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青少年インターネット環境の整備等に関する検討会 第57回会合

令和5年10月24日(火)
14:00~
Web会議による開催

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    議題1 文部科学省「情報モラル教育について」
    議題2 情報処理推進機構「情報セキュリティ教材の整備状況」
    議題3 その他
  3. 事務連絡
  4. 閉会

資料

議事録

木村座長:それでは、定刻となりましたので、第57回「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」を開催いたします。

本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

今回もウェブ会議での開催となりますが、公開で行うこととしておりますので、御了承ください。

最初に、事務局から会議の注意事項と資料の確認をお願いいたします。

事務局:こちら、こども家庭庁事務局でございます。

本日、ウェブ会議の開催に当たり、注意事項を御説明いたします。

本日の会議はWebexで行います。万が一、通信が途切れてしまった場合は、一旦、議事の進行を事務局に委ねていただき、通信回線が回復するまで事務局のほうで進行するという形を取らせていただきます。

また、御発言を希望される場合には、会議システムの挙手機能を使って挙手をお願いいたします。事務局で整理をして順番に座長から御指名いただきます。

御発言の際には、画面上に表示されているミュートボタンをオフにしていただき、最初にお名前をおっしゃっていただいた後に御発言をお願いいたします。御発言が終了したら、必ずミュートボタンをオンにしていただき、周囲の音声が入らないように御配慮をお願いします。

なお、前回同様に、今回もお申込みのありました報道関係や業界団体の方々などがウェビナーで視聴されていますことを申し添えます。

次に、本日の資料の構成でございますが、議事次第に資料一覧がございます。資料は1から3がございますので、お手元に準備をお願いいたします。

以上でございます。

木村座長:ありがとうございました。

では次に、委員の出欠状況等について事務局から御報告をお願いいたします。

事務局:それでは、御報告いたします。

本日は、執行委員と桝田委員が御欠席でございます。また、こども家庭庁の藤原局長は別の公務が入りましたので、急遽欠席となります。

木村座長:どうもありがとうございました。

それでは、議事に入らせていただきます。

本日は、2つの議題がございます。議題1は「情報モラル教育について」、議題2は「情報セキュリティ教材の整備状況」についてでございます。本日は、この議題に沿って御報告、御発表いただいた上で、議論を進めていきたいと存じます。

それでは、早速ですが、議題1の「情報モラル教育について」でございます。文部科学省様から御説明をお願いできますでしょうか。

文部科学省:文部科学省の学校デジタル化プロジェクトチーム、酒井と申します。

私のほうから議題1「情報モラル教育について」ということで、資料1に沿って御説明させていただきたいと存じます。

小・中・高等学校の学校教育において各学校で指導する内容については学習指導要領の中で定められています。今回実施されています学習指導要領の中では、小学校、中学校、高等学校ともに情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力として位置づけております。そして、各学校においては、それぞれ児童生徒の発達の段階を考慮しまして、情報活用能力を育む教育を行う、そのための教育課程の編成を行うと規定されていて、情報活用能力の中には学習指導要領の中で情報モラルを含むといったものが記載されているところでございます。

詳細に御説明させていただきます。情報活用能力につきましては、スライドの中では小学校の学習指導要領の記載を提示しております。小学校学習指導要領の中では、情報活用能力を教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとしてということを記載しておりまして、その内容については学習指導要領の解説の中に詳しく記載しています。赤字のところでございますけれども、情報モラルの定義といたしまして「携帯電話・スマートフォンやSNSが子供たちにも急速に普及する中で、インターネット上での誹謗中傷やいじめ、インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題の深刻化、インターネット利用の長時間化等を踏まえ、情報モラルについて指導することが一層重要となっている」と記載していまして、「情報モラルとは」ということで「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」というふうに定義しています。

具体的に言うとどういうことかと申しますと「他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや、犯罪被害を含む危険の回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康との関わりを理解することなど」と定義しています。

「このため」以下ですが、各学校において「情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動、情報には自他の権利があることを考えさせる学習活動、情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動、健康を害するような行動について考えさせる学習活動などを通じて、児童に情報モラルを確実に身に付けさせるようにすることが必要である」と学習指導要領の中では記載しているといったところでございます。

情報モラルに関しては、学習指導要領のみならず、私ども文部科学省の中で今年4月に公表いたしました「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」の中でも記載しているところであります。ChatGPTに代表されます生成AIは、今年度になって急速に社会に普及しているところでありまして、学校教育の中でもどのように取り扱っていくかといったことが課題となったところでございます。このような先端技術、生成AIをはじめとする技術というものを学校教育の中で取り扱っていく中でも、とりわけ情報モラル教育の充実が必要であるといったことをガイドラインの中で記載しておりまして、こういった情報活用能力、特に情報モラル教育を全ての学校、小学校、中学校、高等学校の中で取り扱っていくことが重要であるといったものを生成AIのガイドラインの中でも取り扱ったところでございます。とりわけ、この中では、情報の真偽を確かめる、いわゆるファクトチェックなどの方法を意識的に教えることが望ましいといったところを言及させていただきました。こうした中、私ども文部科学省の中では、予算事業の中で情報モラル教育を各学校の中で適切に取り扱っていただくための様々な事業を行っているところでございます。

こちらの資料は、令和6年度概算要求のポンチ絵でございますが、情報モラル教育推進事業といったところで、ふだんから意識すべきことや直面する諸課題について児童生徒が自分で考え、解決できる力を身につけることを目指し、情報モラルポータルサイトにおける各種コンテンツの充実や、情報モラル教育指導者セミナーを開催する経費を来年度要求しているといったところであります。

この事業を御紹介させていただきたいと存じます。情報モラル教育推進事業といたしまして、文部科学省のウェブサイトの中に情報モラル教育ポータルサイトといったものを開設しております。このポータルサイトは、児童生徒や教員、保護者を対象といたしまして、情報モラルに関する情報をまとめたサイトとなっております。具体的には、動画コンテンツや啓発資料、問題コンテンツ、授業実践・活用事例コンテンツ、こういったものを掲載しているところでございます。

また、この事業の中では、情報モラル教育指導者セミナーということで、情報モラル教育を中核的に学校で担っていただいている先生方を対象といたしましたセミナー、アーカイブ動画等を作成し、配信しているといったところでございます。

このポータルサイトでございますが、具体的なウェブサイトのイメージは資料のとおりでございます。子供たちにとって親しみやすく分かりやすいサイトということを意識して運用させていただいているといったところでございます。

今年度のポータルサイトの中では、特に重点的に生成AIに関する教員向け研修動画といったものも行っております。先ほど申し上げましたように、生成AIが出てくる中で、情報モラルの中でも情報の真偽を確かめるファクトチェックといったものが重要視されています。こういったことを各小学校、中学校、高等学校の中でどうやって教えていくべきか、各先生はどのようなことを学ぶべきか、そういったものを簡単に動画にして有識者からしゃべっていただく、学校の校内研修に使っていただくといったような研修動画シリーズを作成したところでございます。

最後に、情報モラルe-learningコンテンツ一覧でございます。情報モラルに関しましては、様々な分野がございます。例えば学校のICT端末をどのように使っていくか、またインターネットを使ったことで犯罪行為や個人情報漏えいからどのように子供たち自身を守っていくのか、どのようにSNSとうまく付き合っていくのか、さらには、情報端末を使うことでどうやってうまく子供同士でコミュニケーションを取ったり、大人とのコミュニケーションを取っていくか、それに対して分かりやすく動画教材を作成し、先ほど申し上げた情報モラルポータルサイトの中に掲載しているといったものでございます。

文部科学省といたしましては、こういったウェブサイト、コンテンツ等の周知等を踏まえて、情報モラル教育の一層の充実を各学校の中で図っていただきたいと思っておりまして、こういった支援策について充実してまいりたいと考えているところでございます。

簡単ではございますが、私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

木村座長:どうもありがとうございました。

それでは、今の御説明について質疑に移りたいと思います。御質問、御意見等ある先生、いかがでしょうか。竹内委員、お願いいたします。

竹内委員:内容もとても充実していまして、今の時代に対応しているものだと思います。実は私も10年ぐらい前に文部科学省「情報化社会の新たな問題を考えるための教材」の作成に関わった経緯があります。当時、私たちの国は、「危険で危ないネットからこどもをいかに遠ざけるか」が合言葉で、携帯電話使用に関して、「禁止や制限」をしていく方向でした。しかし、今は時代が変わりました。GIGAスクール端末で、小学校1年生から学校で情報端末を活用する時代です。ですから、今、文部科学省がお示しの方向に賛成です。

ただ、諸手を挙げて推奨するには時期尚早です。残念ながら、私たちの社会は、こどもたちに安心安全なインターネット環境を提供しきれていません。活用する中での注意事項というか、落とし穴というか、そういう警鐘を鳴らす必要もあります。もちろん、利活用前提ですが、危険性を理解させたうえでの活用が基本です。

そういう考えのもと、私自身、いろんなところでそういう教材をつくっているのですが、意外と難しいです。「危険だから近づくな」のほうが簡単です。今後、こどもたちに情報端末の利活用を推奨していくのであれば、危険の提示、危険の見つけ方の訓練、こういうことを注意するとよりよい使い方ができる等、前向きに示していかなければなりません。「こどもに情報端末を利活用させる」は、掛け声的にはきれいですけれども、同じ時代を生きる大人として、こどもに危険回避能力も同時に身に着けさせる必要があります。そのあたりが今後ポイントです。フェイクニュースや詐欺サイトの見分け方をこどもたちに教授する教材を、私は学生諸君とつくっていますが、こういう方向性がこれから必要だと痛感しています。

特に、今話題の生成AIなど、これからは活用せざるを得ない時代になってきます。まだ大人も手探り状態の課題ですので、大人にも落とし穴がはっきりと見えていません。このあたりについて、文科省としてはどんな感じで捉えておられるか、お聞きしたいのですけれども、どうでしょうか。

木村座長:文科省様、いかがでしょうか。

文部科学省:御指摘ありがとうございます。

今、御指摘いただきましたように、情報モラル教育というものは、一昔前はどちらかというと、なるべく危険から子供たちを守るというところで、言葉を選ばずに申し上げるならば、情報を遠ざけたりとか、強いフィルタリングをかけて見えないようにさせるといったことの一辺倒だったような点があろうかと思います。当然そういった面も重要ではありますが、今、御指摘のように、文部科学省といたしましては、GIGAスクール構想の中で1人1台端末を小学校1年生から全ての児童生徒に配備いたしまして、適切に情報端末と付き合いながら使っていただくということが重要だと思っています。

そういった中でどうやって使いこなしていくか、私ども、意識は何とかしているつもりではあるのですが、今の御指摘であれば、もっともっと踏み込める点があるのではないかという御指摘かと受け止めました。情報モラルというのは、必ずしも使わないためのモラルではなくて、どういうふうに子供たちが適切に使っていくか、そういったことをやっていきたいと思います。

また、生成AIについてもまさに御指摘のとおりだと思います。私どもも生成AIというのは使わないというわけではなくて、まさに適切にどうやって使いこなしていくかという点が重要だと思っています。国のほうでもパイロット校みたいなものを今月から開始して取り扱っているところでありますが、そういった取組も踏まえまして、子供たちがより適切に生成AIを含む新しい技術をどのように使っていくか、そういったことを広めていきたいと考えております。

木村座長:どうもありがとうございます。

中川委員、お手が挙がっていますでしょうか。

中川委員:どうもありがとうございます。放送大学の中川と申します。

先ほどお話がありましたように、いろいろな手を文部科学省が打たれてやられている様子は把握も理解もしております。その中で、これは自分も関わっていて難しいと思うのは、情報モラル教育は情報活用能力に含むというふうに書かれていて、情報活用能力の周知がなかなか難しいと感じています。なぜかというと、結局やってもやらなくてもいいというか、学習指導要領上に学習の基盤となる資質・能力とされてはいますが、ただ、教科の縦軸に対して情報活用能力というのは横軸なので、つまり実際にどこで実施するのか、どうやって実施するのか、そこで足止めを食らっている教員の方がすごく多いのではないかと思います。そのために、私は私の立場でできることはやっていますが、文部科学省としてその辺をどう捉えて、多分、この先お勧めするだけでは駄目だと思いますので、その辺についての現在のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

木村座長:今の点、文科省様、いかがでしょうか。

文部科学省:御指摘ありがとうございます。

今、中川先生が御指摘いただいた情報活用能力といったもの、特に周知というか、学校現場での理解というものが、解釈がなかなか難しいといった点、私どもも様々な場面から御指摘いただいております。ただ、情報活用能力というのは、今次の学習指導要領、平成28年度以降に改訂した学習指導要領の中で規定をしているのですが、その後にGIGAスクール構想が始まって、1人1台端末の配備が始まりました。時系列的にいうと、情報活用能力のほうが少し早いのですが、この能力というのは、子供たちにとって必要不可欠な資質・能力だと思っています。したがいまして、私どもといたしましても、情報活用能力を育成する学習活動をどうやって全ての小・中・高等学校に落とし込んでいくか、そういった点は大変重要な政策課題と受け止めています。

一例を申し上げますと、今日は情報モラル教育ということなので、説明を少し省略させていただいたのですが、今年度からリーディングDXスクール事業というものを行っておりまして、全国全ての都道府県、政令指定都市に拠点校を配備して、1人1台端末を使った新しい学びはどうあるべきかということに取り組んでいます。そういった学びの成果等を全ての学校に広めることで情報活用能力を育む教育活動はどうあるべきかということを現場のほうに強力に周知して、取組の周知を図っていきたいと考えているところでございます。

以上でございます。

木村座長:ありがとうございます。

上沼委員、お手が挙がっていますでしょうか。

上沼委員:御説明ありがとうございました。充実した内容になっていて非常にインプレッシブだと思いました。

その上で、3点ほど質問があります。

まず、1点目ですけれども、ファクトチェックに関する言及というのをいただいたのですが、ファクトチェック以前の前提として、インターネットで得る情報は、いわゆるフィルターバブルやエコーチェンバーなどのせいで、受け取る情報自体に偏りがあるということがインターネットに接する前提としてもっと知られるべきなのではないか。ファクトチェックというのも正しい情報を取得するための一部だとは思いますが、今、接しているものだけではなく、さらに広い、今接していない情報をも前提として判断する、というような点がもうちょっと明記されているといいのではないかと思いました。それが、この内容の中のどの辺りで検討されているのかというのが一点です。

もう一つ、SNS辺りのことですが、利用規約に基づいてサービスを使うという前提なので、規約を読むことの重要性や、規約を守ることの重要性をどこかで学んだ方がいいのではないかと思います。これは今後の消費者教育にも役に立つことだと思います。例えばSNSは、13歳未満は使ってはいけないにもかかわらず、小学生がX(旧Twitter)を使うとか、それ自体が本来よくないことなので、その辺りのお話がどの辺で検討されているのか御教示いただきたいというのが2点目です。

3点目は教育する体制の問題です。充実した教育をしようとすると、教師の側の負担がすごく重くなります。今の先生は、私が小学校のころよりよほど大変だなと純粋に思います。そうなると、重要な内容がどの先生に当たるかできちんと伝わるか伝わらないか全然異なるというようなことになると、こどもに不利益があるとも思われるので、伝えるための体制が現在どんなふうになっているのか、教えていただければありがたいと思いました。

以上、3点です。

木村座長:ありがとうございます。

文科省様、お願いできますか。

文部科学省:御指摘ありがとうございます。

まず、1点目でございます。ファクトチェックの以前に、インターネットで得る情報について偏りがあるといった御指摘についてでございます。まさに御指摘のとおりかと思っております。インターネット上の情報発信というもの、明示的に今の学習指導要領の解説の中には偏りがあるというような書き方にはしていませんが、情報には誤ったものや危険なものがあるというのは前提として考えてくれというのは解説の中では記載しております。

今、御指摘の中でいただきましたエコーチェンバーやフィルターバブルにつきましては、御説明のスライドの中では御紹介を省略しましたが、生成AIのガイドラインを作成するに当たって、御説明を差し上げたスライドの前段といたしまして、フィルターバブルやエコーチェンバーのような現象が起こってくる可能性がある、その上でどういうふうに守っていくのだということは言及させていただきました。ただ、学習指導要領は、今回、生成AIの中で言及しているのですが、それ以外、広くインターネット全般につきましては、私ども大きな課題と受け止めておりますので、今後の情報モラル教育の中でどういうふうに取り扱っていくかという充実方策は検討させていただきたいと思います。

また、2点目のSNSの利用規約等についてでございます。これまで私どもはどちらかというと情報セキュリティを守るとか、そういった面で、自明の理のようなところが若干あるような前提で進めさせていただいたのですが、ただ、そこを読むというのは大変重要なことと思います。これも説明が重複して恐縮ですが、生成AIのガイドラインをつくるときに、その重要性を改めて認識して、利用規約をきちんと見ましょうというものもガイドラインの中にはしっかり記載させていただきました。また、生成AIというものが新しく入ってきたことで、文科省の中でも、一からサービスを見直して、例えばモラルがどうだとか、利用規約であったり、改めて利用規約を確認するといったものの重要性を各学校現場に周知しました。入れ子の構造になってしまうのですが、SNSであったり通常のアプリケーションを使うのは当然の状態でございますので、この点をしっかりと今後周知を図っていく、そういったことを考えているところであります。

最後の教師の側の負担といった点でございます。こういった教育活動はこれまでの学校の先生方には恐らくそこまでは重視されていなかった点かと思います。教員の働き方改革との関係でもいろいろと課題になってくるわけでありますが、私どもとしましては、先ほど御紹介させていただいた動画教材、こういったものは一つのヒントかと思っていまして、従来の学校教育の中でどういった教材をつくるのかというのは、先生方が頑張って探してとか、国が直接何か教材をお示しするということはあまりなかったのではないかと思います。今、こういうインターネット等を使うことができますので、国のほうで、動画教材を各先生が直接そのまま授業に使えるようなものを御提供させていただいています。これはモラルに限らず、プログラミングだったり、情報活用能力を育む教育活動については、結構私ども意識して動画教材を作ることを重点的にやっております。こういったことでなるべく先生方の、手間という言い方が正しいかどうか恐縮でございますが、先生方の御負担をなるべく軽減しつつも、必要なものはしっかりと先生方が学んでいただいたり、子供たちの学習に活用できる教材を御提供する、そういった形を取らせていただいているところでございます。

長くなりましたが、以上でございます。

木村座長:ありがとうございました。

竹内委員、お待たせしてしまってすみません。御発言あればお願いいたします。

竹内委員:先ほどの発言に追加です。情報活用能力や利活用の面に偏った発言をし過ぎたと反省しているのですけれども、一方、やはり新しい課題、恐怖もあります。例えば、ついこの前も警察庁が発表されたように、闇バイトや大麻の使用がネットで広がっているとか、パパ活等の出会いです。私が強調したいのは、こういう危険からまずこどもたちを遠ざける必要性です。利活用が駄目だと言っているわけでは決してなく、新しい課題に対応する必要性です。

私が一番重視しているのは、チャットの中でのいじめやトラブル等への対応です。これは御意見をお聞かせいただきたいのですが、町田市で、学校が配布したパソコンの中でトラブルがありました。報道では、情報端末のパスワードに課題があったといわれていますが、チャットでのトラブルだったので、日本中、ほぼ全て、学校配布のパソコンの中でこども同士のチャットが基本的にできません。私も、現状ではしょうがないと思っていますが、学校というのは、特に小学校の低学年、中学年のうちは、ある程度失敗して指導される場所でなければいけない。「誰々君がネットで悪いことを書いていた、反省してください」と言われて、先生に叱られる場面がこどもたちには必要です。叱られて学んでいくのですが、そういう叱られる権利を、日本のこどもたちは奪われてしまっています。学校で情報端末を活用する意味は、先生の目があるので、安心して失敗できることです。こどもに失敗させて、その失敗を反省させるような取組が必要です。もう一つは、GIGA端末の持ち帰りが各地で進んでいて、その端末をこどもたちが夜遅くまで使ってしまって、保護者が困っている。そういう苦情が各地であります。そのため、GIGA端末を持ち帰らせることができない自治体も増えています。

私なりにいろいろな自治体に深く関わっていくと、これは2つ目、チャットできないこと、持ち帰り問題が大きな課題です。国はGIGA端末用にこども1人に4万5000円を用意しました。英断でしたが、4万5000円では、十分なフィルタリングをつけられない場合が多いようです。この2つはフィルタリングである程度対応できることがわかってきているのですが、フィルタリングをかけていない、かけていても十分な性能でない場合、野放しになってしまうのでということがだんだん分かってきました。その辺りの失敗を回避させるための最低限のルールづくり、その辺りについても今後、これは文科省だけでは無理だと思うので、国を挙げてやっていく必要があると思います。利活用とか情報活用能力とかに振っていかなければいけないのですが、一方、私たちは、課題としてこういう問題があって、だからこうしていこうというところを文科省だけでなくて国全体で取り組んでいかなければならないと思っています。

半分質問、半分意見なのですが、言える範囲で御見解をお聞かせいただきたいと思います。以上です。

木村座長:ありがとうございます。

文科省様、あればお願いいたします。

文部科学省:御指摘ありがとうございます。

GIGA端末でチャットを使うという点でございます。竹内先生から御指摘ありましたように、GIGA端末の中でOSの標準仕様というのが入っていてチャットを使えるようになっています。私どもとしては、チャットを教育活動の中で適切に利用していただきたいとお願いしていて、遠ざけるというのはむしろ逆効果ではないかという点は私どもも全く同じ認識でございます。まさに御指摘のとおり、失敗するということで学んでいくこともあります。

GIGA端末でチャットすることの一番いいメリットは、学校の管理下、教育委員会の管理下であってログも取れる。私どもお願いしていますのは、チャットを使うというのは、学校の教育活動の用語で言うと学級経営であったり生徒指導そのものであると考えています。何かあれば、すぐに学校側、教員側が介入してトラブルを防ぐことで、何か過ちを犯したお子さんがいらっしゃれば、むしろそこで学んでいく。これは通常、インターネットを使っていなくても、学校の教育活動では、ありとあらゆる場面で生じることでありまして、端末を使っても全く一緒なのだと思っています。

私どもとしましては、むしろ禁止すれば子供たちは、一概に言うのはもしかしたらステレオタイプかもしれませんが、例えば隠れてこそこそネットいじめする、これは誰も管理ができなくなって陰湿ないじめ等につながって、非常に問題だと思っています。むしろ適切な使い方を学んでいく。先生御指摘のとおり、小学校、中学校の段階で学んで、だからこそ適切なリテラシーを身につけていくということが重要だと思っています。できている自治体、学校も少なからずあるところですので、私どもはそういったことをいろいろ学校現場に呼びかけているような状況だということをお知らせさせていただきます。

竹内委員:ありがとうございました。

木村座長:ありがとうございました。

ほかの点で何かございますか。よろしいでしょうか。

ないようでしたら、文科省様、以上でよろしいでしょうか。文科省様のほうから何か追加であればお願いいたします。よろしいでしょうか。

文部科学省:大丈夫です。ありがとうございました。

木村座長:お忙しいところ、どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、議題2「情報セキュリティ教材の整備状況」に移ります。情報処理推進機構様から御説明いただけることになっておりますので、よろしくお願いいたします。

情報処理推進機構:皆さん、こんにちは。ただいま御紹介にあずかりました情報処理推進機構(IPA)の加賀谷と申します。

本日は私のほうから私どもで整備しておりますセキュリティ教材の現状についてお話をしていきたいと思います。

簡単に自己紹介ですが、私はIPAに来て19年目でして、前職は東芝という会社におりまして、ずっと回路設計のエンジニアでございました。出向という形で一度IPAに来て、その後、今は正職員となっています。名前の下にちょっと書いていますけれども、情報処理安全確保支援士という情報セキュリティに関する国家資格を持っております。これは3年に一度更新が必要な資格ですが、更新のときに支援士の方が受講する講習会の認定講師でもございます。支援士に教える立場でもあるということです。

さらに、プライベートなことですが、私の妻は小学校の教員でして、おととし、小学校5年生を担任していたときにセキュリティの話を授業でやりたいと、いろいろ学習指導要領のことも聞いて、社会だけでなく国語にもそういう要素があるという話を聞いて、いろんな教科に分散してセキュリティやモラルの話が入っているというのを聞きながら、特別授業で私がゲストとして入ってやってみようという話になりました。そこでやったのは、私が例えば40分とか全部もらって一人で話すのではなくて、あくまでも先生がファシリテーターとして授業をやりながら、今日は詳しい人が来ていますということで私が登場して、詳しい人みたいな形で担任と掛け合いをしながらやりました。そういった形でやると非常にいいなという現場の経験と、そういうときに必要とされる教材はどういうものなのかと考えながら、私自身の仕事に取り入れていっているというものでございます。

私もIPAに技術者として入ったものでして、昔はコンピュータウイルスや不正アクセスの届出の受付分析、あと、一貫して相談窓口の対応をしておりました。さすがに今、この立場なので相談対応はしないのですが、相談の窓口を統括する立場として、ひたすら現場で机の上だけではなくて相談対応して、現場を知る。そこで教材を作る。講演をしに外に行くということで、IPAの中ではどっちかというと珍しいほうなのかと思います。外の世界をかなり知っています。最近ですと、厚生労働省さんと一緒に医療現場のセキュリティをどうするかという難しいお話もしております。

もしかするとIPAのことを御存じではない方もいらっしゃるかと思いまして、1枚スライドを入れさせていただいております。私どもは経済産業省所管の独立行政法人でございます。つまり、経産省が政策を立案した、予算を取ってきたものに対し、実際に事業を展開していくという立場でございます。

先ほど資格の話もちらっとしましたが、情報処理技術者試験という国家試験を運営しているというところでございます。IT人材の育成、若年層の発掘育成ということでセキュリティ・キャンプというものも運営しております。

ここから本題なのですが、私どもがつくっている情報セキュリティ教材は実は歴史は非常に長くて、試行錯誤しながらやってきたというのが正直なところです。その昔は、例えば60分コースみたいにして、SNSの使い方、そういったテーマを決めて60分物として完成させたりしていたのですが、その後、資料を使っていただける地方のボランティアの講師の皆さんや、シニアのパソコンサークルみたいなところのお話を聞きますと、どうもニーズに完全に合致しているとは言い難い、ちょっと使いづらいというお話も聞かれました。学校現場にも行くのですけれども、そういった場合には、60分物でIPAなりの講師が全部しゃべってしまう、一方的なお話になってしまうというところは感じていました。

情報モラルとなると、私がいるところはセキュリティセンターなので、セキュリティの話は強いのですが、皆さんのモラルのレベルというのがまちまちですし、学習指導要領を全部読めといってもみんな読んでいるわけでもないしというところで、完成した60分物、1コマの授業分として仕上げるのは先生でもないし難しいのではないかという結論になりました。

では、使いやすい資料とは何だろうと考えたときに、最初は私も学校教員の妻と話をしていて、教科書を見ても、さらっと表面的なことしか書いていなくて、もっと知りたいというときにその情報がない。では、副読本として資料集とかあればいいのかなと言っても、いや、そんなのは買ってくれない、学校はお金がないからみたいなことを言われるのです。であれば、気軽に使えるような小回りの利く教材があれば、できれば教科書完全準拠、何々出版の国語の授業で何ページ目でこの資料を使いなさいとやっていたら使うかねと言ったら、そういう通知をちゃんと読む先生だったら使うかもしれないけれども、実際そんなものを読んでいる暇がないぐらい忙しいのだみたいな話をされたことがあります。

ただ、妻と一つの授業をやったというときに、これは使いやすいというのは、要は、先生がちゃんと授業の計画を立てているという場合にはすごく使いやすい。まずはそういう前提で考えてみたというのがこの教材を作ろうとしたきっかけです。

これが実際のスライドです。一番上の列が「1-1-1 コンピュータウイルスとは」、横に3枚スライドが並んでいますが、これが一つの項目です。これはパワーポイントで全部まとまっていますが、パワーポイントファイルとして御提供していますので、適宜切り出してもいいのです。例えば「コンピュータウイルスとは」というのは3枚組ですけれども、3枚目だけ、ほかは自分でできるからいいやみたいな、3枚目だけ使おうというのも可能にしてあります。

あとは、内容ですね。モラルをあまり深追いしない。IPAの強みは技術的なところ、技術的な内容です。私ども講演の資料も、各種報告書、ドキュメントもそうなのですが、どこにどう切り出されてさらされても絶対間違いがないという、どこにさらされてもいいようにという形で、相談対応もそうなのですが、完全に間違いがない内容を出すというのが私どもの強みでございます。例えばコンピュータウイルスは危ない。でも、その危なさを正しく知らないと正しく身を守ることもできない。感染対策も、感染しては駄目なのだというのを先生が教えてくれれば、どう守ればいいかというところは私どものほうからこうしましょうという詳しいところを出せるということです。

脅威情報は、昔の脅威がなくなることはなく、日々新しい脅威が出てくる。先ほども闇バイトの話とか、そういったお話も出てくるので、やはりフットワーク軽く、例えば年度の途中でも新しい脅威が出てきたからこの説明をつくろうなんていうのも、小回りが利くようなつくりになるという感じですね。

最初は、資料集がいいのではないか、でも買ってくれないということなので、私としては、用語集をイメージして整備したいと思って、こういった小さいくくりにしています。あとは検索性をよくして、先生が授業計画を立てるときに、ウイルスの話をしたい、資料があるかなと検索したら何個かヒットして、使えるかなと、ではこのページだけ持ってこようとか、そういったことができるところからまずはやるのかなと思って作りました。

全体像ですが、1から5まで大分類、最上位の分類があります。その下の「大分類1-情報セキュリティ対策」というところではこれだけのスライドが用意されています。「大分類2」ですと、今のところ、3つですけれども、これらは私どもの相談窓口に寄せられた実際の事例です。それを私どもの手元で全部検証できるのです。IPAの相談窓口にはセキュリティの技術者がいますので、安全に検証しながら、こんな画面が出るのですよというネタは全部持っております。こども向けではないですけれども、例えば消費者センターの相談員にやはり同じような相談が来るのです。そのときに、こんな画面が出るのですよというのは、相談員さん向けに国民生活センター経由で、年間20~30回は相談員向けにやっているかなと思いますが、手口を知るというところ、実例を我々は出せますというところです。

そのほか「大分類3-SNSとの付き合い方」というところで、この辺になると、モラルというよりも、ネットに置いてしまった情報、データがどう扱われるかみたいな、どっちかというとセキュリティ寄りといいますか、技術的な内容ですね。なので、モラルの本論ではないのですが、本論を説明するときに必要な技術情報というのが今のところ、教科書でもあまり詳しく書かれていないので、そういったところでよりどころになればいいなということでこんな感じでスライドを用意しております。

大分類4、この辺になると、ディスインフォメーション、そういったものも入ってくるというところです。

大分類5になると、著作権法も改正されたということで、ネットの使い方というところにつながってくるというような感じで、昨年度に作ったものはこんな形になっております。

スライドのパワーポイントのデータは以上ですが、そのほか、動画のコンテンツ、お子様にも見ていただけるような内容もあります。大概は民間企業向けに作ることが多く、あとはウイルス対策というような難しいネタでやることが多いのですが、お子様向けにも幾つか、数は少ないのですが、あります。

あと、書籍ですが、これは昔になってしまうのですが、出版社のほうからお声がけいただきまして、私どもも少しはお金を出し、民間企業からもスポンサーを募って、本を書いたのです。「ひみつシリーズ」の漫画ということで、先ほどの動画もそうなのですが、シナリオを技術監修しているのが私を含めIPA職員なので、適当に作られるのではありません。技術的に矛盾がないようにしっかりとシナリオを作って、この「セキュリティのひみつ」の漫画も、最初の文字だけのシナリオから、絵が入ってきたときに、こまの割り方とかも、ここはつなげたほうがいいからここはこうやったほうがいいとか、そこまでこだわって作ったものです。これが完成したときには、全国の小中学校の図書館に最低1冊は寄贈しています。たまにいるのですが、私が小学校でちらっと話したとき、こういう本を作ったのですよと言ったら、読んだことがあるという人が何人かいたのです。こういったものもやっていますというところです。

今後どのような題材で資料を作っていくかという方向性のお話ですが、世の中にはいろんなガイドブックみたいなものがあります。中央省庁のほうでも乱立ぎみだというのがあって、IPAでもその昔は対策のしおりシリーズみたいにあったのですが、メンテナンスも難しいというのと、他の省庁が出しているというのもあって、同じようなものを作ってもしようがないというポリシーの下に、私どもでは、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が作っている「インターネットの安全・安心ハンドブック」を基にして作っていこうかと考えております。安全・安心ハンドブックというのは分厚い本で、冊子として作ったものだと5ミリぐらいの厚さがあって、かなりボリュームがあります。普通の本なので、挿絵はあるのですが、内容がなかなか難しいということで、私の野望としては、黄色い本を全部スライド化する。第何章はこのスライドでというようにスライド版を作っていけばいいのかなと考えております。

ハンドブックの冒頭に「サイバーセキュリティ対策9か条」というのがありまして、今年度などは、9か条を一個一個切り出してスライドを組み立て、60分ぐらいで話せる内容にまとめ、何回か講演で使用しました。私としては、単に対策しましょうではなくて、なぜ必要なのかというところを教え込みながら、似たような事案が出てきたときに応用力がつくようにというポリシーで資料を作ったりはしています。

この対策9か条も実は今、第3世代なのです。初代は2015年ぐらいに作られたものですが、9か条のチラシの下の方にIPAのロゴが入っていることでお分かりかと思いますが、この9か条を決めるところにも私どもが関わっています。第1版が出たときから私ども関係していまして、第2弾が出て、今、第3弾なのですが、草案は私が作りながら、NISCと調整して作り込んだというものです。適当なものではなく、しっかりとセキュリティ技術者が作っているというところも売りなのかなと思います。

最後になりますが、私どもで運営している安心相談窓口ですけれども、匿名でどなたからでも相談を受け付けております。たまに学校の先生からも相談が来たりしますが、まあまあ答えられないことはないですね。どんな質問でも、たまにそれは警察に言ってくださいとか、そういった相談もありますが、問題の切り分け、これは本当に問題が起きているのでしょうかとか、そういったところまでカバーしておりますので、ぜひとも使っていただければと思います。

以上です。

木村座長:非常に詳しくて具体的な御説明ありがとうございました。

では、質疑に移りたいと存じます。御質問、御意見等ある先生方はお願いいたします。上沼委員、お願いいたします。

上沼委員:御説明ありがとうございました。

ちなみに、先ほど引用されていたNISCの安心・安全ハンドブックに私も関わっていて、厚いのは厚くて、もらったものを高校のクラス会に持っていったら、重くて邪魔になると言われて結構へこんで帰ってきました。すみません。厚いと思いました。

今、伺っていて思ったのですけれども、お子さんは知識としては割と知っているのだけれども、それが実際につながっていない、実体験とつながっていないみたいな感じを若干受けるのです。例えばウイルスとかでも、ウイルスに触るとどうなるかみたいなものをバーチャルな形で体験できるとか、そういうような感じのほうが心に残るのではないかと思ったりすることがあるのですけれども、まさに技術者の方とかで御検討いただけたりしないのかなと思って、質問してみました。

情報処理推進機構:今のところ、教材という形ではないのですけれども、デモンストレーション用として作ったりしていました。本当のウイルスを動かして見せるということも可能なのですけれども、デモンストレーションとして、かなりリアリティーのあるデモの教材として作るのも一つの方向性としていいなと思いました。

例えば昨日おとといと東京新宿で東京都主催の消費者向けのイベント、交流フェスタですか、あったのですけれども、私どももブース出展していまして、国民生活センターが隣、迷惑メール相談センターも隣という感じで、そこで新たに入れたのがサイバー詐欺の体験環境です。実際の詐欺サイトではないですけれども、詐欺サイトなどがSMSとかメールで来ますね。あのリンクをたたいたらどうなるのか知りたくないですかといって、詐欺サイトを模した模擬サイトを作って触っていただきました。まだそのインプレッションを聞いていないですけれども、実体験に近い形の教材も開発の方向性として検討していきたいと思います。ありがとうございます。

上沼委員:ありがとうございます。ぜひ御検討いただけるとありがたいです。

木村座長:どうもありがとうございます。

竹内委員、お願いいたします。

竹内委員:とても刺激的でいい中身だったと思います。ありがとうございます。

特に奥様との協働、これは非常に刺激的で、私、常々思っているのが、異業種との協働の中で教材は鍛えられると思うのです。奥様との協働、素晴らしいと思います。私も、いろんな人や団体と協働しています。例えば上沼先生と一緒に講演したりすると強い刺激を受けます。今、日本は、先ほどおっしゃったとおり、内閣府、経済産業省、文科省等が、それぞれ独自に作っている感じがします。せっかくですから今後、協働していく方向がよいと思います。こどものために大人が縦割りを超えて協働する。その辺りがこれからの方向性だと思います。縦割りは縦割りでいいと思います。それぞれの専門性があってやっていく。縦割りが悪いことばかりとは思わないのですが、専門性を十分に発揮したうえで協働すると、すばらしいと思います。以前からIPAの教材はいいと思っていましたが、奥様の存在が大きかったのだなと気づき、感服しました。

一つ御提案なのですけれども、これは、今、うちの学生たちと兵庫県警で作っているのですけれども、例えば今共有している画面(「あなたの端末をロックしました」と表示されている詐欺サイトを模した画面)、この程度のものを提示しても、こどもたちは大いに関心を示します。「ほんまや、それは俺にも来た」と意欲的です。

何が言いたいかというと、こどもたちの多くは、大人が知らないまま、実際は多くの危険に遭遇しています。多くのこどもは、何とか自力で危険を回避しています。私たちが、危ないよと言っても、自分で乗り越えているから、「大人が都市伝説を話している」と冷笑します。こどもたちが今の加賀谷さんの話を聞いたら、この人は専門家らしい、先生ではない、別の人がしゃべっているらしいというところで専門性を感じて、その人が言うことだから聞くのです。実際にこどもたちの生活に根づいたような場面とか、そういうのを出しながらやっていく。学校の先生だけでは難しいので、そこを縦割りの詳しい方、IPAの方と一緒にやっていく。その辺がこれからの方向性ではないかと思います。私も58歳になって時間も少ないので、奥様がお忙しかったら、私、ぜひ一緒にやりたいと思うので、それぐらい感銘を受けました。

以上です。質問ではないです。感想です。

木村座長:もし何かあれば。

情報処理推進機構:異業種で育てていくというのは、まさにそのとおりだと思っています。相談窓口の分野でも相談窓口連絡会を組織しておりまして、例えば国民生活センター、迷惑メール相談センター、警察もいたりというような、まさに異業種なのですが、公的な相談窓口を運営しているところがお互いにノウハウを共有するとともに、ワンストップで相談対応をしてみようという思いなのです。たらい回しをしたくない。

例えばサイバー詐欺という問題ですと、身近なところだと最寄りの自治体の消費者センターに電話することが多いのですけれども、契約云々に関するところは消費者センターが強いのですが、パソコンとかスマホがおかしくなっているのではないかとか、犯人を捕まえてくれとかいうのは消費者センターではないのです。そういったように、例えば同じサイバー詐欺という一つの問題でもいろんな専門分野が絡んでいるというのは痛感しておりまして、異業種で一つの問題について強みを持ち寄ってやっていくというのはすごくいいのかなと思います。特に教育ですと、文科省さんの柱がまずは一番太いと思いますので、そういったところで何かしら私どもも絡みながら、技術的なところ、いいコンテンツを求められているという声があれば、それに合わせて整備していくというのがいいのかなと思いました。そんなところです。

木村座長:竹内先生、続けて御発言でしょうか。お願いいたします。

竹内委員:簡単に。まさにおっしゃるとおりです。いろいろな協働が必要です。

付け加えて言うと、私は、ネット依存の子を連れてキャンプに行っています。彼ら口酸っぱく幾ら言っても聞かないのですけれども、そこにネット依存が専門の医学部教授を連れていって、説明してもらったら、「ほんまや!」と納得します。同じことを言っても聞き方が違うのです。まさに専門性の高い人たちが一緒にやっていくと、やれることがすごく増えていくと思うので、今後、どこか、言い出しっぺというか、やれる人がやっていったらと、私も58歳になってしまったので、もう何年かしかないので、若い世代がなかなか育たないので、若い世代も引っ張り込みながらやっていく、その辺りが重要と思います。

以上です。ありがとうございます。

木村座長: 何か付け加えて、よろしいですか。

では、ほかの点について先生方から何かありますか。上沼委員、先ほどハンドブックに関わったとおっしゃっていましたけれども、追加で何かありますか。

上沼委員:ハンドブックをネットに置いておくというのが重要かと思っていました。

木村座長:ありがとうございます。

尾上委員、お願いいたします。

尾上委員:関わったといえば、「サイバーセキュリティのひみつ」は「ひみつシリーズ」に日本PTAが関わっておりまして、推薦図書として出してもらっているのですけれども、そのころ、私もいたのですが、言葉自体がまだ始まったばかりのような捉え方だったのですけれども、今になると、もっと更新されている部分があると思いますので、ぜひとも更新バージョンをやっていただきたいと思いました。こっちのほうは分厚いので、大変だと思うのですが、今、ネットで見られるようなものもできていますので、お知恵をお借りして、しっかりと周知できるように進めていけたらと感じました。

以上です。

木村座長:どうもありがとうございます。

バージョンアップのこととかは何かございますか。

情報処理推進機構:続編に関しては今のところ何も決まってはいないですけれども、漫画のああいうシリーズはニーズがあるということでしょうかね。スライドをはじめとして、書籍も何かの機会があれば私のほうからも提案してみたいと思います。ありがとうございます。

木村座長:どうもありがとうございます。

ほかの点で何か先生方からございますか。佐川委員、お願いいたします。

佐川委員:貴重なお話、ありがとうございました。

資料を事前に拝見していて、情報モラルに関する活動をし始めたころには、情報モラル啓発とセキュリティ教育の啓発は異なるものとして昔は取組が進んでいたような気がしており、今回こういう教材を作られるに当たって、項目の設計のところでどのように工夫しながらその2つの要素のバランスを取られたのか、お伺いしようと思っていました。先ほどモラル部分を深追いせずに作られたと聞いて、竹内先生も先ほどおっしゃられていましたが、それぞれ専門分野がある中で、どう連携しながら、身につけさせなければいけない能力を埋めていくのか。協働がやはり重要だと、今、お話をお伺いしながら思ったところです。そういった観点で引き続き私どもの活動等とも連携させていただきながら、必要な能力の習得を進められればと思った次第です。

感想で恐縮でございます。

木村座長:どうもありがとうございます。

今の点で何かございますか。

情報処理推進機構:佐川さん、御無沙汰しております。

大分類の分け方なのですが、最初の案は業者さんに作ってもらったというのもあって、モラルのページがもっと多かったのです。ただ、モラルですと、恐らく正解がないものが多いのではないかと思うのです。そういったものを資料としてIPAとして出していくと、僕はメンテできるけれども、僕ももうすぐ定年なので、誰がメンテするのみたいな話になりました。我々がやるべきなのは答えがあるもの、技術的な分野では、セキュリティの本当のところであれば正解はあるので、それが大体は普遍的なものかなと思うのです。IPAとしては、この大分類を決めるときに、どちらかというと正解がはっきりしているものをポリシーとしてやったという経緯があります。というのも、正解がいろいろあるというと、人によっては「何だ、これ」みたいに思う人がおられるとちょっと困るというのもありまして、相談の現場でも心がけている、要は我々が出した文書はどこに出されても恥ずかしくない内容でというポリシーでやっておりました。

以上です。

木村座長:どうもありがとうございます。

山本委員、お願いいたします。

山本委員:TCAの山本でございます。本日は情報セキュリティの教材のお話、大変有意義なものだと思って聞かせていただきました。

私の感想になりますけれども、こういうすばらしい教材を作られたということで、この活用については学校でとかいろいろな形での活用をお考えだと思います。加賀谷さんのような専門家の方がその教材を持っていろいろなところに行かれれば、それは非常にすばらしいと思うのですが、ただ、全国の学校あるいはいろいろな場でとなると、教える方あるいは教材を説明する方もたくさんいることが望ましいと思います。学校の先生で詳しい方ももちろんいらっしゃるでしょうが、必ずしもそういうことに通じている方ばかりではないと思いますので、その辺のことが少々気になります。

一方で、総務省関係の団体のマルチメディア振興センターというところで「e-ネットキャラバン」という情報通信関係の出前講座みたいな取組をしておりまして、その講師には私どもの通信事業者の社員なども参加しておりますし、通信事業者に限らず、情報関係、メーカーの社員の方など専門の方が広く参加していると聞いております。そういう意味で、教材と、それを使って教える人との連携、そういうことが全国の学校などで青少年の方々にこのような教材の内容などを浸透させていくには大変有効というか、重要なのではないかと思います。特にお答えをというわけではないのですが、そういう取組が今後さらに進んでいけば望ましいのではないかと思った次第です。

以上でございます。

木村座長:どうもありがとうございます。

今の点、もし何かあればお願いします。

情報処理推進機構:教材の活用ということで、実は私どもも昨年度までは「インターネット安全教室」という事業があって、学校や警察から講師派遣依頼を受けて出向いていたのですが、そういった講師派遣事業というと、今まさにお話がありましたけれども、総務省さんのe-ネットキャラバンがありまして、内容的にも類似していて、開催回数も桁が違うぐらいということで、内々のお話ではありますが、事業見直しの対象になってしまったのです。

講師派遣事業ではなく、では我々がやるべきことは何なのかというところで、IPAの強みが生かせるのはコンテンツなので、例えば総務省さんともお話をしていて、教材の話をしている中で「e-ネットキャラバンさんのほうでも資料を作りますよね。IPAの教材を使ってほしい」というところで、いろんなネットワークを使って私どものプロデュースした資料をどんどん拡散していこうかと思っていたところです。その御縁もあって、また別の機会でマルチメディア振興センターの方も来ていただきまして、実はコンテンツづくりで悩んでいるみたいな話を聞いて、みんなでNISCの黄色い本をベースとしてやっていけばいいのではないですかと、少なくともIPAは黄色い本準拠で、政府はこう考えていますと、何か文句を言われたら、それは黄色い本のせいですと言ってしまえばいいので、そこで間違っているのだったら、IPAも全力でそこは直しにいきますので、いいものを黄色い本としてみんなで使っていけばいいのかなとは思っておりました。教材の普及啓発という意味で、私どもの持てるコネクションを最大限に使って広めていきたいと思っております。ありがとうございます。

木村座長:どうもありがとうございました。

曽我部委員、お願いいたします。

曽我部委員:御説明どうもありがとうございます。

私の御質問は、今のやり取りと関係する点で、むしろ文科省さんへの御質問になります。資料1を拝見すると、情報モラルの中に情報セキュリティという概念も恐らく入っているのだろうと理解しました。先ほど御紹介いただいた文科省さんの情報モラル教育ポータルサイトを拝見していますと、文科省作成の資料も教材もありますが、経産省の資料もあり、NHKのコンテンツもあります。お尋ねしたいのは、この収録の方針ということなのですが、端的に言うと、先ほど御説明いただいたIPAさんの教材や、総務省も教材をいろいろ出されて、事業者提供のものもあると思うのですが、そういったものが含まれていない。つまりNHKのものがあり、経産省のものがあり、文化庁のものがあるが、ほかのものはないというところで、どういった方針でやられているのかということです。

例えば文科省作成のものだけであれば、ある種、体系性を考慮して厳選して置いてあるのかなと思うわけですが、実際に今あるものは経産省のものやNHKのものもあったりするので、必ずしも体系的なものではなくて、要するにいろんなものを載せるということなのかと思ったりするわけです。その割には、IPAさんの教材や総務省の教材、あるいは総務省においては講座もされているというのは今あったとおりであります。ポータルというからには、そういった情報への動線もあってしかるべきかと思うのですが、どういった方針で情報モラル教育ポータルサイトが運営されているのか、出番が終わったところで大変恐縮ですけれども、御質問させていただければと思います。

木村座長:分かりました。文科省は先ほど御説明いただいた酒井様でしょうか。まだ参加されていますでしょうか。

文部科学省:文科省、酒井です。

木村座長:申し訳ありません。今の点、よろしければお答えいただけますでしょうか。

文部科学省:私どもの情報モラル教育ポータルサイトにつきましては、情報モラル教育事業の運営に当たって、情報モラルを専門とする有識者の方々の御意見をいただきながら、コミュニケーションを取りながら、どういうコンテンツを掲載すべきか、これまで検討してきました。その中で関係省庁とも連携を取りながら、必要な教材を取り扱ってきたという状況でございます。今、御指摘のようなIPAさん、その他の省庁、明示的に何か私どもが意図があって、取り扱っている省庁があって、取り扱っていない省庁があるというわけではなくて、これまでの関係性の中でいろいろとコミュニケーションを取ってきた中で、有識者の方からも御推薦をいただきながら掲載してきたというのが経緯でございます。今日の会議もございましたので、御参加の関係省庁ともまた御相談させていただきながら、必要な教材の掲載を検討させていただきたいと思います。

木村座長:どうもありがとうございました。

曽我部委員、今の点、さらに何かございますか。

曽我部委員:視野を広げて、より充実した内容を掲載していただければと思います。

以上です。

木村座長:どうもありがとうございました。

加賀谷様からも先ほどあったように、方々でいろいろなものが作られている、それをどういうふうにするかというのは今後さらに問題になってくるのかなと思いました。

ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。どんな点でも結構ですけれども、よろしいでしょうか。

お忙しい中、非常に貴重な御報告をどうもありがとうございした。

それでは、今のお話も先ほどの文科省様のお話も今後の検討に生かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

では、議題3の「その他」ということで、事務局から御報告をお願いいたします。

事務局:事務局の安全対策課長、鈴木でございます。

配付資料3で「欧州連合、欧州評議会及びイギリスにおける青少年のインターネット環境整備に係る取組等の調査(要約)」をお配りしておりますが、こちらの資料に関連して事務局から御説明させていただきます。

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画」、現在、5次計画になっておりますが、この中に、青少年有害情報に関連する施策を推進している諸外国の現状や取組等について調査研究を実施すると定められておりますので、内閣府時代から、例年、当課では、諸外国における青少年のインターネット環境整備に係る取組等の調査を実施しております。これまでアメリカやイギリス、フランス、ドイツ等のヨーロッパ諸国、カナダ、韓国、オーストラリアといった国の状況について調査研究を行いました。そのたびに、曽我部委員、竹内委員、上沼委員にそれぞれ監修していただきまして、大変お世話になっております。ちなみに、今年度は曽我部委員に監修をお願いしまして、アメリカ合衆国の各州を対象に調査を進めているところでございます。

今、お配りしていますのは、昨年度(令和4年度)の調査研究でございまして、EU、欧州評議会、イギリスを対象として実施しております。既に委員やオブザーバーの皆様には冊子版の報告書をこの春に完成した時点でお送りしていると思います。100ページぐらいあるのですけれども、本日は、要約版につきまして、その概要を御紹介させていただきたいと思います。ちなみに、この調査につきましては、OECDでの勤務経験もおありでヨーロッパの状況に詳しい齋藤長行先生に監修していただいております。

それでは、資料3に沿って、資料に載っていない報告書本体の内容も含めまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。

まず、1ページ、欧州連合(EU)でございます。1の「青少年のインターネット利用環境に関する実態」に書いてありますが、実はEUそのものによる公式資料はないということで、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが行った「EU Kids Online 2020」という調査に基づいての資料でございます。これは、加盟国全部ではなくて欧州19か国の9歳から16歳を対象とした調査ということです。そこにいろいろと数字を書いておりますけれども、例えば青少年のインターネット利用、特にスマートフォンの利用が活発だということは日本と共通していると思います。最後のところに、利用時間が2倍に増加、1日167分と書いていますけれども、これは3時間弱でありまして、日本の青少年、10歳から17歳の数値ですと平均約280分となっていましたので、それに比べるとこちらのほうが短いという数字です。ただ、ほかにもいろいろな数字が出ていて、どこで比較するかというのは難しいかと思います。

2に課題が幾つか並んでおります。ネットいじめ、麻薬売買などの犯罪、違法有害情報の閲覧・拡散、ネット依存、ゲーム依存、個人情報等の流出・拡散、性的搾取、サイバー犯罪、サイバー攻撃、そういった問題が出ております。こういうのもやはり日本と共通するという感じがいたします。報告書には、TikTokで呼吸を止めるのにチャレンジして10歳の少女が死亡してしまった、そういった例が挙げられていました。このためにイタリアでは13歳未満のTikTok利用が禁止されたということだそうです。

3のEUが定める法制度・政策ですが、ここにいろんな機関が紹介されていますけれども、報告書本体では各機関の権限等についても説明しています。EUの法体系として、規則、指令、勧告といった種別がありまして、それぞれ加盟国の政府や加盟国内の企業、個人に直接適用があるのか、拘束力を持つのか、そういったことに差があるということです。

最近の動きとして書かれていますのが、以前、この検討会でもほかのシンクタンクの調べたデータとして紹介されたかと思いますが、欧州評議会で採択されたDMA(デジタル市場法案)とDSA(デジタルサービス法案)、そういったものが取り上げられています。いずれも規則でありまして、加盟国の国内法に優先して加盟国の政府、企業、個人に直接適用される規制であるということであります。特にデジタルサービス法案は、オンライン上の違法なサービスコンテンツから利用者を守るプラットフォーム等のサービス提供者の責任を明確にするという法令でありまして、特に未成年者を保護するために、未成年の利用者に対する説明義務を規定したり、未成年を対象とするオンラインプラットフォーム広告や未成年の個人情報の取扱いを規制しているものであります。

4に「利用環境整備に関する事業者、民間団体、家庭の取組を整理」と書いてありますが、ここでは省略されていますけれども、報告書では民間事業者の取組について記載されております。例えばInstagram、Facebook、TikTok、Twitter、Snapchat、これはいずれも13歳以上の利用に限定されています。MetaのWhatsAppは16歳以上、そういったことがいろいろと調べて書かれております。それから、NetflixとかAmazonプライム、YouTube、Disney+といったサービスについても、子供を守るためのコンテンツ制限についてこういった機能がある、そういったことも紹介されています。ここのますでペアレンタルコントロールについて平均22%という数値が出ていますけれども、報告書本体を見ますと、フランスでは39%という数字が出ていたり、またペアレンタルコントロールの使い方として、子供たちがアクセスするコンテンツのブロックまたはフィルターに加えまして、利用状況のモニターあるいは子供たちの位置確認といったことが挙げられていました。

2ページ、欧州評議会(CoE)であります。CoEというのはEUとは完全に別組織でありまして、EUの加盟国27か国を含む46か国が加盟しているものです。主に人権、民主主義、法の支配の面から国際社会の基準を作成して、加盟国政府に対して政策のガイドラインを提供する国際機関です。加盟国の代表、外務大臣から成る閣僚委員会が最高意思決定機関となっているということだそうです。

1、2のところにつきましては、EUとイギリスの内容と重なるので、そちらを参照となっていますが、3のCoEが定める法制度・政策というところで機関や権限がまとめられています。実施部門の権限というところに3つの機関が記載されていますが、これらの機関がそれぞれガイドラインの作成を準備して閣僚委員会が決定する。例えば1998年のCoE閣僚委員会による勧告で、子供による情報へのアクセスを保障することや、子供を対象としたメディアを確保することといったことが盛り込まれています。また、CoE戦略文書という形で、例えば表現の自由であるとか、情報の権利、デジタル環境へのアクセスの確保といった子供の権利について勧告されていたり、テクノロジーへのアクセスとその安全な利用ということでオンラインでの危険から子供を保護する企業の責任について啓発することが提
言されています。

その他のところで書いていますけれども、インターネットにアクセスすることが容易でない貧困家庭などの子供にとって、教育が受けられない、そういった情報格差の問題も指摘されているところです。

最後に、3ページ、これはイギリスでございます。イギリスは既にEUを離脱しましたので、EUとは別の調査になっています。

1の実態調査のところですが、これは主に英国放送通信庁(Ofcom)のデータであります。本文に書いている内容も踏まえますと、3歳、4歳の幼年期では78%がタブレットを使用して、スマートフォンの使用は39%ですけれども、16歳、17歳では98%がスマートフォンを利用して、タブレットは50%まで下がっている。これは日本の高校生のデータともかなり近い数値と見ました。動画アプリサイトの利用が多くて、テレビはライブ放送よりも有料オンデマンドサービスが多く利用されているということでした。

2のいろんな課題があるということにつきましては、EUと同じような項目が挙げられております。

3のイギリス政府が定める法制度・政策ですが、主な組織として、個人情報保護監督機関(ICO)と、先ほど言いましたOfcomがございます。個人情報保護監督機関(ICO)は、かなり権限が強いようでして、年齢に応じたデザインのための実務指針(Children’s Code)、15の行動規範を策定しておりまして、違反があれば制裁措置を取る権限を持っています。Ofcomは、通信全般、テレビ・ラジオ、固定電話・携帯電話、郵便、ブロードバンド等について監督権限を持っていて、有害なコンテンツからの青少年の保護についても規制権限を持っている組織だということです。オンライン安全法案(OSB)が前もこの検討会で話題になったことがあったかと思いますが、オンラインの悪影響を防止するため、プラットフォームに有害なコンテンツやいじめなどから子供の保護を求める、そういった法案で、この報告書作成時にはまだ審議中という段階でございました。

4、5は記載のとおりでございます。

かいつまんでの御説明になりましたが、御関心をお持ちであれば、以前、報告書本体をお送りしていると思いますので、詳細はまた確認していただければと思います。

以上でございます。

木村座長:どうもありがとうございました。

今の点は御報告ということで承りたいと思います。

では次に、事務局から次回の検討会についてお願いできますでしょうか。

事務局:次回の58回検討会につきまして、開催時期は12月を予定しております。例年、高校生ICTカンファレンスの最後のプレゼンをこの検討会でやっていただいていますので、今年もそういうことになろうかと思います。委員の皆様には別途、日程照会をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

木村座長:どうもありがとうございます。

それでは、以上をもちまして、本日の検討会を終了させていただきたいと存じます。長時間にわたって活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。本日は以上とさせていただきます。