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こども家庭審議会(第2回)

概要

日時:令和5年9月25日(月)10時30分から12時00分
場所:こども家庭庁共用大会議室(霞が関ビルディング14階)

【オンライン配信URL】
URL:https://youtube.com/live/4vo_FZZdWu4

議事

  1. 内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍)挨拶
  2. 「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~(中間整理)(案)」について
  3. 「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の策定に向けた中間整理(案)について
  4. 「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の検討状況について
  5. その他

資料

議事録

秋田会長:皆様、おはようございます。

ただいまより第2回「こども家庭審議会」を開始いたします。

本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

まず、開催に当たりまして、加藤大臣より御挨拶をいただきたいと存じます。

加藤大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

加藤大臣:皆様、おはようございます。

改めまして、今月13日にこども政策担当大臣を拝命いたしました、加藤鮎子でございます。よろしくお願いいたします。

こども家庭審議会の委員として、学識者の皆様に加えまして、今日は大学生の方々から、子育て当事者の方々も含めると、7名の方々も含めて、多様な方々に御参画いただいていると拝察いたしております。皆さんのお顔を拝見いたしましても、当事者の方も含めて、本当に様々なバックグラウンドをお持ちの方々から御意見を頂戴できる、すばらしい審議会だと感じております。

皆様におかれましては、日頃より各分科会や部会においても既に様々御議論いただいておりますこと、心から敬意と感謝を申し上げます。

今日は、こども大綱の策定に向けた中間整理のお取りまとめをいただくと伺っております。

その後、幅広くこどもや若者、子育て当事者の皆様から意見を聞く取組が行われた上で、11月頃をめどに答申がまとめられるというように承知いたしております。

委員の皆様におかれましては、答申に向け、今後とも忌憚なく御議論くださいますようによろしくお願い申し上げます。

こども家庭審議会は、こどもに関する基本的な政策の重要事項などについて調査審議を行い、内閣総理大臣に意見を述べることができる、法令上とても強い権限をお持ちの審議会でございます。こどもまんなか社会の実現に向けて、こどもや若者の視点に立って、公平性や透明性を確保しつつ、幅広く充実した調査審議を行っていただきますよう、これからも皆様の御提案に心から期待を申し上げたいと思います。

私自身も2人のこどもを育てながら、当事者の目線に立ちながら皆さんと一緒に汗をかいてまいりたいと思いますので、引き続き、こども施策実現に向けて、皆さんと共に全力を挙げてまいりたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

秋田会長:加藤大臣、どうもありがとうございます。

加藤大臣は、御公務のため、ここで退席されます。

加藤大臣:では、皆さん、よろしくお願いします。

ありがとうございます。

(加藤大臣退室)

秋田会長:では、プレスの方は御退出をお願いいたします。

(報道関係者退室)

秋田会長:本日の議事は、お手元の議事次第に記載のとおりでございます。

12時までの会議を予定しております。

議事2「こども大綱の策定に向けた中間整理」ということで、まず、議題2につきまして、こども大綱の策定に向けて、岸田内閣総理大臣より、こども家庭審議会に対してなされた諮問を受け、基本政策部会で議論を行ってまいりました。

これまでの基本政策部会での議論を踏まえ、中間整理の案を取りまとめましたので、松田部会長代理より御説明をお願いいたします。

松田委員:基本政策部会の部会長代理を務めております、松田と申します。

先日、基本政策部会で取りまとめましたこども大綱の案の策定に向けた中間整理案につきまして、私からポイントを御説明します。

お手元の資料1-2、横置きのものを御覧ください。

まず、2ページです。

まず「こども大綱が目指す『こどもまんなか社会』」についてです。

こども基本法の目的を具体化する形で、全てのこども・若者が日本国憲法、こども基本法及び子どもの権利条約の精神にのっとり、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人として等しく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、等しくその権利の擁護が図られ、身体的・精神的・社会的に将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる社会としています。

その上で、こどもや若者の目線で見たその具体的な姿を資料の中ほどにある箇条書きのとおり、ブレークダウンしております。

こうしたこどもまんなか社会の実現は、こどもや若者、子育て当事者の幸福追求において非常に重要であり、さらには、その結果として、少子化、人口減少の流れを大きく変えたり、未来を担う人材を社会全体で育み、社会経済の幸福と持続可能性を高めることにつながる。すなわち、こどもまんなか社会の実現が、全ての世代にとって社会的価値が創造され、その幸福が高まることにつながることを示しております。

3ページ目を御覧ください。

こども施策に関する基本的な方針についてです。

先ほど申し上げましたこどもまんなか社会の実現に向けて、日本国憲法、こども基本法、子どもの権利条約の精神にのっとり、6つの柱を基本的な方針としております。

順に申し上げます。

「こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る」。

「こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに考えていく」。

「こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する」。

「良好な成育環境を確保し、格差や貧困の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする」。

「若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路の打破に取り組む」。

最後ですが「施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方自治体、民間団体等との連携を重視する」となります。

4ページを御覧ください。

こども施策に関する重要事項です。

これにつきましては、こども・若者の目線で分かりやすく示すため、こども・若者のライフステージ別に提示しております。

まず「ライフステージに縦断的な重要事項」としまして、こども・若者が権利の主体であることの社会全体での共有等。

多様な遊びや体験、活躍できる機会づくりなど、7つの項目を掲げています。

次に「ライフステージ別の重要事項」。中ほどです。

「こどもの誕生前から幼児期まで」「学童期・思春期」「青年期」に分けて整理しております。

「こどもの誕生前から幼児期まで」につきましては、将来にわたるウェルビーイングの基礎を培い、人生の確かなスタートを切るための最も重要な時期であるという認識の下、妊娠前から妊娠期、出産、幼児期までの切れ目のない保健・医療の確保等を提示しています。

学童期につきましては、身体も心も大きく成長する時期であり、自己肯定感や道徳性、社会性などを育む時期。

思春期については、性的な成熟を始めて、心身が変化し、アイデンティティーを形成していく時期であるという認識の下、居場所づくりやいじめ防止等を提示しています。

「青年期」については、新たな環境に適応し、専門性や職業性を身につけ、将来の夢や希望を抱いて自己の可能性を進展させる時期であるという認識の下、高等教育や就労、結婚を希望する方の支援等について提示しています。

最後に「子育て当事者への支援に関する重要事項」につきましては、これらとは別の項目立てをしており、経済的負担の軽減や共働き・共育ての推進等を提示しています。

5ページ目を御覧ください。

こども施策を推進するための重要事項として「1 こども・若者の社会参画・意見反映」。

「2 こども施策の共通の基盤となる取組」。

「3 施策の推進体制等」について記載しています。

まず「1 こども・若者の社会参画・意見反映」についてですが、こどもや若者と共に社会をつくるという認識の下、安心して意見を述べることができる場や機会をつくるとともに、意見を持つための様々な支援を行い、社会づくりに参画できる機会を保障することが重要だとしています。

「2 こども施策の共通の基盤となる取組」につきましては、こどもまんなかの実現に向けたEBPMや、こども・若者、子育て当事者に関わる人材の確保・育成・支援等を掲げています。

「3 施策の推進体制等」についてですが、国における推進体制として、こどもまんなか実行計画によるPDCAや、こども家庭審議会が施策や制度の改善等に関して、権限を適切に行使すること。

また、自治体こども計画の策定促進や、国際的な連携・協力等を掲げています。

最後に、6ページ目になります。

ここでは、こども大綱とこども家庭審議会の答申の関係を示した参考資料をつけていますので、御覧ください。

基本政策部会では、これまで9回にわたって毎回2時間以上、時には3時間以上かけて充実した議論を重ね、特にこどもの権利については、児童の権利委員会で委員長を務めておられる弁護士の大谷美紀子先生からもヒアリングを実施した上で、今月15日の部会において部会長一任とされ、中間整理案の取りまとめに至りました。

この基本政策部会の中間整理案をベースに、関係各部会での議論を反映した上で、審議会として中間整理を取りまとめていただきましたら幸いです。

基本政策部会での取りまとめに当たり、この審議会の若者や子育て当事者でもある櫻井委員、田中委員、土肥委員、原田委員、堀江委員、村宮委員から当事者目線に立った貴重な御意見をいただきました。

皆様から一言ずつ、中間整理案の取りまとめに当たっての感想や、こども大綱への期待などについて御発言いただけたらと思います。

それでは、順番に、櫻井委員からお願いいたします。

櫻井委員:ありがとうございます。

ジェンダー平等に向けて若者が学んでアクションしていくサードプレイスの運営をしている、櫻井彩乃と申します。

私は、こども家庭庁ができる前のこども政策の推進に係る有識者会議のときから入らせていただいていて、そのときから乳幼児期からのジェンダーの視点とか、包括的な性教育に関する取組が必要なのではないかと発言させていただいておりまして、今回、この取りまとめに反映いただきました。

基本政策部会では、少子化についての発言をたくさんさせていただきました。

今回、今お話しいただいた中にも、若者とか個人がしっかりと尊重されて、選んでいけるとは書いてあるものの、どうしても少子化を解決していこうと思うと、若い人がプレッシャーに感じてしまうような文章がたくさんになってしまうので、そういったところをもうちょっとまろやかにしていくことを発言させていただきました。そこは非常に敏感だと思いますので、今後、取りまとめていく上で、あまり大人たちの思いが前面になり過ぎないような取りまとめにしていただけたらと思っております。

これからこどもとか若者、当事者の声を聞いていくに当たって、とてもたくさんの意見が届くと思いますので、ぜひ多様な声を聞いて、受け止めて、可能な部分は反映いただけたらと思っております。

今回は、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

松田委員:続きまして、田中委員、お願いします。

田中委員:私は、児童養護施設で生活していた経験から、主に社会的養護について意見を伝えさせていただきました。

まずは感想です。

初めてこういった国の審議会に継続して出席する中で、発言がしにくいと感じることが正直ありました。

ただ、そういった気持ちに寄り添ってくださる周りの方がいて、発言のタイミングについて気にかけてくださる事務局の方がいて、同年代の委員がいて、自分の意見を言うハードルが少しずつ下がっていくのを実感していきました。

続いて、中間整理案の中でよかった点としては、児童の権利に関する条約にのっとりと明記されたこと。基本政策部会では、皆さんの目線に立った上で、子どもの権利条約の精神にのっとりと明記していますが、そちらが表記されたこと。 また、中間整理案の32ページ目の11行目から記載されているヤングケアラーや社会的養護経験者など、声を聞かれにくい状況にある子ども・若者たちにも、自らの意見を持ち、それを表明できるという認識を持つことが記載された点です。

たとえ困難な状況に置かれていたとしても、一人一人に声がある、こども・若者一人一人に気持ちがあること、一人一人に可能性があることを私たち大人が信じているよというメッセージをこども大綱を通して伝えていけたらと感じております。

以上です。

松田委員:続きまして、土肥委員。

土肥委員:土肥です。

私自身は、こども・若者の参画と意見反映の専門委員会のほうでも委員長を拝命させていただきまして、かれこれ数えますと、学生の頃から10年近くこどもの参画や若者の参画に取り組んできたのですが、それを振り返ると、今回のこども大綱の取りまとめに当たっては、非常に多くのこども・若者の参画、意見反映は、多分、今までで一番、この国でほとんど取り組んでこなかったことがここまで進んだことは、本当にすばらしいことだと思っています。

ただ、一方で、つい先日、とある高校の授業を担当させていただいて、こども家庭庁、こども基本法を知っている人と聞いてみたのですが、100人ぐらい聞いていて、実は10人ぐらいしか手が挙がらなかったという現状があります。これでこどもまんなかと本当に言えるのだろうかという課題も大きく残っているのではないかと思います。

その意味でも、いま一度、認知度をどのように広げていくかということを中間取りまとめ以降で、こども・若者向けのパブリックコメントとか、いろいろなヒアリングがありますので、さらに広げていければと思っています。

また、改めてこども・若者の意見反映や参画が権利として保障されることが重要であるということを意見として言いたいと思っていまして、いろいろな地方自治体を回っていましても、こども・若者が、少子化や人口減少対策の声を聞くこと自体が手段になってしまっている側面もまだまだあると思っています。

今回の中間取りまとめ、あるいはこども大綱の取りまとめ以降で、改めてこどもの権利を真ん中に据えて進めていきたいと、私自身も邁進していきたいと思っています。

以上です。

松田委員:続きまして、原田委員。

原田委員:発言の機会をいただき、ありがとうございます。

兵庫県の尼崎市で、若者が行政に対して政策提言をするようなユースカウンシルという取組をしています、原田伊織といいます。

これまでこども家庭審議会や基本政策部会などに参加してきました。

僕自身も、初めてこういう公的な委員会だったり、会議に参加して、こんなに身近に国や行政、公的な会議があるのだと感じました。

すごく大きな前進だと思う一方で、まだ知識とか技術、公的な会議に参加するというハードルがまだまだあると思っています。今回は、ほかの委員の皆様や事務局の皆様に支えてもらいながら、何とかここまで参加することができました。

その中で、できる限り自分自身の意見を率直に伝えたり、周囲の似た境遇にあるような若者の声を集めることはできたものの、一方で、こども大綱の話を周りの学生にしたときに、全く知らなかったという人もいて、まだまだこども・若者全体の意見をすくい上げられていないのだなと、自分自身が感じているところです。

今後、10月にこども・若者の意見を聞くような機会があります。

これまでも多くの当事者の方から意見を集めてこられたと思いますが、改めてこの中間整理案に対して、当事者の方々の意見を聞いて、それを尊重して、僕自身も委員としてそれを反映できるように努めたいと思います。

こども・若者と年齢の近い若者として、若者の声を等身大でこの委員会でも伝えていけたらと思います。

引き続き、よろしくお願いします。

松田委員:続きまして、堀江委員。

堀江委員:スリールの堀江と申します。

私は、今、もうすぐ3歳になるこどもがいる親という立場として、また、13年前から、大学生に向けての親になる前教育として、育児体験のプログラムをやってきたところで、特に親という視点から御意見させていただきました。

特に現代の状況を見てみると、親になる前からこどもと触れ合う機会がなくて、不安を抱えていたり、そもそもこどもを預ける罪悪感、親のプレッシャーがすごくありましたので、特に親育てというところで、親になる前から育児に関わる経験とか、妊娠前から切れ目のない支援、そして、コロナというところもあるので、単純に支援がありますよではなくて、アウトリーチ的にしっかりと支援していくみたいなところをかなり御意見させていただきました。

プラス、社会で親がやらなくてはいけないというプレッシャーを与えないで、社会を育てるところに関しても何度か御意見させていただいたのですが、幼児期の部分の指針にはかなり盛り込んでいただいたと思うのですが、大綱に関しては、まだ不安軽減みたいなところが結構多く、どちらかというと、ポジティブになった社会でとか、そういったものは、もしかしたらもう少しプラスしていくところもあるかもしれないのですが、子育ては、自分が頑張らなくてはいけないのではなくて、みんなで育てていくのだ、だから大丈夫なのだと思えるようなところが伝わっていくようになればいいなと改めて思っています。

今後としてはというところで、連続性です。

今回、ライフステージ別に書いていただいて、意識しているところではあると思うのですが、ちょうど昨日、大学生向けのプログラムのプレゼンとかがあって、すごく感じたのが、親になる前の時点から頼っていいのだとか、こどもはかわいいのだとか、社会は変わるのだという意識を持っている人たちが親になるとか、そういうことだけではなくて、つらいときに頼るという経験をしようと思ったり、社会は変わるから、意見を言ってみようとなっていくところでいくと、突然、大人になったから支援をするのではなくて、小さい頃、こどものときからそういった経験をたくさん連続的にさせていく連続性が大綱だったり、こども家庭庁でのミッションかなと思っておりますので、連続性を忘れずに。

青年期からが結構多い気がするのですが、幼児期から青年期の間もすごく重要な期間だと思っておりますので、その連続性も今後、考えていければと思っております。

以上になります。

松田委員:最後に、村宮委員。

村宮委員:静岡大学の村宮汐莉と申します。

こども・若者の未来をつくる重要な場に携わることができて、とてもうれしく思います。

私は、一大学生としての意見しか言えず、何の専門性もなくて、頼りない意見だったかもしれないのですが、その中でも、若者自身の意見だったり、思いを直接伝えることができたのではないかと思っております。

また、作成に当たって、私自身も持っていない知見が広がったり、今後の学びにつながるとともに、それらを広くこどもたちに伝えていきたいと強く思いました。

私たち審議会とか、作成・決定する部分だけではなくて、現場でこどもたちに柔軟に活用されて、たくさんの人に理解されるものになっていければとすごく思いました。

こどもは、大人と共に育ち、大人がいないと育つことができないので、分類したこどもの青年期とか幼児期というところだけではなくて、一人一人に寄り添えるようなものになってほしいと思いました。

地域とか学校、また、こども一人一人、親とか家庭を全部絡めた上でのこどもの生活を支えていけたらと思いました。

ありがとうございます。

松田委員:我々からは以上です。

秋田会長:お一人お一人、貴重な御意見をありがとうございました。

この中間整理の案につきましては、基本政策部会だけではなく、関係する分科会・部会において御議論いただいております。

各分科会・部会としての御意見について、分科会長・部会長の皆様からお一人3分以内で御発言をお願いいたします。

それでは、まず、子ども・子育て支援等分科会の分科会長代理、鈴木委員より御発言をお願いいたします。

鈴木委員:よろしくお願いいたします。

子ども・子育て支援等分科会会長代理の鈴木でございます。

子ども・子育て支援等分科会は、秋田こども家庭審議会会長が分科会長でありますことから、私から発言させていただきます。

資料1-3を御覧ください。

まず、子ども・子育て支援等分科会においては、保育所等の施設整備や施設等で働く方への人件費等を含む公定価格の設定のほか、放課後児童クラブや病児保育など、地域の実情に応じた子育て環境を整備するための地域子ども・子育て支援事業の推進などについて、秋田分科会長の下で精力的に議論しているところです。

委員は33名おり、どの分科会や部会よりも多くの委員で構成されていること。

また、保育所、幼稚園、認定こども園、家庭的保育など、様々な現場で実際に子ども・子育て支援事業に日々従事する者が多く参画している点が、この分科会の一つの特徴であると認識しております。

こうした中で、今般、中間整理案に関して、委員からの意見を募ったところ、大きく7点意見を頂戴いたしました。

1点目は、こども、子育て当事者に関わる人材確保の観点からも、処遇改善や職場環境の改善に関する取組をお願いいたします。

分科会の意見といたしましては、人材確保に関する意見が最も多く寄せられたところでありましたので、最初に御紹介させていただきました。

2点目は、待機児童対策です。

御案内のとおり、待機児童については、5年連続で最小値を更新しており、約86.7%の市区町村において待機児童ゼロを実現していますが、待機がいまだ解消されていないケースがあることに留意が必要ということや、エビデンスに基づいた施設整備、併せて質を確保していくことが必要であると考えております。

2ページを御覧ください。

3点目は、地域子ども・子育て支援に関して。

地域子ども・子育て支援事業として、地域の実情に応じた子育て支援ができるよう、様々な事業が準備されているため、これを活用して支援の展開をお願いしたいということと、その際、例えば既存の児童養護施設等の地域資源を活用することも重要と考えております。

4点目は、伴走型相談支援については、対面相談はもちろん重要であるものの、対面面談だけでなく、デジタルを活用して、日常的に相談支援機関とやり取りができる方法も大切と考えております。

5点目は、放課後児童クラブについて、受皿整備を進め、待機児童解消に向けて着実に取り組むよう、お願いいたします。

6点目、病児保育についてです。

病児保育の充実を図ることが中間整理に盛り込まれたところですが、より利用しやすい制度となるようにお願いしたいと思います。

そして、ここに記載されているとおり、他方で、こどもが病気のときに、こどものそばにいることができる働き方ができる社会の仕組みをつくっていくことも重要であると考えております。

最後に、7点目は、地方自治体との連携に関して、国が自治体をしっかりと支援すること、地域の特性・状況を踏まえる旨を盛り込んでいただくようお願いいたします。

子ども・子育て支援等分科会としての意見は、以上でございます。

秋田会長: 鈴木委員、どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、成育医療等分科会会長代理、山縣然太郎委員、お願いいたします。

山縣(然)委員:成育医療等分科会会長代理の山縣と申します。

本日欠席の五十嵐分科会長に代わりまして、私から発言させていただきます。

まず、資料1-4の1ページ目を御覧ください。

成育医療等分科会では、五十嵐分科会長の下、妊産婦健診や乳幼児健診、産後ケア事業などを通じた地域における妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の推進や、男女を問わず、性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を促すプレコンセプションケア、不妊症・不育症への相談支援など、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進などに向けて議論しているところです。

今般、9月20日に第1回分科会を開催し、成育医療等の観点から、中間整理案に関しまして委員から意見を頂戴し、資料のとおり、まとめました。

意見をいただいたもののうち、特に当分科会に関する内容につきまして御紹介させていただきます。

2ページを御覧ください。

1点目は、養育者の支援という点です。

こどもの養育者のメンタルヘルスは、こどもの認知機能や発育に長きにわたって大きな影響を及ぼすものであり、重要であるため、こども大綱にもその支援について言及が必要であるという意見がございました。

2点目は、令和6年4月に発足予定のこども家庭センターの在り方についてです。

こども家庭センターは、全てのこどもたちの支援の場であるというポピュレーションアプローチを強調していく必要があるという指摘がありました。

3点目は、プレコンセプションケアについてです。

妊娠前から健康管理、プレコンセプションケアに適切な栄養摂取の重要性の視点を取り入れるべきという意見がございました。

4点目は、文部科学省との連携の下、小児保健を俯瞰的に管理するという視点です。

こども家庭庁には、文部科学省と連携し、学校保健も取り入れて、生まれてから思春期まで一気通貫した小児保健の管理体制を構築していっていただきたいという意見がありました。

分科会では活発な議論があり、御紹介しました意見以外にも重要な指摘が多くありましたので、これらをこども大綱中間整理案やこどもまんなか実行計画を検討する際の参考にしていただきますよう、お願いいたします。

こども大綱が目指すこどもまんなか社会として、身体的・精神的・社会的、いわゆるバイオ・サイコ・ソーシャル、将来にわたって幸せな状態、ウェルビーイングに生活を送ることができる社会が掲げられております。この考えは、成育医療等基本方針と共通しており、整合的であると考えています。これを堅持した上で、こども大綱の策定に向けて議論を進めていただきますようお願いいたします。

成育医療等分科会としての意見は、以上でございます。

秋田会長:山縣委員、どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、幼児期までのこどもの育ち部会の部会長代理、大豆生田委員よりお願いいたします。

大豆生田委員:大豆生田です。よろしくお願いします。

育ち部会は、秋田会長が部会長でもありますことから、私から報告させていただきます。

なお、かなり活発な意見が行われて、かなりたくさんの意見が上がっていますので、やや早口に御報告させていただきます。

初めに、資料1-5の1ページ目を御覧ください。

幼児期までのこどもの育ち部会では、4月の諮問を受けて、これまで7回にわたり部会を開催して「幼児期までの育ちに係る基本的なヴィジョン」の答申に向けた中間整理案を取りまとめました。

この中間整理案については、次の議題で改めて御説明しますが、9月14日の育ちの部会では、この「育ちのヴィジョン」を前提としながら、こども大綱の答申中間整理案について、各部会の委員から意見提案を頂戴し、資料1-5に取りまとめました。

2ページ目を御覧ください。

初めに、全体について意見を申し上げます。

1点目、こどもが生まれながらに権利の主体であることについて。

乳幼児が生まれながらに権利の主体であることについて、全ての人の理解増進を図る観点から、大綱中間整理において強調いただきますよう、お願いいたします。

2点目、こども施策における「ウェルビーイング」の考え方・定義について。

こども基本法の「幸福」や「バイオ・サイコ・ソーシャル」の観点との関係も含め、考え方や表現の統一をお願いします。

3点目、バイオ・サイコ・ソーシャルの視点について。

大綱中間整理全体を通じて、バイオ・サイコ・ソーシャルの観点が薄まることのないよう、お願いいたします。

4点目、アタッチメント(愛着)の表記について。

育ち部会中間整理案では、科学的知見も踏まえ、アタッチメント(愛着)の考え方を整理し、その重要性を強調しました。大綱中間整理でも同様の位置づけをお願いします。

5点目、意見表明権に係る乳幼児の発達の特性等への配慮について。

乳幼児も当然、意思を持っていて、その尊重が重要であることについて、丁寧な記載をお願いします。

6点目、支援を受けることへのちゅうちょや偏見の考慮について。

大綱中間整理においても、この観点を踏まえていただきますよう、お願いします。

7点目、こどものライフステージを通じて切れ目なく育ちを支える観点について。

育ち部会中間整理案を踏まえ、大綱中間整理においても、学童期以降と幼児期までの施策の双方向の接続への留意をお願いいたします。

3ページ目を御覧ください。

具体的事項についてです。

1点目「こどもの誕生前から幼児期まで」の各ライフステージ外の取組との関係について。

育ち部会中間整理案では、それぞれのライフステージ外の取組を一体的・総合的に推進することで、ウェルビーイングの実現を図ることができるとしています。大綱中間整理においても、この点への留意をお願いします。

2点目「遊び」の重要性の記載の充実について。

こどもの育ちにおける遊びの過小評価も見られる中で、育ち部会中間整理案では、育ちにおける遊びの重要性を強調しました。大綱中間整理においても、こどもの権利としての観点や、遊びが学びや育ちの基盤であることも含め、遊びの意義や重要性について、記載の充実をお願いします。

また「2 ライフステージ別の重要事項(1)こどもの誕生前から幼児期まで」の本文の項目名や概要にも、遊びの保障について明記いただきますよう、お願いします。

3点目、乳幼児教育との連携について。

幼児期までは、特に学びに係る政策と、育ちに係る政策の両者の緊密な連携が重要です。文部科学省とこども家庭庁が密接に連携して施策を推進することの重要性について、大綱中間整理においても位置づけるよう、お願いします。

4点目、インクルーシブ教育システムに係る記載ぶりについて。

育ち部会中間整理案では、幼児期までの時期からインクルージョンの考え方を前提とすることが、共生社会の実現に向けて重要であるとしています。大綱中間整理においても、この点に御留意いただきますよう、お願いいたします。

5点目「共育ての推進」「男性の子育てへの参画促進・拡大」との連携について。

アタッチメント形成など、こどもの育ちの観点からも、雇用施策が極めて重要です。大綱中間整理においても「育ちのヴィジョン」との連携に留意いただきますよう、お願いいたします。

6点目「地域子育て相談機関」について。

大綱中間整理においても、地域子育て相談機関とこども家庭センターとの双方向の連携について位置づけるよう、お願いいたします。

7点目「地域子育て支援・家庭教育支援」について。

育ち部会中間整理案では、子育てが大変である原因、保護者等へのプッシュ型の情報提供の重要性、身近な場所で様々な方と関わりが持てるような環境をつくるなどについて、丁寧に整理しました。大綱中間整理においても、これは留意していただきますよう、お願いします。

最後になりますが、5ページ目の別紙に掲げました大綱中間整理の「第3 こども施策に関する重要事項」の各施策の中心に「育ちのヴィジョン」の実現にも寄与する形で推進されることに期待します。

育ちの部会としては、意見は以上です。

秋田会長:大豆生田委員、どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、オンラインになりますが、こどもの居場所部会長の前田委員、お願いいたします。

前田委員:御指名ありがとうございます。

こどもの居場所部会は、資料がございませんので、私から口頭で御説明させていただきます。 秋田こども家庭審議会会長から各部会長宛てに依頼があったことを受けまして、こどもの居場所部会においても、中間整理案について意見照会を行いました。

こども・若者の居場所は、こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性全てが居場所になり得ます。その場を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めるものであるという前提に立って、居場所づくりを推進することが記載されております。

ただし、その場を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めるものであることから、こども・若者の居場所づくりは、こども・若者の声を聞きながら実施すべきであり、そうした記載を追記していただきたいと思います。

また、こどもの居場所づくりに関する指針に基づき、こども・若者の居場所づくりを推進することが記載されております。

次の議題で、私より指針の検討状況を報告いたしますが、現在、内閣総理大臣からの諮問をお受けし、こども居場所部会で、こどもの居場所づくりに関する指針について議論を行っているところでございます。

居場所は、学齢期のみならず、年齢を問わず、全てのこども・若者が多くの居場所を持つことができることが重要でございますから、そうした趣旨を記載していただきたいと思います。

さらに、こども大綱にこどもの居場所づくりに関する指針に基づく居場所づくりを位置づけるとともに、都道府県や市町村がこども計画を策定する際に、こどもの居場所づくりをしっかりと位置づけていただくよう、記載をお願いしたいと考えております。

指針につきましては、現在進行形で当部会で議論が行われていることでございますので、今後も、こども大綱の検討と十分に連携を図っていけたらと考えております。

最後に、放課後児童クラブの記載もございますが、この点についても意見を申し上げたいと考えております。

放課後児童クラブは、児童福祉法において適切な遊び及び生活の場を与えることが規定されておりますので、そうした趣旨が分かるように記載していただきたいと存じます。

こどもの居場所部会としての意見は、以上でございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

秋田会長:前田委員、どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、科学技術部会部会長代理、石原委員、お願いいたします。

石原委員:ありがとうございます。

本日、五十嵐部会長が御欠席のため、私が代わりに御報告させていただきます。

資料として、既に提出してございますが、科学技術部会では、今回、特に2点につきまして御意見さしあげたいと存じます。

1つ目でありますが、出生前診断、あるいは妊孕性温存など、様々な医療技術の進歩が著しいものがあります。

この結果、妊娠・出産などの生殖、あるいはこどもを持つことに関連する選択肢が増え、また、関連する様々な玉石混交の情報に全ての国民が日常的に接する状況となっております。

このような現状におきまして、女性、そのパートナーが適切な情報を得て、自己決定を行うことができるように情報提供、あるいは相談支援体制につきましての整備をぜひ進める必要があるのではないか。このことを中間整理案に反映していただきますよう、お願いしたいと考えております。

2点目は、新たに女性の健康全般に関するナショナルセンター機能を持たせる国立成育医療研究センターにおきまして、成育医療等に関するシンクタンク機能の充実につきまして、今後、具体化を進めていくべきであるという意見がございましたことを付け加えさせていただきます。

以上でございます。

秋田会長:石原委員、どうもありがとうございます。

それでは、続きまして、社会的養育・家庭支援部会部会長兼児童虐待防止対策部会長であられる、オンラインの山縣文治委員、お願いいたします。

山縣委員、お願いいたします。

山縣委員、聞こえますでしょうか。

山縣委員、お声が聞こえないのですが。

山縣(文)委員:聞こえますか。

秋田会長:もう少し大きいと、はっきりと聞こえますが。

山縣(文)委員:ちょっと待ってください。

秋田会長:ちょっともごもごと曖昧な感じがいたします。

山縣(文)委員:これは聞こえますか。駄目ですか。

秋田会長:あまり大丈夫ではないのですが、聞こえないわけではありません。

山縣(文)委員:あまり大丈夫ではない。

スタート時点ではうまく入っていたのですが、申し訳ありません。

大きめの声でお話しさせていただきます。

秋田会長:お願いいたします。

山縣(文)委員:私どもの部会は2つ並び立っておりまして、一つが社会的養育・家庭支援部会で、資料1-7に、9月12日の第3回で意見交換したものの取りまとめをしています。

同じく、児童虐待防止対策部会につきましては、資料1-8に、同じく9月12日の第2回の委員会で意見交換したものの取りまとめをしています。

併せて5分程度で報告させていただきます。

まず、資料1-7ですが「全体について」とありますが、これは実は資料1-8とよく似たものになっております。

多くの意見が、キュアリーダーと当事者、関係者から出たものになります。

とりわけ表現の仕方について、当事者にあまり関わっていない表現が多いので、全体を見直していただきたい。

例えば話題になった言葉としては、困難を抱えるとか、誰でも虐待をする可能性があるのだという表現が、困難があるから我慢しろとか、虐待を受けるのは当然なのだというニュアンスに聞こえてしまう。これは当事者間の話合いの中の声ですので、特定の委員の御発言というわけではないことは御了解いただきたいと思います。

もう一つは、円滑な生活を送るという感じの表現があります。

なかなかそこまでたどり着けないこどもたち、状況にある人たちに、望ましいこども像といいますか、あるいは生活像といったものをかなり前面に出したような表現は、逆境の中で生きている人たちにとって非常につらい目的がありましたので、これについては、全体で調整いただきたいと思います。

資料7独自のものについて、焦点を紹介します。

全部紹介することはできませんので、あとは資料を御覧いただけたらと思います。

まず、児童福祉施設の役割です。

地域の中で様々な機能を果たしている保育所、認定こども園、児童家庭支援センター、来年からできるこども相談機関について、少し分かりやすく表現いただきたいという御意見でございます。

こどもたちの声に関しましては、社会的養護の下で暮らすこどもたちの声についても明記していただきたいということです。

それから、福祉住宅が出てくるのですが、パーマネンシー保障です。永続的解決。

養子縁組とかの環境、あるいはそれに近い状況での生活について、そういう状況のあるこどもたちもある。その上で理解いただいた上で、ゴールとしてパーマネンシー保障をしっかりと位置づけていただきたいということです。

その際に、家庭に対して言うことだけがパーマネンシーではない。ここに例示していますように、特別養子縁組等もそういうものなのだということ。

一方で、そこにたどり着けない、社会的養護の下で生きるこどもたちにつきましては家庭養護での里親制度、あるいは保育もできるだけ良好な家庭的環境と児童福祉法に明示されている目標をしっかりと実現していただきたいという意見でございます。

次に、1つ飛ばしまして、児童虐待防止対策と社会的養護の推進、(6)に対する意見ですが、今のパーマネンシー保障について論点がありましたので、再度書かせていただいておりますが、加えて、施設をできるだけ良好な家庭的環境という表現をしましたが、さらに最近の状況では、多機能化・高機能化も方向として明示していますので、それについてもできるだけ記載いただきたいということでございます。

第3の自立について。

「こども施策に関する重要事項」ですが、妊娠期から連続した切れ目のない支援。とりわけ妊娠期における予期せぬ妊娠等に対する対応について、現在乳児院・母子生活支援施設等での対応が可能になっています。かなり積極的にやっておられますので、そういう果たしている役割についても御留意いただきたいということでございます。

最後は、繰り返しになりますが、とりわけこれからは、児童家庭支援センターの果たす役割が非常に重要になることがございますので、これについて、報告は受託に準じた形でお願いしたいという表現ではなくて、具体的な形でお願いしたいという御意見でございます。

続きまして、資料1-8の虐待防止対策部会になります。

「全体について」は、先ほど申し上げましたとおりで、虐待防止対策部会の御指摘の範囲についての御意見を紹介していきたいと思います。

これも、先ほどの資料1-7と重なっていることを御了解ください。

重なる部分の一つですが「社会に参画できるようになるためには」という表現が第2の(2)にあるのですが、ここも望ましいこども像といいますか、そういうものが前面に出ていて、なかなかそこまでたどり着かない、社会参画に至らないこどもたちの声なき声をしっかりと聞いていただくように、大綱の中で御留意いただきたいという御意見でございました。

同じく、似通った状況で、社会的養護を中心に、虐待中心に話をしておりますが、その中に、外国籍のこどもも含まれているということで、そういうこどもたちの声も聞く必要があることを明示いただきたいということです。

1ページ目の最後になりますが、意見を表明したら、こどもたちは、そのまま自分たちの意見が反映されると思うことがあるわけですが、一方で、必ずしもそれが実現できない、本人たちはなかなか気づかないような全体状況の中で、意見が反映できない部分もある。

そういう場合、単に反映できないということではなくて、丁寧な説明をお願いする必要があることを明示するということです。

ライフステージにつきましては、こどもの育ち部会からも出ていましたので、ここは省略します。

人材確保について、特に児童相談所等の人材不足は非常に明確になっています。

加えて、来年からこども相談センターが出来上がっていくと、さらに三方における人材不足も出てくるのではないかということで、人的なものと、新しい問題に対応する養成課程を組み込んでいただきたいという意見でございます。

次に「こども施策に関する重要事項」で、貧困対策は後で出てくると思いますので、詳しくは述べませんが、できたらこども政策の中で、取り残されがちなこども・若者への支援を明記する必要があるのだということが意見として出ています。

それから、養育者自身、保護者の置かれている状況についても、虐待を受けているこどもたちに関心が集まりがちですが、保護者のほうも、育ちの中で虐待せざるを得ない、それ以外の選択肢がなかなかなかった人たちに対するものも明示いただきたいということです。

次のページに行きまして、中ほどになりますが「虐待等により家庭から孤立したときの居場所」です。

現在、端的に言いますと、大阪で今、グリ下という言葉がはやっていますが、そういうこどもたちが福祉の蚊帳の外にある感じがして、そういうこどもたちに対する仕掛け、取組も増えてくる必要があるのではないかという御意見が出ました。

親子関係の再構築ですが、先ほど少し言いましたが、多様な親子関係の在り方があることを意識した表現。一緒に住む以外にも、心理的に親子関係を続けていくのも、親子関係の再構築・維持につながるのだということも御意見としていただいております。

それから、性被害につきましては、あまり意見が出ておりませんでしたが、ここではもう少し意見が出ていました。

特に、性被害を受けたこどもたちの意見聴取の際、二次被害を起こさないような聞き取りの在り方等、いろいろなことが分かっているようです。

そういうことに配慮した取組を、こども家庭庁を超えた国全体にお願いしたいという意見でございます。

最後ですが、最終ページの児童相談所のICT化について、業務量が増えている中で、全てではなくて、ICTで対応できるところについては積極的に対応していく。そのような研究推進をお願いしたいということでございます。

以上、2つの部会を併せて報告させていただきました。

ありがとうございました。

秋田会長:山縣委員、どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、障害児支援部会長の有村委員からお願いいたします。

有村委員:秋田会長、どうもありがとうございます。

それでは、先般、御依頼をいただきまして、障害児部会として検討しました中間整理案についての意見を御報告したいと思います。

部会としては、9月13日に議論を行いました。

障害児支援部会においては、こども大綱の策定に向けた中間整理案について、全体としては御賛同いただきました。

しかしながら、それぞれの障害種別とか様々な状況について、御意見をたくさんいただきました。

その上で2点、特に既に全体としての記載がなされているのですが、特に障害児について進めるべきとの観点からの御意見。

もう一つが、具体的な修文に係る御意見がございますので、御報告させていただきます。

まず、全体に関わる意見としてですが、こどもの意見聴取については、特に障害児やその保護者の声を聞くことが大変重要であり、支援者がこどもの意見をキャッチし、様々な方法で酌み取る必要があるということ。

2点目に、こども基本法の定義は、年齢で区切らないということがございますから、障害のあるこどもについても、年齢で区切らないことを明示していく必要があるのではないかということ。

それから、こども・若者が権利の主体であることの周知徹底や、多様な遊びや体験、活躍ができる機会づくりなどについては、障害児についても強く進めていただきたいこと。

そして、相互に理解がないという社会の状況によって問題が起きている部分もあるため、障害のあるこどもとないこどもが一緒にいること、つまり、インクルージョンが大切であり、単に施策や支援だけでなくて、社会全体の中に障害児をインクルージョンしていくという理念を醸成・普及させることを今後5年間で注力していただきたいとの御意見もありましたので、併せて御報告させていただきます。

続いて、具体的な修文案でございます。

修文と言いましても、大事なところがたくさんありましたので、こちらで具体的にお話しさせていただきますが、まず、見出しについてでございます。

部会の中では、医ケア児のこともありましたが、重症心身障害児、発達障害児、聴覚・視覚障害児、強度行動障害等も含めて、様々な御意見がありました。

見出しについては、障害種別にかかわらず、本記載部分が幅広く障害児支援の方向性を示すことを明示していただく観点から、医ケア児の後に「等」を入れていただきたいと考えております。

2番目「発達の課題」という表現についても御意見がありました。

「発達に課題のある」や「発達の課題」という用語を使っておりますが、ここについては「特性」という表現にしていただくなど、表現を御検討いただきたいと思います。

続きまして、障害児支援における自立についてでございます。

障害児において、その発達や自立、社会参加を支援するとの記載のうち、自立や社会参加は重要なテーマなのですが、こどもの発達について述べる流れの中では、突然、この点について言及することになって、そう読める部分もございますため、自立とは一体どういうものを指しているのか、その意味するところを明確にする観点から「将来の自立」と記載していくなど、表現を検討していただきたいということ。

それから「個々の特性や状況に応じた質の高い支援」についてなのですが「こどもと家族に寄り添いながら」という文言を追加していただければと思います。

多くてすみません。

地域づくりについてですが、障害のあるこどもとないこどもが地域で共に安心していられる居場所づくり、共生社会を進めるという観点から「安心して暮らす」という部分に「共に」を入れて「安心して共に暮らす」という表現はいかがであろうかという御意見がありました。

それから、特別支援教育についてでございます。

こちらは「条件整備」という文言がございますが、これを例えば「安全・安心な環境整備」に修正していただく。

それから「学びの場の整備」と書いていただくところなのですが、どういう場をつくるかが誤解を生みかねないという御意見もありましたため、例えば「学びの場の充実」という表現にしていただければと思います。

最後でございます。

「インクルージョン」「インクルーシブ教育」などの表記ですが、ここは細かくその違いについての御意見もありました。そこが明確になるように、補足・注記をお願いしたいということでございます。こちらを中間整理案に反映いただきますよう、ぜひ御検討をお願いできればと思います。

最後に、こどもまんなか実行計画で参考にしてほしい意見として、妊娠中の支援、社会的養護と医療的ケア児の連携等について、今後検討される場面において御検討いただきたいとの御提案もありましたので、併せて御紹介させていただきます。

部会長としては、以上です。

部会長代理として御参画いただいています小野委員より、少し補足をお願いします。

小野委員:部会長代理をしています、小野と申します。

少しだけ補足させていただきたいと思います。

障害児支援につきましては、障害は非常に多様性がありますので、当然、それに対するニーズも非常に多様になってくる。非常に幅広いニーズを酌み取っていく必要があります。

その中で、それぞれの支援が少しずつ発展はしてきているのですが、それが別の場、あるいは別のプログラムということで、分断されている部分がまだまだあるかと思います。

その上で、今後5年間の施策の方向性として、さらにインクルージョンを進めていくことが、障害児支援においては非常に重要になってくるのではないかと思います。

それから、医ケア児等とも絡んでくるわけですが、専門的な支援を拡充していくとともに、その支援に対するアクセスをいかに保障するか。アクセスの保障も、障害児支援において、今後、重要になってくるかと思います。

もう一点、この大綱全体を通して、ライフステージを通じた支援が中心にあるわけですが、障害児支援におきましても、ライフステージを通じた支援ということで、特に大人への移行期、先ほど自立の話もありましたが、非常に長期的な視点が必要になってくるだろうと思います。

単に就労、あるいは自立した生活への移行だけで終わるものではなくて、その人その人の自己実現、自分の生き方ができるところまで十分な支援が継続される視点も含めていただければと思います。

以上でございます。

秋田会長:どうもありがとうございます。

有村委員、小野委員、ありがとうございます。

それでは、こどもの貧困対策・ひとり親支援部会の部会長、新保委員よりお願いいたします。

新保委員:ありがとうございます。

こどもの貧困対策・ひとり親支援部会では、今月初旬に部会委員の皆さんに意見を募り、先週金曜日の部会で、提出された意見を基に議論いたしました。

中間整理案について、当部会として修正を求めたい主な点としては、まず、貧困格差という用語についての整理です。

主に「第2 こども施策に関する基本的な方針」のうちの(4)の柱に関する意見となります。

具体的には、衣食住の不足という絶対的貧困の状況に置かれるこどもの存在が否定できない以上「格差と貧困」という順ではなく「貧困と格差」という順にした上で「将来を見据えた貧困の連鎖だけではなく、現在存在する貧困の解消」という文言を追加いただく必要があります。

また、中間整理案全体を通じて、貧困の解消とは、身体的・精神的・社会的な視点から、衣食住やライフラインなど、心身の発達や成長の前提となる安全・安心の保障であることを明記していただく必要があります。

また、支援を届けるに当たっての留意事項として、非常に苦しい状況にあるこどもたちに対するものなので、特に当事者に寄り添うことや、こどもに不利益にならないことを強調したいという意見がありました。

次に「第3 こども施策に関する重要事項」の1の「(4)こどもの貧困対策」について述べます。

まず、この部分については、家庭の経済状況が理由で学校生活が制約されたり、進路が狭まったりすることなく、全てのこどもが夢や希望を持って挑戦していくことができるように、修学旅行費、給食費など、就学期間における支援や、高等教育費の負担軽減を実施していくべきという意見が多くありました。

注意すべき点として、教育に関する記述には「学ぶ意欲と能力のある全てのこども・若者」という表現がありますが、貧困や虐待などの困難によって、意欲が喪失しているこどもが置き去りにされるような印象を与えかねないので、ここは「全てのこども・若者」という表現のほうが適切であるというのが当部会の意見です。

また、保護者の就労支援に関しては、こどもが親からケアされる時間の確保も意識すべきという意見がありました。

様々な支援につながる場として、学校は非常に重要な場であるということが当部会の共通認識でした。

「学校を地域に開かれたプラットフォーム」という記述が既に入っていますが「気づきにくい家庭の生活困窮を把握して、支援につなぐ」という記述も追記する必要があります。

独り親家庭の支援については、我が国の独り親の就業率は85%を超え、高い水準であることを踏まえると「単に自立を促進するだけではなく、高い就労率を経済的な自立実現に結びつける」という記載が必要です。

当部会として修正を求めたい主な点は、以上のとおりですが、具体的に修正箇所を明示した修正案をまとめておりますので、当部会事務局を通じて提出するようにいたします。こども家庭庁内、あるいは関係省庁間でしっかりと調整いただき、こども大綱への反映をよろしくお願いいたします。

私どもも、大石部会長代理とも一緒にやってまいりましたので、大石部会長代理からも御発言いただければと思います。

大石委員:ありがとうございます。

今、部会長がほとんどお話しいただきましたが、大変活発な議論がございました。

一つ補足させていただきますと、時間の貧困にも目を向ける必要があるという意見が多数ございまして、部会長が御説明くださいましたが、経済的自立を追求し過ぎると、今度はこどもが親からケアされる時間が圧迫されるというジレンマがございますので、その面での書きぶりについての懸念が幾つか出されたことがございました。

以上です。

ありがとうございます。

秋田会長:新保委員、大石委員、どうもありがとうございます。

皆様、ありがとうございました。

各分科会・部会からの御発言も踏まえて、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。

平野委員:まだ先かな。

資料2などについて質問してもよろしいでしょうか。 まだ先になりますか?

秋田会長:今は大綱に関してでございます。

平野委員:ごめんなさい。

秋田会長:よろしいでしょうか。

平野委員:はい。すみません。

秋田会長:ありがとうございます。

ほかにはよろしいでしょうか。

上鹿渡委員:お願いします。

秋田会長:どうぞお願いいたします。

上鹿渡委員:ありがとうございます。

早稲田大学の上鹿渡です。

一つ、こども家庭審議会の委員として質問なり、意見ということで述べさせていただきたいと思うのですが、今回、大綱の中間整理案で、様々な取組がこどものためにということで、たくさん始まると期待できるようなものが挙げられていますが、これをこどものためにで終わらせずに、こどもと共につなげるために、こどもの声を聞き、反映させるシステムと、その確実な実施を担保する国レベルの独立した監視機関が必要ではないかと思っております。

基本政策部会の第7回で、国連の児童の権利委員会の大谷弁護士からもそのような御意見といいますか、お話があったと思います。

政府による調整ではなくて、それに加えて、さらに独立の監視メカニズムが必要と述べられているのですが、この点について、今、中間整理案に入っていないかなと思うのですが、ぜひ盛り込んでいただきたい。キーワードとして入れていただくだけでも、入れていただいて、次の5年間にできなかったとしても、検討を始めて、必要であるということになれば、それをしっかりと次につなげていくといったことがなされるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

秋田会長:この点につきまして、事務局、いかがでしょうか。

佐藤参事官:事務局から御説明いたします。

いわゆる子どもコミッショナーなどと呼ばれる第三者機関の設置の検討について、基本政策部会においても議論がありました。

また、基本政策部会においては、先ほど松田部会長代理からもお話がありましたが、条約に基づく児童の権利委員会の委員長も務められた大谷弁護士からのヒアリングでも話が出ました。

大谷弁護士は、こどもが権利を侵害されたときに救済するという側面だけではなく、今の上鹿渡委員の御指摘にも絡むと思いますが、もっと広く、こどもの権利のための政策などがどうなっているのか、政策的な提言につなげていく機能が重要であると。そうしたお話があった上で、こども家庭庁にその役割を期待していると。こども基本法とこども家庭庁ができて、大きな柱として条約を実施するための大きな土台ができたといったお話がありました。

1点目の権利侵害の救済でありますが、地方分権を旨とする我が国においては、地方公共団体が取り組むべきことであります。

この点は、資料1-1の本文ですが、14ページ目の9行目、10行目に「こどもの権利が侵害されたときの救済機関として、地方自治体が設置するオンブズパーソン等の相談救済機関の実態把握や事例の周知を行い、取組を後押しする」と記載されています。

2点目の政策提言機能、今、上鹿渡委員からも御指摘があった点でありますが、大谷弁護士は、ヒアリングのときに、こども家庭庁に期待しているとおっしゃってございましたが、より適切には、こども家庭審議会がその機能を法令上有しています。こども家庭審議会がこどもの視点に立って施策や制度の改善提案を行うことは、36ページ目で項目を立てて明記しているところであります。

なお、こども家庭審議会がある中で、同じような政策提言機能を持つ別の機関を置くことは、法制的に想定し難いものと認識しています。

冒頭の加藤大臣からの御挨拶の中でもありましたが、こども家庭審議会がまさに現場の視点、こどもや若者の視点、当事者の視点に立って、充実した調査審議を行っていただき、施策や制度に関する改善提案をしていただき、こどもの権利を守る。そうした取組をしていただければ幸いです。

以上です。

上鹿渡委員:ありがとうございます。

こども家庭審議会がまさにそういった役割を担うことを我々はしっかりと認識して、しっかりと取り組まなければならないと思います。

ただ、大谷委員の議事録の中で、そのまま読み上げますが「最後に、その調整は政府の中で調整を行う機関が必要なのですが、それを今回、こども家庭庁がされるのだろうと私は期待しているのですが、そういう政府による調整ではなくて、に加えてといいますか、さらに独立の監視メカニズムというのが必要であるというのが一般的実施措置の中でも重要な考え方です」とも述べられておりますので、しっかりとした取組としてこども家庭審議会で動きがまだ出ていないところかもしれませんが、これから新しい取組がなされる中で、我々はそこにしっかりと取り組みながら、そこだけでは難しいということになれば、ここの役割を超えて、独立した監視メカニズムということも議論していく時期が来るのではないかと思いますので、ここはぜひ共有して、始めていかれたらいいかなと思っております。

よろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

秋田会長:ありがとうございます。

それでは、本日の議論を踏まえた修正につきましては、ここで会長一任とさせていただき、私の下でさらに必要な修正を行った上で、こども家庭審議会としての中間整理として取りまとめさせていただきたいと思いますが、御異議はございませんでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。

(首肯する委員あり)

秋田会長:皆様うなずいてくださっておられますので、オンラインの方も大丈夫でしょうか。

ありがとうございます。

それでは、御異議なかったということで、進めさせていただきたいと思います。

どうもありがとうございます。

それでは、時間が押しておりますが、これからは、幼児期までのこどもの育ちビジョンの中間整理につきまして、同じく総理からの諮問でございます。

「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン」の策定に向け、幼児期までのこどもの育ち部会において議論を行ってまいりました。

これまでの幼児期までのこどもの育ち部会での御議論を踏まえ、部会としての中間整理を取りまとめましたので、大豆生田部会長代理より御説明をお願いいたします。

大豆生田委員:部会長代理の大豆生田です。よろしくお願いいたします。

「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン」の中間整理案について、概要に基づいて説明いたします。

資料2-2を御覧ください。

幼児期までのこどもの育ち部会では、4月の総会における諮問を受け、これまで7回にわたり部会を開催し、中間整理案を取りまとめました。

初めに、資料のタイトル部分を見ていただきたいのですが、部会としては、今回取りまとめる「育ちのヴィジョン」の考え方を、社会の全ての人に端的に分かりやすく伝えていくことが必要であると考えました。

このため、母親の妊娠期から幼保小接続期がおおむね100か月になりますので、人生の初めの100か月の育ちを全ての人に支えるメッセージとして打ち出してはどうかと考えています。

次に、資料の左上を御覧ください。

「育ちのヴィジョンを策定しすべての人と共有する意義」についてです。

乳幼児期は人生のスタートの時期であり、また、脳発達において環境の影響を受けやすい時期の一つであるなど、生涯にわたるウェルビーイングの向上にとって、最重要な時期でもあります。

一方で「誰一人取り残さないひとしい育ちの保障」に向けては、例えば虐待死の約半数が0歳児であったり、誕生・就園・就学の前後や、家庭・園・関係機関等の環境間に切れ目が多いとされるなど、課題があると捉えています。

そのような中で、就園状況や家庭環境に左右されずに、幼児期までの全てのこどもの育ちを充実させるためには、社会全体の認識共有と関連施策の強力な推進を行うための理念や基本的な考え方を示す羅針盤が必要であると整理しました。

このような前提の下、全てのこどもの誕生前から幼児期までの時期からの生涯にわたるウェルビーイングの向上を「育ちのヴィジョン」の目的として整理しました。

目的についてです。

全てのこどもの生涯にわたる身体的・精神的・社会的なウェルビーイングの向上のためには、右上の図にあるとおり、こどもの持つ身体と心の側面、こどもの周りを取り巻く身近な環境や社会的状況、より広い環境としての社会の側面の3つの観点、つまり、バイオ・サイコ・ソーシャルの観点で捉えることが大事です。

あわせて、こどもと大人が共にこどもの誕生や乳幼児の笑顔に触れ、その成長を喜び合うことが、大人も含めた社会のウェルビーイングの向上につながるものであると整理しました。

続いて、資料の中央部分ですが、中間整理案では、こども基本法の理念にのっとり、幼児期までの育ちにとって重要であり、言わば羅針盤として、特に全ての人と共有したい基本的な視点を5つのビジョンの柱として整理いたしました。

1点目「こどもの権利と尊厳を守る」についてです。

乳幼児は生まれながらに権利の主体であること。

生命や生活を保障すること。

乳幼児の思いや願いを尊重することといった、こどもの育ちの質をしっかりと保障していくことについて整理しました。

2点目「『安心と挑戦の循環』を通してこどものウェルビーイングを高める」についてです。

乳幼児の育ちにはアタッチメント(愛着)の形成と、豊かな遊びと体験が重要です。

初めに、アタッチメントについては、こどもが怖くて不安なときなどに、身近な大人が寄り添い、安心の土台となるものです。例えば母親が血縁者以外も愛着の対象になり得るといった科学的な知見も踏まえつつ、アタッチメント(愛着)の重要性を整理しました。

続いて、豊かな遊びと体験についてです。

乳幼児期からウェルビーイングを高めていく上では、アタッチメントを基盤としながら、様々な人や環境と出会い、豊かな遊びと体験を通じて、外の世界へ挑戦していくことが不可欠です。

そこで、乳幼児の育ちの最大の特徴と言える行為が遊びであることを強調した上で、豊かな遊びと体験の重要性を分かりやすく示しつつ、多様なこどもや大人、物、自然、場所、絵本等の身近なものとの出会いにより、挑戦を応援していくことが大切であると整理しました。

3点目「『こどもの誕生前』から切れ目なく育ちを支える」についてです。

乳幼児期のこどもは、連続性や多様性を重視して育ちを支えることが特に重要です。

ですが、一方で、誕生前後、就学前後、小学校就学前後などのタイミングで環境・社会の面が大きく変わる節目が存在します。

この節目がこどもの育ちの切れ目にならないようにという観点。

また、乳幼児期に支えられてきたものが、様々な立場で次代のこどもの誕生前から幼児期までの育ちを支える立場になるという循環が続いていくという観点から、学童期から乳幼児と関わる機会。

母子保健分野と子ども家庭福祉分野が連携することも含め、誕生の準備期から支えること。

幼児期と学童期以降の接続にも留意することなどについて整理しました。

4点目「保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする」についてです。

特に幼児期までは、こどもに最も近い存在であり、アタッチメントの対象となる保護者・養育者がこどもの育ちに強く影響を与えます。そのため、保護者・養育者自身のウェルビーイングを高めることが、こどもの権利と尊厳を守り、安心と挑戦の循環を通じて、こどものウェルビーイングを高めていく上でも欠かせません。

一方で、保護者・養育者自身にとっても、養育経験の初めの時期であり、特に支援・応援が必要です。

そのため、保護者・養育者が支援・応援を受けることを当たり前に思える環境づくり。

全ての保護者・養育者が支援・応援とつながる必要性。

男女ともに保護者・養育者がこどもと共に成長していく、いわゆる共育ちの重要性などについて整理しました。

5点目「こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す」についてです。

養育の第一義的責任を有する保護者・養育者の役割は重要であるからこそ、その養育を社会が支え、応援することが必要であり、こどもの育ちに関する家庭や地域などの社会の情勢変化も踏まえ、現代の社会構造に合った発想でこどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増していくことが必要です。

そこで、全ての人がそれぞれの立ち位置でこどもを支える当事者となることについて、こどもまんなかの視点で分かりやすく図に表したこどもまんなかチャートを作成しました。

簡潔なものは資料にも記載してありますが、こどもまんなかチャートの様々な立ち位置でこどもを支える人同士をつなぐコーディネーターの役割を担う存在や、こどもを取り巻く環境・社会に関わる人が共通言語を共有し、できる限りそれぞれの点での支えが、横につながった面でのネットワーク構築の必要性などについて整理しました。

最後に、資料右下の「今後の検討事項~実効性のある育ちのヴィジョンとするために~」についてです。

部会としては、国においてこども政策の司令塔となるこども家庭庁が中心となり、省庁の縦割りを超えて、関係省庁と緊密に連携し「育ちのヴィジョン」の実現に必要なこども施策をこども大綱等に体系的に位置づけ、推進すること。

全世代、立場を超えた全ての人それぞれと「育ちのヴィジョン」の考え方を共有するために、社会の認識転換や具体的行動の促進のための取組を推進することなどにより「育ちのヴィジョン」の実現を強力に推進することを期待しているところです。

以上、部会としては「育ちのヴィジョン」がこどもの初めの100か月の育ちをしっかりと保障するための羅針盤になるよう、引き続き力を尽くしてまいります。

説明は以上です。

ありがとうございました。

秋田会長:大豆生田委員、御説明ありがとうございました。

続きまして、議事4、こどもの居場所指針の検討状況につきまして、同じく総理からの諮問を受けております。

「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」の策定に向け、こどもの居場所部会において議論を行っていただきました。

これまでのこどもの居場所部会での検討状況につきまして、前田部会長より御報告をお願いいたします。

前田委員:前田です。

御指名ありがとうございます。

皆様、聞こえますでしょうか。

秋田会長:はい。大丈夫です。

前田委員:こどもの居場所部会におきましては、全20名の委員で構成され、これまで計9回開催いたしました。

委員の皆様からのヒアリングをはじめ、こどもの居場所づくりの関係団体のヒアリングのみならず、実際にこども・若者にこども家庭庁に来ていただきまして、部会の委員がファシリテーターを務めまして、直接こども・若者からヒアリングをすることも実施いたしました。

また、こども・若者へのアンケート調査も実施し、広くこども・若者から意見を聞いてまいりました。

その上で、こどもの居場所づくりについての論点を素案として整理し、議論しているところでございます。

資料3-2を皆さんに見ていただきながら、素案の内容について御説明させていただきたいと存じます。

ただし、素案につきましては、現在、議論の最中でございまして、先週22日の金曜日におきましても、3時間近くいろいろと議論がございましたので、まだ変更の可能性があるという前提でお話を聞いていただければと存じ上げます。

それでは、スライドの2ページ目の「目次」を見ていただけますでしょうか。

「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」でございますが、5つの章で構成しております。

こどもの居場所づくりが求められる背景や理念などを記載した第1章。

こどもの居場所や居場所づくりなどの定義についての第2章。

こどもの居場所をどのように進めるかについての方針を記載した第3章。

最後に、第4章と第5章では、居場所づくりに関係する者の役割や責任、推進体制などを記載しております。

3ページ目をお願いします。

これで全体の考え方などについて御説明させていただきます。

まず、こどもの居場所づくりが求められる背景についてでございますが、居場所がないことは孤独・孤立の問題と深く関係しており、こどもが生きていく上で居場所があることは不可欠でございます。

その上で、地域のつながりの希薄化など、地域のコミュニティーの変化。

自殺するこどもの数の増加など、複雑かつ複合化した課題。

価値観の多様化などの背景から、こどもの居場所づくりが求められています。

続いて、こどもの居場所づくりの理念についてでございますが、全てのこどもが心身の状況や置かれている環境などにかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸せな状態、ウェルビーイングな生活を送ることができるようにするために、こどもまんなかの居場所づくりを実現することとしております。

こどもの居場所とは、こども・若者本人が決めるものであり、こどもの主体性を大切にすることが重要であるとしています。

一方で、こどもの居場所づくりとは、第三者が中心となって行う場合もございまして、こどもが居場所と感じることと居場所をつくる間には隔たりが生じる可能性がございますため、こどもの声を聞き、こどもの視点に立った居場所づくりが求められるとしています。

本指針の性質についてでございますが、居場所には、居場所づくりを目的として行われるものと、別の目的で行われた結果として、こども・若者の居場所となる場も存在いたします。

本指針では、居場所づくりを目的としている場はもちろんのことながら、結果として、こども・若者の居場所になっている関係者にも広く参照してもらうことを考えております。

また、年齢の範囲についてでございますが、こどもであっても、若者であっても居場所を必要とすることは同様でございまして、今の書きぶりでは「就学期以降のこども」になっておりますが、ここには委員から大変いろいろな意見が出ておりまして、乳幼児期から後期青年期までも含めた居場所についての重要な視点が盛り込まれるべきであり、盛り込まれているという御指摘がございますので、本文も含めて、今、書きぶりを検討している最中でございます。

4ページ目でございます。

ここでは、基本的な視点について取り上げております。

こどもの居場所づくりに当たりましては、4つの基本的な視点で整理しております。

まず、全ての視点に共通する事項として、こどもの声を聴き、こどもの視点に立ち、こどもとともにつくる居場所。

こどもの権利を擁護すること。

官民の連携・協働を推進することの3つを挙げています。

その上で、こどもの居場所を整備するための「ふやす」視点に加え、こどもたちがその居場所につながるための「つなぐ」視点。

また、その場がこどもたちにとってよりよい居場所となるために取り組むための「みがく」視点。

最後に、居場所づくりを検証する「ふりかえる」視点の4つの視点を掲げております。

最後に、5ページ目をお願いいたします。

最後に、民間機関や地方自治体、国の役割などについてでございます。

こども家庭庁のリーダーシップの下、政府一体となって居場所づくりを進め、地方自治体などにおいては、福祉部門と教育部門が連携しながら推進し、自治体のこども計画に位置づけ、計画的に推進していくことなど、それぞれの立場での役割を記載しております。

こどもの居場所部会では、引き続き、こどもの居場所づくりに関する指針を年内に閣議決定できるよう、議論を進めてまいります。

まだ議論の最中でございますので、何とぞ御支援、御理解をどうぞよろしくお願い申し上げます。

私からの説明は、以上となります。

ありがとうございました。

秋田会長:前田部会長、どうもありがとうございます。

それでは、議題3及び議題4について、御質問のある方は、挙手をお願いいたします。

平野委員。

平野委員:ありがとうございます。

まずは、中間報告の段階で大変感動しておりまして、すばらしい大綱が出来上がると期待しております。これは私も含めて、大人が一生懸命に読んで勉強して、多くのところに伝えていかれたらと思っているのですが、議題4や議題5とかに限定した話ではなくてすみませんが、多くの方に知られるために、それこそこういうものを絵本にして、大人が読みやすいとか、どの世代でも読みやすいようにするとか、そういう広報などは今後、視野に入れていらっしゃるのかなどは、今の質問としては気が早いでしょうか。お聞きしたいところでございます。

今回、私どもは、児童福祉文化分科会でお役目を頂いているのですが、こどもにとっての優れた文化財の選定を、厳正なる審査の下に選定して決めている部会でございます。

以前、秋田会長の下でずっと牽引していただいた会なのですが、この中で文化財のことについてあまり触れられていないと以前伺っていたもので、事前に私どもの分科会で議論する機会がなかったものです。

ところが、今日拝見しましたら、文化財のことについて触れられていまして、例えば資料2-1の19ページなのですが「文化財には絵本や図鑑などがある」とあります。

この「など」は、先ほど有村委員も、何かの文言の後に「等」とつけてくださいとありまして「等」とか「など」は、現場に下りてきたときに、すごく大切だと思っているのです。

それで「など」について含まれる内容に、舞台公演とか映像、映画などは入ると考えてよろしいのかどうか、質問でございます。

というのは、私どもの文化財選定のとき、出版物、舞台公演、映像という3つの大きな柱の中で選定しておりまして、書籍はもちろん、絵本や図鑑がばっちり入っているのですが、今回の資料では、出版物が目立っている感じなので「など」については、舞台公演、映像、そのほか様々なメディアが含まれるのか、教えていただければと思います。

秋田会長:事務局、お願いいたします。

齋藤課長:育ちの部会の事務局をしておりました、成育基盤企画課長の齋藤でございます。

今、御指摘がございましたとおり、部会の議論の中で、遊びの中で、特に文化財も含めて、かなり幅広く議論していただきました。

この部分につきましては、大豆生田代理からも、かなり網羅的にカバーするということで、こういった形で例示していただきました。

ということですので「等」には、当然、御指摘のように、幅広くこどもに対していい影響を与えるものが含まれていると考えておりますので、御指摘の点も含めまして、今後、さらに検討していきたいと思います。

ありがとうございます。

平野委員:ありがとうございました。

秋田会長:ありがとうございます。

佐藤参事官:会長、もう一点よろしいですか。

秋田会長:はい。お願いします。

佐藤参事官:平野委員からの最初の御質問で、こども大綱の絵本とかの件です。

こども大綱の内容は、大人の皆さんはもちろんですが、こどもや若者に多く知ってもらいたいと思っています。それが極めて重要だと思っています。

今回、10月に意見を聞く取組をやるのですが、そのときにも、こどもや若者に分かってもらって、意見を言ってもらいたいので、今日、参考資料2に中間整理のやさしい版をおつけしています。

説明は省きますが、ここは中学生から高校生年代ぐらいのこどもが分かってほしいなという感じで、少しかみ砕いて、やさしい版として作りました。それはもちろん、大人の皆さんにもなると思います。

また、小学生年代のこどもからも意見を聞きますので、さらにかみ砕いた資料を今準備しています。

その上で、こども大綱が出来上がった暁にも、もちろん、こどもにとって分かりやすいやさしい版を作ったり、それは絵本だったり、漫画だったり、いろいろな形があり得ると思うのですが、今、事務局の中でも議論していまして、ぜひお力添えもいただきながら、一人でも多くのこどもたちに分かってもらえるようなものを作っていきたいと思っています。

ありがとうございます。

秋田会長:ありがとうございます。

それでは、時間の関係もありますので、議題3及び議題4については、これにて終了といたします。

議題3につきましては、御意見を踏まえた修正について、会長一任とさせていただき、議題4、居場所の指針については、御意見を今後の取りまとめに向けた検討に生かしていきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

(首肯する委員あり)

秋田会長:ありがとうございます。

うなずいていただきまして、御承認いただきました。

ありがとうございます。

時間が押しておりまして、申し訳ございませんが、議事はもう一つございます。

「5.その他」。

最後に、こども家庭審議会第1回において制定したこども審議会運営規則について、改正事項がございます。

資料4のとおり「分科会及び部会の議決」について、赤字になっているところですが、第3条を追加し「分科会及び部会が、その所掌事務について議決をしたときは、当該議決をもって審議会の議決とする。ただし、審議会が、あらかじめ当該議決に係る事項に関して、審議会の議決を特に必要とすることを定めていたときは、この限りでない」としたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

秋田会長:ありがとうございます。

御異議なしということを確認させていただきましたので、このように改正いたしたいと思います。

これに基づき、こども大綱に向けた答申については、審議会の議決の特に必要とすることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

秋田会長:ありがとうございます。

では、そのようにいたします。

以上をもちまして、本日の会議はこれにて終了といたします。

皆様、少し時間が押しましたが、どうもありがとうございました。

堀江委員:先生、1点だけいいですか。

秋田会長:どうぞ。

堀江委員:ありがとうございます。

1分しかないので、申し訳ないです。

先ほどのこどもの意見を聞く機会は、9月末からかと思うのですが、やさしいこども大綱を拝見していて、1個だけすごく気になったことがあったので、御意見させていただきたかったのです。

スライドの3ページですが「若者が」という言葉で、吹き出しで言っている方の横が、子育てをしている方みたいな感じになったときに、若者と子育て当事者が結構一緒くたにされがちだと思うのですが、若者イコール育児期ではないと思うので、それがこどもを産む者というプレッシャーになると櫻井さんとかもよくおっしゃっているところもあるかと思うので「若者が」「子育て当事者が」と分けていただいたりするのが、もしこれからすぐに出すのであれば大事かなと思って、最後に一言だけ失礼いたしました。

秋田会長:ありがとうございます。

貴重な意見をありがとうございます。

では、これで閉会とさせていただきます。

どうもありがとうございました。