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幼児期までのこどもの育ち部会(第2回)

概要

日時:令和5年6月14日(水)10時30分から12時00分
場所:こども家庭庁 22階庁議室

【オンライン配信URL】
URL:https://www.youtube.com/watch?v=8NDzeg032Js

議事

  1. 今後の部会の進め方について(案)
  2. 委員ヒアリング
  3. その他

資料

議事録

秋田部会長:おはようございます。

ただいまより、第2回「幼児期までのこどもの育ち部会」を開催いたします。

今回も対面、オンラインのハイブリッドでの開催となっております。

御多用の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

初めに、事務局から委員の皆様の本日の御出席状況と、本日の議事の確認をお願いいたします。

高木課長:本日の委員の出席の状況でございます。

倉石委員が都合により御欠席と御連絡をいただいております。

オンラインにて御参加いただいている委員につきましては、安達委員、有村委員、稲葉委員、古賀委員、鈴木委員、都竹委員、水野委員、明和委員、横山委員になります。

都竹委員におかれましては、遅れて御参加と伺っています。

他の委員におかれましては、対面での御参加となっております。

また、本日の議事に関しましては、次第に記載のとおり、2つとなっております。

「今後の部会の進め方について(案)」と「委員ヒアリング」でございます。

2つ目の議題では、有村委員、鈴木委員に御発表いただく予定です。

本日もよろしくお願いいたします。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、早速、議事に移らせていただきます。

まずは、事務局から資料の御説明をお願いいたします。

高木課長:まず、資料1-1を御覧ください。

「基本的な指針(仮称)策定に向けたスケジュール」でございます。

基本的な指針とこの部会におきましては、幼児期までのこどもの育ちに関しまして、こども大綱に盛り込むようなことも御議論いただくことになっているところでございます。

特にこども大綱に関しますと、下にスクロールしていただきまして、9月ぐらいには何らか、こちらの部会としてのまとめをしておくと、基本政策部会等のつながりがいいのかなと思っておりますので、9月めどで中間取りまとめ案ができればと、事務的には思っています。

こちらの部会でございますが、こども基本法でこどもの意見表明、施策への反映と規定されておりますので、こどもの意見、もしくはこどもを取り巻く大人の意見を聞く仕組みを並行してやっていくのかなと。委員の先生方の御議論と並行して、そういったことをしていくのかなと思っています。

この部会のベースは、3月までありました有識者懇談会でございまして、有識者懇談会のときに構成員でいらっしゃらなかった新たな委員の先生方から有識者懇談会の論点整理に関わる御意見等を発表いただければと思っています。

そういうことで、有識者懇談会の深掘りを進めているのと、多様な意見をいろいろなところから聞いていこうと考えています。

その意見の聞き方ということで、資料1-2でございます。

「こどもとすべての人の声を基本的な指針へ反映する方策について」でございます。

冒頭に申し上げたとおり、こども基本法にのっとりまして、こどもの思いを受け止め、施策に反映していく必要があるのかなと考えているところでございます。

「Ⅱ.全体イメージ」で書かせていただきましたが、4つのフェーズで御意見を伺おうかと思っています。

1つ目が「幼児期までのこどもの声」。

2つ目が「学童期以降のこどもの声」。

3つ目が、こどもまんなかチャートで示した社会全体に向けたアンケート。

4つ目が「部会ヒアリング」なのですが、1つ目の幼児期までの声なのですが、0~5歳のお子さんの声と、ここの施策の中心的な対象となる0~5歳なのですが、そちらの当事者の意見を聞いていかなくてはいけないのですが、発する言葉は本当にその子らの思いなのか、言葉をそのまま捉えていいのか、もしくは、実際の言葉以外の態度等でも出されている思い・願い等があるのではないかということがありますので、そういった年齢層、0~5歳に日々接している保護者・養育者とか、保育士さんをはじめとしましたこどもと直接接する方々を通じて、こども・乳幼児の思いを聞き取れればと思っておるのが1つ目です。

詳細は、また追って御説明させていただきます。

2つ目は「学童期以降のこどもの声」ということで、小学校入学後、大体20代ぐらいを対象に意見を聞いていければと。

別途、こども家庭庁で今年度から始めております「こども若者★いけんぷらす」などを活用しようかと考えています。

3つ目が「『こどもまんなかチャート』で示した社会全体すべての人に向けたアンケート」でございまして、こどもを取り巻く様々な立場の方々からアンケート調査を実施できればと思っております。

4つ目が「部会ヒアリング」ということで、いろいろな関係団体の方々から直接ヒアリングができればと思っているところでございます。

スライドしていただきまして、2枚目のシートでございます。

1つ目の「幼児期までのこどもの声を聴く方策」でございます。

0~5歳を対象に、子育て広場とか保育所などに、我々こども家庭庁の職員が出向きまして、保護者・養育者とか、保育士さんをはじめとするこどもと直接接する人から、こどもたちの思いを酌み取ろうとしていこうと思っています。直接的な言葉だけではなくて、いろいろな態度などから酌み取っていく必要があるのかなと思っています。

こども家庭庁の中には、私のような事務方もいますし、また、保育所などの現場から来ていただいている職員もいますので、その2者がペアを組むことによりまして、数日間、そういった子育て広場とか保育所等に出向きまして、保護者・養育者等の方々からお声を聞いていければと。

観点としまして、今のところ考えておるものとしましては、こどもの育つ姿を見たり、こどもと直接接する体験をするときの観点とか、保護者、保育士さん等のこどもと直接接する方々との対話の観点などがあるのかなと考えています。

2つ目が、学童期以降、若者世代の声を聴く方法ということで、冒頭に簡単に申しましたとおり「こども若者★いけんぷらす」というこども家庭庁の今年度からの新たな事業を活用しようと思っているところでございます。

7ページから「こども若者★いけんぷらす」の事業の御説明資料になっています。

8ページを御覧いただけるとありがたいのですが、現在、小学校1年生から20代の方々を対象に登録を進めておるところでございます。

1万人ぐらいを目指しているところでございますが、今は4,000人前後ぐらい応募があったようですが、ぜひこういった方々からいろいろな形で意見を聞ければと思っているところでございます。

9枚目のスライドに「仕組み(イメージ)」がございますが、いわゆるアンケート調査だけではなくて、ファシリテーターさんが間に入って、対面とかオンラインなどでこども・若者の意見を聞くような意見交換といったことも取組としてはできる模様なので、ここは担当とよく相談して、実施できればと思っているところでございます。

またシート3に戻っていただきまして、この仕組みを使って聞く観点としましては、2つあるのかなと思っています。

特に小学生ぐらいがいいのかなと思っているのですが、0~5歳の乳幼児期にどんな思いを抱えて生活していたのか、育ちをしていたのかといった観点と、その世代は、その後、成長して大人になれば、こどもを支える立場になっていただきます。もしくは、親になっていく方々もいると思います。

ですので、この先、乳幼児のこどもたちを支える担い手となる立場で、どういった観点で考えているのか、今どう考えているのか、もしくはそういう経験があるのかみたいなことも聞いていければと思っております。こちらが2つ目でございます。

3つ目が、シート4になりますが「すべての人の声を聴く方策」で、こどもまんなかチャートで示した社会全体の全てのアンケート調査でございます。

こどもと日々接するような保護者・養育者、もしくは保育士さんをはじめとした直接接する人だけではなくて、日々こどもたちに接しないような地域社会を構成する人、社会全体で環境をつくる人などをカテゴライズしながら、意見を聞いていくのかなと思っています。恐らく、共通で聞く事項と、個々、その立場に応じた意見を聞くところといったアンケート項目をつくらなくてはいけないのかなと考えています。

4つ目でございます。

シート5でございます。

部会ヒアリングでございまして、これはよく審議会などであるのですが、団体からヒアリングしましょうと。保育・幼児教育団体とか子育て関係団体、企業とか自治体などから御意見等をいただければと思っています。

資料1-3が、議論のベースとなるものでございますが、ベースとなるのは有識者懇談会の論点整理でございますが、第1回に様々な委員の先生方から御意見をいただきました。

事務方で形式的に幾つかカテゴライズさせていただきました。

全体に関わる御意見とか、横串が必要だといった御意見をはじめとしました横断的な展開の重要性。

3つ目ですと、社会全体の意識醸成をする必要があるのではないかといったこと。

こどもファスト・トラックに対する御意見等もいただいているところでございます。

4つ目が、共生社会の実現に向けた、特別な支援の在り方。

インクルーシブ教育、ダイバーシティといったことについて御議論、御意見をいただいているところでございます。

5つ目、この基本的な指針は、施設に通っている子以外の未就園児も対象となってきますので、未就園児の育ちの充実に関する御意見等を3つまとめています。

特に幼稚園、認定こども園、保育所などの施設を中心とした育ちの質の保障が6つ目で、そういったところにおける人材育成・養成に関するのが7つ目。

8つ目が学童期、小学校に入って以降との接続とか、思春期・青年期までの取組、学校との連携で、こどもを支える立場になっていくような子らと関わるような学校との連携に関わるものが9つ目。

10個目として、基本的な指針の名称で、秋田部会長から御意見いただいたものを中心に書かせていただいているところでございます。

11としまして、様々な自治体等の好事例を収集、横展開とか、施策の発信といったもの。

12で、科学的なエビデンスの蓄積、調査研究の活用などを整理させていただいているところでございます。

また、本日も御意見いただきましたら、こういう形でまとめさせていただきまして、9月あたりをめどとしております中間取りまとめの議論に向けて進めていければと思っているところでございます。

事務方からの説明は以上でございます。

よろしくお願いいたします。

秋田部会長:御説明どうもありがとうございました。

それでは、今御説明いただきました、前回の議論も踏まえた今後の部会の進め方につきまして、御質問や御意見、御提案がございましたら、対面の方は名札を立てていただきまして、オンラインの方は挙手ボタンをお願いいたします。

それでは、どうぞそれぞれ御意見を賜れればと思いますが、いかがでございますでしょうか。

ありがとうございます。

高祖委員、お願いします。

高祖委員:高祖です。

ありがとうございます。

いろいろと整理いただいて、ありがとうございます。

今さらというところでもあるのですが、こどもの育ちという観点に関して、いろいろと整理いただいているところですが、例えば昨日、総理の御発言もありましたが、児童虐待とか社会的養護、0歳のこどもから、施設や里親さんとかと暮らすこどもたちもいますし、障害児の支援、発達障害、身体障害の子たちもいますし、独り親もありますし、多胎児もありますが、今、いろいろな部会がすごく同時並行でたくさん動いている。

要は、こちらの部会でもお話に出てきますが、どこがメインというか、やっているかというところが明確化されていないと、その議論が抜け落ちてしまったり、どこかほかのところでやっているのではないかという感じで、話があまり深まらなかったりとかというところを少し心配しておりますので、そこら辺の考え方を一度伺えればと思っています。

あとは、こどもの意見を聞くというところで、特に未就学児の場合には、事務方と元保育士などのペアで聞いていくという御提案のお話がありました。

未就学児に限らずなのですが、こどもの意見というか、話の聞き方みたいなところで、保育士であってもというか、専門職であっても、保育は、もちろん専門職なのですが、こどもの意見を聞くというところに関しては、まだまだ周りが行き届かないという言い方は語弊があるのですが、そういうこともあるかと思っていますので、アドボカシー学会も立ち上がったり、今、子どもアドボカシーの養成講座などもスタートしております。私も受講していたりするのですが、そういう情報をきちんと確認した上で、こどもが安心して話をできる環境づくりも大事かなと思っています。

あとは、話が飛んで申し訳ないのですが、こども基本法の附帯決議に書かれました、子どもコミッショナーという表現ではありませんでしたが、こどもの意見を聞いたり、こどもに寄り添う施策を考えていく上で、客観的にそれをちゃんと実現できているのか、あるいはこども家庭庁自体の施策がこども基本法にのっとっていたり、こどもの権利にずれていないかというところも含めて、何か独立機関も必要かなと思っておりまして、附則に書かれてはいるのですが、今、それをどこが主体的に動いてくださっているのかなというところも少し気になりました。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、奥山委員、次に秋山委員、お願いします。

奥山委員:御説明ありがとうございました。

本年度に入って、この部会で実施しなければいけない多くのことが全体として御紹介されたわけですが、ヒアリングや調査に関しても、これだけの対象者について、きめ細やかに対応していくとなると、非常に大変な労力がかかることだなと感じております。

こども大綱への反映が目標としてあるとはもちろん承知した上で、今回、特に今日、高祖委員からもありましたが、こどもの声を聞くことが本当に新たな試みと言っていいほど、非常に大事な内容だと感じております。

特に就学前のお子さんたちのノンバーバルな部分での調査、ヒアリングをどのように進めていくのかということにつきましては、これまでの調査研究も踏まえながら、今回限りではなくて、継続して調査がされていくように、どうしても今年やらなければいけない目標プラスアルファでしっかりと詰めていく必要があるのではないかと感じております。

また、養育者の方への調査もあると思うのですが、養育者が課題と感じていることを解決していくためにはどうしたらいいのかと、アンケートをしながらもサポートしていく視点とか、そういったことも反映させていただきたいなという気持ちでおります。

調査研究については、皆さん多くの意見があるだろうと思っておりますので、丁寧な検討をお願いできればと思っております。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

続きまして、秋山委員、お願いします。

秋山委員:秋山です。

こどもと全ての人の声を基本的な指針として反映することは、こどもたちの幸福のため、Well-Beingのために必要だと思いますので、今回のこの案については、本当にいい提案をしてくださったと賛同しています。

こどもがWell-Being、幸せであるためには、身体・心理・社会の視点を統一するということを掲げたと思います。

そうであれば、今回の中に、身体・心・社会という視点で見ていくということも記載していただけないかと思います。

こどもたちが自由に話をしていく中で、聞く側が何を酌み取るか。

例えばこの前、豪田監督の『こどもかいぎ』がありました。あの中で、パパとママがけんかをしていて、私は心配しているという声があったと思います。

そうした場合に、家庭という社会は大丈夫かという聞き手側の理解が必要だと思いますので、そういうこどもたちの声をどのようにして、また、全ての人の声をどのように受けて酌み取るということを身体・心・社会という形でまとめていただけないかと思います。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、オンラインで稲葉委員、その後に古賀委員、水野委員にお願いしたいと思います。

稲葉委員、お願いします。

稲葉委員:稲葉です。

今日は伺えなくて、申し訳ありません。

まとめていただいて、本当に丁寧な対応をありがとうございました。

障害児の子を育てている立場として、皆さん多くの方が大丈夫かなと懸念されているところだと思いますが、特に幼児期までのこどもの意見を聞く、こどもたちの気持ちを聞くといったところで、0~5歳と特に難しい中で、さらに配慮の必要なこどもたち、障害のあるこどもたち、特に自分たちの心をうまく表現できないこどもたちの声を拾うのがより困難なのではないかと思うのです。

そこで、こどもの声を聞くことと、うまく意見を発せられない障害を持っているこどもたちの気持ちを酌めるであろう親御さんの力は非常に必要なのかなと思うので、ぜひ意見を聞いていただく場を設けていただけたらと思います。

保育所などを回られるということだったのですが、支援型の幼稚園など、特に配慮の必要なこどもたちのところも、できれば行かれる市区町村の一番大きな支援が必要なこどもたちが集まっている場所に伺って、親御さんたちの御意見、困り事なども聞いて、こどもたちの心の代弁者として、親御さんたちのお気持ちをぜひ伺っていただけたらと思います。

そのときに、これは私のリクエスト、お願いなのですが、インクルーシブ教育は、世界的な流れからも、日本は遅れを取っていますね。その遅れを少しでも取り戻せるように、こどもたちの希望が真ん中なのだ、こどもまんなかなのだということも踏まえて、希望するこどもたちには、普通学級に行ける権利がもちろんありますよという情報も正しくお伝えすることも大切なのかなと思いました。

部会のヒアリングは、団体のところもされるということだったのですが、幼児期のお子さんの気持ちを酌むところだけではなく、団体のところも、障害のあるこどもたち、人たちの団体にも意見を伺っていただけたらと思います。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、古賀委員、お願いいたします。

古賀委員:よろしくお願いします。

「こどもとすべての人の声を基本的な指針へ反映する方策について」で、対象ごとに目的は何を聞くのかということが書かれていなくて、とにかく声を聞くと書かれているようにも読めるところが気になっております。つまり、何を明らかにするのかということが明確になっていないと感じています。

目的のないフィールド調査は、調査を受ける側にも負担がかかります。

こどもを権利主体として見る立場で行う調査であるならば、こどもが発達に応じてこの調査の内容を理解し、主体的に調査に関与することを選び、関わっていくということを大事にするべきではないかと思います。

まず、乳幼児期については保護者に対して、児童期以降については、こども本人にも、この聞き取りが、今後の指針やこども大綱につながる重要なものであることを説明し、そのために必要な、何を明らかにするために行うのかという目的を明示すべきではないかと考えます。

もう一点、研究者として大いに違和感がありますのは、問題設定がないことです。

問題設定がないところから調査を行うことは、困難を極めます。

特に保育という分野では、フィールドに丸腰で出ても、茫然として帰ってくるような情報量の多さと文脈の多さであり、これまで保育学の研究者がどれだけ苦い思いをしてきたか分からないほど手ごわいものです。

そこに問題設定もなく、日常の保育の文脈も知らない、いわゆる第三者がその日見て、感じることから読み取れることを探る。それは今、新たに国の予算を投じてやるべきことなのか。既にこれまでも様々に検討されてきたのではないのかと大いに疑問を感じます。こども施策に関する課題があるからこども家庭庁が発足し、社会に発信していく必要があるから指針や大綱を策定しようとしていると私は理解しております。

これまでも、こどもに関わる施策に関しましては、内閣府や厚生労働省、文部科学省のそれぞれこどもに関わる分野担当部署におきまして、様々な検討会がなされ、議論がなされ、関連の調査研究がなされてきました。

そこで課題とされてきたことをもう一度こどもの目線で、こどもから見た問題として捉え直すことをしっかりとやるべきではないでしょうか。その問題について、今、こどもがどう感じ、考えているのかということを明らかにし、施策に生かそうというロジックなら理解できます。

そういった聞き取りを行っていく過程において、さらにこどもの中から湧いてくるものとして、そういえば、そのほかにもこんなことがあるという問題提起が出てきたり、さらに大切な視点がオリジナルに出てくるという可能性が掘り起こされてくるのだと思います。

ゼロベースでフィールドに出ていくのではなく、きちんと問題を構造化し、調査手順を明確にし、掘り起こしを行う調査者側の訓練も含めて、丁寧に行っていかなくてはならないのではないでしょうか。このままでは、こどもが自他を傷つけるようなことも出てくる調査デザインだと感じております。こどもが健やかに生きる権利が守られないような調査になってはならないと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、水野委員、お願いいたします。

水野委員:大東市教育長の水野です。

私からは、3点意見させていただきます。

1点目は、年齢なのですが、こどもという言葉の定義です。

こども基本法の第2条では、『「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。』とされ、年齢で区切らない定義づけをされたと理解しているのですが、例えば本部会においては、幼児期までのこどもの育ち部会というところで、大枠の年齢で区切らないこどもの定義の中の幼児期までという理解はすんなりとできるのですが、こども・若者プラスの対象年齢は、20代までという形になっているのです。

幾つかそのようなアンケート指標などを見ていても、こども基本法で年齢によってこどもを定義しないとしているのに、様々な調査手法やターゲティングのところでは年齢制限をしているとなると、恐らく、最後は、30代前半の心身の発達の過程にある者というような、こどもという定義に当てはまるところが除外されてしまうのではないかという懸念もあります。これはどっちを取るかでいえば、当然、法律を重視すべきなのですが、私の中で腑に落ちないというか、どう理解すればいいのかなというところがありますので、この辺りは事務方で論点整理をお願いしたいというのが1点目です。

2点目です。

意見表明権は、私も教育長の立場で、様々校長・教頭先生にこのお話をさせていただいているのですが、教育長の取組として、実は生徒会全てに私が回って、まさに生徒会のこどもたちの生の意見を直接対話しながら聞いていく企画を続けております。

そのときに気をつけないといけないのが、あなた方の声を聞きたい、聞いたものは反映するよと言ってしまうと、ほぼ要望しか上がってこないのです。

当然、行政ですので、要望を全て聞くわけにもいかないこともございます。

ですので、皆さんの意見を聞いた上で、反映できるところは考えるし、反映できないところは説明するよと。つまり、全て反映されないという前提で意見を聞くということをしております。

ですので、意見表明権は、条約の12条にあるのですが、たしか以前の文部事務次官通知で、必ず反映されるというところまで求めるものではないという表記があったと思うのですが、意見表明権は、そういう理解で進めていっていいのかというところが2点目です。

3点目です。

今回、学童期以降のこどもの声を聞くというところがミッションとしても上がってきております。

先ほど古賀委員がおっしゃったことに全く同感でして、問題提起というか、課題設定がされていない質問をすることに何の意義があるのかなと感じるところです。

そこでいいますと、文部科学省でほぼ悉皆でアンケートを取ったりもして、こどもの声をデータとしては集めていますので、しっかりとそちらと突合させていく。ないし、そのずれを検証していくところも踏まえた上で、そもそも前段の課題設定をもう少ししたほうがいいのではないかと感じるところです。

以上、3点です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、柿沼委員、その次に加藤委員と進みたいと思います。

お願いします。

柿沼委員:柿沼です。

取りまとめありがとうございます。

私は、4点ほど意見させていただきます。

今、水野委員や高祖委員の言われたものを前提として、現在こどもが抱える社会課題を解決するために、アンケート調査をしていくものだという認識の下で、4点ほどさせていただきます。

1点目なのですが、乳幼児の施設を運営して、乳幼児と日常的に関わっている立場から、乳幼児のこどもの思いを聞いていくのはかなり繊細なことで、大人や保育者側の思いがバイアスとなってかかるものも多いですし、こどもの意見なのか、保護者側の意見なのか、保育者側が望ましいと思う家庭の姿なのか、こどもの姿なのかということが考えられますので、ここは専門的にこどもの発達やこどもの心理といったものを専門的に理解される方の知見をきちんと併せた上で課題設定をして、意見を聞かないと、本当のこどもの声なき声みたいなものを拾っていけないのかなというのが1点目です。

2点目は、産前・産後の0歳児の虐待死が一番多いにもかかわらず、ここの支援は行き届いていないことが現状としてあります。

ここは、社会の一員の方と乳幼児のところに隙間がありますが、産前・産後あたりの保護者、またはおなかの中にいるこどもというところを考えていくと、ここの部分の声を十分に聞くことが、虐待とか虐待死みたいなものを減らしていったり、社会課題を解決するための大切な部分ではないかというのが2点目です。

3点目は、学童期への意見徴収に対してです。今回、全てのこども、誰一人取りこぼさない社会を実現していこうということであれば、もちろん、学校や学童に所属しているこどもの意見は大切なのですが、不登校であったり、またはヤングケアラーのように、学校に行かず、家庭で親の代わりに家事等をしているこどもや、学校に行けず病院療養しながら生活している子、家出等といった保護の対象となっている子ども、施設で育てているようなこどもの声はすごく重要になってくるのではないのかなと思っています。

施設だけのアンケートではなくて、ここはなかなか繊細なところだと思うのですが、そういった今まで日の当たらない部分で生活しているようなこどもたちの意見も拾っていけるようなやり方があったら望ましいのではないかと思います。

最後は、今の話に延長するのですが、アンケート調査も、地域性や養育環境、家庭環境によって出てくるデータが変わってくるのではないかと思います。なので、データを取る際には、そういった地域や状況とかが分かるようにしていくと、今後の施策に生きていくのかなと思いますので、その辺りも含めて4点の意見とさせていただきます。

ありがとうございます。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、加藤委員、その後、オンラインの安達委員にお願いしたいと思いますので、お願いいたします。

加藤委員:加藤です。

私も、こどもの声を聞くというところの資料にある観点に違和感があって、この問いは何かと考えていたのです。

先ほど古賀委員がまとめてくださったことが、まさにそういうことだなと思っていまして、このままだと、ヒアリングに行かれる職員の方が報告書をまとめるのに大変苦労されるのだろうと思います。

その前提となっている、こどもの声を聞くのはとても大事なことなのだけれども、この部会の中で、なぜ声を聞くのかということの背景や現状の認識はどうなっているのかということなのですが、保育とは、ただこどもの声を聞いているだけではなくて、幼児理解とこどもの気持ちを受け止めて、そこに願いをのせて、環境を通しながらこどもと一緒に取り組んでいって、振り返っていく営みです。

そういった意味で、こども自身と保育者が共に主体者となって園生活を組み立てていくのだけれども、それは幼稚園教育要領や3法令の中にきちんと位置づいています。この部会での認識は、それがちゃんとできていないのではないかと問うているから、あえて声を聞くというテーマを持っているのだろうか。実現されていないから、実現できるような社会にしていこうという認識でいいのかどうかは、私も皆さんにどういう認識なのかを教えていただき、共通にしておきたいと思っております。私は、現場の中にいて、幼児理解から始まる保育はとても大事な話だし、そういう実践をしてきたつもりだったのだけれども、必ずしもそうではないのかと皆さんは思っていらっしゃるのかということです。

そういった意味で、ただ具体の声を聞いても、その場その場でこどもたちはいろいろなことを言いますから、それをビッグデータ化していくようなことなのか、あるいは逆に、今申し上げた、こどもの声を聞く保育とはどういうことなのか。ということを明らかにしていくのか。応答性のある保育とか、聞くとは何かということを明らかにするのか。現状認識とテーマとの関係をはっきりさせるのがよいのだろうと思います。

逆に具体的な方法にしてしまうと、この具体的な方法に現場は縛られていってしまいます。マニュアルの保育になっていってしまいますので、もちろん、こどもの声を聞くのは全くそのとおりなのだけれども、その辺りの哲学とかをめぐって、もうちょっと丁寧な議論が必要ではないかと思いました。

以上です。

秋田部会長:ありがとうございます。

それでは、続きまして、オンラインの安達委員、続いて、吉田委員、坂﨑委員、堀江委員とお願いしたいと思いますので、お願いいたします。

安達委員、お願いします。

安達委員:本日、オンラインから失礼いたします。

これまで先生方がお話しいただきましたことと全く同感でございます。

特に古賀委員がお話ししてくださったことは非常に的を射ていると思いますし、このことはしっかりと今後の調査に反映していただきたいと思っております。

それらのことを前提として、1点なのですが、スライドにお示しいただきました全体イメージの中で、①の乳幼児までのこどもの声とありますが、これまでの議論も通しましても、これが実際にこどもの声かというと、ここはどうしても保護者や養育者等を通しての声と読み取れるといいますか、実態がそのようになっているので、この辺は、読む側にとってミスリードされないように、特に保護者や養育者の方々の声、イコールこどもの声かというと、そうではないことがございますので、この辺は慎重に取り扱っていただきたいと思っています。

私からは以上です。

秋田部会長:ありがとうございます。

それでは、続きまして、吉田委員、お願いします。

吉田委員:吉田です。よろしくお願いいたします。

今回、幼児期のこどもの声とか、学童期以降のこどもの声ということで、本当の声をどう探り当てるのかという意味では非常に大事なことだと思います。

今までずっと集団的なこどもの育ちをある意味強要してきているようなところがあったかと思うのですが、一人一人の意見の見える化を図っていくことで、では、どのように対応していけばいいのか、探り当てていけるのではないかという意味では前進だと思います。

今まで委員の方々がおっしゃっていただいたような御懸念はもちろんそうだと思いますし、当然、例えば聞くに当たっても、おとなしい子とか、対応できる子、そうやって答えられる子には優先的に質問するけれども、逆に口を閉ざしてしまうような子みたいなこともあると思いますし、稲葉委員がおっしゃったように、障害を持っている子なども、どのように声を発していくのか。実際に出す声ではない声も恐らくあるはずなので、そこにどう目を向けられていくかが非常に大事なところかなと。

逆に、言える子は、ふだんから言っているので、それをどう形にするかは、案外見える化できているし、取組もしやすいと思うのですが、言えない子に対してどのようにケアして、その子の声を拾ってあげるのかが非常に大事な観点かと思います。

自分自身も、放課後児童クラブを運営していて思うのですが、この先生には話はできるけれども、違う先生には話ができないとか、逆に、学校の先生には話はできないのだけれども、放課後児童クラブの先生には話ができるとか、親にも言えないようなことも言えるとか、そういう信頼関係を築いていくからこそ話せるということも十分にあるので、例えば教育虐待的な観点もあると思いますし、逆に、習い事をいっぱいしていて、親から洗脳されるかのようにこれをやらなくてはという形で、このようにしたいですと言っている声は、果たして本当の声なのかと思うと、その場にこども家庭庁の方が意見を伺いに来て、話すかどうかというと、すんなり自分の中で受け入れられないところがある。

だからといって、例えばアンケート方式にしたりしてやってしまうと、逆に平均を取ることになってしまって、本当の意味でのマイノリティーの声が拾えなくなってしまうような懸念もあるかと思っています。

これが意見で、重要な自分の思いとして感じたところです。

あと、これはおとといの事前レクでも言ったのですが、幼児期から小学校への連携は非常に大事だと思います。

ただ、放課後児童クラブに対しても同じように連携を進めていかないと、恐らく、その割合は年々どんどん高まっていっているので、そこに対するケアをしていかないと、結局、放課後児童クラブには情報が下りていっていないことも、今、実際に現場で見ていると結構起こりがちで、障害を持っている子とか、課題のある子みたいな子が入ってきてからでないと分からないみたいなことも結構あったりするので、そういった意味では、小学校の連携も含めて、放課後児童クラブとの連携をどう進めていくかというところも非常に大事な観点としてあるのではないかと思いました。

以上です。

秋田部会長:ありがとうございます。

それでは、続いて、坂﨑委員、堀江委員で、お願いいたします。その後、お二方のプレゼンもございますので、誠に恐縮ですが、短めにお願いいたします。

坂﨑委員:おはようございます。坂﨑です。

こどもの意見を聞くことに関しては、皆様方おっしゃっていることなので、割愛します。

前回の私たちの会議から今日に至って、ほかの会議がたくさんあって、私たちが就学前のこども指針をつくることとどのように関わっているのだろうということをよく考えています。

例えばこども未来戦略会議などでは、10年後の子育て支援の内容は、基本的に相当変わるのだと。そうであれば、10年後に対応できるような仕組みを考えていくと書いているわけです。

その中にも、例えば日本人で、子育てしづらいと思っている人たちは6割いる。

社会に子育てを温かく思っていない人が7割いる。

こういうことの中で、公教育の再生とか、働き方改革の長時間の体制を是正していくとか、そういうこともみんな書かれているわけです。

考えていくと、私たちは、その上に就学前のこども指針、幼児期の育ちに関わることを書いていくことになるのだと思うので、社会の発信の仕方をもう一度考えるべきと思います。こども基本法ができました、こども大綱に盛り込むのですという中で、私たちがきちんとこどもたちの権利や養護を守りながら、一方では、利用する方、保護者、また、これからこどもを産む人たちへのメッセージとともに、それだけが進んでいくと、よく加藤先生や柿沼先生、吉田さんたち、私も事業者なので、利用者のほうだけに全部が向くと、受け手側にも支援がないと、それらが達成できないということになるので、受けて側と利用する側のバランスがきちんと取れて、それが社会の中で認識される仕組みが、そしてこの中に心として入っていくことが大事なのではないかと思います。

私は、基本的には、こどもの声を聞くことをとても大事にしてきた一人だと思っています。秋田先生の教えから、私はずっとそうやってきたわけであります。

ですから、手法等はあると思いますが、いろいろなこどもたちの声を拾い上げて、そのこどもたちがどんな感情を持っているのかというのは、今と10年前と20年前は絶対に違うことがある。だけれども、今も、20年前も、30年前も同じものもあるから、今、こども家庭庁でこのことを行うことの意味は、私はとても大きいと感じています。

最後に、1つだけ質問です。

これからヒアリングの団体等への質問があるのだと思いますが、今回、どのぐらいの内容や材料を示してヒアリングに臨ませるのかということだけ教えてくださればありがたいです。

秋田部会長:ありがとうございます。

それでは、続いて、堀江委員にお願いしてから、事務局のほうで何かあれば、レスポンスをお願いいたします。

では、堀江委員、お願いします。

堀江委員:ありがとうございます。

取りまとめありがとうございます。

また、こどもに対して聞くことはとても大切だというところは、皆さんおっしゃるとおりかと思うのですが、正直、内容として危機感を感じました。こどもがいる身としても、これでよくなると思えるような内容ではないと感じた部分がありました。

それは、古賀委員がおっしゃったところに近いのですが、方向性の明確化と連携、アウトカムがもう少し見えていくと、今回の指針が定まる事で、このようによくなるのだというところがより分かりやすくなるかと思いました。

1点目の方向性の明確化というところでいくと、Well-Beingを高めていくポジティブな方向性と、今、必ずなくしていかなければいけないことがあると思っていまして、必ずなくしていかなくてはいけないのは、親だったり、周囲からの虐待だったり、排除のような今後、いじめにつながるようなところです。そういったこの2つが絶対になくなると思えるような形が必要だと思います。

あとは、ポジティブなWell-Beingの点は、心身の発達だったり、愛されていると皆が感じる点について。こういう施策をやろうとしているというところがより明確であると、必ずなくさなくてはいけないことがなくなっていくのだ、そして、ポジティブな部分がそのようになっていくのだという感覚を持てるのだと思います。この方向性がないまま調査をしていても、意味がないかなと感じております。

2つ目の連携は、根絶していかなければいけない「虐待」を例に取ると、例えば現在でも、こどもが産まれ、産後のところで病院から保健センター、そして保育園と引継ぎはされていると思います。しかし、今の時点でも確実に切れ目があるのかなと思っています。これが切れ目なく支援できるためには、どこがポイントなのかという点を押さえて、このような切れ目のない支援をしていきますと発信していただきたいと思います。

その施策に対して、こどもだったり、親御さんに対して、ここまでやったら切れ目はないですか、どうですかと聞いて、調査をする。それに対して、はい、そうですね、この状況であれば、自分は誰かに助けてと言えますとか、自分は誰かにお願いできます、助けを求められますと言う返答が来たら、それは声を聴いて検証したことになる。そういう求められるアウトカムがヒアリングの中で出てくることが重要だと感じています。

そういったアウトカムという点で、虐待を防止する上で、切れ目のない支援をしたときに、どのような言葉が出てきたらアウトカムに通じていくのか、こどもに何かあったときに、親だったり、それ以外の人にちゃんと伝えられるといった、こういう言葉が出てきたら大丈夫なのだとか、そういったことが明確にならないと、皆さんいろいろなことを言うと思うのです。言葉の裏にあるものまで見ていくとなると、結局、ヒアリングする人のバイアスがかかってしまいます。今後の方針として幼児期までの育ちにおいて、何をなくさなければいけないのか、何をつくっていかなければいけないのかという点は、今の時点で明確にしていかないと、大綱にしていくには間に合わないのではないかと強く感じます。

最後に、いけんぷらすとかも、どういう事業者を選定されていくのかというところに関しても、単純に声を拾うのが得意なところではなく、それをどのように分析していくのか、どのようにアウトカムにしていくのかというのは、専門家の方が入っていく必要があるのかなと思います。エビデンスベースドを行う事に関して、しっかりと体制をつくっていただけるとすごくありがたいと感じております。

以上になります。

秋田部会長:ありがとうございます。

お時間の都合もございますので、議事に移らせていただきますが、その前に、事務局から何かございましたら、お願いいたします。

高木課長:ありがとうございます。

御指摘はごもっともなところだと思います。

まず、基本的な指針とは、ターゲットが幼児期までの年齢層で、ここのお子さんたちの意見をどう吸い上げるかといった形で、今回の案を出させていただきました。

おっしゃるとおり、課題設定はこれからもっと詰めなくてはいけないと我々も認識しております。まずは体制として、こういうことをこの部会で進めていいかどうかの確認を今回の会議で取りたかったところでございます。

問題意識としましては、保育所保育指針、3つの指針・要領は、園においてはしっかりとなされていると。

さはさりながら、全てのこどもを対象として、今回、こども家庭庁ができて、施策を進めなくてはいけない。未就園児の方々、もしくはそこにつながるような切れ目のない支援も含めて、どうやっていくかということがまず問題になってくるのかなと思っているところでございます。

また、水野委員からありましたとおり、全てを反映する必要は我々もないと思っています。

その中身は、こどもの最善の利益を実現する観点から、場合によっては、合理的な判断で反映されないこともあると思いますので、それを前提として進めていければと思っています。

以上でございます。

秋田部会長:ありがとうございます。

浅野審議官:先生、追加で。

秋田部会長:お願いします。

浅野審議官:先ほどお話があったこども未来戦略会議は、今日、資料は用意しておりませんが、総理が昨日発表されたあちらの会議は、主にここ3年間で集中的に加速化するプランについて検討され、発表されたということでございます。

ただ、こども未来戦略会議のまとめにもございますように、基本的に、今後のこども政策の方向性、中身を議論していくのは、こども大綱の議論でございます。

加速化プランで掲げられている領域は非常に限定的でありますので、今、こども家庭審議会の基本政策部会でまさにこども大綱の議論を始めておりますので、そこで幅広くこども・若者政策についての議論をして、取りまとめていく形になります。

一方で、幼児期のこどもの育ちの部会につきましては、基本政策部会のこども大綱の議論と並行して、幼児期までのこどもの育ちについての検討をお願いしているわけでございます。

当然、基本政策部会の議論は、申し上げたように、妊娠期から若者まで、医療、福祉、教育も含めて、非常に幅広い内容になると思われますので、議論としては相当大枠の議論になってくるだろうということであります。

幼児期までのこどもの育ち部会では、この時期に絞った形で、集中して専門的な議論をお願いしているということでございますので、こちらでおまとめいただいた内容については、こども大綱にしっかりと反映させていくと我々としては考えている次第でございます。

また、今日、こどもの意見を聴くということで、先生方にいろいろと混乱も招いたかと思っておるのですが、昨年度、こども家庭庁の準備室で、こどもの意見を聴くということで、調査研究をやりまして、いろいろな手法について議論したところでございます。それについては、恐らく今後、基本政策部会のほうで引き継いでいくであろうということになります。

そういう意味では、こどもの意見全体を聴くという話は、ここの議論というよりは、むしろ基本政策部会を中心に考えていく。意見を聴く手法とか、どのような形でこどもの意見を聴いていくのかということだと思います。

ただ、政府全体として、地方自治体も含めて、こども基本法等ができて、政策を進めていく上では、こどもの意見を聴いていかなくてはいけないという義務がありますので、この部会でそれをどう進めていくかということであります。事務局はこれまであまり知見がなく、恐らく、今日いただいたような議論は、どこの国の政策を進めていく上でも、地方自治体でも多分同じかと思われます。

我々は、まだ手法などがなかなか確立されていない中で、今日いただいた御意見などをきちんと反映していく必要があるのかなと思っております。

ただ、申し上げたいのは、ここの部会は、あくまでも意見を聴くのが目的ではなくて、幼児期までの育ちの指針をまとめていく上で、まさに御意見でいただいた、フォーカスを絞って、しっかりと御意見を聴いていく必要があるだろうと思っておりますので、そこは、我々はしっかりと対象範囲と課題設定をもっと明確に、具体的にしていく必要があると思います。

一つは、昨年の準備室時代の有識者会議でも、幼児はかなり難しいと言われていましたが、豪田監督のお力添えをいただいて、幾つかの認こ園のこどもたちから意見を聴くという取組をやってはみたのですが、うまくいったのかどうか分かりませんが、うまくいったケースは1つしかなかったので、それを委員の皆様方に御覧いただいたのが昨年度です。

あれも率直なこどもの声が出てくるのですが、あくまでも何か課題を持って聴くことはなかなか難しくて、実際に御覧いただかなかったほかの認こ園のほうは、課題を一生懸命に保育士さんが聴こうとして、結局、逆にそれが誘導的な質問になったりして、なかなか難しかったというのもあって、我々は、ここに提案はさせていただいているのですが、幼児期のこどもたちから声を拾い上げるのは相当難しいというのは、昨年度の経験でよく分かっておりますので、また先生方の御指導をいただきながら、ここは軌道修正していきたいと思っております。

一方で、ここがまた混乱を招いた点だったのですが、学童期以降のこどもの声については、我々は、別に学童期以降のこどもに学校のことを聴きたいとか、学校のふだんの生活のことを聴きたいということではなくて、幼児期までの話を聴きたいということで今回提案させていただいたのですが、それが本当に適切なのかどうかは、今日いただいた意見も踏まえて、きちんと考え直す必要があるのかなと思っております。

あと、いただいた御意見の中で、こどもの声を聴くということは、特定のこどもたちだけの声だと、環境とかタイミングによってもそれぞれ違ってきますので、先ほどお話ししたようなこどもの意見を聴いて、反映していく事業は、別の担当がやっているわけですが、私は両方担当しているのですが、いずれにしても、今、そういう事業をやる中で、アンケートみたいな形で、割と数千人規模で御意見を聴ける仕組みを今つくりつつあるものですから、特定の人ではなくて、できるだけ幅広く聴く事業も活用できるのかなということで御提案させていただいているのですが、そこも先ほどいろいろな御指摘もいただいているので、課題設定と、どういう方々を対象に聴くのかというのは、もうちょっとしっかりと検討させていただきたいと思います。

すみません。長くなりました。

秋田部会長:ありがとうございます。

それでは、お待たせいたしました。

2番の「委員ヒアリング」ということで、昨年度有識者懇談会の論点整理への受け止めや補うべき視点、第1回目で示された論点案に対するお考えを中心に、お2人の委員から各10分以内で御発表をいただきます。

なお、質疑に関しましては、最後にまとめてお時間を設けておりますが、かなり時間が押しておりますので、若干延びるかもしれません。今日、会議に出ていただきながら、2つ目で意見を言おうと思ってお待ちいただいていた方を中心にお願いできればと思います。

それでは、お待たせいたしました。

初めに、有村委員、お願いいたします。

有村委員:ありがとうございます。

それでは、ウインドウを共有させていただきます。
 
見えていますか。大丈夫でしょうか。

高木課長:大丈夫でございます。

有村委員:このたびは、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

リモートの参加となってしまい、会場に伺えず、大変申し訳ありません。

私は、社会福祉士といったソーシャルワーカー、保育士といった専門職を養成する大学におり、当事者の学生にもたくさん出会います。

いろいろな当事者がいると思うのですが、何とか世の中をよくしたいとか、自分自身が貢献したいという想いを持って入ってきている学生さんたちと人生を語り合ったり、あるいは社会に送り出し、また、社会に出た後もお話をしたりしている立場から、今日は周縁化に焦点を当てて少しお話しさせていただければと思います。

釈迦に説法ではあるとは思うのですが、また、先ほどの高祖委員をはじめ、様々な先生方のお話とも重複しておりますが、どうぞお許しください。

それでは、御説明したいと思います。

「周縁化への対策の必要性」です。国連・子どもの権利委員会からの日本政府に対しての総括所見の中には、周縁化という言葉を使って、直接的な言及がなされていました。

例えばパラ17です。周縁化された様々な集団に属する児童に対する社会的差別が根強く残っているという指摘があって、例えばそこに対して、アイヌを含む民族的少数者の児童、被差別部落出身の児童、韓国・朝鮮人等の日本国籍以外の児童、移住労働者の児童、LGBTIの児童、婚外子並びに障害児に対する実質的な差別を減らし、防止するためにと書かれています。

ここには書かれていませんが、社会的養護とか養育の中で育ったこどもたち、そこの対象にはならなかったけれども、ニーズを持っていて、御苦労されてきたこどもたちもここに入っているということだと思います。

そこで、周縁化を改めて挙げながら声を聞く、そして、そこから学ぶということを少し考えてみたいと思います。

共有を一回切り替えます。

すみません。Teamsはあまり使っていないので、大丈夫かなというところはあるのですが、きっと映ってくれるはずですが、映っておりますでしょうか。

秋田部会長:いいえ。映っておりません。

有村委員:映っておりませんか。

秋田部会長:はい。もう一回共有をお願いします。

有村委員:すみません。

これはどうしたらいいのだろう。

ブラウザからやっているからかもしれませんので、画面が見づらくなるかもしれませんが、ウインドウの共有でいきたいと思います。恐れ入ります。

秋田部会長:各委員の方は、タブレットの中に資料が入っております。

有村委員:では、ウインドウを映します。

秋田部会長:もし共有が難しければ、各自タブレットで見ておりますし、多分、オンラインの方も事前に資料が配付されておりますので、そちらを見て説明していただいても大丈夫です。

有村委員:ありがとうございます。

実は、事前の資料に入れておりませんが、スライドでアニメーションを作ったので、そちらを映せればと思ったのですが、映らないので私のジェスチャーでいきます。

では、引き続き、先ほどと同じものが映っておりますが、こちらを使って御説明できると思います。

まず、声を聴くことは、今回、大変重要なところかなと思いますし、声を聴いていくこと自体は賛成でございます。

声を聴く対象に配慮が必要だと思いますが、周縁化されがちなこどもと家庭を加えるべきかと思います。

全体的に社会を見てみたときに、育ちというものに中心を規定してしまうと、そこから外れていく集団というか、どうしても脇に追いやられてしまうような現象が意図せずに起きてしまうことがたくさんございます。そういう周縁化というか、脇に追いやるような圧力を社会的につくってしまう可能性があります。

その中には、例えば先ほど出てきましたLGBTIもそうですし、障害のあるお子さん方もそうですし、独り親もそうです。様々なお子さん方が出てくるかと思います。家庭環境が厳しいお子さん方も出てくるかと思います。今回、その人たちに配慮すると十分に書かれているとは思うのですが、改めてそこから学ぶところが結構重要なのかなと私自身は思っています。

なぜならば、周縁化されるという中でいうと、ニーズがあったり、特殊性があるからこそ周縁化されているわけなのです。その方々と一緒になって考えたり、学ぶことによって、周縁化がよく見える、つまりニーズがよく見えるということがあります。

今回、ニーズという言葉は、脆弱性という言葉と併せて、二ーズという言葉でまとめて使いたいと思います。例えばですが、学びの例でございます。

例えば私は、障害児通所支援に関する検討会等のメンバーに加えていただいておりましたが、障害のあるこどもたちのところでは、多様性とインクルージョンが大きな課題となっております。でも、これは全てのお子さん方にも言えることなのかなと思います。

それから、就学の前に、通所支援等もかなり数が増えてきておりますが、就学、それから将来に関するプレッシャーは、障害のあるお子さんだけではなくて、そのほかの御家庭にもあるのではないかと思います。

そこから、例えばペアレンティング等も、障害のあるお子さん方を中心にしたところから先行して発展しているようなところがあるかと思うのですが、親が親としての役割を果たせるよう、あるいはそういう適切な親子間の関係性をつくっていける、学ぶ機会も全ての御家庭に対して必要なのではないかと思います。

それから、社会的養護や社会的養育という部分では、孤立しやすい家庭、支援を必要とする家庭、あるいは自分自身が受けた養育における傷つき体験を持つ親御さん、そういう親御さんと一緒にいるこどもたちです。

更に十分に受け止められた経験を持たない親や、自立における課題です。親になる前もそうですし、思春期も含めて、自立における課題などもあります。

それから、社会的養護や養育につながらなかったこどもたちです。社会がニーズキャッチしていない場合も含んで、そういうお子さん方が大変苦労しているという現状があります。

周縁化されがちな対象への着目することで見えるニーズは、その対象への配慮や解決策についてももちろん、全てのこどもたちを含んでいきます。気づきとともに、これはもしかしたら普遍的な社会そのものの課題なのではないかというものもたくさん見えてくると思います。ですので、それぞれの対象についてニーズに向き合うことは、こども施策全般の発展を後押しするものだと思っています。当事者と共にサービスをつくり上げることができる仕組みを公的、私的なリソース、それから民間団体とも一緒になって考えていく必要はあるのかなと思っております。

「周縁化されがちな対象に対しての施策の在り方」なのですが、先ほどのようなお話をすると、どうしても線引きモデルには限界があります。ですから、施策に関しても連続性が必要と思います。

周縁化されがちなこどもと家庭のニーズは線を引いて、右と左でニーズがある、ないという分け方ではなくて、グラデーションになっていると思いますので、スペクトラムのようなモデルの設定が必要です。逆に線引きのようなモデルをつくってしまうと、先ほどの社会的養護から漏れてしまったニーズのあるお子さん方もそうですが、グレーゾーンがどうしてもできてしまいます。ですので、ここは工夫していかないといけないところがあるかと思います。

「Wellbeing」に行きたいのですが、これは高橋重宏先生の本を引用しようかと思っています。ずっと一緒にやってきていただいた先生ですので、私はそこからの影響が強く受けておりそのお話を出そうと思います。まず、こどもの権利、併せて尊厳です。今、社会のルールでこぼれ落ちているこどもたちもいるとするのであれば、その子自身が持っている内在的価値に着目して、尊厳も保障していかないといけない。

そして、アンケート、ヒアリングをしていく上でもそうですが、こどもたちが、今、この瞬間を自分らしく生きていけるという実感を持てているかといった自己実現の視点も必要だと思います。

もちろん、測定できる、できないということもありますが、Well-Beingは両方考えていく必要があるかと思っています。

次はA自治体のデータです。

結果については紹介してもいいのだけれども、どこの調査でやったか言わないという約束でずっと使わせていただいているものです。10年ほど前の調査でございます。

約2,000人の、A自治体さんの小学校5年生、中学校2年生、高校生年齢のお子さん方にアンケートを取らせていただいたものなのです。因子分析という手法を取って、数量化して分析しました。

数量化した中で、特にクラスター分析という方法で、その値が望ましくないというか、御苦労されていると思える方々を統計的に抽出していまして、その部分から見えてきたものを少しお話ししたいのですが、抜粋としては、家も、学校も、地域にも居場所がないと回答するこどもたちがその層の中にたくさんおりました。落ち着ける場所は、家庭外の場所を選択して、もちろん、学校も含まれていませんでした。

そして、適切な相談者に相談することを選択せず「そのままにしている」という回答が多くて、では、どこに相談するのと聞くと、ネットと回答しておりました。

この結果から見ても、支援者だけでなく、大人や社会を信用しないこどもたちがいます。これは幼少期からのつながりで、今回の会議でも、過去、幼児期だったこどもたちにお話を聞いてはどうかというお話もありましたが、それは必要だと思います。

でも、そこをどのように見ていくかというところが結構大事だと思います。支援者だけではなくて、大人や社会に言ってもしようがない、聞いてもらえないと思っているこどもたちに広い意味でのアドボケート、寄り添ったり、発言してもいいという状況をつくったり、あるいは回復した方々から聞いていくことも必要なのかなと思います。

幼少期からの豊かな人間関係により、人間や社会を信用できるところまでのサポートは重要だと思っております。サービスにつながることができないこども、あるいは親は、幼少期から社会を信用できなくなって、諦めてしまったこどもたちである可能性もあるかと思います。

一方で、自己肯定感が低い方々もおられるわけです。保護者の幼少期も含めて、受け止められなければならない対象です。年齢が上がって、親になっても、そういう方々がいらっしゃると思います。

昨年までの厚生労働科学研究で、調査、ヒアリングさせていただいた方々の中に、被虐待体験から回復して、今度は支援者になっている方々の声を聞いてみると、例えばお子さんに障害があるということでニーズキャッチされた。そこでサービスにつながって、ひたすら受け止められた。いろいろなことを言っても、あるいは信用できないということも含め、全部受け止められた。そこで人を信用できるようになったというプロセスがありました。その中で、やっと支援が入っていく、受け止められるという段階があり、最終的にはこどもとも話ができるし、他者の痛みにも気づくことができる、という他者との共存ができるような段階がありました。

エンパワーメントのプロセスとも言えると思います。そういったプロセスから、人は変われるし、チャンスがあったら、いろいろなことを学んでいけるわけです。そういう意味で、つながりなども含めて、こどもたちが周縁化されないために、何ができるかを考えなければならないと思っています。

ライフサイクルと書きましたが、既にこども家庭庁の資料にも書かれておりますが、我々のテキストで使わせていただいているものですが、循環があると思うのです。自分自身が育てられた子育てを踏まえて、次の段階に進んでいって、親になってというのがあります。ここに対しては、社会がどうサポートできるかがあると思います。

でも、そこが抜けてしまうと、こどもが家出をしたり、家に居場所がないので、行方不明になったり、どこかに出ていってしまったり、あるいは様々な課題を抱えてしまったり、相談ができなかったり、いろいろなものを抱えていく環境をつくってしまいます。だから、これに対しては、社会がどう向き合っていくのかというところは、今回のこども家庭庁の取組でとても大事なのかなと思っております。

「まとめ」です。

「全ての人が当事者」と示されていることは、強く賛同したいと思います。

ただ、全ての子育てを考えるためには、そこには周縁化されがちなこどもと家庭が含まれなければならないということも強調したいと思います。

周縁化されがちなこどもと家庭を含んでいくためには、具体的な方策が必要かと思います。

しかし「全ての人」のニーズには多様性があり、また、社会的な周縁化は実際に起きているところです。

特に支援者を信用できないという文脈でいくと、こどもまんなかチャートを考えてみても「こども」あるいは「保護者・養育者」の線もありますし、もう一つ「保護者・養育者」の外側の「直接接する人」の距離です。これは近い人もいれば、かなり遠くて、信用していない人たちもいるということも考えなければならないと思います。自らが人間として受け止められて、支えられて、他者を受け止められるようになるところはありますので、具体的な検討が必要かなと思っています。

「意見を聴く際の工夫」ですが、私は、いろいろな意見をどう聞くかとありましたが、こどもが意見を言えるまで開くプロセスは大事にしてほしいと思います。これは幼少期もそうかもしれないし、それから先のこともそうですし、保護者に関してもこれは言えるかと思います。

大人を信用せず、話すことのできないこどもたち、他者や社会が信用できず、興味を持てない親御さんがいることもあることも前提にしていただきたいですし、先ほども議論がありましたが、こどものアドボケート、あるいはそういったお役目をされている方々、そして、そのこどもが信頼できる大人。これは支援者だったり、話を聞けている人、話ができる当事者が代弁することも必要かなと思います。

大学生になって、お話を聞いていると、しっかりと過去のことを受け止めて、自分はどうするかとお話しできるお子さん方というか、そういう人はたくさんいます。信頼したいと私は思います。

すみません。ちょっと時間が超過してしまったかもしれません。

これで終わります。

ありがとうございます。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、鈴木委員、よろしくお願いいたします。

鈴木委員:よろしくお願いいたします。

お時間もお時間なので、早めに、倍速でしゃべります。

よろしくお願いいたします。

秋田部会長:御協力ありがとうございます。

鈴木委員:共有されていますでしょうか。

秋田部会長:いいえ。

共有はされていませんが、皆手元にはございます。

鈴木委員:ありがとうございます。

それでは、事務局のほうで出していただいてもよろしいでしょうか。

秋田部会長:事務局、お願いいたします。

鈴木委員:ありがとうございます。

もう一回だけやってみたのですが、駄目ですか。

秋田部会長:先生、成功しました。大丈夫です。

鈴木委員:ありがとうございます。

では、よろしくお願いいたします。

私は、國學院大學の鈴木みゆきと申します。

こどもの生活リズム、特に睡眠に関心を持って研究をしております。

では、次をお願いいたします。

日本のこどもは遅寝であるというのは、幾つかの国際調査の中で明らかになっておりまして、御存じの先生方も多いと思います。

ただ、ずっと遅寝だったわけではなくて、これは昭和11年の山下俊郎先生の調査なのですが、表1の就寝時刻を見ていただくと、これは起床時刻ですかと思うくらい早い。それでも、山下先生は、乳幼児の就寝時刻は遅過ぎる傾向があると本の中で書いていらっしゃいます。

実際の睡眠時間の調査では、24時間の中の睡眠時間と夜の睡眠時間を比べてみると、3歳半になると、大部分のこどもが昼寝をしない、5歳になると、ほとんど昼寝をしないのが実情であると。2歳以上であっても、昼寝するか、しないかは、こどもによる違いがあると書いてあります。

では、次をお願いいたします。

これは『Sleep』という学術誌に載った、2012年のものなのですが、午睡時間の推移を見てみますと、3歳半になると、平均して15分程度しか昼寝をしないというデータがあります。

ただし、非常に個人差が大きいです。

では、次をお願いいたします。

実際、日本では、保育所などで、眠くないのに寝かせられているという状況、特に5歳児とかの調査は結構ありまして、この調査では、午睡をすることによって、当然、就床時刻という寝る時刻が遅くなり、朝は機嫌が悪い、登園渋りが顕著に悪化するというデータとか、就床時刻の遅さは小学校中学年ぐらいまで継続するというデータが出ています。

右側の図には、お昼寝をしていた園のしていたときと、やめたときの就床時刻の比較です。午睡をしなくなると、寝る時刻が早くなったというデータでございます。

では、次をお願いいたします。

保育の場では、どのように睡眠について記述してきたかといいますと、保育要領と呼ばれている、昭和23年に幼稚園、保育所、家庭を対象にして出されたものでは、幼稚園の一日の中で、幼児が例えば昼寝でぐっすり眠っていても、一定の時間が来たら起こすようにしたほうがいいとか、四季を通じて、全部の幼児に必ずさせると書いてあって、恐らく、これが慣習として残ったのかなと考えております。

保育所保育指針は、通知の時代の4歳、5歳には、必ず「午睡など適切な休息をとらせ」と。「午睡など」と書いているのですが、これは午睡をするというイメージになってきたのかなと考えております。

告示になって、今度は「適度な休息や午睡」と解説書に書かれるようになりました。

さらに、現行はどうなっているかというと、次のスライドをお願いいたします。

現行の保育所保育指針では、午睡は、生活リズムを構成する重要な要素ではあるけれども、在園時間が異なる、睡眠時間はこどもの発達や個人差とちゃんと書いてあって、一律とならないように配慮することと書かれています。

次のスライドをお願いします。

幼保連携型認定こども園教育・保育要領でも同じです。

これは、安心して眠れる安全な午睡環境とともに、睡眠時間に差があるので、一律とならないよう配慮することときっちりと書かれています。

次をお願いします。

では、実際はどうなのかということなのですが、プレ調査として、実は昨年の秋に、午睡の研修を頼まれたある区に、私は先生方に同意をいただきまして、管理職の先生に質問紙調査を行いました。

プレ調査でしたので、とにかく3歳以上の実態を把握しようということで伺いましたところ、5歳児も11月の時点で、おおむね決まった時間に午睡を始めているという園がほとんどでございます。

午睡の実態も、全員が同じとか、時間は異なるけれども、実際にどのぐらい寝ているかというと、3歳、4歳が2時間弱、5歳も1時間半ぐらい寝ていることが分かりました。

先生方の意識として、全ての園児に年間を通して午睡が必要だと考えていらっしゃる先生が、3~4歳の場合はほとんどで、逆に不要だと思っていらっしゃる方は一人もいなかったということです。

次をお願いいたします。

そこで、一律にしないということを御存じですかと言うと、ほとんどの先生方は御存じでした。

内容に関しても、個別対応であるとか、眠い子は寝かせる、眠くない子は寝かせないとおっしゃっているのですが、それでは一律にしているので、一律にさせないために必要なことは何ですかというのを自由記述で伺いました。ほとんどと言っていいぐらい、人員の確保と場所です。つまり、先生方は、個別対応の重要性や配慮は分かってはいても、実際に必要なのが人の配置と場所の問題、これに尽きると言ってもおかしくないぐらいの回答でございました。

次をお願いいたします。

次に、令和4年度に内閣府の子ども・子育て支援調査研究事業を委託いたしまして「幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項」等に関する調査を行いました。

この中で、午睡の部分を取り上げたいと思います。

この調査は、昨年度、全国の幼保連携型認定こども園6,545園に対し、質問紙調査を行いました。

調査票を同封した依頼状を郵送して、同意していただいた園に、調査票に記入して返送していただくか、調査票にURL、またはQRコードを記載して、Googleフォームで実施いたしました。

2,229園から回答をいただきました。回収率は34.1%でした。

その中で、もともと幼稚園だったところが幼保連携型認定こども園になった園、もともと保育所だった園がこども園になった園、合わせて1,583園に対して、午睡についての認識を伺いました。

表6は、地域別に見た結果です。

北のほうが、午睡に関しては、卒園まで全ての園児が行う率が高く、東海、近畿、四国、九州は低めでした。

幼稚園由来と保育所由来を見ると、幼稚園由来は、保育所由来に比べ、午睡の実施率がものすごく低く、5歳児の午睡に関しては、ほぼというか、していないところがありましたが有意に高く、眠くない園児がいる場合、どう対応しているのかと聞いたところ、一緒に布団に入るという割合がとても高かったのです。

次のスライドです。お願いします。

「眠りたくない園児も一緒に布団に入る」という率がすごく高くて、園児によって、当然「眠りたくない園児は別の活動をする」はほぼ一緒だったのですが、5歳に関しては、幼稚園由来の場合はしていないところが多かったです。

では、次のスライドをお願いいたします。

午睡の必要性を比較してみますと「園児によって必要性は異なる」と3分の1は考えていらっしゃいます。

眠くない園児が一緒に布団に入って、おとなしく時間が過ぎるのを待つのは、一律にしないと書かれた指針や教育・保育要領に沿っているのだろうかという疑問を持っております。

ということで、次のスライドをお願いいたします。

そういう結果を踏まえた上で、今回のこどもの育ちに係る基本的な指針(仮称)ということですが、私がそれについて考えることは、1番としては「社会全体で子どもの生活リズムの優先順位を上げる」必要性があると思っています。

長時間保育の中でこどもたちの生活リズムをつくっていくのは、とても大変です。

幼稚園、保育所、こども園と家庭は、生活の連続性の上にあります。ですので、こどもがきちんと眠る、すっきりと目覚める、しっかりと食べるなど、心身の成長・発達をしていくためには、大人の生活を見直していく、大人の働き方改革が必要ではないかと考えています。

2番目です。「『保育所保育指針』『幼保連携型認定こども園 教育・保育要領』」。

現行の3法令が告示されて5年目になりますが、一律にしないための工夫や配慮は、まだまだ研修が足りないのだなと実感しております。ここに関しては、先生方と共に研修を充実させていかないといけないと考えております。それが保育の質を向上させることにもつながっていくと考えております。

最後に「保育士配置基準の見直し」です。

実際に眠くない子と眠い子を分けていくためには、先生方の配置基準と同時に、自由記述の中で、打合せを午睡中にしていたり、連絡帳を書いたりということが業務として行われているので、そういうことも含めての働き方改革が必要なのではないかと思っております。

こどもまんなかのためには、一人一人を大切にしていくことが必要ではないかと思います。

次のスライドをお願いいたします。

今日は、午睡を通して、現在の保育の場の問題を提起させていただきました。

御清聴ありがとうございました。

ちょうど10分だと思います。

ありがとうございました。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

有村委員、鈴木委員のお二方、大変示唆に富んだ御発表をありがとうございます。

若干だけ時間を延ばさせていただきます。申し訳ありません。

今日御出席で、まだお声を聞いていないのが都竹委員、明和委員、横山委員、大豆生田委員になりますので、お一言ずつでも今日のお二方、あるいはこれを振り返ってということで御発言いただいたらと思いますが、いかがでしょうか。

都竹委員、いかがでしょうか。

都竹委員:ありがとうございます。

聞こえていますでしょうか。

秋田部会長:はい。大丈夫です。

都竹委員:すみません。遅れて参りました。

先ほどの有村委員のお話は、大変示唆に富んだお話だと思ってお聞きしております。

私どもも、児童精神科のこどものこころクリニックを市単独で設置して、いろいろなこどもたちの診察を先生にやっていただいているのですが、先ほどお話がありましたように、幼少期に受け止められなくて、大人とのコミュニケーションがうまく取れなくて、あるいは家族の中での受入れがうまくいかなくて、それがその後の成長のつまずきになっているケースはかなりあります。

また、親からの虐待のトラウマ治療をやってもらっているのですが、3代続く虐待の連鎖みたいなもの、虐待といっても、言葉だったりということなのですが、そういうケースもかなり見られておりまして、将来的に連鎖していくことも考えますと、幼少期にきちんと受け止められる体験は大事ではないかと改めて思います。

それから、最初のほうのこどもの声の話ですが、実は私どももこども家庭庁の趣旨を反映して、こどもの声を市の政策に反映できないか、今少しチャレンジし始めているのですが、中学生あたりのこどもでも大変難しいです。

テーマを設定して、かなり絞り込んで、準備しないと声が聞けないということがあって、特に幼少期の子、保育園児などは、個別に聞いていくことはかなりできるのですが、それでも聞き方の問題はかなり難しいということで、その辺りはいろいろとトライもし始めておりますので、またいずれ何かの機会で共有できることがあればと思います。

以上でございます。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

続きまして、明和委員、お願いいたします。

明和委員:今日はどうもありがとうございました。

私からは、おとといの事前レクで既にこどもの声を聞くことの意義、方法論の問題についてすでにお伝えしたので、今日は、皆さん議論が深まってよかったと思います。

こどもの声を聞くことは極めて重要な問題だと思っていますが、それをどのように妥当に行っていくことができるかなと個人的に考えていたのですが、こどもの声を「聞く」というよりも、こどもの声を「どう感じるか」に視点を当てて調査していく方向も重要ではないでしょうか。例えば今の小学生、中学生、高校生たち、思春期のこどもたち、つまり、これからプレパパ、プレママになっていく世代の人たちがが、実際にこどもたちと接したときに、どんなこと、何を感じたかを考えるところからスタートしてもいいのかな、と思います。またいろいろと議論させてください。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございます。

続きまして、横山委員、お願いいたします。

ミュートを解除していただけると。

横山委員:ありがとうございます。

時間も限られていますので、手短に言いますが、今日のお話を伺って、有村委員が。

聞こえますでしょうか。

秋田部会長:はい。大丈夫です。

お願いいたします。

大丈夫です。

続けていただいて、お願いします。

横山委員:聞こえておりますか。

秋田部会長:はい。

横山委員:失礼しました。

有村委員がおっしゃっていたのは、周縁化されたこどもたちや家庭に着目していくことがとても大事かなと思いました。

ここの部会で様々な施策を考えていただく上で、周縁化されたこどもたちは、なぜ周縁化されていったのか、そういったことを聞くことがとても大事かなと思った次第です。

ありがとうございます。

秋田部会長:ありがとうございます。

それでは、続きまして、大豆生田部会長代理、お願いします。

大豆生田部会長代理:ありがとうございました。

有村委員のお話から、周縁化するこどもの声をどのように聞くかという問題としても聞かせていただきました。もしかすると、今日の議論の中で、そこのところをどう聞くかということは、大きな一つの切り口になるかなと思っていました。

こどもの声を聞くことは、今日、様々な議論がありましたが、私もある自治体で幼児の声を聞くことをやったときに、例えば園をどう選ぶかとか、どのように日常的に話し合っているかとかも含めて大事な点になってくるので、今日は時間がないので、これ以上話せませんが、そこら辺も含めて議論がしっかりとできたりということも大事です。

先ほどあったように、大人に聞くだけでは聞こえてこないことが実はたくさんあったことも確かですということもここまで触れさせていただきました。

あと、鈴木委員の話も興味深く、ありがとうございます。

まさに最後におっしゃったように、社会全体がこどもの生活のことを優先順位としてというところも大切なメッセージで、大人の働き方、保育所の働き方、配置基準のことまで全くそのとおりだと思って、大賛成です。

ありがとうございました。

以上です。

秋田部会長:どうもありがとうございました。

お二方の御発表も十分に質疑ができればよかったのですが、いろいろとこちらの不手際で時間も延長いたしまして、申し訳ございません。

それでは、本日の会議はこれにて終了といたします。

皆様、スムーズな会議進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。

次回以降の日程について、事務局より御連絡をお願いいたします。

お願いします。

高木課長:次回、第3回は、6月26日月曜日、10時から、原則オンラインで開催しようと思っております。

よろしくお願いいたします。

以上です。

秋田部会長:ありがとうございます。

皆様、どうもありがとうございます。

オンラインの方も、どうもありがとうございます。

以上です。