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こども家庭審議会(第3回)

概要

日時:令和5年11月22日(水)15時00分から16時00分
場所:こども家庭庁14階共用大会議室
 
【オンライン配信URL】
https://youtube.com/live/GptIWj8st7U

議事

  1. 今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等
    ~こども大綱の策定に向けて~(答申)(案)について
  2. こども大綱における目標・指標体系の検討状況について(報告)
  3. 「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」(答申案)について(報告)
  4. 「こどもの居場所づくりに関する指針」(答申案)について(報告)

資料

議事録

秋田会長:皆様、こんにちは。

ただいまより、第3回「こども家庭審議会」を開始いたします。

本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日の議事でございますが、お手元の議事次第に記載のとおりでございます。

16時までの会議を予定しております。

まず、議題1について、こども大綱の策定に向けた答申でございますが、こども大綱の策定に向け、前回、第2回の審議の取りまとめた中間整理について、9月から10月にかけて、こども・若者、子育て当事者をはじめとする皆様から意見を聴く取組を行ってまいりました。その意見を踏まえて、基本政策部会で答申を取りまとめましたので、松田基本政策部会長代理より、御説明をお願いいたします。

松田基本政策部会長代理、よろしくお願いいたします。

松田委員:松田です。よろしくお願いします。

9月25日の審議会総会におきましては、各部会の部会長等の皆様から、御発言をいただきました。中間整理案につきましてそこで審議をいただきましたが、このたび、取りまとめました中間整理を基に、基本政策部会の委員が参加しまして、こども・若者、子育て当事者等から意見を聴く取組を広く実施してまいりました。これらの取組でいただいた意見を反映した答申案について、17日の基本政策部会において、審議いたしました。御説明させていただきます。

資料番号1-1、横の資料を御覧ください。右の下にページが振ってあります。

まず、2ページです。こども・若者を対象とした公聴会やこども・若者向けのパブリックコメント、こども・若者が集まる施設などに出向いての意見聴取、こども・若者が主体となって活動する団体へのヒアリングなど、これまでにない様々な方法で4,000件近い意見をいただきました。

続きまして、4ページを御覧ください。これらの意見について分類し、次の3つを資料にまとめております。①中間整理に書いていないものについては、答申案でどこをどう変えたか。②既に中間整理に書いてあるものについては、どこに書いてあるか。③修文に結びつかなかったが参考にさせていただいた意見については、その理由や考え方を資料にまとめております。この場におきましては、意見を踏まえて修文した箇所について御説明いたします。資料の各ページにおいて、濃い青枠で囲んだ部分になります。

6ページをお開けください。基本的な方針についてです。困難や課題として、「ひきこもり」を追記しています。また、こどもや若者に関わる様々な関係者に「企業」を追加しました。答申案の意見が反映されたところの欄に、具体的に記述しております。続きまして、こども・若者の参画について、「ともに進めていく」と踏み込んだ表現にするとともに、社会への影響力の発揮につながることを追記しました。用語の注釈を追記しています。こういった修正をしております。子育てに関する表現に関する「自らのキャリアを犠牲にする」といった表現を前向きな表現にしてほしいという意見につきましては、基本政策部会での議論において、キャリアを犠牲にせざるを得ないのではという当事者の不安や葛藤も重視して表現を残しつつ、「むしろ子育て経験を仕事等に活かすなど自己実現をはかりつつ」と追記いたしました。

続きまして、8ページを御覧ください。「ライフステージに縦断的」を「ライフステージを通して」とするなど、表現を分かりやすいものとする修文を行っております。また、こどもの支援に関わる人たちが「こどもの権利を理解し、こどもの声を傾聴するゆとりを持てるよう」という追記や、こどもの権利の理解促進を学校外でも行うことが分かるようにする修文を行いました。

続きまして、9ページを御覧ください。難病や切れ目のない支援に関する追記やこどもの貧困対策にしっかり取り組んでいくことが分かるようにする追記などを行いました。

続いて、11ページです。まず、虐待は誰にでも起こり得ることであるとともに決して許されるものではないという表現が、虐待を擁護しているかのように見えるという意見がありました。これにつきましては、基本政策部会での議論において、「虐待は誰にでも起こりうる」と文の頭に書くのは、誰にでも起こるから気をつけてというこどもへのメッセージとなりかねないとの議論がありました。そこで、「決して許されるものではないが、あらゆる子育て当事者が無縁ではない」と修文しております。また、虐待により「親子」が傷つく前にという表現を変えるべきという意見について、基本政策部会の議論を踏まえて、予防の前段のセンシティブなニーズにどのように対応していくかという観点で修文しました。

続きまして、12ページです。ライフステージ縦断の事項です。「自殺を防ぐ」という表現は、最後の逃げ道さえ塞がれるように感じるという意見がありました。これを踏まえて、誰も自殺に追い込まれることがないよう、生きることの包括的な支援として自殺対策を推進することなどを追記しました。インターネットの安全・安心な利用について、こどもが閲覧するには望ましくない情報は、定義が難しいため、削除してほしいという意見がありました。これを踏まえて、表現ぶりを修文するとともに、何が有害情報なのか分かるように、注を追記しました。

13ページです。幼児期までのこどもの育ちについて理念等を共有する場として、児童発達支援等が含まれることを踏まえて、こどもの育ちに関する関係機関を追記しました。

続きまして、14ページです。思春期に悩む関係性として、「家族・異性との関係など」とありましたところを「家族・友人との関係や恋愛など」とする修正を行いました。また、こどもに対する暴力撲滅について、体罰や不適切な指導について、新たに項目を立てて記載するなどの修文を行いました。また、都市と地方で受けられる教育サービスに違いが出ないようにしてほしいという意見がありました。これについては、「住んでいる地域に関わらず」という文言を追記しました。基本政策部会では、どのようにして住んでいる地域にかかわらずサービスを受けられるようにすべきか記載したほうがよいという指摘もあり、これについては、個別の施策として実行計画で対応していただくのがよいと考えております。

続きまして、15ページです。紙とデジタルの教科書を使い分けられるとよいという意見がありました。これを踏まえて、デジタル教科書を追記し、基本政策部会における議論を踏まえて、一人一人のこどもの可能性を伸ばしながらという文章も追記しました。

16ページです。いじめの予防やいじめに対する指導を徹底してほしいという意見があり、基本政策部会における自己の権利のみならず他者の権利も大切に守るという観点が重要との指摘も踏まえ、「全てのこどもが自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることができるよう働きかけるなど、いじめの未然防止教育を推進する」と追記しました。

続いて、18ページです。青年期の取組が少ないのではないかとの意見がありました。これを踏まえて、メンタルヘルスケアを含めた相談体制の充実について、項目を立てました。また、関連して、基本政策部会における青年期は、高等教育、仕事、結婚だけでなく、プライベートも充実させられるべきとの指摘を踏まえ、基本的な方針に趣味等を含むプライベートとの両立もできる環境を整備することを追記しました。

20ページです。共働き・共育ての支援を記載する理由を追記しました。

22ページを御覧ください。「意見を表明することへの意欲や関心が必ずしも高くないこども・若者」という表現について、「高くもてない」と修文しました。

続きまして、24ページです。支援に携わる民間団体同士の連携に加え、行政機関と民間団体との連携についても追記しました。

27ページまで飛んでください。こども条例の制定について、「見える化」を進めるものとして追加いたしました。

最後に、28ページです。こどもがいない人にとってもこどもまんなか社会が重要であることを明確にするため、「全ての世代にとって」を「全ての人にとって」と修文いたしました。意見に対する考え方も、フィードバック資料に記載しております。

修正箇所の説明は以上となりますが、意見を聴く取組の中では、こどもまんなかの社会ができることがうれしいなど、こども大綱に期待する御意見も多数いただきました。その一部を29ページに御紹介しております。本当にたくさんの意見をいただいております。基本政策部会の場では、意見を聴く取組に参加した多くの委員から、こども・若者等の意見で項目が追加されたことが画期的である、こども・若者、子育て当事者の意見について、丁寧に反映を検討し、その考え方を示したプロセスは非常に意義があり、価値があるといった声が寄せられました。

以上、御確認いただきまして審議会としての答申を取りまとめていただけましたら、幸いでございます。よろしくお願いします。

秋田会長:御説明をどうもありがとうございました。

それでは、今御説明がございました答申案について、何か、御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。手を挙げていただくか、オンラインの方は挙手ボタンをお願いいたします。

また、本日、谷口委員が御欠席でございますが、メッセージを事務局に寄せてくださっておりますので、まずは、事務局から、そちらをお願いいたします。

佐藤参事官:谷口委員からお預かりしている御意見を代読いたします。

この答申案を見て、自分の発言が答申案の文章に反映されていました。貧困当事者、また、こども・若者の当事者の声が国の政策であるこの答申案に反映されているということ、その声が実際に国に届いているという事実がすごいことだなと実感しています。当事者の声に耳を傾けて声を拾っていただけたことに、本当に感謝しています。これからも当事者の声を国の政策に反映してほしいと願いつつ、自分は当事者として発言できる場がありましたが、まだまだ多くの、声を上げることもできていない、声を聴かないといけないこどもたちがいます。これからもそのこどもたちの声を聴くための取組が続いていってほしいと願っています。

自殺対策について。自殺は最後の選択肢だからそれを塞がないでほしいという声がありました。私は、どのこどもも人も自分で自分の道を終わらせたいと思ってほしくないと考えています。自殺をする前には、自分のこと、自分の人生を考えている時間があると思います。だから、自殺をしたいと思っている人の隣で一緒にその人の人生を考える人が必要なのではないかと考えました。

ライフステージを通した重要事項のこどもの貧困対策で、より詳しく貧困家庭のことが書かれていて、貧困の連鎖を国が断ち切れるように動いていくということも書かれていて、貧困家庭当事者も、この答申案を踏まえた大綱ができることで、将来に今よりも希望を持てるのではないかと考えています。

これからも、様々な貧困家庭の声が出てくると思います。今までに聞こえていなかった声も聞こえてくると思います。一つ一つの声に耳を傾けてほしいと思いました。その声を聴くことで、貧困で困るこどもたちが一人でも多く希望を持てる社会になっていくのではないかと考えています。

以上です。

秋田会長:ありがとうございます。

谷口委員からのメッセージを代読いただきました。

ほかに、この答申案につきまして、御意見、御質問はございませんでしょうか。

お願いいたします。

上鹿渡委員:早稲田大学の上鹿渡です。

ありがとうございます。本当にいろいろと取り入れていただいて、ありがたいなと思って読ませていただきました。

今ご説明いただいたスライド25にコミッショナーに関する質問があり、それにもしっかりと答えていただいておりました。前回の審議会でも私から質問をさせていただき、同様のお答えをいただいて、まさにこのこども家庭審議会がそのコミッショナーの役割の一端を担うようなものなのだということに改めて気づかされて、それをしっかりと実行するよう取り組まなければと思っていたところです。①、②と分けていただいた説明がとても分かりやすく、①地方公共団体で何とか取り組む中で、うまくいかないとき、制度や法律上の問題でそれ以上は何ともならないという場合に、②ここで審議するということだと思うのですが、ここのつながりのところをどのようにするかということがとても大きな課題になると思います。もしそこがつながれば、ここで言われているようなことが可能になります。地方公共団体だけではうまく解決できないことが、国が制度を変えることで、しっかりとこどものためにやろうと思ったことを実行できて、「こどもとともにある」ということを実現できると思います。この辺りをしっかりとこれから我々も一緒に取り組んでいかなければならないと思いました。基本政策部会の最後の回で木田委員からも同様の御意見が出ていましたので、ぜひそのご意見をしっかりと取り上げていただきたく思います。これから本当にたくさんの「こどものために」という動きが出てきますので、それらを「こどもとともに」へつなげられるよう、こどもが「しっかりとやってもらえている」ということを感じられるような成果を出せるように、一緒に取り組んでいけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

秋田会長:上鹿渡委員、御意見をありがとうございました。

ほかにいかがでございますでしょうか。特にオンラインでもお手は挙がっておりませんので、皆様、こちらのお示ししました内容で、こども大綱の策定に向けたこども家庭審議会としての答申としては、取りまとめをさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

これで議事1は終わりまして、議事2に移らせていただきます。こども大綱における目標・指標体系の検討状況の報告でございます。

こども大綱に係る目標・指標については、審議会での議論も踏まえつつ、政府において検討することとされておりますが、その検討状況につきまして、事務局より、御報告をお願いいたします。

佐藤参事官:それでは、資料2「こども大綱における目標・指標体系の検討状況について」を御覧ください。

今御議論いただきました答申案、38ページにおきまして、こども大綱が対象とするおおむね5年の間に達成すべき具体的な数値目標を設定する、数値目標は、総花的に羅列するのではなく、こども大綱の体系・柱建てに沿って設定する、また、指標として、こども・若者、子育て当事者の置かれた状況等を把握するための指標、数値目標にひもづく個別の施策の進捗状況を検証するための指標を設定するとされております。資料2は、これらを踏まえました政府における検討状況を御報告するものです。答申案では、目指す社会としてこどもまんなか社会が掲げられ、その具体的な姿を、こども・若者、子育て当事者の視点で御提示いただいております。このため、目標はこれらの具体的な姿に対応する項目を設定するとともに、総合的な目標としてこどもまんなか社会の実現に向かっていると考える人の割合を設定してはどうかと考えております。

資料2の左側の端が目指す社会をブレークダウンしたそれぞれの項目で、左から2番目の目標案はそれに対応したようなアウトカムの目標を立ててはどうかという方向で、今、検討しています。続いて、資料2の右端、状況等を把握するための指標を御覧ください。「一部抜粋」と書いてありまして、全部ではないのですけれども、こども・若者、子育て当事者の状況等を把握するための指標の例を記載しています。これで全てではなくて、これまで、子供・若者育成支援推進大綱、少子化社会対策大綱、子供の貧困対策大綱という3つの大綱がございましたので、これらの3つの大綱で掲げられた指標等を踏まえて設定してはどうかと考えています。また、これらの指標は、目標とともに、各施策が積み上がっていった結果として社会全体が目指す方向に向かっているかをはかるためにも重要なものであると考えています。最後、右下の※、注で書いてあるところについて、御説明します。答申案の13ページでは、こども施策に関する重要事項に係る具体的な取組はこどもまんなか実行計画として取りまとめるとされています。このため、個別の施策の進捗状況を検証するための指標については、その実行計画に位置づけてはどうかという方向で考えています。また、この施策の進捗状況の把握の指標は、政府全体で進められている政策評価法に基づく政策評価や行政事業レビューとの整合性を図る必要があるというところにも留意をしながら設定してまいります。最後になりますが、先ほど上鹿渡委員からおっしゃっていただいたいわゆる第三者機関の②の機能ですけれども、答申案の37ページにおきましては、こども家庭審議会において施策の実施状況や数値目標・指標等を検証・評価し、その結果を踏まえて継続的に施策の点検と見直しを図るとされまして、また、おおむね5年後のこども大綱の見直しに向けた数値目標や指標の充実について、このこども家庭審議会において検討するとされています。こども家庭審議会から御答申をいただきまして、それを踏まえてこども大綱を政府で策定いたしましたら、来年以降、こども家庭審議会におきまして、先ほど上鹿渡委員からおっしゃっていただいたことも含めて、まさにPDCAをしっかりと回すための調査審議をいただきたいと考えております。

以上、政府における検討状況を御報告いたします。

秋田会長:御報告をどうもありがとうございました。

審議会答申が取りまとめられましたら、政府においてこの目標・指標を含めてこども大綱の案の作成作業が行われますが、審議での議論をしっかりと踏まえて進めていただくようにお願いしたいと思います。

それでは、3.幼児期までのこどもの育ちのヴィジョン答申(報告)でございます。

同じく、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の中間整理について、9月末から10月にかけて、意見聴取を行いました。これを踏まえ、幼児期までのこどもの育ち部会において答申案を議論いたしましたので、事務局から、御報告をお願いいたします。

齋藤課長:それでは、事務局より、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の答申案の御説明をさせていただきます。資料3-2の概要に沿って、説明をさせていただきます。

本答申に関しましては、ただいま会長より御説明がございましたとおり、9月に、本会議で大豆生田部会長代理から御説明いただきました。その後、パブリックコメント、こども・若者を対象としたパブリックコメントの御意見などを踏まえ、11月13日の第9回こどもの育ち部会で委員の皆様方に御審議いただきまして、その会におきまして、秋田部会長に答申の御一任をいただいております。今後、必要な修正を行った上で、答申として決定する予定としております。

それでは、資料の3-2、概要に従いまして、簡単に御説明申し上げます。

左上の意義や目的の部分でございます。乳幼児期は生涯にわたるウェルビーイングの向上にとって最も重要な時期である一方で、誰一人取り残さず、等しい育ちの保障に向けて、課題がございます。就園状況や家庭環境に左右されずに全てのこどもの幼児期までの育ちを充実させるためには、社会全体の認識共有、関連施策の強力な推進に向けて、全ての人で共有したい理念や基本的な考え方を示し、政府全体の取組を推進する羅針盤が必要でございます。このような目的の意識の下、育ちのヴィジョンを「はじめの100か月」の育ちを支える羅針盤と位置づけ、答申案を整理いただきました。中央部分のこども基本法の理念にのっとり整理した5つのヴィジョンでございます。このヴィジョンの5つの柱は、中間整理から大きな変更はございません。5つの柱に変更はございませんけれども、中間整理後の2回の議論を経て、委員の皆様方から御意見をいただいて、必要な修正を行っております。1点目は、「こどもの権利と尊厳を守る」でございます。こども基本法にのっとり、こどもの育ちの質をしっかりと保障していくことについて、整理をしております。2点目は、「「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める」です。乳幼児の育ちには、アタッチメントの形成、豊かな遊びと体験が不可欠である旨を整理しておりましたけれども、2回の中間整理後の議論を踏まえまして、例えば、安心感をもたらす経験の繰り返しによって安心の土台を獲得することや興味・関心に合わせた遊びと体験を保障することなどについて、御示唆をいただいて、修正を行っております。3点目は、「「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える」についてです。育ちに必要な環境を切れ目なく構築し、次代を支える環境を創出することについて、整理いたしております。4点目は、「保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする」についてです。こどもに最も近い存在である保護者・養育者をきめ細かに支援することの重要性等について、整理をしております。最後に、5点目は、「こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す」についてです。少子化・核家族化などの社会の情勢変化を踏まえながら、全ての人がそれぞれの立ち位置でこどもを支える当事者となることについて、ここの同心円状の円で示しております「こどもまんなかチャート」を作成しまして、分かりやすく図示する形で整理いたしております。最後に、右下の部分、「実効性のある育ちのヴィジョンとするために」という部分でございます。こども大綱と併せまして年内をめどに閣議決定を予定しておりますけれども、育ちのヴィジョンを実効性のあるものとするために実現に必要なこども施策をこども大綱の下に策定するこどもまんなか実行計画に位置づけていくとともに、社会の認識共有・具体的行動の促進のための取組を進めることなどにより、育ちのヴィジョンの実現に向けて取り組んでいくと整理しております。

説明は、以上でございます。

秋田会長:齋藤課長、御説明をありがとうございました。

こちらについては、次の議題のこどもの居場所指針策定に向けた答申案についての御報告の後、併せて御質問の時間を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。

続けて、この居場所づくりに関する指針の策定に向け、9月末から10月にかけて、意見聴取を行いました。これを踏まえて部会として答申案を議論しましたので、事務局より、御報告をお願いいたします。

齋藤課長:それでは、私より、引き続き、こどもの居場所づくりの指針の答申案につきまして、御説明申し上げます。

新答申案につきましては、先日、11月15日の第13回こどもの居場所部会において、議論が行われ、前田部会長に答申の御一任をいただいております。こちらも、同様に、今後、必要な修正を行った上で、答申として決定・公表されていく予定と承知しております。

本日は、資料4-2、概要版に基づきまして、概要を御説明させていただきます。

まず、ページをめくっていただきまして、目次の部分でございます。全体として、5つの章で構成しております。「はじめに」に続きまして、こどもの居場所づくりが求められる背景や理念などを記載した第1章、こどもの居場所や居場所づくりなどの定義についての第2章、こどもの居場所をどのように進めるのかについての方針を記載した第3章、最後に、第4章、第5章では、居場所づくりに関する者の役割・責任、推進体制などを記載しているところでございます。

3ページ目でございます。背景と理念、考え方等についてでございます。まず、こどもの居場所づくりが求められる背景でございますけれども、居場所がないことは孤独・孤立の問題と深く関係しており、こどもが生きていく上で居場所があることが不可欠であるということでございまして、その上で、地域のつながりの希薄化などの地域コミュニティーの変化、自殺するこどもの数の増加など、複雑かつ複合化した課題、価値観の多様化などの背景から、こどもの居場所づくりが求められているとしております。続きまして、理念についてでございます。全てのこどもが、心身の状況や置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)な生活を送ることができるようにするために、こどもまんなかの居場所づくりを実現するとしております。こどもの居場所でございますけれども、こども・若者、本人が決めることであること、こどもの主体性を大切にすることが重要であること、一方で、こどもの居場所づくりは第三者が中心となって行うものであるということで、その間に隔たりが生じるということでございますので、こどもの声を聴き、こどもの視点に立った居場所づくりが求められるとしております。本指針の性質でございますけれども、居場所には、居場所づくりを目的として行われるもの、別の目的として行われた結果としてこども・若者の居場所となっているものもあることも踏まえて、両方の関係者に広く参照していただくことを想定しております。一番下の年齢の範囲でございますけれども、こどもであっても、若者であっても、居場所を必要とすることについては同様であります。ただ、必要性の強弱、提供される機能の違いを踏まえて、本指針では心身の発達の過程にある「こども」を対象とする居場所づくりを中心としております。

4ページ目の基本的な視点でございます。居場所づくりを進めるに当たって、4つの基本的な視点で整理しております。まず、それぞれの視点の前に、各視点に共通する事項として、こどもの声を聴き、こどもの視点に立ち、こどもと共につくる場所、2番目として、こどもの権利を擁護すること、3番目として、官民の連携・協働を推進することを掲げております。その上で、その下に4つございますけれども、こどもの居場所を整備するためには、こどもの居場所を増やす視点、こどもたちがその居場所につながるためのつなぐ視点、その場がこどもたちにとってよりよい居場所となるために取り組むための磨く視点、最後に、居場所づくりを検証する・振り返る視点、4つの視点を掲げているということでございます。

最後に、5ページ目、推進体制でございます。民間機関や地方自治体、国の役割等について、こども家庭庁のリーダーシップの下、政府一体となって居場所づくりを進めること、地方公共団体において、福祉部門、教育部門が連携しながら推進すること、自治体のこども計画に位置づけ、計画的に推進していくことなど、それぞれの立場での役割を記載しております。

説明は、以上でございます。

秋田会長:御説明をどうもありがとうございました。

それでは、議題3及び今の御説明の議題4につきまして、御質問のある方は挙手をお願いいたします。オンラインも、ありませんね。

ありがとうございます。

それでは、特に、御意見、御質問はございませんので、議題3及び議題4につきましては、これにて終了といたします。

なお、こども家庭審議会運営規則第3条に基づきまして、議題3及び議題4については、部会の議決をもって、審議会の議決となります。現在、部会長一任で、部会の意見を踏まえた修正をそれぞれについて行っておりますので、部会として取りまとまり次第、答申として、こちらが決定されるという形になります。こども大綱、幼少期までの育ちのヴィジョン、居場所指針に係る、これらの答申については、後日、私から加藤大臣に対して手交する方向で考えておりますので、御承知おきください。

答申の取りまとめに当たりまして、私から、一言、申し上げます。

今後、政府におきまして、審議会の答申を踏まえて作業がさらに進められ、そして、年内をめどにこども大綱が策定されることになります。こども大綱の推進に当たりましては、このこども家庭審議会が、こどもや若者の視点に立って、公平・透明性を確保しつつ、こども大綱の下で進められる施策の実施状況や評価等につきまして、分科会や部会において幅広く充実した調査審議を行い、当該施策や制度の改善等に関して、法令上の権限を適切に行使することが大変重要になっております。分科会、分科会長代理、部会長、部会長代理の皆様におかれましては、こども大綱で示される大きな方針の下で、それぞれの分野で具体的施策が進んでいくよう、分科会・部会におきまして一層精力的に御審議いただきたいと考えているところでございます。この審議会全体として、今後の進め方については、年明けに開催いたします審議会総会で議論したいと考えておりますが、これまでの各分科会や部会での議論も振り返りつつ、今後の進め方について御発言のある方がいらっしゃいましたら、ぜひお願いしたいと思います。いかがでございますでしょうか。

オンラインの有村委員、お願いいたします。

有村委員:ありがとうございます。

まず、座長及び座長代理の先生方におかれましては、取りまとめ、お疲れさまでした。事務局の皆さんも、大変な御苦労だったと思います。ありがとうございます。

その上で、先ほどの実行計画に向けての様々な事情等も拝見して、少しお話をさせていただければと思います。

まず、思いましたことは、指標の中に、障害のあるこどもたちについての項目が、アウトカムのところに上がってきづらいところがあるかと思いました。こどもの権利条約に、差別の禁止、つまり、全てのこどもはこどもと書いてあるわけで、具体的な実行計画をこれから考えていくわけです。今日お話しいただきました大綱、ヴィジョン、指針を基にこれから検討できることは、大変心強く思っているところです。ただ、全てのこどもと書いたという前提がありながら、例えば、周縁化されがちなこどもや家庭、特に障害や社会的養護というこどもや家庭が取り残されてしまうことがあるとするのであれば、それは私たちの責任になるかと思っています。部会、特に障害児支援部会に参画させていただいているわけですけれども、そういった点も含めて考えていかなければならないところですし、全てのこどもがこどもと捉えていった際に、この指標についてのそれぞれの部会での「通訳」が必要かと思っています。年明けの議論においては、これらの全般的な施策を、各部会の対象、あるいはそれ以外にも周縁化されがちなことが予測される方々に対して「通訳」をしながら、どのようにしていくかという指標づくりが求められてくるかと思いました。

前回の基本政策部会で土肥委員から御意見がありましたけれども、プログラム評価におけるインパクト理論やプロセス理論の整備が進められるわけです。大きなところでまとめることももちろん必要ですが、各部会においても細かく指標が検討されることが必要かと思っております。各部会に対して、細かいところで指標作成が進められることが必要かと思いまして、発言をさせていきました。

以上でございます。ありがとうございます。

秋田会長:貴重な御意見をありがとうございます。

部会・分科会で、指標等について、年明け、詳細な議論をまた続けてまいりたいと思います。

それ以外には、御意見はいかがでございますでしょうか。

どうぞ。土肥先生、お願いします。

土肥委員:土肥です。

まず、お取りまとめいただきまして、ありがとうございます。

各答申案についてはこれで合意ということになるのだと思いますけれども、今、それぞれの報告があったところでもありますが、各自治体がこども計画をつくっていくときに、現在、私自身も静岡県のこども計画のアドバイザーをさせていただいておりまして、先ほどこどもの居場所についての御報告もあったのですけれども、この中で、例えば、こどもの居場所づくりについてはこども計画の中にも盛り込んでいったほうがよいということが書かれているのですが、こども大綱の策定に向けての整理、答申では、居場所づくり、居場所に関しての記載は学童期・思春期のところに書かれているかと思っておりまして、これを自治体に下ろしていったときに、自治体側がやや困惑する可能性があるのではないかと思っております。幼児期のヴィジョンに関してもこども計画に下ろしていくと思うのですけれども、要するに、こども計画として、基本的には努力義務で各自治体が判断することにはなると思うのですが、自治体が何を参照していけばいいのか、やや分かりづらいのかなと思っております。この辺りはどのようにお考えなのかということと、それも含めて周知をどのように進めていくかということは少し考えなければいけないのではないかということで、発言させていただきました。

秋田会長:どうぞ。事務局、お願いいたします。

佐藤参事官:土肥委員、ありがとうございます。

こども大綱を策定した暁には、それを勘案した自治体こども計画を多くの自治体の方々につくっていただきたいと思っています。法令上は、こども大綱を勘案してとなっています。まず、閣議決定は、政府の中、国レベルを拘束するものなので、こども大綱と居場所指針と育ちのヴィジョンはそれぞれ基本的には政府を拘束する閣議決定であります。その上で、自治体こども計画をつくっていただくときには、基本的にはこども大綱を勘案いただくわけですけれども、もちろん、居場所指針や育ちのヴィジョンの中身も参照いただきながらつくっていただきたいと思っています。さらに言えば、こども基本法の自治体こども計画は、こどもに関する関係する計画、例えば、子ども・子育て支援事業計画、社会的養育推進計画、自治体でつくっている様々な計画を、地域の判断で一体的に作成できるとなっています。なるべく一つにまとめるところからそうではないところと、いろいろな自治体は出てくると思いますけれども、まとめるところはまとめていただくと、こどものことはここを見れば書いてあるのだということが住民の方々にも分かりやすくなると思います。そうしたこともこれから初めて自治体の方々にいろいろと取り組んでいただくので、こども家庭庁では、今年度、調査研究をこれから動かすのですけれども、こども大綱を勘案した自治体こども計画の内容や留意点に関するガイドラインのようなものをうまくまとめていけないかと。その中では、もちろん、居場所指針や育ちのヴィジョンの中身も含めて、自治体の方々に、こども大綱を見て、自治体こども計画に関するガイドラインのようなものを見ていただけると、あとは地域の実情に応じてどうやっていくかといったことが分かるようなものを、お示ししていきたい。今、作業をちょうど始めたところなのですけれども、これからそれを頑張ってやっていきたいと思っております。

秋田会長:ありがとうございます。

ほかには、御意見はいかがでございますでしょうか。

オンラインで、大石先生、お願いいたします。

大石委員:まず、会長及び皆様、大変立派な答申案をつくっていただきまして、ありがとうございました。本当に大変な御苦労があったかと思います。

今後の進め方ということについて、1つだけ、発言させていただきますと、今、法制審の家族法制部会で、家族法の改正に向けたいろいろな議論が進められております。私も委員の一人なのですけれども、離婚や家庭がうまくいかなくなったときのこどもの生活に関しても、非常に大きな影響を及ぼすような動きがこれから決まるということが見通されております。そういった場合にどのようにしてこどもの最善の利益を確保していくのかということについて、法制審だけにとどまらず、こちらのこども家庭審議会においても十分な議論をしていただいて、またサポートできる体制づくりに向けて御議論いただければと考えております。

以上です。

秋田会長:大変貴重な御意見をありがとうございます。

ほかにはいかがでございますでしょうか。

上鹿渡委員、お願いします。

上鹿渡委員:ありがとうございます。

今回、最初に、こどもや当事者や若い人たちの声をたくさん取り入れて、それがどのように反映できるかということをまとめていただいたのですけれども、この先も、いろいろな段階で、具体的な計画をつくり、実施する段階も、今回の最初に実施いただいたような対応を最初だけではなくて、最後の結果が出るところまでぜひ続けていただきたい。その最後の結果のところは、先ほど申し上げたように、この審議会の役割を発揮すべきところで、本当にそのとおりになっているかどうか確認する役割はここがしっかりと担うことになっているわけですが、もしもそれが難しく役割が果たせない場合には、また別の方法を考える必要があると思います。こどもや当事者、若者の声を聴き取り入れることは今回の取り組みで1度できているところですので、これをしっかりとこの後も続けていただきたいと思います。今後の進め方として、ぜひ続けてください。

佐藤参事官:上鹿渡委員、ありがとうございます。

上鹿渡委員がおっしゃってくださった点は、事務局としても大変重要な点だと思っています。まさにこどもや若者当事者の視点に立ってこの審議会で御議論いただいて、この審議会では当事者の視点の意見を踏まえながら施策や制度の改善提案をいただくというところが、まさに審議会として期待されている役割だと、事務局としても、考えております。我々も、こどもや若者の意見を聴く「こども若者★いけんぷらす」という事業がありますけれども、例えば、そういうところで出てきたこども・若者の意見もこういう審議会や各部会の場で御活用いただくとか、いろいろな部会がありますので、それぞれの部会や分科会でもぜひ当事者の方々のヒアリングをされるとか、そうした形でやっていただけて、まさに当事者目線での施策や制度はどうあるべきかというところを、これからも御審議いただけるように、事務局としても最大限の努力を払いたいと思っています。

上鹿渡委員:最初に、当事者から「自分の声が反映されたんだ」という声がありましたけれども、とても嬉しい声、感想であり、このような声が返ってくるよう取り組みを続けていただけると、こういう形でできているんだなという確認にもなります。時々はもしかしたら「これは違う」という声も来るかもしれませんけれども、その際にはそれをもう一回ここで議論して次をつくっていくということができたらと思います。このような取り組みによってこどもたちは「自分たちが本当に真ん中に置かれているんだ」ということを実感できるようになると思いますので、ぜひこれを続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。

秋田会長:ありがとうございます。

ほかにはよろしゅうございますでしょうか。

そういたしましたら、そろそろ時間に近づいてきておりますので、以上をもちまして、本日の会議はこれにて終了といたします。

皆様、どうもありがとうございました。

閉会といたします。