基本政策部会(第1回)
概要
日時:令和5年5月22日(月)10時00分から12時00分
場所:TKP新橋カンファレンスセンター14階 ホール14G
【オンライン配信URL】
URL:https://www.youtube.com/watch?v=Auvhkzsh9Zo
議事
- 内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍)挨拶
- 部会長選出
- 事務局より説明
・諮問について
・こども政策の推進に係る有識者会議の報告書について - 自由討議
資料
- 議事次第(PDF/91KB)
- 資料1:部会の設置について(PDF/74KB)
- 資料2-1:こども政策推進会議における総理発言等(PDF/268KB)
- 資料2-2:諮問第1号:今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針及び重要事項等について(PDF/93KB)
- 資料2-3:こども政策の推進に係る有識者会議第2次報告書(PDF/8,938KB)
- 参考資料1:こども基本法(抄)(PDF/95KB)
- 参考資料2:こども家庭審議会令、こども家庭審議会運営規則(PDF/187KB)
- 参考資料3:こども政策推進会議、こども家庭審議会、こども未来戦略会議の違い(PDF/83KB)
- 参考資料4-1:少子化社会対策大綱(PDF/1,907KB)
- 参考資料4-2:子供・若者育成支援推進大綱(PDF/1,010KB)
- 参考資料4-3:子供の貧困対策に関する大綱(PDF/939KB)
議事録
佐藤参事官:それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第1回「こども家庭審議会基本政策部会」を開始いたします。
本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
部会長選出までの間、進行を務めさせていただきます、こども家庭庁長官官房参事官の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、この部会は、こども家庭審議会総会と同様に、ユーチューブにてライブ配信を行っておりますので、御承知おきくださいますようお願いいたします。
それでは、初めに、開催に当たりまして、小倉大臣から御挨拶をいただきたいと存じます。小倉大臣、よろしくお願いいたします。
小倉大臣:ありがとうございます。こども政策担当大臣の小倉將信です。
本日は、御多用の中御参加をいただきまして、誠にありがとうございます。
先月、委員の皆様方も何名も参加してくださっておりますが、第1回のこども家庭審議会の総会を開催いたしまして、こども大綱の案の策定に向けた検討につきまして、総理からこども家庭審議会に対してお願いをさせていただいたところであります。こども大綱は、こども基本法に基づき、従来の少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱を一つに束ね、幅広いこども施策に関する今後5年程度を見据えた中長期の基本的な方針や重要事項を一元的に定める、我が国初の大綱となります。
総理からは、先月18日のこども政策推進会議におきまして、常にこどもや若者の視点で、こどもや若者の最善の利益を第一に考える、こどもまんなか社会を実現する、そのためのこども大綱となるよう、こども家庭審議会において調査審議をいただきたいといった話がございました。
部会の審議に当たり、私から、長くなって恐縮ですが、4点ほどお願いをさせていただきたいと思います。
まず1点目は、こども・若者、子育て当事者など、多くの方からしっかり意見を聞き、その意見を反映いただきたいという点でございます。こども基本法では、こども大綱の案を作成するに当たり、こどもや若者、子育て当事者、民間団体等の意見を聞く措置を講ずることが規定されております。
この部会での調査審議の中でも、委員の皆様が直接こどもや若者から意見を聞く機会を設けたり、子育て当事者の意見を把握する取組を行うなど、こどもや若者、子育て当事者の視点に立った調査審議をぜひ進めていただきたいと思います。
続きまして、2点目は、今後のこども政策の基本方針について、昨年度末に取りまとめられました、こども政策の推進に係る有識者会議第2次報告書で整理された考え方について、さらに議論を深めていただきたいという点でございます。
報告書では、こども大綱が目指すこどもまんなか社会の姿や、こども施策の立案、実施に当たって踏まえるべき基本的な共通事項などが整理されております。
これらを踏まえつつ、具体化していただくようお願いを申し上げます。
3点目になります。そうした基本的な方針の下で取り組んでいただくべき政策の大きな柱と施策の方向性を提示していただきたいという点です。
制度や組織による縦割りを打破し、政府全体で取り組むべき施策の方向性について議論を深めていただきたいと思います。
最後に4点目でございますが、こども施策においては、エビデンスに基づいた施策の推進、EBPMがとても重要であります。
勘や経験、思い込み、いわゆるKKOに基づく政策ではなく、データや統計を活用したエビデンスに基づく政策の体系を構築し、継続的にPDCAサイクルを回していくことができるよう、議論を進めていただきたいと思います。
この基本政策部会の委員には、20代、30代の若者、子育て当事者の方々が全体の3割以上を占めてくださっております。
また、常日頃からこども・若者、子育て当事者に接していらっしゃる方々、多岐にわたる専門分野を持っていらっしゃる学識者の方々に御参加いただいております。
この基本政策部会、こども家庭庁の様々な審議会や分科会の中でもとりわけ重要な部会の一つだと、このように私も認識しておりますし、私が出席できない回であっても、皆様方の議論を議事録を通して拝見させていただいて、こども家庭庁の政策にもしっかり生かしてまいりたいと思っております。
ぜひ、皆様の御自身の知見を生かしていただいて、また、多くのこどもや若者、子育て当事者の意見を聞いていただいて、それらを真摯に受け止めながら、闊達に御議論いただきますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の冒頭の挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくします。
ありがとうございました。
佐藤参事官:小倉大臣、ありがとうございました。
ここで、プレスの皆様方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
佐藤参事官:本日御参集いただきました委員の皆様の御紹介につきましては、誠に恐縮ではございますが、お手元にお配りしております委員名簿をもって代えさせていただきます。
続きまして、政府側の出席者を紹介いたします。
こども家庭庁長官官房長の小宮でございます。
成育局長の藤原でございます。
支援局長の吉住でございます。
官房審議官の浅野でございます。
同じく官房審議官の黒瀬でございます。
同じく官房審議官の野村でございます。
参与の川瀬でございます。
議事に入ります前に、私から、基本政策部会について御説明をいたします。
資料1、部会の設置についてを御覧ください。先月21日に開催されましたこども家庭審議会総会におきまして、部会の設置が決定されました。
この基本政策部会につきましては、1枚目の黒囲みにありますとおり、所掌事務として4点掲げられてございます。
まず、こども大綱の案の策定に向けた検討及び大綱に基づく施策の実施状況の検証・評価です。第2に、こどもの意見の政策への反映に係る仕組みづくり・環境整備に関する調査審議です。
なお、ここで言います平仮名の「こども」でございますが、こども基本法において定義されているものであり、特定の年齢で区切られておらず、高校生や大学生、20代の若者も含まれております。
第3に、児童の権利条約に係る取組に関する調査審議でございます。第4に、これらのほか基本的な政策に関する重要事項の調査審議です。
つまり、例えば幼児期までの育ちですとか虐待といった個別の分野につきましては、ほかの部会が担当しておりますけれども、こども政策全般にわたり横串を刺していくようなことですとか、また、基本的な政策に関することは、この基本政策部会で御審議いただくことになります。
続きまして、部会長の選出に移りたいと思います。
こども家庭審議会令第6条第3項におきまして、部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任することとされております。
部会長について、委員の皆様から、どなたか御推薦はございますでしょうか。
(新保委員、挙手)
新保委員、よろしくお願いします。
新保委員:私といたしましては、秋田委員を推薦させていただきたいと考えます。理由は主に3つあります。1つは、有識者としての高い能力をお持ちであるということ。
2つ目は、会議運営について多くの御経験を今までお持ちであること。
そして、会議に御一緒させていただいて、このテーマについての深い思いをお持ちであるということ。
これらにより、秋田委員を推薦させていただきたいと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤参事官:ありがとうございます。
ただいま、秋田委員を推薦する御意見をいただきましたが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
佐藤参事官:ありがとうございます。
それでは、秋田委員におかれましては、部会長席に移っていただき、この後の議事進行をお願いできればと存じます。
(秋田委員、部会長席へ移動)
秋田部会長:皆様、ありがとうございます。ただいま部会長を仰せつかりました、秋田でございます。
こども大綱の策定に向けまして、常にこども・若者の最善の利益を第一に考え、こども・若者に関する取組・政策を社会の真ん中に据えたこどもまんなか社会を実現するため、こども・若者、結婚・子育てを希望する方々や子育て当事者の視点に立って調査審議を進めてまいりたいと思います。
皆様のお声、お知恵をお借りすることが極めて重要でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
なお、本部会につきましては、こども・若者を含む一般の皆様に広く公開し、ライブ配信・アーカイブ配信で御視聴いただいておりますので、こども・若者に分かりやすい御発言、表現をいただければということでございます。
それでは、まず初めに、部会長代理の指名をさせていただきたいと思います。
こども家庭審議会令第6条第5項におきまして、部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理することとされています。
本日は遅れての御出席と伺っておりますけれども、松田委員を部会長代理に指名させていただきたいと思います。松田委員は様々な審議会で御一緒してまいりましたけれども、御見識も高く、お支えいただけるものと考えております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、次に、こども大綱の案の検討を進めるに当たりまして、まず、内閣総理大臣からの諮問やこれまでの経緯につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
佐藤参事官:それでは、少しお時間をいただきまして、これまでの経緯などにつきまして、私のほうから御説明をさしあげたいと思います。
まず、資料2-1を御覧ください。こども基本法では、内閣総理大臣を会長とし、閣僚から成るこども政策推進会議がこども大綱の案を作成することになっています。
先月18日にこども政策推進会議が総理大臣官邸で開催され、こども大綱の案の作成について、総理からこども家庭審議会に諮問することが決定されました。
その際、岸田総理からは、先ほど小倉大臣からもお話がありましたとおり、こども大綱は、幅広いこども施策に関する今後5年程度を見据えた中長期の基本的方針や重要事項を一元的に定める大綱であること。
常にこどもや若者の視点で、こどもや若者の最善の利益を第一に考えるこどもまんなか社会を実現していく、そのためのこども大綱となるよう、別途行われているこども・子育て政策の抜本強化に向けた議論も踏まえながら、こども家庭審議会において調査審議いただきたいという話がありました。
このこども政策推進会議での決定を受け、4月21日に行われたこども家庭審議会総会において、資料2-2にありますとおり、総理から諮問がなされました。
資料2-2を御覧ください。1枚目に諮問の頭紙がありまして、2枚目に諮問理由があります。
ここをかいつまんでお話しします。
まず、こども基本法の規定として、こども大綱は、こども施策に関する基本的な方針や重要事項について定めるものであること。
これまでの3つの大綱に掲げる事項を含むものでなければならないこと。
原則として、目標とその達成期間を定めるものとすること。
政府は、こども大綱の定めるところにより、こども施策の一層の充実とその実施に必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならないこと。
こどもや子育て当事者、民間団体等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることなどの規定を確認した上で、その次のポツの段落ですけれども、幅広い分野の様々な英知を結集して議論を進める必要があり、こども家庭審議会に諮問をすること。
また、検討の際には、内閣官房の有識者会議第2次報告書を踏まえつつ検討いただきたいことが、この諮問理由に述べられています。
続きまして、資料2-3を御覧ください。
少し大部の資料になりますけれども、今御紹介しました諮問文において触れられております、こども家庭庁創設前に行われました内閣官房のこども政策の推進に係る有識者会議第2次報告書について、本文を用いまして、御説明をしたいと思います。
まず1ページ目、スライドの表示だと2になりますけれども、「はじめに」でございます。真ん中より下半分ぐらいを御覧ください。
この有識者会議は、既存3大綱、3つのこれまであった大綱の進捗等を踏まえて、こども大綱の策定に向けた論点の整理として取りまとめられました。
そして、こども大綱の案の具体化に当たっては、別添1から7ぐらいまでついているのですが、別添1についておりますこの有識者会議の最初の報告書、第1次報告書、こちらは一昨年の11月に岸田総理に提言をされています。
この報告書に示された政策の柱に加えて、別添2についております、小倉大臣の下で昨年度に進めてまいりましたこどもまんなかフォーラムですとか、関係団体、有識者との対話における意見、また、別添3についております、内閣府ユース政策モニターのこども・若者からの意見、また、別添4についております、小倉大臣が児童館や児童養護施設等を往訪した際にこどもや若者から寄せられた意見、また、別添5についております、結婚・子育てに関する当事者の意識・声。
これらを真摯に受け止めるとともに、別添6及び別添7で示された既存3大綱の進捗と成果を踏まえつつ、今から御説明します第2次報告書に示した考え方、また、第1次報告書に記載した施策の実現に向けて、最大限の努力を求めるものであるとされています。
続きまして、資料のページ数で言うと3、スライドの番号で言うと4を御覧ください。今御紹介しました小倉大臣の下で行われたこどもまんなかフォーラム等から得られた気づきや示唆について、ここから8ページ目まで記載をしています。
お時間の関係で、詳細は後ほど、こちらと、また別添2で個別のことを載せておりますので、そちらを御覧いただきたいと思いますが、簡潔に御紹介をしますと、まず、①こども・若者の意見表明や参画に関してですけれども、こども・若者が自らが意見表明と自己決定の主体、いわば権利の主体であるということを認識できるようにすることが大事だという指摘がありました。
また、こどもや若者が主体的に活動するに当たっての支援を求める声、脆弱な立場にあるこども・若者たちの意見が聞かれることを保障する必要があるとの指摘がありました。
続きまして、4ページ目の②こどもや若者の健やかな成長に関連する事項につきましては、学校教育や学び、学校生活の充実、また、学校や家庭以外の居場所を求める声が挙げられました。
また、公園は遊具が減っていること、体を動かし、様々な体験を得る機会や失敗から学ぶ機会が減っているという意見がありました。
次のページに行きまして、中高生のうちから、企業のことや社会、自分自身のライフイベントの選択肢などについて知る機会が必要との指摘。また、固定的性別役割分担意識に対する指摘がありました。
都市と地方との違いに留意すべきという意見もありました。
続いて、5ページ目の真ん中下、③です。
困難な状況にあるこどもや若者、家庭への支援に関しては、貧困や虐待、性差別などがないような社会にしてほしい。また、若者の貧困にも目を向けてほしいという意見がありました。
6ページ目、不登校、発達障害を含む障害、非行などの様々な状況に置かれたこどもや若者が、そうした違いを自然に受け入れられる幼少期のうちから互いを知るような機会の重要性について指摘がありました。
続きまして、このページの下のほうの④です。結婚、妊娠・出産、子育てに関しては、結婚に前向きな意見がある一方で、こどもは欲しいが、仕事と子育てを両立できる自信がない、結婚や子育てにメリットを感じないといった声が寄せられました。特に女性からは、固定的性別役割分担意識等があり、母親の負担が大きいのではないかという懸念の声がありました。
また、有識者からは、正規・非正規の格差解消が重要との指摘がありました。
続きまして、7ページ目の下のほうの⑤です。大人に対する支援に関しては、こどもや若者と関わる大人がこどもや若者の権利を認識し、理解してほしいとの意見がありました。また、8ページ目、教職員や保育士等の待遇改善や負担軽減、心身的ケアの必要性が指摘されました。
最後に、⑥関係省庁・自治体・民間団体との連携についても意見を頂戴しました。
続きまして、おめくりいただきまして9ページ目、「3.こども大綱の役割」です。
まず、こども基本法上の位置づけにつきましては、先ほど総理からの諮問文の御説明の中で触れましたので省略いたしますけれども、9ページ目の中ほど、「こども基本法におけるこども施策とは」の部分にありますけれども、こども施策とは、こどもの健やかな成長や結婚・妊娠・出産・子育てに対する支援を主たる目的とする施策はもちろん、若者に関わる施策、教育、雇用、医療、福祉に関する施策など、幅広い施策が含まれるものと解されています。
10ページ目の上のほうに出てきますとおり、地方自治体がこども大綱を勘案して自治体こども計画をつくる努力義務が課せられています。具体の実務を担う地方自治体が参照できるようなこども大綱でなければならないとされています。
また、次のパラグラフですけれども、長期的な展望に立った上で、おおむね5年をめどに、目標の達成状況や施策の進捗状況、施策の点検・評価・改善・実施を行うPDCAサイクルを構築することが求められています。
続きまして、(2)こども大綱が目指す「こどもまんなか社会」の姿です。
(2)のすぐ下のパラグラフですけれども、ここはこども基本法の目的規定が抜粋されています。
全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現、これがこども基本法の目的です。
その上で、おめくりいただきまして11ページ目の上半分ぐらい、「こども大綱により」の部分のパラグラフですけれども、常にこどもや若者の最善の利益を第一に考え、こどもや若者の視点で、その権利を保障し、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていくこと。
また、改行していますけれども、若い世代が、円滑な社会生活を送ることができ、結婚、妊娠・出産、子育てに希望を見いだし、主体的な選択により結婚ができて、こどもを産み育てることやこどもとの生活を始められ、こどもが幸福な状態で育つことができる社会を目指すことで、少子化を克服するとともに、こどもや若者のよりよい成長を実現すること、これが目指す社会の姿として示されています。
続きまして、11ページ目の下半分から「4.こども施策の立案・実施に当たって踏まえるべき基本的な共通事項」です。
政策を進める上での基本的な方針に当たるものとお考えいただければと存じます。
まず、(1)こども・若者、結婚・子育てを希望する方や子育て当事者の視点に立って考えることです。
2つ目のパラグラフですけれども、こども・若者が、社会や保護者の支えを受けながら、意見表明と自己決定の主体、いわば権利の主体として、自らのことについて意見を形成し、その意見を表明し、社会に参画することができること、その上で、こども・若者の最善の利益を実現する観点から、その意見が年齢や発達の程度に応じて尊重されることが、極めて重要である。「こどものために」だけではなくて「こどもとともに」という姿勢が求められるとされています。また、そのためにも意見形成の支援が重要であるとされています。
12ページ目、(2)でありますけれども、こどもや若者のライフステージに応じて切れ目なく対応していくことです。
乳幼児期から学童期、思春期、青年期における様々な学びや体験を通じて成長し、若者として社会生活を送るようになり、やがて自らも結婚や子育ての当事者世代となります。
そのプロセスにおいて必要な支援が、特定の年齢で途切れることなく、社会全体で支え、全てのこどもや若者が、どのようなライフスタイルを選択しても、将来にわたる展望を描けるようにするとされています。
また、「『子育て』とは」のパラグラフですけれども、子育てについても、こどもが乳幼児期のときだけのものではなくて、学童期、思春期、青年期を経て、こどもが大人になるまで続くものであり、子育てを社会全体で切れ目なく支えていくとされています。
続きまして、12ページ目の一番下の(3)全てのこども・若者への対応を基本としつつ、こどもや若者の現在と将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないようにすることです。
全てのこどもや若者が、相互に人格と個性を尊重しながら、居場所を持ち、様々な学びや体験ができ、自己肯定感などを高め、幸せな状態で成長し、自分らしく尊厳を持って社会生活を営むことができるように、社会全体で支えていく。その際、ウェルビーイングを多角的に考えていくことが重要であるとされています。
また、13ページ目に入っていますけれども、こうした対応を基盤として、困難を抱えるこどもや若者、家庭の支援ニーズにきめ細かく対応し、成育環境等への対応も含め、重層的にアプローチしていくことが重要であるとされています。
続きまして、13ページ目中ほど、(4)結婚や子育てに希望を持つことができ、その希望を叶えるようにすることです。
個々人の結婚や妊娠・出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因を一つ一つ取り除き、若者や子育て当事者が家庭や子育てに夢を持ち、安心してこどもを産み、育てることができ、子育てに伴う喜びを実感できる社会づくりを進め、少子化を克服していかなければならないこと。
その際、もちろん、国や社会の都合で特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりしてはならないということが挙げられています。
13ページの一番下から次のページにかけてですけれども、(5)関係省庁、自治体、民間団体等との連携です。14ページ目に行っていただいて、自治体について、地域の実情を踏まえつつ、国と地方自治体の視点を共有しながら進めていくこと。
民間団体について、こうした共助を行政が支えていくこと。
また、最後、国際機関や国際社会における様々な取組との連携が重要であることが指摘をされています。
続きまして、14ページ目の中ほどから「5.こども施策を進めるにあたっての基本姿勢」です。
こちらは、今しがた申し上げました基本的な方針の下で、個別具体の施策を進めるに当たっての姿勢となるものです。
まず、(1)こどもや若者の人格・個性を尊重するということです。
こどもや若者は、未来を担う存在であるとともに、今を生きています。
意見表明と自己決定の主体として、人格を持った個として尊重されなければなりません。
また、下のほうですけれども、思想・信条、人種、国籍、性別、障害の有無、生い立ち、成育環境、家庭環境等によって差別的取扱いを受けることがないようにし、それぞれのこども・若者の可能性を広げていくこと。
また、権利の侵害からこどもを守っていく必要があります。
15ページ目、上半分にありますように、児童の権利条約のいわゆる「4つの一般原則」を、いま一度、社会全体で共有することが必要であるとされています。
続きまして、(2)ライフステージに応じた切れ目ない施策です。
こども・若者が、心身ともに健康で、豊かに楽しく遊ぶことができ、学びや体験の中で社会性を身につけ、希望と意欲に応じて社会で能力を発揮できる環境を保障すること。
様々な困難に直面した際は、必要な支援が受けられることが重要とされています。
様々な分野の関係機関・団体が有機的に連携して、保健、医療、療育、福祉、教育を切れ目なく提供すること。
特定の年齢で一律に区切ることなく、こどもや若者に伴走することが挙げられています。
また、16ページ目にかけてですけれども、若者の生活の基盤を確保し、若者が未来に希望を持って生きられる社会をつくることは、少子化の克服や貧困の連鎖の防止のための鍵であるとされています。
続きまして、16ページ目の(3)若者などが結婚や子育てに希望を持つことができ、その希望を叶えられる環境整備です。
個々人のライフコースが多様化している中で、どのようなライフスタイルを選択しても、それに応じた支援が受けられること。また、全てのライフステージにわたって、都市と地方の違いに応じたきめ細かな取組や、男女ともにキャリアとライフイベントに展望が描けるような取組が重要であること。
さらには、少子化は日本の未来に関わる問題であり、社会全体で支えることが掲げられています。
また、結婚や出産をするかしないかは個人が選ぶ権利があること、いわゆるSRHRですけれども、これらをこどもや若者が知る機会や場を充実していくことも指摘がされています。
続きまして、16ページ目の下のほうの(4)大人への重層的な支援です。社会全体で家庭を支え、保護者が自己肯定感を持ちながら、幸福で、こどもと向き合える環境を整えていくこと。
また、17ページ目に入っていただき、様々な状況にある子育て家庭をきめ細かく支援していくこと。とりわけ低年齢のこどもの良質な成育環境を確保すること。
また、男性が家事・子育てに主体的に参画することを社会全体で後押しすることが求められています。
次のパラグラフ、虐待や養育困難などの理由による場合、できる限り家庭と同様の養育環境で、こどもの最善の利益が保障されなければならないとされています。
また、その次のパラグラフですけれども、幼児教育や保育に携わる方々、教職員、地域でこどもや若者に関わる方々が喜びや幸せを感じられて、キャリアパスが描けるとともに、多様な人材を確保、育成するということが触れられています。
続きまして、(5)誰一人取り残さず、確実に届ける支援です。支援が必要なこども・若者や家庭ほどSOSを発すること自体が困難です。
全てのこども・若者や家庭を対象とした予防的関わりを強化すること。
また、18ページ目にかけてありますとおり、プッシュ型・アウトリーチ型の支援を届けていかなければなりません。
また、様々な状況に置かれたこどもや若者を誰一人取り残さず、その特性に応じた支援や合理的な配慮が行われること、個別ニーズに応じたきめ細かな支援と併せて、インクルージョンの観点からの施策を講じていくことが重要であるとされています。
最後に(6)EBPMの推進です。こども大綱が達成すべき目標と施策の進捗を図るための参考指標を設定していくこと。特に目標については、階層化やめり張りを図ること。
こども大綱の進捗をこども家庭審議会において点検・評価・公表し、毎年、総理を長とするこども政策推進会議で、こども大綱の具体施策を改定し、実行するなど、継続的に施策の点検と見直しを図ることが重要であるとされています。
また、18ページ目の一番下のパラグラフですけれども、当事者の視点に立って調査研究を充実させていくべきであるとされています。
最後に19ページ目、「おわりに」の部分でありますけれども、この最初のパラグラフです。
こども施策について、こどもや若者が自分らしく尊厳を持って自らの希望に応じてその意欲と能力を生かすことができ、こどもを産み、育てたいという個人の希望をかなえることにもつながり、個人の幸福追求において、このこども施策は非常に重要である。
それと同時に、未来を担う人材を社会全体で育み、社会全体の幸福と持続可能性を高めることにもつながります。
ミクロとマクロの幸福の両面を同時に実現する極めて価値の高い施策が、このこども施策であるということが指摘をされています。
別添の1から7につきましては、お時間の関係上、御説明を省略したいと思いますが、別添1のおととし11月に総理に提言された報告書についてだけ、少し簡単に触れます。
資料2-3全体で言いますと、スライドの番号で35のページ辺りを少し御覧いただければと思うのですけれども、「今後取り組むべきこども政策の柱と具体的な施策」という項目がありまして、その政策の3つの柱と、その下に施策の方向というのが示されています。
ここは一つ一つ御紹介する時間がないので、ぱらぱらとタブレット上おめくりいただきますと、例えば、結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会を目指すという柱の中に、括弧で(若い世代の結婚や妊娠への不安や障壁の解消)とか、めくっていただくと小見出しで幾つか出てくると思います。その3つの柱ごとに小見出しが幾つか出てきます。
この報告書自体にも書かれているのですが、これがこども施策の全てを網羅しているわけではないのですが、この小見出しを御覧いただきますと、また、本日、参考資料4-1から4-3で、これまでの3つの大綱、少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱、こどもの貧困対策大綱を載せています。
これらを眺めていただきますと、これから皆様方に御審議いただきますこども大綱が示すべき政策の範囲といったものが見えてくるかと存じます。
こうしたものを土台としながら、このこども大綱のスコープなどにつきましては、次回以降の部会で御議論を深めていただくことを考えております。
長くなりましたが、私からの御説明は以上になります。
秋田部会長:御説明どうもありがとうございます。
それでは、委員の皆様から御発言をいただきたいと思います。本日は最初の会合でございますので、こども家庭庁創設前の検討も踏まえつつ、こども大綱において大切にしたいことなどにつきまして、お一人3分程度で自由に御発言をお願いしたいと存じます。
私から、名簿の順に御指名をさせていただきますので、よろしくお願いします。
まず、青木委員、オンラインでお願いをいたします。
青木委員、聞こえますでしょうか。いらっしゃらないですね。
では、失礼いたしました。また青木委員には次の機会で、お願いすることにいたします。続いて、有村委員にお願いをしたいと思います。有村委員、お願いいたします。
有村委員:御紹介ありがとうございます。ソーシャルワーカーを養成している大学で教員をしております、日本社会事業大学の有村と申します。
今回は初回ということで、会場にて参加できればと思っておりましたが、所用のため申し訳ありません。リモートでの参加となってしまいました。
私はソーシャルワーカーを養成する大学の教員をしているわけですけれども、ソーシャルワークの基本的な価値、用語の中に「集団的責任」という言葉があります。
先ほどの第2次報告をお聞きしながら改めて考えていたのですが、社会の中でお互いに他者のウェルビーイングを尊重するからこそ、その空間で自分自身のウェルビーイングを守られるということがあると思います。
改めて、こども政策の推進に係る有識者会議の第2次報告の御説明をお聞きして、大切な報告書だと思いました。特に周縁化されがちな、現在の社会の中で脆弱な状態にあるこどもや家庭について、きちんとインクルージョンを考えていくための具体的な政策を考えていかないといけないなと改めて思った次第です。
特に障害のあるこども、それから発達の支援が必要なこども、医療的ケアが必要なお子さん方、社会的養護であったり、あるいはニーズがあるけれども支援の枠の対象にならなかった、ニーズがキャッチされにくいこどもたち、こういったこどもたちを対象にしていくことが、とても大事なところだなと思いました。
全てのこどもたちと全体で押しなべて見ると、支援が必要なこどもたちの声が薄れがちなところがあるかなと思います。
周縁化されがちな、特にマジョリティーというところからは外れた位置に置かれがちなこどもたちだからこそ、そこでのはっきり見えるニーズが、きっと全体に対しても大きなニーズであるということもたくさんあると思います。
また、全てのこどもを対象にしていく、こどもまんなか社会というところで今お聞きしていましたけれども、逆に、サービスや支援者が分断されていては、またそれもかなわないかなと思いました。
この基本政策部会では、そういった様々な領域をつなぐという議論も必要なのかなと思って聞いておりました。
今回、リモートでの参加となり、大変失礼いたしました。引き続き、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
秋田部会長:どうもありがとうございました。
続きまして、太田委員でございますが、太田委員は本日御欠席でございますので、メッセージをお預かりしておりますので、事務局のほうで代読をお願いいたします。
佐藤参事官:それでは、代読いたします。
慶應義塾大学経済学部の太田聰一と申します。大学では労働経済学を教えています。
私は、これまで日本の労働市場の様々な側面を研究対象としてきました。雇用・失業問題、スキル形成、賃金構造、地域労働市場などがメインの関心対象ですが、それらと関連させる形で、若年の雇用問題も研究の対象としてきました。
この点について簡単にコメントさせていただければと思います。
1990年代のバブル経済崩壊後の長期不況において、若い人々が深刻な影響を受けました。
企業が新卒の正社員採用を大幅に絞り込んだため、せっかく高校や大学を卒業しても、スムーズに就職できない若者が多数発生しました。学校を卒業した段階で仕事が少ないために無業に陥ったり、不本意な形で非正社員になったりした人々の少なくない部分が、その後も労働市場で厳しい状況に置かれるようになり、就職氷河期世代という言葉が生まれたのも御存じのとおりです。
たまたま不況期に学校を卒業したという偶然的な出来事のせいで、長期にわたって総じて低い賃金を受け入れざるを得なかったというのが、そうした世代の人々の平均像です。
もちろん、結婚したり、こどもを持ったりという家族形成にもマイナスの影響が生じました。
第2次ベビーブーム世代という比較的大きな世代が就職氷河期世代と重なったことから、日本で生まれるこどもの数が相当程度抑え込まれてしまったと思います。
日本の労働市場は、新卒の労働市場が整備されていて、平常時には学校から仕事への移行が比較的スムーズだと言われています。
しかし、厳しい景気状況が続くと、まだ安定的な仕事を得ていない若い人々が深刻なダメージを負いがちだというマイナス面もあるように感じています。
もちろん、卒業段階で景気がよかったり悪かったりするのは避けられない面がありますが、それが特定の世代にとって大きなダメージにならないように、若者に対する職業面でのサポートを十分に行っていくべきだし、再チャレンジ可能な労働市場の仕組みをしっかり考えていく必要があると考えています。
また、若者の雇用の問題は、若い人々が労働市場に出る前にどのような知識を身につけておくべきかという問題にも関連すると思います。
一昔前は、自分を雇ってくれた企業にキャリア形成をお任せする傾向がありました。
しかし、最近では、デジタル化をはじめとする技術変化によって、企業の外で学ぶべきことが増えており、若者自らが自分のキャリアを切り開いていく時代に変わりつつあるように感じています。
そうであれば、これからの若者は、自ら主体的に学んでいく力がこれまで以上に求められるでしょうし、その際に判断の材料となる情報提供など、若者をサポートする施策も必要になっていると考えています。
一人一人の若者が安心して職業生活を営み、仕事面で輝くことができる社会をつくることは、若者個々人のみならず、長期的に若い人が希少になっていく日本全体にとっても大変重要なことだと思っております。
そのためにどのような政策が望ましいのか、ほかの委員の皆様と一緒に考えることができればと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
代読は以上です。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、岸田委員、お願いをいたします。
岸田委員:御紹介に預かりました岸田雪子と申します。このたびはどうぞよろしくお願いいたします。
私は、一記者として、これまで教育やこども政策、あるいは子育て政策についての課題について取材してまいりました。この間、30年ほどになります。
その間、一貫して心に留めてまいりましたことは、当事者であるこどもたちの声を聞くということです。
具体的な政策についても、こどもたちは非常に核心を捉えた賢明な意見をたくさん寄せてくれました。
そして同時に、いじめを受けた子や、自分がいじめたという子、それを見ていた子、虐待を受けた子、あるいは自ら命を絶とうとした子、そうした課題を救えずに苦しむ親の皆さんの声を聞いてまいりました。
この国では、毎年およそ500人のこどもたちが自ら生きることをやめています。
昨年は512人と伝えられています。こどもの数が減る中で、この数を減らすことができていない、この現状から私たちは出発する必要があるのではないかと思っております。
こども政策にとって何が大切かを考える上で、私たち大人が、なぜこどもたちにとって生きやすい社会をつくれていなかったのかという自己点検も、出発点として非常に重要なのではないかと考えております。
取材過程の中で、私は幾つかの壁もあると感じております。1つには、国と地方の壁があると思っております。
例えば、いじめ防止対策推進法は、いじめが起きたときにどのようにこどもたちに対処したらいいか、非常に示唆に富んだ条文が含まれています。
ですが、実態として、その理念が生かされていない、あるいは理解すらされていないのではないかと思われる現場で重大な事態が起きていると思います。
こうしたこどもたちにとって必要な施策の中身と同時に、それらを実際にこどもたちが享受できているのかどうか。
そうした点検、検証ができる仕組みが同時に必要であると思っております。
この30年の時を経て、大きな希望も生まれていると思います。
こども家庭庁発足とともに施行されているこども基本法が掲げる理念がその大きな柱にあると思います。
こども一人一人が個人として尊重され、自己決定できる権利の主体であるというこの理念が、いじめ防止や虐待の防止、あるいは性犯罪からこどもを守る、あるいはインターネットを通じた犯罪の横行からこどもたちを守っていく。
そうした課題解決の中でこそ、こどもの人権の尊重というのは具現化される必要があるのではないかと考えております。
取材の過程で私自身も一人の親となりました。先ほどの第2次報告も拝見していまして、非常に具体的な示唆に富んだものだと思っております。
できるだけ具体的な議論に寄与できますように努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
ここで小倉大臣が御退室ということですので、一言お願いいたします。
小倉大臣:審議の途中で失礼いたします。
ちょうど同時刻に女性活躍の大臣検討会の最終回がございますので、ここで失礼させていただきますが、冒頭申し上げたように、しっかり今日の後半の議事録も拝見させていただいて、皆様方の意見、一つ一つ丁寧に勉強させていただきたいと思っております。
この部会は、こども政策の基本的な方針であるこども大綱を具体化するという、先ほども申し上げたように、極めて重要な審議をしていただく部会であると思いますが、アウトプットだけではなくて、審議のプロセス、審議の過程における議論を多くの皆様方にユーチューブでのライブ配信を通して見ていただくということが、それと同じぐらい重要だと私自身は認識をいたしております。
今日も我が国で、壁に直面して、誰にも相談できず、独り悩んでいるこどもや若者、たくさんいると思います。
我が国の将来に明るい展望を描けずに、夢を持てずに、無気力にさいなまれているこどもや若者もたくさんいると思います。
そういったこどもや若者たちに、我々は真剣に議論をし、こどもや若者たちに寄り添って、しっかり考え、議論をし、様々なこども政策を実現しようとしているんだということを、この配信を通じて理解していただくということ自体が非常に尊いことだと思っております。
先日開かれましたこども家庭審議会総会の第1回、年代を越えて、様々な専門分野を越えて、非常にお互いを尊重して、和気あいあいとした、そういう議論ができたのではないかと思っておりますし、この部会も、様々な年代、様々な専門知識、経験をお持ちの方が集まってくださっていると確信いたしております。
まだ初回ですので、ちょっと会場が広くて距離があるように感じるかもしれませんが、ぜひ、秋田部会長の下で、回を経るごとに一体感を増して、そして、お一人お一人が思っていることを気兼ねすることなく存分にお話しいただいて、それが多くのこどもや若者に届くことを大臣としても切に期待いたしておりますので、ぜひ遠慮なく、これからもどんどんお話しいただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
(小倉大臣退室)
秋田部会長:小倉大臣、ありがとうございます。御多用の中、大事な御発言をいただきました。
大臣が言われましたように、本音を御発言いただけたらと思います。
ただし、3分をお守りいただけるとありがたく存じます。
今、青木委員がオンラインにお入りになっておられるということですので、順番を逆に戻らせていただきますが、青木委員、お願いいたします。
青木委員:ありがとうございます。公務のため出席が遅くなり申し訳ございません。
國學院大學の青木と申します。
このたびは、この基本政策部会の委員として、こども大綱の策定に携わらせていただく機会をいただきありがとうございます。
私の専門は青少年教育ということで、主に放課後や休日の体験活動を専門にしており、これまで、こどもの頃の体験がもたらす効果などについて研究を行ってきました。
そうした立場から、これからのこども大綱の策定に向けて、私の思うところを一言申し上げられたらと思っております。
こどもが健やかに伸び伸びと成長していくためには、自分が興味を持った様々な活動にチャレンジをしながら、豊かな体験を重ねていくということがとても大切になってきます。
特にこどもの頃というのは、本当に興味や関心が多様で、いろいろなことに主体的に関わりながらチャレンジしていくことで、自分の可能性であったり、才能の芽を見つけて将来へとつなげていくということが多いといえると思います。
そのためには、まずは自分がやりたいと思ったことにチャレンジできる環境が必要になってくるわけですが、そのように自分がやりたいと思うことを、時間を気にせず自由にチャレンジできるというのは、主に放課後であったり休日という時間が中心となるわけですが、こうした学校外の環境というものは、家庭の経済状況などに左右されやすいことから、今はこどもの体験格差ということが非常に大きな課題になっているところです。
そのため、今は、様々な機関や団体が、経済的支援をはじめ、こどもたちの体験を支援する様々な取組を行っているところですが、そうした取組を行っている団体を支援するとか、こどもの体験の機会を増やしていくことなどを推進していくことで、こどもの体験格差の是正を図っていくということが、これからの社会を考えていく視点として大切になってくると思っています。
ただ、こどもの体験格差というのは経済的なことだけが理由ではなく、特に親の子育て意識というものも大きく影響しているのではないかと思っています。
特に今の若い親の世代というのは、親自身がこどもの頃の体験が少なくなっている世代でもありますので、例えば、幼い頃に自然の中で遊ぶことだが大切だよと言われても、なかなかこどもと一緒にどう遊んだらいいのか分からないと戸惑う親御さんも多いと思います。
ですので、例えば、休日は近くのショッピングモールといったような商業施設で過ごしてしまうという方も少なくはないと思います。
ですので、こどもの体験格差を是正していくためには、こどもだけに目を向けるのではなく、こどもを育てる家庭にも目を向けながら支援の在り方を考えていくことが大切になってくるのかなと思います。
また、放課後といえば、今、特にこどもの居場所づくりも大きな課題になっていますが、居場所づくりを進めていくに当たっては、地域の理解を促していくことが大切になってくるのかと思っています。
特にこどもにとって、近所の公園というのは大切な居場所の1つになると思いますが、最近はボール遊びが禁止になっていて遊べないとか、こどもの声がうるさいということで学校に通報されてしまうというようなことがあって、こどもが安心して伸び伸びと遊べる環境ではないというような公園も少なくないと聞いています。
公園で集まって遊んでいるこどもの姿の中で、例えば携帯ゲームで遊んでいる姿を見かけたりすることもあるのですが、そうした姿を見て、大人はついゲームばかりと思ってしまうのですが、こどもたちにとっては、そうした遊びしかできないような場所になってしまっているということも実情としてはあるのではないかなと思っています。
公園というのはこどもたちだけのものではないので、みんなが使いやすいためにルールがあるということはとても大切なことだと思うのですが、こどもたちが伸び伸びと遊べる居場所にするためには、例えば、放課後の時間はこどもたちが自由に使える時間にするとか、こどもの意見を取り入れながら公園づくりというものを考えていくことも大事になってくるのかなと思います。
そのためには、こどもまんなか社会という理念を地域の方々にも伝えていきながら、地域で子育てをするという思いを共有していくことも大切になるのではないかと思っています。
こども大綱の策定に向けては、こどもだけではなく、家庭、地域という多様な視点から、こどもがやりたいことのできる環境づくりであったり、こどもの意見を反映した地域づくりであったり、こどもが社会づくりに参加できているという実感を持てるような仕組みづくり、そういったことを考えていけたらいいなと思っております。
微力ではございますが、こども大綱の策定に向けて寄与できればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
秋田部会長:どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、木田委員、お願いいたします。
木田委員:御紹介いただきました、弁護士の木田秋津と申します。
本日はこのようなこどもまんなか社会の実現という歴史的な会議に参画する機会を頂戴しまして、大変光栄に思っております。ありがとうございます。
私自身、現在弁護士として、日々こどもの権利擁護活動という中で、困難な状況に置かれた子たちの声を聞くということがあります。
また、児童福祉の現場で、児童相談所の中で、こどもたちの救済、保護といったような活動も行っております。
ちょうど昨日も児童養護施設を卒所した後に若者になった子が自立支援を頑張っているところで、でも、困難にぶつかってしまったということでお茶をして、何となく話をしたというようなこともあります。
そういったような日々のこどもの声を届けられる機会になればなと思っております。
また、児童の権利条約との関係では、私は外務省の任期付公務員として勤めた経験がありまして、その際、国際法局において、こどもの権利条約を含めた人権条約を担当させていただいておりました。
このような経験を踏まえて、今回の会議でお願いしたいなと思うところを3つ、現時点で申し上げたいと思います。
1つ目は、今回、こども基本法にも子どもの権利条約の精神にのっとりという言葉が入っておりますけれども、それが現実になるように、きちんとこどもの権利体制が確保されて、全てのあらゆるこどもが権利主体として保障される包括的かつ総合的な内容となることが期待されると思っております。
2つ目は、やはり皆さんこどもの意見尊重ということを大事なことだと大臣もおっしゃってくださいました。
なかなか声を上げられない子がいるのも現実ですので、そういった子たちにも寄り添えるような意見表明の具体的な方法ですとか、施策を御審議させていただければと思います。
最後には、やはり私の立場からすると、権利侵害を受けたこどもたちの声をたくさん聞くので、その子たちの権利がどうやったら回復されるかなとか、どうやったらその後の人生につながるような一歩になるかなということを日々考えます。
そのような権利回復に向けた相談ですとか救済の方法についてもお話しできればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、清永委員、お願いいたします。
清永委員:ただいま御紹介いただきました清永奈穂と申します。よろしくお願いいたします。
私もこのように、こどもの視点に立って、こどもの利益を第一に考えるというこの会議に参加させていただきまして、大変ありがたく光栄に思っております。
力いっぱい、精いっぱい努めたいと思っています。
私自身は、犯罪ですとか地震、それからいじめなどの危機からの安全に関する研究を行っております。
実際の事件現場に赴いた実査ですとか、あと、こどもたちや保護者、地域のボランティアの方々への調査などを通して、社会安全基礎体力と私自身は呼んでおりますが、こういった力をつけるための教育プログラムの開発を行っています。
これらの調査から言えることは、危機に関する調査研究というのは、ただ机上にあってもしようがなく、実学として役に立たねばならないということです。
ですので研究結果を体験的なプログラムに反映させまして、実際にこどもたちや大人の方々に実践教育をしております。
例えば、先々週大きな地震があった珠洲市に参りまして、こどもたちですとか高校生などの意見を聞いてまいりました。
実際、また来月、安全教室をしに参りますが、そうした意見を反映させて、常にこどもたちに実践を繰り返しているところです。
保育所とか普通の中高生だけではなくて、特別支援学校ですとか外国人児童にも授業を伝えることをしています。
様々全国津々浦々で実践を行いたいのですが、そうはいっても指導者というのがなかなかおりませんので、自治体の方々や地域のボランティアの方々、そして、民生委員さんや大学生等と共に指導者の育成も行っています。
私は、せっかくこども家庭庁というところができたのであれば、1つ、これをできるといいなと思っていることがございまして、こども家庭庁だからこそできる省庁横断した信頼に耐え得る確かな調査のデータを取れるといいなと思っています。
もう既に始まっておりますし、今までも様々な先生方が蓄積されていますが、例えばイギリスのBHPSのようなパネル調査ですね。
これはもう30年以上続けていますけれども、同一主体を継続的に追跡しているということで、例えば貧困に陥ったり、そこから脱出したり、あるいは長期間とどまる家庭の動態的分析というのを可能にしています。
こうしたBHPSから始まったアンダースタンディング・ソサエティーという現在行われているイギリスでの調査によって、行政との密接な連携が行われたり、実態を把握したりすることでエビデンスに基づく政策の立案とか有効性の検証が行われています。
この調査の特色としてもっというと、こども自身にも回答を求めているのでその後のこども自身の追跡調査が行われており、こども期の経験が負の世代間連鎖とどう関係しているかなどの分析等もなされています。
こうした長期にわたる省庁横断したコーホート調査等によるデータがこれから蓄積していくことによって、こどもたちのための、私たち大人自身のためのよりよい社会がつくられていくといいなと思っている所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、駒村委員、お願いいたします。
駒村委員:慶應義塾大学の駒村でございます。
私は、経済学の視点から、人生にわたる社会政策を専門にしております。
最初の会合ということで、簡単に問題意識を申し上げたいと思います。
私は、人生のスタートラインとしてのこども期を極めて重視して考えております。
今、政府は全世代型社会保障という議論を進めていて、このアプローチは2020年あるいは2040年のこども、現役、高齢者を区分して見ているわけですけれども、これは人生という考えで見れば、同じ人を見ているということになると思います。やはり人生一体型で考えていく必要があるのだろうと思っています。
今のこどもたち、21世紀のこどもたち、人生100年とも言われている。これは推計上、医療技術の進歩が今のペースで進めばという前提があるわけですが、現時点で平均寿命は男性82歳、女性87歳ですけれども、中位寿命で見ると、既に男性85歳、女性91歳、最頻死亡年齢で見ると男性89歳、女性93歳ということで、もう実質90まできているということで、今の21世紀生まれのこどもたちはまず確実に90代後半までは生きる人生になる、極めて長い人生になっていくだろうと思います。
その長い人生の中で、人生のスタートラインがいかに重要なのかと。これはすぐ来るのが教育、就業といった部分が来ますけれども、実はもっと人生の後半にも大きな影響を与えてくるという研究が出てきております。
今、高齢化の中で社会保障給付、医療、介護、特に認知症の問題が大きくなってきて、この費用がかかると言われていますが、先進国では認知症のリスクが下がってきていると。これは教育水準の向上の効果があるのではないかと言われています。
一方で、こども期の劣悪な成育環境、あるいは格差、貧困、それから社会的排除を受けたこどもたちは認知症の発症リスクが高くなるという研究も出ておりまして、人生にわたって、こども期はスタートラインとして極めて重要ということになるかと思います。
今、清永委員からお話があったように、そう考えると、長期にわたって同一の人を連続的に、追跡的に分析していくということをもって、きちんとしたエビデンスを積み上げていく、そういうデータを充実、活用していくことが極めて重要だと思っております。
この上で、さらにこの2次報告の中でも繰り返し言及されておりますけれども、コロナの影響がこどもたちに、あるいは家族に一体どういう影響を与えているのか、極めて重要な問題を今後引き起こす可能性があると思っております。
大きな社会的事件があったときに、そのことを経験した世代がその後の人生に大きな問題を残していくという研究はこれまでありました。
日本はそこの研究がかなり弱いと思っておりますけれども、コロナによって、こどもたち、あるいはこどもを育てている家族がどういう変調を来しているのか、していないのか、きちんと把握して、エビデンスベースドの政策をつくっていく必要があると思います。
以上です。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、櫻井委員、お願いいたします。
櫻井委員:ありがとうございます。
このたびはどうぞよろしくお願いいたします。
GENCOURAGE代表の櫻井彩乃と申します。
私は、こども政策に係る有識者会議にも入れていただいておりまして、この2次報告書の取りまとめ等に関わらせていただきました。
私は、2018年に内閣府男女共同参画局が実施した第5次男女共同参画基本計画のパブリックコメントがあったのですけれども、その計画も5年間の計画ということで、若い世代の声をしっかりと入れなきゃねというところで、みんなでSNS等で声を集めて政策に反映してもらうというプロジェクトをやったことがきっかけで、特にジェンダー視点でユースが求める政策を提言していくというような活動をしております。
あと、ジェンダー平等に向けて何かしたいという若者は年々増えております。
そういった若者、特に30歳未満というふうに区切っているのですけれども、そういった方たちに課題解決能力を身につけて一緒に変えていこうということで活動を行っております。
どちらの活動も、若者、特に地方の若者の参加がすごく多いです。よく地方の若者たちに聞いてみると、日々もやもやすることがたくさんあるのだと言っていて、例えば女の子だから大学に行くことができないとか、私はすごくびっくりしたのですけれども、女の子だからおうちの中で最後から2番目に御飯を食べる、最後に食べるのがお母さんというふうな、私は結構途上国で活動するNGOに昔から行ったりして働いたりもしていたのですけれども、え、日本でもそんなことがあるのかというふうにすごく衝撃を受けました。
地域の特性とか様々あるのかもしれないのですけれども、そういったことで、女の子だからとか、あと男性で言うと、男の子だから強くなきゃいけない。
それが結果として、男は稼がなきゃいけないから結婚できないんだというようなものですとか、そういった男らしさ、女らしさというものが非常に強いなと感じます。
それは特に地方に強くて、そういったもやもや、生きづらさを誰にも打ち明けることができないで、SNSに書くけれども、どうせ反映されなくて、どうせ日本は変わらないんだみたいなことに非常につながっているなと思います。
こういったことは、先ほどから出ている少子化にも非常につながってくるかなと思っております。
なので、性別役割分担意識だけが少子化の問題とつながっているわけではないですけれども、やはり幼少期からの性別役割分担意識、考えてみると、生まれた瞬間から青とピンクに分けられるという、そこからもう男女という役割、分けるということが始まっていると思うので、そういったことをしっかりと見直していかなければいけないのかなと思っております。
どんな環境に生まれても、こども・若者が生きづらさを感じることのない社会にしていかなくてはいけないと思っております。
20代、若者としてこちらに入れていただいていると思います。
何かの専門があるというのは特になく、若い人の声をSNS等で聞いているというところで入れていただいていると思うので、よりSNSを活用して、若い世代の声を多く集めて反映できるようにできたらなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
秋田部会長:ありがとうございます。
それでは、続きまして、貞廣委員、お願いいたします。
貞廣委員:皆様、改めましてこんにちは。
千葉大学の貞廣と申します。
私は、専門が教育制度、教育財政、特に教育資源の調達・負担・分担・配分の在りよう、殊さら社会的・経済的にしんどいこどもにいかに教育資源を傾斜的に配分していくかということを研究しております。
そういう教育の立場から、こちらの会議に参加させていただくことになりました。
本日、改めて御説明も受けながら、こども政策の推進に関わる有識者会議の第2次報告書を拝見いたしました。
大変いろいろな点に目配りが利いている、総合的なとても仕上がりのよい報告書であると改めて拝見したのですけれども、教育を専門とする私の立場からいたしますと、教育政策に関わるもの、教育の価値や在りように関わるものの書き込みや検討が若干物足りない感じがございます。
言うまでもなく、こどもたちは学校内外の教育的な営みの中で育っていくわけですので、ぜひ今後は、もう少し教育の価値であるとか具体的な在りようについて議論をさせていただければと思っております。
少し具体的なことを申し上げますと、皆様御承知のことと思いますけれども、例えば、ここ10年ほど、コロナ禍の前ぐらいからですけれども、ヨーロッパ諸国では幼児教育、殊さら義務教育年限の前倒しというのが起こっていて、3歳ぐらいから義務教育になっている国もございます。
この幼児教育、前倒しになったからといって、知識習得型の教育をするというのではなく、多様な経験、遊びの中から学んでいくという幼児教育のよさも生かしつつ、義務教育年限を前倒しするというものでございます。
ここでは、いわるゆ教育の価値というものが非常に重要視されていて、縦割り的な言い方になりますけれども、義務教育年限の前倒しの部分をグリップしている官庁というのは、文部科学省のような教育を所掌している官庁です。
政策的にも、教育が大事だということを非常に強く打ち出しておりますので、その辺りをもう少し検討した上で書き込んでいければと思っているところでございます。
これは2次報告が悪いとかいいとかいう問題ではなく、既存の3大綱をベースにつくってくださっている、当然の帰結であろうかと思いますので、今後のということです。
2つ目に、少し私の専門性に照らして申し上げますと、教育の中でも、学校内外にニーズのグラデーションを持っているこどもたちにきめ細やかに対応できるような教育の在りようをぜひ検討していきたいと思っています。
御承知のとおり、義務教育段階だけでも24万人のこどもたちが学校に通わない、通えない、報告書の中でも不登校という文言で言及されていますけれども、こうしたこどもたちだけではなく、学校に通っているのけれども、我慢して居づらい思いをしているこどもたちもいます。
また、様々な形で学校につながりたいと思っているのだけれども、快適に教室で勉強することができないグラデーションを伴っているこどもたちがいます。
こういうこどもたちへの対応というのは、効率的にできるというよりも、大変手間もリソースもかかるものでございますし、今までは全て一条校で、学校的な形態で対応しようとしてきたものでございますけれども、場合によってはこうした一条校と緩やかにつながっている多様な教育供給の形態を想定して、先ほど駒村委員がおっしゃった人生のスタートラインとしてのこども期の充実というものを、幼児教育と福祉とを一体的に進めていくことが重要であろうかと思っております。
こうしたような内容の検討にぜひ関わっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございます。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、定本委員、お願いいたします。
定本委員:どうもありがとうございます。
私は、京都少年鑑別所という施設で精神科医をしております定本ゆきこと申します。
地方の一施設で働いている者をこのような席に招いていただきましたこと、大変光栄に思います。ありがとうございます。
私のずっとやってきた仕事は、非行少年が収容されてくるのが鑑別所なのですけれども、そこでどうしてこの子が非行に至ったかということを鑑別するというのを精神科医の立場からする、それが主な仕事でやってきました。
非行といってもそういう単純なものではなくて、ここでもいろいろ議論されております貧困ですとか、発達障害とか、虐待とか、それから学校不適応、いじめ、そういったファクターが本当に絡み合って出てくるのが非行だと思っています。
そういうことも長年ずっと非行少年を見ながら、一般に悪いことをした子と言われているけれども、非行少年と呼ばれて入ってきたこの子たちが、決して悪い子たちではないということを私も教えられまして、様々な問題の中で、本当に光と影がありますけれども、いろいろな世の中の光ではなく影の部分を担っているというか、そこにいる子たちなんだなということを教えてもらいまして、その後、ずっと非行少年たちにいろいろ教えてもらいながら仕事をしてまいりました。
御存じかどうか分かりませんけれども、非行というのは日本でどんどん減っておりまして、少年鑑別所や少年院は本当に収容人員が少なくなっています。
一方で、こどもが幸せになっているかというと決してそうではなく、私は一方で精神科医としての臨床をしておりますので、やはりいじめや不登校、ひきこもり、そして自殺の問題は依然として、もっとさらに大きくこどもたちにのしかかっておりまして、やはりこれは社会の宝、これからの日本を担う本当に私たちの大切な宝として、日本全体で守っていかなくてはいけないということを日々感じております。
今回、特に私が申し上げたいと思っていますのは、実は非行少年の中でも特に、数は男子に比べて少ないけれども、非常に問題性の大きい女子非行少年のことを近年ずっと私は関わっているのですけれども、女子の非行少年や、あるいは女子の犯罪者たちの多くは性被害者なのです。
性的な搾取をほとんどの人が受けていると言っても過言ではないと思います。
そして、また一方で、私は性犯罪をしている男子少年とか犯罪者を見ていまして、そこで見るものは、本当に男性と女性の違い。
特に性ということに関して見ると、本当に違うものだと思うのですね。だから、やはりもっと小さいときから性についてしっかり、自分の性、そして異性の性を学ばなければいけない。
特にウェルビーイングとか、今回この会議では、結婚・妊娠・出産・子育てということを初めて、初めてではないかもしれませんけれども、日本が真正面に捉えて、みんなで考えていこうという会議なわけですから、性ということを真正面に扱わないといけないし、こどもたちが幸せな生涯を送るために、早い段階から正しい性を教えなくてはいけないという出発点に立っていただきたいと思います。
ちょっと忌憚のないことを申し上げてよろしいのでしょうか。
私は、長年いろいろな機会で性教育、性教育と申し上げてきた。あるいは、精神科医ですけれども、産婦人科の先生方も同じように、若い、そういう悲しいの立場に立った女の子たち見て、性教育、性教育と言ってきたのですけれども、残念ながら文部科学省のほうは学校教育に性教育を入れてくださらないということがずっと頑なに続いていて、何でだろうと思っていたのが、昨年ちょっと腑に落ちたという事件がございました。
私は臨床家をしていまして、やはりこどもたちがいろいろなことで傷つく宗教2世ということも、私は何人か患者さんがいまして、本当に深刻な問題です。宗教2世として本当に顔を出して告発したというか、発表された方々がおられました。
あの方々を守らなくて何がこの会議だと思っているわけですね。だから、ぜひとも私が願うことは、文部科学省の皆さんをはじめとして、そういう宗教団体、言ったら旧統一協会ですけれども、その宗教法人資格を中止していただきたい。
それをしていただかないと、国は矛盾というか、こどもたちを守りたい、こどもたちのウェルビーイング、本当に健全なこどもたちを守りたい。
どんな立場で、どんな形態の家庭であっても守る。
そういうふうに書いてあるわけですから、こういう家庭でないといけないということはないわけですから、偏った家庭観、そういうものからも本当に切り離していただきたいと願い、このことは申し上げたいなというふうに、ちょっと言わせていただきました。
どうも今後ともよろしくお願いいたします。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、新保委員、お願いします。
新保委員:神奈川県立保健福祉大学の新保と申します。
私は、こども家庭福祉学の領域で研究をさせていただいております。前身となる大綱に関していえば、こども・若者育成支援に関することとこどもの貧困対策について関わらせていただいておりました。
先ほど定本委員から女子非行の話がございました。
私は今日3つお話をさせていただこうと思っているのですが、1つ目がリプロダクティブ・ヘルスとかライツに関することです。
3つの大綱や報告書を読ませていただいて、部分的にはこれらのことについて触れていると思います。
ただ、妊娠の前の時期を支えることを含む、産む性である女性の心身を守るということについては、十分に書き切れていないかなと考えます。
特に妊娠前の時期に、地域社会の中で産婦人科と出会う機会が大分減っているのではないかなと思います。
これは数で見ると、産婦人科の数、そして小児科の数とも大幅に減少傾向にあります。この5年間の大綱に向けて、この低下傾向をそのまま放っておいてはいけないのではないかと考えます。
例えば、分娩できる一般診療所は、昨日調べましたら999と1,000を切っているそうです。市町村の数が1,724ですから、2つに1つぐらいしかない。
都心部に固まっていますから、地方で分娩できる診療所はかなり減っていると言わざるを得ないのだろうと思います。
これが1つ目です。リプロダクティブ・ヘルスの視点から考えていく必要があるだろうということです。
2つ目はデータ連携ということです。
これはここ数年かなり力を入れていただいていると思いますが、こども家庭の施策、こども施策を推進していこうとすると、データが各部署に縦割りに分かれています。
これをつなげていくということはどうしても必要なことで、データをつなげることで、それぞれのデータが生きてくるし、実践や政策立案に活用できるようになります。
3つ目です。
意見を聞くというのはとても大事なことだと思います。
こどもの意見を聞く、若者の意見を聞く、子育て中を中心とする大人の意見を聞く、社会的養護下のこどもたちの意見を聞く、そして、そこから退所していった、若者になっていった人たちの意見を聞く。
とても大事なことです。
聞いた上で、それをただ聞くだけではなくて、これもデータとして積み上げていく必要があるのだろうと思います。
文字データをデジタルのデータに換えていって、そして、それを例えば人工知能などを活用して、より詳細に分析するなどということが必要だろうと思います。
先ほど数名の方から、長期にわたってデータを蓄積していくというのは、今私たちが決めなければいけないこと、これをやりましょうということを決める必要があるのではないかなと思います。
何を調べ、何を長期で追っていくのかということを、比較的早い時期に議論できればありがたいなと思いました。
以上でございます。
秋田部会長:どうもありがとうございました。
それでは、田中委員、お願いいたします。
田中委員:こんにちは。
一般社団法人たすけあい代表理事の田中れいかです。
私自身は7歳から18歳までの11年間、東京都世田谷区にある児童養護施設で生活をしていた経験があります。
その経験から、現在は、より多くの人に社会的養護の下で暮らすこどもたちのことを知ってもらう活動をしております。
先ほどから何名かの委員から出ていることと重なりますが、私自身も同様に、社会的養護に関するデータの蓄積や調査分析というものの大切さを感じております。
令和3年3月に全国の社会的養護を経験した子たちの全国調査、通称ケアリーバー調査が行われましたが、社会的養護を経験した子たちの措置解除後に待ち受ける厳しい現実というのが明らかになっています。
単純に社会的養護にいる間の環境整備、人員配置というのは改善傾向にありますが、措置が解除されて社会に出てからの困難とか苦境に関しては、まだまだサポートが必要であり、それはやはり措置中において、何かしらケアをする必要があると私自身感じております。
せっかく社会的養護という場所につながれたのに、うまく自立できずに、また社会からドロップアウトしてしまう。
実際に10代の生活保護、自分自身が親になって、したくないのだけれども虐待をしてしまった。
そういった負のループから抜け出したい。本人はそう思っているけれども、抜け出せない。そういった先輩、後輩、全国の施設出身者等に出会ってきました。
こうした出会いを通して、常日頃、社会的養護って何なのだろうと考えながら活動しています。
こども・子育て施策というのは、こどもたちをただ健康的に成人にすればいいというのではなく、日本の将来を担うこどもたちの成人後の影響を踏まえた、先を見据えた政策が重要であると私自身も感じております。
最後に、部会参加の思いということで、ちょっと和らいだ気持ちで御発言したいと思いますが、私自身は、意見形成、意見表明という点を大切にしたいと思っています。私自身が個人的に思う意見形成というのは、そこにいて、こういった話を聞いているだけでもいい。
情報をたくさん浴びたり、この人はどんな人なのかなと顔色をうかがったりする、そういったことも大切な意見形成だと実体験から思っています。
この会議ではちょっと難しいかもしれませんが、昨年出席させていただいた東京都の児童福祉審議会では、会議で発言をしない会もあったのですが、座長の方が、目を見て、田中さん大丈夫かなって見てくれたり、何か言いたそうだなということを見せたら、田中さんどうですかって意見を聞いたり、そういった場面が見られ、これがまさに意見形成とか意見表明の瞬間だなと思って、この実体験を大切に、これから出会う子たち、若い子たちの声を聞くことも積極的に取り組んでいきたいなと思っています。
また、私自身も活動していて、こどものときに声を聞いてもらえず、また、施設内で虐待を受けたなどの傷から癒えずに大人になってしまった方というのも出会ってきましたので、今、こども・若者の子たちだけではなく、そういった声を聞いてもらう経験をなくして大人になってしまった方々についても思いを寄せながら、この会議に参加できたらなと思っております。よろしくお願いいたします。
秋田部会長:ありがとうございます。
それでは、続きまして、谷口委員、お願いします。
谷口委員:ありがとうございます。
あしなが育英会の大学奨学生の谷口和花菜です。
私自身も、中学3年生のときに母親を亡くして、高校1年生のときには父親とも離別し、大学生の姉と2人で生活していた時期があったので、当時、とても生活が困窮していた身として、当事者の意見、当事者の声をどんどん伝えていければなと思っています。
私自身も、高校1年生のときに親がいなくなってしまったので、本当に生活保護のお金と大学生の姉の奨学金を切り崩してやっと生活ができていたという時期を経験しました。
当時、私には本当にいろいろな方が声をかけてくれて、自分の友達だったり、学校の先生だったり、友達がつないでくれた弁護士さんだったり、市役所の方だったり、いろいろな人につないでもらえたからこそ、私は今、何とかこうして大学生になることができましたが、まだまだそういった支援が届いていない家庭だったり、まず情報が届かない家庭だったり、そういったこどもたちがまだまだたくさんいると思っています。
だから、そういったこどもたちに支援を届けるために、ここでたくさん意見を出していけたらなと思っています。
私自身も当事者なのですが、私は今、あしなが学生募金事務局といって、あしなが育英会の奨学金を届けるために街頭で募金活動をして声を上げるという団体に所属しています。その団体も、団体を占める約9割の学生が、同じように遺児、親を亡くしていたり、親が障害を負っていたりしている家庭のこどもたちの学生で成り立っています。
なので、そういった家庭のこどもたちのバックグラウンドとか、こういうときに困っていたとかという声をよく聞くことができるので、そういった声もこの審議会に反映していけたらなと思います。
私がそこで活動していて少し思ったことは、よく、そこの活動でやっと初めて自分の背景を言えたりだとか、相談することができたという学生たちがたくさんいます。多分それがすごく今の社会なのかなというのを思っていて、きっとその場でしか、自分と同じような体験をした人としか話せないという状況が今の社会の状況なのかなと思っています。
だから、そういった家庭のこどもたちのことをもっとみんなに知ってほしいし、そういった家庭のこどもたちのことをみんなで考えることで、多分、何かニーズを持っているこどもたちがもっともっと生活しやすくなると思っているので、一人一人のニーズに合った支援を届けるためにも、審議会でどんな支援をしていったらいいのかとかを、審議会で意見を出していければなと思っています。
よろしくお願いします。
秋田部会長:ありがとうございました。
土肥委員、お願いいたします。
土肥委員: 御紹介に預かりましたNPO法人わかもののまちの土肥と申します。私どものNPOは、静岡県内を中心に、様々な全国の自治体のこども・若者の社会参画であったり意見反映の取組をお手伝いさせていただいているNPOです。
もともと私たちのNPOができたのは七、八年前なのですけれども、私が大学3年生のときに立ち上げた団体で、当時、静岡市で活動していたのですが、静岡市の地方創生総合戦略という人口減少対策の政策の中で、静岡県というのはまさに人口減少のさなかにありまして、実は当時、静岡県は人口流出数が全国第2位というようなこともあって、静岡市としても、若者の声を聞いてまちづくりをしなければいけないということで、静岡市わかもの会議という若者の会議体をつくるというような政策提言をさせていただき、そこから事業委託を受けるような形で、周辺の自治体のこども・若者のまちづくり参画であったりとか社会参画に取り組むというような流れがあります。
私どものNPOで、子ども議会、若者議会に関する全国調査を2019年に行っていますが、このデータを見てみますと、実は地方創生の文脈で、こども・若者参画の取組を始めた自治体が非常に多いということが分かっています。
つまり、人口減少対策としてこども・若者の声を聞く、こども・若者の参画を進めるというような取組が増えたということです。
これは取組が増えたという意味では非常に喜ばしいことではあるのですが、こどもの権利という視点で考えたときに本質的かどうかと。
つまり、人口が減っていなかったらこども・若者の声は聞かなくていいのかという考え方もあるのかなというふうに捉えています。
そうした意味では、今回、こども家庭庁が創設されまして、こどもの声を聞く、こどもの意見反映や参画を重視していくということが、まさに権利の視点として全国的に取り上げられているということは非常に喜ばしいことなのではないかなと感じています。
一方で、声を聞くというふうに、今回の第2次報告書の取りまとめは私も参画をしていましたが、意見反映とか参画というふうには、いろいろなところに書いてあるのですけれども、実際に地方自治体の皆さんと意見交換をすると、声を聞くって一体どういうことなんですかというのが正直なところなのだろうなと思います。
つまり、ちょっと概念的なところもあって、どういうふうに、どれぐらい、どんな形で聞いていけばいいのかということを、まさに国のほうから示していく必要があるのだろうなと思います。
そうした意味で声を聞くと、意見反映や参画ということに関して、具体的な制度とか仕組みにちゃんと落としていくことが必要なのだろうと思います。
例えば、いろいろなことが考えられますけれども、1つには、評価の中でこども・若者の参画や意見反映をきちんと定性的に評価していくということを、こども大綱やこども計画の中に位置づけていくということも非常に重要だと思います。
どちらかというと、これまでの行政施策はインパクト評価で、実際に実施したことでどんな成果を得たかというようなことで評価していると思いますが、こども・若者の参画においては、そのプロセスを評価していくことが重要なのだろうと思います。
また、ほかにも、ちょうど先日、とある自治体がこども条例をつくるということで、私もアドバイザーとして参画をしているのですけれども、条例策定であったりとか、業者選定に当たって、プロポーザルの要件の中にちゃんとこども・若者の声を聞くというのを入れていくことであったりとか、事業者の選定の中でも、こども・若者が参画していくといったような形で、挙げれば様々な取組というかやり方があるのだろうなと思いますけれども、なかなかそれが地方自治体レベルで、声を聞くと言われても、どうやって聞けばいいのか、どういう仕組みにしていけばいいのかイメージが湧かないというものがありますので、そうした事例をちゃんと示していく必要があるだろうと思います。
また、ちょっと振り返ってみますと、もともと子ども・若者育成支援推進法のときに、子供・若者育成支援推進大綱の有識者会議の中で、当時、僕は24歳で委員として参加させていただいてから、そのままずるずると言うとあれですけれども、ここまで参加をさせていただいています。
当時、たしか僕の記憶では20代の委員は2人だけで、それに比べると非常に多く、今、私は28歳で、当時は最年少だったのですけれども、だんだん最年少ではなくなってきましたが、たくさん若い委員が参加をしてきたというようなこともあります。
ただ、これも考え方によっては、ただ若い委員を参加させれば意見を聞いているのかということにもならないのだろうなと思っていまして、こうした審議会であったりとか有識者会議というのは、自治体レベルでも、協議会であったりとか様々な形で持っていますから、こうした審議会とか協議会の中に、どういうふうにこども・若者を参画させていくか、どういった形が効果的なのかということも、ある意味これがモデルになるのではないかなと思いますので、そうしたことも含めて一緒に検討していければいいのかなと思っています。
以上です。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、オンラインになりますが、原田委員、お願いいたします。
原田委員:ありがとうございます。
このたびはメンバーに加えてくださりありがとうございます。
私は、兵庫県の尼崎市というところのユースカウンシル事業Up to You!という団体で活動しています、大学3年生の原田伊織です。
ユースカウンシルとは、こども・若者が主体となってまちづくりをするための仕組みの一つで、尼崎市では、中学生から大学生の若者世代が集まっていて、年に1回の政策提言の機会や日々の地域での活動、また、個々人で掲げているプロジェクトに取り組んでいます。
この部会では、私はユースカウンシルに関する実践を通しての問題意識の共有であったり、若者当事者として、そして、今も関わる尼崎市のこども・若者の意見を伝える、そういった役割を果たしていきたいと考えています。
また、私自身の背景としましては、母子家庭の独り親世帯であることや、母親が精神疾患を持つこどもの立場、いわゆるヤングケアラー当事者だったり、生活保護を受けてきた貧困当事者として、なかなか声を上げづらいこども・若者の意見を政策形成の段階から反映させるためにどうすればよいかという点についても考えていけたらと思っています。
この初回に際して2点ほどお話しさせていただきますと、1つ目は、こども・若者の最善の利益を考えた政策形成のためには、若者から意見を集めて、それを大人が考えて政策決定を主導するという段階から、若者と大人が共に意思決定を共有しながら政策形成を進めていくことが大切だと考えています。その第一歩が、私たち世代のこの委員会への参画だと認識しています。
一方で、先ほどありましたが、高い専門性を持った専門職の方々や学識経験者の皆様と同等に議論していくことには多くの難しさがあるということも、私自身、審議会に参加して今感じているところです。そのため、こども・若者世代が政策形成に参画する場合には、サポートするようなケースワーカーだったりコーディネーターの養成確保といった点も、2次報告書にも書かれていましたが、重ねて申し上げたいと思います。
加えて、審議会や政策形成の場でも大事ですが、もっと日常のレベルで、こども・若者が大人やまちのことについて意見を言ってもいいんだ、自分の意見も大切にされているんだという感覚をつくっていくことが必要だと感じています。
私自身は、高校3年生のときに尼崎市にあるユース交流センターに出会い、このユースカウンシル事業に参画したことで、自分自身が抱えている社会課題を、自分が1人だけで抱えているという認識から、社会の中でも同じような悩みを持った人がいるかもしれないという考え方に変わっていきました。
こうしたユースセンターという土台となる場所やユースカウンシルという意見を伝えていける仕組みがあるということで、私自身はまちの中で意見を言ってもいいんだ、自分が動いたら社会を変えていけるんだと体感してきました。
こども・若者が、自分が思っていることや感じていることを言ってもいいんだ、やってもいいんだという意識をつくっていくこと、また、言葉を発しやすい、意見を言いやすい雰囲気をつくることから、声を聞くことになっていくのではないかなと思っています。
一人一人の若者発の活動を社会全体で支えていく、そうした土壌を国や地域のレベルでつくっていくことが重要だと考えています。
本当に微力ではございますが、この部会でもどうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、堀江委員、お願いいたします。
堀江委員:ありがとうございます。
スリールで代表をしております堀江と申します。準備室の委員のほうも継続的に携わらせていただいておりました。
スリールでは、13年前から企業向けの女性活躍の研修やコンサルティング、また、大学生向けの親になる前教育ということで、子育て体験というプログラムを毎年2,000名以上に実施してまいりました。
今、先ほど大学生の皆さんがお話をされていましたけれども、もしかしたら彼らの意見を聞いて、普通ではないとか特別な存在というふうに思われた方もいるかもしれないですが、大学生の支援をしていく中で、50%ぐらいの学生さんが、何かしら親御さんからのいろいろな形での虐待だったりとか、いろいろな家庭の中での貧困の生活での苦難を感じていらっしゃるというようなことが、一般的な皆さんが見えている学生さんの中でもあるということは、もう既に起こっているなということを感じています。
家族のことを話していくと、そういったことがどんどん浮き彫りになってくる。それぐらい通常の学生たちが悩んでいるということも知っていただけたらなということもすごく感じています。
私自身は、コロナ禍での妊娠・出産をして2歳半の娘がいますので、自分自身も親の当事者として、今回いろいろと話ができたらなと思っております。
今回、報告書を拝読させていただきまして、ありがとうございます。
本当に取りまとめは大変だったかなと思います。拝読させていただく中で、いろいろなことが網羅的に書かれていたかなと思うのですが、昨年議論していたものよりも少し抽象的になっている部分もあったのではないかなと個人的に感じております。
そういった印象を少し受けました。例えば、どこがリーダーシップを取っていくのかというところで、都道府県が取っていくようにと書かれていますけれども、先ほど土肥委員からもありましたけれども、地方自治体がどのようにやっていくのか、何を目指していくのかというところが、少しぼやっとしていることによって、受け取り側の自治体もぼやっと受け取っているかもしれないなということを感じるところがあります。
例えば、こども条例をいろいろな地方自治体が設定をされていますけれども、こどもへの声の聞き方ですとか、あとは実施の仕方というところが、やはり財源を取って、取りあえず子育て世代に5万円お渡ししようみたいな、そういったところに集約されているところもあるような印象で、しっかりと声を聞いた上で、それをどう政策に反映していくのか。地方自治体がどのようにリーダーシップをとっていくのかというところに関して、より具体的に、基本方針のほうでも話していく必要があるのかなと感じています。
小倉大臣がエビデンスベースドとおっしゃっていましたけれども、やはりかなり緊急的な事態になっていると思います。
例えば、今回は少子化に関しても入れていこうというところがしっかりと入ったことはすごく重要だったかなと思うのですけれども、現在希望のこどもの数は1.7ということで、目標の1.8を希望の数がもう既に下回っているというような状況にあるかなと思います。
まず、この国でこどもを産み育てたいとか、生き続けたい、働き続けたいと思えるというようなことを大切にしたときに、この大綱や基本方針を見たときに、そう思えるような内容になっているのかというところに立ち返っていく必要があると思います。
大きくは、やはり子育てがペナルティーにならないということ、そして、常に子育てサポートや何かしらのサポートが受けられるという安心感があること、そして、多様な人だったり家族の形が認められるというようなこと、そういったものがしっかりと思えるもの、そして、それが政策に入っていくということが重要なのではないかと思っております。
そういった点で、ぜひちょっと追加して考えていただきたいなと思うところとしましては、子育てがペナルティーにならないという意味合いで言うと、例えば子育てをしながらキャリアアップができるような社会にしていくという意味合いで、固定観念、性別役割分担もそうですし、男女間の賃金格差とかそういった部分も見ていったりですとか、あとは切れ目のない支援というふうに書かれているもの。
例えば、常に子育てサポートを受けられるとか、何かサポートを受けられるというふうに、もう少しポジティブに書いていくですとか、例えば、学生時代から、子育てだったりとか働くということをポジティブに考えていくというところで、家庭科の授業の中で共働き、共子育て、または多様な家族の在り方みたいなところを伝えていくとか、そういった具体的に伝えていく在り方を考えていくことも大切かなと思いました。
最後に、ちょっとインクルージョン的なところの言葉ももう少し加えていくといいのかなというところで、多様な人や家族が認められる、これがすごく基本な部分で、こどもたちが安心できる、家族をつくろうとも思えるというようなところの基本になるかなと思いますので、ハンディキャップや外国人、性的指向などを含めて言及していくところも大切かなと思いました。
以上になります。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、松浦委員、お願いいたします。
松浦委員:ありがとうございます。
「こどもまんなか社会」という理念に共鳴して、この場に参加させていただきました、法政大学キャリアデザイン学部の松浦と申します。専門は人的資源管理論と労働政策です。少子化対策について、2点コメントさせていただきます。
少子化対策に限らず、あらゆる政策について言えることですが、人口構成上若い方・こども世代の数が小さいので、この世代の「声」も全世代の中では小さい「声」になってしまいがちです。
これから生まれるこどもたちに至っては発言の機会もありません。このような中で少子化対策も、上の世代の危機感から発信され、上の世代の意見が色濃く反映される面があることは否めないと思います。
しかしながら、「こどもまんなか社会」という理念の下で論ぜられる少子化対策は、「こどもまんなか」でなくてはいけないという意味で、上の世代のための少子化対策ではなく、これから生まれてくるこどもたちも含むこども世代を中心に据えて、あらゆる世代が負担を分かち合いながら進めていくことが重要だと考えております。それが1点目です。
2点目としては、少子化対策というとどうしても、こどもを産むというところに焦点が当てられがちですけれども、産んだ後の子育ても非常に重要になってきます。
さらに言うと、子育て期間と就業期間というのは多くの場合重なりますので、仕事と育児の両立支援についてもしっかり議論していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、松本委員、お願いいたします。
松本委員:北海道大学で教員をしております松本と申します。
専門にしていることは、こども家族福祉、特に虐待とか社会的養護というふうに集中的な支援が必要になるようなこどもさんたちのこと、及びその土台となる貧困の研究というようなことでございます。
こども大綱の議論が始まるということで、社会の一員として期待をしている一人でございますけれども、これまでのこども政策の議論と比べての特徴といいますか、ぐっと進歩だなと、前に進んだなと思うのは、一つはこどもの権利ということをかなり前面に出して、これが中心なのだということが一つと、もう一つは、こどもと若者の部分をつなぐと、この2つが一つの軸なのかなと思っております。
そのときに、こどもの権利の主体として捉えると、成長し、発達し、あるいは意見を持って発言して、社会に参加をする。
こういう今を生きる主体として捉えるときに、何人かの方からもコメントがありましたけど、やはり格差、貧困の問題というのが権利の行使ということに色濃く影響を与えている。
つまり、こどもが権利を行使する、権利主体として生きるというときに、やはりそれを支える生活の基盤、あるいは人生の基盤というものがなくては権利の行使主体になれないという観点から、やはりこれは全体を通して、格差、貧困の問題をどう緩和するか、あるいはその影響をどう緩和する形でこどもの権利を実現していくかという観点が、貧困というのは一つのイシューではなくて、全体を通して必要なのだろうということを痛感いたしました。それが1点。
2点目に権利主体ということを考えたときに、やはり発言しにくいこどもたち。
全てのこどもたちがそうでしょうけれども、特に発言をしにくいこどもたち。意見を聞かれてこなかったこどもたち。
そこのアドボケートをどうするかということが、これは動き出しておりますけれども、これが全体を通して重要になってくる2つ目の意見の権利主体と考えたときの柱と。
3つ目はやはり親支援であります。
子どもの権利条約も子どもの最善の利益というものを主に出したときに、身近な大人である親への支援を公共の責任とするというロジックになっているかと思います。
そうすると、やはり家族をどう支援するかと。
特にこどものケアということを担う人、家族を含めて、誰かがケアをしなくてはいけないわけですので、ケアをした人間が不利を負わない、こういう仕組みをつくらなくてはいけない。
大人あるいは親は、こどもをケアする道具ではありませんので、ケアをしたということ自体が不利にならないということが全体を通しての柱ではないかと。
こどもの権利と関わって、家族、親の権利、あるいは責任と権利の関係ということになります。
4つ目はそれと関わりまして、やはりジェンダーの視点というものが大変重要になってくるだろうと。
これも個別のイシューというよりは全体を通しての観点。この点は、今の議論の出発点である第2次報告書には弱いと考えております。
先ほども誰かのお話にありましたけれども、やはりこどもの人生そのものにジェンダー格差というものが色濃く影響している。
あるいは、家族の中のケア、あるいはケアラーになる人が不利を負うということは、多くの場合、女性がその不利を負うということは、改めて議論するまでもないということになりますと、やはりジェンダー視点をきちんと貫く、ジェンダー格差の問題に取り組むということを貫くことが、この大綱でとても大事な視点ではないかと思います。
それと関わって、これは個別のことになるかもしれませんが、この2次報告で結婚・妊娠・出産とありますが、この結婚というのをどういう形で捉えるかと。
法律婚のことだけなのか、それとも事実婚を含むのか、家族の形ですね。
あるいは同性の間でのカップルで子育てをする。
つまり、結婚・妊娠・出産というより、こどもを持つという選択が、結婚にかかわらずいろいろな形があるということの立場に立った上で議論をしないと、これはますます息苦しい社会になってしまうということをどう考えるかということは、ジェンダーの問題と関わって、あるいは多様性の問題と関わって、大変大事な点かと思います。
2つ目の大きな柱で、若者のところであります。
これはやはりこれまでのこども関連の法律が、特に児童福祉法等で18歳で切れていたと。
そこで支援がすぱっと切れてしまうことをどう見るかということは随分議論になってきました。特に社会的養護のところではかなり議論があって、私も若干その議論に関わったことがあります。
ここを理念的にも取っ払っていこうということは、とても大事な点だというときに、やはり若者支援のところがまだ手薄であるということを、どういうふうに充実させていくかということが1つあります。
それを前提にですけれども、やはりこれは5年と言わず喫緊の課題が幾つかあって、1つは社会的養護のところ、これは随分社会的養護の枠内で守られながら、例えば大学進学をするということができるようになってきました。
それで課題はまだ残っていると思いますけれども、一方で、例えば生活保護を受給しているこどもさんの家庭の進学は、また世帯分離、これをどう評価するかは別にして、当事者の立場からすると、やはり進学がペナルティーになるような感覚が出てきているだろうと。
自尊心を傷つけられるというのは、自尊心というのは人生を生きていく上での大事な資源で、それを傷つけるような制度、あるいは人の夢を奪うような制度というのは、制度がおかしいわけですので、これは5年と言わず、この制度をどう運用していくかということを考えなくてはいけない。
あるいは教育費の問題で、これは教育費の高騰が奨学金、学生ローンという形で学生は負債を負う。
そうするとこれはかなり長く続いて、自分が親になったときに、こどもの養育費と自分のローンを両方払う。
つまり、2世代分の再生産費用を1世代が賄うという、かなり異常な構造になっているということは、これをどうするかとか、喫緊の課題が幾つかあります。
これはこれとして、5年を待たず、2年なり3年なりで議論していかなくてはいけないだろうと思うことであります。
以上であります。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、矢島委員、お願いいたします。
矢島委員:三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島と申します。
よろしくお願いいたします。私は、民間のシンクタンクで少子高齢化社会対策の観点からワーク・ライフ・バランスやダイバーシティといった問題について調査研究やコンサルティングを行ってまいりました。
今回大事だと思うことで、まず1点目は、最初に大臣からお話がありましたように、やはり包括的な計画を策定して、これをきちんとPDCAサイクルで回すということです。
1990年から日本で少子化対策がスタートしていて、基本的には5年ごとの総合計画で進めるということだったのですけれども、これについてきちんと検証されながら進んできたとは言えない状況です。
そうした中、ここ10年ぐらいはそうしたもの、過去のこれまでの取組の積み重ねというものは少し置いておいて、目新しい政策が打たれるということになっていますが、、やはり少子化対策、合計特殊出生率といった指標は、社会の本当に様々なものが絡んだ総合的なアウトカム指標なので、何か少し一部だけやったからといってこれが上がるということはないのですね。
ちゃんと構成要素全てについて改善していかなければ上がらないわけです。
私もよくメディアの方に、何で出生率が上がらないんでしょうねと質問を受けます。そういうときには、あの手この手、本当にやるべきことをやってきたのに上がらないのでお手上げですね、みたいなニュアンスで言われることが多いのですけれども、決してそんなことはなくて、日本の場合は、やるべきと分かっていたことをやってこなかったので、当然の結果として今の状態があるということをいつも申し上げています。
具体的に言えば、保育所はいまだに足りないわけです。
整備してきたものの、まだ足りない状態を30年続けています。働き方改革はかなりスタートさせるのが難しくて、男性の働き方も変えるということが本当に難しくて、ようやくスタートしたものの、まだ徹底されていません。若者は貧しくなる一方です。
子育て支援は、近年、明らかに後退と受け止められている。
年少扶養控除をなくして手当てに置き換えるといって、そこに年収の制限を設けてしまったわけですから、これはネガティブなメッセージとしか取られないわけです。
私も国の施策をシンクタンクとして取り組み、説明する責任の一端もあると感じているのですが、こういうことは説明のつけようもないし、本当に国は少子化対策に本気なのかと疑われてもしようがない。
あと、高ストレスな教育環境で潰れていく人材。
出会い系の支援をしても結婚・出産は不安で結婚できないです。
また、近年のリプロ教育をしないままに不妊治療をアピールするみたいなことで、かえって出産の先送りのリスクは高めていますし、多様性やジェンダー平等を否定するメッセージは継続的に発信され続けている。
この状況で出生率が上がるほうがおかしいということなのですね。
実は1997年の人口問題審議会の「少子化に関する基本的な考え方」で、今説明したような課題は全て取り上げられていますし、対策も示されています。
これに誠実に取り組んでいたら、私はもう少し出生率は上がっていたのではないかと思います。
というのは、日本がその当時から取り組んできた、男性も女性も子どもを産み育てながら働ける社会づくりというのは、欧米がもう20年先行して取り組んできていて、80年代半ばには一定の成果を見せていた取組なのですね。
それだから90年代に日本は取り組み始めたのですが、非常に不十分であるし、途中で違う概念、2000年代前半にはジェンダーバッシング、過激な性教育バッシングというものが起こって、そのときは女性が社会進出するから少子化になるんだというような議論で、女性の社会進出自体が否定されました。
先ほど、土肥さんがこどもの権利は本質的にそれ自体で認められるべきだというお話をされましたけれども、やはり女性の権利、あるいは性的マイノリティーの方々の権利も、本質的にそれ自体で認められるべきで、今は性犯罪などを理由にバッシングが起きていますけれども、性犯罪を防ぐということは、それ自体で行われるべきですし、それとは別に多様なジェンダーに関する権利というのも本質的に守られる。
そういう前提で取り組むということを、基本的な共有事項として確認した上で、包括的な計画を進めていくことが非常に重要だと思います。
あと1点、先ほど岸田委員から、様々な施策があってもこどもがあまねく享受できているのかという御指摘がありましたけれども、私も少子化対策の検証をしている中で、様々な新しい施策があるのだけれども、全国で必要な人がそれにアクセスできているのかというと、ほとんどできていないサービスというものがかなりあるのですね。
これをしっかりと対応できるようにする。例えば当社では、2002年、2014年、2022年と、子育て支援環境であるとか、中高生の結婚観であるとか、ライフプランニングといったことについて独自調査をしていますけれども、例えば「小さなこどもと触れ合う機会を持っている」中高生というのは、2002年の時点では親戚で触れ合う機会があるという回答が一番多かったのです。
それが、2014年では、学校の触れ合い授業が一番多くなっているのです。だけれども、すごく割合は少ないのです。
もう親戚の触れ合いというのは期待できないという状況になって、そういった支援をするからには徹底してしなければ意味がないわけです。
なので、やはりサービスをあまねく、面的な充足率と私は呼んでいるのですけれども、充足させるように進めるということが必要かと思います。
ネガティブなことを結構言いましたけれども、この間、ポジティブな改善もあって、2010年代に女性正社員は妊娠・出産で会社をほとんど辞めなくなりました。これは非常にこの30年の中でもようやく来た大きな変化でして、このポジティブな変化の中で、男性の子育て参画というものも確保して、そうする中で新しいこどもを守る家庭づくりというのがスタートできるのではないかなと。
あと、こどもまんなかで、こどもの意見を聞くということで言うと、一方で家庭に守られないとか、あるいは親から加害を受けるというこども、あるいは近くの大人から性的な虐待を受けるというこども、こういうものに対して、やはり社会でしっかりと守っていくんだというメッセージを前提にしてこそ、こどもの声を聞いたり、こどもを真ん中に据えるということが言えるのではないかなと思います。
以上です。
秋田部会長:どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、オンラインで松田部会長代理、お願いいたします。
松田委員:中京大学の松田です。
本日は、先に決まっていた会議が朝にありまして、そのために遅れての参加となりました。申し訳ありません。
私は、家族社会学の立場から少子化を研究しています。
本日の資料にあります岸田総理の発言ですが、常にこどもや若者の視点で、こどもや若者の最善の利益を第一に考えていく。
この大きな方向性の下での政策が実施されることに強く共感しております。
具体的な議論に貢献できればと思っております。
私の理論と研究の立場からですけれども、少子化対策の基本的に大事な方向性というものは、全ての若い世代が支えていく。
全ての子育て世帯を支えていく、これだと思います。
これは今日の資料2-3の報告書にもありますが、全てのこどもや若者への対応が基本である、誰一人取り残さない、この理念と同じだと思います。
私たちの研究によりますと、それが実際の出生率の回復に寄与するものだと思います。
理由は何かといいますと、幅広い人たちが希望をすれば結婚できる。
希望すればもう一人こどもを産むことができる。そうすることによりまして、全体の出生率が上がるからなのです。
逆に言いますと、一部の層だけが手厚く支えられまして、家族形成しやすい社会になっても、全体の出生率は回復しないと思います。
ということで、少子化対策として大事なことは、こどもや若者や子育て世帯を全て支えてあげるということであるかと思います。
非力ながら議論に貢献できれば幸いです。
よろしくお願いします。
秋田部会長:松田部会長代理、どうもありがとうございます。
委員の皆様、御発言をありがとうございます。
若干時間が延びてしまって申し訳ございませんが、私からも一言申し上げたいと思います。
まず、私は、発達心理学、保育学、学校教育学を専門といたしております。
その観点から、こどもの権利ということについて、大人が語るだけではなく、こども自身が学ぶ機会というものを乳幼児期、そして、学校教育や高等教育の中できちんとつくっていくことによって、こども自身が声を上げていくことができるということが極めて重要だと思っています。
先日、私は、保育者とか学校の先生の研修で、こどもの権利や意見表明ということについて、こどもの声を聞くということをお話ししました。
そうするといろいろな先生が言われるのが、「こどもの声を拾うではないのですね、こどもの声を聞くなのですね。」それから、「こどもの声を聞いてあげると思っていましたが、実は、こどもも大人も対等に聞くということが必要なのですね」と語られる方がおられました。
私は、こどもの声こそがこの社会の未来の展望の声であって、今の大人の声よりも、こどもの声のほうに可能性や新たな発想があるのですよということをお伝えしています。
こどもの声を聞くということが、いろいろな人の声を集めて聞けばいいという発想ではなく、一人一人のこどもの声こそ価値があり、そして、尊厳が大事にされることが必要である。
それはこどもに関わる人やその世代だけではなく、それを全世代が支えていくのである。
この理念は、こども関係者だけではなくて、全ての世代が社会をつくっていく基本にこどもまんなか社会があるということを伝えていくことが必要であろうと思っています。
2次報告書は私も関わらせていただき、いろいろ3大綱を集めて、よくできているものだと思っていますが、本日のお声を伺いますと、さらに書き加えることがあると思っております。
このまた新たなメンバーで、3つを統合したというだけではなくて、これからを展望して、新たにまた加え組み変えていくことが必要だと考えております。
そして3つ目としては、大臣も言われましたし、何名もの方が、清永委員や駒村委員も言われました。
エビデンスベースということでございます。
私は、十何年か前に、たまたまOECDに乳幼児教育ネットワークが出来上がったときに参加をしておりまして、そのとき日本は参加していませんでした。
この会議に日本が出なければ立ち遅れると思って、直談判で文部科学省の課長や審議官に直訴しにまいりました。
最初から予算取りのないものには、そういうことが予算規模が些少でも難しいのだと言われて、めげずに何回か交渉に行って、今では当たり前のように、OECDの乳幼児教育ネットワークに日本は参加しておりますが、そうした経緯があります。
でも、そこで見てきたのは、スウェーデンやノルウェーやニュージーランドなどは、長年の展望を持って政策を打ってきているからこそ、今、高福祉の国ができている。
日本もそこに学びながら、それらの国もエビデンスというものを、イギリスもそうですけれども、とても大事にしている。だからこそ、エビデンスというものを政策と併せて考えていくことが必要だろうと思います。
当時出ていた国を見回しますとどこの国でもデータをつめているのに、我が国はどこにも乳幼児の政策データを国のために集めている機関はありませんでした。
どこにもないので学術会議に訴えかけて、東大の中に発達保育実践政策学センターというセンターを立ち上げました。
政策というものと、学術研究のエビデンスというものと、実践というものがいかにつながっていくことによって、保護者の方や御家庭、それから保育者や教師、そして関わる社会の人たちが幸福になれるのか、そのためのエビデンスは何かということが議論されなければならないと思います。
近年議論されているエビデンスベースの話は、誰のエビデンスをエビデンスとするのかという議論でございます。
この辺りについても今後考えていく必要があろうかと思っております。
以上、少し私の個人的意見を発言させていただきました。
ここからは議長になりまして、発言させていただきます。
皆様の御発言を踏まえて、さらに御意見や御感想があれば御発言いただきたいところですが、時間の関係で、本日はここまでにさせていただきたいと思います。これで終了といたします。
次回の日程は、6月20日13時から16時までの予定でございます。
詳細は事務局より追って御連絡をさせていただきます。
皆様、今日はお集まりいただきましてありがとうございます。私のオーガナイズが悪くて、ちょっと時間が延びてしまいました。
実は3分と言いながら、はらはらしながら、初めのほうの方には短めにしていただき、申し訳ありませんでした。
以上で終わりにさせていただきます。どうもありがとうございます。