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第1回 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会

概要

日時:令和5年5月31日(水)13時00分から15時00分
場所:オンライン開催

議題

審議事項
(1)専門委員会の運営等について
(2)妊婦のNIPTに関する調査結果等について
(3)NIPTの臨床研究について(ヒアリング)
(4)その他

資料

議事録

上出課長補佐:定刻となりましたので、ただいまから第1回「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」を開催いたします。

委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りありがとうございます。

当課がこども家庭庁に移管されたことを受け、本専門委員会を新たに設置をさせていただきました。厚生労働省の厚生科学審議会科学技術部会の下に設置されていました委員会においては、計8回にわたり御議論いただきました。

多くの委員に関しましては、厚労省から引き続き委員をお願いしておりますが、こども家庭庁としては第1回の会合でございますので、座長が決まるまでの間、進行役を務めさせていただきます母子保健課の上出でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の会議は会場とオンラインとの併用で開催をしておりますが、事務局のいる会場からは福井委員、関沢委員が参加しております。

本日は、全員から御出席との連絡をいただいております。過半数以上の御出席をいただいておりますので、本会議は成立します。

なお、小崎委員からは、最後の30分早退されるというふうに伺っております。

また、本日は参考人として白土参考人、山田参考人に御出席いただいております。白土参考人は、会場から御出席いただいております。

また、会議の公開についてですが、会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。

それでは、開会に当たりまして、こども家庭庁成育局母子保健課長より御挨拶を申し上げます。

山本課長: みなさん、こんにちは。こども家庭庁成育局母子保健課長の山本と申します。

諸先生方におかれましては、それぞれ大変お忙しい立場で御活躍のところ、このたび「こども家庭審議会NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」の委員を快くお引き受けいただきまして大変ありがたく存じます。また、本日の会議に御出席いただき、ありがとうございます。

これまでNIPT等の出生前検査の在り方等については、厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会の下に設置された専門委員会で御議論いただき、令和3年には報告書を取りまとめていただいたところです。

その後、その報告書に基づき、日本医学会に出生前検査認証制度等運営委員会を立ち上げていただき、昨年度から医療機関及び検査分析機関の認証が始まったところです。

この4月にこども家庭庁が創設され、5月19日に開催されましたこども家庭審議会科学技術部会において、この専門委員会を新たにこども家庭庁の審議会の下に設置するということが承認されたところです。

今回がこども家庭庁としての第1回の開催となりますが、本専門委員会は出生前検査全般について継続的に御議論いただく場と考えておりますので、委員の皆様には御指導、御尽力いただきますようよろしくお願いいたします。

こども家庭庁といたしましても、今後とも妊婦やその家族に寄り添い、NIPT等の出生前検査に関する情報提供、また認証制度が円滑に行われるよう、必要な支援に努めてまいりたいと思います。

NIPTの認証制度が開始されましたが、枠組みの外での実施状況が不明というような御指摘、また3疾患以外の疾患を対象とするNIPTの臨床研究に関する議論について、本日は御報告をいただく予定となっております。

出生前検査の在り方については、サイエンスや医学的知見だけでは判断できず、個々人の価値観や生命倫理観も問われるデリケートで難しい課題であると認識しておりますが、委員の皆様方には忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして開会の御挨拶とさせていただきます。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

上出課長補佐: ありがとうございました。

引き続き、事務局から本日の配付資料の確認等を行います。

本日は、ペーパーレス会議としてオンラインで御参加いただく委員の先生方にはあらかじめ資料をメールでお送りしています。資料の確認をさせていただきます。

議事次第に記載の【配付資料】のとおり、資料1から3と、参考資料が1から7までとなっております。過不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

また、多くの委員はオンラインで御参加いただいているため、御発言いただく際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただくか、カメラの前で挙手をいただき、座長が御指名をさせていただきますので、お名前をお伝えいただいた上で御発言をよろしくお願いいたします。

続きまして、お手元の参考資料3「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会委員名簿」に委員の名簿をおつけしております。本来でしたらお一人お一人御紹介すべきところですが、審議時間を確保する観点から、こども家庭庁の委員会として新たに委員となった方のみ御紹介をさせていただきますので、一言御挨拶をお願いいたします。

名簿順になりますが、高知県健康政策部長の家保委員、お願いいたします。

家保委員: 全国衛生部長会のほうの推薦を受けまして出席させていただきます、高知県健康政策部長の家保と申します。よろしくお願いいたします。

上出課長補佐: ありがとうございます。

続きまして、関西大学人間健康学部人間健康学科教授の植田委員です。

植田委員: 植田でございます。よろしくお願いいたします。

これまで日本医学会の出生前認証制度等運営委員会の情報提供ワーキングでお世話になっておりまして、この委員会の御審議内容を学ばせていただいてきましたところでございます。若輩者ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

上出課長補佐: ありがとうございました。

続きまして、昭和大学医学部産婦人科学講座教授の関沢委員、お願いいたします。

関沢委員: 昭和大学産婦人科の関沢と申します。

私は産婦人科医で、周産期医学を専門としております。1995年ぐらいから母体血を用いた出生前検査の研究等に取り組んできております。2000年には、母体血漿を用いて赤ちゃんの単一遺伝子病の診断を世界で初めての論文を書いたりしています。それ以降は、母体血のゲノム解析をして胎盤の機能を見る研究をに取り組んできました。

2013年からのNIPTの国内導入に際して、NIPTコンソーシアムとして研究を行う立場からNIPTに関わってきました。

NIPTを実際に臨床で行っている立場にありますが、この委員会に加えていただきありがたく思っております。よろしくお願いいたします。

上出課長補佐: ありがとうございました。

それでは、議事に入ります。

まず、議事1「専門委員会の運営等について」です。今回は第1回ということですので、会議の進行役である座長について御説明をさせていただきます。

本委員会は、こども家庭審議会科学技術部会より、福井委員が委員長として指名されております。つきましては、本会議における座長は福井委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、座長の福井先生のほうから一言、御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

福井座長: 座長を仰せつかった福井です。

現在、東京医科大学茨城医療センターに所属しております。令和2年にこの専門委員会が立ち上がって、非常に大きな変化がNIPTに係る新たな認証制度を提唱して実際につくられて、今それが走っているということで、先ほど課長のほうから現在のいろいろな問題点といいますか、この委員会が今後どうするのかという方向性について少し触れられたと思いますけれども、このような新しい制度をつくった以上は、その結果がどうなったかということを丁寧にフォローアップして、またそれ以外にもまだいろいろな問題点が指摘されてきたところですので、できるだけ多くの妊婦の方々が不安なくこのような検査を使って
もらえるように、少しでも貢献できればと思っている次第です。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

上出課長補佐: ありがとうございました。

続きまして、福井座長の指名により、副座長の選任を行っていただければと思います。

福井座長: それでは、野崎委員に副座長をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

上出課長補佐: 副座長として野崎委員に御指名がございますので、皆さんよろしいでしょうか。

それでは、副座長として野崎委員によろしくお願いいたします。野崎先生のほうからも、一言お願いできればと思います。

野崎副座長: ただいま御指名いただきました野崎と申します。

現在、この4月より所属を異動いたしまして獨協大学のほうに所属をいたしております。前任の京都薬科大学のほうにも客員で所属をしておりまして、継続的な状況にございます。

今、委員長からもお話がございましたとおり、令和2年に本委員会が立ち上がったところより委員として拝命をしてまいりました。私自身は法哲学が専門でして、法制度であるとか、そうした制度設計に関する制度性の問題ということが基本的な立場といいますか、考える範疇になっております。

私自身が皆様方に学ばせていただくばかりのところでござまして、新たに医学会のほうでも始まっていく制度につきましてよりよい形で進めてまいれるよう、私のほうでもできる限りの尽力をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

上出課長補佐: ありがとうございました。

それでは、以降の司会進行につきましては福井座長にお願いしたいと思います。福井先生、よろしくお願いいたします。

福井座長:それでは、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。議事を引き継がせていただきます。

最初に、事務局から資料1「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会細則(案)」についての説明をお願いいたします。

上出課長補佐: ありがとうございます。事務局から、資料1につきまして御説明をさせていただきます。

参考資料1のほうに親部会でもこちらの委員会の規定がありますけれども、それに加えてこちらの中に細則で規定を定めております。

主に定めているものに関しましては、この委員会の下に作業班を置くということ、ここは第2条のところに書かれております。

あとは、これまで厚労省時代も含めてそういった開催はなかったんですけれども、いわゆる持ち回り開催、そういった書面での開催というものを認めるということが第3条のところに記載されております。

以上が、簡単ではございますけれども、こちらの細則(案)というところになっております。

福井座長: よろしいでしょうか。ただいま事務局から説明がございましたが、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。

よろしいですか。

それでは、この「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会細則(案)」につきましては、6専門委員会として了承したということにさせていただきます。ありがとうございます。

それでは、議題2に移りたいと思います。

前回の専門委員会の議論で、参考資料6にお示しているようですけれども、出生前検査認証制度等運営委員会の岡委員長から、認証制度の枠組みの外での実態、それから臨床研究について課題が指摘されました。今回それぞれの課題に対応する形で、議題2と議題3を用意していただきました。

最初に、議題2「妊婦のNIPTに関する調査結果等について」、白土参考人に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

白土参考人: 本日はよろしくお願いいたします。昭和大学産婦人科の白土と申します。

私ども、令和2年から4年にかけまして、出生前検査に対して一般の方々の意識はどうか、または妊婦さんたちの意識、そして知識はどうかということを検討してまいりまして、それは全て妊婦さんたちがどのように出生前検査を受けたいか、または検査を希望した場合に安心で安全な形で検査が受けられるかということを検討したくてこの研究を進めてまいりました。本日は、その中でNIPTを受検した方々ということでの検討をちょっと抜粋して御紹介させていただければと思います。

まず、目的といたしまして、このような妊婦さんの状況を確認するために実際にNIPTを受けた方がどのような施設選択を考えて検査をしたかということを検討して、それによって産科医療機関がどのような仕組みをできるか、そこら辺についても検討させていただきたくアンケートをした次第です。

これが「調査方法」になるのですが、2023年に調査を行っております。

まず対象の条件といたしましては、NIPTを受けたことがあって、年齢であれば20歳から45歳まで、受けたときに20歳以上ということを検討して、覚えていなければちょっと検討にならなかったので妊娠中から産褥1か月までということを対象にアプリを使ってウェブ調査をしたということになります。

調査に同意した方々は、すごく多くいらっしゃいました。2,500人ほどいらっしゃいましたが、先ほどの条件に合った方というのが1,288名でした。

その中で、今回の検討で認証制度が始まって以来、どのような変化があるかということも検討したかったので、今回の対象としては2022年7月以降にこの検査を受けた方という1,227名を対象としております。その中で、自己申告ではあるのですが、認証制度で受けた、または非認証の施設であった、はたまた自分の施設はどこだったか分からないという方もいらっしゃいましたので、それを3群に分けて検討していきました。

こちらが結果になるんですけれども、少し時差があったのが、認証制度の検査で検査を受けられた方の年齢が高い傾向にございました。全体では認証制度が57%。そして非認証制度の施設が23%ということになっております。

こちらのこれからの表としましては、右側のほうにその3群に分けたデータをお示しております。ブルーで示す産科医療機関、もしくは検診の施設で受けたという方が認証施設では80%以上。それに対しまして非認証施設では産婦人科医療機関以外というのが85%となっております。

次に、どのようなことを重視してこのNIPTを受ける施設を選んだんですかというような質問を入れました。こちらは複数回答になっております。少々分かりづらいのですが、例えば認証施設の中の方の中で、先ほどの600人近くの中の61%がというような形での表になっているのですが、例えば認証施設であったから、かかりつけ医の勧めであった、または検査の前後でのカウンセリングがきちんとあるといったことを重視していたのが、認証施設を選ばれた方で多かったことが分かります。

それに対しまして非認証施設を選んだ方は、費用であったり、アクセスであったり、または結果についてのネット情報、こういったことを重視して選ばれていることが分かりました。

次に検査の説明の段階になるのですが、認証施設では「個別に遺伝カウンセリング」を受けた、また非認証施設では個々に「口頭での簡単な説明」程度であったが6割程度になっていることが分かります。

また、それを時間として評価いたしますと「15分未満」がオレンジ色、赤のところになりますが、非認証施設では60%が「15分未満」であったことが分かります。

次に、この検査の中での項目になります。こちらが全体の数が見やすいかなと思って出したのですが、例えば3種類のトリソミーについてはどの施設も行っておりました。それに対しまして、こちらではどの施設がどれぐらいの検査をしているかということで見ますと、非認証施設では例えば微小欠失のこと、そして全ての領域単一遺伝子病なども評価できるようにいろいろな項目を検査されていることが分かりました。

次に、料金的なところもお聞きしました。全体で言えば、3群に分けていない状態では3分の1が11万円未満、そして半数近くが11万円から20万円くらい、そして20万円以上負担している方々が20%おられました。

その内訳を3群で比較してみました。赤い部分が20万円以上になりますが、約3割の方が認証施設以外、非認証施設でこちらを負担していたということが分かりました。

次に、検査の状況になります。いつその検査を受けたかということになるのですが、全体の中でいわゆる産科医療機関が開いている平日の昼間ということが75%を占めておりました。

3群に分けてそちらを見てみますと、認証施設では8割以上が平日の昼間というのが多いのですが、非認証施設では例えば土曜の昼間であったり、土日祝日の昼間というところが半数を占めていることも分かりました。夕方というところは、どの群でも特にそれほど多くはなく、全体1%程度ではありました。

次に、その結果になります。全体として96%が陰性、そして陽性の方は15名、1.3%でした。判定保留は0.6%、これはコンソーシアム等で結果が出ている日本の精度と変わりはないような状況であります。そして、3群の中でも特に結果についての相違はございませんでした。

次に、結果開示の状況です。こちらは、結果開示で例えば口頭で説明を受けているというのが認証施設で75%、そして非認証施設では郵送・FAX・メール・ネット等での結果ということで、対面ではなかったということになります。

医療者の説明の時間も見てみました。そうしましたところ、説明が特になかったというのが非認証施設の85%を占めていることが分かります。

次に、陰性以外の方への質問で、こちらからは気持ちについてのことをお聞きしているわけですが、NIPTを受けて感じたことについて、このブルーで示すところは特に認証施設で多かった結果になります。結果が出るまでの不安、認証施設で受けるべきだ、または確定検査まで対応できる施設で受けるべきだ、そういった考えが認証施設を選んだ方で多かったことが分かります。

それに対しまして、陰性の方の中で非認証施設で受けた方の75%は、検査結果後に対応を行うべきだ、そして検査結果の後の説明が不十分であって不安に陥った、そういったことをお答えになっていました。

次は、全員への質問になります。結果が分かって安心できた、または検査を受けてよかった、そういったところはどの群でも95%以上語っておられるのが分かりました。

そして、検査施設の選択は自分に合っていた、または遺伝カウンセリングは必要だと思う、そういったことは認証施設で受けた方に多かったことが分かります。

次に、出生前検査全般への質問です。こちらはNIPTというわけではなくて、全体への質問としてお聞きしたところ、緑で示しますのは全部で多かったというところになるのですが、情報は産婦人科の施設で希望します、検査結果で何か染色体に疑いがあった場合は小児科から、または養育の公的な支援情報が欲しいということはどの群の方も同様に95%以上希望されていることが分かりました。

次に、非認証施設で多かった項目になります。こちらは、妊婦検診施設やNIPTにとっては身近なところで受けたいということが挙げられておりました。

1つ、認証施設で優位に高かったものは、NIPTには一定の規制が必要である。こちらについては、有意差が見られました。

まとめのところは少し多くなっているので、下のところを抜粋してお話しさせていただきますが、認証施設で受ける方は結果が出るまでの不安、そしてNIPTにとっては一定の規制も必要であろうということを考えられていました。

それに対して、非認証施設では、結果の説明がちょっと不十分であるとか、施設での手続の説明がちょっと不足であるといったこと、そして検査施設の選択においてもいわゆる陰性以外の結果を得た中では後悔をされていることも分かりました。

次のお話は、今回の2023年と比較するために、いわゆる認証制度が進んでいる前の段階で2020年に日本産婦人科学会のほうで検査されている同じような質問項目で妊婦のアプリを使ったものがございましたので、そちらでも認証制度前後での比較というのをしてみました。

こちらが自己申告のもの、そしてちょっと修正を加えたものというような背景の対象のグラフになるんですけれども、今まで御説明したのがこちらの一番下の段になります。自己申告というのは、先ほどのものを挙げてきました。

それに対して、例えば認証制度後であれば3種類のトリソミー以外を受けているということもないのであろうなどということで、それをちょっと振り分けてみました。そうしたところ、このような半々であるということも分かりました。

そして、2020年度のところの自己申告では、やはり同様の状態の背景が見られることが分かります。そして、修正後も同じような形になっていますので、今回はこの自己申告の部分を使って2つを検討してみました。

ちょっとビジーなスライドで申し訳ないのですが、こちらのほうでそれぞれの項目について6本のバーが立っているのですけれども、左側の3本が2020年度のブルー系が認定施設、そして赤系がこのときは無認可といいましょうか、そして分からなかったということになっています。そして、左側の3本の棒が認証、非認証、そして分からなかったという群になっています。

そうしますと、赤で示すところ、星印がついていますけれども、この5項目については非認証施設でこの3年間の中で増えてきた項目になります。何を重視してNIPTを受けているか、施設選択において聞いてみたところ、口コミであったりネット、そして3つのトリソミー以外も、また費用、アクセスについてというのが非認証施設を選んだ方で高くなってきているということが分かります。

それに対して認証施設を選んだ方は、かかりつけ医の説明であったり、認証施設だからということが多いことが分かりました。

次に、陰性以外の結果の方、これは、同様に2020年でも25人、そして今回が28人の結果をこちらにバーで示しております。上段の部分が2020年のもの、そして下段の部分が2023年のものを示しております。どの群でも、感じたことについて割と答えが多いということが分かるかと思います。

特にその中で非認証施設を選んだ人の中では、陰性以外の結果を得た場合、認証施設で受けたほうがよかった、または結果が不十分であった。そして、検査施設の選択を後悔している、ここについては2023年のところで増えてきていることが分かりました。

次に「出生前検査についての考え」になります。こちらは、全て2023年で全体として増えていることが分かります。特に染色体疾患の疑いがあった場合、小児科医、そして養育の公的な支援情報が欲しいというところは2023年で上がっていることが分かります。それ以外でも、NIPTをもっと身近な施設で受けたいとか、あとは出生前検査を受けるのであれば一人一人の女性の判断がすべきということが全て挙がっていることが分かります。

こちらは、まとめになります。認証施設においてということで細かく書いてありますが、言いたいことは一番下になります。「染色体疾患が疑われた時」、これは出生前検査を選んだ方全てにおいてやはり挙がってきているということが分かったのが、小児科医や家族団体、そして行政からの説明を希望する妊婦が増加しているということになるかと思います。

次のお話としては、出生前検査を受ける妊婦さんたち、それを支えるのが医療機関であると思うのですけれども、その妊婦さんやパートナーへの対応、そして自分たちの施設の状況というのを検討しましたので、そちらも厚労省の研究の流れとして説明させていただきたいと思います。

こちらは、全国の施設に御協力いただきました。特に遺伝に関係のある遺伝専門医であったり、周産期専門医であったり、そしてこの間、日本産婦人科遺伝子診療学会の認定を取られた方々がいる施設、590の施設に郵送であったりメールということでアンケートを取らせていただきました。

その中で半数以上が御返答いただき、二次調査として次に医療者個人への調査もいたしました。この個人というのは、産婦人科医のみならず、その施設にいる小児科の先生であったり、それから助産師さんであったり、看護師さんであったり、そして遺伝カウンセラーさん、中には心理士さんがお答えいただいた方もいます。そのように、医療関係者がどのように出生前検査に対して何か陽性だった場合等の対応をしているかというような質問をして検討をしております。こちらは、全部で204人の回答を得ております。

まず施設調査の結果になるのですが、出生前検査で陽性となった症例について、対応していますかという質問に対して70%のところが対応していました。その中で、基本的なルールや方針があるかということに対しては、57%の施設が特段のルールは決めていないということが分かりました。

では、その出生前検査が陽性であって妊娠を継続した場合、周産期管理以外にどういったことに対応していますかということについての質問です。そちらに対して、施設の回答として上のほうから「必ず行う」「症例により行うことがある」というような形での4問での質問になるのですが、NICUや小児科との連携、そして院内カンファをしているよということで、必ず行うというところが8割を示しておりました。そして、症例によって行うも含めますと、自治体への連携であったり、ペリネイタルビジット、そしてパンフレット等の情報提供、こういったことについては症例によっては行っている。妊娠の継続の場合は、そういった答えが返ってきました。

そして、妊娠を中断した場合になります。その場合は、ブルーで示すところが少し継続に比べて少ないのが分かるかと思うのですが、出産後、妊娠中断後にも接している助産師さんとの面談というのは半数が必ず行う、そして9割ぐらいは症例によって行いますという返答をいただいております。

それに対して、自治体や心理士等の連携ということは半数になります。そして、遺伝カウンセラーやピアカウンセリングの紹介というのは3分の1程度にとどまっていることが妊娠中断後ではあるということが分かりました。

つまり、陽性症例で妊娠を継続した場合よりも、中断した場合のほうが医療機関や行政でのフォローが少し少ないかなという傾向が見受けられたと思います。

次に、その症例を見ている医療者の心の声といいますか、少し聞いてみました。例えば、自分たちの業務についてどのように感じますかという直球の質問なのですが、「とてもそう思う」「まあそう思う」というところがほとんどなんですけれども、自身の職種として当然の業務であり、自身にとっても学びであり、やりがいがある業務であって、対応した症例に役立ちたいというような気持がほぼ9割以上ということが分かるかと思います。できれば避けたいと思っている方々は、3分の1程度だったということになります。

では、その業務についてのやる気に反して、負担感というのもまた聞いてみました。そうしたところ、ほかの業務よりも負担は軽いと考えた方は0%でした。また、負担が変わらないくらいが4分の1、それに対して少し負担です、感じますという方が75%を占めていたことが分かりました。

その中で、何を負担に感じるか、その背景を見ました。そうしたところ、やはり時間的な制約が取れられること、個別化した対応が必要になること、そして全体的なカウンセリングの時間数等も含めた対応の時間ですね。複数対応というのもありました。

そして、当てはまらないというふうに考えたところは、NICUの病床が限られているや、協議する場がないといったところは6割ぐらいはありますということでお答えになっているんだと思います。

次に、ではある程度やる気はあるけれども、その負担感について全国の150近くの施設がこのヒアリング等に協力してくれるということでお返事をいただいていましたので、その中でもその施設の中で年間20症例以上、陽性の症例を扱っていて、かつ産婦人科のみでなく遺伝カウンセラーさんや心理士さんなどもそこで対応しているというふうに御返答いただいた施設を選んで10施設にヒアリングを行わせていただきました。その中で、本当に少しの事例の抜粋になっておりますが、そちらを少し御説明させていただきます。

対応や方針について、その支援体制としては、自治体の中で配布する資料があってその体制が整っている、もしくはピアカウンセリングを受けてくれる先があるんだというところもありました。

そして、小児科医との関わりとして、御夫婦から希望があった場合には必ずその施設につなげているんですよとか、あとは小児科が在籍していないクリニックもこのヒアリング調査の中には入ってくださっていたのですが、そういったところであれば、例えば在宅診療を行っている小児科の先生を御存じで、その中でのきちんとした連携が取れていますということもお返事をいただきました。

また、メンタルフォローの体制です。負担感ということもありましたので、どのような対策を取っているのか聞いてみたところ、例えば患者さんにとっても負担だと思います。そこで妊娠中も最も関わりのある助産師さんが退院後もLINEやメール、これは公的な病院のものを使っているということでしたが、またはいつでも電話対応できますよなどというお声がけをされていたり、そして精神科や診療内科の先生ともすぐに対応ができるような施設もございました。

そういった中で一番下にございますが、アフターフォローを例えば3か月後に設定して、きちんとそこでお話を聞きますよという予約は取りますが、ただ、望まない人というのもやはり中断例にはございますので、そういったそっとしておいてほしいという考えもあるということを事例としてお話を聞いた次第です。

こちらはまとめになりますが、なかなか対応するルーチンのものはまだ決めていない施設が多い中、支援体制を充実するためには検査の機関の集約化、例えば地方であれば大きな1つの施設に中断症例であったり、陽性であった症例を相談したいということで集約している施設がやはり多くなっているのは事実なんですね。

ですので、そちらを充実させていくとか、ただ、患者さんにとっては同じ県の中でも少し遠くに戻るということはやはり御負担だというような御意見もありましたので、そちらを基幹病院、基幹施設というところで対応できないかなどということもその支援体制の強化が望まれるのではないかと思います。

また、支援に負担を感じている医療者についても、どうしても患者さんと対面でお話をしている方々に患者さんもやはりついてきますので、できればその方とはずっと対応したいというこちらの気持ちも本当にありますが、ただ、個人の努力に依存しているという状況がうかがわれたことも事実としてありました。ですので、医療者の心のケアも含めたサポート体制の充実、そういった施策も含めてぜひ今後御検討いただければなということも含めて、本日はお時間をいただいてお話させていただきました。

福井座長を含め、本当に御清聴ありがとうございました。以上になります。

福井座長: ありがとうございます。大変貴重な調査データをお示しいただきました。

ただいまの白土先生の御説明に関しまして御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。挙手機能なり、または手を挙げていただいても結構ですので、お願いします。

玉井先生、どうぞ。

玉井委員: 確認したかったんですけれども、2023年のケースで、認証施設での数%はトリソミー以外の検査も行っていたようにグラフはなっていたかと思います。あれは、正直にアンケートだから答えてくださったのかもしれないけれども、本来はルールにはないはずなんですよね。それについては、アンケートだからアクションはできないんでしょうけれども、その後どのようにされていくのかなということです。

それからもう一つ、お聞きしたかったのは、最後のほうのまとめのところで、妊婦さんたちが陽性となったときの話ですけれども、コンサルト小児科医という人が対応するとか、そういうことは御存じだったんでしょうか。

白土参考人: 御質問ありがとうございます。

このときはまだコンサルト小児科医というものがまだなかったときで、2020年度のところからやっていた調査でしたので、ぜひそちらのほうも皆さんに聞きたいなということでは思いました。小児科医がいるとか、そこら辺ですね。

関沢委員: 2023年の調査ではコンサルト小児科医のことは聞いていなかったですね。漏れていたということですね。

白土参考人: はい、そうですね。申し訳ございません。

福井座長: どうぞ。

関沢委員: 関沢です。

最初の質問で、トリソミー以外の検査を認証施設で行っているかどうかは、なかなかこれだけでは把握し切れなく、妊婦さんがあくまで認証施設で検査を受けている、非認証施設で検査を受けていると回答した人の中でどうだったかということでみています。認証施設と言っている中でも産婦人科じゃなかったという人たちが相応にいるわけで、それがどこなのかというのはよく分からないです。小児科の中でやっている施設もあるのかもしれないし、遺伝診療科というようなところでやっていて産婦人科じゃないというふうに回答しているのかもしれないです。一方で、実は美容外科が認証施設のように見せかけていて患者さんには分からないということもあるのかもしれません。

それで、どちらでもないという回答の中に具体的な非認証の施設名が書かれているアンケートもありましたので、実際に受けているところが認証なのか、非認証なのかというのがなかなか認識できていない人はそれ相応にいるのだと思います。

福井座長: 飯野先生、どうぞ。

飯野委員: ありがとうございました。

この調査は、やはり医学会でやっている認証制度運営委員会の活動がどのような効果が出ていりのかということについて非常に大きな指標となると思うんですけれども、先ほどスライド18で2020年と2023年を比べると受検施設の選択動向に特にまだあまり大きな変化がなかったということなのですが、多分このようなことは少し時間がかかって分かっていくのかなと思いますので、2つお伺いしたいんですけれども、1つはこの調査は来年度以降も続けられるのかということです。

あとは、今回の調査の場合、調査は2023年に行ったんですけれども、実際にアンケート対象者が受検したのは2022年の7月以降ということで、認証制度が始まって間もない時期からになっています。実際に認証制度運営委員会のほうの情報提供のウェブサイトは今年になって立ち上がっているという状況ですので、例えば今回の調査で2020年7月から2022年中に受検した方のデータと、2023年以降に受検した方のデータと比べて何か望ましい変化のようなものがあるのかどうか、そこまでは分からないのか。

その2点についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

白土参考人: ありがとうございます。

先生がおっしゃるとおり、この検査は分けましたけれども、2023年の2月にアンケートをばっと配った形になっていますので、まだ始まってからもちろん半年ですし、公開されてからも本当に少しということですので、どちらかというと基礎データになるのかもしれません。この後、厚労省の方々がお許しいただけるのでしたら、引き続き同じようなことをまた聞いていきたいなと思いました。

あとは、玉井先生に1つ先ほどのお答えでよろしいですか。実は、このアンケートというのは5種類ぐらいやらせていただいておりまして、今回出したNIPTの妊婦のアプリを使ったものの中では小児コンサルト医ということは入れていなかったんですけれども、それ以外に3番目の研究として、実際に検査を受けた、または遺伝カウンセリングを受けたという方に対して同じ時期に調査をしております。

それは全国のウェブアンケートでさせていただいたんですが、そちらに関しては残念ながら、医療的な遺伝的なお言葉に関してはほぼ10%以下という御理解でした。それは、認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医、そして小児コンサルト医、そこのところも全部書いたんですけれども、どの答えも残念ながら、一般の妊婦さんや出生前検査を受けた人たちも比べてみると、まだ受けた方のほうが少し知っている率は高かったのですが、まだまだ浸透はしていないなという状況が確認はできております。また、それも追って発表させていただきます。

福井座長: よろしいですか。

では、中込先生どうぞ。

中込委員: ありがとうございます。信州大学の中込と申します。助産師です。

先生の御発表で非常に関心を持ったのは、私も情報提供ワーキングに所属しておりまして、スライド19枚目の2020年と2023年で比較したときに、2020年のときは妊婦さんたちが口コミで医療機関を選んだというところが非常に多かったのが、口コミでそこを選んだということが減ったのと、あとはかかりつけ医に紹介を受けたからそこを選んだというのは、初診の産婦人科の中で臨床遺伝の認証施設をきちんとつないでくださっているのかなというふうに見て比較的、新制度の効果が少し現れているのかなと、この点については思いましたが、いかがでしょうか。

白土参考人: すごくいい御指摘を本当にありがとうございます。そのように細かくちゃんと見ていなかったので、ありがたいです。また教えてください。よろしくお願いします。

福井座長: よろしいですか。

では、北川先生どうぞ。

北川委員: 北川です。

すばらしい、本当に細かい調査から結果がいろいろと出て、大変尽力されてありがとうございます。

私が注目したのは、出生前検査陽性妊婦とパートナーへの支援体制構築のところの結果なんですけれども、やはり妊娠を継続されている方にしても、中絶後の26ページの資料ですが、いろいろとフォローを求めているということと、最後の医療者にとってもいろいろな意味でサポート体制が必要だということだと思います。

私は福祉の立場ですけれども、私たちのところに来るお母さんたちが、障害のある子の存在が否定されるべきものではないけれども、最初はやはり障害があるこどもが我が子だということが分かったときの戸惑いとか、不安とか、そこは当然あることだと思うのですが、今のこども家庭庁ではないですけれども、もっとこどもと家族をしっかり真ん中に置いていろいろな関係者の方々、機関、施設、連携施設とか、行政とか、助産師さんとか、関係者が本当に暖かくサポートする側も含めて包んでいく必要があるということが今回の調査結果に出ていましたので、本当にこういうことをしていかなければいけないなと思いました。ここの専門委員会も、関係者がいろいろ集まって議論していますので、このようなことが各地域で行われたらいいと思いました。

以上です。ありがとうございました。

福井座長: ありがとうございます。

櫻井先生、どうぞ。

櫻井委員: 東京薬科大学で18トリソミーの会を代表しております櫻井です。

調査の報告、ありがとうございました。25枚目のところに妊娠22週未満で診断された陽性症例についてのグラフが2つあるんですけれども、このところで言う対応というのは具体的にどのようなことを意味するものなのでしょうか。

あとは、右側のところなんですが、いわゆる方針やルールが施設ごとに決められていないという、一定のベースとなるルールになると思うのですが、そこが決められていないということも結構問題なような気がして、うちの会のほうには結局NIPT陽性になってから結構ぽんと放り出されて、当事者の親御さんに会いたいとか、お子さんに会ってみたいとか、あとは場合によっては中絶を勧められたとか、18トリソミーならば積極的治療をしてくれる病院を探してくださいと放り出されてしまうことがやはり現実としてあるので、この辺りの整備というところは先生のほうでどのようにお考えでしょうか。

白土参考人: 御指摘、ありがとうございます。

24枚目のところで、ちゃんと読み上げなくて申し訳ございませんでした。今回の【対応】というところで、妊婦健診、分娩、中期の人工妊娠中絶、診察であったり遺伝カウンセリング、面接など、全ての医療行為のことを対応というふうに一応申し上げておりました。

それで、ちょっと決めていないというところが4割程度ということであったと思うのですが、もちろん対応によっては、例えば何か変化があった場合には小児科の先生に伝えるとか、ただ100%ではないとか、そういった意味でのきちんとした対応ということだとは思うんですけれども、ただ、やはり病院希望もございまして、いわゆる基幹病院というところであれば大体小児科がいてということですぐに対応できたりするんでしょうけれども、どうしても地方の病院ですとなかなかできない。

ですから、そのためにもしかしたらそういったところの対応としては、何か変化があった場合は連携病院から基幹病院、基幹病院でもというところであれば、周産期センターも含めて地域全体でそれを見ていくということが一番いいのかなと思った次第です。

櫻井構成員: ありがとうございます。

もし継続であるようでしたら、私はすごく問題と感じているのが、いわゆる遺伝カウンセリングとか面談の詳しい内容がどのように話されているのかというところがあって、要は親御さんというのはやはりパワーバランスの中で医療者が説明することに引っ張られてしまうというのがあるんですよね。

ですから、ストレートに言うと、ここのところがこれまでの調査の中でも落ちてきたところですので、ぜひこの辺りは深めていただけるといいかなと思います。ありがとうございました。

白土参考人: ありがとうございました。

一応10施設ではございますが、あとは私たちの分担研究者の施設、16施設のところで事例集というような形で今回の厚労報告のほうでもさせていただいておりまして、よろしければ御覧になっていただけるとその施設の何となく対応とかが細かく分かって、でもそれを皆さんでいろいろ全国の先生方が困ったときに見ていただけるような資料としてまとめてみましたので、ちょっと細かい字ばかりで申し訳ないのですが、皆さんの御参考になればと思います。

福井座長: ありがとうございます。

横野先生、どうぞ。

横野委員: 早稲田大学の横野と申します。大変興味深い調査を御紹介くださり、ありがとうございました。

先ほど中込先生のほうからも言及があったスライドの19枚目なのですけれども、私のグラフの見方が合っているかどうか分からないところもあるのですが、2020年の調査に比べて2023年の調査では認証施設に関してアクセスというところを重視をした上で選んだというふうに答えている方の割合が増えているのかなと思っています。

調査をされた時期以降もまた認証施設の数は増えていくと思われます。私は日本医学会のほうで施設認証に関わっておりますので、これまで課題であった地域的な偏りというものがどれくらい解消されてきているのかということで非常に興味を持っております。また、引き続きこうした部分について調査をしていただければ大変ありがたいと思っております。それが1点です。

もう一つは、先ほど櫻井委員からも御指摘があったところと関連するのですけれども、23ページ以降の陽性妊婦とパートナーへの支援体制構築に関する調査では、確定診断された症例に対応した場合を対象に調査されていると思います。NIPTに関する調査の中では、認証外の施設で検査を受けられた場合、陽性になった後の説明を含めたフォローアップについて課題があるということがかなり明らかになったように思うのですけれども、そもそも確定検査を受けるということですとか、それに関わるカウンセリングを受けるとかということに関しては、この調査では直接の対象としていないのかもしれませんがもし現状として何か御存じでしたら教えていただきたいです。その辺りのフォローアップが十分にない場合、やはり個人が、当事者の方が御自身で探して、かなり専門性が高い内容が必要になる場合もあると思うんですけれども、医療機関にアクセスされているというのが現状なのでしょうか。そして、その辺りに関する情報提供というのは、検査を受けた機関以外からですとどういったところから皆さん得られているのでしょうか。

白土参考人: 御指摘ありがとうございます。

今回の妊婦のアプリを使ったものもそうなのですが、先ほどちょっとお話しさせていただいた遺伝カウンセリングや出生前検査を受けた方というような調査の中でもやはりそちらのほうの調査で陽性が50人くらいの検討をしていたのですが、細かく皆さん自由記入欄には、こういったことで困ったとか、その後、自分たちで行くようにというような形で、言葉はあれなのですが、少し自分たちで何とかしてくださいというような形になって困ったということはあって、その後、こちらに来ていらっしゃる先生方で多いかと思うのですけれども、基本的にその基幹施設等にやはり陽性だった症例で無認証のところから私どものところに、こういった検査結果だけが送られてきましたということで来られる症例は本当に多くおられます。それで、どちらかというと、そこから自分たちで行ってくださいというところもあれば、ネットとか口コミとかで行っているということもあるんだと思います。現状は、私どもが受けているという感じかと思います。

横野委員: 分かりました。今後も課題になる部分だと思います。ありがとうございました。

福井座長: それでは、家保先生。

家保委員: ありがとうございます。高知県の家保です。

非常に興味深いデータで、18ページにありますように認証制度開始後でもそんなに認証施設の利用が増えていない状況の一方で、運営委員会で非常にきれいな分かりやすいホームページをつくっておられるというのを拝見いたしました。

そこで、全国の都道府県に基幹施設があるということで、どういうようなところかなと思って東日本の施設を検索しますと、私が調べた68施設のうち34しか認証施設であることを明示していない状況にありました。正直、これでは妊婦さんが調べる際によく分からない。中には、その病院のサイト内を検索してもNIPTの文字すらない認証機関があります。運営委員会もそういうような情報提供をきちんとできるように各認定施設にも御連絡していただけるのがいいのと思います。非認証施設のホームページを見ていますと非常に丁寧に書かれていまして、情報提供の度合いが違いますので、やはりどちらに流れるかというと、非認証施設に流れるのも一般感覚としてはよく分かります。せっかく制度をつくられてやるんだったらその点もぜひとも指導していただければと思います。

あわせて、日本医学会が作られた制度にのっとったものですので、医療広告のガイドラインなどでもきちんとこの認証施設を公式に広告できる項目とすべきではないかと考えます。例えば、日本医療機能評価機構の認定を受けた病院であれば、大臣告示で認められております。やはりそういうところで認知を図って、受検されるのであれば認証施設がいいですよ、後のカウンセリングも確実に体制が整っていますよということをきちんと関心を持たれている妊婦さんに知らせるような体制も併せてやることが大事かなと思います。

これまでの議事録を拝見していましても、非認証のところには対応がしづらいというのはよく分かるのですけれども、医療広告のガイドラインが昨年来変わっていますので、その辺りも踏まえて、多分これは厚生労働省の医政局になるのかと思いますけれども、そういう点も一度チェックをしていただいて、より正しい適切な情報提供につなげていくことが大事かと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

福井座長: どうもありがとうございます。大変重要な点だと思います。どうぞよろしくお願いします。

植田先生、どうぞ。

植田委員: 関西大学の植田です。

私自身、小児遺伝の専門、社会疫学の専門をしております。現在、関西大学で障害者福祉を教えていまして、社会疫学のこういうデータについてもすごく関心を持って拝見させていただきました。白土先生、本当に重要な結果、ありがとうございます。

それで、先ほどおっしゃっていましたように、認証制度が始まった早期にされた結果で、まだ十分にホームページも公開される前の状況でしたので、周知されていない中でのものということで、本当にベースラインとして貴重ではないかと拝読した次第です。ですので、今後もぜひ継続したものを期待させていただければと思っています。

2つほどデータを見させてもらって思いました。最初に回答者自身が認証施設、あるいは非認証、あるいは分からないというところで、分からない方は回答状況を見ましたら、恐らく非認証の方が多いのかなというふうには私自身見させていただいておりました。認証施設を選んだ理由として、認証施設であるからという理由が圧倒的に多い。

その一方、非認証施設はアクセスとか費用、口コミ、ネット予約など選択されており、先ほど先生も指摘されましたように、やはり口コミとか見せ方は非認証のほうがもしかしたら上回っているのかもしれませんが、そういう利便性で選択されるところが非認証ではあるなということが結果として出されておりました。私自身が情報提供ワーキングをしていたときにさせてもらっていまして、認証施設であるから受検したという妊婦さんの背景であるとか、非認証で費用とかアクセス、口コミ、ネット予約、その背景がもう少し分かれば、どうやったら認証施設に流していくことができるかというヒントがあるのかなと思
いました。

その際に、現在の調査結果で参考になりますのが、認証施設の全体に聞いた質問で出生前検査についての考え方ということで29の質問ですけれども、こういったものが認証施設に求めている内容なのかなと思ったところです。ですので、そういったものが見える化、何か認証施設側が上手に見せていくような仕組みができると非常にいいのかなと思いました。

それともう一つ、例えば非認証施設は費用について優先して選択したというものがございましたけれども、実際費用については実態としては非認証よりも認証のほうが低価格であるというようなことも結果として出ていますので、もしかしたら妊婦さんの中にはこういった誤った考えをお持ちの方もいらっしゃるのかなということがこういう結果から見えてきましたので、本当に正しい情報を適切に開示していくということが非常に大事だなと感じた次第です。

あともう一点、13ページの認証施設のほうでは結果まで不安が強いという調査結果がございましたけれども、これは陰性以外の結果の方への質問ということで、Nが28ということなのですが、陰性の方への同様の質問というのはございましたでしょうか。

といいますのは、結果として認証施設受検者では非常に不安が強かったというのがすごく引っ張られて出てしまうと、あまりよくないメッセージなのかなというふうに感じましたものですから、陰性の方全てに聞いているようなものがございましたらどういった結果になっていたか、非常に興味深く思っております。

以上です。

白土参考人: ありがとうございました。

1点、もしかしたらと思ったのが、非認証施設のほうが高いというか、そこのところは非認証施設のほうが項目数がお話をしに行くと多くなるのでしょうか。いろいろ受けるからちょっと多いのかなというところも実はありまして、もちろんカウンセリング料とかは抜いた検査代金ということで聞いてはいるのですけれども、単純に3つのトリソミーだけということであればそこのところはまた違ってくるのかもしれませんが、貴重な御意見ありがとうございました。

福井座長: ありがとうございます。

次の議事もございますので、三上先生、それから柘植先生のお二人で次の議題に移りたいと思います。

最初に、三上先生どうぞよろしくお願いします。

三上委員: 日産婦の三上です。よろしくお願いします。

確認だけですけれども、19ページのグラフの見方は、上に星印がついていて、2020年に比べて2023年は増えたのが星印で示してあるという意味でいいんですよね。

白土参考人: そうですね。赤系が増えました。

三上委員: 分かりました。ということは、いろんな先生方から御質問がありましたけれども、2020年に比べて2023年は口コミ、ネット予約、3つのトリソミーがいい、費用が安い、アクセスという理由で非認定を選んだ人が増えたということですよね。

白土参考人: そうです。非認証を受けた中では、2つの群を見てみるとそちらのほうが増えているということです。

中込委員: そうなんですか。

三上委員: だから、ご質問頂いた先生方の認識と逆なんですよね。私は中込先生の話を聞いていて逆に聞こえたので確認いたしました。ということは玉井先生たちがつくっていただいた情報提供のすばらしいHPがあるので、それがもっと広がっていけばこれが逆転してくる可能性があるということは予想されますか。いかがでしょうか。

やはりこの3年間で無認定が増えてしまったということもあって、非常に口コミとか、若い子たちがやっておきましょうというような感じで増えたというのを白土先生のデータは表しているんじゃないかと私は思ったのですけれども、その辺は白土先生はいかがですか。

白土参考人: 例えば、認証施設の方々はせっかくですからホームページのロゴみたいなものとか許していただけるのでしたら、それを貼れる権利があるではないですけれども、いろいろな情報をお聞きするのにやはり今の若い方はみんなネットから入りますよね。ですから、家保先生から御指摘いただいたように、そういったものをつくることが大事なのかなと思います。

三上委員: 前の専門委員会でもお話ししましたけれども、日産婦では今、産院の全てにポスターを配って、医学会がつくった情報提供のものと、あとは厚労省が補助事業でつくった情報提供のホームページですか。そこがすぐ産院で見せられるようにQRコードでアクセスするようにというのができたので、3年後にもしやるんだったらその結果を期待したいと思っています。

以上です。

白土参考人: ありがとうございます。

福井座長: ありがとうございます。

柘植先生、どうぞ。

柘植委員: コメントなんですけれども、20枚目のスライドは陰性以外の結果が出た方たちのもので、N(件数)は少ないのですが、これは丁寧に丁寧に分析されるといいと思います。例えばなぜ検査を認証施設で受けるべきだというのを認証、非認証、無認可で受けられた方が答えられているのかというようなところまでクロスしていくと、例えば「検査後説明が不十分であり不安が高まった」というところも非認証、無認可の方たちはかなり多いですよね。この辺のクロス集計とかできていくと、この件数だったら十分にできると思うので、1,000人とかではなくて、25人、28人でやっていただけたらいいなと思いました。

それからもう一つコメントなのですが、医療者への調査はすごく興味深くて参考になりましたが、実際に検査の結果が陽性とか出た方たちに対応しているときの医療者がやはり負担に感じるという方が決して多くはないにしても、症例によっては負担に感じるという方を入れると結構多くなりますよね。その方たちは何が負担なのかというのも、これはとても今後の医療の中に何が必要なのかというのを考えていくのに必要だと思います。

あとは、以前にセミナーで聞いたもので、イギリスの産婦人科医の方も例えば中絶への対応というものに対して、イギリスだからかもしれないですが、倫理的というような葛藤を抱えるのでとか、医学教育の中で中絶についてあまりされていなくてむしろすごく医療 者が不安に感じるとか、いろいろあるみたいです。あとは、精神科のようにというか、カウンセラーのようにスーパーバイザーが必ずいて、そのスーパーバイズを受けることというのが産婦人科医療の中で行われているのかとか、いろいろ医療を今後よくしていくために使えるデータかなと思いましたので、今後また深めていっていただきたいと思います。

以上です。

白土参考人: また御指導ください。お願いいたします。

福井座長: ありがとうございます。

それでは次に移りたいと思いますが、恐らく白土先生が行った調査の項目は、いずれは繰り返して調査していただく必要があると思いますので、ここでこども家庭庁にプレッシャーをかけるわけではないんですけれども、何らかの形でフォローアップの調査をぜひお願いしたいと思いますし、本日いただいた様々な御意見を踏まえて必要な項目を加えるなりしていただければありがたいです。

私から1点だけ、認証施設になる場合に今の非認証施設は何かそのことを妨げるような、バリアになるようなことがあるのかどうなのかですね。受けたくない、認証されたくない、または認証するのにこういう問題があるとか、そのバリアになるような事柄があるのかどうかというようなこともちょっと興味を持ちました。すみません、個人的な意見です。

それでは、議事の3「NIPTの臨床研究について」、山田参考人に御説明いただきたいと思います。

山田参考人: ありがとうございます。では、スライド画面を共有させていただこうと思います。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。北海道大学の山田と申します。出生前検査認証制度等運営委員会では情報提供ワーキングの構成員として参画させていただいております。このたびは、こども科研「出生前検査に関する情報提供体制、遺伝カウンセリング体制、支援体制の構築のための研究」、三宅班に貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

本来であれば研究代表者の三宅秀彦がお話しさせていただくところではございますが、学務のためにかなわず、本研究班で統括補佐をしております山田がお話をさせていただきます。

なお、事前にお送りした資料と一部内容が変更されていることを御了承くださいますようお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

本邦における出生前検査提供体制、特にNIPTについては昨年から日本医学会/出生前検査認証制度等運営委員会の指針に基づいて行われるようになりました。

対象者はスライドに提示されているように、3種類のトリソミーについて遺伝学的にハイリスクとされる妊婦さんに加えて、対象疾患の発生頻度によらず、適切な遺伝カウンセリングを実施しても胎児の染色体数的異常に対する不安が解消されない妊婦については、十分な情報提供や支援を行った上で受検に関する本人の意思決定が尊重されるべきであるとされました。

対象疾患は従前のとおり、13、18、21トリソミーという3種類のトリソミーであり、これら3疾患以外については分析的妥当性や臨床的妥当性が現時点で十分に確立されていないため、臨床応用に当たっては慎重な対応が必要であると記載されました。

こちらは、厚労科研小西班においてまとめられた出生前検査の数の内訳と年次推移です。青が母体血清マーカー、赤が羊水検査、緑がNIPT、黒が絨毛検査です。2012年頃からNIPTの国内導入によって出生前検査に対する注目が集まり、一旦、全ての数が上昇しましたが、その後の数の変化は母体血清マーカーやNIPTといった非確定的検査と用水絨毛検査の確定検査では逆の動きをしております。すなわち、非侵襲的な非確定的検査が増えることによって侵襲的確定的検査の数を減らす効果が見えております。

このように、本来NIPTをはじめとした非確定的検査開発の目的は、侵襲を伴う出生前検査の負担を軽減することであり、決して新生児マススクリーニングのように全数から効率的に疾患を抽出するような目的ではございません。

さて、ここから本日の本題である海外の状況を御紹介いたします。本日お話しする海外の状況は、単にそういう状況にありますというだけのお話ですので、そうすべきであるということでも、そうすべきでないということでもございません。また、これらは単に現時点での情報というだけのお話であって、系統的レビューをしたわけでもないことを御承知おきいただけると幸いです。

こども科研、三宅班では今後系統的レビューを計画しております。様々な国の指針や、ガイドラインをお示ししています。対象前を全妊婦、ハイリスク妊婦、双子の場合で調査し、対象疾患は3つのトリソミー、性染色体の数の変化、染色体の一部など細かい増減、3つのトリソミー以外の数の変化について見ています。

表に示している記号で、「◎」は強い推奨、「○」は推奨、「△」は保留、「×」は非推奨です。

国際出生前診断学会では、対象者としてはいずれも推奨以上ですが、疾患としては染色体の一部などの細かい増減、3つのトリソミー以外の数の変化は臨床的有用性が確認されておらず、非推奨でした。

次に、北米の状況です。カナダのみにおいて対象者をハイリスクに絞っていますが、これは財政的補助の問題でした。このように、海外においては推奨というときは財政的補助を行う根拠とされていることが多く、日本の状況とはかなり異なることに注意が必要かと思います。

疾患に関しては、先天性心疾患を合併し、免疫低下や口蓋裂などを特徴とする4,000から5,000人に1人の疾患として知られている22q11.2症候群を除いて、原則非推奨となっています。

ヨーロッパにおいては対象者についてはほぼ同様ですが、イギリスやオランダにおいては性染色体について非推奨としています。イギリスは染色体の一部などの細かい増減、3つのトリソミー以外の数の変化については非推奨としており、ほかの国でも制度が未確立としています。

アジアではおおむね北米と似ていますが、中国は不明な点が多いです。

ここからは、海外における研究について紹介いたします。

まず、対象者に関するデータを示します。国によって対象は、全妊婦からハイリスク妊婦に限定するまで様々です。ここでは、オランダにおける研究を御紹介します。

オランダでは、国のシステムとしてNIPTを実施しています。2014年から2016年には妊娠初期の組合せ検査の結果でハイリスクとなった人に対して行い、2017年以降は制限なく行っています。

一般集団を対象とした場合、特に3つのトリソミー以外のまれな染色体トリソミーでは陽性的中率が低下しています。このため、全体的に疾患がないにもかかわらず陽性となる擬陽性が増えて不必要な羊水検査が増える可能性があります。つまり、本来頻度の低い疾患を対象とする場合には対象集団が重要ということになります。

次に、対象疾患について検討します。現状の3つのトリソミー以外では、性染色体の数の変化による疾患、染色体の一部を含む量の増減、3つのトリソミー以外の常染色体の数の変化による疾患、そして単一遺伝子疾患です。

まず、性染色体の数の変化による疾患についてです。アジア、オーストラリア、欧米の胎児医学、または臨床遺伝の専門家に対して行われたアンケート調査の結果です。黄色で囲んだところが、性染色体を対象にしている国です。性染色体を対象としている国は比較的多く存在しますが、そうでない国もあります。アメリカは対象にしている一方で、イギリス、フランスは対象外にしています。オランダはゲノムワイドな検査も可能な一方で、性染色体は対象外です。オーストラリアや中国は地域によって異なるようです。

次に、NIPTを受ける妊婦の割合と、性染色体の結果開示を希望する妊婦の割合を国ごとに見ています。NIPTを受検する妊婦の割合が多い国ほど、性染色体の結果を希望する割合も多いようです。

ただ、ここで示している受検割合の数字は実際よりも少し低いかもしれません。

次に、染色体の一部を含む量の増減と、3つのトリソミー以外の常染色体の数の変化による疾患について見ていこうと思います。

まず微細欠失疾患の代表的なものとして、先ほども御紹介した22q11.2欠失症候群を見てみます。この疾患は再発率は低いですが、不安で検査を希望する妊婦は多いことが知られております。80%は先天性心疾患を合併し、免疫低下や口蓋裂などを特徴する4,000から5,000人に1人の疾患です。

胎児超音波などで疑われたハイリスク群では高い陽性的中率を示しましたが、中リスク群では陽性的中率は低いことが分かります。

フランスにおいて行われた染色体の一部を含む量の増減と、3つのトリソミー以外の常染色体の数の変化による疾患の研究です。7Mb、つまり700万文字のDNAより大きな範囲であれば染色体の量の異常は感度85%以上で検出可能です。このため、現在は原則この大きさ以上ということになっています。

こちらは先ほどと同じ論文ですが、NIPT以外に非確定的検査の結果や既往歴、両親のロバートソン転座があったためにNIPTを受けた、ややハイリスク集団を対象としたデータです。染色体の一部を含む量の増減と、3つのトリソミー以外の常染色体の数の変化は1.2%、染色体の一部の増減は0.3%で陽性になりました。

3つのトリソミー以外の常染色体の数の変化を染色体の番号のグループごとに分けたとき、妊娠経過そのものに問題を起こすか、あるいは胎児が何らかの疾患を持っている可能性があるグループ1と、ほとんどか胎盤だけに出てきて妊娠の経過や胎児にあまり影響しないグループに分けられます。つまり、実際に胎児の全染色体が3つのトリソミー以外に常染色体の数の変化を持っていた場合には、原則的にユーザーになることが通常で、胎盤限局性モザイクであったり、胎児の低頻度モザイクであった場合には、先天異常というよりはむしろ妊娠にどのような影響があるのかを考える必要が出てきます。この研究では、超音波で問題が見つかった場合には、直接マイクロアレイを含む羊水検査などを行うとしており、NIPTはNIPT以外の非確定的検査が陽性、かつ超音波所見がない場合に行うのがよいとしています。

染色体の一部を含む量の増減と、3つのトリソミー以外を含む常染色体の数の変化を対象にした海外の検査会社の大規模なデータです。陽性となった0.56%のうち、半分は3つのトリソミーで、20%が性染色体の変化、13%が3つのトリソミー以外の数の変化、微細欠失が3%ほどでした。妊娠帰結が確認できた例に限定すると、陽性的中率は72%ほどでした。

これは、また別の研究です。平均年齢36.1歳であり、今年妊娠を中心とするハイリスク集団で行われた研究です。NIPTで検出された3つのトリソミー以外を含む常染色体の数の変化です。7、15、16、22番のトリソミーが比較的多く検出されています。このうち、胎児や胎盤の染色体を実際に調べた結果、そして妊娠帰結を調べた結果をそれぞれ示します。

陽性的中率はほかの対象疾患と比較し低く、13.9%でした。また、真陽性のうち実際に生まれたのは出生時には既にトリソミーではなかった16番の片親性ダイソミーのケースと、20番のモザイクトリソミーのケースのみでした。特に16番の片親性ダイソミーのケースでは胎児発育不全がありましたので、それが胎児の遺伝情報を背景とするか、母体に起因するかを明らかにすることで、妊娠管理に役に立つ可能性がありました。

こちらはオランダのデータですが、NIPTで検出された3つのトリソミー以外を含む常染色体の数の変化です。実際に胎児がトリソミー細胞を持っていたという陽性的中率は7.7%でしたが、多くの胎盤限局性モザイクが含まれていました。特に7番や16番の染色体が多く、胎児発育不全への影響など、妊娠管理に有用である可能性が示唆されています。

こちらは日本のデータですが、胎児発育不全を示した症例に対して染色体の一部を含む量の増減と、3つのトリソミー以外の常染色体の数の変化を調べています。5例、12.5%が陽性を示し、2、7、22番のトリソミーがNIPTで検出されました。5例中4例が、胎盤中の異常細胞割合が多いほど胎盤機能障害とそれに基づく胎児発育不全が重症化する傾向がある胎盤限局性モザイクであり、妊娠管理に有用である可能性がここでも示されていました。

最後に、単一遺伝子疾患です。NIPT研究の黎明期からの歩みを少し振り返ります。NIPTの研究は、実は単一遺伝子を対象にして始まっています。1998年に母体血中にcell‐freeの代謝DNAがあることが発見され、その後、PCRベースでRhDの血液型や性別、新生児による常染色体顕性遺伝性疾患などを対象に研究が行われました。その後、次世代シークエンサーが用いられるようになり、染色体や微細欠失など量的な変化が主流になり、一時期、単一遺伝子疾患への研究は下火になりましたが、一塩基多型を用いるなどのテクノロジーの進歩によって多くの単一遺伝子疾患の検出が可能となってきました。

こちらは、アメリカの30遺伝子を対象としたNIPTの報告です。妊娠後期に、妊娠後の管理を目的に受検するケースが8割以上でした。陽性率は全体で5.7%、125例であり、遺伝性疾患の家族歴がある症例20例、15.2%、超音波所見があった症例、99例、19.3%と、無用の羊水検査を減らす効果が認められ、この集団では遺伝情報が確認された症例では擬陽性、偽陰性は認められませんでした。

こちらは、natera社の単一遺伝子疾患のリストです。常染色体顕性遺伝、またはX連鎖顕性遺伝形式を取る25疾患、30遺伝子が対象とされています。

こちらは、eurofins社の単一遺伝子疾患のリストです。常染色体潜性遺伝形式を取る頻度の高い5疾患5遺伝子が対象の場合、または重症度が高い、すなわち新生変異が予想される25疾患44遺伝子が対象の場合、またはそれらを組み合わせたセットなどがあります。

周産期の臨床の中で羊水検査が考慮される状況をお示しします。冒頭にもお話ししましたが、NIPT開発の目的は侵襲を伴う出生前検査の負担を軽減すること、すなわちしなくていい羊水検査を減らすことです。ここに示すように様々な理由で羊水検査が考慮されますが、高年例、超音波や母体血清マーカーによって染色体の一部など、細かい増減や3つのトリソミー以外の数の変化が予想される場合、前児に染色体疾患があった場合などが該当します。

現状では、児の染色体検査を希望する妊婦が存在し、そしてNIPTの利用で羊水検査が回避できる妊婦がおります。今後の研究によっては、そのほかの疾患を対象にすることで、こういった場合においても羊水検査を減らすことが可能になるかもしれません。

こちらは、日本産科婦人科学会周産期委員会が昨年公表したNIPTの実施中の留意点です。3種の染色体トリソミー以外を対象とする検査については分析的妥当性や臨床的妥当性が十分に確立されていないため、その医学的意義を評価する必要があります。同時に、倫理的・社会的影響等についても考慮して慎重に対応する必要があり、まずは臨床研究としての実施が推奨されるとしています。

この中で、こういったNIPTの特徴として、遺伝カウンセリングの困難さや、頻度の低い26疾患によって擬陽性が多くなり侵襲的検査が増えること、そしてGold standardである確定的検査を確保することは容易ではないということが書かれています。

今後、検討を三宅班でも始めてまいりますが、3つのトリソミー以外のNIPTの臨床研究を仮に行うのならばここに示すような留意点が想定されるかと思います。検査から判明するゲノム変化について、適切な遺伝カウンセリングを提供するとともに、出生後も継続的にケアを提供できる体制下、すなわちNIPT実施の臨床機関施設を中心に臨床研究を行うこと。検査にはマススクリーニングの懸念が示されていることへの配慮及び擬陽性に対する侵襲的検査の増加を防ぐため、精度が確保できるハイリスク集団を対象にすること。NIPTは非確定的検査であり、羊水検査などで確定的検査が必要になるため、確定的検査が確保される疾患に対して検査を行うことなどが挙げられます。

以上で、私の報告を終わります。ありがとうございました。

福井座長: ありがとうございました。

ただいまの山田先生のプレゼンテーション、説明に関しまして御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

和田先生、どうぞ。

和田委員: 大阪母子医療センターの和田でございます。新生児科医です。

山田先生、詳しいお話をありがとうございます。

まず質問なのですけれども、私は検査と、それから支援する遺伝カウンセリング、それと心理的なサポートというのは両輪であるべきだと考えておりまして、先ほどの先生の最後のほうの調査結果から見ましても、日本は非常にそういう意味ではまだ体制が不備であるというふうに認識しております。それで、三宅班のタイトルも、出生前検査に関する情報提供と遺伝カウンセリング体制、支援体制となっていますので、先生の御発表の基礎データの中に諸外国の支援体制は日本と比べて先生から何かコメントをいただけますでしょうか。

山田参考人: 御質問ありがとうございます。

ただ、三宅班に関してはつい先日キックオフをしたばかりでございまして、まだ研究は何もしていないということでございます。ですので、これからそういったことの情報をまとめていくという状況にございます。

和田委員: 分かりました。ぜひ海外ではここが推奨されている、その裏には支援があってこそだと思いますので、そこもしっかりとまた教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

山田参考人: ありがとうございます。

福井座長: ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。

堤先生、どうぞ。

堤委員: 山田先生、ありがとうございました。高い視点でいろいろなことを御紹介いただいて、とても参考になって勉強になりました。ありがとうございました。

2つほどお聞きしたいのですけれども、例えば臨床研究をやるとした場合に、性染色体の結果を伝えるということに関しては臨床研究の範囲に入るのかどうか、ちょっとほかのものとニュアンスが違うかなと思いましたので、それをお聞きしたいと思いました。

あとは、これはNIPTなんですけれども、最初に課長がおっしゃいましたようにNIPT等というところもございまして、ほかの羊水とか着床前診断の診断対象などと見比べた場合に、NIPTではやはり押さえておいたほうがいいようなところがあるのか。そういうことについて、今の2点について教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

山田参考人: 質問、ありがとうございました。

まず1つ目の性染色体に関してなのですけれども、性染色体の数的異常ということと性別を見るということとは恐らく意味が違うと思います。性別を見るということについては、もしやるとすればその後にあるX連鎖性疾患に対する単一遺伝子疾患に関する出生前検査ということを考慮した場合には、その性別の判定ということが重要になってきますので、そういう意味ではあり得るのかもしれません。また、染色体疾患という面でいった場合には性染色体の数的異常ということになると思いますので、別の検査というふうに考えたほうがいいかと思っております。

まず1つ目の御質問はそういうことになりまして、ほかの検査ということなのですが、先ほど申し上げましたようにNIPTというのは無用の侵襲的検査を減らしていくということが目的になってまいりますので、ほかのマイクロアレイであるとか、そういったもので微細欠失を想定したというときに、NIPTでそこのところを見ることによって無用の侵襲的検査を減らすというようなことが目的になってまいりますので、必ずゴールドスタンダードでやる確定的検査というものがあって初めてのNIPTだと思いますので、そういった対象を必ず意識する必要があるのではないかと思っているところでございます。

堤委員: ありがとうございました。

福井座長: ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

では、柘植先生、先にお願いします。

柘植委員: ありがとうございます。

今の性染色体の異数性についてなのですが、この専門家委員会の随分前なので正確に記憶していないのですけれども、当事者団体の方から、性染色体異数性でのNIPTの利用というものに対して反対の立場から意見書が出されていたということを思い出しました。

私も少し論文を読んだのですけれども、海外の中でやはり性染色体異数性で、もちろん流産の率が高いとかあるのですが、生まれてきてちゃんと育っていくんだけれども、不妊と関連しているということはあるんだけれども、育っていく、成長していく。ちゃんと成人になって生活している人たちも大勢いらっしゃるというところで、性染色体異数性をなぜ検査するのかという疑問が出されているような論文も見たことがあって、たしか意見書もそういうような内容だったと思うんですけれども、先生から倫理的な、社会的、法的な面とかでもしコメントがありましたら御意見をいただけないかと思いました。

山田参考人: ありがとうございます。

ただ、現在の私の立場としては現状調査ということでやって、これをやるべきであるとも、やらないべきであるとも申し上げる立場にはないなと思っております。それは実際の研究を考えるのであれば、その辺を議論するところから始めなければならないのではないかと思っているところです。

福井座長: ありがとうございます。

河合先生、どうぞ。

河合委員: 出産ジャーナリストの河合と申します。

山田先生、どうもありがとうございました。貴重な情報がたくさんあったんですけれども、かなり専門用語が多くて、遺伝関係者ではない者にはちょっと難しい点もあったのでとんちんかんなことを言うかもしれませんし、最初に先生がおっしゃっていたようでもあるのですが、日本の場合はもしかしたら海外の基準で言うと誰も対象になっていないと言うべきかもしれません。

というのは、どうなんでしょうか。海外では公費の検査で、対象とするかどうかというところで対象疾患を決めている国がほとんどなのではないかというふうに私は認識していたんです。つまり、プライベートクリニックで自分のお金を出すのであれば自由に検査を受けてもいい。日本はそのプライベートの検査しかない状態なわけですよね。その辺りを確認させていただきたいと思いました。

山田参考人: 私の認識も、河合さんのおっしゃるとおりだと思っております。

河合委員: そうですか。この対象の疾患を広げるかどうかというのは3つのトリソミーと同じように、決めるのは妊婦さんであって、事前のちゃんとした情報提供があり、その後の陰性以外の結果が出たときのフォローがあった上で妊婦さんが選べるかどうか考えればよいと思います。今後の議論が、やっていいか、悪いかという議論になっていくのはちょっとねじれがあるような、変な、ごろっとした感覚があります。

以上です。

山田参考人: おっしゃるとおりかと思っております。

福井座長: ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

中西先生、どうぞ。

中西委員: たまひよの中西です。

私も専門家でないのでちょっと難しかったなというところがあるので、変なことを聞いてしまったら申し訳ないのですけれども、性別を調べる検査というのはどれくらい精度が高いものなのかなというのを知りたいと思いました。妊婦さん的には非認証のところで性別が分かるというのもかなり魅力的な非認証を選ぶ理由の一つになっていると思うので、そこら辺はどれぐらい精度が高いのか。

あとは、先ほど、もっと医学的なことにその後つながるものもあるというお話だったと思うのですが、一方で赤ちゃんが親の希望する性でないという理由で妊娠を中断する可能性を考えると、日本の認証NIPTの項目に性別というオプションがつくということにはならないだろうと思います。ただそうすると、いつまでたっても性別を調べてくれる非認証の魅力が消えないというか、強くあり続けてしまうのかなというところをちょっと危惧したのでお伺いしたいと思いました。

山田参考人: ありがとうございます。

国内において、性別についての信頼できるデータというのは今の状態ではないわけなのですけれども、実は性別に関する研究というのは国内においてもかなり昔からあって、NIPTの黎明期のお話を少しだけさせていただいたんですけれども、その頃にPCRベースで性別を見たというような研究が行われていた時代がございました。関沢先生などがそういうものを手がけておられたわけなのですけれども、そのときはかなり信頼性が高いというような状況で性別判定ができていたということがあります。

ですので、原則的にはかなり信頼性は高いのですけれども、ただ、お母さん自身が年齢が上がってくると、2つのX染色体のうちの1つが脱落してくるなどということも知られておりまして、そういう影響を受けるなどということもあったりするので、状況によってはそういったノイズが入ってくる可能性もあるかと思います。

それで、性別を知りたいという一般の方のニーズに対してということなのですけれども、それについてはそういうことがあるのは間違いないということで、それをどうしたらいいのかということについては難しいところではないか。特にアイデアがあるわけではございません。よろしいでしょうか。

福井座長: では、植田先生どうぞ。

植田委員: 関西大学の植田です。

山田先生、本当にありがとうございます。海外における指針ガイドラインと臨床研究とをちゃんと分けた上で御説明くださいまして、非常に整理されて私も勉強になりました。

教えていただきたいのが、性染色体の異数性のことで引き続きなのですけれども、これは指針、ガイドラインでISPDでは「◎」になっていて、これは例えばどういう目的といいますか、そういうところかを教えていただくことで今後の日本の検討にも参考になるかと思うものが1点です。

もう一つは研究のほうなのですが、日本産婦人科学会のほうで最後の重要なこととして3点くらい挙げてくださっていますけれども、倫理的、社会的影響、もちろん分析的妥当性、臨床的妥当性が十分に確保されたものというのは前提の上で、例えばこれだったら性染色体の異数性については担保されているかもしれないのですが、それプラスアルファ倫理的、社会的影響というものが日本では非常に重要なことだというふうに解釈していて、先生がまとめられた様々な臨床研究ですが、海外の中でこの倫理的、社会的影響をどういうふうに各国で配慮した上で臨床研究がなされているかということを教えていただきたいと思います。

山田参考人: 御質問ありがとうございます。

まず性染色体に関してISPDがというところなのですけれども、このレコメンデーションについては検査自体の信頼性がというところが強く推奨になっている大きな原因ではないかと思いますが、ただ、その中に制度は担保されますけれども、医師においては社会的、文化的、公的な違いが配慮されるという注釈は必ずついておりますので、そういうことを配慮することが重要だという形になっております。

それから、日産婦についての精度を確保された上で、その後のELSIについて考える必要があるというのは全くおっしゃるとおりかと思います。

ただ、今回調べたところの論文たちには、その点について同時に書いてあるということはございませんでしたので申し訳ございません。今後、三宅班の中で検討を進めてまいりたいと思っております。

福井座長: ありがとうございます。

飯野先生、どうぞ。

飯野委員: 山田先生、どうもありがとうございました。

先生のスライドの手元の資料だと12枚目になるのですけれども、同じなのかどうかちょっと分かりませんが、NIPTを受検する妊婦さんの割合と性染色体結果を希望する妊婦の割合の比較をしたものを出していただくことはできますでしょうか。

山田参考人: こちらでしょうか。

(画面共有)

飯野委員: そうです。この表の見方なんですけれども、例えばイギリスというのはたしかNIPTは全部誰でもできるような状況になっていたように思うのですが、実際にやっていらっしゃるのは10%未満ということですよね。

山田参考人: そうですね。

飯野委員: それで、ベルギーと香港は75%以上の妊婦さんがNIPTを受検しているということですか。

山田参考人: そうなんです。この論文ではこういうふうに書いてあったんですけれども、実際のところ、これはもう少し高いのではないかと私自身も思うところなのですが、この論文にはこういったことがあったものですから、一応これを引用してみたということです。

飯野委員: 国によっては、非常に高い割合の方が受検しているんだなというのを感じました。

それで、縦軸のほうなのですが、結局受検を希望する人はほとんどの人が性染色体の結果についても知りたいということで、実際にそういう検査を行っているというふうに理解してよろしいのですか。

山田参考人: 1対1でということではなくて、全体的な割合が多い国においては聞いてみたところ、性染色体を希望する妊婦の割合が多いということだと思います。

飯野委員: それで、ここに書いてある国では性染色体の検査も行っているということなのでしょうか。

山田参考人: 性染色体の検査を、その国それぞれの立場というものがあると思いますけれども、アベーラブルということだと思います。

飯野委員: 分かりました。国によって非常に違うんだなということも分かりました。

あとは、単一遺伝子のいわゆる遺伝子疾患の検査というのは、現状では先ほどいろんな商業的に利用できるものというのが書いてあったと思うんですけれども、あれはある意味、氷山の一角ということでしょうか。多分、数千の単一遺伝子異常の疾患というのはあると思うんですけれども、そのうちの一部分が今ああいうふうにコマーシャリーにアベーラブルになっているという状況だと理解してよろしいのですか。

山田参考人: 今お示ししました会社というのは、恐らく単一遺伝子疾患に関して世界で最大手クラスの2社だったと思うので、これ以上大規模に商業ベースでやっているところは恐らくないのではないかと思うんですけれども、ただ、先生がおっしゃるように、どこかでやっていてもオープンにしていなければあるのかもしれませんけれども、それは推測でしかないかと思います。

飯野委員: 割合頻度が高いものについて、一定の頻度があるものについてコマーシャリーに可能だからやっているということなんですね。

山田参考人: そうだと思います。最初は、もともとお母さんの中にないバリアントというのは胎児由来でしかあり得ないのでということから始まったわけなのですけれども、両親由来というのがだんだん区別できるようになって、そのほかのこともできるようになった。そういったテクノロジーの進歩によって、だんだん増えてきているという状況かと思われます。

飯野委員: 分かりました。ありがとうございます。

福井座長: ありがとうございます。

三上先生、どうぞ。

三上委員: 三上です。

山田先生、どうもありがとうございました。先生のお話は、前半のほうはNIPTによって羊水穿刺が少なくなるような診断が確定するようなものに関して使っていくという一つの方向性がまずあったと思います。それで、後半のほうはどちらかというと、生まれてくる子供たちは妊娠中、そして生まれた直後からケアしていくことができるように、早期発見できるという2つの意味があったと思うんです。それは、それでよろしいですか。

山田参考人: 後半については、もちろん先生のおっしゃることも含まれるのですけれども、例えば妊娠高血圧に13トリソミーのCPMのときはなりやすいであるとか、16番のCPNのときはFGRになりやすいであるとか、妊娠管理に役に立つということもあるので。

三上委員: 分かりました。ですから、生まれてくる子供のために妊娠中の管理と、生まれた後の管理ができるという2つの意味があるんですね。

山田参考人: はい、そういうことになります。

三上委員: それと、前半のほうは診断を確定する方法があるのであれば羊水検査をしなくても済むからという意味合いですよね。

山田参考人: ネガティブの場合ということですね。ポジティブの場合はそういうことではないと思いますけれども。

三上委員: それで、外国ではどちらかというと後半の考え方で研究が行われている場合が多いんですか。それとも、前半の診断をどちらかというとつけるためにやっているということが多いんですか。このNIPTの研究に関してはということですが。

山田参考人: どちらが多いという量的なデータは、今のところ持っておりません。

三上委員: 私の単なる個人的な意見ですけれども、前半のほうの研究というのは日本で行っていくのは非常に難しいんじゃないかなとちょっと思った次第です。後半のほうは生まれてくる子供たちのための検査であるわけで、ぜひやって早期発見して早期治療していくということになるわけですよね。ですから、その辺の議論をやはり十分していかないといけないかなと思いました。

以上です。

山田参考人: ありがとうございました。

福井座長: ありがとうございます。

それでは、中込先生と河合先生で本日の質疑応答を終わりたいと思います。

最初に、中込先生どうぞ。

中込委員: 山田先生、いつもありがとうございます。

今回このNIPTを始めたとき、3つのトリソミーを調べるということになったときに、やはり患者会というか、御家族の会の支援というのは非常に重要だったと思うんです。それで、やはり性染色体疾患、ターナー症候群であるとか、あるいは22q11.2欠失症候群の22ハートクラブあるとか、そういった方々はいずれ自分たちの場合でも出生前ということがひたひたとくるだろうということは何となく皆さん感じていらっしゃる部分がある中で、実際にこの検査をして、胎児がそうだった。しかも、22週前に分かったという方のカウンセリングの支援にサポートしていただくためには非常に密にディスカッションをしていく必要があるのかなと思いました。

あとは、これは22週以降に調べるという臨床研究というのはあり得るのかということです。例えば、それが胎児水腫で疑われたとか、状況においてNIPTでまずは調べてみていこうというふうなカウンセリングの中で、基幹施設の中でかなり綿密なカウンセリングがまずあっての臨床研究ということが成立するとしたらこの研究というのは意義があるのかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

山田参考人: ありがとうございます。

おっしゃるとおりかと思っております。三宅班の分科会の中でも、倫理・社会的課題の検討であるとか、または医療者への教育プログラムであるとか、今おっしゃっていただいたようなことを目的とする分科会のテーマというのも考えておりますので、そういった中でも進めていきたいと思っているところでございます。

中込委員: ありがとうございます。

福井座長: ありがとうございます。

河合先生、どうぞ。

河合委員: 2つ情報提供と、それから1つ、山田先生のお話を聞いて思ったことを述べさせていただきます。

先ほど福井座長が、認証外施設が認証を取ることの妨げというのはあるのかという疑問を口にされていましたけれども、私は先日、認証外施設の会社で100くらいのクリニックと契約を結んでいるところに取材をしましたが、遺伝カウンセラーさんを雇うことが非常に難しくて、まず不可能に近いくらい大変だった。何とか1人を雇ったということをお話しされていました。このように、認証側、認証外側で人と人との関係が全く対立関係になってしまっているので、そういう理由で患者さんたち、妊婦さんたちが不安を持たない検査体制をつくれない実態があるということに気づきました。

2つ目は、飯野先生の「10%しかイギリスでNIPTを受けている人がいないことが意外だ」というご感想についてですが、これは最初にNIPTではない検査、コンバインドか何かを受けている可能性があるのかなと思いました。

山田先生、そうですか。

山田参考人:イギリスに関してはそうだと思います。それで、ミドルリスクになったケースに対してNIPTということになっていると思うんですけれども、それにしても低いかなと思います。もう少し高いのではないか。

河合委員: そうですね。

もしかしたらコンバインドの精度が高いものがあったらそれくらいなのか。確かに、ちょっと10%は低いですね。

山田参考人: データの取り方にちょっと違いがあるのかもしれないですけれども。

河合委員: 普通は、国の出生前検査の政策というのは全ての検査を一緒に考えていくのに、日本はNIPTだけで考えていこうとしてシステムをつくっているので、いろいろ難しい点が御研究にあるかと思いますし、解釈も気をつけていかなければいけないかなと思います。

それから、公費でやるかどうかということを山田先生にお話ししたので、自分で思ったのですけれども、かねがね公費で出生前検査を提供すべきお母さんたちというのがいらっしゃるだろうと思っております。

出生前検査は命の選別ではないかという議論からなかなかそこに到達しませんけれども、生まれてくる赤ちゃんの利益になる、お母さんの利益になるという出生前検査は存在し、多分とても高いのではないかと思います。そういうことも見据えて、いつも最後にこんな話をしているんですけれども、生きていくための出生前検査ということで、日本も公費の出生前検査というものをつくって、それから妊婦さんが決める出生前検査というものと、そろそろ2つの箱を考えてもいい時期なのではないかと思いました。

以上です。

山田参考人: 貴重なコメント、ありがとうございました。タブー扱いしないで議論していくことが大事だと改めて思ったところでございます。

福井座長: ありがとうございます。

臨床研究につきましても、まだいろいろ疑問や確かめたいことなど、たくさんあると思いますけれども、テーマも非常に多岐にわたっていますし、今回認証制度ができてレジストレーションみたいなデータを収集するかどうか、私は知りませんが、ちゃんとした基本的な臨床データがもし集積されてくれば、またそれに基づいてどういう臨床研究を我が国として行うのか。また、研究者の先生と、それから省庁と、いろいろと相談する必要もあると思いますし、この専門委員会としましても引き続き臨床研究につきましては議論を深めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議事の4として「その他」が挙げられておりますけれども、全体を通してで結構ですが、何か御意見、御質問ございますでしょうか。

よろしいですか。

それでは、本日予定していた議事は以上となります。

最後に、事務局から連絡事項等がございましたらお願いいたします。

上出課長補佐: 次回会議につきましては、改めてまた座長の先生と御相談して決めていきたいと思います。

本日は会場側の音声トラブルがありまして一旦、中断するような形について大変申し訳ございませんでした。今後ともよろしくお願いいたします。

福井座長: それでは、本日の委員会はこれで閉会とさせていただきます。非常に活発な御意見、本当にありがとうございました。また、次回もどうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。