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基本政策部会(第7回)

概要

日時:令和5年8月31日(木)17時00分から18時00分
場所:オンライン
 
【オンライン配信URL】
https://youtube.com/live/QRa6WIP_heI

議事

  1. 国際社会の動向等について

資料

議事録

秋田部会長: ただいまより、第7回「こども家庭審議会基本政策部会」を開始いたします。

本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。初めての完全なオンライン開催となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

本日の議事でございますが、本日は国際社会の動向について、外務省とこども家庭庁から報告を受けるとともに、国際社会において活躍されている弁護士の大谷先生からお話を伺いたいと考えております。大谷先生、後ほど改めて御紹介いたしますが、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、国際社会の動向につきまして、こども家庭庁と外務省からそれぞれ御説明をいただきます。

まず、こども家庭庁の佐藤参事官、よろしくお願いをいたします。

佐藤参事官: こども家庭庁官房参事官の佐藤です。いつもありがとうございます。

お手元の資料1を御覧ください。

「国際社会の動向について」の主な国際的な議論などをまとめた資料であります。

おめくりいただいて1ページ目でありますけれども、まずSDGsの関係ですね。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で目標が掲げられているわけですけれども、それぞれの目標の中で子供や若者に関係するようなものがありますので、それを抜粋したものです。

まず最初のゴール、目標1「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」の中で、各国の定義による次元の貧困状態にある子供の割合を半減させるということが掲げられています。

目標2の食料安全保障ですとか栄養改善のところで、2.1でまず特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が栄養のある食料を十分に得られるようにするですとか、5歳未満の子供の発育阻害の話ですとか、あと若年の女子とか妊婦・授乳婦などの栄養ニーズの対処といったことが掲げられています。

目標3、健康的な生活の確保や福祉の促進のところですけれども、妊産婦の死亡率の話ですとか、3.2ですが、新生児死亡率の話について、その削減が掲げられています。

目標4が質の高い教育の関係であります。全ての女児及び男児、質の高い乳幼児の発達支援、ケア、就学前教育へのアクセス、初等教育を受ける準備というのが4.2。

また、4.4のところでは、技術的・職業的スキルが得られるというところが掲げられています。

目標8でディーセント・ワークのところですけれども、そこで児童労働の話なんかも記載されています。

目標11が都市とか居住環境の話でありますけれども、脆弱な立場にある人々とか子供、そうしたニーズに特に配慮をして交通の安全性の改善なんかをしていくといったことが掲げられています。

最後に、目標16の包摂的な社会ですとか司法へのアクセス、そうしたところの中で、虐待、搾取、あらゆる形態の暴力、拷問を撲滅するということが掲げられています。

続きまして、次のページでありますけれども、G7広島サミットが行われました。その中で特に子供や若者に関係するものを抜粋してみまして、一番上は妊産婦、新生児、乳幼児、青少年、全ての人のSRHR、包括的な性と生殖に関する健康と権利をさらに推進することにコミットをするのだということがまず掲げられています。

次のかぎ括弧は教育の話でありまして、パンデミックになりまして脆弱な状況にある人々、子供を含めて教育へのアクセスの減少とか学習機会の損失の増大につながっているのではないか。そうしたところのしっかりした教育システムを構築していかなければいけないし、一番下ですけれども、教育が人権の一つであることに留意をしながら基礎学習の重要性とか、特に子供たちが成長して自らの福祉を増進するために必要な知識と技能を備えた質の高い学習機会を提供していくのだ、そういったことがこのコミュニケには記載をされております。

続いて、次のページの上のほうですけれども、G20につきましては、これは昨年のものでありますが、昨年のG20の首脳宣言の中では若者をデジタル化に向けた取組から取り残さないといったことですとか、また、雇用とかの関係ですね。ディーセント・ワークの関係で若者という言葉が出て、働きがいのある人間らしい仕事を推進するですとか、また、児童労働の撤廃にコミットしているのだというようなことが書かれています。

次の児童の権利条約に関しては外務省から説明してもらいます。

以上です。

松井企画官: 続けてしまってよろしいでしょうか。

秋田部会長: ありがとうございます。ミュートにしていました。

続いて外務省の松井企画官、どうぞよろしくお願いをいたします。

松井企画官: 今日は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。

外務省の人権人道課で企画官をしています松井といいます。

今日はこの後、大谷先生から詳しく児童の権利条約について御発表があると聞いておりますので、簡単に外務省から児童の権利条約の概要と、それから、2019年に直近は出ましたけれども、総括所見の概要について御紹介、整理までさせていただきたいと思います。

皆様、もうよく御存じのとおり、児童の権利条約は国際人権規約において定められている権利を児童についても広範に規定して、児童の権利の尊重と、それから、確保の観点から必要となる詳細かつ具体的な事項を規定しています。

もともと1978年にポーランドが国連人権委員会に草案を出しまして、それから約10年以上の議論を経て1989年の第44回国連総会で採択をされ、1990年に発効しました。同じ年、日本は109番目の署名国として署名をしています。

署名というか条約は締結をしなくてはいけませんので、現在のステータスですが、現在のこの条約の締約国数は196か国となっています。日本については1994年に児童の権利条約を158番目の締約国として締結をいたしました。2004年には武力紛争における児童の関与に関する児童の権利条約選択議定書、これは75番目の締約国でした。2005年には児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書、これは90番目の締約国として締結をいたしました。日本はこれらの条約を締結して以来、この国際約束を誠実に遵守するために関係府省庁と連携をして、児童の権利の保護、促進に向けて積極的に取り組んでいるところです。

国際的な貢献としては、我が国はまさに大谷美紀子弁護士を児童の権利委員会委員として輩出をしています。同委員会は締約国による選挙で選出された18名の個人資格の委員で構成をされています。大谷先生は2017年に児童の権利委員会委員の4年間の任期を開始されました。その後、2020年の選挙で再選をされて、2021年の3月から2期目を務められております。2021年の5月から2年間は特に児童の権利委員会委員長を務められました。

児童の権利委員会の総括所見についてですけれども、この条約の44条の1は締約国による政府報告の提出を規定しています。児童の権利委員会は各国から提出された政府報告の審査を行うことになっています。その後、各国ごとに委員会としての提案と、それから、一般的な性格を有する勧告を含めた総括所見を公表するというのが条約上の規定です。

直近では、日本については2019年の1月、政府報告審査が行われました。同年の3月にはそれを受けて総括所見が公表されています。このときの総括所見では前回、2010年の審査からの進展として、民法、刑法、児童福祉法、児童買春、児童ポルノ禁止法の改正、それから、児童の権利保護に係る国内法の改正とか新たな施策が肯定的な側面として挙げられました。

一方で、差別の禁止、児童の意見の尊重、体罰の禁止、それから、家庭環境を奪われた児童の保護、少年司法の在り方など、多岐にわたる事項については同委員会としての見解及び勧告が含まれました。

この総括所見は法的拘束力を有するものではありませんが、総括所見で示された委員会からの勧告については引き続き関係府省庁において内容を検討しています。国際社会において我が国の考えとか取組が正しく理解されるように緊密に協議をしながら施策を遂行しているというところであります。

簡単ですが、外務省からは以上です。

秋田部会長: 御説明どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、大谷先生のほうからのヒアリングということで、大谷先生からお話をいただきます。大谷先生は家族法、国際人権法の全分野で教鞭や講演会、弁護士活動を行いつつ、国内外で特に女性や児童の人権の保護・促進に尽力されてこられました。

2017年より、先ほど御説明がございましたが、現在まで児童の権利委員会委員を務められているほか、2021年5月からは同委員会委員長を務められました。

それでは、大谷先生、どうぞよろしくお願いをいたします。

大谷弁護士: ありがとうございます。

15分、持ち時間をいただいていると思います。今、外務省から私が用意しました話に重なる部分も御説明いただきましたので、なるべくそこに重複にならないようにお話をさせていただきたいと思います。

1枚目、次、お願いします。次のスライド、お願いします。ありがとうございます。

今日の私の話の骨子です。子どもの権利委員会、それから、私の委員の活動について最初に若干お話をしたいと思います。その上で、一般的実施措置と一般原則について、ここが私が今日、強調したいところなのですが、さらにその話をもう少し敷衍する形で3の子どもの権利をめぐる国際的な議論の動向の中で、2と関連づけながらお話をさせていただきます。

次、お願いします。

子どもの権利委員会なのですが、外務省からも御説明がありましたが、国際人権条約には実施メカニズムというのがあります。私が初めて国際人権条約というのを勉強したのは子どもの権利条約が初めてでして、日本がまだ締結する前の1993年に弁護士になって3年目だったのですが、子どもの権利条約を知り、勉強して、大変感動しました。

何に感動したかといいますと、憲法でもちろん日本国憲法に人権保障規定があるのですが、特に実施メカニズムというように書いてあるわけではない。私たち、誰でも憲法や法律に人権保障と書いてあるから実現するわけではないというのはよく分かっているのですが、では、どうやって実現するのかというところが、憲法だと立法を通じて国会議員が憲法の人権保障規定を法律で具体化し、それを行政機関が実施し、人権が侵害されたときは裁判所が救済するという、そういうように理解してきたと思うのですが、実際には本当にそれをどこが何をやるのか、それをちゃんとやっているのかどうかということを国際人権条約には監視する機関もつくって、条約そのものにそういうメカニズムをつくっているということが私にとっては当時、大変刺激になる新しい発見でした。

そういう意味で、国連が採択しました国際人権条約のうち、この実施メカニズムという委員会というのを持っている条約のことを主要な人権条約というように呼んでいるのですが、子どもの権利委員会もその一つです。

子どもの権利委員会は18人の個人資格の委員から成っていますが、1年間に3回、ジュネーブで、1回につき4週間、みんなで会いまして、そこで活動します。その監視の活動の中心は報告書審査、これは国別に行って、国に対して実施の足りない部分があれば勧告をする。簡単に言えばそういう機能です。

それ以外に一般的意見というのを採択しています。これは簡単に言いますと、報告書審査の最後に採択する総括所見というのは、各国の状況に応じた各国に対する勧告であるのに対して、一般的意見はある条約上の一つの規定あるいは権利、それから、さらにあるテーマについて、世界中の状況に照らして委員会として全ての締約国に対して、その権利の実現のためにはこういうことが必要である。あるいはそのテーマについてもう少し深く解き明かす。必要な勧告、必要な実施措置としてはこういうことをやってください。言ってみれば、総括所見に対して締約国全体に対する勧告的な意味合いを持つものだというように理解していただければと思います。

今、一般的意見について少し詳しめにお話ししましたのは、後で資料の中にも、こういうテーマについて一般的意見というのが採択されているので、日本においても子どもの権利について議論するときにはそれをぜひ参考にしてもらいたいという意味で少し詳しく説明させていただきました。

さらに、委員会の監視のための任務としましては、ほかにも個人通報とか調査というのがあるのですが、これは第3選択議定書と呼ばれることがある通報に関する選択議定書を批准している国に対して行うもので、日本はまだそれは受け入れていませんので、日本との関係では報告書審査に基づく総括所見と一般的意見が重要な意味を持ちます。

ただ、そうはいいましても、日本は個人通報の選択議定書は入っていませんけれども、委員会がそこで具体的な問題について出す見解というのは、やはり権利の理解について委員会の考え方が示されている非常に重要なもので、先例法的な性質を持ちますので、日本においてもそれを重視して取り入れていただきたいというように思っております。

ちょっと委員の立場について御説明したいと思います。

委員は自国政府から推薦を受けて、締約国による選挙によって選ばれて4年間の任期で活動します。自国の審査には関われないというルールがあります。そのために、日本の審査のときには私は審査の場にはおりませんし、審査に関して、その総括所見を採択する審議の過程には参加しておりません。

ただ、そうはいいましても、それは審査に関して独立性の観点から参加してはいけないというだけでして、委員、18人おりますけれども、それぞれ自国において子どもの権利条約が実施されることにはすごく全員強い関心を持っていますし、むしろ自国がちゃんとやるようにということで皆さん、それぞれ自分の国の中でいろいろな形で条約の実施には関わっています。そういう意味で、本日はこの部会に呼んでいただきましてお話をする機会をいただきまして大変感謝しております。

それでは、先ほどの総括所見と一般的意見については外務省のほうからも御説明もありましたし、この程度にさせていただきまして、次のスライドに行ってください。

今日の私の話の中心は、この2ではさらっとしかお話ししませんが、それに続けて3のお話をしたいと思います。といいますのは、1のところで私は国際人権条約の特徴としては実施メカニズムがあるところだということを強調したのですが、まさにこのことをもう一度ここで強調したいと思います。

子どもの権利条約にはどんな子どもの権利が具体的に保障されるかということで、1条は子どもの権利がありまして、2条以降、ずっと各条文に権利の具体的な内容が書かれているのですが4条というのが非常に重要な総括的な総論的な規定になります。42条というのは条約の広報についての規定です。44条6というのは報告書、報告審査の後の総括所見の話なのですが、特に強調したいのは4条、42条もなのですが、これは非常に重要で、各具体的な権利の実施の大本になるのは、結局、締約国が立法的措置や行政的措置やその他の措置、適切な措置を取らなくてはいけない。条文の中身自体は非常に簡潔なのですが、ここに非常に大きな意味があるわけです。

つまり、全ての各権利の実施を考えますと、全てそれは法律であったり、それから、様々な実施計画であったり、さらに、そこに予算がついていなくてはいけなくて、また、その実施を監視するモニターする、そういうメカニズムが必要であるとか、データがどうなっているかとか、その次にもう少し詳しく説明したいと思うのですが、まさにそれが要になるわけです。

それから、もう一つは、一般原則と呼ばれる2条、3条、6条、12条の4つの規定です。これは実は条約には一般原則という言葉は出てきません。委員会が1991年から活動を開始しましたときに、報告書審査をするために各国に対して報告内容として求めるものを具体化するためにガイドラインを採択しました。そのときにこの4つの条文をこれは一般原則として各権利の全てに関わるものであるという位置づけをしました。そのことからずっと一般原則と呼ばれている規定なのですが、一般的実施措置はまさに実施のメカニズムというように捉えていただければと思うのですが、一般原則のほうはまさに総論的に全ての各子供の個別の権利の実施に関わってくる。

それから、次にもう少し詳しく説明するつもりなのですが、一般的実施措置の実施の在り方にもこの一般原則が関わってくる関係にあります。日本は1994年にこの条約を批准しましてから、これまでにも何度か委員会による報告書審査を受けて個別の様々な勧告というのがなされているのですが、非常に大きな話として、一般的実施、実際、この権利条約を日本の中でどのように周知させて社会の中でどのように実施していくかということについての大本的な話の部分は欠けていたのではないかということがあります。

その意味で、今回、こども基本法ができ、こども家庭庁ができたということは、もう既に批准から25年以上たっていますけれども、まさに今、日本が改めてスタートラインに立ったといいますか、これまでも先ほど外務省から御説明ありましたとおり、個別の勧告についてはいろいろ実現できて進んできたところが、先ほど御紹介があった以外にもいろいろあります。それはすごく歓迎すべきこととして私もうれしく思っているのですが、さらに足りない部分、それから、もっと言うと、本当に大きな柱としてこの条約を実施するための大きな土台ができたかなというように思っています。

次のスライド、お願いします。

一般的実施措置ではどんなことが重要かというのは、今日、資料には入れなかったのですが、2019年の日本の第4回、5回、政府報告に関する総括所見を後で御覧になっていただければと思いますが、特に委員会が注目しているのは、こども関係法令・施策、いろいろな計画ですね。基本計画などを各国はつくっているのですけれども、最近非常に問題なのは、法律はあるが実施はどうなっているかということです。それから、その法律をつくるときにそもそもどういう事実に基づいて、どういうデータに基づいて、証拠に基づいてつくられているかどうか。それから、その法律や計画が目指した目的が実施によって本当に得られたかどうかみたいなことを評価するためにも、定期的なモニタリングが必要である。そうしたことに全て子供が参加すべきである。ここが先ほど申し上げた子供の参加という子供の意見の尊重という12条のことが実施措置の在り方にも関わってきています。

それから、予算です。いろいろな法律や計画ができて、その実施が重要だと言ってみたところで、各国で非常によく問題になるのが、予算あるいは人的な配分が不十分であるということです。この予算のところでも委員会は予算の策定についても子供の視点を盛り込むように、あるいは子供が参加するようにということを言っています。ここがまた一般的実施の在り方と一般原則がクロスする部分です。

さらに子どもの権利だけではなくて人権そのものが全体にそうなのですが、個別の権利というのはそれぞれが相互依存的に相互に関連しています。なので、結局、子どもの権利と言っても様々な権利を総合的に関連性を踏まえて調整するところがないとそれぞれがばらばらになってしまう、あるいは総合的な視点からの効果的な実施、計画というのができないということで、調整というのは非常に重要になります。

それから、こども権利影響評価というのは、一般原則の中の子供の最善の利益というのが全ての法律とかいろいろな決定とかにおいて子供の最善の利益が最優先で考えられなければいけないという、それをお題目で終わらせないために具体的にどういうようにそれをするかといったときに、そのこども権利影響評価というプロセス自体をメカニズムに組み込まないと、結局は法律をつくるとき、計画をつくるときにそれが子供の最善の利益優先ということが反映されないということでこども権利影響評価、それから、つくる前だけではなくてつくった後も評価が必要であるという考え方です。こうしたことには全てデータが必要ですから、データということを一般的実施措置の中で委員会は非常に重要視しています。

最後に、その調整は政府の中で調整を行う機関が必要なのですが、それを今回、こども家庭庁がされるのだろうと私は期待しているのですが、そういう政府による調整ではなくて、に加えてといいますか、さらに独立の監視メカニズムというのが必要であるというのが一般的実施措置の中でも重要な考え方です。

ちょっと時間がなくなりましたので少し早口になりますが、一般原則について少し説明させていただきたいです。

2条の差別の禁止というところで、委員会の審査の中で必ず問題になりますのが、よく締約国は差別はありませんと言うのですね。法律でもって差別をしているという国はさすがにもうそんなに多くはありません。ですが、委員会が問題にしているのは事実上の差別、実質的な差別です。それは例えば子供の中でもある集団、あるグループの子供が特に権利が共有できてない、実現できてない。例えば障害があるですとか、女の子であるとか、それから、地域によって格差があるとか、あるいは貧困家庭の子供であるとか、そういった事実上の差別、実質的な差別を本当に見つけるためにはデータが必要だという意味で、差別の禁止のところにも先ほどのデータの話が重要になってきます。

それから、子供の意見の尊重について、最近、委員会で非常に関心があるのは、形だけの参加では意味がない。意味のある参加ということを本当にしようと思うと、やはりそこにもメカニズムが必要になる。子供議会ですとか、あるいは地方においてそういう子供議会みたいなのをつくっているところでも、地域間に格差はないか、あるいはそこに本当に全ての子供が参加しているか。結局参加しやすい子供だけの声になってしまっていないかという少し突っ込んだところまで委員会としては見ています。

すみません、あと駆け足で終わりたいと思いますが、委員会で、あるいは子どもの権利をめぐる国際的な議論として今日御紹介したいのは、child rights-based approachという考え方です。日本語では子どもの権利を基盤とするアプローチと訳せばいいのかなと思いますが、この中で一番大事なのは、子供は権利の主体であるということです。

こういう言葉が子どもの権利条約に書かれているわけではないのですが、先ほど松井さんから御説明がありました子どもの権利条約ができる過程でポーランドが1978年に子どもの権利宣言を条約化しようと最初に言ってから実は10年以上かかってこの条約ができる過程の中で、一番大きな獲得は何だったかと言うと、子供は単に保護される、未成熟であったり、弱い存在であるから、保護しなければいけない。これ自体は今もそう変わらない考え方なのですが、でも、子供が実は世界人権宣言の言う全ての人はというのに子供も含まれている権利の主体なのだということがはっきりと意識されたということです。それは条約のどこに書いてあるのと言われると、実は書いてないのです。書いてないのですが、大人について人権規約とか社会権規約がある。それにほぼ同じような権利が全て子どもの権利条約に1つずつ書かれているということがそれを示しています。

ただ、重要なのは、そうはいいましても、子供期というのには特徴があります。ゼロ歳の子供が、では、赤ちゃんが全て大人と同じように権利を共有できるか、行使できるかといったらそうではありません。ですから、そこには発達しつつある能力という5条にある言葉がありますけれども、ゼロ歳から18歳未満までの子供期の中でより保護が重きを置かれる期間と、それから、より子供が参加あるいはもっと言うと権利の行使に自主的に関わることが強調されるべき、刻々と変化しているという捉え方。さらに子供というのは人の人生の中で言うと単なる18年間、17年と364日ではなくて、この人生の中の非常に重要な基盤をつくっている。

だから、よく子供は未熟、保護の対象というように取らえられがちなのですが、このときにどれだけ子どもの権利を実現するかということがその人の将来の人生全てに影響を持つという非常に重要な時期であるという理解が必要だと思います。そのために、子供は単に保護すればいいということだけではなくて、やはり発達しつつある能力に応じて権利を行使できるように国が、それから、親が支援し、もっと言うと、国の責任として支援し、エンパワーしていくということが重要です。

ほ か に も 子 ど も の 権 利 に 関 し て は child centered approach と か child friendly approachとか、child sensitive approachということが言われることがあります。まさに今、日本政府が使っておられる「こどもまんなか」というのはchild centerかなと思うのですが、それぞれ重要な考え方ですけれども、ただ、全ての言葉に欠けているのは、子供は権利の主体であるというところで、child centered、child friendly、全て重要なのですが、そこに必ずchild rights-based approachという考え方をしっかりそれこそ真ん中に入れていただければなと思っています。そうでないと、単に子供に優しいあるいは子供に配慮したという言い方で終わってしまうからです。

最後に、子どもの権利の主流化といいますのは、これは国連の事務総長が最近、そのためのガイダンスノートというのを出しました。どういうことかといいますと、普通に考えれば子供の分野だということに関して子どもの権利を基盤とするアプローチをしていこうというのが分かりやすいのですが、一見、子供に関するとは思われなかった、伝統的には思われてこなかった、あるいは今も思われてないかもしれない問題、あるいは子供という言葉は出てくるけれども、子どもの権利という考え方からあまり捉えられてこなかった問題について、子供という視点を入れていく。それも子どもの権利という考え方からそこにアプローチしていくということが必要であるということです。

1つだけ例を挙げます。例えば子どもの権利の分野では、今、オンラインの上での子どもの権利の保護であるとか、あるいはオンラインという環境で子どもの権利の行使をどうしていくかということは非常に重要な問題になっています。例えば日本はデジタル庁がありますけれども、そこで、では、子どもの権利の話をしているかというと、していく必要があるみたいなことが子どもの権利の主流化の一つの例になるかと思います。

以上で私の話は終わらせていただきまして、御質問にはお答えする中でさらに膨らませることができればと思いますので、よろしくお願いいたします。ちょっと超過して申し訳ありませんでした。

秋田部会長: どうもありがとうございました。

それでは、ただいまから18時まで質疑応答や意見交換を行いたいと思います。御質問のある方は「手を挙げる」の機能を使ってお知らせをください。ぜひせっかくの機会ですのでお願いをいたします。どなたからでも口火を切っていただけたらと思います。

松本委員、お願いをいたします。

松本委員: 北海道大学の松本と申します。貧困の研究をしております。

本日は大変貴重なお話をしていただいて、まず感謝を申し上げます。

伺いたいことはもうたくさんあるのですけれども、特にということで、一つ、国際的な議論の動向というところで、全体でもそうですが触れられたこども権利影響評価という考え方ですね。それと独立の監視メカニズムというようなことと、もう一つは意味のある参加というようにおっしゃった、これらに関わってということであります。

一つは、それぞれ我が国、日本がこれからとにかく形にしていかなければいけない大変重要な政策的な課題でもあり、あるいは社会的に共有すべき課題だというように認識しておりますけれども、これはそれぞれの関係といいますか、それについては例えば国際的なそういう場ではどういうような整理になっているか、あるいは大谷先生がどのようにお考えかということであります。

一つ、例えば独立の監視メカニズムというものは第三者機関ということだと思いますけれども、これは単に権利の侵害に対する審査機関というだけではなくて、イメージとしては例えば参加を促進するというような方法について積極的にコミットするというようなことも含んで考えるというようになるといいなというのが個人的な感覚なのですが、参加というのもいろいろなレベルがあると思いますが、特に政策決定だけでなくて日常的な学校とか、そういう子供が属している組織の中での参加ということも含めて権利の侵害というだけではなくて、むしろ参加を促進する、その方法について、あるいは実質的な意味のある形についてどのようにコミットするかということ。

もう一つは、それと大きく関係すると思いますけれども、この権利影響評価というようにしたときに、これは政策の立案から実施、最後の評価まで一連のプロセスで実施されるべきものである。そのときにデータが大変重要だという御示唆をいただきました。そのことと、それはどこが評価をするかというときに評価をする主体というのが1か所だけではなくて多分複数の観点から評価をするということが重要かと思いますけれども、その際に独立した第三者機関というものがどのようにコミットするかというように考えられるかということです。

申し訳ありません。質問が大変長くなりましたけれども、この3つの関係ということについて何か動向なり先生のお考えをお聞かせいただければと思います。

秋田部会長: ありがとうございます。

大谷先生、お願いをいたします。

大谷弁護士: まず、御質問ありがとうございます。早口で言いたいこともあまり十分に言えなかったので御質問いただいて少し説明ができて大変ありがたいです。

まず、こども権利影響評価についてちょっと申し上げたいのですが、子どもの権利委員会は、このことをそもそも一般的実施措置に関する一般的意見5というものの中でも触れた上に、子供の最善の利益3条に関する一般的意見14の中でさらに詳しく説明をしています。ただ、実はちょっと具体的な年数は忘れたのですけれども、2018年だったかと思うのですが、香港でまさにこども権利影響評価に関するシンポジウムというか会議がありまして私は委員として呼ばれたのですね。世界のよい例を紹介してほしいというのが私への依頼だったのです。

私自身も関心がありますからそのときに調べたのですが、どんなに探しても実は出てこない。そのときも1つそれらしいものを見つけたのは、ニュージーランド、それから、イギリスの中、イギリスはその中でまた管轄が分かれている、UKはその中でまたさらに分かれているのですけれども、その中の1つぐらいしか参考になりそうなものがなかったし、それも私がイメージしていたものとはちょっと違って、香港での会議では正直にそう言ったのです。いろいろ探したのだけれども、実は私自身もあまり見つけられなかったと。委員会としてこれをやれと言っているわけですから、すごく質問を受けたときに、では、どういうようにやるのだという実例もないまま言っているのも委員としても気持ち悪いし、ただ、実際、あまりないのだという話をそのときしました。

ところが、コロナの後に実はこれは今年の2月か去年の2月か、コロナによって子供たちがどういう影響を受けたかということで、その政策とか実施とか法律とかのこども権利影響評価というのとちょっとイメージは違うかもしれないのですけれども、コロナの後にヨーロッパの子供オンブズマンたちがこども権利影響評価に関してコロナの影響というところがちょっと重視されていたのですが、そういうプロジェクトを示して、それをまとめたものを報告してくださるというイベントがありました。

それにはヨーロッパの子供オンブズマンたちとそれに関わったユニセフとが実施して子どもの権利委員会もそれを共催したのですが、そこで初めて私としては非常に具体的な話がたくさん出てきて、やり方ですとか、それこそ先ほどおっしゃったような評価の主体とか、実際にどういうようにやるのかとかという話がまとまって出てきたというイメージでした。これは今日、資料には入れていませんので、よろしければ後で事務局を通して委員の先生方に何かお送りできるかなと思うのです。

なので、実はこのこども権利影響評価、大事だ、大事だ、委員会としては各国にやってくださいと言っていますし、それから、つい今週月曜日に発表になりました新しい一般的意見26では、またこれを非常に大きく取り上げて、国の施策だけではなくて、そこからさらにデューデリジェンスということで、民間の様々な環境に関わるような活動についてもこのこども権利影響評価という考え方をやるようにみたいなことを言っているのですが、まさに具体的なやり方としてどういうやり方がいいのか。実例としてどういうやり方があるのかということを情報共有をしなくてはいけない、今、そういう段階かなと思っています。

なので、お答えとして、ちょっと中途半端なお答えになってしまったのですが、ただ、松本先生の御質問を私なりに理解すると、そこの評価主体にこの独立の監視メカニズムのところが関わるのか、そこの役割はどうなのかというところもちょっとあったのかなと思いますので、その点についてちょっとお話しさせていただきます。

私の理解は、独立の監視メカニズムがこの評価そのものをやるということではなくて、ヨーロッパのオンブズマンたちがした活動というのは、まさにこども権利影響評価の在り方をどうすべきかということをオンブズマンたちが集まって各国について調査し、報告し合いみたいなことをやっていたわけで、独立の監視メカニズムと言われる人権委員会があるところは人権委員会だったり、子供のオンブズマン、コミッショナーだったり、そういう人たちというのは、まさにこども権利影響評価の在り方あるいは松本先生の御質問の次に出てきた意味ある参加のためのメカニズムをどうつくっていけばいいか、あるいはその実施のためにいろいろな情報が子供に分かりやすい形で子供に提供されなければいけないとか、そこにも予算がつかなくてはいけないとか、あるいはそこに関わる大人がトレーニングを受けなくてはいけないとか、まさに意味ある参加を実施するための在り方について監視したり、あるいは意見を言ったり提言をしたりという役割があるのだろうと思います。

ただ、もう一つ申し上げたいのは、意味のある参加との関係で言いますと、委員会の一般的意見でも強調しているのは、子供は特に裁判所へのアクセスも難しいとか、あるいは選挙という形で政治を通しての意思決定の参加が難しいという特徴がいつも強調されています。その意味で、独立の監視メカニズムとは言っていますけれども、子供コミッショナー、子供オンブズマンという特に国家人権委員会のような人権全般についての監視メカニズムだけではなくて、まさに子供のために特別にそういう人が必要であるということを委員会も言っていますし、その人の役割としては、国によってはまさに子供の声の代弁機能なのだという言い方を特にスコットランドの子供コミッショナーなんかは非常にその役割を強調しておられます。

そこは全ての国でそういう言い方をしているかというといろいろ差があるように思いますけれども、単に監視、まさに先ほど松本先生がおっしゃられましたように子供が権利を侵害されたときにそれを救済するという側面だけではなくて、もっと広く子どもの権利を実施するために政策はどうなっているか、法律がどうなっているか、個別の法令、施策のこども権利影響評価そのものをやるというのではなくて、あるテーマとかある法律についての子どもの権利条約、子どもの権利という観点からそれについて政策的な提言をしたり、場合によっては勧告をしたりとか、そういう機能。それから、子供の中で、今、どういうことが問題になっているかということを吸い上げて、まさに子供の声の代弁者として子どもの権利の重要なイシューを取り上げてそれについてきちんと取り上げられるように光を当てるといいますか、提言につなげていくといった機能が期待されているというように私は理解をしています。

一応今の御質問へのお答えとしては以上です。

松本委員: ありがとうございました。

秋田部会長: ありがとうございます。

ほかに委員の先生方、いかがでございますでしょうか。

木田委員、お願いします。

木田委員: 御指名いただきありがとうございます。

大谷先生、本日、貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございました。我々がやっている審議、討論というのが子どもの権利条約の実施として大変重要であるということが明確に結びつけられるとともに、子どもの権利の主体性、子どもの権利基盤アプローチの重要性を明確に御指摘いただいたと思っております。

私のほうから伺いたいのは、総括所見のフォローアップのところなのですが、先ほど外務省のほうから総括所見を踏まえて各省において1つずつ引き続き関係省庁で検討しているという御説明がありましたが、我が国の今までの総括所見に対するフォローアップについての御見解を教えていただくとともに、今回、こども家庭庁ができたことで、そのフォローアップについて新たな展開があるか、期待感などありましたら御指摘、御教示いただけますでしょうか。

大谷弁護士: ありがとうございます。

こども家庭庁への期待は大きいです。特にフォローアップに関してすごく大きな期待をしています。なぜかといいますと、独立の監視メカニズムは、子供オンブズマンとか子供コミッショナーは松本先生の御質問にもちょっとあったのですけれども、人権救済機関としての性質が強調されることが多いかなと思っているのですが、本当はそれよりもっともっと大きな役割を持っています。

特に御質問はこども家庭庁への期待だったのですけれども、その前に独立の監視メカニズムのところでもう少しお話をしたいのですが、今日、私が話の一番最初に子どもの権利委員会の役割の話をしたのは意味がありまして、一つは、その規範というのはそのままでは当然実現しないので実施メカニズムが大事だ、条約はそういうものを内在的につくっているのだということを強調したかったのと、それから、国内で条約を実施するというときにもまさに実施のメカニズムというところが重要なのだということが言いたかったというのが一つなのです。

もう一つ、さらに言いたいのは、私たちは世界196締約国から推薦された候補者の中から選ばれた18人でして、定期的に報告書の審査をするわけです。私たちも頑張ってやっていますが、その国の本当に仕組みとか法体系とか、それから、社会的、経済的な事情とか文化とかを本当に理解して、その国の中での条約の実施にどういう障害があるか、困難があるか、それを解消するためには本当にどうしたらいいかということを私たち委員が勧告するということには精いっぱいはやっているのですけれども、いろいろ限界もあると思います。

それから、もう一つは、今、条約では5年ごとに定期報告書を出して審査することになっていますが、遅れがずっと生じていて、現実にはその報告書審査の空白というか、その間が約8年になっているのですね。子供は18までが子供で、その中である勧告が出て、そこでの問題が指摘されているわけですから、それがどう解消されるか、まさにフォローアップ、木田先生が質問された。というのは、私たちからするともう本当に迅速にお願いしたいわけです。子供たちが育っていく中で私たちがした勧告がなるべく早く実現されて反映してほしい。ところが、次の報告審査といったらすごく先なわけですよね。

なので、その2つの意味から、つまり、私たちは国際的な視点から専門家としてその国の問題を審査して勧告を出していますからそれを実現してもらいたいのですが、その実現のところに当たっては、まさにその国の中にいて、その国の体系、事情、いろいろなことが分かっている人たちが責任を持ってやる体制というのがなければ、委員会はその後に何も正直できませんし、その間を埋める機関として私は国の中の独立の監視メカニズムとしてコミッショナー、オンブズマン、それから、国家人権委員会の役割は非常に大きいと思っています。

しかも、実際、それを次にまた委員会のときに報告するというときではなくて、本当を言うと例えば2年後とか1年後、総括所見がすぐに実現できないというのは委員会も分かっていますから、では、せめて1年後にはこの総括所見をどう実施していこうかという計画が出るとか、あるいはこれも項目がいっぱいありますから全部同じペースでというのは難しいと思います。なので、では、例えば5年という期間の中でどういう順番でどれをやっていこうかとか、どこの省庁がそれをやるか。今も外務省はもうそういうことをやってくださっているのかなと思うのですけれども、今後、まさにそれをやってくださるのはこども家庭庁かなというように思っています。

独立の監視メカニズムが日本にできましたら、それは私たち委員会がやっているような、まさにモニター、モニタリング、監視で足りないところを勧告するみたいなところを独立の機関が国内でやっていただき、そのフォローアップのところでもそういう役割をしてくださることを期待しているのですが、今、日本にはそれがないわけでして、独立の監視メカニズムという形ではないのですけれども、こども家庭庁にはぜひとも、まさに政府としてそれを受けてどう実施していくかということの調整役という役割を果たしていただきたいという期待があります。

特に2019年から大分たっていますから、次の審査に向けてという話になるかもしれないのですけれども、今でもまだ2019年の総括所見の実施サイクルにあると私は思っているので、その意味では委員会がいつも各国にお願いしています総括所見を子供に分かりやすい言葉で子供たちに知らせてほしい。それから、フォローアップの活動、つまり、これをどう実施していくかという話合いに子供を参加させてほしいというのをぜひお願いしたいなと思っています。

以上です。

秋田部会長: どうもありがとうございます。

ほかにはいかがでございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。大変力強く、これから私たちが何を議論しなければいけないのかというところについてお話をいただけたのではないかと思います。

ちょうど時間になりましたので、本日の会議はここまでにて終了といたしたいと思います。大谷先生におかれましては、お忙しい中、大変貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございました。

次回はこども大綱の策定に向け、答申の中間整理の案について御議論をいただく予定です。9月4日14時の開催を予定いたしております。皆様、ありがとうございます。大谷先生、それから、外務省の皆様もどうもありがとうございます。若干早めでございますが、これにて終了させていただきたいと思います。

大谷弁護士: 秋田先生、一言だけよろしいでしょうか。

秋田部会長: どうぞ。

大谷弁護士: もう予定されているのかもしれないのですが、ぜひこども大綱の策定に向けて子供の参加、子供から意見を聴くというのをぜひ実現していただきたいと思います。その際には、まさに意味のある参加ということで委員会が言っていますことの一つは、急に意見を聴きますと言って意見を言ってもらうというのは難しい。ちゃんとまずその子供さんたちに意見を聴こうとする中身について子供が分かる言葉で情報提供すること。

それから、子供はゼロ歳から18歳未満ですが、どうしても子供参加というときに少し年齢のいった15歳、16歳、17歳あたりの子供さんたちが参加しやすい傾向がどの国でもあります。でも、子供たちは実は10歳から9歳とか8歳が意見を聴いてほしいと私たちによく委員会に言ってくれるのですね。そういう年齢的な多様性。それから、例えば障害を持っているお子さんであるとか、あるいは地域的になかなかアクセスがしにくいですとか、外国にルーツがあるとか、いろいろな意味で参加という主流からなかなかアクセスしにくい子供さんたちの多様な参加というのをぜひ御検討いただければありがたいです。

以上です。本日はどうもありがとうございました。

秋田部会長: どうもありがとうございます。これからちょうど10月からヒアリングをしたり、今までもそうですが、やっていくところです。貴重な御意見、本当にありがとうございました。

これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。