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未就園児等の把握、支援のためのアウトリーチの在り方に関する調査研究 検討委員会(第4回)

概要

  • 開催日時:令和5年3月1日(水)14時00分から15時30分まで
  • 開催形式:オンライン・対面開催

議事

  1. 報告書(案)について

配付資料

議事要旨

1. 開会

和田副大臣より開会の挨拶。

2. 議事

(1)報告書(案)について

  • 事務局より、報告書(案)の第1部~第3部、および、報告書概要(案)について説明。委員からの主な意見は以下の通り。

【第2部】

  • p.23 の当事者ヒアリングにあたって関係者団体の紹介をした。当事者からは事務局から丁寧なヒアリングを受けたと聞いており、また、このような機会を設けてもらったことについて感謝の言葉が届いている。当事者の言葉を吸い上げてもらえるという国の姿勢がとてもうれしいという言葉を頂いている。今後も、こども家庭庁に道標を示していただくことを期待している、ということを当事者の声として代弁させていただきたい。
  • 外国にルーツのある家庭に限らず、障害を持った方など、様々な要因への対応が必要だろう。報告書の中では「言葉の壁に対応した多言語の対応」「やさしい日本語を用いる」といったことは書かれているが、オンラインが苦手、対面が良い、手紙が良いなど様々な声が調査で出てきている中で、行政の窓口がよりフレキシブルな対応ができると良い、ということも記載いただきたい。
  • 行政職員がいろいろな人と話をして経験を積むことで技術がついてくる。一方で、市役所職員には異動があるため、なかなかノウハウが積み上がらないという現状もある。窓口対応の質をどのように高めるかを引き続き考えなければならない。伴走型支援の話も出たが、そのようなノウハウのある支援者に出会えるかどうかで当事者への支援が変わってしまう可能性があることを認識して、業務にあたる必要があると感じている。
  • p.6 で「国や市町村等による未就園児等に係る状況把握の取組」と書かれているように、国の問題意識と市町村の働きが重要になるだろう。ヒアリングの結果をみても、基礎自治体である市町村の働きが重要であると改めて認識した。また、今回は新型コロナウイルス感染症の影響下での調査だったが、在宅ワークの普及など、この環境がむしろ過ごしやすいという当事者もいる。これから新型コロナウイルス感染症の5類への移行も見込まれているが、社会がコロナ禍から脱していくことで、かえって不安を高める当事者もいるのではないか。今後も引続き丁寧な対応が必要になるだろう。
  • p.19 に「デジタルの活用(SNS 等)による相談窓口を設け、積極的に利用されている市町村もあった」とあり、p.35-37 に2事例挙げられているが、どちらも委託の事例である。地方の自治体からは「委託先となる NPO が見つからない」という声も聞くので、自治体が自前でデジタルを活用した取組を行っている事例があればぜひ取り上げてもらいたい。
  • p.20 に「複合的な課題については、多職種によるアセスメントを実施している市町村もあった」とあるが、具体的には p.45 の「中核地域生活支援センターがじゅまる」の事例を指しているのか。自治体職員の活用にあたっては具体的な記述を読みたくなるものなので、「詳細は p.~~に記載」といった旨を追記いただきたい。

【第3部】

  • 最初に「今後の取組の基本的な考え方」が示され、その後に好事例が続く、という構成は良いと思うが、第2部で分かった現状の課題についてもまとめられていると読みやすい。第2部の最後か第3部のはじめに課題のまとめがあったうえで、好事例に繋げていくと読みやすくなるのではないか。
  • p.35 の個別の「課題に対する取組」内の文章で「こどもに発達の課題のある家庭については、そうした・・そうした・・」と、言葉が重なっていることに違和感がある。また、「保護者の心情に配慮した丁寧な相談支援を行うこと」についても、本当にその通りで、様々な方法で行うことが重要だと考えている。重要な点であるため、もう少しうまく表現できないかと考えている。
  • 当事者の発言で「お母さんが元気だとこどもも元気」という表現が出てきたと思うが、このことが基本的な考え方として非常に重要な点であると考える。「こどもを誰一人取り残さない」ことがメインになるのは当然だが、家族や保護者も含めて支援できるような表現になると良い。
  • 前回の検討委員会で自分が発言した「愛着」について、p.31 で言及されている。発言を取り上げてもらえたことについて感謝を述べたい。
  • 自治体職員としては様々な事例を見ることができて参考になるが、一方で、「他の自治体ではこういうことをやっているようだ、うちの自治体でもできないのか」と言われることもよくある。これらの事例全てをやらなければならないということではなく、その自治体の状況に合うことを実施することが肝要であり、事例は参考にしつつも、必要に応じて取捨選択して取り組めば良いのだということを伝えたい。
  • p.33 で 0~2 歳児について特記されているが、0~2 歳児への支援はやはりまだ手薄だと考える。現金給付も議論されているが、現物給付の方が効果的だというエビデンスもある。自治体でも今後支援が充実していくとよい。また、「家庭外でもこども同士や保護者以外の大人や社会資源と関わる機会を設けること」という表現もあるが、概要版では、社会資源への言及が抜けている。「社会資源」という単語を概要版にもぜひ入れてもらいたい。様々な制度や居場所を作っても、そこに利用者がつながっていかないと意味がないので、社会資源という言葉を使うことでソーシャルワークの重要性が伝わることを期待している。
  • 義務教育への円滑な接続という観点も大事だと考える。文部科学省でも義務教育開始前後の 5 歳児から小学校 1 年生の 2 年間を「架け橋期」として重要視している。5 歳児での未就園がその後の不登校に繋がるおそれもあるため、その把握も非常に大事である。p.47 の学習支援等を活用した訪問のように、教育との接続を意識した事例も紹介されているので、p.46 の課題の部分でも義務教育との接続について触れてもらいたい。当自治体でも教育との接続は未就園児の課題として重視している。
  • 県で「こどもに対する切れ目ない支援」に関する委員を務めているが、そこでも未就学の児童について扱っている。義務教育との接続については、行政の所管部署の違いもあって利用者にとっても相談のハードルが高くなっており、伴走的な支援がより重要となる。こどもたちが未就園であったとしても小学校に入りやすくなるように、横串で支えていく必要があるが、その際に信頼関係のできている人が伴走する必要があることを実感している。運営する「ひろば」でも未就園児の利用があるが、話を聞いてみると保護者自身が人との関わりが苦手ということが分かって、一緒に小学校見学に行ったということがある。信頼関係ができている人が関わることが大事なので、そのことを広めていけると良い。
  • 書ける範囲で構わないが、個別の事例については、より具体的なエピソードの記述があると分かりやすい。
  • 「自分の自治体ではどういう支援が受けられるのか」ということを分かりにくいと感じている保護者もいるので、その部分にもっと力を入れてほしい。良い取組があっても知らないと支援を受けられず、情報強者と情報弱者で格差ができているということを懸念している。数年前に台風で被災した時に、ネットを使い慣れている世代は市の支援に繋がったが、年配者が取り残されていた。車で少し移動すれば物資が配られていたにも関わらず、停電していた家で10日間過ごしていた人もいた。情報にアクセスできるかどうかで支援に繋がれるかどうかが決まるということがないようにしてもらいたい。また、メンタル面での不調がある時には文字を読むことが困難になるという話も聞く。極力文字を少なく、写真を多くするなど、分かりやすく情報を伝えるようにしてもらいたい。
  • 必要な人に情報を届ける必要性があると改めて感じた。行政だと文字情報を多くする傾向がある。先進的な事例をみると、24 時間のチャットボットを利用しているところもあるので参考にしたい。一方で、きめ細やかな対応ができるための人材育成や、わかりやすい情報発信のための人材育成も必要だと感じている。
  • 情報弱者と情報強者の差ということだが、行政機関も twitter や Facebook での情報発信をしているが、それでも届かない人にどう届けたら良いかということを考える必要がある。配布するチラシにふりがなを付けたり、なるべく言葉を少なくしようといった議論もしている。当自治体ではチラシを作る専門の部署があり、そこにアドバイスをもらって作成するのだが、先日その部署にチラシの案を示したら「昭和チック」だと言われた。我々も日々感性を新しくしていく必要があると感じている。
  • 以前スコットランドのサービスに繋げる上での工夫に関する事例を調べたことがあるが、当事者の目線で「ICT を使って相談できます」という表現や、妊娠期からの切れ目ない支援については「妊娠期からその後もずっと相談できます」という表現、外国にルーツのある家庭に対しては「外国語でもきちんと助けてもらえます」など、「私」が主語の文章にすると分かりやすくなり、効果があったということが報告されていた。
  • 自治体で双子についての講座を行った際に、年齢を問わず双子を対象にしていたのだが、挿絵に双子の赤ちゃんのイラストを使ったために、乳幼児期の双子のみが対象であるという誤解を生んでしまったことがある。見せ方、伝え方を考える発信力が大事だということを実感した。
  • なぜ、2~3 歳から就園することが大事なのか、就学が大事なのか、ということをもっと保護者に知ってもらいたい。また、外国にルーツのある家庭への支援について p.35 に「地域の日本語教室」との連携とあるが、どの自治体にも日本語教室があるとは限らない。自治体の窓口担当における取組なども加えた方が良いのではないか。

【概要版】

  • 「今後の取組の方向性(個別の課題への対応)」で、「保護者にメンタルヘルス上の課題等がある家庭」については、「こどもを含む家庭状況等も確認し、気になる状況があればこどもや育児の相談窓口に案内する」とされている。概要版で強調されているため、報告書本編でも具体的な取組事例として詳細な紹介があると自治体の参考になるのではないか。
  • 「今後の取組の方向性(共通する課題への対応)」で「経済的支援とセットの伴走型相談支援」とあるが、「10万円もらえる」といった経済的支援の方のみが前面に出ることがないようにしたい。一時預かりなどのサービス利用にお金が必要になるから経済的支援をしているという側面もあるのだが、報道を見ていると「祝い金」のようなニュアンスを感じる。妊娠期の早い段階から関係性を繋ぐことが重要であり、経済的支援はあくまで伴走型支援に繋がるためのきっかけづくりであるということを強調したい。また、行政の現場レベルでは意欲があっても「国はどう言っているのか」と根拠を問われることもある。早期の関係性づくりについてはぜひ大きく取り上げてもらいたい。
  • 上記意見と同様のことを感じている。金銭給付や現物給付でできる関係性は一過性であり、それがなくなるとすぐに崩れてしまう。人と人との信頼づくり、関係性づくりが大事であると強調したい。

【総括】

  • 人口 2 万人程度の自治体で子育て支援をしている。今回は現場の声を伝えられる貴重な機会だった。どこに住んでいても、田舎でも、高齢者の多い町でも、こどもでも高齢者でも、ひとりひとりが心穏やかにその町で生きていくということを目指して活動している。その中でもこどもの豊かな育ちを大事に思っている。こどもたちが「生まれてよかった」と思えるような関わりが全国どこにいても受けられるように広がっていくと良いと思う。
  • 「国籍を問わずどんなこどもでも日本で元気でいられるように」という思いが、委員や事務局のみなさんから同様に感じられて議論しやすかった。外国にルーツのあるこどもについては、地域によって活動の多寡に格差があり、孤立している家庭もある。どこの地域でも支援が受けられるように、自分も今後も引続き活動していきたい。また、みなさんとも引き続き交流を続けたい。
  • 日頃は市の職員として現場に携わっているが、このような機会があってありがたいと感じた。有識者、現場の職員、当事者など、いろいろな意見をまとめて見ることができて参考になった。また、「手書きの手紙をもらって涙が出るほどうれしかった」といった声には気づかされるものがあり、日頃の支援で不十分な部分がまだまだあると反省する部分もあった。地方自治体の取組が重要だと改めて感じている。「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」でも触れられているように、こういった課題に自治体としても今後もしっかりと取り組んでいけるようになると良い。微力ながら、当自治体からも取組を広めていけるよう、これからも一緒に考えてやっていきたい。
  • 「市町村の役割は、その地域に住んでいる人の人づくりだ」とかつて先輩職員に教わった。今回の検討会でも「こどもの豊かな育ち、すこやかな育ち、元気になること」という話があったが、それが将来的な人づくりになるということであり、また、現実的な話では税収の増加、虐待の防止、生活保護の減少などにも繋がっていくということなのだろう。市町村としても地道に取り組んでいくべきことだと改めて感じた。
  • 「誰一人取り残さない」というメッセージが非常によく伝わる調査だったと思う。これは第一歩で、これからどう実現したら良いかと自治体や保護者や研究者が悩むこともあると思うが、悩んだ時にこども家庭庁のホームページに行けばヒントを見つけることが出来る、という期待感を持つことが出来た。これからもこのような取組を続けていってほしい。
  • このような機会に参加できてうれしく思う。自分自身抱え込みがちで、行政とうまくやれずに行政のことを嫌いになってしまったこともあったが、今回行政や様々な方と話し、これから変わっていくことが感じられ嬉しく思う。当事者として様々な要望を伝えたが、同時に、実現は難しいかもしれないという不安も感じながら伝えている。他の利用者も同様で「利用していいのかな」と不安を感じながら利用している人、不安のために利用できなくなっている人がいる。もっと気軽に「助けて」と発信できる社会になると良い。発達に障害のあるこどもや保護者、精神疾患のある方などは、普通の人から見ると「なぜそれができないのか」と甘えのように見えてしまうこともあると思われるが、「こういう人もいる」ということをもっと知ってもらえるとありがたい。
  • 「誰一人取り残さない」「困った時に誰もが声を上げられる」そのような社会に向けて、今回の調査研究が資することが出来れば、関わらせていただいた一人としてありがたい。内容的にも、予防から把握、支援の実施まで、いろいろなプロセスごとに様々な論点やポイントが出されており、貴重な調査だったと思う。

3.今後の予定、その他

  • 事務局より今後の予定等について、説明。

4.閉会

以上