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こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する検討委員会(第1回)

概要

  • 開催日時:令和4年8月3日(水)13時15分から15時15分まで
  • 開催形式:オンライン・対面開催

議事

  1. 調査研究の背景・目的
  2. 調査全体の概要説明
  3. 国内先進事例調査について
  4. 有識者ヒアリングについて
  5. 自由討議

配付資料

議事要旨

1. 野田こども政策担当大臣挨拶

  • 6月15日に、こども基本法とこども家庭庁設置法が成立した。常にこどもの視点に立ち、こどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」への転換という社会変革をしていく。そのためのいわば「器」とこども政策を進めるに当たっての基本理念が明確になった。
  • こども家庭庁が何より大事にするのはこども・若者の意見。こども基本法においては、年齢を発達の程度に応じたこどもの意見の尊重が基本理念として掲げられるとともに、国や地方公共団体がこども施策の策定等を行うに当たり、こどもの意見の反映に係る措置を講ずることが義務付けられた。
  • ただ、日本では国の政策に関して、こども・若者の意見を聞く仕組みが十分検討されてきたとは言えない。
  • 検討委員会の委員の皆様におかれては、意見を言いづらい脆弱な立場に置かれたこどもも含めて、多様なこども・若者から、意見を聴くための様々な手法、こどもが意見を言いやすい環境づくりなど、こどもや若者の意見を国の政 策に反映する取組の在り方について、ぜひ闊達なご議論をお願いしたい。
  • こどもの意見を聴く場や聴いた意見を政策に反映する場は、国においては、新しい取組。ただし、委員の皆さんは、すでに研究や実践の中でこどもから意見を聞く方法を確立し、こどもと接してきた方々。積み上げてこられた現場の感覚やノウハウ、これまでの実績を存分にご披露いただき、これからのこどもやこどもの側にいる大人も含め、社会に 新しいイノベーションを起こしていくのだと、そういう気概をもって、明るく楽しく取り組んでいただきたい。

2. 宮路内閣府政務官挨拶

  • 大人の都合によらず、こどもの意見をいかに反映するか、皆さん方の英知を結集いただきたい。

3. 委員紹介

各委員から、自己紹介とともに、こどもの意見反映についての現状認識やこども家庭庁への期待、調査研究への提案が行われた。主な意見は以下の通り(順不同)。

(基本的な考え方)

  • こどもには意見表明の権利があり、大人の都合が悪い時には意見を聴かない、ということがあってはならない。
  • こどもの声を活かしながら、エビデンス(裏付け)がある政策を実施することを期待したい。
  • こども基本法の運用をしっかりと行うこと、こどもが安心して意見できる環境を作ること、こどもの意見反映に関する計画を策定することを期待したい。
  • こどもと若者について対象とする年齢層について議論すべきである。
  • こどもからの発達の過程にある若者世代も対象にすべき。

(こどもが意見を表明するための支援について)

  • こどもは意見を求められてすぐに言えるものではない。意見表明の機会の周知、意見形成の過程のサポート、成功体験など、意見を言えるこどもたちに育てていくことが必要である。
  • 困難を抱えるこどもの支援も重要だが、健常な若者の意見を聴く場が足りていない。また、そうした若者が意見を言えるようにエンパワーしないと、社会の一員として育たない。
  • こどもは主権者である。民主主義社会の担い手としてこどもを育てる必要がある。こどもをいかに市民・大人に育てるのかということである。
  • 日本のこどもは自己肯定感が低いと言われている。一方で、自分の意見をはっきり伝えられているこどもほど自己肯定感が高いという研究がある。その観点からも意見を表明することは大事である。
  • こどもたちに話を丁寧に聞くには時間も費用もかかる。丁寧にやるほど声を聞くことができ、メンタルケアなどのフォローアップ体制やバックアップが必要である。

(こどもの意見を聴く多様な手法の確保について)

  • 一つの取組や一つの事業だけでは意見を聞いていることにはならない。幅広く意見を聞く仕組みが必要。
  • 様々な背景を持ったこどもの声が聴けるよう、様々なルートで聴く必要がある。SNSの活用など、こども・若者がいる場所に届けることは重要だが、あわせて、必要な人たちにどれだけ届いたかなどもフォローすることが必要。
  • 声をあげたいこどもの声は拾い上げやすいが、声をあげられないこどもの声をいかにして拾い上げるかが重要である。
  • 大人が聴きたい事を聞くということは多いが、こどもや若者が生活する中で今おかしいと思った時に、それをいつでも言える場、投稿できる場が必要。その中で、多数寄せられたこども・若者の声を社会に発信することも考えられる。

(こどもが安心安全に意見を表明できる環境について)

  • こども参画を支えるアドバイザー、ファシリテーターの設置や育成も必要。
  • 協力的な大人がいて安心安全に話せる環境を作ることが大事。
  • こどもが意見を言ったとしても、大人に言っても仕方ない、聞いてくれない、大人が決めていると思わせてしまうと、こどもは意見を言わなくなってしまう。大人がこどもの声をどう聴くのかというトレーニングも非常に大事である。
  • 4,5 歳のこどもでも、実は自分の思っていることをしっかり伝えたいと思っており、うまく伝えられないもどかしさを感じている。大人が「こう思っているはず」と一方的に決めつけるのではなく、安心して意見を言えるような環境づくりが重要。
  • 医療的ケア児は人工呼吸器を付けていたり、体を動かすこともままならなかったりするので発信が弱いと思われがちだが意思を持っている。指や目線で意思表示できるような環境があればしっかりと発信してくれる。「すべての人を取り残さない」と言われながらも、実際には取り残されてきたこどもたちがいる。指先一つでも発信できるような環境を用意すれば様々なことを考えていることが分かる。そういう声も拾い上げていけるような仕組みがあるとよい。

(こどもの意見のフィードバックについて)

  • こどもや若者の意見をどこまで反映するかについては、全てを受け入れるということではない。一方、フィードバックは重要である。
  • 聞かれた声がどのように反映されるのかを当事者に伝えたり、法律ができたあとのチェックまで含めてこどもに関わってもらうことも必要である。

(その他)

  • こども・若者が意見を言えるようにサポートするための予算が必要。
  • こどもや若者が主体となって活動するための予算の確保ができると良い。
  • こども若者の意見表明や参画に関する研究は少ない。研究と実践は両輪であり、研究に対する支援も必要。

4. 調査研究の背景・目的

内閣官房より、資料2の内容について説明があった。

  • この調査研究でターゲットとする年齢層については、20代までを目安としつつ、議論いただきたい。
  • 法案審議の過程で、脆弱な立場にあるこどもや乳幼児を含めて様々な声を拾うこと、意見を言いやすい環境をつく ること、こどもにフィードバックをすること、ファシリテーターやサポーターの育成が必要であること、こどもの声を聴くことの重要性を社会に周知すること、収集したこどもの意見を分析する必要があること等の指摘があった。

5. 調査全体の概要説明(資料 3-1)

事務局より、資料3-1について説明があった。主な意見は以下の通り(順不同)。

  • 調査仮説①(p.5)で、先進事例は高度な参加段階を目指しているとあるが、「こどもの意見がどの程度正当に考慮されているか」に変更すべき。また、参加段階について事務局から「段階の数字が大きい方が必ずしも良いというものではない」という説明があったが、その旨を明記した方が良い。
  • 先進事例の調査にあたっては、一つの先進的な取組を取り上げて調べるよりも、面的な調査が必要と考える。一つの国、自治体の中でも、こどもの意見を反映する場や取組には幅がある。全てにおいて高度な参加段階が良いというものではなく、幅広く多様な取組があるということが重要ではないか。
  • p.7 に「望ましいこどもの意見聴取や参加手法は、政策決定過程において求められる「深い議論(質)」と「意見 の数(量)」に即して選定する必要がある」と書かれているが、それよりも、意見がどれくらい反映されているのかを評価基準とすべきでないか。
  • 「児童の権利委員会 一般的意見12 号」については、意見を聴かれるこどもの権利を実施するための段階的措置(パラグラフ 41-47)も参考にできる。
  • 先進事例の中でもこども参加の効果や事業目的は様々である。イギリスではインパクト評価とプロセス評価があるが、こどもの意見反映についてはプロセス評価がよいのではないか。

6. 国内先進事例調査及び有識者ヒアリングについて(資料 3-2、3-3)

国内先進事例の調査対象について、資料 3-2 の候補のうち、委員が関わっている自治体については委員に情報提供いただき、残りを調査対象とすることが了承された。主な意見は以下の通り(順不同)。最終的な対象選定は、座長と事務局に一任された。

  • 市町村の事例が対象とされているが、国のこれまでの取組や都道府県の取組についても対象とすると良いのではないか。
  • 有識者ヒアリングについて、資料 3-3 で提示された分野に加えて、政治参加、若者政策、学校での取組の視点、重度の自閉症のこども等を想定したコミュニケーションの専門家も考えられるのではないか。

以上