。

その後、32ページの5行目に連携、11行目に助言、25行目に支援というように、連携る者、助言する者、支援する者というのがみんなそのネットワーク部分にあって、本体のところに対して記述があったほうがいいと思うのです。直接接する者の本体というのは、例えば保育者という立場で言えば、特に保育者は、こどもと長く直接関わる者として大切な役割があって、それがあるということをまずは押さえた上で、そこに連携とか支援や言ということが乗るのだろうと思います。

最後に4点目は、6ページにエビデンスで、幼児教育の重要性が世界で認知されたということが頭にあって、これは全て支援する者とかというようなところで書いてあるのですが、幼児教育というエビデンスをここに直接書き込まないまでも、幼児教育は、例えば教育要領等3法令において推進するものとするというような、そちらはそれでやるよというのが一文位置づいた方が、働いている者としては、保育者としては、私たちはただ支援する人なのかというような気持ちになるので、そこを役割として記述いただきたいと思います。そして、幼児教育の役割を果たすために関わる者たちは、研修や硏さんをしっかりとやりましょうというような文章を最後に少し位置づけておいていただけたらありがたいなと思いました。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして、安達委員、お願いいたします。

安達委員: まずは本当に大変な作業をおまとめいただきましてありがとうございます。

私のほうからは2点、意見させていただきたいと思います。

まず1点目なのですけれども、6ページの14行目から、死亡事例の6割がゼロ歳児、その後に、うち5割がゼロか月児とあります。ここのところなのですが、このゼロか月児というのは、ゼロ日ゼロか月死亡ということで、妊娠したことを分かっている、分かっていないはともかくとして、妊娠中どこにもかかわらず、そのまま産んでしまって、遺棄してしまったという事例がほとんどになります。そうしますと、このような望まない妊娠や期せぬ妊娠への対応ということが、このゼロ日死亡になるので、今回のこの会の中ではこの辺の議論等はしておりませんし、少し論点が違うのかなと思いましたので、うち5割ゼロか月という部分はなくてもよろしいのかなと思いました。

2点目ですけれども、先ほど委員のほうから妊娠前のことはなくてもいかがかというところで御意見いただきました。今回、事前に19ページで妊娠前というところを入れさせていただきました。私のほうから意見させていただきました。これはなぜかと申しますと、今回、DOHaDのことが資料14のところでも出てきておりますが、実際に現場で妊婦さんを見ておりますと、妊娠前の生活といいますか、特に体重増加が少ないことが問題になっておりまして、その結果として、今、出生時のお子さんの平均体重が減ってきております。20年前に比べると、本当に男の子も女の子も体重が減ってきております。それは、大きく妊娠前からのいわゆる身体の作りが問題になっております。また、妊娠前に貧血の方も大変多く、妊娠してより貧血になりやすい状況等もありまして、このように妊娠前のお母様たちの体というのが大きくその後に影響している状況がありますので、あえてここでは妊娠前ということを入れさせていただきました。

私からは以上となります。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして、堀江委員、お願いいたします。

堀江委員: ありがとうございます。私からは、いろいろ感じるところはありつつ、1点に絞ってお話しさせていただきたいなと思っております。

まず、本当にここまですごく分かりやすくまとめていただいてありがとうございます。いろいろな形で関わる方がどういうビジョンを持ってこの指針がつくられるのかというところがすごく分かりやすく流れとしてなっているなと感じました。

1点というところでいくと、22ページの親育ちというところです。しっかり書いていただいてすごくありがたいなと思っているのですけれども、もちろんこどもに関しての育ちというところもそうなのですが、やはり幼児期というのは親のところがすごく関係してくるなと思っておりまして、この親育ちというところも、もう少しフィーチャーしていってもいいのではないかなと思っております。

そういった意味で、今、変革というところを最初のほうにも書いてくださっていると思うのすけれども、親というのがとにかく義務、義務、義務というようなイメージを持ってしまっていて、だから自分でやらなければいけない。だから周りに助けを求められなくて苦しくなってしまっている。だから先ほどの妊娠前の時点でマイナスな気持ち、妊娠中、妊娠後、ゼロ日というところで、誰にも言えずにというようなことも実はそういった意識の問題から来るかなと思っていまして、この親育ちというところを、親育ちという言葉がいいのかどうかはちょっと難しい部分ではあるかと思うのですけれども、親になるための学びを得る権利を持っているとか、権利という言い方がいいのか分からないですけれども、子育てを応援してもらう、喜びを分かち合える場を持つ権利があるというようなところまで持っていくことができないのかなというところは、これを見ていて感じました。

先ほども水野委員がおっしゃっていただいたように、支援、支援というマイナスからゼロにしていくところだと、全員が対象であるような気がしないけれども、親になるというのは、産むとか血縁の子が生まれるということではなくて、親自身がちゃんと育っていくということをしていかないといけない。それをちゃんと周りの人が関わってもらっていいんだよ、学んでいくというのは権利として持っているんだよというところをより出せるといいなと思いました。

そういった意味でも、22ページの19行目から親育ちの観点でというところがありますが、保護者自身がというところの前に、親になる前の青年期からの支援ですとか、先ほど安達委員がおっしゃっていた妊娠前からの親育ちのための支援、もしくは親になるための学びの権利を持っているんだよというところをプラスして書いていただくですとか、あとはほどのこどもと触れ合う機会とか経験というのも、やはり親になる前からそういった経験を持っていくというところ。親になる前から、保護者になる前からというところの書きぶりは、毎回ちょっと、多分出しは消え、出しては消えて、難しい部分だと思うのです。親と言ってしまうことのリスクとか、そういったところもあるのかもしれないのですけれども、やはり日本においては、親になる前に何も知らないこと、そして、親になる前に義務だけが押し付けられていることが、子育てしづらさとか、親のしんどさというのがこどもに影響を与えているというのが一番の根本的な原因ではないかなと考えていますので、親になる前から、親になるためにみんなが支えてくれるし、子育てもみんなが支えてくれるという意識転換の部分をもう少し、親はいろいろな人に支えてもらえる権利があるんだみたいな、だからこどもたちがちゃんと育っていくんだよ、だからみんなでやるんだよというところを、この親育ちのところで出していったり、「はじめに」のところで書いていけるといいのかなというところを御意見として出させていただければと思います。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして、倉石委員、お願いいたします。

倉石委員: 発言の機会をいただいてありがとうございます。これまでの整理については敬意を表します。

2点あるのですが、有村委員がおっしゃいました「はじめに」の一番最初のところなのですけれども、ここは私も悩んだのですが、「こどもは、おとなと同様」は、私は「おとなと同様」は要らないなと思っています。「生まれながらに権利の主体であり、その固有の権利が保障されなければならない」で終えてもいいのかなと。「存在である」というのが必要かなというふうには思っています。児童福祉法の第1条では、実は保障される権利を有するというふうになっているのですね。ですから、保障されなければならないというだけでは文言としては不十分かなと。もっと権利を有するということを前に出したほうがいいのではないかなと思ったのですけれども、ちょっと今、ベストのアンサーが出ないので、「おとなと同様」というのは削除したほうがいいのではないかというのと、「存在である」というのはなくてもいいのではないかというのが1点目です。

2点目は、「すべての人」という言葉が様々なところに出てくるのですけれども、例えば11ページにも2か所ぐらい出ているのですが、これが平仮名であったり漢字であったりしているのはちょっと整理していただいたほうがいいなと思うのですけれども、「すべての人」というのは、これだけ繰り返し出てくるということであれば、国民でもないし、市民でもないし、こういう表現をされているというのは何か解説が必要なのではないかなと思っているところです。11ページは9行目と23行目のところが平仮名と漢字になっているので、これは多分、23行目のほうを平仮名にしていただいたらいいのではないかなと思うのですけれども、「すべての人」という表現に対する意見ということで申し上げました。

以上です。ありがとうございました。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、奥山委員、その後、都竹委員、柿沼委員、坂﨑委員、吉田委員、高祖委員とお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

奥山委員: ありがとうございます。本当に短い時間にいろいろな委員の御意見をまとめていただきまして、ありがとうございます。その中で、私も乳幼児の子育て支援に関わる立場から幾つかお話をしたいと思います。

「はじめに」のところについて、最初の「権利主体として」というところは、多分、こどもがということですかね。ちょっと主語がどうなのかなと思いました。これは全てに対しての権利主体なのか、こどもの権利主体ということなのか、そこの部分。

あと、3ページに愛着のことがあるのですが、ほかのところは全部アタッチメントと書いてあって愛着と括弧書きだったと思うのですけれども、その辺の整理がここはこれでいいかどうかということですね。

それから、このページの13行目の「新しい当たり前」という表現があって、日本語とて「新しい当たり前」というのがこなれた表現であればいいのですけれども、何かもっと適切な表現があるかどうか。ちょっと読んでいて気になった部分でした。

それから、6ページから幾つかのページにあります「(すべてのこどもへのひとしい保障)」のところの未就園という表現ですね。この未就園という表現が、ここに解説はあるのですよ。就園していないことが悪いわけじゃないみたいなことが書いてはあるのですけれども、就園前のこどもとか就園前の児童という表現ではどうしても駄目なのかということですね。これが例えば未就学のというと、何となくやはり未就学ということに対しての表現はイメージすることが固定化される部分があると思うのですが、同じように、未就園についても、どうしてもそういうイメージがついてしまうので、ここの表現は検討いただきたいと思いました。

あと、保護者・養育者という言葉遣いと保護者だけの表現のところがあって、その辺を統一するかどうかというところも御検討いただければなと思いました。

次に、10ページの(4)で「身近な保護者・養育者が安心と喜びを感じて子育てをし、こども同士つながり合うことが、こどものより良い育ちにとって重要」と書いてあるのですが、ここは親のことも書きながら、こどものことも書いていて、少しその書き分けだとかが必要かなと思いました。やはりこども同士が関われる環境と、親同士がつながり合るピアサポートの関係というところが非常に大事だと思いますので、どちらも大事なのすけれども、書き分けていく部分も大事ではないかということ。それから、ここは「一緒に喜び合える」で終わっているのですけれども、こういった環境を社会がしっかり保障するということが書かれていないと、親たちでそういうふうにしてくださいみたいな感じに見えるので、それを保障する環境整備をしっかりやるということがちゃんと書いてある必要があるかなと思いました。

次に、14ページの上のほうです。堀江委員からもあったのですが、やはり保護者・養育者の第一義的責任というところがあるのですが、これは本当に最初、プライマリーという意味の第一義的責任なわけですから、ここを「重要であるが」となっていますが、重要であるからこそとか、どちらが大事かというと、支える側の社会、環境をつくっていくほうが大事なので、保護者・保育者の役割が重要であるからこそ、こどもの育ちに関する社会、環境をしっかりとつくっていくことが大事だという流れにしていったほうがいいのではないかなと思いました。

それと、19ページの乳児期のところなのですけれども、今、安達委員からも産前産後のあたりのことがとても大事だということがあるのですけれども、その他、ケアとサポートと。今日は応援とかいろいろな言葉遣いがあったのですが、ここで産後の母親及び父親をケアというふうになっていて、これは親についてのケアだから、産後ケア事業などのイメージがあると思うのですけれども、かなり濃密なケアが必要な両親もいますが、ポピュレーションアプローチからいうと、大体サポートが足りな過ぎるということなので、サポートする支援メニューがたくさんあるので、ケアだけではなくてサポートも入れていったほうがいいと思うのです。

これがポピュレーションアプローチとして全ての方に本当でしたら必要なものだと思うので、ケアだけではなくてサポート、支援のところというのはしっかり書かないと、こメニューが増えないということがありますので、そこを入れていっていただきたいと思いました。

21ページですけれども、5行目に「特にケアが必要である」と書いてあるのですが、これも保護者に対してのケアなのか、こどもに対してのケアなのか、その辺の主語がしっかり入るということと、ケアだけではなくてサポートが必要というのを全体として入れていただきたいなと思います。

それが17行目にも出てきていると思うのです。「出産前後も含めて綿密なケアが必要な時期であり」というのは、こどもに対しての綿密なケアが必要な時期でありということだと思うのです。その辺の主語というか、誰に対してのということが分かったほうがいいなと思いました。

27行目に接点づくりの工夫ということがあるのですけれども、やはり接点づくりの工夫だけですとちょっと足りないと思うのです。しっかり身近な場所において、先ほど言いましたような保護者同士のつながりだとか、こども同士が関われる場所だとか、そういったようなところも含めて、つながる工夫のところはもうちょっと丁寧に書いていただくとともに、やはりこの時点でのサービスの量が足りないということがあるので、保障されるというところをもうちょっと書き加えて、この時期に応じてのケアやサポートがもっと量的にも拡充される必要があるというようなことが必要ではないかなと思います。

最後に、30ページ、31ページの辺り。これから関係機関に調整がかかるのだと思うのですが、30ページの地方公共団体のところなのですけれども、ずっと今日は切れ目ない支援の保障というのがあると思うのですが、やはりこどもから見た、親から見た切れ目ない連続した支援の提供ということは、地方公共団体がそれをしっかり保障していくというところですね。親やこどもたちが支えられていると実感できる体制構築というのを、地方公団体は切れ目なく構築していく必要があるという、もうちょっと強めに書いていただかないと、やはりどうしても、堀江委員も言ったように、親自身がやらなければいけないというところに追い込まれてしまうと思うので、地方公共団体の役割をしっかり書いていただきたいですし、事業主に対しても、もう少し踏み込んだ書きぶりでお願いできたらと思っております。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、都竹委員、お願いいたします。

都竹委員: ありがとうございます。多くの委員もおっしゃいましたが、短時間で非常によくまとめていただいていますし、大変すばらしかったと思います。本当に敬意を表したいと思っております。

一番、私はこのヴィジョンにずっともやもや感があったのは、一体これは何なのかというところでありまして、その点を、最初の2ページ目のところでも出てきますけれども、政府全体の取組を推進するための羅針盤だと明確に書いていただいて、政策の方向性を示すものだというところを明確にしていただいた。それからまた、27ページに大綱との関係を明示していただいたので、具体的な施策は大綱のほうに出てくるということがよく分かるようになったので、大変よかったと思っています。

このヴィジョン、私は内容に賛成ですけれども、あくまでも政府として出すものですから、強制力を持って、これが絶対なんだということはやはりよくないと思うのです。ですので、政府の政策の指針であるというところ、ここはやはり押さえておかないといけないと思っておりますので、その点は大変よかったということでございます。

それで、そうなると大綱に反映されるような具体的な政策が透けて見えるようなところが必要だと思います。その点、5つのヴィジョンが出てくるところに、重要である、重要であるという言葉が何か所も出てきて、ここがいわばこども大綱のうに出てくる政策につながるところなのかなと思って読ませていただきましたが、その点を再度チェックしていただいて、この部分が具体に大綱に反映されていくんだというような、そこの透けて見える感じを明確にしておいていただくとありがたいと思います。また、それが地方自治体の施策のポイントになってくるのだろうと思いますから、その点、最終仕上げの段階で御確認いただければ大変ありがたいと思います。

それで、地方公共団体の役割の部分については、最後の別紙のところに出てくるのですが、このヴィジョンとしてはこのぐらいなのかなと思います。大綱のほうとの関係が明示されましたから、大綱の中で地方公共団体の具体的な施策につながる部分は出てくるのだろうと思います。そうなると大綱が予算とか具体的な事業に直接連動することになりますので、その件については、今後、大綱との関係の御議論の中でしっかりと地方自治体の施策、予算につながるところが見えてくるような論をお願いいたしたいと思います。

このヴィジョン全体として、細かい文言とかで申し上げたいことはありますが、この辺りは調整されるのだろうと思いますので、この段階の全体の構成趣旨、考え方については大変よくまとめていただいたということで賛同するものでございます。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、柿沼委員、お願いいたします。

柿沼委員: 柿沼です。取りまとめをどうもありがとうございました。大変よくまとめられていて、すばらしいものができたなと思っています。

その上で、私のほうは現場実践の立場で気づいたことを、3点ほど意見を言わせていただければと思います。

1点目は、ほかの委員からも出ていましたけれども、一番最初の「はじめに」の2行目です。「こどもは、おとなと同様」というところなのですけれども、やはりここは「おとなと同様」という言葉がかなり気になっていて、現場の中でも、こどもがあまり悪い意味でこども扱いをされたり、また、一人の人格を持った人間として扱われていないような案件がたくさんあるように感じています。やはりここは人格を持った一人の人間として、そもそもスタートするべきだと思っています。なので、「おとなと同様」ということではなくて、やはり生まれ持った権利の主体であるということ協調して、この部分はもう少し厚く書いてもいいのかなと思っています。

2点目は7ページ目です。「(こどもから見て切れ目のない保障)」というところで、多分これは縦と横というようなイメージだと思うのですけれども、期間によって誕生や就園前後といったところに切れ目がないものと、また、一人のこどもを中心として、面の役割としての切れ目がないというところがあると思います。1つ目のところは分かりやすいのですが、2つ目の「また、こどもは」の辺りの部分の面というのは、多分セーフティネット等の部分になってくるのだと思うのです。どの家庭に生まれても、どんな状況になっても、社会がそのセーフティーネットを広げていって、つながっていって、こどもがひとしく育っていける環境をつくるようなイメージなのですけれども、その部分がこの切れ目のないという言葉だと、どうしても縦の分断のようなところに引っ張られるのかなとうので、ここの部分は、横の面を広げるような、セーフティーネットという言葉を使うのか、そこはお任せしますけれども、そういったイメージが持てるようになると、これが現場実践につながったときに、社会がこうつながっていくんだ、面をつくっていくんだというようなイメージになってくるのかなと思います。

3点目は、これはあくまでこういう書き方でどうなのかというところなのですけれども中間イメージの概要イメージのところの青の②とこちらの中身のほうがつながっていると思うのですけれども、ぱっと見たときに、②のアタッチメントのところ、古い社会通念にとらわれず、怖くて不安なときなどというアタッチメントのところを書かれているのですけれども、一番最初が古い社会通念にとらわれずと書いてあります。これを見たときに、この古い社会通念って何だろうと思ったりするのです。ただ、本文を見てもらうとこの部分が分かるので、例えば、怖くて不安なときなどの身近な・・の最後に括弧で古い通念・・みたいな感じでもいいかなと思います。一番最初にこの古い通念にとらわれずが書かれるところなのかというのはちょっと気になります。私のように専門外の一般の方が見た時に、ここが一番言いたいのかと感じてしまうことはどうなのかというところは気になりました。もう一つが、豊かな遊びや体験のところで、遊びの重要性を過小評価せずも先ほどと同じように、この過小評価というものが多分、我々のような専門的な立場であれば分かるのですけれども、ぱっと見たときに過小評価って何だろうと、ネガティブな言葉に引っ張られるのかなと思うので、これも括弧づけか何かで、この下のところに小さい4のようなところで書いてもいいのかなと思いました。

3点です。以上、ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、坂﨑委員、お願いいたします。

坂﨑委員: 坂﨑でございます。基本的なヴィジョンの策定に向けた中間整理、大変御苦労さまでございました。たくさんの文言とか、そういうことにつきましては委員の方々がお話ししましたので、少し大きな観点で、私は乳幼児教育という観点で今回気になる点を2点述べたいと思います。

1点目は、今回の書きぶりで支援等が非常に多いことがあるのだと思いますけれど、ゼロ歳児から積み上げられていく教育が重要という観点が必要ではないかと思います。赤ちゃん、その時点では全て受容されるものだと思いますけれども、ゼロ歳児においても、自ら学ぶ主体性のある者として存在していると思います。学校教育上は満3歳からとなっていますが、それはあくまでも学校としての入り口であって、こどもはゼロ歳児から自ら学びを積み上げられていく存在であると思います。この学びは、遊びとか生活から学ぶということになると思いますが、この主体性のある学びが受容とともにゼロ歳児からあるということが重要だと思いますので、こういう点が記載されないかなというふうに今回考えました。

2点目は、現在文科省で進めている架け橋プログラムに関わる小学校との接続を少し鑑みて意見を述べたいと思います。架け橋プログラムの重要性の1つとして、小学校1年生がゼロスタートではないということは周知の事実だと思います。架け橋プログラムそのものは、5歳児と1年生のことを計画するということだと思いますけれども、このヴィジョンが進められていくときに最も熟知してもらわなければならないのは、保護者であったり私たちのような保育者、また地域の子育てだと思いますけれど、やはりこの就学前のヴィジョンというのがどこにつながっていくかというと、それ以降の小学校の関係者の方々との関係が非常に大きいと考えます。そうやって考えていくと、このヴィジョンが次の小学校以降とどういうふうにつながっていくかというのは大きな課題であるなと考えていますので、それらのことについてもある程度記載をしていくべきではないかと思います。

こどもたちの学びが次の時代にもきちんとつながっていく、受容されるとともに、そういうことも必要ではないかなと思います。

以上でございます。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして、吉田委員、お願いします。

吉田委員: 吉田です。よろしくお願いいたします。

中間整理の取りまとめ作業、本当にお疲れさまでしたというか、この膨大な内容を盛り込んでいただいたことに感謝を申し上げます。

昨年の有識者懇談会からですけれども、全然どういう状況か分からずにスタートした中で、今ようやくその着地点が見えつつあるなというのは非常にうれしく思っております。その中で幾つか意見を申し上げさせていただきます。

まず、中間整理の5ページ、6ページに差しかかる部分です。一番最後の部分ですが実際には5ページのほうです。「また」以降のところで、2行目に「質の高い幼児教育は」という文言があって、ここについてはもちろんずっと説明してきた部分でもあると思うのですけれども、単に質の高いという文言が受け取られてしまうと、どうしても学力を重視したようなところが見えてしまうところもあったりするので、もし可能であれば、どうの高いものを求めているのかというところをきちんと説明していく必要があるのかなと思いました。

これは文言的なものですけれども、その上の「両輪を為す」の「為す」は常用外漢字なので、平仮名のほうがいいかなと思った次第です。

続きまして、21ページの保護者・養育者についてのところです。全体的には内容としては賛同をしたいと思うのですけれども、多様なこどもたちの状況というところがずっと説明として書かれてくる中で、当然、保護者・養育者についても多様な状況が環境を含め置かれているというのがあるかなと思っていて、そう考えると、ずっと保護者・養育者という同じもののような指し示し方をされてしまうことに対して、保護者の中でも例えばひとり親だとか、あとは保護者自身が障害を持っている方であったりとか、貧困の御家庭あったりとか、そういった状況の方が見てもすんなり入っていけるような文言がほしいなと。文言としてそういう指し示すものがあるだけでも、その人たちへの支援がより必要だというところの名目が出てくると思いますので、ぜひ項目の中に、どこかでひとり親の支援だとか、マイノリティーに置かれた方の、よりそこはケアが必要だというところを示していただければありがたいなと思いました。

次に、24ページのところです。こちらは保護者・養育者の位置づけということで書いてありますが、その次の直接接する人の中にアタッチメントの必要性が書かれていて、こで説明する前に、やはり保護者・養育者にとってのアタッチメントの必要性というところも一つ文章としてあるといいかなと感じました。

内容としては以上になりますが、あとはいろいろな委員が御指摘していた文言の揺らぎですね。「関わり」だとか、「大人」とか、「全て」もそうですけれども、あと「コーディネーター」なんていうのも伸ばしているか伸ばしていないかみたいなところもあったしたので、言葉として使い分けというのももちろんあると思いますので、使い分ける場合はそのための説明をきちんとしてほしいなというのと、そこまでじゃないという場合はきちんと整理して、修正をいただければなと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

続いて、高祖委員、その後、横山委員、鈴木委員、明和委員とお願いしたいと思います。

高祖委員、お願いします。

高祖委員: 高祖です。ありがとうございます。私も3点ぐらい述べさせていただきます。

素案が出たときに読ませていただいて、素案のときには、こども基本法がというところから文言がスタートしていまして、大変もやっとして、何でもやっとするのだろうと思って一生懸命考えて、こどもが権利の主体というのがまずは先に来るべきではないかということで申し上げさせていただきまして、そこを取り入れていただけたことは大変感謝しおります。さらに文中でも権利の主体というところを幾つか入れていただいて、本当にありがとうございます。

あとは、25ページの7行目とかに「適切な状況にあるかを確認し必要に応じて改善していく」だったりとか、28ページ目の30行目辺りで「定期的にモニタリングを行い、取組のフォローアップを行うことができる体制をつくる」というようなところも、本当に内容的にはかなりいいものになってきているかなと思いますけれども、やはり定期的にというか、きちんと調査して、それがきちんと進んでいるかを確認して、さらによいものをつくっていくというところが大事かなと思っています。

あとは最初、冒頭のこどもの権利というところ、権利の主体というところですが、何人かの委員からもありましたけれども、「おとなと同様」というところはあえて入れなくていいのかなと思っております。

そのほか、私は特に言わなければいけないと思っているところは、23ページの3行目に「体罰によらない子育て」ということで入れていただきまして、ありがとうございます。

その後の「必要なことなどおとなからこどもへの避けたい関わりや」というのは、そういうことはあるのですけれども、あえてこの言葉を入れなくてもいいかなと。逆に、その次のところで、こどもの主体性の発揮に向けて必要な大人からこどもへの関わり方などを学んでいくというような視点が必要かなと思っています。

6行目のところ、「保護者・養育者がアクセスできる」ということですが、アクセスし、学ぶことができるだったりとか、7行目で「こどもの育ちを見取り」と書いてありますが、見守りなのかなと思います。

8行目のところ、伴走者の存在や周囲の助けや支援、応援も重要であるみたいな、ちょっと言葉がまとまっていませんが、そのようなニュアンスで少し見直していただけるといいかなと思っています。

あと、最後に、この文書が出たときにどう実施していくかというところがすごく大事だと思っていて、それは保護者自身もそうですけれども、やはり自治体がどういうふうに変えていかなければいけないのかというところを具体的に分かって政策の中でやっていただくことがすごく必要だと思っていますので、体罰によらないというところもそうですし、あと、インクルーシブ教育などについても書かれておりましたけれども、そういう一つ一つのことに対して、では、どうやって実現していくのかと。考え方は出たのだけれども、自治体には全然広がっていないということにならないような感じで、今の議論の中ではないかなと思いますけれども、そういうところをぜひ丁寧につないでいくことが大事なのかなと思っています。

あともう一つだけ。先ほど奥山委員から6ページ目の未就園という言葉のお話がありましたけれども、それを就園前というふうにすると、ちょっとやはりニュアンスが変わるかなと思っています。就園する前のこどもたちの話はもちろんあるのですけれども、就学前の直前になっても就園していないこどもたち。もちろん親の考えだったりとか、あえて就園させないで自分で子どもを見る方針でという家庭だったら、それはそういう考え方もあると思いますけれども、国としては無園児という言葉は使わないと聞いておりますが、そういう中で適切な関わりを受けることができないこどもたちもいますので、その辺の言葉(ニュアンス)が薄まってしまうような感じにならないように御配慮いただければなと思っています。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、オンラインの横山委員、お願いいたします。

横山委員: よろしくお願いします。

まず、中間整理の御作成、どうもありがとうございました。私からは、5ページ目の16行から18行にありますところに関して、意図しない分断ですとかスティグマを生じさせないという観点から意見させていただければと思います。

16行目から18行目に「さらに、障害に関すること以外も含め」で、最後は「重要視されなければならない」という文章があるかと思うのですが、まず1点目として、障害に関すること以外も含め、見えない壁によってという表現がちょっと抽象的で、具体を想像しづらいのではないかという部分がまず1点と、あと2点目、大多数と比べてという表現を用いることによって、意図せずマイノリティー、マジョリティーの対比表現になり得てしまのではないかなと感じました。大多数の人も様々な困り感を抱える可能性は当然あるわけですので、あえて対比表現を用いなくてもよいのでないかと感じたところです。

3点目なのですが、不利な状況に置かれがちなこどもや家庭の困り感等に対して「積極的に目を向ける」という表現が、場合によってはパターナリスティックだと解釈される可能性もあるのではないかなというところと、あと、目を向けるという表現だけでは、具体的にどのようなアクションが取られるのかということが不明確ではないかと感じたところです。

これら3点を踏まえまして、この16行目から18行目について、今回のヴィジョンにあります多様性を尊重し、包摂的に支援するという表現と、あと今回のヴィジョンの重要概である身体・精神・社会、バイオサイコソーシャルの概念を使って、例えば表現として、身体的・精神的・社会的な要因によって困難を抱えるこどもや家庭を包摂的に支援する視点が欠かせないといった表現に変更していくというのも一案ではないのかなと思っている次第です。

以上になります。ありがとうございます。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、鈴木委員、お願いいたします。

鈴木委員: よろしくお願いいたします。中間整理案、本当に丁寧にまとめていただき、ありがとうございました。私からは2点です。

「はじめに」の中で「大きな価値転換である」とか「現状には残念ながらない」というような言葉があって、その背景といいますか、そこはちょっとあってもいいかなと思いまして、7ページの最初の○、「今の親世代の幼児期までの育ちと比べ、家庭や地域の状況など社会情勢が変化したこと」云々というようなことがあるので、これが「はじめに」の中に盛り込まれてもいいかなというふうにちょっと思いました。

それから、2つ目です。16ページ、17ページの「遊びや体験」なのですけれども、古賀委員の御意見を拝読して、まさにそうだなと思ったのですが、「遊びと体験」で相互にぶっているというようなニュアンスをもうちょっと出せるといいかなと思っています。

あと、行政の側にいた経験があるので伺いたいというか、ちょっとお考えいただきたいのは、17ページの2つ目の○のところに「五感を使い」という言葉があるのですが、五感のないこどももおりまして、こういう場合、行政的には、身体の諸感覚というような言葉を例えばよく使うと思うのですけれども、その辺の行政文書としての文言はどうなのだろうかというのはちょっと思いました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、明和委員、お願いいたします。

明和委員: 明和でございます。本当に大きな御尽力だったと思います。私は脳科学生物学者なのですけれども、今回、科学的知見をリスペクトしていただき、このような形で、なぜこの時期が生涯にわたるウェルビーイングという観点から重要なのかを記していただいた点は、日本の子育て、子育ちが大きく転換する第一歩になるのではないか、と期待を寄せております。諸外国に対し、これを英語化して発信しても、すばらしい理念だと世界に思っていただけるのでは、と個人的に感じます。

私からは、本内容をよりよいものにしていただくための意見を述べさせていただきます。「資料3」で言いますと15ページ、「概要イメージ」で言いますと青の②の箇所ですが、「安心と挑戦の循環」について、です。安心と挑戦が「循環」となってはいますが、資料3においては安心のところは書いてあるのですけれども、どうすれば挑戦との循環が展開していくかに関する記載がほとんどありません。

神経科学的観点から詳細に申し上げますと、実は、「安心」と「挑戦」を生み出す脳内機序は異なるものです。こどもたちは何か不安が起こったときに、体を例えばくっつけたりしてホメオスタシスを身体の外側から制御してもらうのですが、では安心が得られると次に挑戦へと向かうかというと、そうではありません。挑戦に向かうためには、さらにもう一歩重要なファクターがあります。それは、おそらく乳児期からの「教育」につながると思うのですけれども、社会からのフィードバック、専門用語で「足場づくり」とか「scaffolding」と言うのですが、そうした外側からのフィードバックがなければ挑戦へと結びついていかない。

「概要イメージ」で言いますと、ここで示されている図は2次元的にぐるぐる循環になっているのですけれども、これは正しくなくて、本来はらせん的に上のほうに向かっていくことでこどもたちは自立していくのです。その意味で言いますと、身体体験を通した豊かな遊びがさらなる挑戦に向かうには、こどもたちの遊びの中での不安や感動というものを周囲が受け止め、そして、そこに適切なタイミングでフィードバックをすることが挑戦の土台として必要です。この点を記載いただくというのが正しい表現だと思います。また、それが日常的に実践される時空間こそが、本当の意味での「質の高い」保育・教育であるはずです。こうした視点も盛り込んでいただければありがたいと思います。

以上です。

秋田部会長: ありがとうございます。

それでは、続きまして、大豆生田部会長代理、お願いいたします。

大豆生田部会長代理: ここまでの作業は本当にありがとうございます。また、今、委員のそれぞれのお話を伺いながら、そのことも含めて4点お話しさせていただきます。

1点目ですけれども、3ページの5ポツ目の「乳幼児がまたすべての人とともに次世代を育てる好循環が続いていく社会」ということで、これでもいいのですけれども、これは一貫して育つということが育ち合うことというか、異世代とか異年齢の関係でどっちかがどっちかを育てているというよりは育ち合う。これは保育の場合の異年齢保育もそうですけれども、まさに次世代を育て、育ち合うみたいな表記のほうがよりよいのかなと思いながら読ませていただきました。

2点目が4ページになります。ウェルビーイングの考え方の2つ目の○のところになるでしょうか。ウェルビーイングの考え方が全てここに説明としてなされているのかもしれないのですけれども、これは単に一人のこどもの幸福の話だけではなくて、社会の幸福につながるんだというニュアンスが少し出せるとよいのかなと思いながら読ませていただきました。

3点目は、先ほど冒頭に水野委員がおっしゃったこととつながってくるのですけれども、(4)の保護者・養育者のウェルビーイング、21ページ以降になるのですけれども、子育ては悩んで当たり前なのだという御発言がありました。そのことが書いていないわけではないのです。だけれども、この表現の仕方だとそこが見えにくいかなというか、もしかするとそこが前面に出てきた上で、だから相談につながるだとか、周囲の支えが必要なのだという考え方の構成の仕方にしたほうが、先ほど水野委員がおっしゃったニュアンスが前面に出てくるような表記になるかなと思いながら伺いました。

それから、4点目は遊びのところになるのですけれども、遊びの中で、その1つは古賀委員が書いてくれたことともつながります。この中で書いていないわけでもないのですけれども、社会情動的な経験のところと、いわゆる認知的な側面ということが、両方なのだということがもう少し分かるように書かれたほうが誤解を得にくいかなと思いました。

遊びに関わってはあと二つ。これは水野委員も坂﨑委員もおっしゃったように、つまり遊びや生活の中に育ちがあり、学びがあるのだということで、しかも、その学びは小学校以降ともつながっていくということも含めて、この辺りのことが表記できるとよりよいなというふうに思いながらお話を伺いました。

遊びに関して最後ですけれども、この遊びのところのことなどを保護者が、自分が1人でやることなのだともし読んでしまったとするならば、すごく大変なことだなと思いました。全体のトーンとしては、園の関係者がおられるから、当然そういう前提でお話をしているわけですけれども、こどもたちはある一定の時間を園生活、群れの中で育つということが前提でこれは書かれているはずだと思います。そうだとすると、子育て支援拠点なんかもそうかもしれませんけれども、園なんかはこども主体の遊びや学びの生活をしているわけですから、園の保育が遊びを通した育ちや学びを重視していると同様に、そことつながりながら全体の生活があるのだということのニュアンスが少し出せると、親が全部このことをやることではないんだというニュアンスがもう少し出せるかなと思いながら読ませていただきました。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

多くの御意見をいただきました。私も個人的には、古賀委員が言われて、今、大豆生田委員も言われた、やはり社会情動的な側面だけではなくて、乳児期からの育ちと学びというものが、小学校以降、生涯にわたる学びの基盤を形成していっているというようなところで、その学びを行うことが、生涯にわたる豊かなウェルビーイングにつながるというようなところのメッセージが必要だろうと考えます。

2点目としては、柿沼委員、あと古賀委員も言われていました切れ目のなさということの縦の関係だけではなく、横のネットワークによって面にしていくということが重要だろうと思います。

3点目としては、地方公共団体というところの役割が、どちらかというと、この基本的ヴィジョンを請け負って、公共団体が実施するという施策を行う側だけに書かれているのですけれども、やはり自治体が自立性や主体性を持ってこれまでやってきたこととか、すぐれた好事例などを横展開していくことによって、その全体として、国が豊かなヴィジョンをさらに充実させていくのだというような形の役割というのでしょうか。そういうトップダウンだけではない地方の自治体からの在り方ということが入るといいかなと思いました。

細かいところでは、育ちの空間というところで公園が入っているのですけれども、例えば、科学館とか、図書館とか、公共の様々な場が乳児期から使われていますので、広くそういう文化施設というものの具体例が挙がってもいいのかなと思ったりしたところです。

いろいろ皆様、御意見ありがとうございます。

本日の会議は、これにて終了といたします。

皆様、スムーズな会議進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。

本日の皆様の御意見を踏まえて修正させていただき、中間取りまとめ案として次回お示しできればと存じます。

次回以降の日程につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。

齋藤課長: それでは、次回の日程ですが、先ほど今後のスケジュールでも申し上げましたけれども、次回、第7回は9月14日、時間は16時から完全オンライン開催を予定しております。

以上でございます。

秋田部会長: これで閉会いたします。

オンラインの御参加の方もありがとうございました。