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未就園児等の把握、支援のためのアウトリーチの在り方に関する調査研究 検討委員会(第1回)

概要

  • 開催日時:令和4年8月19日(金)13時00分から15時00分まで
  • 開催形式:オンライン・対面開催

議事

  1. 事業設計について
  2. 調査設計について

配付資料

議事要旨

1.開会

2.内閣府和田副大臣挨拶

  • 「こどもまんなか社会」を実現する司令塔機能としてこども家庭庁が設立されることとなった。
  • 未就園児について、これまで必ずしも正確な実態把握ができていなかった。地域とのつながりが薄い家庭もいる。必要に応じて保育や行政支援に繋げることが重要である。
  • 本調査では未就園児等について把握や支援の現状を把握するとともにその在り方について検討する。
  • 委員は研究者、現場で支援していただいている方、当事者等から構成されている。未就園児等の把握・支援について忌憚のない意見を幅広くいただきたい。

3.委員紹介
各委員から自己紹介と本調査への期待について発言が行われた。主な発言は以下のとおり。

  • 未就園家庭へ支援を届ける現場での実践を通して得られた知見を届けたい。
  • 日本で暮らす外国人ならではの課題がある。未就園・未就学の解決に繋げていきたい。
  • 本調査研究の課題認識は重要だと考える。こども家庭庁の設立とともに、地方自治体もこどもまんなか社会の実現に向けて貢献したい。
  • 児童虐待、養育困難家庭の支援に注力しているが、乳幼児はリスクが高い年齢層である。未就園もリスクの一つとして関心がある。
  • 地域で潜在化している障害のある方の話を聞くと、医療/保健/福祉サービスに繋がったものの職員の心無い発言で支援から離れてしまった人がいる。また、災害の際に SOS を出せずに家族で抱えてしまっていた人たちもいる。
  • こどもが発達障害グレーゾーンであることを理由に入園を断られた経験がある。その際、行政に相談したものの発達障害のこどもは受け入れられないと言われてしまった。当事者の声を伝えられたらと思っている。
  • 未就園児を含むこどもへの訪問・支援の事業を実施する中で、訪問に行っても出会えない、出会えたとしても関係を築くのが難しいということを一支援者として経験してきた。様々な自治体で施策が進む後押しになればと考えている。

4.議事
内閣官房より、事業の背景・目的について説明。

(1)事業設計について
事務局より、事業の実施計画について説明。委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 未就園児の範囲について確認したい。保育園等に通っておらず、子育て世代包括支援センターなど他の機関につながっているこどもは未就園児に含まれるのか、含まれないのか。

    • ここでの定義上は未就園児の中に含まれるが、未就園児の中でも、地域資源に繋がることができているこども・家庭は緊急性が比較的低いものと思われる。未就園児の中にも支援の緊急性・必要性についてはグラデーションがあるということを踏まえた議論をお願いしたい。(内閣官房)
  • ある自治体では保健センターによる乳児家庭全戸訪問に加えて、4ヶ月健診の前に民生委員・児童委員が訪問するという取組を行っている。地域でも乳幼児のいる家庭を把握することで、気になることがあった場合に行政に繋ぎやすくする形をとっている。効果を数値で示すことは難しいが、地域で支えるという機運の醸成には繋がっていると思う。

  • ある自治体では基本的には1歳6か月健診による把握を中心としている。乳幼児健診で全員把握することを原則としており、把握できなかったこども・家庭については報告が入って個別にフォローするようにしている。

  • 外国人の取組の場合は地域差がある。外国人が集住しているかどうかで取組の手厚さも異なる。外国人に対する取組のモデルケースが示せると良い。外国人の場合、日本国内での移動も多い。課題を抱えている家庭で移動によって自治体の把握が途切れてしまうこともあるので、地域間の連携についても調査内容に含めたい。

  • 地域と繋がっていない家庭でポリシーのある家庭が多いという話もあったが、家族の中でも意見が統一されていない可能性がある。家族の中でも孤立している人に対してアウトリーチする構図が作れると良い。家族の中の繋がりについても要素に盛り込んでほしい。

  • キーパーソンを探すことが日頃の取組から大事である。こどもは行きたいと思っていても親が反対するケースもある。丁寧に話を聞く機会がどこにあるのかが重要。事業をきっかけとして話をしっかり聞ける状況を作ることが大事である。行政による訪問だけでなく、民生委員・児童委員などの地域からの働きかけも重要である。

  • 訪問など、対面での話がメインになると思うが、対面での交流が苦手な保護者もいる。発達に課題を抱えるこどもについては保護者も同様の課題を抱えるケースも多い。家庭に訪問に来られるのが苦手な保護者や1対1の会話が苦手な保護者もいるので、他の相談の選択肢もあると良い。また、相談相手が地域だけだと、地域の人に相談したくないという人もいる。地域の人以外の相談相手がいると良い。直接の会話だけでなく、資料提供の形式もあるが、既存の資料は字が多くて分かりにくいこともある。読み書きが苦手な人向けに分かりやすい資料があると良い。

  • 未就園児の課題は複合的な課題が多い。単一の要因でなく、複数の要因を抱える家庭については特に支援が必要。要対協での情報集約も重要だが、地域子育て支援拠点などからの情報を必ずしも要対協で把握できていない場合もあるので、それらの情報を吸い上げる基盤整備が必要だと感じる。未就園児の中には、こどもを連れて外出しにくいという雰囲気も原因としてあるかもしれない。孤立を防ぐためには、こどもを連れての外出がしやすい場所が多くなることも必要。

  • 0-2 歳の財政支出と 3 歳以上の子育てサービスにかかる予算を比べると、0-2 歳を対象とした予算の方が少ないだろう。親からすると 0-2 歳の方がニーズが少ないということかもしれないが、こどもからすると、0-2 歳でも 3 歳以上でも平等に支援を受ける権利があるべき。

  • 外国籍の保護者の中には言葉が分からないことにより、自治体の取組に参加できない、活動に参加しても言葉が分からないので孤立するというケースがある。資料をもらっても何が書いてあるのか分からないことがあるので、やさしい日本語表記に改めたり、参加しやすい活動を用意することが必要。外国籍の家庭への支援についても地域の中のキーパーソンを取組に巻き込むことが重要ではないか。妊娠中から孤立させないような取組が必要だと感じる。

  • 外国籍の母親に対する訪問支援の利用があったが、申し込みは日本人の父親がしたという事例があった。家族に対する働きかけも有効なことがある。その後、母親同士の交流で他の家庭からの申込みにもつながった。住民同士の繋がりも利用できることがある。

  • 人口が多い地域ではきめ細かさは難しい。サービスの選択肢が多い方が良いという意見は参考になった。

  • 関係者間の相互連携について、リストがあって把握されている家庭についてアウトリーチすることは様々な自治体で行われている。アウトリーチの際に出会えなかったり、複合的な課題を抱えている場合に、担当者の力量によって支援の案内ができなかったりする。アウトリーチする担当者をバックアップする体制、他の部署に相談をできるか、コンサルテーションを受けられるかということも考慮すべき。

  • メンタルヘルスに課題を抱える家庭に対して訪問看護やヘルパー等が訪問する際に、親への支援にとどまり、こども自体の発達に対する働きかけは限りがあることもある。ヘルパー等の訪問にこどもに対して支援を届けられるスタッフが同行するなどの体制整備を検討すべき。

  • 自治体では個人情報保護の観点から、部署間や民間団体との情報共有や本人同意がない場合の取扱いが課題。

  • 未就学や孤立する家庭の要因について、外国人という要因もあるが、貧困やこどもの数が多いという複合的な課題を抱えているケースがある。外国人であることや障害など、特定の事項だけを要因として考えるのではなく、複合的な課題があると認識すべきではないか。

  • 虐待や、要支援家庭について、どのようにアプローチするのか、繋がることができる人を探しながらアプローチの方法を探っている。いきなり介入に入っても拒否されることも多い。急な訪問ではなく、身近なひろばにいる人たちによる訪問によって、行政の人とは違う声が聞けることがあるので、家庭に関われる人の組み立ては地域と行政の組み合わせで工夫できる余地はまだあると感じる。日頃からの連携できるチーム作りも必要である。

(2)調査設計について
事務局よりヒアリング調査の設計について説明。委員からの主な意見は以下のとおり。最終的なヒアリング先の決定については、座長一任とされた。

  • 対面・訪問の話が主流だが、それ以外の方法で取り組んでいる自治体や SNS による相談支援を丁寧に実施している自治体にもヒアリングを行うのが良いのではないか。
  • うまく繋がらなかった時の継続的な取組は大切である。「記録の保存や保管・希望があった際の削除」についてもヒアリング事項に含めてほしい。
  • 要対協ですでに行っている把握・支援の話と、今回の未就園児の把握・支援の話の関係について、事務局である程度整理してからヒアリングした方がよいのではないか。また、取組が複数の課にまたがる場合があることも配慮が必要。
  • 外国籍の家庭については、第2言語(日本語)の習得に関する取組についても聞きたい。不法滞在の家庭や若年妊娠になっているケースの把握には課題があるため、取組を調査してもらいたい。

5.今後の予定、その他
事務局より今後の予定等について、説明。

6.閉会

以上