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未就園児等の把握、支援のためのアウトリーチの在り方に関する調査研究 検討委員会(第2回)

概要

  • 開催日時:令和4年11月17日(木)14時00分から16時00分まで
  • 開催形式:オンライン・対面開催

議事

  1. ヒアリング結果について
  2. 取りまとめの整理の観点及び記載すべき内容について

配付資料

議事要旨

  1. 開会

  2. こども政策担当大臣及び大臣政務官挨拶

  3. 議事

(1)ヒアリング結果について

  • 事務局より、前回委員会での意見やヒアリング結果概要について説明。
  • 北村委員、高橋委員よりそれぞれ豊橋市、足立区における取組を紹介。
  • 委員からの主な意見は以下の通り。
    • アウトリーチの重要性を感じている。養育に困難を抱えている保護者に対して、専門的な人材による支援が必要であり、また、ホームスタートのように、当事者性を持った人によるピアサポートも重要である。現状、支援に関わる人材がかなり不足している点が非常事態で、課題であると認識している。丁寧な関わりができるキーパーソンを増やしていかなければならない。妊娠を契機とした支援の開始から、利用者が主体的にサービスを選択できるよう、社会資源やそれに関わる人材を増やして支援につなぐ入口を多く作ることが重要である。
    • 外国ルーツの方の支援の在り方には現状として地域差がある。外国ルーツの方の集住地域には様々な支援の基盤がある一方で、散在地域での支援にはまだまだ課題がある。特に日本語の理解ができない養育者は地域や人との関わりがなく孤立している。南米やフィリピンの家庭では、困ったことがあったら母国が同じ人に病気のこどもをみてもらったり、こどもの兄・姉にみてもらうことがあるが、背景には親類が多く、誰かにこどもをみてもらうといった文化がある。
      その中で、ヤングケアアラーのように、学校を休んで下のきょうだいの面倒をみなければならない状況には支援が必要だと認識している。また、プレスクールでひらがな、カタカナを習得して就学につなげる支援体制が必要であるが、現状としてそのような取組事例は少ない。日本語に課題を抱えたまま小学校に入学するが、十分に日本語が理解できていないため、その後学年が上がるごとに他の子との学力の差が開いてしまう等の事例がある。小学校中学年になり、日本語の語彙力が少ないことが顕在化し、1 年生から遡って再学習が必要になる。例えば、保育所での絵本の読み聞かせ等で、就学前に日本語を学習し、語彙を増やすための支援ができるとよい。また、日本語の不十分な外国ルーツの園児への支援体制として、保育者等への研修等も必要と考える。
    • ヒアリング調査結果の中で、未就園の背景要因として養育者が就園を希望しないケースがあるとの報告があった。子育て支援、母子保健、小児科等の支援者側の関わり方が、その要因となりえることも認識しなければならない。支援のための社会資源のバリエーションも重要であるが、人材育成という観点では質も重要になると認識している。
    • 調査結果を見て、地域による支援の差があり、支援が行き届いていない地域があることが課題と認識した。自身は支援サービスの資源が少ない地域に居住していた経験があるが、全ての自治体で同様の支援が受けられるよう、自治体間で取組の情報共有がされるとよい。
    • 自治体職員にとっては、他の自治体の取組を把握する機会が少なく、報告書としてまとめることで自治体にとって有用な情報となることを期待したい。
    • 保護者側にニーズがなく、就園にはつながったが通園を継続できず不登園となる事例がある。未就園の他に、保育所を休みがちな事例等についても虐待等のリスクがあり注意する必要があると考える。
    • 地域資源について自治体で差があるのは、サービスを提供できる人材がその地域にいるかどうかに依存するためである。外国ルーツの方の就園状況について、足立区では、外国籍の3~5 歳のこどもが約 5%であり、北村委員の説明にあった豊橋市と同等の割合であった。3 歳の未就園児 239 名のうち外国籍の子の割合は約1/2、4歳児では 204 名のうち約1/4、5 歳児では約1/9と年齢とともに未就園児の外国籍の子の割合が減っている。外国籍の方についても、年齢とともに在住歴が長くなり地域資源につながっているように考えられる。

(2)取りまとめの整理の観点及び記載すべき内容について

  • 事務局より取りまとめの整理の観点及び記載すべき内容について説明。委員からの主な意見は以下の通り。
    • 子育て支援拠点が全国に約 8,000 か所あるが、妊婦が利用してもよい施設であるということをもっと周知する必要がある。利用者の声を聞くと、子どもが生まれてから利用を開始できる施設という認識があるようだ。妊娠期からの切れ目ない支援というキーワードの中、妊娠中から困ったことがある場合には、身近に、気軽に足を運べるというメッセージを伝えていく必要がある。また、就学のタイミングが支援の切れ目になりうる。3 歳以上でも在宅で子育てしている家庭もあるが、養育者の自主性を尊重しながらも、集団の中でこどもが育つということを無理やりではなく、声を聞きながら伴走支援していくことが必要である。当事者の主体性を中心に置き、妊娠期から各年齢において、継続して関わることが重要である。
    • 外国ルーツの方に関して、多言語の資料が行政等から提供されていることを知っている人はサービスにつながりやすいが、それを知らず孤立している人もいる。また、当事者と支援者の信頼性の構築という観点で、当事者が様々な不安を抱えていると、自ら積極的にサービスの利用を開始するのは難しい。支援につながるまでは、コミュニティのキーパーソンを要請して、そういったキーパーソンを巻き込みながら当事者との信頼関係構築、支援につなげていく必要がある。支援開始の最初の一歩を踏み出すことが難しいため、入り口のサポートが重要である。また、就園等につながる際にいじめを懸念する養育者が多く、就園を控えることがある。特に外見等について、幼稚園・保育所等での他の園児に対する異文化理解、多様性の理解を進めるような体制作りが必要である。
    • アウトリーチにおいて家庭訪問をする際のテクニックは難しい。支援の必要があり家庭訪問しても、かえって当事者を混乱させたり、恐怖心を与えてしまうこともある。また、こどもの母親が支援の必要性を理解していても、他の家族がそれを理解できない等の複雑な事例もあり、訪問の際の対応は難しく、場合によっては、状況に応じてチーム構成を検討する等の十分な作戦を練って訪問する必要がある。組織をマネジメントし、訪問に適した人材をコーディネートできる人材の育成の必要性について、本調査研究を通して方向づけられるとよいのではないか。
    • 行政サービスでは相談しづらいという声を子育て中の方からよく聞く。例えば、健診の問診等で「野菜を食べない」と記載すると、アドバイスというより、注意されたと感じる経験を持つ方も多い。そのため、それ以降困りごとを正直に問診票に書かなくなる。指導ではなく寄り添うことが必要である。特に、発達障害を持つ養育者は物事を 0 か 100 という思考で捉える方もいる。一度嫌な経験をするとその後行政の支援を利用しにくくなる。支援を受ける側が行政を敵と認識しないように支援する必要がある。また、当事者自身は困っていることを困りごとだと認識できない場合や、困っていることを言語化できないということもある。まずは困っているということを、否定しない形で第三者から説明してもらい、解決策をもらえるとありがたい。
    • 調査結果の中に、健診を集団健診で勧めるといった事例もあった。一方で、集団健診は発達障害のある子にはハードルになる部分もある。集団の中で長時間待つことや、初めて会う医療スタッフ等に診てもらうことは、こどもにとって見通しがつかず、これから何をされるのかといった恐怖感を与えることになる。かかりつけ医に診てもらう方が、適切に診察でき、負担なく健診が受けられる場合もある。また、就園につながっても登園が継続できないという意見があったが、保護者にとって登園させることは負担な面もある。園によっても運用は異なるが、朝の登園までの準備、帰宅後の対応等は負担が大きく、その負担が減らせるように配慮することも必要である。さらに、地域によっては園児数が少なく、PTA の役員が頻繁に回ってくることが負担になる。PTA を廃止すると園が存続できないとも聞いたが、バザーや PTA 等の対応は保護者にとって負担である。
    • 就学すると、児童デイサービスや療育等のサービスの切れ目になりうる。通常級に入学した時点で、支援は不要となり利用できるサービスがなくなった。継続的に相談できる先があるとよい。受給証がなくても、年に 1 回でも、相談の機会等があるとよいのではないか。
    • 拠点のサービスで「場所」を作ると、それを利用する人、利用しない人が生まれるというのも現実である。昔は、自然発生的に集いの場があり、そこに来る人、来ない人といった区別もなかった。移動図書館、健診車等の移動式の取組もあるため、拠点が移動し、各地域の近くに行くこと等により、保護者の方が集まれる場をつくる工夫をすることも一案ではないか。特に、近年就園時期が早まり、2 歳以降は就園児が多く、拠点の施設を利用している子がより幼い子に限定されてしまう傾向にある。このような状況では、2 歳以上の未就園の養育者は利用しにくくなるという意見をボランティアの方から聞いた。2 歳以上の養育者も集まれるような、ターゲットを絞った取組等のバリエーションがあると、利用したいと思われるのではないか。また、データ連携として、自治体にあるデータを有効活用してリスク等を検出し、最適な取組が進められると良い、ということを取りまとめでも言及して頂きたい。
    • ある事例で、普段支援になかなかつながらず、行政側からの連絡にも反応が乏しい家庭から、突然電話がかかってきたということがあった。相手からのアプローチのタイミングをうまくつかみ、支援につなげるテクニックは重要である。特に、相談窓口の連絡先が相談内容等によってそれぞれ変わるよりは、一本化した方が相手からは連絡しやすいため、そういった工夫も必要である。児童分野の事業や取組で特徴的なことは、支援を求めてこない事例に対して、支援を行う必要があることで、そこに難しさがある。初回の接触において、相手からの信頼を獲得して、本音で相談してもらえるだけの対応力がある人材が、マネージャーになっていくべきである。子育て支援施策において、拠点等の施設の整備が進んできたが、次の段階においては人材育成が必要になると考えている。相手の状況を理解し、信頼を獲得しながら話を引き出すことのできる人材が必要である。行政の職員だからできるというものではなく、マネジメントできる人材をキーパーソンとして支援できる仕組みが必要である。

4.今後の予定、その他

  • 事務局より今後の予定等について、説明。

5.閉会

以上