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第3回こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会

概要

日時:令和6年3月11日(月)14時00分から16時00分
場所:こども家庭庁 共用大会議室(東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング14F)

議事

  1. こどもまんなか実行計画の策定に向けた意見の整理
  2. 報告(令和6年度予算案)
  3. その他

資料

議事録

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:定刻になりましたので、ただいまから第3回「こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会」を始めさせていただきます。

こども家庭庁支援局家庭福祉課企画官の宮崎です。

どうぞよろしくお願いいたします。

本日は対面とオンラインのハイブリッド形式にて開催させていただきます。

オンラインで参加いただいている委員の皆様、音声のほうはいかがでしょうか。

(委員首肯)

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:よろしゅうございますね。

本日の出席状況につきましては、赤石委員、第3当事者委員の方が御欠席と伺っております。

なお、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

なお、本日3月11日東日本大震災により犠牲となられました方々へ哀悼の意を表し、地震が発生した14時46分に1分間の黙禱をいたします。

時間になりましたらお願いをさせていただきますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

今回の部会ですが、傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしていますが、これ以降の録音・録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方、録音・録画の禁止について御協力、よろしくお願いいたします。

それでは、頭撮りはこれまでとさせていただきます。

以降の議事運営につきましては、新保部会長にお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

新保部会長:部会長の新保でございます。

本日もどうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、事務局から資料の確認をお願いいたします。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:まず、お手元にありますタブレットの資料を御確認いただければと思います。

資料1が「意見交換での主な意見」、資料2が「予算関係資料」、資料3が「データ関係資料」となっております。

加えまして、参考資料が2点ございまして、参考資料1が「こどもまんなか実行計画の策定に向けた進め方について(案)」、参考資料2が「こども大綱」となっております。

以上が事務局で準備させていただいた資料になります。

新保部会長:ありがとうございます。

それでは、議事に入りたいと思います。

まず、事務局より本日の資料について御説明をお願いいたします。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:それでは、事務局から用意いたしました資料1から資料3までまとめて御説明をさせていただきます。

意見交換のお時間をなるべく取るために、まとめて10分ほどお時間をいただいて御説明をさせていただければと思います。

最初に資料1をお開きください。

こちらは11月に行いました意見交換で出た主な意見をまとめた資料になります。

この資料の最初に書いてありますとおり、昨年11月22日、27日、30日の3回にわたりまして、この部会の構成員の皆様とか、さらに現場で支援をしている関係者の方に広く御参加いただきまして、こどもまんなか実行計画の策定に向けた意見交換をオンラインで行わせていただきました。

11月に行いました意見交換はどういう目的でやったかということを確認させていただきますと、こども大綱が昨年12月に決定されましたが、こども大綱に基づいて具体的に取り組む施策を計画としてまとめることとなっております。

施策レベルの内容について御意見を伺いたいということで、3回に分けてテーマごとに意見交換を行わせていただきました。

意見交換では支援の現場から、あるいは当事者の立場から多くの御意見をいただき、非常に熱心に御議論いただきましたこと、改めてお礼を申し上げます。

3回に分けてテーマごとに行わせていただいたものをまとめたものがこちらの資料になります。

この資料の取扱いについて申し上げますと、3月下旬に新保部会長から基本政策部会に御報告いただきます。

報告が求められている背景としましては、基本政策部会において計画策定に当たってのこども家庭審議会としての意見を取りまとめるということになっているため、各部会から計画策定に向けた意見を議論いただきたいということで、お話があったためです。

この点に関しましては、参考資料1が基本政策部会からのお話についてあった資料になりますので、御確認いただければと思います。

資料の中身ですけれども、1から順番に6までテーマごとにまとめまして、テーマ横断的なものは「その他」ということでまとめさせていただいております。

事務局から一つ一つの意見について御説明することはいたしませんけれども、後ほどの意見交換でそれぞれの意見につきまして背景となる考え方を追加でいただきましたり、あるいは内容の補足・追加といった御意見をお願いできればと思っております。

資料1についての御説明は以上になります。

次に、資料2をお開きいただけますでしょうか。

資料2は予算関係の資料になります。

前回第2回の部会が行われたのが9月22日になります。

その間、11月に経済対策に基づく令和5年度補正予算が策定されまして、12月にはこども未来戦略に基づく予算拡充に向けた動きがございました。

具体的には令和6年度予算要求という動きもございました。

部会での御意見やオンライン意見交換でも議論いただきまして、そういった御議論を基に予算案を取りまとめたところでございます。

別の機会に既に補正予算とか6年度の予算案についてはこちらから御提供したり、あるいは既に把握されているということもございますけれども、改めましてこの部会への御報告という形でこちらの資料にまとめさせていただきました。

資料2の中身でございますが、1ページ目と2ページ目に、12月に閣議決定いたしましたこども未来戦略の中でこの部会に関係するこどもの貧困対策とかひとり親家庭の自立支援について記載がある事項について抜粋しております。

上から申し上げますと、こども貧困対策・ひとり親家庭の自立支援ということで、生活支援、学習支援をさらに強化するとともに、ひとり親家庭に対して児童扶養手当の拡充のほか、就業支援、養育費確保支援などを多面的に強化するという全体的な方向性を書いております。

次からはこの強化部分につきまして、生活支援、学習支援のさらに強化ということが1ページのところにありまして、ひとり親家庭の就労支援については2ページのところに記載がございます。

児童扶養手当に関しましては、所得限度額について、自立の促進を図る観点、ひとり親の就労収入の上昇等を踏まえて見直すとともに、3人以上の多子世帯についての加算を拡充すると。

このための所要の法案を現在国家に提出しているということでございます。

1ページ、2ページは文章になっておりますけれども、全体の内容を資料としてまとめましたのが3ページ目になります。

こちらにありますとおり、こどもの貧困対策、ひとり親家庭への支援ということで、大きく強化をしております。

以下の資料は、それぞれの内容を事業ごとに拡充内容を説明したのが一枚一枚ついているいとった内容になっておりますので、3ページが全体像になりまして、そこの主立ったところを御説明させていただければと思います。

3ページで上の黄色のようなオレンジのところで「こどもの貧困対策」とありますが、こちらの学習支援と生活支援の強化については、主に令和5年度補正予算で実施したものになります。

6ページをお開きいただけますでしょうか。

6ページが生活支援の強化ということで、地域こどもの生活支援強化事業という事業を創設いたしました。

これは学習支援と一緒にやっておりましたこども食堂とか体験機会の提供とか宅食といった事業を、よりこどもたちの支援につながるようにということで、1つ事業としてまとめたものになります。

特徴的なところでは、立ち上げの支援もこの事業の中で補助をするといったところがポイントになります。

あと、こちらに書いてありますように、単に食事を提供する、体験の機会を提供するというわけではなくて、そういった場の中でこどもとのやり取りの中で支援ニーズを把握して、こちらにありますような様々な機関に連携するといった取組を事業としてやっていただきたいということで、事業を創設いたしました。

次の7ページが学習支援の強化に該当するものでございます。

これは従来学習サポートということで、経済的課題を抱えるひとり親家庭のこども、生活が困窮する家庭のお子さんたちに対して、いわゆる無料学習塾という形で学習サポートを行う事業をやっておりました。

そこでふだんの学習だけではなくて、進学へのチャレンジ段階での応援ができるようにということで、受験料、模試費用の補助を行うといったことを拡充しております。

8ページ目は、先ほどのこども食堂とか宅食によく似た部分になりますけれども、先ほどの事業は自治体を経由して実施する事業だったのですけれども、それとは別に、民間の団体の皆さんの力をお借りしてということで、中間支援法人を経由してこども食堂とか宅食に補助を行うといった事業をこちらの予算で盛り込ませていただきました。

以上が最初の3ページの図の中のこどもの貧困対策に相当する部分の強化になります。

ひとり親家庭への支援ということで、主に令和6年度予算案の中で盛り込んだ事業が10ページからになります。

最初に児童扶養手当の拡充について資料をつけております。

児童扶養手当の拡充の具体的な内容は11ページにありますとおりですが、12ページのほうが図もありまして分かるかと思いますので、12ページを御確認ください。

1つ目は所得限度額の引上げでございます。

所得限度額の引上げについては、オンラインの意見交換会でも何名かの方から意見をいただいたところです。

やはり働き控えというのが所得限度額で生じてしまうという部分があるので、働き控えに対応した上で、自立を下支えするという観点から所得限度額を引き上げる拡充を予定しております。

全部支給の所得限度額を160万円から190万円。

これは年収ベースで、親1人、こども1人の世帯の場合のケースを書いておりますけれども、引き上げますと。

一部支給につきましては、360万円のケースでしたら、385万円に引き上げると。

そういった拡充を予定しております。

2つ目の拡充としましては多子加算の拡充ということで、第3子以降の加算額が現行では6,450円になっておりますところ、第2子の加算額の1万750円まで同額で引き上げるという拡充を予定しております。

3人以上お子さんがいらっしゃる多子世帯では、働く時間が難しくて収入がなかなか伸びない中で、こどもが多くて支出がかさむ、非常に苦しい状況にあるということで、重点的に拡充を行っております。

この資料の下のほうに児童扶養手当の拡充に合わせまして就労支援事業の対象者要件の拡充というのも行っております。

現行では就労支援の様々なメニュー、給付金とか貸付けといったものは、児童扶養手当を受給している所得水準といった要件がかかっております。

そうしますと、就労収入が増えて児童扶養手当を受給しなくなったら、様々なメニューが一気に使えなくなるといった事態が起きますので、事業によっては1年間という限定もございますが、すぐに使えなくなるのではなくて、一定期間自立に向けた支援が継続できるようにするといった改正も予定しているところです。

それぞれの改正項目は、13ページに表をつくっておりまして、左にあるような事業について所得要件を撤廃したり、あるいは1年間といった要件で使えるようにするといった改正を用意しております。

改正内容につきましては、就労支援ということで、自立支援教育訓練給付金の給付割合を拡充するとか、高等職業訓練給付金の対象資格を暫定的に6か月以上と訓練期間が短い資格も対象にしておりましたけれども、こちらを恒久措置にするといった改正などを予定しております。

養育費の確保の関係で少し御説明をさせていただきますと、17ページの事業になります。

離婚前後親支援事業は、もともと離婚前後親支援モデル事業ということで今年度までやっておりましたけれども、モデルを取りまして、より幅広い自治体で実施していただけるように予算の拡充を行っております。

メニューもこの事業を令和元年度に創設してから順次拡充してきたところでございますが、令和6年度予算案については、弁護士への依頼ということで、弁護士費用の支援を1年間に限って補助するといった拡充を行っております。

養育費確保ということとなりますと、法律の手続が必要になって、専門家の関与が必要になるところ、順次公正証書の債務名義の作成支援といったところに支援を拡充してきたのですが、なかなか弁護士費用の負担が重いといった声もありまして、1年間限定で養育費確保の弁護士費用の支援をするといった拡充を行っております。

長くなってしまいましたけれども、予算関係の資料2の御説明は以上になります。

最後に、資料3のデータ関係の資料について御説明させていただきます。

今回はデータ関係の資料を少し御用意させていただきました。

資料3がデータ関係の資料になります。

今まで部会を1回、2回とやってまいりまして、オンラインの意見交換も含めまして皆様方からたくさんの具体的な御意見・御提案をいただいたところです。

その中には中長期的に対応する課題もございました。

それから1つの支援だけではなくて、様々な支援を組み合わせて行う必要についても御指摘をいただきました。

そのため、こういった客観的な事実関係というか、データを押さえた議論も必要だということで、今回第一弾ということで用意させていただきました。

これからこのデータを充実していければと思っておりまして、今回はまず第一弾としまして、いつも私どもが用意しております2ページ目の資料、「母子世帯・父子世帯の現状」ということで、基礎的なデータ、5年前と比較した表をいつも用意しておるのですが、ここを推移にしたものを今回用意させていただきました。

これに加えまして、ひとり親のデータだけでなくて、最後のデータになりますが、児童がいる世帯の所得の分布の状況についても1つデータを用意させていただきました。

今回第一弾ということで最初に用意させていただいたので、こちらをどういうふうに評価するのかとか、あるいは今後どの辺りを掘り下げていくのかということについて御意見を賜れればと思います。

データの充実に関しましては、特に学識者の先生の御協力もこれからいただいてやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

データの資料は一番上にリード文が書いてあるとおりなのですけれども、少しだけ御説明させていただきます。

3ページ目が世帯数の状況で、直近10年で微減傾向というのがございます。

4ページ、5ページ目が就労に関するデータになりまして、就労収入というところで見ますと、ここ20年ぐらい見ますと増加傾向にあるといった状況になっております。

6ページ目が総所得と主に就労収入に当たります稼動所得についてグラフにしたものになりまして、総所得が実線で、稼動所得、就労収入のほうが点線になっております。

児童がいる世帯全体の状況と母子世帯のものを比較して入れております。

最後が所得五分位階級別の割合ということで、これは所得五分位階級ということで、全世帯を所得の低い世帯から高い世帯に順に並べて五等分して、グループを5つつくったと。

低い世帯グループから第I、第Ⅱ、第Ⅲ、第Ⅳ、第Ⅴ五分位になるのですけれども、その所得の世帯グループの中にどれぐらいの割合の子育て世帯が入っているかというのをグラフにしたものでございまして、これを見ますと、低いほうから見る第I~第Ⅲ五分位の割合で減少してきまして、高いほうの第Ⅳ、第Ⅴ五分位の占める割合が上昇傾向にあるということが確認できるところでございます。

資料説明は以上にさせていただきまして、意見交換に移らせていただきたいので、また部会長の進行に戻らせていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

新保部会長:それでは、意見交換の時間に移らせていただきたいと思います。

まず、資料1「意見交換での主な意見」について意見交換をさせていただきます。

資料1というのは、先ほど宮崎企画官が御説明いただいた資料1についてのことです。

「意見交換での主な意見」ということで、こういうものです。

これについて御意見をいただくということです。

お読みいただいて、委員の皆様から追加の御意見や修正の御意見などがございましたら、御発言いただければと思います。

御発言の際は挙手をお願いいたします。

オンライン参加の皆様におかれましては、「手を挙げる」機能を御活用いただければと思います。

また、委員の皆様におかれましては、可能な限り多くの方に御発言いただきたいため、大変恐縮ではございますが、御発言については極力簡潔にまとめていただき、2分程度までとしていただければと思います。

御発言の際はマイクの発言ボタンを押してから御発言ください。

マイクの根元が赤く光ります。

発言終了時には再度ボタンを押してください。

それでは、御発言をお願いいたします。

いかがでしょうか。

では、お願いいたします。

合原委員:私、全国母子寡婦福祉団体協議会の合原と言います。

3ページになります。

意見交換会は私も参加させていただいたのですけれども、「学生支援機構の奨学金について、貸与奨学金の対象者も給付奨学金の対象にしてほしい」という言葉が載っています。

私が話したことかなとちょっと思っていますが、学生支援機構の奨学金について、学校によって給付型の奨学金が該当しないということが発生して、高校から給付型の推薦を受けたにもかかわらず、学校がその対象でないということで貸与になったというお話をさせていただいたことが書かれてあるのかなと思っています。

学校によって給付型が該当しないということのないように、これは対象者というよりも、学校を給付型奨学金の対象にしてほしいというところで、追加で意見をさせていただいておきます。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

これはいかがですか。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:事実関係、奨学金の制度などを確認いたしまして、直して反映しておきます。

学校というのは、進学先の学校によってということでございますか。

合原委員:そうです。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:そこは事実を確認して訂正しておくようにします。

合原委員:お願いします。

新保部会長:ありがとうございます。

それでは、松本委員、お願いいたします。

松本委員:ありがとうございます。

意見を述べるということですけれども、こどもまんなか実行計画の策定に向けて意見を述べて集約していくという趣旨で発言をするということと理解してよろしいでしょうか。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:はい。

結構でございます。

松本委員:そのときに、こどもまんなか実行計画というものがどの程度の書き込み方をするのかとか、どういう構成になったり、内容になったりするのかというのがある程度見えないと、なかなか発言がしにくいというか、いろんなレベルの発言が出てくるように思いますので、その辺りを最初に御説明いただけないかという話です。

私の意見は、中身というよりは枠組みについてです。

資料でいただいた手順のことについては理解をしたつもりではいるのですけれども。

以上です。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:事務局の宮崎です。

これからつくっていくものなので、私のほうでこれというのが確実に言えなくて、そこは恐縮です。

1つ言えるのは、こども大綱が政策の方向性なので、それを具体的に事業とか政策レベルの拡充、変更というのをイメージしていただければと思います。

こども大綱は割と抽象度が高い文章や方向性だったと思うのですけれども、まんなか計画のほうは具体的な制度とか事業をイメージした計画になっていきます。

そういう意味では、今回の意見の取りまとめで書いてあるものは、具体的な制度について皆様から御意見をいただいているので、このイメージで大きく差はないと思って進めさせていただいております。

松本委員:分かりました。

そうすると、内容なり形式についてはまだ検討中で、固まったものがないという状況の中で発言をするということでよろしいですね。

では、こういう形で構成してくれとか、そういうことも含めてということでよろしいですか。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:はい。

イメージとしては、意見でいただいたものの粒感というか、内容です。

これからつくっていくものですので、構成などについてもし御意見があれば賜れればと思います。

松本委員:承知いたしました。

ありがとうございます。

新保部会長:松本委員はここまででよろしいですか。

松本委員:はい。

新保部会長:分かりました。

続いて、末冨委員、大石委員の順でお願いいたします。

では、末冨委員からお願いいたします。

末冨委員:まず、お取りまとめ、ありがとうございます。

私は今、イギリス出張中で、早朝なので、まず起きてここに来られたことが大変よかったと思っております。

ただ、イギリスでの調査等を踏まえて、改めてこのお取りまとめ、資料1を見ますと、実はこども・若者自身の自立を支えるという視点がもう少しあってもいいかなと思っております。

英国というのはこどもの貧困対策に大変力を入れておられますが、幾つかの学校を訪問した中で、今、課題になっているのは、特に若者期、日本で言うと義務教育が終わった後の貧困問題であると。

こども大綱の課題としても、若者の貧困対策や若者の支援というのはもっと充実できるのではないかという御指摘がいろんな方からされていると思いますけれども、イギリスでも同じ課題があると。

ただ、そうしたときに、英国というのは欧州の中ではこどもの権利の後進国として批判されがちなのですが、それでも1989年に既にこども基本法をつくって、こどもの権利擁護、最善の利益の実現に取り組んでこられたのです。

その場合、何が問題になるかというと、家族がこどもの養育能力が低い場合に、こども・若者自身の自立を支援していくということを学校も協力しながら実現して行くケースもあると。

全てではないのですが、必要な場合にはそのようにしているということで、家族が支えることも大切ですけれども、こども・若者自身の自立を支えることも必要であるといった場合に、今のこども大綱の枠組みでは必ずしもそれに沿ったものにはなっていません。

だからこそ、年度年度のこどもまんなか実行計画で今からどのように、そうしたこども・若者自身が自立を望んでおり、かつ行政あるいは支援団体等も含めて、それを支えていけるのかといったことも視点としては追加していくべきかと思いました。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

とても大事な視点をいただいたかと思います。

今、イギリスにおられるのですね。

イギリスの情報をいろいろ教えていただければありがたいなと思いました。

続きまして、大石委員、お願いいたします。

大石委員:ありがとうございます。

私はこども家庭審議会の総会にも部会長と一緒に入れていただいているのですが、総会自体、かなり抽象度が高いというか、範囲が広い、大変多くの部会を取りまとめているものですので、なかなかディテールのことまでは議論しにくいというところがあります。

そして、基本政策部会のほうでお取りまとめをいただくということなので、そこに部会長がこのこどもの貧困対策部会の内容を御報告くださるということなのですけれども、見ていて思いますのは、割合と二親そろっている家庭の問題がメインとまでは言いませんが、家庭があまりうまく機能していないとか、状況が厳しいとか、経済的苦境にあるという視点がなかなか反映されにくいところがあるように思っているので、親機能が十分に発揮されないような家庭とか、普通の想定している家庭でない家庭がたくさんあって、そこの問題をこの部会では取り上げているし、そういう困難・困窮世帯とか、困難・困窮の状況にあるこどもの状況を大綱とかまんなか実行計画のほうに反映するというところをもう少し強く打ち出していったほうがいいのかなと。

細かい施策も大事ですが、そういう困窮世帯、あるいは親が十分にこどもを守り切れないような世帯、あるいはDVとかの問題もあるかもしれません、そういった世帯の問題を取り上げる視点をかなり強く言っていかないと、実行計画の中に十分に盛り込まれることは難しいのではないかなと感じているようなところがあります。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

続いて、花田委員、お願いいたします。

花田委員:全国児童養護施設協議会、報恩母の家、花田と申します。

1ページ目の2番目の上から5つ目が私が発言させていただいたものだと思うのですけれども、「小学生のうちから学習支援の手当てをしていく必要があるのではないか」というところです。

まずは自立支援ということで、受験料のこととか模試料の手当が今度つくことはすごく有意義なことだと思います。

ただ、この前も御発言させていただきましたが、まずは基礎学力の保障とか確保をしなければ、中学になってというのはこどもたちの支援がなかなか難しくなってくるので、こどもたちの成長・発達段階に応じた手だてとその保障の充実をお願いしたいと申し添えさせていただきます。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

続きまして、荒井委員、お願いいたします。

荒井委員:ありがとうございます。

4ページ目の「その他」の「地方分権下においても、自治体間での支援の格差が生じないよう、国からの働きかけをお願いしたい」というところが私が意見を言ったところだと思っているのですが、格差というのは、1つは世帯を、相談から、そして私どものところは母子生活支援施設ですので、そこへ利用、活用するということに関しても格差もありますし、また、母子施設自身が子育て支援に関する事業をするに当たっても、申出する中で、やはり市町村によっても格差があるということを示したと私は意見の中で付したつもりなのです。

また、先ほどお話もあったように、DVというところが我々の施設でよく利用される要因にもなるのですけれども、先日家族法制の見直しに関する要綱案が出てきて、それが閣議決定されたのとかと思っているのですが、その中で我々が気になるのは、婚姻中にDVから避難する母子は制限なしに支援措置が受けられるのかということもすごく気になっていますし、それについて明記していただきたいなということも別のところで意見を言わせていただいています。

例えば自治体間の対応の格差があるなかで、母子生活支援施設を活用して親子を支援していくことに、この法制案が出てくることによって、各自治体によって支援を躊躇しないかなということも僕らはすごく気になるところでもあります。

だから、今、議論しているところとは別の法律ができるわけですけれども、そこにも関連して、こどもの意思を確認しながら安全確保をできることが本当に最重要な課題でありますので、こどもに関する省庁を横断するような施策についてもこどもまんなか実行計画の中で位置づけていただきたいなということを改めて申し添えたいと思います。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

続きまして、村田委員、お願いしていいですか。

村田委員:ありがとうございます。

私のほうからは、先ほど松本委員のほうからこどもまんなか実行計画の策定に向けた意見ということで、それに関してお話したいと思います。

まず質問からですが、こども大綱の中のこどもまんなか社会の実現に向けた数値目標というがあり、それに対してもう一つは指標というのがあるのですが、こども大綱を実行に移していく中でこどもまんなか計画がある。

いわゆる企業で言うところ、あるいは大学で言うところのKPI(Key Performance Indicator)としてこのアウトカムが位置づけられていると思うのですが、まずその理解でいいのかどうかということ。

これでよろしいですか。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:政策の進捗状況把握という指標になります。

村田委員:そうですね。

ところが、この表の項目を見ますと、全て主観的な評価なのです。

例えばこどもまんなか社会の実現に向かっていると思う人の割合という形で、主観的な評価がパフォーマンスのインディケーターになっています。

では、この指標と次のページにありますいわゆる指標、これは客観的な指標が入っています。

こども貧困部会の関連で言いますと、例えばこどもの貧困率とかそういった客観的な指標がある。

そうすると、この数値目標を改善しているかどうかというときに、あくまでもこれは主観的なアンケート調査になります。

続けてよろしいでしょうか。

新保部会長:すみません。

46分になったので、1回止めていただいて。

村田委員:分かりました。

新保部会長:議論の途中で本当に申し訳ございません。

ここで東日本大震災により犠牲となられた方々に哀悼の意を表し、1分間の黙禱をお願いいたしたいと思います。

黙禱。

(黙禱)

新保部会長:黙禱、終わります。

ありがとうございました。

すみませんでした。

続けて御発言をお願いたします。

村田委員:そうしますと、今、申し上げました数値目標ともう一つの指標の関係です。

あくまでも数値目標の場合、アウトカムの場合は、主観的なアンケート調査が多くなっています。

それと実際に政策をしていくときに、それぞれの数値目標、アンケート調査の指標が上がるときに、何をすればこれが上がるのか。

どの客観的な指標が上がればこちらが上がるのかというここの関係がわかりません。

これは社会学などではパス分析とか因子分析がなされていますから、それをした上で、客観的な中間目標が上がっていけばこれが上がるということをしておかないと、政策としてどうなのだろうということがまず一つございます。

そこをぜひこれからお願いしたいなということが一点目です。

もう一点は、この貧困部会に関係して言いますと、指標のところには先ほど申し上げましたこどもの貧困率とか、生活保護世帯に属するこどもの大学の進学率というのがあるのですが、残念ながらこどもまんなか社会のアウトカムのところにこどもの貧困に関する指標がありません。

確かにこの大綱は過去の3つのいろんな審議会等々が合わさってはいるのですが、この指標がないとどうなのだろうと思いますので、すぐには難しいかもしれませんが、大綱は決まっていますが、この数値目標は政策の過程の中で入れ替えたりできると思いますから、ぜひそこをお願いしたいなと思います。

私からは以上でございます。

新保部会長:ありがとうございます。

因果関係のことをしっかり押さえなければいけないというのは確かにそうですね。

これはできるだけ取り組んでまいりたいと思います。

それから、貧困に関する最終的な指標が不足しているという点、そうだなと感じさせていただきました。

御発言ありがとうございます。

続きまして、山野委員、お願いします。

山野委員:大阪公立大学、山野です。

どのタイミングでどう手を挙げていいのか分からなかったので、ごめんなさい。

村田委員の話にも関連するので、私もこの意見交換会に参加できていないので、ずれていたら申し訳ないのですけれども、まさに今おっしゃったところで、大阪で前回10万件のこどもの生活実態調査をおこなって、今年度、より参加自治体が増えて、17万件の大規模調査をしました。

困窮度が厳しくなればなるほど学力にしろ健康にしろ全部厳しくなるという傾向は、過去のものと変わらないのですけれども、大事なのは、今日も政策として出されているこどもの学習支援とかこども食堂であるとか、もちろんそういった居場所が誰でも参加オーケーなのは十分承知しているのですが、貧困で厳しい家庭状況にあるこどもたちが確実に行けるようになるということにはなっていません。

ずっとここのテーマだったと思うのです。

そのためにいろんな政策を打ち出しておられると思うので、そのこともはっきり見えてきました。

残念ながら困窮度中央値以上の区分の方と貧困ライン以下の階層の方との差があまりない。

どの層の方が学習支援やこども食堂に参加しているかというところで、変わらないという結果だったのです。

これだけ経済的状況が厳しくなればなるほど、という差があるのに、です。

そのことが1つ。

国のもう既に出されている、可処分所得が上がっているということとかが出されているので、大阪の調査でも母親が大卒の方が増えていたり、お給料が上がったり、よくなっていることも確かにあります。

あるのですけれども、私たちはこどもの剥奪と親の剥奪と剥奪指標も2つつくっていて、過去と比べているのですが、こどもに我慢させる。

本とか、塾とか行かせてあげられないという項目は厳しくなっています。

格差はより大きくなっています。

このことはすごくショッキングなことで、今おっしゃられた政策とつなげていって、何を取り上げていくのかという指標でしっかりKPIを見ていくということが必要ではないかと思います。

私の意見は、この結果が示すように、適切にこどもたちをそこへリファーする仕組みがない、そこへつないでいく仕組みがないということが一番大きな課題だとずっと思っています。

だから、そこが制度化される必要がある。

もちろん、アクセスフリーで誰でも参加できる、それでいいのですけれども、適切なこどもがそこに参加できるようにする方策が必要です。

居場所はどんどん増えてきたのです。

こども食堂も中学校と同じ数ぐらい増えてきたというむすびえさんの報告もあります。

数は増えてきているのですが、つなげていくというところが足りないのではないか。

政策提言としてそこをぜひ取り上げていただきたいと思います。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

つなげていくということですね。

松本委員、お願いいたします。

松本委員:発言の機会をいただいてありがとうございます。

今の一連の御発言と関連してということになるのですが、まず指標のことについて、数値目標、別紙1であるもの、大変主観的な指標ではないか、もっと客観的なファクターと関連を見る必要があるという御発言でした。

そのことは大変重要だと思います。

もう一つ、数値目標そのものをもうちょっと具体的な、客観的なものを示すような指標に置き換えていく、あるいは追加していくということをもっときちっと考えなければいけないだろうと思っています。

どこの部会でも数値目標についてはあまり議論されないまま一旦設定されています。

始まるときですので、数値目標は1回始まるとなかなか動かしにくいところがありますので、割と早い時期にこれは追加をするような議論をちゃんとしなければいけないと思っております。

これが1点。

もう一つ、それと指標の関係で、特にこどもの貧困のことに関して言うと、前のこどもの貧困対策の大綱にはかなり詳しい数値の指標が出ておりました。

それが十分だったかどうか、大事なものを漏らしていなかったかどうかということは、いろんな議論があるところだろうと思いますけれども、かなり広範に指標というものを設定したということがあるかと思います。

ああいうものをきちっと議論するような場をここでぜひつくらないといけないのではないかと。

それと例えばこどもまんなか実行計画に書き込むことが連動していくような、そういうイメージがあります。

というのは、昨年度、こども大綱をつくる最初の基本政策部会のところで、ああいう数値目標、特にこどもの貧困対策の大綱に書かれているような数値目標等の議論はどこでどうするのかという質問を私がした記憶がございます。

それは大綱には書かないと。

ただ、それはその後の、当時は「こどもまんなか実行計画」という名前はなかったと思いますけれども、別途書き込んでいくことになると。

では、それは議論する機会があるのかという質問をした記憶がありますが、それは議論されていくべきことだろうというふうなやり取りだったと思います。

ただ、そこについてもあまり議論がないままなので、あの数値目標、指標がどういう形で今後の政策の中に生かされていくのか、引き継がれていくのかという点について意見交換をする、あるいはそこに絞って議論の場を持つべきではないかというのが意見であります。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

今、第2当事者委員の方から読み上げてほしいということでチャットが届きましたので、読み上げさせていただきます。

2ページの一番下の項目は私の以前の発言だと思いますが、就業支援と経済支援に関わるところについて、児扶手の所得制限が上がったことはとてもありがたいことだと思っています。

ただ、私も経験して思ったことと、副業でシングルマザーの相談や就労相談に乗ることがあり、その中で「幾らまで稼いで大丈夫ですか」とか、「児扶手がなくならない所得はどれくらいなのか」とか、「働いても児扶手がなくなってしまうのであれば、頑張らないほうがいいんですか」という相談があります。

私も一旦は児扶手を支給いただき助かったことは事実ですが、頂くには前年度の所得がネックとなり、順調に働けるようになったら容赦なく切り捨てられ、以前より使えるお金が減ってしまうと言うのが現実です。

以上、第2当事者委員からの御発言でございました。

ほかに御発言いただけますか。

では、お願いいたします。

渡辺委員:一般社団法人全国子どもの貧困・教育支援団体協議会の副代表理事で、キッズドアの理事長をしております渡辺です。

例えば3ページ目に就学援助が受けられないということがあったり、部活動の外部化といいますか、要は、学校行事とか部活動とか、学習支援の手前で本来的に受けられるべきものが外部化されることで、有償になって受けられなくなるのではないかという恐れが非常に現場から出てきていて、私もやっていて、このまま行くと地域間格差がどんどん広がってしまって、熱心なところは学習支援、生活支援事業もやるし、いろんなことをやるけれども、そうでないところは全然ないと。

私どもはおかげさまで全国のお子さんたち、お母さんたちとつながっている中で、うちには全然ないとか、そういうことがあります。

例えば就労支援に関しても、国の制度としてはあるのだけれども、それを知って自分の自治体に行くと、うちではやっていないからということが普通に言われて、受けられないということの訴えがある中で、こどもまんなかでどこのこどももという中では、自治体間格差ということをどう縮めていくのかということはすごく重要だと思いますし、その中で、学習支援、生活支援事業の国庫補助率を上げてくれということは、現場からも自治体からも出ているかと思うのですけれども、どこでもが必要な施策をできるようなことを私たちは求めていきたいなと思っています。

2点目として、養育費について書いていただいて非常にありがたいなと思っております。

ひとり親の貧困では養育費が非常に大きなことだと思いますので、共同親権になって法定養育費という話も出てきている中で、これも速やかに本当にしっかりと実行されること、またちゃんと出ることをもしここの部会が見ていくのであれば、そういったことをちゃんとしていかないと、養育費の問題もずっとありながらなかなか進まないということがありますので、そこはちゃんとしていくことが必要だなと思っています。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

村上委員、お願いいたします。

村上委員:発言の機会、ありがとうございます。

全国父子家庭支援ネットワークの代表をさせていただいています村上と申します。

私のほうからは、意見交換での主な意見の3番の就業支援のところについて少しお話しさせていただければと思っております。

「児童扶養手当の所得水準から抜け出すための能力を培うために、ひとり親家庭の親と企業のマッチングをいかにして考えるかについても検討してほしい」というお話は、恐らく私が以前話したことなのだろうなと思うのですけれども、この辺を具体的に掘り下げて発言させていただきたいのですが、生活困窮者自立支援事業といいますか、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象にまずひとり親家庭がなっていますよと。

その中で障害と高齢に関しては、高年齢者・障害者の職業訓練事業が独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構で行われているのですが、そちらのほうにひとり親家庭を組み込めないかというところを1つ提案させていただきたいと思います。

理由としますと、戦後から始まって数十年、計画が5年ごとに更新されるごとに、就労支援の形というのは一切変わっていないです。

その施策が実行されたら、どれだけひとり親世帯が一般就労につながっていくことができたのか、または労働収入が幾ら上がったのか、またはどの業種でそれが上がっているのかという検証がされていないのです。

検証がされないまま就労支援の事業に投資がされているという実態がある中で、独立行政法人にひとり親家庭を入れ込んでいただくことによって、まず検証、そして効果的な就労支援とは何かというところを研究、実践するというところをすぐにやられたほうがいい話ではないだろうかなと思っております。

2点目ですけれども、こどもまんなか施策云々というお話の中で、それを支える親というところに焦点を当てたときに、ひとり親家庭の親の貧困問題を解決するための活路はどこになるのか。

それは企業だと思うのです。

企業に対していかにひとり親家庭を雇用してもらおうかという考え方を持っていかないと、5年たっても10年たっても変わらないと思います。

これも喫緊に行う必要があることだと思うのですが、どの業種で人材が不足していて、何の資格を取得すればその業種に食い込むことができるのかという根拠のある施策ないし資格の提言というものがあって、高等職業訓練促進給付金等事業とかとひもづけされるのであれば、より意味のある、価値のある事業になっていくのではないかなと思っております。

それに伴って、では、厚生労働省としてひとり親家庭の雇用を推進してこなかったかというと、そういうわけではなくて、先ほど3.11の件で黙禱させていただきましたが、3.11を機に特定求職者雇用開発助成金に父子家庭を入れさせていただく取組をさせていただきました。

ただ、この特定求職者雇用開発助成金の期限というのは1年しかないのです。

求職困難者を雇用する企業が1年でその方を戦力になるまで育てることができるかというと、それは相当厳しい話だと思うのです。

これは少なくとも3年、多くて5年まで拡充してもらいたい。

併せて、特定求職者雇用開発助成金は、正社員雇用された場合のみ対象になっていますが、正社員雇用されている真っ最中にひとり親家庭になった場合にはどうなのか。

これに対しても対象を拡充するということも検討していただきたい。

併せて、キャリアアップ助成金というものもあるかと思います。

このキャリアアップ助成金は有期雇用の方を正社員化支援、または処遇改善支援という形で助成金が出るものですけれども、この中に障害者枠と同等の助成金という形でひとり親枠を入れていかないと、そもそも企業がひとり親家庭を支援、雇用することの道筋というものをつくるということができないと思うのです。

そういったことと併せて、企業もSDGsであったり、CSRというものに最近、非常に敏感になっておりますので、障害者・高齢者を雇用することがCSRないし社会貢献につながるということとひもづけて、さらにひとり親家庭の貧困問題。

今、衣食住、ない、そういった方たちを救えるのは、企業の力も入れていかないと。

喫緊の課題なのだよというメッセージをこのこども大綱の中にもしっかりと入れていかないと、この5年間、恐らく手を離して傍観するだけの仕組みになってしまうと思いますので、この辺りをしっかりと持ち帰っていただいて各部局の方と検討等いただければなと思います。

私のほうからは以上になります。

新保部会長:ありがとうございます。

では、お願いいたします。

髙橋(智)委員:全国母子・父子自立支援員連絡協議会、髙橋と申します。

よろしくお願いします。

3ページにあります教育支援の部分で、就学助成制度について、高校も対象にしてほしいという意見に付け加えさせていただきたいと思います。

低所得者による制服代の助成等、そういった制度はないかということは、今回貸付けの制度でも実際に相談の中で声を聞きました。

これは自治体ベースではなく国レベルで取り入れてほしいと思います。

昨今の物価高騰により月々の収支が成り立たない家庭が実際増えております。

家計管理がかなり厳しいように感じるケースを今回支援員で情報共有した中でも、特に今回の相談で感じたということを共通理解しまして、今回皆さんに現状として御理解いただきたいと思います。

よろしくお願いします。

新保部会長:ありがとうございました。

続きまして、第2当事者委員が御自身で発言されたいということですので、第2当事者委員の方、御発言いただいてよろしいですか。

第2当事者委員:すみません。

画面オフのまま失礼します。

先ほど読み上げていただいたのですけれども、限られた時間なので、配慮いただきましたが、話させていただきます。

資料1の2ページ目の一番下の項目のところですが、確かに私が以前、収入が途絶えた際の緊急措置的な経済的支援のものを出してもらいたいというところを入れていただいたと思うのですけれども、先ほど読み上げていただいたように、児扶手の所得制限が上がったことについてはとてもありがたいことなのですけれども、今、私はメインの仕事以外に副業で、シングルマザーの当事者としてのキャリアコンサルタントの資格を取っているので、シングルマザーの相談とか就労相談に乗ることがあるのです。

その中で本当に多いなと感じるのが、「幾らまで稼げるのでしょうか」とか、「児扶手がなくならないまでの所得はどこまでなのか」とか、「どうやったら生きていけるのか」とか、「働いても児扶手がなくなってしまうのであれば、私は働かないほうがいいのではないでしょうか」という相談がぽろぽろ入ってきます。

意外と多いです。

私も以前使わせていただいたのですけれども、やはり助かりました。

助かりましたが、やっと働ける、やっと人並みになったかなと思うと、所得で切られて、はい、ここで使えませんとなると、私は神奈川県のある市に住んでいるので、医療費も同時にストップされるので、病院に行き渋ったりすることも増えました。

児扶手がなくなることによって医療費も出て、所得は上がっても逆に出ていくお金が多くなってしまうということが現実にありました。

なので、働いて、児扶手が打ち切られて、地域によっては医療費が関わってきて同時に外されるところもあると思うので、そういったことが就労支援にもつながるのですが、働くことを躊躇してしまう傾向にあるのだなと感じています。

所得制限を上げること以上に、児扶手の打ち切りが鋼というか、ブレーキになっていて、就労の部分を頑張るのにもちょっとブレーキがかかってしまうというのは、相談をしていて感じるところです。

なので、こういった不安感を払拭させていくためにも、児扶手の打ち切りを。

もちろん、今、線引きするために所得ということで見ているのだと思うのですが、例えば半減期とか段階的な緩和期間のようなものをいただけると、就労意欲が下がることなく安心して就労が続けられるというところにつながってきて、就業支援と経済支援、両方がフォローできるのではないかと思っております。

以上です。

ありがとうございました。

新保部会長:ありがとうございます。

では、お願いします。

山野委員:ありがとうございます。

先ほど村上委員がおっしゃられた企業の話ですけれども、人口で言うと、このテーマはこども大綱、それに基づくこども実行計画ということですから、どなたかも発言された厳しい状況にあるこどもたちのことを理解してもらったり、変な理解でなく、正しく、みんなが同じ主体性を持って参画できるようなこと、ある意味大きな打ち上げとしては、大綱にもあるように国民みんなが考えていかないといけないというふうに考えた場合、占める割合の多い企業をどう巻き込んでいくのかというのはいろんな角度から必要です。

先ほど村上委員がおっしゃられたような視点ももちろんですし、実は今日「つなぎびと」を会場に置かせてもらったので、皆さん、ぜひ1部持って帰ってもらえたらと思うのですけれども、企業と自治体と国民みんなで、主体的に自分たちのこととして取り組んでもらえるような企業をどうつくっていくのかということも考えていただきたいと思います。

実行計画の中にそういう視点がどこかで入らないかなと。

これは内閣官房の委員会でも「孤立・孤独」というテーマで、企業を巻き込んでということは議論になっているところで、同じような視点が要るのではないかなと思いました。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

ほかに。

では、お願いいたします。

村田委員:あしなが育英会の村田でございます。

2回目の発言のお許し、ありがとうございます。

先ほど松本委員のほうからこの指標についてこの部会で考えてはいかがですかとご提案がありました。

私は途中からこの委員会に入ったものですから、2年前はどういう議論があったかというのは存じませんが、先ほどおっしゃっていたように、その指標のところはすごく大事なのだろうなと思いますので、ぜひ私もお願いをしたいと思います。

特に今回のこども大綱では、EBPM(Evidence-Based Policy Making)がうたわれておりまして、やはりこれからデータに基づいて客観的な指標で行くことが重要なわけで、恐らくこのこども家庭庁の政策だけでなくて、政府の政策全体が今、そういう方向に動いていると思います。

財政政策もしかりですが。

そうしますと、データがいかに客観的であるのかということを含めて、そこの指標のところをぜひお願いをしたいと思います。

もう一点言いますと、今回のこのデータを見ていますと、少し所得は上がってきているのだという表現は、全体的に見ればそうかもしれません。

しかしながら、本会が調査したデータで言いますと、今年の4月から来る高校生の予約採用者の親の等価可処分所得は123万から128万で、ほとんど変わっていないのです。

ほぼ貧困ラインです。

もう一点、これも今、調査中ですが、東京とそれ以外のところの格差が進んでおります。

そういう意味では、先ほど渡辺委員からもありましたように、都道府県ごとのデータが重要となってくると考えます。

また、高校の無償化が進んでいるという話もありますが、あるいは高校の無償化はどのレベルでどういう形で進んでいるのかということも東京都と地方との関係、そういったデータに基づきながら細かな政策をしていかないといけないことなのだろうと思うので、やはり指標のところは極めて重要で、ぜひここのところの再検討をお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

新保部会長:ありがとうございます。

渡辺委員、お願いします。

渡辺委員:二度目の発言、ありがとうございます。

先ほど第2当事者の方がおっしゃっていたように、コロナをきっかけに本当に大変な状況になったひとり親が多かったです。

物価高騰でも今、本当に大変になっています。

計画の中に、要は、コロナとか物価高騰とか、今、能登でも災害が起こって、ひとり親の方が賃貸の家が潰れてしまったのだけれどもどうしようもないということが起こっているように、そういうときにちゃんと貧困家庭のこどもに配慮して、優先的に迅速な支援をするということはぜひ入れていただくといいのかなと思っております。

私たち民間のNPOが何回もアンケートを取って、いろんなところにお願いして、ようやっと5万円の給付金が出るということがあって、これが出て、ありがとうございますとみんな言うのですけれども、そういったことをちゃんとこういう中にも入れていって、緊急時には一番弱者の方たちが本当に危なくて、そこにいるこどもたちというのは本当に弱っていて、今でも体重が増えないこどもが25%とか、そういう状況になってもなかなか打つ手がないという中で、そういったことを改善していくようことをぜひ入れていただけるといいのかなと思いました。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

続いて、末冨委員、お手を挙げていらっしゃいますか。

末冨委員:はい。

村田委員の御指摘にもありましたように、KPIとか指標については、しっかりとこども家庭庁の体制の下で客観指標も充実させていく必要がございます。

ただ、もともと内閣府時代に積み上げてきた指標群がこども家庭庁で途切れてしまっているのではないかという懸念を持っておりまして、まずそちらの指標自体を年度に1回レビューされるということは最低限していただきたいことです。

ただ、それとともに、日本のデータの整備で欠けているのが同じこども・若者の集団をコホート別で継続分析することなのです。

厚生労働省の21世紀出生児縦断調査では一部それが可能な年があるはずですけれども、ただ、イギリスは5歳から16歳まで義務教育期のこどもたちのデータというのは、全こどもたちが完全に網羅されているのです。

例えば不登校とか学力達成、あるいは学習意欲、それから家庭への支援の情報。

どういう支援を受けているか。

例えばこの年度は就学援助の対象になっているとかも含めてできています。

それに進学先のデータが付随すると、あるいはイギリスでは16歳で例えば職業訓練に移行する若者もいます。

といったときに、困難な状況のこども・若者たちの中で、どういうふうによりよい状況になっていけたのかというこどもたち・若者たちの存在が分かるわけです。

パネルデータを国としてちゃんと積み上げていく。

文科省では既に全国学力・学習状況調査のパネル化を始めておりますし、こどもの貧困に関しても継続分析していく際に全国学力・学習状況調査の活用も必要になってくるはずなのです。

さらにこども家庭庁のデータ連携で、今、自治体単位でこどもに関する教育や福祉のデータをつなげて活用しようという挑戦をされておられますけれども、それを全国標準にしていくことで、データをただ見るのではなくて、どのようなこども・若者がよりよい状態になったのか、あるいはそのために何の政策的な支援が重要であったのかということの効果検証が可能になります。

データ分析の世界で言うと、日本政府はまだ原始時代ぐらいです。

といった厳しい状況をあえて指摘しますけれども、せっかくデータをどうしていこうかという問題発信をしてくださったからこそ、政府DXを掲げる日本政府のこども家庭庁として、いかにこども・若者に効果をもたらす政策を限られた財源の中で実現するのかと。

インフラはデータですということを意識してお取り組みいただきたいと思います。

これはこの部会だけの問題ではなくて、こども家庭庁や関連する省庁を上げた日本政府全体の課題です。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

続きまして、大石委員、お願いしていいですか。

大石委員:二度目の発言機会をいただきましてありがとうございます。

3つあります。

1つは、今、末冨委員もおっしゃったことですけれども、指標とかデータの問題を含めて全ての部会に関わる問題があるのですが、こどもの居場所問題とか、あるいは社会的養育・家庭部会とか、児童虐待、様々な部会があって、それぞれに全部貧困問題が関わっているはずなのですが、そこら辺の部会間の横の連携がなかなか取れない。

あるいはよその部会で議論が貧困問題に関わるときに、どのように議論されているかということの情報がなかなか得られにくいというところもありますので、全ての問題はクロスオーバーしておりますので、部会間の連携を少し考えることができないかなというのが1点目です。

2点目としまして、私のほうが意見交換会の中で特に養育費関連で意見を言わせていただきましたが、そして先ほど第2当事者の方の御意見もありましたが、制度設計をしっかり考えなければいけないというのと、あと、荒井委員がおっしゃったように、民法の改正がこれから行われるはずであり、それに関わるものでもあるのですけれども、そうしますと、これまで以上に非常に大きくこども関係、例えば親権の所在をめぐる問題とか、あるいは養育費を誰が誰に払うのかとか、法定養育費ができたらどうなるのかとか、たくさん問題が出てくることが予想されておりまして、DVの問題もあります。

そうなりますと、今まで以上にこども家庭庁が司令塔になっていただく必要があるかなと。

それから、こどもの意見を聞き取る相談体制。

親だけでなくて、こどもの意見を聞き取るような相談体制、こどものソーシャルワーカーの設置とかいろいろ案は出ておりますけれども、そういう体制を整えるということが非常に重要になってくるはずでありまして、こども家庭庁がそういう司令塔の役割を発揮していけるように大きく期待されているということを申し上げたいなと思います。

予算の話はまた別にしたほうがよろしいですか。

新保部会長:はい。

この後、予算とデータの話に移りたいと思いますので。

大石委員:分かりました。

では、もう一点は予算の話になってから述べさせていただきます。

ありがとうございました。

新保部会長:ありがとうございます。

ただいまちょうど予算とデータの話が出てきたのですが、もう一つの課題である予算関係やデータについて、先ほど資料2と3で御説明いただきましたが、それに関連することで御発言いただければと思います。

では、どうぞ。

合原委員:母子寡婦の合原と言います。

続けて意見を話させていただいてありがとうございます。

政策の中身を見ていく中で、厚労省が組んでいる生活困窮者自立支援法との併用というのが可能なのかというところが少し気になっています。

こども家庭庁が出す政策と生活困窮で出るものと現場でやっている当事者は同じ人です。

大体活用化がされてありますけれども、そのときにどちらの制度も利用ができるのかというのが1つ気になっているところです。

併せて、弁護士の分ですけれども、法テラスを利用されるというふうにつないでいくケースが多いですが、そのときに頂いている扶助制度との部分の兼ね合いはどうなるのかなとか、利用者側が選択できる余地がここには含まれているのかなというのが少し気になっています。

併せて、先ほど当事者の方が言われたように、私は児童扶養手当の制限は思い切ってなしにしてみるのもいいのではないかと思ったりしています。

それはなぜかというと、18歳までですね。

こどもがやっと大学に行きます。

そしたら、困窮状態が。

収入を抑えていた分、急にたくさん働けるわけではないので、こどもさんが大学に入るとダブルワークが始まるお母さん方がたくさんいらっしゃいます。

こどもが自立した後、子が親を面倒見るわけでは必ずしもありませんので、結構1人で頑張ってお金を返しながら、働きながら頑張っているというのが実際の寡婦控除を受けられなくなった女性の今の就労状況でありますので、当事者の様子も含めて政策をつくっていっていただきたいなと思っております。

でも、今回ここまで出していただいたというのは大きな進展だなと感じているところです。

ありがとうございます。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

よろしいですか。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:生活困窮者自立支援事業とか法テラスの法律扶助とか、似たような支援が選べるのかということだったと思います。

まず、生活困窮者自立支援事業に関して言うと、例えば学習支援をイメージされてお話をされているのですかね。

例えば学習支援ですと、全く同じ1つの事業に対して別の補助金が重ねて出るということはないです。

補助金のルールとして、1つの事業に対しては1つの補助金となりますが、組み合わせて行うということは可能ですので、例えば今回受験料とか模疑試験の部分を拡充しました。

ふだんの学習サポートは生活困窮者自立支援事業の学習支援の事業でやっているけれども、受験料の拡充部分はこども家庭庁の事業を使うと。

そういった組み合わせて実施することは可能になります。

法テラスの法律扶助については、現行は貸付けということでして、こちらは弁護士費用の支援なので、貸付けと補助で別なのかなと思いますが、あちらのほうもまた動きがあるようですので、令和6年度の予算が無事成立したときに、その辺り、どういうふうに使えるのかというのはしっかり周知していきたいと思います。

合原委員:ありがとうございます。

必ず制度ができて、期待を込めて「やったー」と言っていたら、実際のところになると、「何だ、大して使えないじゃないか」というのが当事者の方からすぐ上がってくる声ですし、相談員さんも含めて現場では、「えー、それはできないんだ」ということが多々ありますので、ぜひ優しい制度にしていただけたらなと思っております。

どうぞよろしくお願いします。

先ほどのこどもの貧困の窓口と併せた相談窓口のことも含めて、困窮窓口に行かれる家庭、先ほどの両親がいてというお話のときには生活困窮のほうに行かれるケースが多いですので、そことの連携というところをしていただけたらなと思っています。

以上です。

新保部会長:御意見ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

松本委員、お願いしていいですか。

松本委員:たびたびの発言で申し訳ありません。

データのことに関して議論がということですので、1点だけ御検討くださいということで申し上げます。

先ほど大石委員がほかの部会との連携ということをおっしゃいましたので、そこのことに関わりますけれども、社会的養護、例えば児童養護施設なり里親さんに措置委託されたこどもさんの家族の経済状況というのは、今、公的データで確認できません。

あるいはこども虐待で対応した御家族の経済状況、あるいは家族の状況というのは、公的データで確認できません。

前者のほうは80年代までは児童養護施設入所児童等の実態調査の中に就労と所得のデータがあったのですけれども、それ以降90年代に入ってからこれは消えております。

今も復活しておりません。

貧困の観点からほかの問題を考えるというときに、例えば社会的養護あるいはこども虐待の問題というのは大変近いところにありますが、そのことは実は公的なデータでは全く確認できないという状況になっています。

個別の一発物の調査などではたまに出ることがあるのですけれども。

こういう観点からのデータの見直しというものはどこかできちっとされるべきだろうと思います。

具体的には、例えば今の2点のところは、特に措置委託を取ったこどもさんについては、必ず家庭の経済状況は把握しているはずですので、それを1つ項目に復活させればそれで済むだけの話でありますので、ぜひ御検討いただければと思います。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

では、お願いします。

山野委員:たびたびありがとうございます。

私もデータ連携のところでは、先ほど末冨委員からも御発言がありましたが、こども家庭庁で新保先生を座長にして、福祉とこどものデータ連携のことの委員会で議論をしておりますので、今、松本委員がおっしゃられたところも整理できていったり、これからきちんとガイドラインに載せて、データ連携していけたり、見える化していくということがスムーズに始まっていけるように、この計画の中でも後押しされるような形にする必要がある。

あちらはあちら、こちらはこちらではなくて、関係性が明確化されたらと思いました。

大石委員の話にも近いかもしれないのですが。

そして、先ほど末冨委員がおっしゃられましたけれども、私もイギリスに2015年頃から2019年まで、4回ぐらい行っていて、それはデータ連携をすることでどんな支援をしたらいいのかというのも見える化して、その効果もちゃんとストックされており、かつ松本委員がおっしゃられた議論していくというところも第三者中間組織みたいなものを置いて、国と研究者たちの組織があって、そこで見直しもし、今で言うと国の方が全部やらないといけないのは大変で、そうではない仕組みになっていますので、国の機関として、研究者と共同チームというか、研究者の中間組織みたいなものがあって回しているというところの視察を何回かさせていただきました。

今月末もフィンランドに行くのですが、フィンランドになぜ行くかといったら、データ連携が乳幼児期から学齢期まで。

ネウボラで有名なのですけれども、うまくデータで支援していく。

イギリスでも人が集まって会議をするわけではないという話も聞きました。

データを見れば、この支援をしていくと効果があるのだなというのが見えるから、この方策で行こうということをみんなが共有しているという話を当時聞きました。

2015年ごろです。

なので、先ほどの話で海外の状況も把握しつつ、連携と限らず、データについて議論したり、整理したりする、そこをとことん話し合えるような場があったらいいと思います。

それが計画の中でバックアップされ、消えていかないように書き込んでいただきたいと思います。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

ほかに。

大石委員、御発言をお願いいたします。

大石委員:たびたび申し訳ありません。

データ連携については、ほかの委員がおっしゃったとおりで、21世紀のこども政策にふさわしいバージョンアップをぜひ図っていただきたいなと思います。

予算に関しては、児童扶養手当の拡充に関してですけれども、先ほど第2当事者の方からの御意見で、突然支給停止になるということのギャップについてお話があったのですが、12ページの図とかを見ながらいつも思うのは、在職老齢年金制度は昔はかなり段差が激しくて、就労抑制的だったと言われていたものです。

それが改正に次ぐ改正、かなり時間はかかったのですけれども、所得の増加と支給額の減少というのがなだらかになるように改正されていったという経緯があります。

この児童扶養手当のスキームは、まだガッタンという屈曲点が出ているような形になっているので、在老とかを参考にして制度設計を考えていくということが望ましいのではないかなと思います。

多子加算について、第1子、第2子、第3子の加算が増えていくという話、結構かと思うのですが、では、第2子になったときとか第3子がいるときとか、幾ら必要なのかということの逆算の検証は今までなされたことがないように思いまして、つまり、こどもが1人追加、いることによってどのぐらい生計費が増えるのかというデータによる検証が一切ないままに行われているというのがこれまでの施策だと思います。

ここもEBPMではありませんけれども、ちゃんとそういうことを検証する手段というのは、データさえ出していただければあるわけなので、もしかしたら出し過ぎているということだってあるかもしれないわけですので、本来幾ら加算されるべきで、ただ、財政制約からこれぐらいであるというなら分かるのですが、目標とする部分、水準が幾らなのか、何も分からないままに少しずつ加算を加えていくといったところがあるのは非常にもったいないというか、もどかしいように思いますので、そこも改善していただければと思います。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

ほかに御意見いただけますか。

では、お願いいたします。

村上委員:発言の機会、ありがとうございます。

全国父子家庭支援ネットワークの村上でございます。

データのほうでの発言ということで、今、お話にありました12ページの児童扶養手当の拡充というところで、大変ありがたいというふうに私個人としても思うのですが、父子家庭という立ち位置から少しお話をさせていただきますと、通常の男性が働くとおり長時間労働をしていく中で、突然こどもを育てるというところを第一にする大変革がひとり親家庭になると始まるのです。

その際に、職場からはやいのやいのつっつかれ、こどもたちの育ちは待ってはくれず、こどもの年代に合わせて仕事を変えざるを得ないかもしれないという状況下で、一番初めにワンストップの相談支援の窓口にたどり着きたいのだけれども、前年度の収入が高いから窓口に行けないよねという課題が父子家庭にあるのかなと思っています。

あとは、これは母子家庭の方の場合も一緒だと思うのですが、1人で子育てをする生き方を決断するというのは人生の大変革期、大きな波が立つ時期だと思うのです。

それが初年度から前年度の収入を見て云々という話をされてしまうと、大けがをしているとき、一番初めに治療をする必要があるときにはお金を出さないと。

けがが悪化して働く力がもうないよという状況まで追い込まれてから児童扶養手当を受給する年収になっているというような状況は、児童扶養手当のそもそもの趣旨と反するのではないかなと思っております。

これは以前部会でも申し上げさせていただいたのですが、せめてひとり親家庭になってからの3~5年間は前年度の年収を問わず満額を出すと。

その上で、ワンストップでしっかりとアセスメントを取る。

その上で、個別支援計画が必要な方にはしっかりと個別計画を立てるということがまず大前提ではないのかなと思いました。

さらに付け加えさせていただくならば、相談支援体制です。

以前にもお話しさせていただいたのですが、なぜ相談支援の体制が健常者であることがベースなのか、非常に疑問です。

これに障害者総合支援法は組み込まれていない根拠は何なのかというところだと思います。

さらに言えば、今、ひとり親家庭ならず、二人親家庭でも困窮されている方々は、ダブルケア、介護、障害、または病後児、または御自身のメンタル疾患、発達障害というように重複しているのです。

その場合に、高齢・福祉のケアマネさんでも個別ケアですよと。

障害の方で行っても個別ケアですよと。

では、ひとり親家庭支援の個別ケアはどうなるかというと、まずこどもの育ちと、あと親の就労支援、2つの軸で並んでいくわけです。

では、その三者の福祉がケース会議を行おうとした際に、誰の意思を最優先としてその支援の方針を進めていくのかというところが混線してしまうと思うのです。

今回のこども大綱、こどもまんなかとなった際には、こどもの人権、こどもの権利、こどもの住環境の整備が第一なのであれば、1世帯で高齢家族がいて、認知症の方がいて、さらに養育者が精神疾患または発達障害を持っている。

その上で、こどもが衣食住、学習というところで貧困状態にあるとなった場合に、こどもの育ちを考えるならば、その世帯に住む高齢者の意思というものよりも、まずこどもの福祉を優先するために、高齢者の方に対しては、特養に入ってもらいましょうという考え方が成り立つのかとか、そういったことも含めたワンストップとは何ぞやというところの議論がなされていないことが非常に疑問なのです。

前回、前々回同じ話をさせていただいているのですけれども、みんながみんな健康なわけではないのです。

ひとり親家庭になってメンタル疾患、それこそDVの方であればパニック障害、精神障害を持たれている方もいらっしゃるのです。

では、その方たちに対してケアや応援、就労支援を健常者目線で推し進めていってしまったら、彼ら・彼女らは潰れてしまうわけです。

なので、まずワンストップのところに「障害者総合支援法」並びに「地域包括支援センター」という文言も入っていないとそもそもおかしいと思います。

もっと言うと児童相談所もです。

なぜかと言えば、まずひとり親家庭の母子・父子自立支援員さんに相談しに行った場合に、そこから児相の管轄になった瞬間、連携という文字が崩れます。

児相のみでの支援になります。

それは連携とは言いません。

本当にこどもをどまんなかにしたこどもの意思決定、こどもの権利、こどもの思っていることを言語化する支援を児相で行うことができているのかということに関しても疑問です。

そういったことから考えるに、ワンストップの窓口にはこの3種類が入っていないことがまず大きな問題であるとここで言わせていただければと思います。

私のほうからは以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

では、お願いします。

合原委員:何度もすみません。

母子寡婦の合原です。

今の村上代表のお話は重層の話かなと思って聞いていたのですけれども、こども家庭、こどもを中心に集めた制度という形で考えていただいていると思うのですが、そこに重層、ほかの制度との絡み方が見えてこないということが多分おっしゃりたいことかなと思っています。

ついでと言っては何ですが、ほかの制度との絡みぐあいも明示していただけると少し安心かなと思っています。

先ほどお伝えするのが抜けていたものがあって、私が事例で扱った部分で、今日母子支援施設の先生が言っていただけていたと思うのですが、発見をしたときに要保護児童の対応をすると。

この方は母子支援施設しか預かれるところはないだろうとなったのですが、先ほどお話があったように、市町村がそういうケースは認めないということで、結局は在宅で、地域の方も併せた見守りの中で、金銭管理、それから生活保護で、ソーシャルワーカーと皆さんで見守り続けている。

学校のソーシャルも含めてみんなで見守っていますけれども、ちゃんとした生活が送れず、一進一退という状態が日々続いているということで、行政のほうにもお話をしていますが、なかなかそこをうんと言っていただけずというのが1年半ぐらい続いております。

そういったことも今回のこども中心というところで保護する力が発揮できればなと思いますので、併せてよろしくお願いいたします。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

それでは、お願いします。

渡辺委員:ありがとうございます。

私のほうはこどもの生活・学習支援事業の拡充で、受験料とか模試費用が出るようになったというのは非常にありがたいことだなと思っています。

私たちも似たような事業を民間の御寄附をいただいてやっているのですが、非常に喜ばれております。

私たちがやったときに参考にしたのは東京都のチャレンジ支援貸付という制度で、あれは東京都さんのほうが低所得家庭のお子さんたちに塾代とか受験料の補助をするという制度です。

申し上げたいのは、東京都だと貸付けなので、私たちも御案内するのですが、やはり貸付けは怖いからと。

合格すれば返還免除なので、大抵の方は返還免除になるのですけれども、そうは言っても貸付けだからと言って借りない方もいらっしゃったりするので、そういう意味で、給付の事業になったというのはすごくいいかなと思うのですが、給付の条件としてこの事業にかかっている方ということがどうしても出てくるというところで、同じ状況なのに。

例えばこの事業をやっていない自治体の子はこれが受けられないということになるわけです。

そういうことで格差も出てくる中で、この第一歩をどう次につなげていくかということだと思います。

先ほど合原委員から高校の就学援助がないかという話もあったのですが、高校生活を送るためにどれぐらいのものが必要で、それが足りない家庭にどうしていくのかという抜本的な在り方を少し検討するような場があって、その中で考えていけると。

制度、いろんなものを細かくつくっていっても、結局、その基礎自治体では受けられないとか、やっていないとか、利用する方が少ないということになってしまうので、こういったものからより大きな制度で、抜け漏れがなく、誰もが受けられるようなことにしていくということを考える場が必要かなと思いました。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

では、山野委員、お願いします。

山野委員:たびたびすみません。

今、皆さんの御意見も聞きながら、重層支援というお話も出て、こども家庭庁として全体像が見えるようになったらいいと思います。

例えば個人情報の問題もあちこちで議論があって、要対協だったり、重層支援の支援会議だったりすると個人情報を超えて議論ができる。

なので、非常にしんどいシビアなケースは要対協で上がり、重層支援のほうで「30%ライン」と私がいつも言っているようなこどもたちが上がりというふうに交通整理ができていくと、すごくいいのだろうなと思うのですが、残念ながら重層支援のところにはこどもの部門が入っているところが非常に少ないのです。

教育委員会が入っているところなどはもっとレアになるのです。

そういった全体像を、こどもまんなかに考えたときに図示される、見える化されると、皆さんが安心できる。

今の村上委員のような御発言も、ちょっと安心して、そこで議論してスタートラインにやっと立てるというか、そんなことになるのかなと思いました。

ちょうどこども家庭ソーシャルワークの議論があって、今、日本ソーシャルワーク学校連盟でこの教材を受託を受けて整理しているのですが、そこは重層支援も含め、生活困窮者支援も含め、児童相談所の機能も含め、全体的なソーシャルワークの仕事として整理していっているので、そことリンクしていけるようなもの。

こども家庭庁としてそこも全体像を把握し、その全体像が見えるといいなと思いました。

法律とリンクさせながら見えていくと、よりいいと思います。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

荒井委員、お願いいたします。

荒井委員:ありがとうございます。

予算のところでいきますと、私どもはひとり親家庭等の生活支援事業というのはすごく注目しているところでありまして、今、合原委員からもお話があったように、入所だったらかなりハードルが高ければ、こういう事業をさせていただいたら、ここにひとり親家庭の生活支援事業で、離婚前後においてでも一定期間使えると。

そういう段階的な形でこういう事業が進められると、入所に至らなくても、それ以前の問題として解決に向かっていけるのではないかなと思っております。

ただ、先ほども言われたように本当に市町村の格差で、ここではできる、ここではできないというのはすごく懸念をしているところでありますけれども、まず重症化しないうちにその家庭とか、ひとり親としての生活がすごく困窮する前に、1つステップとして活用できる支援ということで考えていただいたらいいのではないかなと思っています。

こういう事業をせっかく予算として出しているのであれば、各自治体に強く働きかけていただいて、実行できるような形をしていただければなと思っております。

以上です。

新保部会長:ありがとうございます。

そろそろまとめに入りたいと思います。

今まで出された意見はとても貴重な御意見ですので、3月下旬開催予定の基本政策部会において私のほうからその要点を御報告させていただきたいと思います。

データをどう集めるか、どう活用するか。

しかもそれをパネルデータとして活用していく。

それは多分後代に残していくということもあるだろうなと思います。

そして、他の審議会の各部会との関係で、お互い何をやっているのかということをもう少し知りませんかという話も貴重な意見だったなと思いますし、最後のほうに出てきた大きな仕組み。

こども家庭庁の業務で扱うような仕事だけではなくて、重層的に考える。

他の省、例えば厚生労働省がやっているところとの関係で考えるという視点も大事なのではないかなという御意見が皆さんの共通認識としてあったのではないかなと思います。

それから、企業のこともとても大事なことだなと思いました。

このようなことを私のほうでまとめて、3月下旬の基本政策部会において報告をさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

では、今後の予定などについて事務局から連絡をお願いしたいと思います。

宮崎ひとり親家庭等支援担当企画官:次回の部会の予定につきましては、追って各委員の先生方に御連絡させていただくようにいたします。

新保部会長:それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。

途中幾つかトラブルがありましたが、哀悼の気持ちも一緒に過ごすことができたことをとてもうれしく思います。

本日はお集まりいただきありがとうございました。

(追記)

第2当事者委員:資料2 17ページ ⑧弁護士への依頼支援について

離婚後にも父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案が8日、国会に提出されたかと思います。

共同親権の問題もあり、この先どうなるのかも心配な方もいると思っています。

この先、貧困の方ほど、弁護士が必要な場面が増えてくると切実に感じています。

今でも、法テラスや無料弁護士相談の支援をしてくれている機関もありますが、しつこいひとによっては、何度も調停をたててくる方もいて調停に呼ばれて仕事にいけない、費用がかかる、弁護士をつけたくても何度もつけれない、つけれないことによって、子どもや自分が不利になってしまう。

ひとり親が弁護士を使いたくても使えなかった方のデータはないと思います。

もっと日本は、弁護士が身近な存在として利用できるよう、私や(自身)子どもの権利を守れるよう、弁護士利用がしやすくなるよう弁護士支援を拡充していただくことが必須だと思っています。