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こどもの居場所づくりに関する検討委員会(第1回)

概要

  • 開催日時:令和4年8月8日(月)13時00分から15時00分まで
  • 開催形式:オンライン・対面開催

議事

  1. 全体実施計画について
  2. 先行調査の整理・分析結果について
  3. 有識者や関係団体等へのヒアリングについて

配付資料

議事要旨

(1)開会
〇 野田聖子こども政策担当大臣より挨拶。

(2)委員紹介等
〇 事務局より、委員・参加者を紹介の上、委員より一言ご挨拶。
〇 互選により、湯浅委員が座長に選任。

(3)議事
〇 事務局より、全体実施計画案(資料1)、先行調査の整理・分析結果(資料2)に ついて説明。
〇 委員より、以下の発言あり(順不同)。

  • 居場所の定義について、具体的な場のみならず、こどもたちの体験活動や遊びなどを含 むとされていることが印象的。居場所づくりに関する実践は、ここ 2~30 年、様々な文脈で実践や研究が行われてきたが、それ以前にも、居場所とは呼ばれていないが、居場所的な意味を持つ活動は多くなされてきたと考える。いわゆる「居場所づくり」をしてきた方々と、居場所と呼ばないキーワードでやっていた方々が、現実には同じ課題を持ち、同じような専門性が求められることもあるが、そこに横串を刺すネットワークやプラットホームといわれる場の存在はこれまでなかったと思う。各分野の人たちがつながっていくプラットホームをどのように作っていくか関心事項としてある。
  • 先行研究で、ユニバーサルとターゲットの場を明確に区別する必要があるとの指摘もあったが、多様なターゲットニーズを包含できるユニバーサルアプローチを展開している事例もあり、とても重要であると思うので、その点についてどう捉えていくか。
  • 居場所における学びや成長をどう位置付けるかは大きな論点であり、それぞれが土台としているフィールドによって異なると思われる。まずは、成長や変化の手前に、存在の肯定があった上で、その次に成長などの変化や参画がある。この順序が逆になってしまってはいけないことを意識し、結果として居場所で生じる学びや成長の価値を認めつつ、それが目的化しすぎることのデメリットにも留意しておくことが重要ではないか。
  • 「居場所づくり」が政策用語になったのは 2000 年代以降だが、個人としては「居場所 づくり」という言葉は使わないようにしている。そこが居場所かどうかを決めるのは、あくまでも当事者であるべき。2000 年代以降、居場所を支援のツールにしようという視点が非常に強いことには懸念もある。
  • 本当に困った時に助けを求める相手は、必ずしも支援機関ではなく、日常的な関係性を 持っている相手であることが多いことも踏まえ、支援に回収されない居場所も本委員会で検討できると良い。
  • たいていのこども・若者は困難を抱えていたとしても、困難を抱えていることが見えづらい。多様なターゲットニーズが包含されるようなユニバーサルな居場所や大人から見て望ましく、役に立つような居場所とは異なる視点を是非維持していただきたい。
  • 居場所に関わる職員について、熱心に活動すると活動中心の生活となり、私生活が犠牲になることがままある。特別な人だからこそできる先進的な活動も、新たな道を開いていくには必要だが、居場所を広げて普遍化していくためには、普通の人がコミットできる居場所を考えていく必要がある。
  • 日頃、居場所を運営する民間団体と関わっている中で、手取り 10 万円台で週 6~7 日勤務する職員と会うことは珍しくないが、それでは職としての持続可能性に欠ける。こ どもの居場所の環境整備として、こどもの居場所にかかわる大人に是非お金も付けて ほしい。
  • こどもへのヒアリング時は、ユースワーカーの方に調査設計を説明した上で、ユースワーカーの方にインタビュアーになっていただく(リサーチャーは同席)方がよいのではないか。また、大人がこどもの言葉にならない思いを代弁してしまってもいけないが、代弁されなければ言葉として残らないものもあると思うので、ある程度代弁すること も位置付けていいのではないか。
  • こどもの居場所を年齢制限のない場と考える場合、その範囲をどこまで想定するかが 難しい。「こどもの延長措置」と「ポストこども」といった、段階分けも必要ではないか。
  • 運営に関わる職員と、こども観(こどもをどのように捉えているか)を共有することが非常に重要。こどもは単に守られる存在ではなく、そもそも力のある存在であり、それを感じ、発揮できる場所が必要という考えは、こどものエンパワーメントにもつながる視点である。
  • こどもは未来を担う存在として言われることが多いが、その前に、今毎日を生きている 主体であり、こどもの今を見ていく必要がある。資料2の、居場所に求められる要素でいうと「⑩こどもが主体である」ことが最も重要。また、先行研究では「(こどもが)認められる」「(こどもに)同情」というキーワードも挙がっているが、違和感がある。
  • 安心できる居場所というものは、常に絶対的に存在するものではない。その場の人々、 毎日の調整により、その日その時で生まれるもの。我々はその時のそのこどもにとって、 何が安心できる居場所なのかを常に考えてつくっている。
  • 表現したことで何かが変わるということをこどもが感じないと、意見を言わなくなる。自分が発したことが、場や地域や人など色々なことに変化を起こしていると、こども自身が感じられるようなことも、重要な要素。
  • 私たちが子育て支援をする中で、情報というものは非常に重要になる。SNSに情報は 溢れているが、特に、こどもたちは自分に関する情報を見つけづらく、また届かない印象がある。居場所は、こどもに情報を届けられる身近な場であると良い。
  • 居場所づくりの指針を検討する際に、大人がこどもにどのように関わっていくか、という指針もあって良いのではないか。
  • 居場所が場にとらわれずに人の関係性の中で存在するということであれば、自分から 行く居場所だけでなく、来てもらってできる居場所もあるのかもしれない。
  • 本調査研究の趣旨・目的で書かれている、閣議決定された基本方針の文章に矛盾を感じる。「全てのこどもが、安全で安心して過ごせる」居場所というのは、必ずしも「自己肯定感」や「様々な学び」、「生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会」を提供する場とは限らない。例えば、いじめられているこどもにとって安全で安心して過ごせる場所は、ひとりで自分の部屋に籠ることであり、孤立はしているが孤独を感じていないこどもが一定数いる。社会的関係を断つということが、安全・安心で過ごせる居場所になる、という可能性も指摘しておきたい。
  • 居場所の定義は、当事者が居場所と思うことである。今回、居場所の定義に「体験活動 や遊び」が含まれており、年齢の低いこどもをイメージしてしまうが、定義の中で、あえて居場所の例を示す必要はなく、場において提供される様々な活動という文言までで、とどめてはどうか。
  • こどもの居場所づくりの着地点が、相談窓口の拡充などになる可能性もあると思うが、それは非常に困難であるとお伝えしたい。相談窓口の拡充ではもはや追い付かない状況で、いかにコミュニティ側に戻していくかが重要である。その際、相談窓口で行っていたボランティアや支援者へのトレーニングを、どう簡略化するかも検討が必要である。
  • いわゆる社会的関係というものを居場所とするのであれば、いかにして他者と関わりを持っていくのかということをわかりやすく伝えるような、いわゆる支援者支援の文脈で語られているようなマニュアル作りや、関係そのものを居場所と定義した上で、個人一人一人が他の人と関係を持って、非常に普遍的な中で、誰かに頼れる存在として機能していくということが、理想だと考える。
  • 「こどもの居場所づくり」という表現について、「こども」を平仮名にしているのは、年齢で区別をつけないということだが、「居場所」を漢字にしているのは年齢で区切るということなのか。なぜ「こども」が平仮名表記で「居場所」が漢字表記なのか言葉が持つ意味合いを、一度整理する必要があるのではないか。
  • 資料2の居場所に求められる要素に何か加えるとしたら、生きる意欲を育む居場所と いう点。何かやってみたい、もう少し調べてみたいという意欲が湧いてくると、また次の、もっとこうやって生きていきたいという生きる意欲につながっていく。この文脈で学習は、従来高校中退予防を目的にしているところもあるが、学習は、昨日できなかったことが今日できるようになるという、わかりやすく成長を得られるものであり、さらに生きる意欲につながる自己肯定感を育むものである。学習の価値を見直す必要もある。
  • 主に中高生について、部活動の地域移行が今後重要になるのではないか。部活動を居場所にしていたこどももいたかもしれない。こどもの放課後が学校から地域に移管された時、本当に地域にその居場所があるのかということは、今後非常に重要になると思う。
  • 居場所単体で見るのではなく、地域全体を居場所とするために、一つの居場所がなんで もやろうと思い過ぎず、これは別の団体に任せようなど、地域全体でコレクティブインパクトを生んでいくような仕組みについても、焦点を当てられると良い。
  • 居場所を支えるユースワーカーについて、雇用に関する問題もあれば、どのような視点 で臨んでいくかという問題もある。ユースワーカーの要件定義も非常に重要。
  • 地域に気の合う人がいない時や、居たい居場所が無い時に、オンラインの居場所は重要となる。ローカルの居場所ではなく、そのような居場所についても検討が必要。
  • 災害はとても弱い存在を生み出すことがあり、その時に緊急で居場所をつくる必要性も出てくるので、災害時の居場所支援という視点も必要ではないか。
  • 実施計画書に記載があったこどもへのヒアリングの実施方法について、言葉がうまく紡げない子も是非ヒアリング対象に含めてほしい。こどもと関係性を築いているユースワーカーの方に同席してもらう形をとってはどうか。また、ヒアリング内容として、既存の支援メニューで何を使っているかを聞いてほしい。
  • 先行研究の中で、①「すごし場としての居場所」(いつでも参加できる場所)と、②「ささえる場としての居場所」(自身の困難によりそってもらえる場所)という記載がある。困難を抱えるこどもにかかりきりになると、その他のこどもが私は大切にされていないと思うなど、こども同士で変に溝が生まれて、大きな問題を生み出すこともある。そのような経験の中では、誰でも来られる居場所と、専門的な支援を行う居場所は、明確に分かれていた方が良いと感じる。 居場所の対象を限定しないと、本当に話したいことが話せない居場所になるという側面もあるため、社会的養護の居場所においては、括りのある居場所も必要になる。
  • 年齢制限のない居場所、年齢の高い人のための居場所が必要。現在は、児童養護施設を卒園したこどもたちの居場所が多くあるが、当時そのような環境に恵まれなかった人 たちからすると、悔しいという感情がある。そのような人に対して、年齢で区切って、居場所を利用できないとしてしまうと、抑えきれない感情も出てきて、現場の職員では受け止めきれない現状がある。
  • 当事者が1つの居場所にしかつながっていないという状況は、当事者と支援者の依存 関係を生み出し、当事者も支援者も苦しめることになる。社会的養護という枠を超えて、こどもたちが様々な居場所につながれること、また、団体同士がつながり、支援者同士で連携して助け合うことが重要と感じる。
  • 居場所には、メンタルケアという要素も必要となる。何らかの事情を抱えているこども は、心理的葛藤を抱えていることも多い。また、支援者側のメンタルケアも必要。
  • こども目線で、こどもが居場所と感じられる場を考えるとき、こどもの発達段階をおさえることが必要。6 歳と 18 歳では全く異なる。こどもの発達段階を踏まえると、支援内容や居場所の中身以外にも、居場所へのアクセスの問題も出てくる。オンラインに接続できないケースもあると思うし、地方に行けば行くほど、小学生では交通手段がなくて行けないケースもある。そのような視点が、検討事項に含まれると良い。ある程度困難を抱えるこどもは、専門性のあるスタッフがいないと、居場所に来ない。そのため、ユニバーサルな居場所に、困難なこどもへのケースワークを包含するというのは、難しい問題も出てくると思う。
  • 一方、ユニバーサルな居場所であっても、色々な相談を受けることもあり、スタッフに相談スキルがないと、どうすれば良いか分からないこともある。そのため、居場所に支援という視点を含めていくことも必要ではないか。ユニバーサルな居場所の中に、ターゲットへのアプローチ、支援という視点を埋め込む手法は、いくつかバリエーションがあると思う。
  • ユニバーサルな居場所、オンラインの居場所、ターゲットの居場所など機能も多岐にわたると思うので、こどもが自身で居場所を選べる状態があると良い。また、居場所に関わる団体同士で連携し、そのこどもが居たい居場所や、合う支援につないでいくことも重要。そのためには、大人たちの居場所に対するまなざしやマインドセットが合わないと上手くいかないので、今回の指針で、そのあたりがすり合ってきて、みんなでこどもたちを支えようという連携ができると良いのではないか。

〇 事務局より、有識者や関係団体等へのヒアリングの対象選定について(資料3)について説明。
〇 委員より、以下の発言あり(順不同)。

  • 「都市/地方」のバランスをもっと考慮すべきである。地方と都市部の選定を半々ほどにしなければならないのではないか。
  • 組織の規模を考慮すべきである。国の委員会に参画しているような大きな NPOと地域 で小規模に活動している NPO では、かなり状況が異なる。ヒアリング対象には小規模な NPO を含めていただきたい。
  • 設置主体と運営主体を区別し、カテゴリーとして運営主体を位置づける必要があるの ではないか。
  • 現案のヒアリング候補はターゲットサービスが多いので、ユニバーサル型のものをもっと重視すべきではないか。今後の居場所づくりを考えた際、引き受け先となりうる児童館や公民館などの全国に既にある施設を盛り込むべきである。
  • 社会的養護に関する団体として、他の実績のある団体も候補に入れてはどうか。
  • 乳幼児期や幼児の声をどのように取り入れていくか、その道筋を考慮すべきではない か。
  • 近年は弱ってしまっているが、いわゆる地縁的な組織に近い、こども会や青年団も、昔ながらの居場所(たまり場)だったと言える。
  • こどもや若者のためだけでなく、大人にとっても居場所となっているものも含めてよいのではないか。
  • 有識者ヒアリングについて、支援者や担当者の養成に関わる専門家にヒアリングをすることもあり得るのではないか。
  • 今回のヒアリングとは別途かもしれないが、その地域全体で、その居場所がどのような 機能を担っているのか、それが充足しているのかという観点も必要ではないか。

(4)閉会

  • 事務局より、今後の予定について説明。

以上